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応力発光体を用いた実橋梁ひずみ計測実験

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Academic year: 2022

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応力発光体を用いた実橋梁ひずみ計測実験

大成基礎設計(株) 正会員 ○篠川 俊夫1) 産業技術総合研究所九州センター 徐 超男2),寺崎 正,上野 直広,安達 芳雄

李 承周,小野 大輔,椿井 正義 日本大学 竹村 貴人

1.はじめに

筆者らは,力学的な刺激によって発光する応力発光体を用いて,橋梁やトンネル,建物などの実構造物の 安全管理システムとして応用可能なモニタリングシステム「応力発光体を用いた安全管理ネットワークシス テム」の開発を行ってきた1).すでに,室内実験において,応力発光によるコンクリートのひび割れの発生,

分布,進展,変位量分布を可視化できることを確認している.今回,本システムの実構造物への適用をめざ して,実際の橋梁において応力発光を確認する目的で,ひずみ計測実験を行った.

2.応力発光体

応力発光体は,産総研九州センターで開発された素材で,外部から加えられたエネルギーを可視光に変換 することができる.応力発光体は粉末状のセラミックス微粒子(粒子径は制御可能)であり,個々の微粒子そ れぞれが力学的信号を光信号に直接変換するセンサの役割を果たす.この微粒子を含有する塗料を対象物に 塗布すると,応力集中が個々の微粒子の発光となって現れ

るため,一種の画像情報が得られる.したがって,応力発 光体を塗った構造物表面において,そこで生じる局所的な 応力異常の様子,ひび割れの形状や分布を高い分解能で確 実に捕捉できる.従来のひずみゲージに代表される電気式 計測が点情報であるのに対して,応力発光センサは面的な 情報を計測できるという大きな特徴を有している.

3.実験概要

実験を行った橋梁は,RC3径間連続T桁橋(橋長 24.40 m,全幅員 7.89m)で,昭和 34 年 3 月に架設され,築 50 年を経ている(図-1参照).

実験にあたり,図-2に示すように応力発光体を塗布した シートを,ひずみの発生をより顕著に捉えやすいひび割れ 部を中心に,接着剤でコンクリートの橋桁表面に貼り付け た.大きさはA4版シート約 6 枚分である.また,応力発 光の検証のために,ひずみゲージを橋桁下部とひび割れ部 に貼り付けた.暗箱を作り,本プロジェクトで開発したC CDカメラシステム 2)により撮影を行った(図-3 参照).

測定は 1 ヶ月程度の期間をおいて 3 回(各 1 日)実施した.

4.実験結果

普通車や通常のバス・トラック等では衝撃荷重が小さく,

キーワード:応力発光体,ひずみ計測,橋梁

連絡先:1)〒113-0022 文京区千駄木 3-43-3,TEL:03-5832-7192,FAX:03-5832-7414 2)〒841-0052 鳥栖市宿町 807-1,TEL:0941-81-3661,FAX:0942-81-3696

13000 6000

5400

24400

1900

図-2 応力発光体シート貼付状況 図-1 実験橋梁

応力発光体シート

ひずみゲージ 土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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応力発光が見られなかったが,図-4に示すようにトレーラー等 の大型車両の通行時に応力発光が見られた.また,車両通過後 に応力発光が消え,ひずみが元に戻っていることも確認された.

応力発光は,ひずみゲージのデータとも相関があり,ひび割れ を跨ぐひずみゲージに 700με以上のひずみが発生したときに 応力発光が見られた(図-5参照).さらに,応力発光において,

目視で確認できるひずみの先端から伸びる発光も認められてお り,マイクロクラックの発生も確認できることがわかった(図 -4参照).

5.まとめ

橋梁や建物などの実構造物の保守点検・維持管理に応用可能 なコンクリートのひび割れの形状分布や進展具合を応力発光セ ンサなどによって可視化するモニタリングシステムの開発を目 的とし,竣工後50 年経過している実際の橋梁において有用性・

有効性を検証した.その結果,大型車両通行時のような大負荷 時において応力発光の検出に成功した.また、実験期間中にセ ンサの劣化は見られなかった.

ひずみゲージのデータとの検証から,応力発光と発生するひ ずみに明確な相関があることが確認できた.これにより,発光 強度値から構造物に発生したひずみやひび割れの開口変位量を 推定することも可能になる.また,目視で確認できるひび割れ 部の応力発光のほかに、目視では確認できない箇所でも応力発 光を検出できた.このようなマイクロクラックの存在を応力発 光により検出できることから,ひび割れの発生と進展の具合を 予測できる可能性があることがわかった.今後,実用化に向け てさらに実証実験を進めていく予定である.

謝辞

本研究は,科学技術振興機構(JST)戦略的創造推進事業

(CREST)における先進的統合センシング技術の研究課題「応力 発光体を用いた安全管理ネットワークシステムの創出」の一環 として行ったものである.また,今回の実証試験において実橋 梁の使用を快く認めていただいた福岡県県土整備部および朝倉 県土整備事務所に深く感謝いたします.

参考文献

1)徐超男:「見えない」危険を可視化する技術,検査技術,Vol.14,

No.9,pp.1-10,2009

2)産総研プレスリリース:応力発光体を用いた安全管理モニタ リングシステム,

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr2009 1109/pr20091109.html,2009.11.9

図-3 撮影システム概要図

図-4 応力発光体発光状況

図-5 発光状況とひずみの関係

青線:参考歪量(亀裂を跨る歪ゲージ)

○:応力発光画像がリアルタイム検出 700με

大型車両通過

発光なし 発光なし

発光 目視確認 ひび割れの発光

ひび割れ 未確認箇所の 発光

橋桁

計測機器 暗箱置台

カメ

暗箱 土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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参照

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