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MTT 施工可能な継目部角折れ防止グリッドマクラギの開発

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Academic year: 2022

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キーワード グリッドマクラギ,継目,角折れ,MTT

連絡先 〒331-8513 埼玉県さいたま市北区日進町2-479 JR東日本 テクニカルセンター 軌道高速化PT TEL048-651-2389

MTT 施工可能な継目部角折れ防止グリッドマクラギの開発

JR東日本 正会員 ○緒方政照 JR東日本 正会員 輪田朝亮 JR東日本 正会員 原田彰久

1.

概要

急曲線においてレール継目部では局所的な通り軌道 変位(角折れ)が発生しやすい.従来よりロングレール 化による継目部の溶接が進められているが,無道床橋り ょうの介在など,構造上の制約からロングレール化の条 件を満たせず,継目部を除去できない区間がある.

継目部の角折れ抑制には,軌道剛性強化や道床横抵抗 力を高めることが有効であるため,PC グリッドマクラ ギ(以下,「グリッドマクラギ)と記す)を開発した.

開発にあたり,道床厚さの確保が容易で低コストな座 面式パンドロール締結装置を採用し,かつ角折れが進み にくい構造とした.また軌道の保守管理の観点からマル チプルタイタンパ(以下,「MTT」と記す)によるつき 固め作業が可能な形状とした.

2.

これまでのグリッドマクラギと課題

すでに開発されているグリッドマクラギには,図-1の ような例がある.枠型の形状により軌道剛性の強化と道 床支持面積の拡大,および道床横抵抗力の増加が図られ,

軌道変位抑制が可能となっているが,従来のグリッドマ クラギにおける課題を以下に示す.

1)締結構造

タイプレート式締結構造に起因する課題がある.

①レール座面式締結と比較し,レール下面~マクラギ 下面間の距離が増すため,前後区間と同じ道床厚を 確保するには,軌道こう上が必要となる.(前後区間 の一般PCマクラギ区間が座面式締結のため)

②一般に,締結装置は,座面式と比較し,タイプレー ト式の方がコスト高となる.

2)MTTつき固め作業

従来のグリッドマクラギ箇所にMTT による総つき 固め作業を行うには以下の課題がある.

※以降において,グリッドマクラギの

・「縦梁」とは「レールと平行な梁部分」

・「横梁」とは「レールと直角となる梁部分」

の意味とする(図-2).

①横梁の外側に突き出した部分(以下,「翼部」と記す)

の突き出し幅が狭く,軌間外におけるMTTのタン ピングツールによる砕石のかき込み効果が小さい

(図-2).

②翼部の線路方向への幅が広いため,隣接するマクラ ギとの間隔が狭く,タンピングツールの挿入に支障 する(図-2).

③列車荷重による衝撃が最も大きい継目部直下に横梁 がなく,MTTによる砕石のかき込みができない.

3.

設計の考え方

1)締結装置

①前後区間のPCマクラギに合わせ,レール座面式パン ドロールとする.これによりグリッドマクラギ敷設時 に軌道こう上せずに従来の道床厚を確保できる.

②継目部に一般の横マクラギ3本が並べてある状態は,

マクラギが横方向に移動するため短波長の通り変位が 発生しやすい.これに対し,グリッドマクラギ上では,

締結装置が縦梁で固定されているため,継目部付近の 通り変位は,レールと締結装置間の公差程度に収まる.

そこで短波長の通り変位が現状以下となるようにグリ ッドマクラギの左右レールのパンドロール間隔の公差 を定めた.

図-1 従来のグリッドマクラギの例

横梁

縦梁 縦梁

横梁

図-2 従来のグリッドマクラギの例(本体部のみ)

:軌間外へのつき出し部(翼部)

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑177‑

Ⅳ‑089

(2)

0 1 2 3 4 5 6 7 8

0 10 20 30 経過日数

通り4m弦(㎜) 普通継目

グリッド マクラギ

2)MTT施工可能な形状

①翼部の突き出し幅

・MTTによるつき固めを効果的に行うには,翼部の突 き出し幅が,タンピングツールの横幅の93.5㎜以上 必要である(図-3).

・翼部の突き出し幅は長いほどMTT によるつき固め に有利なため,縦梁の幅を十分な断面性能と支持面 積が確保できる範囲で小さくする.

②翼部の線路方向長さ

・横梁と同じ幅とし,隣接マクラギとの間にタンピン グツールが挿入できるスペースを確保する.

③継目部の横梁

・継目部直下へも横梁を配置する.

以上の検討により,設計・試作し現場へ試験敷設した グリッドマクラギを図-4に示す.

4.

性能確認

試作したグリッドマクラギを新幹線・在来線直通区間 の急曲線(R=370m)継目部に試験敷設し,角折れ抑制 効果およびMTTつき固め施工性の検証を行った.

1)角折れ抑制効果

試験敷設したグリッドマクラギ箇所の継目部と,通り 整正した普通継目部の施工後の4m弦通り変位の推移を 図-5に示す.グリッドマクラギによる角折れ抑制効果が 確認できた.

2)MTT施工性および砕石かき込み状態

①図-6に示すように,軌間内外においてMTTのタンピ ングツールはグリッドマクラギ本体に支障することな く,つき固めを施工可能であることを確認した.

②グリッドマクラギ部のマクラギ下部に砕石がかき込ま れていることを確認するため,グリッドマクラギ敷設 箇所の横梁前後に着色したバラストを埋め込み,MTT つき固め後に掘り起こして,マクラギ下部を調査した.

その結果,図-7に示すように,マクラギ下へ砕石がか き込まれていることを確認した.

5.

まとめと今後の課題

今回開発したグリッドマクラギについて,短期的な角 折れ抑制効果とMTTによる総つき固め作業の施工性を 確認することができた.また締結装置をレール座面式と したことで,低コストで製作・施工が可能である.今後 は,角折れをはじめ長期的な軌道変位の推移を調査して いく必要がある.

【参考文献】

1)緒方政照,輪田朝亮:田沢湖線における急曲線継目部の グリッドマクラギ化,新線路,鉄道現業社,2011.5.

図-5 グリッドマクラギ敷設後の4m弦通りの推移

図-4 試験敷設したグリッドマクラギ

図-6 グリッドマクラギ部のMTTつき固め

図-7 MTTによる砕石かき込み状態の確認 図-3 グリッドマクラギ部のMTTつき固め

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

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Ⅳ‑089

参照

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