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模型実験による角折れ時の道床横抵抗力特性

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Academic year: 2022

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キーワード バラスト軌道,鉄道高架橋,角折れ,模型試験,道床横抵抗力

連絡先 〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-5 横浜国立大学 土木工学棟

模型実験による角折れ時の道床横抵抗力特性

JFEエンジニアリング株式会社(元横浜国立大学) 正会員 ○山本 紗穏里

(公財)鉄道総合技術研究所 正会員 中村 貴久 桃谷 尚嗣 横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院 正会員 早野 公敏

1. はじめに 高架橋上のバラスト軌道では,地震時の不同変位により道 床横抵抗力が低下することが知られており1),レールの座屈挙動に及ぼす 影響を評価した報告がある2).しかし,現場で生じる様々な条件下の角折 れ時の道床横抵抗力特性を実際に調べることは難しく,事例はほとんど ない.そこで本研究では水平角折れに着目し,“角折れが発生できる装置”

を製作し,模型試験を実施した.模型試験では,道床横抵抗力に角折れの 大きさや回数が及ぼす影響,そして1本引き載荷試験と軌きょう引き載 荷試験における違いなどについて調べた.

2. 1 本引き試験による道床横抵抗力特性

a) 装置と試験方法 製作した装置概要を図-1に示す.模型スケールは実際の 1/5で,道床の密度は1.60g/cm3である.2層構造の土槽底面のうち上側の層 を,あらかじめ決めた幅の大きさに開くことで水平角折れを再現した.1本 引き試験では,バラスト道床内の角折れの影響を最も受け易い位置に3Hま くらぎ1本をセットし,図-2に示すように所定回数の角折れを繰返し生じ させた後,開いた状態あるいは閉じた状態でまくらぎの横引き載荷試験

(0.4mm/min)を行った.角折れ幅が5, 10 mmの場合は,角折れ回数1,

10, 20回後の閉じた状態でそれぞれ横引きを実施し,角折れ幅が20 mm

の場合は角折れ回数1, 20回目の開いた状態および閉じた状態,そして角 折れ回数10回目の閉じた状態でそれぞれ横引きを行った.なお, 後に述 べる軌きょう引きと比較するため,まくらぎの設置高さが変わらないよう に横引きし,また横引きを行った後は毎回,道床を作り直した.

b) 角折れ幅と回数の影響 角折れ幅 20mm を与えたあとの横引きにおけ る水平荷重-水平変位関係を図-3に示す.角折れが生じると道床横抵抗力が 低下しており,また角折れが閉じた状態よりも開いた状態の方がより低い.

角折れ幅と最終道床横抵抗力(水平変位5~10mmの水平荷重の平均値)と の関係を図-4に示す.いずれの角折れ回数においても,角折れ幅が大きい ほど道床横抵抗力が低下している.角折れ回数と最終道床横抵抗力の関係を 図-5に示す.角折れ回数が 10 回程度で道床横抵抗力の低下は収束してお り,閉じた状態では角折れ幅が5mmで15%程度,10mmで20~30%程度,

20mmで40%程度低下する.開いた状態では角折れ幅が20mmで60~70%

低下する.

3.軌きょう引き試験による道床横抵抗力特性

a) 試験方法 1 本引き試験と同じ装置を用いて,バラスト道床内にまくら ぎ5本からなる軌きょうを設置し,1本引き試験と同様に,角折れを作用さ

開き

開き 1回目 20回目

18 閉じ

0 2 20

閉じ

角折れ幅 (mm)

繰返し 角折れ

19 1

図-2 載荷のタイミング

3Hまくらぎ

載荷方向

970485485

繰り返し

9140

1007.4 単位(mm)

図-1 角折れ試験装置概要

0 2 4 6 8 10

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12

20回(閉じ)

1回(開き)

10回(閉じ)

0回

20回(開き)

1回(閉じ)

水平荷重(kN)

まくらぎ水平変位(mm)

図-3 荷重-水平変位関係

(1本引き20mm)

図-4 最終道床横抵抗力- 角折れ幅関係

0 10 20

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10

20回(閉じ) 1回(閉じ)

10回(閉じ)

1回(開き)

最終道床横抵抗力(kN)

角折れ幅(mm) 20回(開き)

土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑1021‑

Ⅵ‑511

(2)

せた後に横引きを行った.横引き中は,軌きょうにより5本が同時 に一緒に移動する.なお図-6に示したまくらぎ①, ②にはロードセ ルを別途個別に設置し,分担する道床横抵抗力を調べた.道床形状 は1本引き試験と同じである.横引きは角折れ幅を20mmとし,角 折れ回数1, 20回目の開いた状態で行った.

b) 軌きょうと角折れの影響 軌きょう全体の水平荷重~水平変位 関係を図-7に示す.初期の道床横抵抗力は,角折れ1回と20回で はほとんど差が見られない.その後は角折れ1回の方が小さくなっ ており,最終道床横抵抗力は角折れしない状態に比べ20~25%程度 低下している.1本引きより低下率が小さいが,軌きょうにおける各 まくらぎに対する角折れの影響が異なるためと考えられ,まくらぎ

①, ②, ③の道床横抵抗力を整理した.まくらぎ③の道床横抵抗力は,

対称性を仮定し軌きょう全体の道床横抵抗力から算出した.

図-8に各まくらぎの最終道床横抵抗力と角折れ回数の関係を示 す.同図で角折れが発生しない状態で,すでに各まくらぎが分担する 道床横抵抗力が異なるが,これは群杭効果や境界条件の影響として知 られる.まくらぎ③の最終道床横抵抗力は群杭効果の影響を特に受け るため小さい.角折れの影響を見るとまくらぎ②の20回目の傾向が やや異なるが,角折れによる低下はまくらぎ③の場合 20~40%程度 であり,まくらぎ①, ②の場合 5~25%程度である.設置位置が同じであ るまくらぎ③の場合でも,1本引きの角折れによる低下率60~70%に比べ て小さい.

角折れが生じると,まくらぎ端面が露出するほどバラストが流出し,1 本引きの場合には特に側面も露出する.しかし軌きょう引きの場合,隣接 するまくらぎによりバラストが拘束されているため,それほど側面が露出 しない.加えてもともと群杭効果によりまくらぎ端部の抵抗力の全体に対 する貢献が相対的に小さいため,軌きょう引きのほうが1本引きより低下 率が小さいと考えられる.

4.まとめ 1/5スケールの模型試験で角折れによる道床横抵抗力へ の影響を検討した.1 本引き試験では,角折れ幅が大きくなるほど 道床横抵抗力は低下し,20mmの角折れが生じると道床横抵抗力

は60~70%ほど低下する.繰返し角折れが生じた場合,10回程度

で低下は収束する.5本の軌きょう引き試験では,軌きょう全体 の道床横抵抗力は,20mmの角折れが生じると20~25%ほど低下 する.軌きょう中央のまくらぎで角折れによる低下は20~40%程 度であり,1 本引きより低下が少ない理由として拘束効果や群杭効 果の影響が考えられる.

参考文献 1) 佐藤吉彦,三浦重,高井秀之,長沢孝哉:高架橋の

水平目違いおよび水平角折れに対する軌道の変形特性試験,鉄道技術研究所速報,No.A-85-61,pp.1-77,1985 2) 曽我部正道,浅沼潔,桃谷尚嗣,中村貴久:構造物境界における有道床軌道の地震時座屈挙動とそのフラジリ ティ曲線,鉄道総研報告,Vol.28,No.12,pp.53-58,2014 3) 小池陽平,早野公敏,中村貴久,桃谷尚嗣:

まくらぎの形状と本数がバラスト軌道の道床横抵抗力に及ぼす影響,第48回地盤工学研究発表会,2013.7

0 10 20

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10

10mm(閉じ) 5mm(閉じ)

20mm(閉じ) 20mm(開き)

最終道床横抵抗力(kN)

角折れ回数(回)

図-5 最終道床横抵抗力-角折れ回数関係

図-6 軌きょう引き試験装置概要

まくらぎ 載荷方向 ロード

セル

1007.4

163.7 163.7

970485485

単位(mm)

0 2 4 6 8 10

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0回 0回2

1回

水平荷重(kN)

まくらぎ水平変位(mm)

20回

図-7 荷重-水平変位関係

(軌きょう引き20mm)

0 10 20

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10

③(軌きょう内側)

①(軌きょう外側) 1本引き0回

最終道床横抵抗力 (kN)

角折れ回数(回) 0回2

図-8 最終道床横抵抗力-角折れ回数関係 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑1022‑

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参照

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