• 検索結果がありません。

繊維補強道床コンクリートを用いた弾直軌道の性能試験

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "繊維補強道床コンクリートを用いた弾直軌道の性能試験"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)IV‑454. 土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月). 繊維補強道床コンクリートを用いた弾直軌道の性能試験 (財)鉄道総合技術研究所. 正会員. ○向井. 明. 中原. 哲. 日本鉄道建設公団 北武コンサルタント㈱. 正会員. 渡辺. 忠朋. 鉄建建設㈱. 正会員. 益田. 彰久. 安藤. 勝敏. 堀池. 高広. 1. はじめに 平成 17 年度に開業予定の「つくばエクスプレ ス」 (秋葉原~つくば間 58.3km)の軌道構造の一 部として、図 1 に示すような弾性まくらぎ直結軌 道(以下、弾直軌道と略称)の敷設が計画されて いる。従来、この種の道床コンクリートは鉄筋コ ンクリート構造であったが、配筋作業の省力化を 目的としてビニロン繊維を混入して補強したコン クリートまたはモルタル(以下、VFRCと略称). 図 1. 弾直軌道構造. を用いることの妥当性について検討した。 2. 実物大試験. A B C aD b. 道床コンクリートにVFRCを用いた実物大軌道を製. 300. 625@3=1,875 300. 作し、その性能試験を行った。なお、本報告においては、 一般的なVFRCのポンプ圧送において支障なく施工可 能とされている繊維混入率として体積比で 2.0%を設定 した。 (1) レール直角方向載荷試験 レール直角方向荷重に対する道床コンクリートの耐力 を確認するため、図 2(a)に示すようにまくらぎ1本軌道. (a)レール直角方向. 図 2.実物大試験. に対してジャッキにより単調載荷を行った。載荷荷重と 140. リート亀裂変位の関係を図 3 に示す。図より、まくらぎ. 120. 変位 2mm に対する載荷荷重は約 27kN で、この軌道の. 100. し、必要抵抗力 5kN/m の約 4.5 倍となった。ひび割れ は、80kN 載荷時にVFRCの切り欠き部の角に発生し、. 載荷荷重(kN). 道床コンクリート変位、まくらぎ変位および道床コンク. 道床横抵抗力は 27kN/(2×0.625m)=22kN/m の値を示. (b)レール長手方向. その後さらに側面に広がったが、最終的な最大荷重は 124kN で あ っ た 。 こ の 値 は 設 計 最 大 レ ー ル 横 圧 力 150kN/2×0.8×0.45=27kN(0.45 は連続弾性支持モデ ルより算出の荷重分散率)の約 4.5 倍である。. 80 60. コンクリート変位(B). 40. まくらぎ変位(D). 20. コンクリート亀裂変位(a-b平均). 0 0. 2. 4 6 8 載荷方向変位(mm). 10. 12. 図 3.載荷荷重と変位の関係(レール直角方向). (2) レール長手方向載荷試験 レール長手方向荷重に対する道床コンクリートの耐力を確認するため、図 2(b)に示すまくらぎ 4 本軌道の レールを同様にジャッキにより単調載荷を行った。試験条件は直結4K形レール締結装置の標準緊締トルク (60N・m)および過緊締(約 300N・m)の 2 ケースとした。載荷荷重と変位の関係は図 4 に示すとおりで、 標準緊締の場合、設計値 10kN/m×(1/2)×2.5m=12.5kN とほぼ同じあるいはやや大きい 15kN 付近でレール が滑動した。従って、適切な締結が行われれば、過大な水平荷重は下部に伝わらないことが確認された。ま た、過緊締の場合には 40kN 付近からまくらぎ変位が増加し始め、次第に軌きょうが道床コンクリートに乗 り上げる傾向が見られ最大荷重は 100kN を示した。この値は、ロングレール縦抵抗力 10kN/m×2.5m=25kN キーワード:弾性まくらぎ直結軌道、繊維補強、道床コンクリート、ひび割れ発生レベル、耐用年数 〒185-8540. 東京都国分寺市光町 2-8-38. TEL(042)573-7276 ‑907‑. FAX(042)573-7413.

(2) IV‑454. 土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月) 100. 62.5kN の約 1.5 倍である。本試験は輪重を載荷し. 80 載荷荷重(kN). と始制動荷重 150kN×0.25=37.5kN を合計した ていないため実際には更に余裕があり、始制動荷 重を除けば、約 4 倍の抵抗力があると考えられる。 また、試験終了後の目視試験の結果、VFRCや. 標準緊締(レール). 60. 過緊締(まくらぎ). 40. まくらぎにひび割れや大きな変形の発生は認めら. 20. れなかった。. 0. 3. 疲労試験. 0. 5. 10 15 20 載荷方向変位(mm). VFRCのS-N曲線を得るために、表 1 に示. 25. 30. 図 4.載荷荷重と変位の関係(レール長手方向). すような 2 種類の配合による部分試験体(図 5) を作製し、8 種類の荷重レベルで疲労試験を行っ. 990. た。なお、載荷方向はジャッキシステムの関係か. 824. 162. ら鉛直方向が望ましく、さらに荷重の偏心を発生. 260. させないために、モデル 2 組を背中合わせにした. 498. 形状のものを試験体とした。試験結果は、表 1 お. 328. 750. よび図 6 に示すとおりで、破壊に至った荷重デー. 262. タ P(②、⑤、⑥)を使用し、近似式を算出した ところ図 6 中の式が得られた。なお、式中の Pmax. 図 5.部分試験体. は静的な最大荷重平均である。破壊に至らなかっ. 表 1. 疲労試験結果. たデータについても近似線近傍に位置しており、. 静的 最大荷 最大 重平均 使用試 配合 荷重 Pmax 験体 (kN) (kN). 破壊に到達する直前であったように見受けられる が、試験時の観察からは、ひび割れの進展は見ら れなかった。また、図 7 は載荷回数と変位の関係. A-No.2 A 187.5. を示したもので、破壊に至る場合は直前に急激な. A-No.3 176.4. 変位の増加が認められる。よって、破壊までには、 まだ余裕があると考えられ、図 6 中の近似線も荷. B-No.2 B-No.3. B 165.2. B-No.4. 重レベルの低い範囲では曲線を描いている可能性. 1.0. 一方、つくばエクスプレスの設計年間通過トン 数は 2,700 万トン、設計耐用年数は 45 年、設計最 大レール横圧力は前述したように 27kN を想定し ており、急曲線における繰返し荷重(P)/最大荷重 平均(Pmax)は 0.153 となる。この値を図 6 中の式. 0.8. 破壊 非破壊. ⑤. 0.7. ②. 0.6 ⑥. 0.5. ⑧. 0.4 ⑦. 0.3. FEM解析(MARC)によるひび割れ発生レベル. 0.2 0.1. ③. ①. 0.0 1.0E+10. 1.0E+09. 1.0E+08. 1.0E+07. 1.0E+06. 1.0E+05. 1.0E+04. 1.0E+03. 1.0E+02. る。これを耐用年数に換算すれば、7 億 2,000 万. 1.0E+01. に当てはめると載荷回数Nは 7 億 2,000 万回とな. ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧. 繰返し 荷重 載荷回数 P/Pmax 終了状態 P (N) (kN) 18.9 0.11 3,000,000 非破壊 94.2 0.53 92,818 破壊 56.5 0.32 6,200,000 非破壊 140.8 0.80 530 破壊 116.2 0.66 3,695 破壊 106.9 0.61 9,568 破壊 64.1 0.36 3,000,000 非破壊 73.6 0.42 700,000 非破壊. P/Pmax = -0.0414ln(n)+0.9977 ④. 0.9. 1.0E+00. 繰返し荷重(P)/最大荷重平均(Pmax). がある。. 試験 順序. 載荷回数(N). 回×15 トン/2,700 万トン/年=400 年となり、設計耐. 図 6.載荷回数と荷重の関係. 用年数 45 年を十分満足する。. 5.0. ⑤. 4. まとめ 4.0 変位 (mm). ビニロン繊維補強道床コンクリートを使用した 弾直軌道を新設線に適用するのは、強度および耐 久性の観点から問題ない。なお、今回の試験はポ. ⑥. 3.0. ④. 2.0 1.0. 結果であるが、疲労による本構造の耐用年数は繊. 0.0. ⑧. 載荷回数(N). 図 7.載荷回数と変位の関係 ‑908‑. 1.0E+06. 1.0E+05. 1.0E+04. 1.0E+03. 更に経済的な構造とすることは可能である。. 1.0E+02. 条件によっては混入率を減ずるなどの検討を行い、. 1.0E+01. 1.0E+00. 維混入率に大きく依存するため、施工条件や設計. ⑦ ③①. 1.0E+07. ンプ圧送を前提に繊維混入率を 2%とした場合の. ②.

(3)

参照

関連したドキュメント

枚方市が管理する道路は延長 1132km あります。現在、道路長寿命化計画を策定し維

コンクリートを用いて構造物を設計・施工するとき, 圧縮強度は最も重要な材料定数の一つである.コンク リートの圧縮強度を求めるためには, 圧縮強度試験を

験を行い,上下 3 点の移動平均値を採用している。図-2 に試験間隔の違いによる深度方向の強度分布を示 す。図は,左から移動平均前,測定間隔 10cm での移動平均,同様に 20cm

事前の室内配合試験の結果をもとに表 2 の配合量を決定した. 載荷試験では地震によるせん断変形を模擬するため,構造

引張強度を確認するため一軸圧縮および一軸引張試験シミュレー ションから決定したパラメータを用いて圧裂試験シミュレーション

1.策定の趣旨 本市の水道事業の目指す基本的な方向性につきましては、

はじめに 高架橋上のバラスト軌道では,地震時の不同変位により道 床横抵抗力が低下することが知られており 1) ,レールの座屈挙動に及ぼす

開発にあたり,道床厚さの確保が容易で低コストな座 面式パンドロール締結装置を採用し,かつ角折れが進み にくい構造とした.また軌道の保守管理の観点からマル