1.はじめに
CTや排泄性尿路造影などに使用されるヨード造影剤 として、非イオン性造影剤が使われるようになり25年が 経とうとしている。画期的な非イオン性造影剤が現れた 25年前の感動を、放射線科医の立場から述べてみたい。 第1の驚きは有害事象が劇的に減ったということであ る。イオン性造影剤を使用していたころは、造影剤を 注射したときに生じる嘔気・嘔吐・頭痛などの有害事象 が高頻度であったため、検査の現場では放射線科医や コメディカルが副作用の対応に追われていた。血管撮 影時に患者が熱感・疼痛のため、体を動かしたり声を上 げることもしばしばで、少しでも患者の負担を軽減す ることができないかと常に考えていた。非イオン性造 影剤であるイオパミロンを使用するようになり、これ らの有害事象は大幅に減少し、造影剤を使用する検査 を円滑に行えるようになった。これは医療現場で造影 剤を使用する機会の多い放射線科医にとって、大変あり がたいことであった。 第2の驚きは、排泄性尿路造影において前処置である 水分制限が不要になったことと尿路コントラストがよ くなったことである。以前は尿路の鮮明な画像を得るた め、水分制限が前処置として行われていた。安全性から 考えるとよい方法とはいえないが、イオン性造影剤では 高浸透圧利尿により尿中造影剤濃度が低下し尿路の造 影効果が落ちるため、それを防止する目的で患者を脱水 気味にしていたのである。非イオン性造影剤は浸透圧が 低く利尿効果が減少するため、尿中の造影剤濃度が高く 保たれることとなり水分制限は不要となった。コントラ ストの良好な尿路画像が得られるようになったのは、さ らなる恩恵であった。その排泄性尿路造影も近年では、 CT尿路造影に取って代わりつつあることに時代の流れ を感じる。2.造影CTの位置付け
近年、泌尿器領域の検査において、単純撮影や排泄性 尿路造影の臨床的意義は限られてきており、CTとMRI が画像診断の中心となっている。超音波は、スクリーニ ング検査として重要だが、質的評価に限界がある。 1.腎臓、腎盂、尿管 単純CTは、石灰化、脂肪の検出に有用である。結石 の診断には、単純ヘリカルCTが選択される。また、血 管筋脂肪腫の脂肪の検出に有用である。単純CTで診断 がつかない場合や十分な評価ができない場合に造影剤の 投与が必要となる。 腎臓の造影効果は造影剤投与開始からの時間で大き く異なり、四つの相に分けられる1)。3mL/secで注入 した場合には造影剤注入開始後、約15〜25秒後が動脈 相(vascular phase)になり、腎動脈の最も強い造影効果 が認められる。造影剤注入開始後30〜40秒後に皮髄相 (corticomedullary phase)が始まる。腎皮質の強い造影 効果が認められ、腎髄質は相対的に弱い造影効果を示 す。このときに腎静脈は最も強い造影効果を呈する。腎 実質相(nephrographic phase)は造影剤注入開始後80〜 120秒後に始まる。このときに腎実質は均一な造影効果 を示す。造影剤注入開始後180秒後に排泄相(excretory phase)が始まる。このときに腎盂、腎杯、尿管に造影剤 が排泄され、強い造影効果を呈する。6.泌尿生殖器領域
放射線科医の考え:後閑 武彦
1)症例報告:扇谷 芳光
1)検査依頼科医の考え:小川 良雄
2) 昭和大学医学部 放射線医学教室1),同 泌尿器科学教室2)第二部:造影CT検査が必要とされる症例
動脈相は、腎動脈瘤、腎血管性高血圧(腎動脈狭窄症)、 腎動静脈奇形、腎動静脈瘻、aberrant renal arteryによる 腎盂尿管移行部狭窄、腎移植、腎腫瘍などの腎動脈の評 価が必要な疾患に用いられる2)。CT angiographyは、こ の相の3Dデータから作成される。腎動脈瘤では瘤の形 状、頸部の状態、親動脈との関係を評価できる。腎動脈 狭窄では狭窄の性状とともに石灰化の有無も判断でき る。生体腎移植のドナーや腎腫瘍において腎動脈の数、 走行など腎血管解剖の評価が可能である。 皮髄相は、腫瘍のvascularityの評価に適している。腎 細胞癌の細胞型間で造影効果が異なり、淡明細胞癌では 皮髄相で強い造影効果を示す。嫌色素細胞癌の造影効果 はそれほど強くない。乳頭癌は、皮髄相で造影効果に乏 しく経時的に漸増することが多い3)。また、この相で、 腎細胞癌の偽被膜が同定できることがある。 腎実質相は、腫瘤性病変の同定に最も優れる。皮髄相 だけでは、多血性腫瘍と腎皮質とが区別できない場合や 髄質病変、腎盂腎炎についてもコントラストがつかずに 見逃される可能性がある。皮髄相では、下大静脈の層流 と腫瘍栓との区別が困難なことがある。 排泄相は、腎盂、腎杯、尿管の形態の評価が可能で、 腎盂、尿管腫瘍の描出、parapelvic cystと腎外腎盂の区 別などに用いられる。この相の3Dデータを用いて尿路 全体を描出した画像をCT urographyと呼ぶ4)。40歳以上 で、肉眼的血尿を呈するなど、尿路上皮癌の可能性が高 い場合には、CT urographyをfirst choiceの画像検査とし て用いることが推奨されている5)。 MRIは、ヨードアレルギーなどでヨード造影剤が使用 できない場合や小児などで被曝を避けたい場合に用いら れる。 2.副腎 多くの場合、単純CTで病変の有無の評価は可能であ る。造影dynamic CTは、腫瘍のvascularityの評価の参 考になるが、質的評価は困難なことが多い。 3.膀胱、前立腺 膀胱、前立腺といった骨盤内臓器は、呼吸性移動がな く、MRIでコントラストの明瞭な画像を得ることができ る。局所臓器における診断はMRIによってなされ、CTは、 全身の転移などの評価に用いられている。この場合、一 般に造影CTが施行されることが多い。
3.造影CTが有用であった代表症例
症例1 腎細胞癌:淡明細胞癌(renal cell carcinoma: clear cell carcinoma)
患者背景:60歳代の女性。左腰から下腹部にかけて疼 痛を認め、近医を受診した。左尿管結石疑いにて当院泌 尿器科に紹介となる。 考察:腎細胞癌は腎臓に発生する近位尿細管由来の腺 癌である。腎細胞癌は主として淡明細胞癌、乳頭状腎細 胞癌、嫌色素細胞癌に分類される。淡明細胞癌は、腎細 胞癌の70%以上を占める最も多い細胞型である。腫瘍 割面は淡明な細胞質が含有する脂肪、グリコーゲンを反 映し特徴的な黄色調を呈する。しばしば出血、壊死、硝 子変性、線維化、胞変性を伴う。腫瘍間質の血管は豊 富である。腫瘍は、膨張性に発育し偽被膜を有する。 淡明細胞癌は豊富な腫瘍血流を反映し造影CTで早期 濃染する。小さな腫瘍では腫瘍全体が濃染し、大きくな ると中心壊死を伴い辺縁部が濃染する。石灰化は10〜 15%にみられ、壊死部に出現する。造影dynamic CTで の腫瘍の造影効果を腎細胞癌の細胞型間で比較すると、 淡明細胞癌が最も高く、他の細胞型と有意差があったと 報告されている6)。 腎に発生する中等度から高度の多血性腎腫瘍が鑑 別の対象となる。特に脂肪の乏しい腎血管筋脂肪腫 (angiomyolipoma with minimal fat)やオンコサイトーマ との鑑別が問題となる。脂肪の乏しい腎血管筋脂肪腫 は、単純CTで比較的均一な高濃度を呈し、造影CTで内 部均一のことが多い7)。また、MRIのT2強調像で筋肉と 同程度の低信号を呈することが多い。このような場合、 腎血管筋脂肪腫を疑い、生検を行う。4cm以下のオン コサイトーマで、10例中8例にsegmental enhancement inversion(腫瘍の皮髄相で強く造影された部位が、早 期排泄相で弱く造影され、腫瘍の皮髄相で弱く造影され た部位が、早期排泄相で強く造影される所見)がみられ たと報告されている8)。大きなオンコサイトーマで特徴 的な中心瘢痕を持たず、内部不均一となった場合は、淡 明細胞癌との鑑別が難しい9)。 本症例(図1)では、単純CTのみでは病変の同定も困難 であった。造影dynamic CTを行うことで病変が同定で き、皮髄相で比較的強く造影されることから、淡明細胞 癌と組織型の診断も可能であった。
症例2 腎細胞癌:淡明細胞癌(renal cell carcinoma: clear cell carcinoma)
患者背景:50歳代の女性。頻尿を主訴に近医を受診し た。抗生剤を処方されるも症状の改善がなく、難治性膀 胱炎の疑いで当院泌尿器科に紹介となる。 考察:腎癌は容易に静脈内に浸潤し、腎静脈を経て下 大静脈内に腫瘍栓を形成するという特性を有する。静脈 進展の頻度は4〜10%とされ、腎静脈浸潤が最も多く、 下大静脈、右房の順で頻度が少なくなる。TNM分類で は、①腫瘍の浸潤範囲、②静脈内腫瘍栓の有無および進 展範囲、③リンパ節転移の有無、④遠隔転移の有無に よって進行期が決定されている。腎癌取り扱い規約(第 3版)で用いられているTNM分類(5th edition)では、pT3 は、「腫瘍は主静脈内に進展、または副腎に浸潤、また は腎周囲脂肪組織に浸潤するが、Gerota筋膜をこえない」 となっている。また、「腫瘍は腎静脈または横隔膜下ま での下大静脈内に進展する」場合は pT3b、「腫瘍は横隔 膜をこえる下大静脈内に進展する」場合は pT3cと分けら れている。腫瘍栓が横隔膜上に達すると開胸開腹手術と なり、人工心肺装置が必要となる場合があるため、臨床 上、T3bとT3cを正しく診断することは重要である。 腎静脈や下大静脈進展の評価には皮髄相、腎実質相、 排泄相を用いる。皮髄相では静脈内の造影剤が、不均一 で腫瘍栓の評価には注意を要する場合があり、腎実質相 などの多時相での対比が必要となる。また、遅い時相で は下大静脈内腫瘍栓は造影欠損域として認められ、静脈 内血栓と区別に迷うこともある。この場合、皮髄相や腎 実質相を参照することで腫瘍栓の造影効果が確認できれ ば、静脈内血栓と鑑別できる。MPR像は腫瘍栓の進展 範囲を明瞭にするのに役立つ。MDCTを用いた腫瘍栓 図1 症例1 A 腎部単純CT:右腎上極の一部が腹側に凸(矢印)に認められる. B 腎部造影CT(皮質相):右腎上極に腫瘤(矢印)が認められる.中央部は腎髄質と同程度, 辺縁部は腎皮質と同程度に造影される. C 腎部造影CT(実質相):右腎上極の一部が腹側に凸(矢印)に認められる. D 腎部造影CT(皮質相:MPR冠状断像): 右腎上極から上方に突出する腫瘤(矢印)が認 められる.辺縁部の造影効果は腎皮質と同程度で,中央部の造影効果は乏しい. C D A B
の評価に関しては、腎静脈内、横隔膜下の下大静脈、横 隔膜上の下大静脈と分けて診断したところ、25/27(93%) で正しく診断できたと報告されている10)。 本症例(図2)では、単純CTのみでは腫瘍栓の同定は困 難であった。造影dynamic CTを行うことで腫瘍栓が同 定でき、皮髄相で造影効果が認められ、血栓と区別可能 であった。 図2 症例2 A 腎部単純CT:右腎下極に約6cmの腫瘤(矢印)が認められる. B 腎部造影CT(皮髄相):右腎下極の腫瘤(矢印)は辺縁部を主体に強い造影効果が認められる. C 腎部造影CT(排泄相): 右腎下極の腫瘤(矢印)は皮髄相で強く造影された領域の多くはwashoutされている. D 腎部単純CT:右腎静脈はやや拡張してみられるが,内部に明らかな異常は同定できない. E 腎部造影CT(皮髄相):右静脈内部に強い造影効果が認められ,腎静脈腫瘍栓(矢印)と考えられる. F 腎部造影CT(腎実質相):腎静脈腫瘍栓は腎静脈と同程度に造影され,腎静脈腫瘍栓自体はほとんど同定できない. G 腎部造影CT(皮髄相:partial MIP):右腎下極の腫瘤から連続して,右腎静脈から下大静脈にかけて線状索状の造影効果(矢 印)が認められ,腎静脈腫瘍栓と考えられる. H 腹部造影CT angiography(動脈相):右腎下極にhypervascular tumorが認められる.この腫瘍と連続して,右腎静脈から 下大静脈にかけて線状索状の造影効果が認められ,腎静脈腫瘍栓(矢印)と考えられる. D E A B F C G H
症例3 腎動静脈瘻(renal arteriovenous fistula) 患者背景:30歳代の女性。赤ワイン様の血尿と右背部 痛を主訴に当院救急外来を受診した。 考察:腎動静脈瘻は比較的稀な疾患で、先天性、後天 性、特発性に分けられる。多く(70%)は医原性で腎生検、 外傷、炎症、悪性腫瘍、手術によって生じる11)。先天性 は20%程度とされ、一般にcirsoidの形態を示す。後天 性または特発性では、通常、aneurysmalの形態を呈する。 Cirsoid typeの腎動静脈瘻は、毛細血管を経ずにnidus と呼ばれる拡張、屈曲、蛇行した異常血管を介して動 脈と静脈が短絡を形成している。症状は肉眼的血尿で、 腎孟腎杯の移行上皮粘膜下に拡張した血管が認められる。 30〜40歳代に多く、男女比は1:2で、右腎に多いとされ る12)。 グレイスケール超音波検査でcirsoid typeの腎動静脈 瘻はcystic echoの集族として認められることがある。カ ラードプラ法超音波検査は、腎動静脈瘻の検出および 胞との鑑別に有用とされる。造影マルチスライスCT動 脈相は、cirsoid typeの腎動静脈瘻を描出しうる13)。特 に膀胱内に血塊が貯留し、水腎症をきたしている場合に は、腎皮質の造影効果の遅延が認められ、腎動静脈瘻の 描出を容易にする。 本症例(図3)では、単純CTのみでは腎動静脈瘻の同定 は困難であった。造影dynamic CT動脈相を撮影するこ とで腎動静脈瘻が明瞭に同定することができた。また、 CT angiographyは、腎動静脈瘻の塞栓術の治療計画に 有用と考えられた。 図3 症例3 A 腎部単純CT:右腎盂の軽度拡大が認められる. B 腎部造影CT(動脈相):軽度拡大した右腎盂周囲に動脈と同程度に造影される異常血管(矢印)が認められる. C 腎部造影CT(皮髄質相):右腎盂周囲に異常血管(矢印)は腎皮質よりやや淡く造影されている. D 腎部単純CT(MPR冠状断像):右腎盂の軽度拡大が認められる. E 腎部造影CT(動脈相:MPR冠状断像):軽度拡大した右腎盂外側に強く造影される異常血管(矢印)が認められる. F 腎部造影CT(皮髄相:MPR冠状断像):右腎盂周囲に異常血管(矢印)は腎皮質よりやや淡く造影されている. D E A B F C
図3 症例3
G 腎部造影CT angiography(動脈相:MIP):右腎動脈から異常血管(矢印)を介し,腎静脈が早期に描出されている. H 右腎動脈造影:右腎下極に異常血管(矢印)が認められ,腎静脈が早期に描出されている.
造影CTが導入された当初に泌尿器科医に与えたイン パクトは大きなものであった。それまでは泌尿器系のX 線画像診断といえば、腎尿管膀胱単純撮影(KUB)と排 泄性尿路造影(IVP)が主体であり、さらに泌尿器科特有 の逆行性尿道造影(CUG)と逆行性腎盂造影(RP)であっ た。外尿道口からの逆行性操作は麻酔をしても痛くつ らいものであり、患者からは泌尿器科の検査は苦痛を 伴い、怖いものとされていた。だから、われわれ泌尿 器科医は、まず患者の恐怖心を取り除くことから検査 をしなければならなかった。CT、さらに造影CTの出現 で従来の検査は激減し、また情報量の多さは膨大なも のとなったため、患者にとっては福音であった。 従来、単純撮影での腎の輪郭や石灰化や僅かなコ ントラストの差で種々の鑑別診断を行い、IVPでは腎 杯、腎盂、尿管の造影での微細な変化を見逃すまいと 集中した。それでも腎実質の評価は望むべくもなかっ た。腎腫瘤性病変では胞と腎盂癌、腎細胞癌を診断 するためには、IVPを施行し、腎輪郭の変形や集尿系へ の浸潤像、圧排像にて鑑別した。さらに、血管造影の Hypervascularity像から術前の確定診断と血管の状態を 評価した。 造影CTは患者が受ける侵襲が格段に軽減されただけ でなく、腎の腫瘍の性状、さらに血管の走行を描出し、 1回の検査で確定診断をつけることを可能にした。そし て3Dの構築による血管の立体構造まで描出されたとき には、複雑な血管走行している手術困難症例の術前の 手術手技シミュレーションまでできるようになり、一 段と時代の進歩を実感した。造影CTは良性疾患におい ても、画期的な情報を与えた。急性腎盂腎炎の診断は IVPではまず不可能であった。従来、臨床症状と尿所見 から診断していたが、造影CTは感染した部位だけでな く、巣状感染かびまん性感染かをも明らかにした。 今後さらに望むことは、画像の質的診断能力を高め ることである。現在でも腎細胞癌では淡明細胞癌とそ の他の癌との鑑別はできるのだが、ときに脂肪成分の 少ない血管筋脂肪腫との鑑別が難しい。またBosniak Ⅳで腎摘した症例が良性であったこともあることから、 嚢胞性腎癌とBosniakⅢ、Ⅳとの確実な鑑別も期待する ところである。 CT尿路造影は逆行性尿路造影の頻度を大幅に減らし、 泌尿器科に来る患者を大いに安心させた。尿路結石症 や尿管腫瘍での、さらなる空間分解能の向上を期待す る。腎盂尿管移行部狭窄症では狭窄部の微細構造、尿 管と異常血管との交差状態の3Dが手術法の選択に有用 となる。 骨盤内臓器の描出は、現時点ではMRIには及ばない が、膀胱全摘術や前立腺全摘術をする上で、3Dの立体 像があると手術のアプローチに役に立つ。特に骨盤内 リンパ節の血管走行に対する分布を立体的に把握でき れば、拡大リンパ節郭清術の有力なナビゲーションと なろう。 次に望むことは副作用の低減である。福島原発事故以 来、患者はさらに放射線被曝に過敏になっている。患者 が得られるベネフィットは、放射線による発がんリスク のごくわずかな上昇よりはるかに大きいが、被曝は少 量に越したことはなく、装置の技術的発展を期待する。 もう一つは造影剤副作用の低減である。ヨード系造 影剤が使用されてから非イオン性造影剤検査中の吐 き気や嘔吐などは大幅に減少した。しかしながら、一 週間以内の遅延性の発疹、ごくわずかだが喘息の誘発 やアナフィラキシーも認められる。ヨード系造影剤の 改良もしくは新たな造影剤の開発により、その副作用 の低減と、さらに腎機能低下患者、喘息患者、糖尿病 患者においても使用できる薬剤が望まれる。現在使わ れている造影剤は高価であるため、患者の経済状態に よっては使用を躊躇することもある。より有用で低廉 な造影剤が開発されることが期待される。 以上のように泌尿器科医としては造影CTに十分な恩 恵を受けているが、さらなる技術、および診断能力の 向上を期待している。
4.造影CTの位置付け
ー造影CTに泌尿器科医が望むことー
小川 良雄
昭和大学医学部 泌尿器科学教室【参考文献】 1)Sheth S, Fishman EK:Multi-detector row CT of the kidneys and urinary tract;techniques and applications in the diagnosis of benign diseases. Radiographics 24:e20, 2004 2)Kawashima A, Sandler CM, Ernst RD, et al:CT Evaluation of Renovascular Disease1. Radiographics 20:1321-1340, 2000 3)Jinzaki M, Tanimoto A, Mukai M, et al:Double-phase helical CT of small renal parenchymal neoplasms;correlation with pathologic findings and tumor angiogenesis. J Comput Assist Tomogr 24:835-842, 2000 4)Kawashima A, Vrtiska TJ, LeRoy AJ, et al:CT urography. Radiographics 24:S35-54, 2004 5)Van Der Molen AJ, Cowan NC, Mueller-Lisse UG, et al: CT urography;definition, indications and techniques. A guideline for clinical practice. Eur Radiol 18:4-17, 2008 6)Kim JK, Kim TK, Ahn IJ, et al:Differentiation of subtype of renal cell carcinoma on helical CT scans. Am J Roentgenol 178:1499-1506, 2002 7)Jinzaki M, Tanimoto A, Narimatsu Y, et al:Angiomyolipoma; imaging findings in lesions with minimal fat. Radiology 205:497-502, 1997 8)Kim JI, Cho JY, Moon KC, et al:Segmental enhancement inversion at biphasic multidetector CT;characteristic finding of small renal oncocytoma. Radiology 252:441-448, 2009 9)Davidson AJ, Hayes WS, Hartman DS, et al:Renal oncocytoma and carcinoma;failure of differentiation with CT. Radiology 186:693-696, 1993 10)Stern Padovan R, Perkov D, Smiljanic R, et al:Venous spread of renal cell carcinoma;MDCT. Abdom Imaging 32:530-537, 2007 11)Khawaja AT, McLean GK, Srinivasan V:Successful inter-vention for high-output cardiac failure caused by massive renal arteriovenous fistula;a case report. Angiology 55:205-208, 2004 12)Messing E, Kessler R, Kavaney PB:Renal arteriovenous fistulas. Urology 8:101-107, 1976
13)Dönmez FY, Co kun M, Uyu ur A, et al:Noninvasive imaging findings of idiopathic renal arteriovenous fistula. Diagn Interv Radiol 14:103-105, 2008