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3 方向応力聴診器の引張試験への適用について

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Academic year: 2022

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3 方向応力聴診器の引張試験への適用について

東京測器研究所 正会員 ○落合 純一 東京測器研究所 正会員 福田 浩之

維持管理工房 正会員 古市 亨

1.目的

一般的に鋼構造物をひずみゲージで計測を行う場合には,ケレン 等の事前の作業,計測後の塗膜の復旧などが必要で,作業時間が増 加し,コストが大きくなる傾向にある.このため,現場で簡易にひ ずみ測定を行うことを目指し,①塗膜の除去,脱脂,接着,コーテ ィングの必要がないため,現場での作業を大幅に短縮できる,②測 定後の修復が不要である,③脱着が簡単なため,測定場所を容易に 移動することが可能であり,小型デジタル動ひずみ計(DC-104R等)と 組み合わせることにより,聴診器のように移動しながらひずみの最 大発生箇所を確認することができる,④応力聴診器は1ゲージ構造 であるが、専用の測定ケーブルの先端でフルブリッジ構造としてい るので,ブリッジヘッドなしで計測器へ接続することが可能であ る,⑤繰り返し利用が可能なため、長期的に考えれば経済的であ る,等の効果が期待できる従来型応力聴診器1),さらに,鋼橋 の疲労損傷発生箇所近傍の応力測定に有効と考えられる狭隘な スペースにおいて適用可能な改良型応力聴診器2)の 2 種類が開 発され,基本試験と静的載荷試験,動的載荷試験,応力頻度測定 などの現場適用性確認を行い,良好な結果を得ている.

x z

図-1 3 軸摩擦ゲージ

鋼材の引張試験時に弾性係数,ポアソン比を計測するためには,

2 軸ひずみゲージを貼付して引張試験を行う方法が主流である が,ひずみゲージ貼付の手間を省略するため,応力聴診器を使用 することができないかと考え,新たに開発した 3 軸摩擦ゲージ

(図-1参照)を新型応力聴診器に装着した 3 方向応力聴診器を 用い(図-2参照),引張試験を行い,ひずみゲージと応力聴診 器の値を比較し,3 方向応力聴診器使用の可能性についての基本 的試験を行ったのでの報告する.

図-2 3方向応力聴診器 回転

摩擦ゲージ(3軸)

マグネット

2.引張試験の概要

3 方向応力聴診器の現場適用性を確認するための基本実験と して,大阪工業大学八幡工学実験場工学実験センター内のアムス ラー型万能試験機を用いた引張試験時の状況を図-3に示す.

図―4に示すように,試験体の片面(表面)に3方向応力聴診

器と3軸ひずみゲージを試験片中心の左右に並べて配置し,裏面には,1方向応力聴診器と3軸ひずみゲージ を並べ.1試験片の計4箇所において,引張試験実施時にひずみ測定を行い,ひずみゲージ,3方向応力聴診

図-3 応力聴診器設置状況

キーワード 応力聴診器,3軸,計測,引張試験

連絡先 〒542-0062 大阪市中央区上本町西5-3-19 (株)東京測器研究所 TEL 06-6762-9831 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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図-4 測点配置 器が検知する発生ひずみを比較し,3方向応力聴診器が

弾性係数,ポアソン比を正しく検知できるか否かの確 認を行った.なお,引張試験時には,鋼材の破断まで は至らせていない.

3.応力聴診器による計測結果

図-5にひずみが2000μとなるまでの,荷重-ひず み曲線を示すが,鉛直方向(y軸)ひずみでは,弾性 範囲を超え,1300μ程度までは3 方向応力聴診器とひ ずみゲージの差異は2%以内と良く一致している.水平 方向(x軸),45°方向(z軸)も同様の傾向を示して いる.また,この値から計算したポアソン比の差異も 3%程度であり,よく一致していた.

図-6に 3 方向応力聴診器とひずみゲージの鉛直方向ひずみの相関を示すが,荷重 96KN で,摩擦ゲージ

1500μに対し,ひずみゲージ1534μとその差異は

2%以内であった.ただし,荷重を上昇させると,

ひずみゲージは弾性限界を超え,3000μ程度まで は,ひずみを検知したのに対し,応力聴診器は1700 μを超えると値が不安定となり,2400μ程度で,

摩擦ゲージが滑り,値を示さなくなった.

また,同じ3方向応力聴診器を用いて,同様の 引張試験を5回繰り返したが,塑性域では応力聴 診器の値が不安定となるが,1500μまではひずみ ゲージとほぼ同じ値を示しており,繰り返し使用 による応力聴診器の機能低下は無かったと推測で きる.

4.おわりに

前章までの結果より,3 方向応力聴診器を用いて引張試 験を行えば,弾性係数,ポアソン比とも十分な精度の結果 を得られることが検証できた.また,1500μを超えるひず みで、5 回程度は繰り返し使用できることも確認した.な お,使用した摩擦ゲージは,応力聴診器の構造から図-1 に示すようなゲージの方向となっているため,使用時に注 意する必要がある.今後は,鋼材の厚さの変化や,耐用回 数に関する試験を行い,その精度の検証を行う予定である.

参考文献

1) 小塩達也,山田健太郎,齋藤好康,椎名政三, 摩擦型ひず みゲージによる応力聴診器の開発と構造物の健全度診断

への応用, 第 60 回土木学会年次学術講演会概要集,第Ⅵ部門,6-128,pp.255-256,2005.

図-5 荷重―ひずみの相関

図-6 摩擦ゲージとひずみゲージの相関

2) H.TOKUHISA, T.FURUICHI,H.SAKO,S.MATSUI,H.FUKUDA:Verification related to ON-SITE Applicability of NEW STRAIN CHECKER.The 7th Japan-Korea Joint Seminar on Bridge Maintenance,pp.101-110,2009.11.

土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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