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解砕処理焼却灰の地盤材料としての適用性の検討 福岡大学

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Academic year: 2022

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(1)III‑056. 土木学会西部支部研究発表会 (2013.3). 解砕処理焼却灰の地盤材料としての適用性の検討 福岡大学. 学生会員. 隈本祥多. 福岡大学. 正会員. 佐藤研一. 藤川拓朗. 古賀千佳嗣. 1. はじめに 一般廃棄物焼却残渣には高濃度の重金属等が含有されているため、最終処分場に埋立処理されるのが 一般的である。しかしながら近年、最終処分場が逼迫している社会情勢を鑑み、これら焼却残渣中の重金属等を 安定化(不溶化)あるいは無害化し、有効利用を行う研究が行なわれている 1)。一方、東日本大震災で大量に発生し たがれき処理に際して大量の焼却灰が発生している。著者らはこれまでに焼却残渣を大量に有効利用するために 必要な力学特性、材料特性を把握するため、焼却灰を用いた一連の研究を行ってきた 2)。本研究では地盤材料とし ての安全性を確保した上で有効利用していくため、固化材添加により焼却灰を一度固化させた後、解砕処理して 作製した解砕処理焼却灰を用いて地盤材料としての適用性について検討を行った結果について報告する。 表-1. 2. 実験試料 試料. 均等係数 Uc. 曲率係数 Uc’. 細粒分含有率 Fc(%). 焼却灰 豊浦砂. 2.588 2.646. 105.7 2.13. 11.1 1.41. 14.6 0.2. 2-1 本実験で用いた焼却灰 本実験では、焼却方式と 年 7 月に採取した 13mm 以下の一般廃棄物焼却灰を 用いた。表-1 に焼却灰の物理特性を示す。焼却灰の. いる。図-1 に焼却灰の物理組成を示す。本実験で用 いた焼却灰は過去に用いた焼却灰と同様、灰分が約. 質量百分率(%). 粒子密度は一般の豊浦砂と比較して低い値を示して. 2012年 7月採取 2005年10月採取 2006年 8月採取 2006年10月採取. 80 60 40. 灰分 陶器類 鉄含有分. 20. ガラス類. 90%と多く含み、鉄含有物やガラス、陶器類が含ま れていることが分かる。次に図-2 に 2012 年 7 月採取. シルト. 図-1. 0.250 0.850 2. 最適含水比 Wopt(%) A-b法 22.0 ― 4.75. 細砂 中砂 粗砂 細礫 中礫. E-b法 18.0 ―. 19. 75 粗礫. 100 2012年 7月採取焼却灰 2006年10月採取焼却灰 2005年10月採取焼却灰 豊浦砂 解砕処理焼却灰. 80 60 40 20. アルミ類. 0 0.001. 0. 最大乾燥密度 ρdmax(g/cm3) A-b法 E-b法 1.460 1.493 ― ―. 0.075. 0.005 粘土. 100. 通過質量百分率 (%). してストーカー炉を採用している焼却場から 2012. 物理特性. 密度 ρs(g/cm3). 0.01. 物理組成. 図-2. 0.1 1 粒径 (mm). 10. 100. 各試料の粒径分布. 焼却灰の粒径加積曲線を示す。なお、比較対象として 2006 年 10 月採取焼却灰、2005 年 10 月採取焼却灰、豊浦砂の結果についても示している。この結果より、いずれの 焼却灰においても採取年月に関係なくほぼ同様の粒径を示していることが分かる。 2-2 解砕処理焼却灰の作製方法 本研究では 13mm 以下の焼却灰を用いて焼却灰中の 重金属等の溶出を抑制するために焼却灰に固化材を添加して固化養生した後、粒径 19mm 以下になるまで解砕した解砕処理焼却灰(写真-1)を用いた。. 表-2. なお、固化材には高炉セメント B 種を用いて検討を行っている。 以下に解砕処理焼却灰の作製方法について示す。焼却灰の含水 比を表-2 に示す条件に従って採取時の含水比に調整し、固化材. 試料. 含水比. 焼却灰. 採取時の含水比 (w=35%). 写真-1. 解砕処理焼却灰. 配合及び養生条件 固化材 解砕までの 解砕後 添加率 養生条件 養生日数 最大粒径 (%) (日) (mm) 20. 気中. 7. 19. を焼却灰の乾燥重量に対して外割りで配合した。その後、これらをホバートミキサーで 5 分間攪拌し、モールド(直 径φ=15cm 高さ h=12.5cm)に各層 25 回、3 層に分けて安定処理土の締固めを行わない供試体作製方法 3)により打 設を行った。これらをラップで密封して 20℃一定の恒温室で 7 日間、気中養生させた。養生後、回転式破砕混合 混練機 4)を用いて図-2 に示す粒径に解砕した。 3. 解砕処理焼却灰の路床・路盤材としての適用性 解砕処理焼却灰の路床・路盤材への適用を評価するために修正 CBR 試験(JIS A 1211)を行った。なお、本実験では締固め試験を E-a 法(JIS A 1210)で行い、突固めは各層 17 回, 42 回, 92 回の 3 種類で 1 個ずつ供試体を作製した後に吸水膨張試験、貫入試験を行った。まず、図-3 に焼却灰の締固 め曲線及び乾燥密度-CBR グラフを示す。なお、図中には過去に採取した焼却灰の結果についても示している。日 本道路協会 5)では上層路盤は 95%修正 CBR 値 80%以上、下層路盤や路床は 30%以上で使用可能と規定されている。 いずれの焼却灰においても 95%修正 CBR 値は 80%を超えており、焼却灰は安全性を確保した上で路床・路盤材と して有効利用出来る可能性があることが示された。次に、図-4 に解砕処理焼却灰の締固め曲線及び乾燥密度-CBR ‑453‑.

(2) III‑056. 土木学会西部支部研究発表会 (2013.3). が約 100%程度大きな値. 3. 1.4 1.3 1.2. を示しており、解砕処理. 1.1. による路床・路盤材とし. 1. ての品質低下は見られ ないことが示唆された。. 焼却灰 解砕処理焼却灰. 1.5 1.4 1.3 1.2 1.1. 0. 図-3. 5. 10 15 20 25 30 35 含水比 (%). 0. 50. 100 150 CBR(%). 200. 1. 250. 締固め曲線及び乾燥密度-CBR グラフ (焼却灰) 試料. 砕処理焼却灰の地盤を想定し、解砕処理焼却灰を用いて せん断特性の把握を行った。なお、本実験では粒径の大 きな試料でもせん断可能な中型一面せん断試験装置. せん断応力τ (kPa). を示す。図-5 に焼却灰のせん断試験結果、図-6 に解. J. 500. -8. 400. 200. -4. 100. -2. 0. 0 2. 50kPa 100kPa 200kPa. 図-5. -4. 100. -2. 0. 0. 500. 4 A 解砕処理焼却灰 6 5 10 15 20 25 せん断変位 (mm). (kPa). 解砕処理焼却灰 υ =61.6° c=48.0kPa 2012年7月焼却灰 υ =57.7° c=75.7kPa. 400. max. 最大せん断応力τ. せん断挙動、強度定数ともにほとんど変化が見られないことが分かる。 5. 解砕処理焼却灰の溶出特性の把握 本実験では解砕処理焼却灰を用いて環告 46 号法に順じて溶出試験を行った。表-4 に溶出試験における実験条件を示す。本実 験では固化材添加率に着目し、固化材添加率が鉛の不溶化効果に与える影響につ. 300 200 100 0 0. いて把握を行った。表-5 に解砕処理焼却灰作製時の固化材添加率が不溶化効果に. て検討を行う予定である。. 2. 50kPa 100kPa 200kPa. 図-6 せん断試験結果 (解砕処理焼却灰). と解砕処理焼却灰の強度定数について示す。焼却灰の固化解砕処理前後において. 後さらに固化材添加率及び解砕までの養生日数の増加を踏まえ. -8 -6. 0. ひずみは低載荷圧力下において強い膨張傾向を示している。次に、図-7 に焼却灰. な鉛の溶出濃度の低下が見られた。これらの結果については今. I. -10. 4. 表-4. F. 200. せん断試験結果 (焼却灰). 与える影響について示す。鉛の土壌環境基準値である 0.01mg/L. 2.5kgランマー法. D=0.9. せん断応力は載荷圧力 50kPa において、いずれも若干のピーク強度を示し、体積. は満足出来なかったものの、固化材添加率 20%においては顕著. 250. 300. 焼却灰 6 5 10 15 20 25 せん断変位 (mm). ずれの場合もほぼ同様の挙動を示している。また、. 200. 供試体作製方法. 0.3 C. -10. -6. 砕処理焼却灰におけるせん断応力、体積ひずみはい. 50 100 200. L. 300. 0. 載荷圧力 せん断速度 (kPa) (mm/min). 0.9. D=0.9. 砕処理焼却灰のせん断試験結果を示す。焼却灰、解. 100 150 CBR (%). 体積ひずみε (%). 度 0.3mm/min にてせん断を行った。表-3 に実験条件. 締固め度D (ρ d/ρ dmax). 2012年7月採取 13mm以下 焼却灰 解砕処理 19mm以下 焼却灰. 400. 50. 一面せん断試験における実験条件. 最大粒径. H. 0. 締固め曲線及び乾燥密度-CBR グラフ (解砕処理焼却灰). 体積ひずみε (%). 設定し、載荷圧力 σv=50、100、200kPa、せん断速. 10 15 20 25 30 35 含水比 (%). 500. (直径φ=20cm, 高さ h=7cm)を用いて、有効利用時に 密に締固められることを想定した締固め度 D=0.9 に. 5. 図-4. 表-3. 4. 解砕処理焼却灰地盤を想定した検討 本実験では解. 0. せん断応力τ (kPa). 比べ、95%修正 CBR 値. 1.6 2012年 7月採取 2006年10月採取 2005年10月採取. 3. 焼却灰は解砕処理前と. 1.5. 乾燥密度(g/cm ). 1.6. 乾燥密度(g/cm ). グラフを示す。解砕処理. 100 200 300 400 載荷応力σ (kPa). 図-7. 500. 強度定数. 溶出試験における実験条件. 解砕処理前条件 一回の 固化材 解砕までの L/S サンプル数 養生 添加率 養生日数 含水比 (回) 条件 (%) (日) 0 5 解砕処理 自然含水比 7 10 2 気中 (w=35%) 焼却灰 10 20 試料. 6. 結論 1) 焼却灰を解砕処理した解砕処理焼却灰は高い修正 CBR 値を. 表-5. 解砕処理焼却灰の溶出試験結果. 示し、上層路盤として十分適用可能である。2) 解砕処理焼却灰は焼却灰 と同様のせん断挙動及び強度定数を示す。3) 解砕処理焼却灰の Pb 溶出. Pb (mg/L). 0 0.200. 固化材添加率(%) 5 10 20 0.155 0.200 0.070. 濃度は基準値を満足出来なかったものの、固化材添加率及び養生日数を変化させることで基準値を満足できる可 能性がある。以上のことから、解砕処理焼却灰は安全性を考慮した上で地盤材料として有効利用が可能な材料で あることが示された。 参考文献 1) 鈴木ら:セメント系固化材を用いた都市ごみ焼却飛灰の固化技術に関する研究, 廃棄物資源循環学会論文誌, vol.20, No5, pp.320-331, 2009. 2) 中村ら:一般廃棄物焼却灰の地盤材料特性, 第 41 回地盤工学研究発表会, pp.557-558, 2006. 3) 社 団 法 人 地 盤 工 学 会 : 土 質 試 験 の 方 法 と 解 説 , pp308-316, 2000. 4) 国 土 開 発 株 式 会 社 : ツ イ ス タ ー 工 法 http://n-kokudo.co.jp/tec_civil/twister _atypical.html. 5) 社団法人 地盤工学会:土質試験の方法と解説, p.280, 2000.. ‑454‑.

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