保 険 代 位 の 法 的 性 質
―
― な ぜ 保 険 者は 権 利 を 取 得 す る のか
―
―
桜 沢 隆 哉
一 問 題 の 所 在
第 三 者 の 不法 行 為 に よっ て 被 保 険 者が 損 害 を 被り
、 か つ 当 該事 実 が 同 時に 保 険 事 故 にも 該 当 す ると き に は
、被 保 険者
( 被 害 者) は 第 三 者 に対 す る 損 害賠 償 請 求 権と と も に
、 保険 者 に 対 する 保 険 金 請 求権 が 発 生 する が
、 こ のと き 被 保 険 者 が 保 険 金 の 支 払 を 受 け た 場 合 に は
、 こ の 者 の 第 三 者 に 対 し て 有 す る 損 害 賠 償 請 求 権 は ど う な る の だ ろ う か。 こ の 点 につ き
、 保 険 法二 五 条
( 旧商 法 六 六 二 条) は
、 保 険者 が 被 保 険者 に 対 し て 保険 金 の 支 払を し た と き は、 保険 者 は そ の支 払 っ た 金 額の 限 度 に おい て 被 保 険 者が 第 三 者 に対 し て 有 する 債 権 を 取 得す る 旨
― 保険 代 位 な い し請 求権 代 位
― につ い て 規 定 して い る
。 い う ま で もな く こ の 保 険代 位 と い う制 度 が
、 現 在の 保 険 実 務に お い て
、極 め て 有 益 な制 度 と し てそ の 機 能 を 果た して い る と いう こ と は 明 らか で あ る
。と こ ろ が
、 この 制 度 が 認め ら れ て い る理 論 的 な 前提 と し て
、い わ ば 当 然 のこ 保 険 代 位 の 法 的 性 質
(都 法 五 十 一
―
二
) 一 九 三
とと し て 理 解さ れ て い るい く つ か の 要請 を 個 々 に分 析 を し て みた 場 合 に は、 必 ず し も 疑問 の 余 地 がな い と は 言い 切 れな い よ う に思 わ れ る
。 従 来 か ら
、こ の 制 度 が
、 漓被 保 険 者の 利 得 禁 止及 び 滷有 責 第三 者 の 免 責阻 止 と い う 機能 を 有 す ると い う こ とに つ いて は 異 論 がな い
。 し か し、 澆保 険 金を 支 払 っ た保 険 者 が な ぜ被 保 険 者 の有 責 第 三 者 に対 す る 損 害賠 償 請 求 権を 取 得す る の か とい う こ と に つい て は 争 いが あ る(1)
。 確か に
、 保 険 制度 を 利 用 し、 第 三 者 に 対す る 損 害 賠償 請 求 権 をあ わ せて 取 得 す るこ と に よ っ て被 保 険 者 が利 得 す る とい う こ と は 望ま し い こ とで は な く
、 また
、 そ う であ る か ら とい っ て第 三 者 は
、被 保 険 者 が 保険 金 の 支 払に よ っ て 補償 さ れ た 結 果と し て
、 免責 さ れ て し まう と い う ので あ れ ば
、不 法 行為 制 度 の 趣旨 に も 反 し 妥当 で は な いで あ ろ う
。そ も そ も 民 法上 の 賠 償 者代 位(2)
( 民 法四 二 二 条
) や他 人 の 債 務の 弁 済者 に よ る 代位(3)
( 弁 済 者代 位
。 民 法 五〇
〇 条
) が、 そ の 債 務 を履 行 し た 者が 代 位 を す るこ と に よ り、 そ の 賠 償権 利 者ま た は 本 来の 債 務 者 の 利得 を 排 除 する と い う 点で
、 そ こ に は十 分 な 理 論的 根 拠
・ 前 提が あ る よ うに 思 わ れ る。 そ れに 対 し て
、保 険 料 と い う対 価 を 得 て、 保 険 を 引き 受 け て い る保 険 者 が
、そ の 自 己 の 債務 を 履 行 した だ け で ある に もか か わ ら ず、 な ぜ 被 保 険者 の 第 三 者に 対 し て 有す る 損 害 賠 償請 求 権 を も取 得 す る の かと い う 点 につ い て は
、 説得 力の あ る 根 拠を 見 出 す こ とが 難 し い
。 こ の 点 に つい て(4) は
、 結局 の と こ ろ
、 漓被 保 険 者の 利 得 禁 止 及び 滷有 責 第三 者 の 免 責 阻止 と い っ た目 的 を 実 現す る ため に は
、 いき ど こ ろ の ない 損 害 賠 償請 求 権 を 保険 者 に 移 転 させ る こ と は公 序 政 策 上 やむ を 得 な い
( 5
、)
ま た は それ が 衡平 で あ る(6)
、あ る い は いわ ゆ る 不 確 定損 害 肩 代 わり 説 の 立 場(7) から
、 保 険 者へ の 権 利 移 転は
、 当 事 者の 合 理 的 意思 に 基づ く(8) と い った 説 明 が なさ れ て い る
。い ず れ に して も
、 保 険 代位 が 成 立 して い る そ の 制度 的 背 景 につ い て は
、実 務 上の 具 体 的 な姿 が 先 行 し
、い わ ば 目 的論 的 な い しは 帰 納 的 な 方法 で そ う した 説 明 が な され て い る とも い え る であ ろ
一 九 四
う
( 9
。)
そ の 意 味で
、 こ の 制度 が
、 法 理 論上
、 正 当 な根 拠 を 有 す るも の な の か否 か と い う 点に つ い て は疑 問 が 生 じう る とこ ろ で あ る。 そ こ で 本 稿で は
、 フ ラ ンス に お け る判 例
・ 学 説に お け る 議 論を 中 心 と して
、 保 険 代 位の 根 拠 に つい て 検 討 した い と思 う
。 諸 外国 で は
、 二
〇世 紀 初 頭 には す で に 保険 代 位 に つ いて 立 法 的 解決 が は か ら れて き た が
、フ ラ ン ス にお け る立 法 的 解 決は 諸 外 国 の それ に お く れ、 一 九 三
〇年 法 の 制 定 をみ る ま で
、判 例
・ 学 説 にお け る 議 論に も っ ぱ ら 委ね られ て き た
。そ の た め か
、判 例
・ 学 説上 な ら び に 実務 に お い ても
、 さ ま ざま な 工 夫 が 案出 さ れ
、 理論 の 構 築 が なさ れて お り
、 やや 古 い 話 で はあ る が
、 その 議 論 の 変 遷・ 経 緯 を たど る こ と は、 決 し て 無 意味 な こ と では な く
、 む しろ 有 益 な 示 唆 を 与 え て く れ る も の と 考 え ら れ る
。 そ し て
、 こ の こ と は
、 保 険 代 位 の 根 拠 を 明 ら か に す る に と ど ま ら ず、 被 保 険 者に 保 険 金 と 損害 賠 償 金 の重 複 取 得 を 認め る の か
―利 得 禁 止 原 則と の 関 係
―、 お よ び それ と 表 裏 の 関係 にあ る
、 損 害 保険 契 約 に おけ る 損 害 補 契 約 性 とは 何 か
― 損 害保 険 契 約 の本 質
― に つ いて 解 明 す るた め の 手 かが り を提 供 し て くれ る も の と 考え て い る
。
二 フ ラ ン ス に お け る 保 険 代 位 の 展 開
︵一︶総説
保 険 代 位 の法 的 性 質 に関 す る 議 論 につ い て は
、フ ラ ン ス に おけ る 立 法 及び 解 釈 論 の 展開 が 参 考 にな る
。 フ ラン ス にお い て は
、一 九 三
〇 年 七月 一 三 日 の法 律 に よ って 制 定 さ れ た保 険 法 典 に至 る ま で
、 保険 代 位 に 関す る 立 法 が存 在 せず
、 理 論 的な 展 開 は
、 学説
・ 判 例 に任 さ れ て いた た め で あ る。 ま た
、 一九 三
〇 年 法 では
、 損 害 保険 に つ い ては 原 保 険 代 位 の 法 的 性 質
(都 法 五 十 一
―
二
) 一 九 五
則と し て 保 険者 の 代 位 を認 め て い た が、 他 方 で 人保 険 に つ い ては
、 保 険 者の 代 位 を 認 めな い 旨 を 規定 し て い た
( 10
。)
と ころ が
、同 法 の 適用 範 囲 は
、陸 上保 険 に 限 定 され て お り1()1
、同 法か ら 適 用 を除 外 さ れ た 海上 保 険
、河 川保 険
、再 保険
、 労働 災 害 保 険、 信 用 保 険に つ い て は
、保 険 者 が 保険 事 故 の 発 生に 有 責 の 第三 者 に 対 し て、 民 法 典 一二 五 一 条 三号 に 基づ く 法 定 代位 の 利 益 に 与れ る か と いう 点 を 中 心に 議 論 が 展 開さ れ て き た
( 12
。)
当 初
、 保険 者 は
、 海 上保 険 に す でに 存 在し て い た 慣習 に 基 づ いて 保 険 者 の 代位 権 の 主 張を し て い た が、 民 法 典 制定 以 後 は
、 民法 典 に お ける 代 位 の 規定 に 基づ い て
、 その 主 張 を し てい く こ と にな る
。 と いう の も
、 海 上保 険 が 古 くか ら 行 わ れ てい た の に 比べ て
、 陸 上保 険 が盛 ん に 行 われ る よ う に なっ た の は
、民 法 典 制 定以 後 の こ と であ り
、 そ のた め
、 陸 上 保険 の 発 達 は海 上 保 険 にお け る慣 習 や 実 務に 遅 れ を と って い た た めで あ る
。
︵二︶海上保険における慣習
と こ ろ で
、こ う し た 議 論は
、 海 上 保険 に お い て すで に 代 位 の慣 習 が 伝 統的 に 存 在 し てお り1()3
、 そ の海 上 保 険 にお け る保 険 代 位 制度 の 慣 習 を陸 上 保 険 に つい て も 適 用す る こ と を 認め る べ き かど う か と い うこ と か ら 始ま っ た1()4
。 海上 保 険の 起 源 は
、 ロ ー マ 法 に お け る 海 上 貸 借
(
Nauticus Faenus
) に ま で 遡 る こ と が で き る と い わ れ て い る が
、 近 代 的 な意 味 に お ける 保 険 契 約 の不 可 欠 な 要素 が 統 一 され た の は
、 一四 三 五 年 の
Barcelone
条例 で あ る と され
、 フ ラ ンス にお い て は 一五 三 九 年 の
Guidon de la Mer
で ある と さ れ て いる1()5
。 フ ラ ンス で は
、 当 時、 海 上 保 険が 損 害 補契 約 性を 有 す る もの で あ る と考 え ら れ て おり
、 そ う した 慣 習 の 現 れと し て
「 被保 険 者 は
、 第三 者 に 対 して 訴 権 を 行使 す る権 利 を 有 する が
、 被 保 険者 自 身 が それ を 行 使 する こ と は で きず
、 こ の 権利 は 当 然 に 保険 者 に 移 転す る
」 と いう 慣 習が 存 在 し てい た1()6
。 そ して
、 そ の 数 世紀 後 に な り、 陸 上 保 険 が本 格 的 に 登場 す る こ と にな る の だ が、 こ の 陸 上保 険
一 九 六
者は
、 海 上 保険 の 伝 統 的な 慣 習 と し て定 着 し て いた 代 位 制 度 を受 け 継 ぐ こと と な っ た1()7
。 こ の 海 上 保険 か ら 受 け継 い だ 慣 習
―保 険 契 約 の損 害 補 契 約性
― は
、 ある 被 害 者
( 被保 険 者
) が保 険 契 約 に基 づ き保 険 者 か ら給 付 さ れ る 保険 金 と
、 不法 行 為 に 基づ き 有 責 第 三者 に 対 し て請 求 し う る 損害 賠 償 金 を重 畳 的 に 取得 す るこ と で
、 損害 発 生 前 よ りも 有 利 な 地位 に お か れて は な ら な いと い う こ とを 要 請 し
、 他方 で
、 損 害発 生 に 有 責の 第 三者 は
、 被 害者 が こ の よ うな 場 合 に 備え て 保 険 契約 を 締 結 し てい た か ら とい っ て
、 そ の帰 責 事 由 の結 果 を 免 れる と する の は 不 合理 で あ る1()8
。そ こ で
、 衡 平の 見 地 か ら、 本 来 の 損 害賠 償 金 の 債務 者 で あ る 保険 事 故 の 発生 に 有 責 の第 三 者 に 代 わ っ て 保 険 金 を 支 払 っ た 保 険 者 に
、 こ の 金 額 の 返 還 を 求 め る 手 段 が 用 意 さ れ た も の と さ れ て い る1()9
。 こ う し て、 海 上 保 険に お け る 慣習 を 陸 上 保 険者 が 受 け 継ぐ こ と を 主 張し
、 さ ら には
、 法 定 代 位の 根 拠 を 民法 典 一 二 五一 条 三号 に 基 づ き主 張 し て い くこ と と な る
( 20
。)
︵三︶陸上保険者による法定代位の主張
上 記 の と おり
、 海 上 保険 に お い て 認め ら れ て いた 慣 習 を 受 け継 い だ 陸 上保 険 者 は
、 民法 典 一 二 五一 条 三 号 を根 拠 に法 定 代 位 の主 張 を 繰 り 広げ て い く こと と な る
。そ も そ も
、 海上 保 険 に おけ る 慣 習 や 立法 が 先 行 し、 陸 上 保 険に お ける 発 展 は 海上 保 険 の そ れに お く れ
、民 法 典 の 制定 以 後 に な ると い う こ とを 考 え れ ば
、海 上 保 険 の慣 習 を 受 け継 い だ陸 上 保 険 者が 民 法 典 の 規定 を 根 拠 に主 張 を す るの も ご く 当 然の こ と で あろ う
。 と こ ろ で
、有 責 の 第 三 者に 対 し て 法定 代 位 の 主 張 し た 陸 上 保 険 者 が 根 拠 と し た 民 法 典 一 二 五 一 条 は
、「 代 位 は、 以下 の 者 の ため に 法 律 上 当然 に 生 ず る
。」 と 規 定 し、 同 条 三 号 に お い て
「他 の 者 と と も に
、 ま た は 他 の 者 の た め に 債務 の 弁 済 につ い て 義 務 を負 い
、 そ れを 弁 済 す る 利益 を 有 す る者
」 と 規 定す る
。 す な わち
、 海 上 保険 で は
、 保 険者 保 険 代 位 の 法 的 性 質
(都 法 五 十 一
―
二
) 一 九 七
は加 害 者 と 共同 債 務 者 たる 地 位 に あ ると さ れ て おり
、 こ の 資 格に お い て
、債 権 者 た る 被害 者
( 被 保険 者
) に 対し て 保険 金 債 務 の履 行 を し た 保険 者 は
、 加害 者 に 対 する 代 位 権
( 被保 険 者 の 損害 賠 償 請 求 権) を 取 得 する も の と 考え ら れて い た の であ る2()1
。 判 例 は
、 当初
、 こ の よう な 陸 上 保 険者 の 主 張 に賛 成 し て い たが
、 そ の 後、 破 毀 院 一 八二 九 年 三 月二 日 の 判 決
( 22
は)
、 次の よ う に 述べ て
、陸 上 保 険 者 の主 張 を 否 定し た
。「 民 法典 一 二 五 一条 第 三 号 は
、そ の 目的 も し く は原 因 に お いて
、 同一 か つ 共 通の 債 務 の 存 在を 予 定 し てお り
、 他 人の 債 務 を 支 払っ た 者 に 代位 の 権 利 を 認め て い る
。…
… 保 険 者は
、 加害 者 と 共 同し て
、 あ る いは 加 害 者 のた め に 保 険金 を 支 払 っ たの で は な く、 自 ら が 保 険契 約 に 基 づい て 負 う 契約 上 の 債 務 で あ り
、 被 害 者 に 対 し
、 有 責 第 三 者 の 負 担 す べ き 不 法 行 為 法 上 の 債 務 と は
、 相 互 に 全 く 異 な る も の で あ っ て、 両 債 務 の間 に は 関 連 性が な い
。」 と し た
。す な わ ち
、民 法 典 一 二 五 一 条 三 号 の 文 理 解 釈 か ら
、保 険 者 は、 同 条 所 定 の 要 件 を 満 た し て お ら ず、 法 定 代 位 の 利 益 に 与 る こ と が で き な い と さ れ た の で あ る
( 23
。)
こ の 判 決 以 降
、 破 毀 院 は、 陸 上 保 険者 が 民 法 典民 法 典 一 二 五一 条 三 号 に基 づ く 法 定 代位 の 主 張 を否 定 す る 立 場を と り 続 ける こ と と なる2()4
。 一方 で は
、 民法 典 一 二 五一 条 三 号 に 基づ く 法 定 代位 の 主 張 が 否定 さ れ た こと に よ り
、 陸上 保 険 者 に実 務 上
、 約定 代 位条 項 を 保 険契 約 へ 挿 入 させ る と い う工 夫 と
、 裁判 上
、 保 険 者に よ る 自 己固 有 の 損 害 賠償 請 求 権 の主 張 す る とい う 結果 を も た らす こ と に な った2()5
。
︵四︶約定代位条項︱訴権譲渡条項︱
民 法 典 一 二五 一 条 三 号に 基 づ く 代 位の 主 張 を 否定 さ れ た 陸 上保 険 者 は
、保 険 証券 に 約 定 代 位条 項(
clause subro-
gatoire
) を 組み 込 む こ と によ り
、 約 定代 位 権 を 被 保 険 者 か ら 取 得 し
、 法 定 代 位 と 同 様 の 主 張 が で き る よ う に し て
一 九 八
いた2()6
。 同 条 項は
、 次 の よう に 規 定 さ れ て い た
。 す な わ ち
、「 本 保 険 証 券 の 存 在 の み を 理 由 と し て
、ま た
、 何 ら の 特 別の 譲 渡 ま たは 移 転 行 為 を必 要 と せ ずし て
、 保 険会 社 は
、 被 保険 者 が
、 その 資 格 及 び 原因 の い か んを 問 わ ず
、事 故 につ き
、 担 保し ま た は 賠 償責 任 を 負 うす べ て の 者、 お よ び も し必 要 の あ ると き は そ の 保険 者 に 対 して 有 す る すべ て の権 利
、 請 求権 お よ び 訴 権に つ い て 代位 す る
。 被保 険 者 は
、 明示 的 に こ の代 位 を 承 諾 し、 必 要 が ある と き は 保 険金 の支 払 い の 際に 公 正 証 書 また は 私 書 証書 に よ っ て そ れ を 再 度 繰 り 返 す 義 務 を 負 う も の と す る2()7
。」 と
。 こ の 約 定 代 位 条 項 は
、民 法 典 一 二 五
〇 条 一 号 を 根 拠 と し て い た
。同 条 は、
「 こ の 代 位 は、 以 下 の 場 合 に は 合 意 に よ る
。」 と 規 定 し、 同 条 一 号は
「 第 三 者か ら 弁 済 を 受領 す る 債 権者 が
、 そ の 者を 債 務 者 に対 す る 自 己 の権 利
、 訴 権、 先 取 特 権ま た は抵 当 権 に つい て 代 位 さ せる と き
。 ただ し
、 こ の代 位 は 明 示 的で か つ 弁 済と 同 時 に 行 われ な け れ ばな ら な い
」と 規 定し て い た
。も っ と も
、 この 場 合 に は、 最 終 的 な主 た る 債 務 者で あ る 第 三者 に よ り
、 そも そ も こ こに い う 弁 済の 発 生原 因 が
、 他人 の 債 務 の 消滅 で は な く、 保 険 契 約に 基 づ く 履 行と し て 支 払わ れ る 保 険 金で あ る と して
、 批 難 の対 象 とさ れ る 可 能性 の あ る も ので あ っ た2()8
。す な わ ち
、フ ラ ン ス 民 法典 が 定 め てい る の は
、 第三 者 か ら 債権 の 支 払 を受 け た債 権 者 が
、そ の 債 務 者 に対 す る 権 利を 第 三 者 に取 得 さ せ る ため に は
、 支払 と 同 時 に なさ れ る 必 要が あ る こ とを 規 定し て い た ため
、 保 険 者 によ る 保 険 金の 支 払 は
、他 人 の 債 務 の支 払
( 履 行) で は な く
、契 約 に 基 づく 保 険 者 自身 の 債務 の 履 行 であ っ た こ と から
、 民 法 典の 規 定 と は明 ら か に 矛 盾す る と い うも の で あ る2()9
。 し か し
、 前出 の 一 八 二九 年 三 月 二 日の 破 毀 院 判決 は
、 陸 上 保険 者 の 法 定代 位 を 否 定 して い た も のの
、 民 法 典の 定 める 代 位 と 保険 者 の 代 位 とは
、 別 個 のも の で あ ると い う こ と を明 ら か に して い た た め
、破 毀 院 の 立場 と し て は、 結 果的 に
、 こ の条 項 の 名 称 いか ん に 関 わ ら ず に、
「 債 権
( 訴 権
) 譲 渡 条 項
」と 解 す る 立 場 を 採 る こ と に よ っ て、 陸 上 保険 者 に 約 定代 位 権 を 認 めた の で あ る
( 30
)
( 31
。)
保 険 代 位 の 法 的 性 質
(都 法 五 十 一
―
二
) 一 九 九
と こ ろ で、 こ の 約 定 代 位 条 項 は
、 民 法 典 一 六 九
〇 条 の 定 め る 約 定 代 位 で は な く
、 債 権 譲 渡 条 項 と 解 し た こ と か ら、 そ の 行 使条 件 等 は
、 債権 譲 渡 の 一般 原 則 に した が う も の とさ れ た3()2
。 そし て
、 こ の 民法 典 に お ける 約 定 代 位と 債 権譲 渡 と で は、 効 果 に つい て つ ぎ の 点で 違 い が みら れ る
。 す なわ ち
、 約 定代 位 で あ る 場合 に は
、 保険 者 が 保 険金 の 支払 を し た 後に の み
、 ま た支 払 保 険 金額 の 限 度 にお い て の み
、被 保 険 者 の第 三 者 に 対 する 権 利 に 代位 す る こ とが で きる
。 そ れ に対 し て
、 債 権譲 渡 で あ る場 合 に は
、特 約 の な い かぎ り
、 被 保険 者 の 第 三 者に 対 す る 権利 が 発 生 した 以 上 は、 保 険 金 の 支 払 前 で あ っ て も
、 保 険 者 が 被 保 険 者 の あ ら ゆ る 権 利 を 行 使 し う る こ と に な る
( 33
。)
こ の よ う な 差 異 は、 そ も そ も契 約 当 事 者の 意 思 と は 合致 せ ず
、 しか も
、 保 険 者に 有 利 な 結果 と な っ て しま う
。 そ こで
、 債 権 譲渡 条 項 も、 約 定 代 位 と 同 様 に
、保 険 者 が 保 険 金 の 支 払 を な す こ と を 条 件 と し て
、 そ の 支 払 保 険 金 額 の 限 度 に お い て の み、 被 保 険 者の 第 三 者 に 対し て 有 す る権 利 を 移 転す べ き で あ ると い う 指 摘が な さ れ て いた3()4
。
︵五︶保険者による固有請求権理論
他 方 で
、 一八 二 九 年 三月 二 日 の 破 毀院 判 決 は
、保 険 者 が 自 己固 有 の 権 利と し て
、 有 責第 三 者 に 対す る 損 害 賠償 請 求権 を 行 使 する 余 地 が あ るこ と を 示 唆し て い る
。す な わ ち
、 同判 決 は
、 陸上 保 険 者 が 損害 発 生 に 有責 の 第 三 者に 求 償権 を 行 使 する に あ た り
、民 法 典 一 二五 一 条 三 号を 根 拠 と し て陸 上 保 険 者の 法 定 代 位 の主 張 を す るこ と が 妥 当で な い旨 を 述 べ たに 過 ぎ ず
、 保険 者 が 加 害者 に 対 し て、 求 償 権 を 行使 す る こ とが で き る と いう こ と ま では 完 全 に 否 定し ては い な い
。む し ろ 同 判 決は
、 よ り 積極 的 に
、 陸 上保 険 者 は
、民 法 典 一 三八 二 条 お よ び一 三 八 三 条の 不 法 行 為 に関 する 規 定 に 基づ い て 自 己 固有 の 損 害 賠償 請 求 権 を 有す る 可 能 性が あ る 旨 を示 し て い る ので あ る3()5
。 それ 以 降
、 第三 者 の 責 任 に よ っ て 生 じ た 保 険 事 故 に よ り
、 保 険 金 の 支 払 義 務 を 負 う 保 険 者 は
、「 他 人 に 損 害 を 生 ぜ し め た 者 の 行 為
二
〇
〇
は、 そ れ が いか な る も ので あ っ て も
、す べ て 帰 責 事 由
(
faute
) に よ っ て そ れ を も た ら し た 者 が
、 賠 償 す べ き 義 務 を負 う も の とす る
。」 と 定め る 民 法 典一 三 八 二 条 を根 拠 と し て求 償 権 を 行 使す る こ と にな っ た の であ る
。 こ う し た 解釈 は
、 損 害 保険 契 約 の
「損 害 補 契約 性
」 が 当 然の よ う に 認め ら れ て い た当 時 か ら は、 保 険 者 によ っ て保 険 金 の 支払 い を 受 け た被 害 者
( 被保 険 者
) が、 保 険 事 故 発生 に 有 責 の第 三 者 に 対 する 責 任 を も追 及 す る こと に よっ て
、 二 重の 補 償 を 受 ける こ と を 避け る べ き であ る と 主 張 する 学 説 に よっ て 受 け 入 れら れ た も ので あ る3()6
。 さ ら に
、 破毀 院 一 八 五二 年 一 二 月 二二 日 判 決3()7 にお い て
、 契 約所 定 の 危 険を 発 生 せ し めた こ と に つい て
、 第 三者 が 自己 の 帰 責 事由 の 結 果 と して 直 接 に 保険 者 に 損 害を 生 ぜ し め たと い う こ と、 お よ び 民 法典 一 三 八 二条 に い う 損害 賠 償請 求 訴 権 は、 他 者 の 帰 責事 由 に よ って
、 損 害 を被 っ た す べ ての 者 に 帰 属す る こ と が 認め ら れ て いた の で あ る。 そ の結 果
、 そ れ以 降 の 判 例 でも
、 保 険 者の 固 有 請 求権 理 論 に 基 づく 主 張 が しば し ば 受 け 入れ ら れ
、 一九 世 紀 後 半を 通 じて 判 例 理 論を リ ー ド し てい く こ と とな る3()8
。
三 人 保 険 契 約 と 保 険 代 位
︵一︶人保険契約と固有請求権理論
す で に 述 べた よ う に
、保 険 者 の 固 有請 求 権 理 論が
、 物 保 険
・責 任 保 険 とい っ た 典 型 的な 損 害 保 険契 約 に と どま っ てい る か ぎ り、 と く に 問 題と な る こ とは な か っ た。 な ぜ な ら
、た と え こ の理 論 の 根 拠 とな っ た 原 則が 誤 っ て いた と して も
、 実 務上
、 保 険 者
、被 保 険 者
(被 害 者
)、 有責 第 三 者 の 三 当 事 者 の す べ て が 満 足 す る よ う 機 能 し て い た た め であ る3()9 保 。 険 代 位 の 法 的 性 質
(都 法 五 十 一
―
二
) 二
〇 一
と こ ろ が
、一 九 世 紀 後半 に な り
、 人保 険 契 約 が、 実 務 上 で 重要 性 を 帯 びて く る と
、 損害 保 険 契 約に お け る 保険 者 の求 償 権 に 関す る 議 論 が
、人 保 険 契 約に も 浸 透 して き た こ と で、 保 険 者 の固 有 請 求 権 理論 に 対 し て問 題 が 提 起さ れ るこ と と な る。 と い う の も、 フ ラ ン スに お け る 人保 険 制 度 の 創設 は
、 一 八一 八 年 に か かる も の で あり
、 そ の スタ ー トに お い て まず お く れ
、 その 後
、 人 保険 契 約 が 損害 保 険 契 約 のあ と を お って 法 的 取 引 の中 に 登 場 して く る と
、 両者 のす べ て の 類似 性 が 強 調 され
、 損 害 保険 の 保 険 者 の求 償 権 制 度も ま た
、 人保 険 の 分 野 に受 け 入 れ られ る こ と に なっ たた め で あ る
( 40
。)
そ も そ も
、人 保 険 契 約は
、 非 損 害 補 契 約 で ある と さ れ て おり
、 当 事 者間 の 合 意 に よっ て 保 険 金の 額 を 自 由に 決 定す る こ と がで き
、 ま た 保険 契 約 者 に支 払 う 保 険料 が 損 害 保 険契 約 に く らべ て 比 較 的 高額 で あ る とい う こ と もあ っ て、 例 外 的 にで は あ る が
、保 険 者 に よる 給 付 と 有責 第 三 者 に よる 損 害 賠 償金 と を あ わ せて 取 得 す るこ と が 許 容さ れ るこ と と な って し ま っ た4()1
。 そ の た め
、契 約 当 事 者で は な い 有 責第 三 者 は
、損 害 賠 償 請 求権 の ほ か
、自 ら の あ ずか り 知ら な い と ころ で
、 保 険 者か ら の 多 額の 求 償 権 行使 に も さ ら され る 危 険 が生 じ て い た4()2
。 こ の よ う に、 保 険 契 約が 存 在す る こ と で、 第 三 者 が二 重 の 請 求 にさ ら さ れ るの は 不 当 な 結果 を 招 く おそ れ が あ る こと か ら
、 人保 険 契 約 への 保 険者 の 固 有 請求 権 理 論 の 適用 を 拡 張 する こ と の 妥当 性 に 疑 問 を呈 す る だ けに と ど ま ら ず、 損 害 保 険契 約 に お ける 同 理論 の 妥 当 性に つ い て も 再び 議 論 が され る よ う にな り
、 そ の 結果
、 保 険 者の 固 有 請 求 権を 制 限 し
、つ い に は 禁止 し よう と す る 主張 が な さ れ
、そ の 存 立 自体 が お び やか さ れ る こ とと な っ た ので あ る4()3
。
︵二︶人保険契約における固有請求権理論の否定
人 保 険 の 保険 者 に 固 有請 求 権 理 論 を根 拠 に 損 害賠 償 請 求 の 主張 を 認 め るこ と に よ っ て生 じ た
、 契約 当 事 者 では な
二
〇 二
い有 責 第 三 者の 責 任 の 加重 と い う 不 当な 結 果 は
、た だ ち に 学 説お よ び 判 例に お い て も 批判 を 受 け るこ と と な る。 こ の点 に 関 し ては
、 当 初
、 保険 者 に 対 して 固 有 請 求権 の 行 使 を 認め る こ と は、 契 約 の 相 対性 に つ い て定 め る 民 法典 一 一六 五 条 に 違反 し
、 第 三 者と は 無 関 係の 契 約 の 存在 を 第 三 者 に対 し て 対 抗す る こ と に なる こ と
、 また 保 険 者 は間 接 的な 損 害 を 被っ て い る だ けに 過 ぎ ず
、不 法 行 為 に基 づ く 損 害 賠償 に あ っ ては 直 接 的 な 損害
― 被 害 者の 損 害
― の みを 賠償 す れ ば 足り る と の 主 張が な さ れ たが
、 こ れ は 充分 な 論 拠 とは 考 え ら れて い な か っ たよ う で あ る
( 44
。)
こ れ に 対 して
、 人 保 険契 約 に お い て固 有 請 求 権理 論 を 否 定 する 見 解 の 論拠 と し て 述 べら れ て い るの は
、 損 害発 生 に 有 責 の 第 三 者 と 保 険 者 の 債 務 の 原 因 が
、 一 方 は 不 法 行 為 に 基 づ く も の で あ り
、 他 方 は 契 約 に 基 づ く も の で あ っ て、 相 互 に 別個
・ 独 立 の もの で あ る こと
、 す な わち
、 有 責 第 三者 の 行 為 は保 険 者 の 債 務を 発 生 さ せる べ き 条 件 にす ぎ な い と い う こ と が 主 張 さ れ て い る4()5
。こ の 見 解 に よ れ ば
、 一 定 の 危 険 に つ い て 保 険 者 が 保 険 料 を 算 定 す る と き に は、 保 険 事 故発 生 の 蓋 然 性と そ の 加 入者 へ の 分 散と を 考 慮 す るこ と に な る。 そ の た め
、保 険 事 故 発生 に 際 し て、 保 険者 が 支 払 う債 務
( 保 険 金) は
、 被 保険 者 が 支 払っ た 保 険 料 の対 価 で あ ると 法 的 に は 考え ら れ る べき で あ っ て、 引 き受 け た 危 険の 発 生
( 保 険事 故 の 発 生) は
、 そ もそ も 保 険 者 に損 害 を も たら す も の で はな い4()6
。 仮 に、 第 三 者 が事 故 を引 き 起 こ す蓋 然 性 を 考慮 し て
、 す なわ ち
、 被 保険 者 の 有 責 第三 者 に 対 して 有 す る 求 償権 を 行 使 する こ と を 考慮 に 入れ て
、 保 険料 を 引 き 下 げて い た な らば
、 保 険 者は い か な る 場合 で あ れ 当然 に 第 三 者 に対 す る 権 利に 代 位 を する こ とに な る で あろ う か ら
、 この 場 合 に はそ う い う 状況 に な い こ とは 明 ら か であ る
( 保 険 者は 代 位 権 の行 使
・ 不 行使 に つき 裁 量 が ある
)。 保険 料 算 定 に際 し て 第 三者 の 行 為 は
、予 想 され る べ き 他の あ ら ゆ る偶 然 な 事 実 と同 等 に 扱 われ る べき も の で あっ て
、し たが っ て
、保 険 者 と の 関係 で は
、自 ら の 債務 を 発 生 さ せる べ き 状 況の 条 件 が あ るに す ぎ な い
( 47
。)
ま た
、 破 毀院 一 九 一 四年 一 月 六 日 判決4()8 に お い ても
、 保 険 金 額を 当 事 者 間で 自 由 に 決 定す る こ と がで き
、 第 三者 の 保 険 代 位 の 法 的 性 質
(都 法 五 十 一
―
二
) 二
〇 三
帰責 事 由 に よっ て 実 際 に発 生 し た 損 害額 に 完 全 に対 応 せ ず
、 被保 険 者 に 保険 金 と 損 害 賠償 金 の 双 方の 権 利 を 重複 し て取 得 す る こと が 禁 止 さ れて な い 生 命保 険 契 約 にお い て
、 保 険者 に よ る 固有 請 求 権 理 論に 基 づ く 主張 が 斥 け られ て いる
。 同 判 決で は
、 保 険 金が 直 ち に 請求 さ れ な けれ ば な ら な いも の で あ ると し て も
、 それ は 契 約 当事 者 に よ って
、 本来
、予 測 さ れ
、評 価 さ れ、 か つ引 き 受 け ら れた 危 険 に 対す る 通 常 の機 能 で し か なく
、保 険 者 は 第 三者 の 行 為 に よっ て何 ら の 損 害も 被 っ て お らず
、 保 険 者の 第 三 者 に 対す る 一 切 の求 償 権 を 行使 す る こ と が否 定 さ れ てい る
。 こ れ によ れば
、 上 記 の諸 見 解 と 同 様の 立 場 で
、人 保 険 契 約 にお い て 保 険者 の 固 有 請求 権 理 論 に 基づ く 主 張 が否 定 さ れ て いる こと に な る4()9
。
︵三︶人保険契約における固有請求権理論の否定と損害保険
人 保 険 契 約に お い て 固 有請 求 権 理 論を 否 定 す る解 釈 は
、 そ の後
、 損 害 保険 契 約 に も 浸透 し て い くこ と に な った5()0
。 この こ と を 決定 づ け た のは
、 破 毀 院 一九 三 二 年 四月 一 八 日 判 決
( 51
で)
あ る
。 同判 決 は
、 保 険者 に 損 害 を引 き 起 こ した 第 三者 に 対 す る求 償 権 を 認 める こ と に よっ て
、 保 険契 約 に お け る射 倖 契 約 性に 反 す る 不 当な 利 得 を 生み 出 す と いう こ と を 理 由 と し て
、 損 害 保 険 契 約 で も 求 償 権 の 行 使 を 否 定 す る と い う も の で あ っ た
。 よ り 具 体 的 に は
、 保 険 契 約 に よ っ て 予 想 さ れ る 危 険 の 分 散 が、 被 保 険 者 か ら 受 領 し た 保 険 料 に よ っ て、 前 も っ て 保 障 さ れ
、 か つ 確 保 さ れ て お り、 第 三 者 の帰 責 事 由 が、 第 三 者 と は無 関 係 の 保険 契 約 上 の 約定 や 諸 条 件を 変 更 す る もの で は な いと い う 点 に鑑 み ると
、 保 険 事故 を 惹 起 し た者 に 対 す る求 償 権 を 保険 者 に 付 与 する こ と は
、明 ら か に 無 償の
、 保 険 契約 の 偶 然 的性 格 に反 す る 利 益を も た ら す こと に な る とい う こ と であ る5()2
。 そ う して 損 害 保 険契 約 に お い ても
、 人 保 険契 約 と 同 様に
、 保険 金 は 保 険料 の 対 価 で あっ て
、 そ れゆ え に 保 険者 は 第 三 者 によ り 保 険 事故 が 発 生 さ せら れ
、 そ れに よ っ て 保険 金
二
〇 四
の支 払 を す るこ と で
、 損害 を 被 っ て いる と い う こと は で き な いと し て こ の破 毀 院 判 決 を支 持 す る 見解 も 現 れ た
( 53
。)
も っ と も
、人 保 険 に おけ る 固 有 請 求権 理 論 の 否定 が 損 害 保 険に も 拡 大 して く る こ と につ い て
、 当然 に こ れ に反 発 する 見 解 も 存在 す る
。 す なわ ち
、 そ もそ も 損 害 保険 契 約 は
、 損害 の 補 その も の を 目 的と す る 契 約で あ り
、 射倖 的 備蓄 の 契 約 であ る 人 保 険契 約 と は
、 その 法 的 性 質が 異 な る た め、 有 責 第 三者 の 求 償 権 につ い て 両 者を 同 一 に 扱う 必 要は な い と いう 反 論 が な され た5()4
。 す なわ ち
、 損 害保 険 契 約 に おけ る 被 保 険者 の 損 害 補 請 求 権 は 損害 よ り 発 生す る もの で あ り
、ま た そ の 金額 は 損 害 に よっ て 決 定 され
、 被 保 険 者の 財 産 を 損害 が 発 生 す る以 前 と 同 じ状 態 に 回 復す る こと を 目 的 とす る 契 約 で ある と い う こと で あ る5()5
。 し か し
、 こう し た 主 張に 対 し て そ もそ も す べ ての 保 険 契 約 は射 倖 的 備 蓄の 契 約 で あ って
、 保 険 契約 は 時 と して 付 随的 に 損 害 補 契 約 性 をも ち う る が
、そ れ を 有 する か 否 か の 区別 は 法 的 には 無 意 味 で あっ て
、 そ のこ と は 単 に事 実 上の 差 異 に すぎ な い と い う主 張 が な され て い る5()6
。 こ う し た 議論 は
、 損 害保 険 契 約 に 内在 す る 本 質的 要 請 の 一 つで あ る と 考え ら れ て き た損 害 補 原則 は
、 被 保険 者 によ る 事 故 招致 と 賭 博 の危 険 を 防 止 する と い う 目的 に す ぎ ず
、こ の 原 則 は、 保 険 者 と 被保 険 者 と の間 の 契 約 に基 づ いて そ の 当 事者 を 拘 束 す るも の で あ って
、 第 三 者と 被 保 険 者 との 間 を 拘 束す る も の で はな い と い うこ と が 明 らか に され た5()7
。
︵四︶固有請求権理論の一九三〇年法への影響
こ の よ う なフ ラ ン ス にお け る 保 険 代位 を め ぐ る論 争 は
、 一 九三
〇 年 に 制定 さ れ た 保 険法 典 に よ り、 一 応 の 決着 を みる こ と と なる
。 フ ラ ン スに お け る 陸上 保 険 に 関す る 立 法 の 制定 へ の 作 業は
、 す で に 一九
〇
〇 年 代初 め か ら 着手 さ 保 険 代 位 の 法 的 性 質
(都 法 五 十 一
―
二
) 二
〇 五
れて お り
、 その 間
、 数 次の 草 案 を 経 て、 一 九 三
〇年 法 に お い て結 実 し た ので あ る5()8
。 一 九
〇 四 年の 第 一 次 草案 で は
、 損 害保 険
・ 人 保険 の 区 別 を する こ と な しに
、 す べ て の保 険 者 に 対し て 代 位 を認 め てい た5()9
。 し かし
、 そ の 後一 九 二 五 年 の第 二 次 草 案を 経 て 制 定 され た 一 九 三〇 年 の 保 険 法典 で は
、 損害 保 険 契 約に つ いて の み 代 位の 規 定 を 設 ける と と も に、 人 保 険 契約 に つ い て 代位 を 明 示 的に 排 除 し た
。こ の こ と は、 そ も そ も人 保 険は 損 害 補性 が 否 定 され て い る こ と、 あ る い は人 保 険 に お ける 保 険 者 の固 有 請 求 権 否定 論 が 影 響し た も の と考 え られ る
。 し か し
、 この 一 九 三
〇 年法 は
、 二
〇世 紀 初 頭 にお け る 学 説
・判 例 の 混 乱期 に 制 定 さ れた こ と も あり
、 理 論 的に は 首尾 一 貫 し てい な い 点 も 少な く な い6()0
。た と え ば
、そ の 二 八 条 で損 害 保 険 契約 の 損 害 補 契 約 性 を 認め な が ら
、そ の 論理 必 然 の 結果 と し て 生ず る べ き 保 険 代 位 に つ い て
、三 六 条( 後 述 の 現 行L
.
一 二 一
― 一 二 第 三 項 に 相 当
) に お い て被 保 険 者 と一 定 の 関 係 にあ る 者 に 対す る 保 険 者の 代 位 を 禁 止し
、 あ る いは 代 位 の 放 棄を 可 能 と する な ど の 例外 措 置を 講 じ て おり
、 ま た 人 保険 の 被 保 険者 に は
、 保険 金 と 損 害 賠償 金 の 重 畳的 取 得 を 認 めつ つ
、 こ れと 同 様 の 論理 が 適用 さ れ る べき 損 害 保 険 にお い て 全 面的 に 否 定 して い る 点 で ある
。
︵五︶一九七六年保険法典以降の人保険契約と代位
フ ラ ン ス 保険 法 典 で は
、第 二 章
「 非海 上 損 害 保険
」 お よ び 第三 章
「 人 保険 お よ び カ ピタ リ ザ シ オン 取 引
」 に おい て、 請 求 権 代位
( 保 険 代 位) に 関 す る定 め を 置 い てい る
。 海 上保 険 を 除 く損 害 保 険 と いう 区 分 で 分類 を し て い る。 損害 保 険 契 約は
、 保 険 給 付の 決 定 方 法に 基 づ く 分 類で あ り
、 それ と 対 置 され る べ き 概 念は
、 本 来 であ れ ば 定 額 保険 契約 と う こ とに な ろ う
。 また
、 人 保 険契 約 は
、 保 険事 故 の 生 ずる 客 体 に 基づ く 分 類 で あっ て
、 そ れと 対 置 さ れ るべ
二
〇 六
き概 念 は
、 物・ 財 産 保 険契 約 と う こ とに な ろ う
。こ の 点 に 関 して は
、 わ が国 と 同 様 に
、区 分 の 基 準が 一 貫 し ない と の批 判 が 成 り立 ち 得 よ う6()1
。 ま ず 損 害 保険 契 約 に おけ る 請 求 権 代位 の 規 定 であ る L
.
一 二一― 一 二 で は、
「 第 三 者 が自 己 の 行 為 によ っ て 保 険者 の 補 責 任 を 生 じ さ せ る 損 害 を 惹 起 し た 場 合 に は
、 保 険 金 を 支 払 っ た 保 険 者は
、 そ の 保険 金 額 を 限度 と し て
、 その 第 三 者 に対 す る 被 保 険者 の 権 利 およ び 訴 権 に 代位 す る
。 滷保 険 者 は、 代 位 が
、被 保 険 者 の 行為 よ っ て
、保 険 者 の た めに 行 わ れ ない と き は
、 被保 険 者 に 対す る 責 任 の全 部 また は 一 部 を免 れ る こ と がで き る
。 澆前 二 項 にか か わ ら ず
、保 険 者 は
、第 三 者
、 被保 険 者 の 子
、直 系 の 卑 属お よ び 尊 属
、直 系 姻 族
、履 行 補 助 者ま た は 家 事 使 用 人 お よ び 一 般 的 に 被 保 険 者 の 家 庭 と 日 常 生 活 を 共 に す る す べ て の 者 に 対 し て は
、 こ れ ら の 者 の 害 意 に よっ て な さ れた 場 合 を 除 いて
、 何 ら の求 償 権 も 有 しな い
。」 と定 め て い る
。 こ の 定 額 保険 と 区 別 さ れる と こ ろ の損 害 保 険 で は、 L
.
一 二一― 一 二 漓に お い て
、「 保険 金 額 を 限度 と し て
」と 定 めて い る こ とか ら も
、 損 害 補 原 則 ない し 利 得 禁止 原 則 が 妥 当す る
。 も っと も
、 フ ラ ンス で は
、 損害 保 険 契 約に お ける 損 害 補原 則
、 す なわ ち 利 得 禁 止原 則 は
、 被保 険 者 に よ る故 意 の 保 険事 故 招 致 お よび 保 険 の 賭博 化 を 防 止す る と い う
、極 め て 消 極 的 な 目 的 を 有 す る に す ぎ ず6()2
、一 般 に 保 険 代 位 の 論 拠 と し て あ げ ら れ る
、 漓被 保 険 者 の 利 得 禁 止、 滷有 責 第三 者 の 免 責阻 止
、 澆保 険者 の 損 害 の補 償 と い っ た三 つ の 要 請が
、 い ず れも 損 害 保 険 契約 に 内 在 する 本 質的 か つ 絶 対的 な 要 請 では な く
、 弊 害の 発 生 す るお そ れ の 存 在し な い と きは
、 法 令 ま たは 約 定 に よっ て そ の 例外 を 設定 す る こ とが 可 能 で あ るよ う な
、 いわ ば 外 来 的か つ 相 対 的 な公 序 政 策 的見 地 か ら の 要請 に す ぎ ない と 解 さ れて い る
( 63
。)
ま た、 フラ ン ス 保 険 法典 L
.
一 一 二― 二 に よ って L.
一 二 一― 一 二 は、強 行 規 定と さ れ て おら ず
、フ ラ ン ス では
、 保 険 代 位 の 法 的 性 質
(都 法 五 十 一
―
二
) 二
〇 七
損害 保 険 契 約に お い て 代位 を 排 除 す る約 定 も 認 めら れ 得 る こ とと な る6()4
。 他 方 で
、 人保 険 契 約 にお け る 請 求 権代 位 の 規 定で あ る L
.
一三 一― 二 漓で は
、
「 漓人 保 険に お い て は
、保 険 者 は
、保 険 金 の 支 払 の 後、 保 険 事 故 を 理 由 と し て 第 三 者 に 対 す る 保 険 契 約 者 ま た は 保 険 金 受 取 人 の 諸 権 利 に 代 位 す る こ と は で き な い
。」 と 定 め て お り
、 人 保 険 契 約 に お い て は 代 位 が 排 除 さ れ て い る。 な お
、 この 規 定 は
、L
.
一 三 一
― 一 漓に お け る「 生 命 保 険 お よ び 人 身 傷 害 保 険 に 関 し て は、 保 険 金 額 は、 契 約 によ っ て 定 める こ と が でき る
」 と い う規 定 を う けて
、 生 命 保 険及 び 傷 害 保険 は 伝 統 的 に、 給 付 を 約定 で き る 定額
・ 人保 険 で あ ると 考 え ら れ てお り
、 代 位に つ い て 両者 を 別 の 取 扱と す る 必 要は な い と 解 され る6()5
。 と こ ろ で
、定 額
・ 人 保険 の 生 命 保 険契 約 は
、 代位 が 適 用 さ れな い と い うの は い わ ば 通説 的 な 見 解で あ る と いえ る が、 傷 害 保 険に つ い て は 次の よ う な 問題 が 伴 う
。す な わ ち
、 傷害 保 険 は
、契 約 で 規 定 され て い る 傷害 事 故 の 発生 時 に、 当 事 者 に お い て 約 定 し た 一 定 額 を 被 保 険 者 に 支 払 う も の で あ る が、 さ ら に 事 故 の 結 果 と し て 要 し た 医 療 費 用
(薬 剤 費
、 外 科手 術 費 用 など
) の 補 を も 保 障 す る も の が あ る6()6
。 こ れ は
、 い わ ば 実 際 に 要 し た 費 用
(損 害
) を 保 障
( 補
) す ると い う も の であ っ て
、 損害 保 険 で あ るか ら6()7
、 L
.
一二 一― 一 二の 規 定 す る 代位 が 適 用 され る の で はな い かと い う 問 題が 提 起 さ れ てい た6()8
。 し か し
、 L
.
一 三 一― 二 漓が 規 定 す る 代 位 の 適 用 を 否 定 す る 規 定 は、 人 保 険 契 約 の総 則 部 分 に置 か れ て おり
、 生 命 保 険・ 傷 害 保 険を 問 わ ず
、 広く 適 用 さ れる も の と 解さ れ て い た
。そ の た め
、傷 害 保険 で も 損 害 補 方 式 で行 わ れ て い る場 合 に
、 少な か ら ず 難 点が 生 じ て いた6()9
。 と こ ろ が
、そ の 後
、 一九 八 五 年 七 月五 日 の 法 律第 三 三 条 に よっ て
、 人 保険 に お い て 求償 権 が 保 険者 に 付 与 され る 傷害 保 険 が 認め ら れ7()0
、 さら に 一 九 九 二 年 七 月 一 六 日 の 法 律 第 二 三 条 に お い て
、 現 行 の L
.
一 三 一― 二 滷に 次 の 規 定 が挿 入 さ れ た。 す な わ ち、「 人 身 傷 害か ら 生 じ た 損 害 の 補 を 保 障 す る 契 約 に お い て は
、 保 険 者 は
、 契 約 に 定 め る
二
〇 八
損害
補 性 を有 す る 給 付を 回 収 す る ため
、 有 責 第三 者 に 対 す る保 険 契 約 者ま た は 権 利 承継 人 の 諸 権利 に 代 位 する こ とが で き る
。」 で あ る
。 した が っ て
、 人 保 険 契 約 は
、 損 害 保 険 と は 異 な り
、 契 約 に よ っ て 定 額 給 付 方 式
・ 実 損 補 方 式 の い ず れ を も 選 択 す る こ と も 可 能 で あ る と 解 さ れ
、 後 者 の 人 保 険 契 約 で あ っ て も 損 害 保 険 の 性 質 を 有 す る た め、 代 位 が 適用 さ れ る こと と な る
。 なお
、 同 規 定も L
.
一 一 二― 二 に よ っ て強 行 規 定 とは さ れ て い ない。 こ の よ う に、 フ ラ ン スに お け る 代 位制 度 に か かる 法 理 論 は
、わ が 国 に おけ る 近 時 の 人身 傷 害 補 償保 険 に お ける 代 位の 問 題 や 新し い 保 険 法 にお け る 保 険契 約 の 分 類と 代 位 の 問 題( い わ ゆ る中 間 型 に 分 類さ れ る 保 険) に も 通 ずる も のが あ り
、 極め て 興 味 深 い。 ま た
、 代位 制 度 の 適用 に 関 す る メル ク マ ー ルと な る 損 害 補 原 則 に つい て も
、 これ を 絶対 的 な も ので は な く
、い わ ば 被 保 険者 に よ る 保険 事 故 招 致 およ び 保 険 の賭 博 化 を 防 止す る と い う政 策 的 な 目的 の ため の も の であ る と い う こと は 前 述 の通 り で あ る
( 71
。)
し た が っ て、 そ の よ うな 弊 害 が 防 止で き れ ば
、例 外 を 設 ける こ とが 可 能 で ある 任 意 法 規 性を 有 す る もの と 考 え られ て い る
。 この 点 に つ いて は
、 フ ラ ンス の 法 理 論の 変 遷
・ 展開 を 踏ま え て
、 損害 保 険 契 約 にお け る
「 利得 禁 止 原 則」 な い し そ れと 表 裏 に ある
「 損 害 補 原 則
」 の 意義 を 明 ら かに す るこ と に も つな が る の では な い か と 考え ら れ る
。
四 保 険 代 位 の 内 在 的 検 討
︵一︶総説
損 害 保 険 契約 に お い て、 第 三 者 の 行為 に よ っ て生 じ た 損 害 につ い て
、 被保 険 者 が 保 険金 請 求 権 と損 害 賠 償 請求 権 とを 同 時 に 取得 す る こ と にな る が
、 被保 険 者 に よる 両 請 求 権 の重 畳 的 取 得が
、 損 害 保 険契 約 の 損 害 補 性 に 反す る 保 険 代 位 の 法 的 性 質
(都 法 五 十 一
―
二
) 二
〇 九
こと か ら
、 許さ れ る べ きで な い と い うこ と は そ の当 時 で は ご く当 然 の こ とと 認 識 さ れ てい た
。 こ の点 に つ き
、保 険 代位 に 関 す る制 定 法 が
、 一九 三
〇 年 七月 三
〇 日 法が 制 定 さ れ る以 前 に は 存在 し て い な かっ た フ ラ ンス に お け る議 論 は示 唆 に 富 む。 フ ラ ン ス にお け る 保 険代 位 は
、 海上 保 険 に お ける 保 険 代 位に 関 す る 慣 習が す で に 存在 し て お り、 そ れに し た が って 処 理 さ れ てい た
。 そ の当 時 か ら 海上 保 険 は
、 損害
補 契 約性 を 有 す る もの と 考 え られ て お り
、そ れ によ れ ば 保 険事 故 が 発 生 した こ と に より 被 保 険 者が 利 得 す る こと は 当 然 に禁 止 さ れ る べき で あ る とい う 考 え によ る もの で あ ろ う。 と こ ろ が
、陸 上 保 険 では
、 海 上 保険 の よ う に
、そ う し た 慣習 が 存 在 し てい な か っ たこ と も あ り、 陸 上保 険 者 に 対す る 民 法 典 一二 五 一 条 三号 の 法 定 代位 に よ る 権 利行 使 の 主 張が な さ れ た が、 一 八 二 九年 の 破 棄 院民 事 部判 決 に お いて 拒 否 さ れ た。 そ の こ とに は じ ま り、 保 険 代 位 の主 張 を す るた め に 陸 上 保険 者 は
、 約定 代 位 条 項
(債 権譲 渡 条 項
)を 案 出 し た ほか
、 民 法 典一 三 八 二 条 が規 定 す る 不法 行 為 に 基づ い て
、 保 険者 が 有 責 の第 三 者 に 対 する 保険 者 の 固 有請 求 権 の 理 論を 主 張 す るな ど
、 さ ま ざま な 理 論 の構 築 を み てき た こ と は すで に 述 べ たと お り で あ る。 他方 で
、 人 保険 の 発 達 に とも な い
、 損害 保 険 の 分 野で 主 張 さ れて き た
、 この 保 険 者 の 固有 請 求 権 理論 が 人 保 険 の分 野で も 主 張 され る に 至 っ たが
、 否 定 され て い る7()2
。 と こ ろ で
、保 険 者 の 固有 請 求 権 理 論を 仮 に 肯 定 す る の で あ れ ば
、「 保 険 契 約 に 基 づ い て 保 険 料 を 収 受 し て い る 保 険者 が
、 保 険事 故 が 発 生 し自 己 の 債 務を 履 行 し ただ け で あ る にも か か わ らず
、 な ぜ 被 保険 者 の 有 責の 第 三 者 に対 し て有 す る 損 害賠 償 請 求 権 を取 得 す る のか
」 と い う点 に つ い て
―保 険 代 位 の存 在 意 義 に つい て
―
、 充分 な 論 拠 を提 供 して く れ る もの と 考 え ら れる
。 そ の ため
、 上 記 の固 有 請 求 権 理論 を 否 定 する 立 場 か ら
、肯 定 説 で しめ さ れ た 論 拠を 崩す こ と に 向け る こ と で
、固 有 請 求 権理 論 肯 定 説 にお い て 保 険者 の 権 利 取得 を 認 め る 立場 と 反 対 の理 解 を 得 る こと がで き
、 前 述の 命 題 を 解 決す る た め の突 破 口 に な ると 考 え て いる
。 そ こ で以 下
、 固 有 請求 権 理 論 を否 定 す る 立 場か
二 一
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