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フ ラ ン ス 刑 法 と 罪 刑 法 定 主 義

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(1)フランス刑法と罪刑法定主義. 一 序. 裁判官の法律への拘束. 二 法律の優位. 結び. ︵二︶ ﹁違法の抗弁﹂の法理. 戸一㌧ 弼阻諦澄赫¢膨控痛疹. 三. 四. 新. 倉. 修. フランス刑法と罪刑法定主義. 二四三. 実効性を担保するために︑刑罰が用いられると︑刑罰法規の増加現象が生じるばかりではなく︑刑法の基本原則も変. 権能とされた命令権は︑法律を補充し︑代位し︑やがて独立の一般的規範を定立するに至る︒このような行政執行の. 家の活動領域の拡大に伴い︑国家機構内部に重心の移動が生じる︒行政権の拡大はその端的な範例である︒執政府の. 法において︑刑罰のインフレと認識されたり︑刑法の謙抑性・断片性・補充性の喪失と意識されたりする︒また︑国. ︵1︶. 現代国家は彪大な刑罰法規に囲続されている︒これは︑国家活動の増大と結びついている︒このような事態は︑刑. 序.

(2) フラソス刑法と罪刑法定主義. 二四四. 容する︒自己完結的な行為の記述で特徴づけられる﹁犯罪の法律規定﹂は︑行政命令・行政処分など行政行為による. 補充を予定するに至る︒換言すると︑犯罪の規定は︑法律およびそれが前提とする行政行為を合一したものを内容と. することになる︒これは︑犯罪構成要件の内容的確定が相対的に重要なものになることを意味する︒刑事裁判官の役. 割の相対的上昇は︑このような事情によっても必然化する︒これは︑フラソスにおいては︑裁判官による刑法解釈の. ﹁解禁﹂から始ったが︑重要性の増加とともに︑今日では︑法規定の明確性を基軸に比較的詳細な議論がある︒ ︵2︶ さて︑この稿では︑刑罰法規の増大による﹁罪刑法定主義の変容﹂という問題に取り組むために︑二つの事柄に課. 題をしぼることが許されるであろう︒一つは︑犯罪の法定性の緩和に関連する︒もう一つは︑裁判官の法律への拘束 に連なる︒. このような課題の限定について︑二点にわたる留意が必要となる︒. 第一に︑フランスにおける近代的な罪刑法定主義の原型が︑一七八九年の﹁人と市民の権利に関する宣言﹂におい. て歴史上初めて確定されたのである︒このことは︑フランス刑法における罪刑法定主義の﹁変容﹂を論じる場合でも︑. 一七八九年﹁人権宣言﹂における罪刑法定主義を起点とすることを必要とする︒やや詳しく言うと︑一七八九年﹁人. 権宣言﹂がフランス法史上初めて﹁罪刑法定主義﹂を定式化したばかりでなく︑その体制的確認が憲法制定に際して. 明言︵一九四六年憲法前文︑一九五八年憲法前文︶され︑法の一般原則として判例上も法的効力を肯定されてきてい. る︒そして︑罪刑法定主義は︑一八一〇年刑法典において実定法上確認され︑実定法としての効力を現在においても. 肯定されている︒このような事情は︑一七八九年﹁人権宣言﹂における罪刑法定主義をフランス近代刑法の罪刑法定.

(3) 主義の起点として把握することを必要とするばかりか︑その後の変容を考えると罪刑法定主義の﹁原型﹂と把えるこ ︵4︶. ︵3︶ とを正当なものにする︒. 一七八九年﹁人権宣言﹂は︑﹁何人も︑犯罪に先立って制定公布され︑かつ適法に適用される法律によるのでなけ. れば︑処罰されることはない﹂︵第八条︶とし︑更に二点について立法上の方向性を与えているー﹁法律は︑保護す. る場合でも︑処罰する場合でも︑すべてのものにとって同一でなければならない﹂︵第六条︶︑﹁法律は︑厳格で明白に. 必要な刑罰でなければ定めてはならない﹂︵第八条前段︶︒注意しなければならないのは︑ここで構想された﹁罪刑法主. 主義﹂が次のような﹁法律﹂概念を前提とし︑国家構成に依拠していることである︒周知のように︑﹁人権宣言﹂は︑. 人間の生来的﹁自由﹂と権利における﹁平等﹂から出発する︵第一条︶︒﹁自由とは︑他人を害しないことはすべてな. しうることに存する﹂︵第四条︶︒その論理的帰結として︑各人の自然権の行使の限界は﹁社会の他の構成員に対しこ. れらの同じ権利の亨有を確保するところ﹂︵互恵性︶にあることが導き出され︑法律はこれらの限界を確定すると結. ばれる︵第四条︶︒自由の対極にある﹁禁止﹂・﹁強制﹂も︑法律によって定められるときはじめて許容される︵第五条︶︒. このような・原則として承認された普遍的自由を制約する法律は︑その正当性の根拠を︑﹁法律は︑一般意思の表明. である﹂︵第六条︶という定式においている︒そして︑この命題が成立するためには︑法律作成に対する﹁市民の︵直接. 的・間接的な︶協働﹂︵第六条第二項︶が不可欠な社会制度として前提になる︒更に︑以上述べた﹁法律﹂概念を定礎す. る根本として︑国家形成︵﹁政治的結合器ω09暮一自宕弾β器﹂︶の目的を人間の自然権の保全に限定する構想︵第二. 二四五. 条︶と権力の分立︵﹁権利の保障が確保されず︑権立の分立が決定されていないあらゆる社会は︑憲法をもっていない﹂ フランス刑法と罪刑法定主義.

(4) フラソス刑法と罪刑法定主義. 二四六. 第一六条︶とが連環され︑このような国家形成の統合原理として︑国民主権論︵﹁あらゆる主権の原則は︑本質的に国 民に存する﹂第三条︶が位置づけられるのである︒. これが︑近代刑法における罪刑法定主義の﹁原型﹂である︒ここから︑われわれは︑立論に必要な限り︑二つの帰. 結を引き出すことができる︒le︑原則として承認される自由を制約︵限界の決定︑禁止・強制︑処罰︶するに. は︑すべての市民の直接的・間接的な協働の結果である法律の事前の定めがなければならない︒これは︑犯罪類型の ヤ. ヤ. 定立︵ぎR冒ぎ豊9︶において︑行政命令による法律の補充・代位を許さない厳格な法定性︵一猪聾叡︶を意味する. ヤ. ︵辰鳴房目①︶︒⇔︑処罰は︑法律の適法な適用によらなければならない︒﹁刑事裁判官は︑法律を適用するのであって︑ ヤ. 法律を解釈してはならない﹂という要請は︑このことの厳密な帰結である︒裁判官は︑法律に拘束される︒. 第二の留意点は︑フランスにおける行政執行とりわけ行政決定の実効性を担保する制度の特質にかかわる︒法律の. 規定または委任がある場合には︑行政は︑市民に対して作為・不作為の義務︑禁止︑下命など一定の権威的措置を命 ︵5︶. じることができる︒このような行政上の義務履行を確保する手段は︑原則として刑事制裁であって︑行政の自力執行. は︑例外的に狭い範囲で認められるに過ぎない︒このような行政執行制度のあり方も︑現代における行政権の肥大現 象の進行にともない︑刑罰法規の増大をもたらせたと言える︒. 国ε号ωα①黛o淳8ヨヨR息巴. o融o﹃仲Φω呼い=>匡国r一8どPo︒一脳Oo電国P国ωヱ一象の一轟び一〇20一①甘ひq①唱εωのΦ話けΦ三吋①什℃q且厩仁昌h巴什ρ三器. ︵1︶い鯨>ご↓鼻一①9き鴨B①暮島oh8︒鉱o昌ユo一餌議唯︒崖一冒BRぎ8ωぎ①一①鴨℃き. 噌9幕冒ω︒巷話ωω雪9けω︒窃一︒ω葺幕ω伽.月︒9の℃︒ω三︒三猪m一ρ国雲言け︒碁α︒身︒響鳳昌巴﹂︒ω﹃も﹄零.

(5) フランスにおける問題状況ば︑既に江口教授が紹介されている︒本稿は︑そこで示された様々な間題︵罪刑法定主義の変. 容に集約される︶を︑﹁法律の優位﹂の衰退と厳格解釈の要請の軟化という二つの問題を基軸に分析しようとするものであ. ︵2︶. る︒江口三角﹁フランス刑法と罪刑法定主義﹂︵平場還暦︵上︶一九七七年︶四六一頁以下︒. る︒もう一つは︑このような制度をその後日本も含めて各国で採用したという歴史展開の起点となったという意味である︒. ︵3︶ ここで言う﹁原型﹂は︑二重の意味をもつ︒一つは︑フラソスのその後における刑法制度の起点となったという意味であ. 本稿では︑主として前者の問題を検討するが︑罪刑法定主義を国家形成と社会構造との関連で把えるという思考方法は︑後 者の問題をも射程に入れている︒この問題の検討は︑他日を期する外ない︒. 権3﹄一九六八年︶八七頁以下︑深瀬忠一﹁一七八九年人権宣言研究序説﹂e口㊧︵﹃北大法学論集﹄一四巻三・四合併号︑. ︵4︶ 稲本洋之助﹁一七八九年の﹃人および市民の権利の宣言﹄ーその市民革命における位置づけ﹂︵東大社研編﹃基本的人. 二圭ハ頁以下︑一五巻一号一頁以下︑一八巻三号︐三九頁以下︶︒なお︑桜木澄和﹁初期市民刑法における自由と人権の諸規. 近藤昭三﹁フランスにおける職権執行の特権と行政強制﹂e︵﹃法政研究﹄三〇巻四・五合併号︶三六二頁以下︒. 定﹂︵高柳信一・藤田勇編﹃資本主義法の形成と展開1﹄一九七二年︶二四五頁以下参照−示唆に富む︒ ︵5︶. 二 法律の優位. 一七八九年﹁人権宣言﹂における﹁罪刑法定主義の原型﹂は︑犯罪類型定立において行政命令による法律の補充・. ︵6︶. 代位を許さない厳格な法定性を要求していた︒その後のフランスにおける歴史の展開は︑この厳格な法定性の緩和に 傾斜する︒. 犯罪と刑罰の規定性を法律と行政行為との関連で分類すれば︑歴史的には︑次の四種の類型が得られる︒ーe︑. 二四七. 犯罪および刑罰を法律で規定する類型︑⇔︑犯罪および刑罰を法律で規定するが︑叫定の行政行為を前提とする類型 フランス刑法と罪刑法定主義.

(6) フラソス刑法と罪刑法定主義. 二四八. ︵行政行為による法律の補充をみとめる類型︶︑白︑立法権の特別な授権にもとづき︑犯罪記述の重要な部分および刑. 罰を行政命令で規定する類型︵授権法にもとづき行政命令による法律の代位をみとめる類型︶︑四︑犯罪と刑罰のす べてについて行政命令で規定する類型︵完全な行政立法の類型︶︒. このような類型は︑歴史的には︑どのような論理と構造をもって出現したのか︑法理論的には︑どのように﹁罪刑. 犯罪と刑罰を法律により規定することは︑罪刑法定主義の﹁原理﹂であり︑﹁原型﹂である︒ここでは︑罪刑. 法定主義の原型﹂から乖離し︑また︑このような離脱をどのように補顛するのか︒ ︵胴︶. 法定主義は︑形式的には貫かれている︒しかし︑実質的に考えれば︑注意すべきことがらは︑二点ある︒第一は︑法. 律規定性の理論上における根拠となっていた﹁市民の法律作成への参加権﹂の問題である︒制限選挙制︑法律制定手. ︵7︶. 続における官選議院の関与︑執政府の発案権の独占や拒否権などの制度は︑市民の法律作成への参加をはぱむことに. なる︒しかし︑第二に︑このような制約は︑憲法上の制度である︒そして︑市民革命期の権利宣言の法イデオ・ギー. 的特徴を︑﹁国家的強制に裏づけられた実定法規範への服従を要求するとともに︑つねに二の世代がその法律に将. 来の世代を服従させる権利をもたない﹄こと︑すなわち︑政体の相対的な選択可能性をふくめて実定法秩序の﹃世代﹄. ︵8︶. による変更可能性を承認すること﹂と理解し︑その根拠を﹁国民主権の観念﹂がそれ自体のうちにふくむ論理にもと. めるならば︑第一で指摘した問題は︑次のように解決されることになる︒すなわち︑﹁罪刑法定主義の原型﹂からの. 離脱を意味する﹁市民の法律作成への権利制限﹂は︑このような制限が憲法制度になることにより︑国民主権行使の. 形態の問題に解消され︑たえず形式化される︒これは︑国民主権の行使形態いかんを間わず︑立法府における一般的.

(7) 犯罪および刑罰を法律で規定するが︑一定の行政行為を前提とすることは︑別言すれば︑法律の規定または. 規範の定立をもって︑﹁一般意思の表明﹂をみることになる︒. ︵二︶. 委任による行政の執行を確保するために刑罰を付与することに外ならない︒フランスには︑この類型に属する罰則 は︑非常に多い︒重要なものは二つある︒. A︑行政取締違反に関する刑罰法規︒たとえば︑フランスでは︑一般警察行政︵良俗︑公共の安全︑公衆衛生︶に ︵94 ついて︑市町村に固有権をみとめていた︒革命初期において︑これが法認され︑一八三二年の刑法一部改正により︑市 ︵10︶. 戸n︶. 町村当局の条例および命令に違反する行為が違警罪として包括的に取りこまれることになった︵刑法典旧第四七一条一. 五号︑現行では︑刑法典R第二六条一五号︶︒また︑一九三八年七月一一日の﹁戦時のための国民の総組織化に関する法律﹂. 第三一条は︑﹁本法の規定の適用のために公権力により適法に命じられる措置を平時において遵守しない﹂者を軽罪の. 刑で処罰する︒現行における経済刑法の基本法とも言うべき一九四五年六月三〇日のオルドナンス︵第一四八三号︶ β12︶ は︑価格統制規定において基準価格の公定を様々な行政機関に委ねている︵第三五条︶︒このような規定においては︑犯. 罪類型の明確な輪郭は︑具体的な行政処分なり行政規則を参照しなければ明らかにならない︒厳格な法定性からの離. 脱がある︒しかし︑行政行為による法律の補充は︑この場合の規定そのものによっても行為の類型性︵ρ惹一58二自3. ︷巴け︶が明らかであり︑また︑行政行為自体法律の明確な規定に従ってなされる以上︑犯罪が法律により定められる. 二四九. ことをそこなうものではない︒更に︑行政裁判所と司法裁判所との権限の相違にもとづいて構成される裁判組織にお フランス刑法と罪刑法定主義.

(8) フランス刑法と罪刑法定主義. 二五〇. その法理論的集約は﹁人権の擁護者である裁判官﹂の概念であ. いても︑この点に関する行政行為の適法性は︑司法裁判所が独自に審査しうる︵後述︶︒1行政行為による法律の補. 充という類型にあっては︑このような実質的観点. るーを持ち出して︑厳格な法定性からの離脱を補顛することになる︒. B︑このような事情は︑授権法−委任立法においても︑基本的には共通する︒授権法制度は︑行政行為による法 ︵13︶. 律の補充がただ量的に拡大したものに過ぎない︒ここでは︑事項と適用期間を定めた法律︵授権法︶に基づいて︑執. 行権が犯罪を規定する︒ここでは︑立法行為は︑﹁通常の﹂立法機関即ち議会により討議された行為ではなくなる︒ ︵14︶. ︵15︶. 行政権の行為は︑法律を改廃しうること・法律叉は新たな授権法によらなければ廃止されないという二重の意味で立. 法行為となる︒形式は行政行為で法律の効力をもつ混血行為という︑新たな法規範範疇が生まれる︒このような授権. 法に基づくデクレ・・ワ︵念R9巴o芭は︑一方で技術的な明確性の必要︵鉄道警察︑食糧配給詐取など︶から︑他 ︵16︶ 方で地域的乃至職業的な柔軟性の必要︵価格の表示︑週休制︑保険衛生︑労働保全など︶から生じる︒第三共和制の ︵17︶. 下では憲法の沈黙において︑第四共和制の下では︑憲法の反対に拘らずそして︑第五共和制の下では憲法のあからさ. まな承諾において︑ますます重要な法規範として︑地位を高める︒たとえば︑一九三五年六月八日の授権法に基づい. て︑ラヴァル内閣は︑一九一七年の小切手法を改正し︑刑法典第四〇五条詐欺罪の特別類型として﹁支払い準備金の. ない小切手の振出し﹂を処罰した︵一九三五年一〇月三〇日のデクレ・・ワ︶︒一九三九年一二月八日の﹁政府に特. 別権力を付与する法律﹂は︑先述のフランス﹁国家総動員法﹂︵一九三八年七月一一日の法律︶を改正し︑戦時政府に.

(9) よるデクレ・・ワの全面化を意味した︒第四共和制では︑憲法は明文でこれを否定した︵﹁立法権は委任できない﹂. 第ニニ条︶︒しかし︑一九五三年七月二日の授権法︵ラニエル内閣︶を嗜矢として︑デクレ.・ワが復活する︒刑法. との関連でここで確認されることは︑﹁この委任を行うについて︑政府は︑新しい犯罪類型をつくることができず︑ ︵18︶ すでに存在する犯罪についてもその類型性∈巴三〇呂9︑刑罰の質と量を変えることもできない﹂というに過ぎな. い︒法定性からの離脱は明白である︒ここにおいて︑このような離脱を繋縛するために︑ますます実質的な観点が打. ち出されることになる︒規制対象の特質と規制の効率性確保︑共和国の憲法慣習の遵守︑議会による授権事項の明確. 化とデクレ・・ワの承認制︑司法裁判所の適法性審査︑デクレ・・ワ制定前の専門委員会への諮問制︑デクレ.・ワ. の公示制︵讐窪o竃︶等︒ここにおいて︑厳格な法定性は︑﹁合理的﹂な規制︵司法審査・専門委員会諮問︶︑伝統の. 遵守︵自由権・財産権・刑罰制度を法律事項とする﹁聖域﹂の設定︶および不意打ちの防止︵公示制︶を制度的に保 障することによって代替され︑消滅する︒. ︵三︶ 第五共和制は︑このような授権法制を正に憲法制度︵ここでは︑憲法第三八条︑第一一条の規定が重要︶と. して認めることにより︑憲法規範における矛盾を解決するとともに︑より広汎な授権︵われわれの定式にょれば行政 命令による法律の代位︶により︑新たな矛盾を造出する︒. 政府は︑その計画を執行するために︑議会に︑通常は法律事項︵第三四条参照︶に属する措置を︑一定期間オルドナンス. 二五一. により行うことを要求する︵第三八条︶︒このオルドナンスは︑従来のデクレ・・ワと三点に相違がある︒授権期間を フランス刑法と罪刑法定主義.

(10) フラソス刑法と罪刑法定主義. ︵19︾. 二五二. 授権法に定めること︑授権対象を拡大し授権事項の明記を必ずしも要求しないこと︑オルドナンスの議会による承認. を必ずしも要求しないこと︒ところで︑このオルドナンスも議会の承認をうけるまでは行政命令の形式を維持するか. ら︑当然に︑その適法性について司法審査の対象になる︒ところが︑授権法では政府の計画執行の目的を規定すれば. 足りるから︑司法審査は︑著しく困難になる︒また︑通常は法律事項に属する措置︵重罪軽罪の規定およびそれに対 ︵20︶. する刑罰制度もここに含まれる︶をオルドナンスによって定めることができるので︑従来のデクレ・ロワでは不可能. であった重罪・軽罪の法律改正がオルドナンスで可能になった︒﹁聖域﹂は消滅する︒アルジェリア平定のために設. けられたオルドナンス︵一九六〇年六月四日第五二九号︶が刑法典に規定する﹁国家の安全にかんする罪﹂を全面改 正したのは︑その顕著な例である︒厳格な法定性は︑重罪の領域でも離反される︒. ︵四︶ このような厳格な法定性からの離反を極限まで推し進めたのが授権法に基づく行政命令による法律の代位で ︵21︶. あったのに対して︑独立の行政命令による犯罪と刑罰の規定を認めることは︑﹁法定性の反転﹂である︒前者におい. ては︑犯罪類型の規定に直接かかわらないけれども委任命令を介して授権法︵法律︶との絆が確認できるのであり︑. また︑議会の承認を経た後は完全な法律となりうるのであった︒ところが︑後者においては︑犯罪と刑罰の規定には. いかなる意味においても法律との紐帯が切断されている︒法定性における﹁法律︵一9︶﹂に︑このような行政立法も 〆22︶ 含めなければ︑罪刑﹁法定﹂主義が貫徹しなくなるという矛盾に逢着する︒. このような事態は︑一九五八年憲法における﹁権力の分立﹂の構成方法に由来する︒一般的規範定立の権限を︑立.

(11) 法府と行政府に分掌させ︑法律事項を列挙し︵第三四条︶︑その他の事項を命令に留保する︵第三七条︶構成方法の反映. である︒重罪・軽罪の規定およびその刑罰制度は法律事項として明記されている︵但し︑第三八条による授権は可 ︵23︶. 能−前述︶︒では︑違警罪およびその刑罰を規定することは︑法律事項か命令事項か︒憲法の解釈としてはどちら も可能である︒. ︵24︶. しかし︑政府の解釈は︑道路法典にかんするオルドナンス︵一九五八年一二月一五日第ご二六号︶によって︑道. 路交通上の犯罪をすべて違警罪としたことで明らかになった︒そして︑オルドナンス第一二九七号︵一九五八年一二. 月二三日︶は︑刑法典の違警罪規定︵第四七一乃至第四八五条︶を廃止し︑デクレにより新たに違警罪を設けた︵R第二. 六乃至第四一条︶︒さらに︑違警罪規定を改廃しうる法規をデクレに限定した︵R第二五条︶︒これは︑法律によっては. 違警罪規定を改廃しえないことを意味する︵憲法第三七条︶︒また︑第五級違警罪類型刑︵法典R第四〇条︒一〇目以上一. 月以下の拘禁または六〇〇フラソ以上一〇〇〇フラン︵現行︶以下の罰金刑︶を新設したのも︑重要な改正点である︒これに. よりかなりの軽罪が違警罪へ移行した︵違警罪化8簿声話旨δ目巴δ蝕9︶︒この改正の狙いは︑刑事司法処理の迅 ︵25︶. 速化・効率化︵軽罪裁判所から違警罪裁判所への管轄移行とそれにともなう手続の簡素化︶および規制の迅速化︵議. 会手続の回避︶にある︑と言われている︒それを裏付けるように︑その後︑違警罪化が進行する︒. このような﹁法定性の反転﹂に対して︑人権保障の見地からは︑﹁形式的罪刑法定主義への回帰﹂︵ドゥコック︶以. 外︑どのような実質的保障がありうるであろうか︒まず︑違警罪を規定する行政立法の公示︵讐醒o譲︶による不意. 二五三. 打ち防止がある︵事前告知︶︒しかし︑法規の改廃が激しいのでそのすべてをフォローすることは困難であり︑法規 フラソス刑法と罪刑法定主義.

(12) フラソス刑法と罪刑法定主義. 二五四. が増化すればその困難は倍加する︒しかも︑法律を議会の公開審議で作成するのと異なり︑行政命令の制定過程には︑. 公開も国民の参加も保障されていない︒政府は︑命令制定にあたって︑コンセイユ・デタの意見をきかなければなら. ないが︑その同意は必要ではない︒行政立法の公示制は︑法律による事前告知ほどのメリットはない︒第二に︑軽罪. の規定が法律に留保されていることから︑違警罪の刑の引上げにも限界があることが指摘できる︒行政権は︑重罪・. ︵26︶. 軽罪・違警罪という犯罪の序列およびその基底となる刑罰の序列を変更できないし︑その限界を超えることもできな. い︒しかし︑これも︑違警罪の重罰化を防止するには有効であろうが︑犯罪化・違警罪化に対する防壁とはなりえな. いという限界がある︒第三に︑コンセイユ・デタによる行政行為の審査制︵越権訴訟器8ロおB霞o蓉窃8. 宕薯o富︶と刑事裁判所による行政行為の審査制︵違法の抗弁o図8官δ昌α.三猪巴怠︶がある︒詳しくは後述にゆ ︵27︶. ずるが︑確かに︑違警罪を定める行政立法についても︑それが法律事項に抵触する場合には︑﹁法の一般原則﹂の法理. を介在として︑裁判所のコント・!ルが及ぶのであり︑また︑このような行政立法の規定・委任によりなされた下位. の行政行為がこの行政立法に反する場合には︑﹁違法の抗弁﹂の法理を介在して︑刑事裁判所のコントロールに服す. る︒これは︑人権保障︵不当な処罰からの自由の保護︶における裁判制度の相対的な地位上昇を意味する︒. ︵6︶ 刑罰法規の増加現象は︑まず特別法の増加として表われ︑それと平行する形で警察取締領域の拡大現象が進行する︒次い. 一八八○年代に始まるとされているが︑刑罰法. で︑このような法規の改廃を容易にするため授権法−委任立法の形式が出現し︑最終的には︑このすべての形態の整備と ともに︑独立の行政立法が出現する︒フランスにおいて刑法の﹁危機﹂は︑. 規の拡大について言えば︑この﹁危機﹂は︑若干早い時期にみとめられる︒たとえば︑一八六三年刑法一部改正︵財産罪の. 整備再編︶︑ 一八六七年商事会社法制定︵会社犯罪類型の出現︶などが重要である︒ぎ黛U馬08︸U3詳鳳昌巴頓伽昌曾無.

(13) 一三四ー二二五頁︒. 一〇刈ρ℃. Oo︒9ω. 一お9ω・. 一鶏一℃℃︒ω刈99WO>幻悶>¢PいoOoqo℃仏昌巴αo一〇〇一〇再一︑似<o冒二〇昌α仁身◎詳℃似ロ巴博幻o<.℃似三 一〇一ρ℃.O一S. 稲本・前掲書︵注4︶. ︵7︶言Oc<男畠♂冒ω馨暮一〇霧唱o一一け一20の9象o答8霧二εけ一〇聲9一一︒幾. ︵8︶. 市町村当局の条例・命令制定権の根拠法は︑当初︑. 一四二頁︶一一. 一七九〇年八月一六ー一四日のデクレ︵議会デクレーU似R9ω霞. ︵9︶ U似R9ω霞冨8霧二9ユ8α8ヨ該三〇首巴答診ユロ犀象ρミo︒O︵東大社研・前掲﹃資料的研究﹄︵注9︶九三頁以下︶︒ なお︑田上穣治﹃警察法﹄︵法律学全集一二巻一九五八年︶ 一一頁︒. ︵10︶. 一︑oお即三器怠8甘象9包円oり>8F℃貰一・一穿︒ρ蓉︒図<一戸P一9●東大社研・前掲﹃資料的研究﹄︵注9︶. 萄門︒ω. ρ図図<一戸㍗島q9のし一章四六条であった︒. い9忌目甘筐﹂300・巽噌一.o茜帥三器二8鷺忌轟冨号冨づ帥一一自℃o霞冨9ヨ毬号αq鐸震﹃o︵比較法雑誌一号︑一七三. お9ざ昌ま=ρ︾容F℃震一. 条三条四条および一七九一年七月一九日のデクレ︵U似Ro什お一暮岸呼一.o彊四巳ω暮δ昌α.屓器℃oぎoe仁三〇首巴0987. ︵H︶. 一〇Uどb︒N匡9ω︒. αq同凝讐凶oP国9αoの=>冨国r一〇〇ど℃.おω99 ぎ黛貸§8. 寄<︒ぢけ①﹃P号身〇一ε魯帥江Oqωも●おω9ωこO⊂ピ℃雷︸い.曾︒一葺︒昌. 頁以下に村上恭一氏の邦訳がある︶︒ちななに︑これを改正した一九三九年一二月八日の法律は︑完全な授権法である︒. 霧88諌警o昌ooα.. ︵12︶<o¢一2℃ピ︒身o客冨蒙ま88且ε︒号冨寄き8. α5α色答ユoお︷島8奉旨o讐き%9図. 委任命令は刑罰を創設することができない︒この点は︑注意を要する︒たとえば︑一九四八年八月一七日の授権法が︑第. 力弓国閑﹂>ω℃8房甘二島ρ仁oωαロ8口鼠=のヨΦヨoαoヨρ曽a ︵3 1︶. αOα﹃O答づ口三P一〇㎝ρマ嵩O・§黛℃壱↓P一餌一9α仁一刈帥O律一〇斜oo. 四共和国憲法の明文にかかわらず︑コンセイユ・デタにより承認されるのは︑刑罰制度の設定を含まなかったからとも言え る︒︾≦のユ仁OO昌ωO出α.閣9什℃①欲く︒一㊤㎝ω︸勾O︿. ℃・刈ON●. 二五五. 一九六七年︶二二七頁以下︒水野豊志﹃委任立法の研究﹄︵一九六〇. ≦>=z卸いΦω益℃唱o暮ωoロ什器一即一〇ゆ9一〇議唯oBo旨四く斡暮9帥℃&ω一帥Oo昌ω菖葺怠o昌α〇一〇㎝o o 勾oく●αo身o濤℃ げ凝P. け8ユ帥旨帥仁お母8ωo目oロけ似8昌oヨδ琴9訪昌帥目一霞℃国①︿●ユo黛o詳℃¢げ=P一漣oo℃℃.αミ9ω・ ︵4 1︶. 一〇qO. ︵15︶ 宮沢俊義﹁立法の委任について﹂︵同﹃憲法の原理﹄. フラン ス 刑 法 と 罪 刑 法 定 主 義.

(14) フラソス刑法と罪刑法定主義. ℃q器撒く◎一暮一89畠﹃o濤葱醤一. 年︶三三九頁以下︑三四七頁以下︒. 一〇8衰8ロ法胤Boユoω8旨βぎ旨凶8ω℃U. 二五六. 一一〇N一〇㎝OO﹃き℃・一器・. 第三共和制の授権法の一覧表よ鵠電ごρピm一9島.富獣犀暮一89一一冒崖9這認9冨2窃け凶8畠8&R9色o量. ︵16︶ ピ塁>ωω田. ︵17︶. o なお︑ピ跡>q↓妙Oり9ρ︵昌O盆一︶PQo鮮 マO緕昌09b. 国oεOO山o冒q旨卸卜8含窪×8彗8の島β身o答忌塁一畠.碧鳥の﹃08ω馨暮一8畠β麻090ぼo一〇㎝oo℃一〇・℃・一8一℃. 男oく●岱O︵マO濤℃三旨P一3Q o ︵8 1︶. o︒8耳︒一〇㎝o ︒﹂︒ρり﹂8鱒一層嵩O一・. 一℃一80 0憎♂●o霧劉卜国く>ω鴇q ℃ピ●一〇㎝OOゴ﹃︒冥伽9什●︵昌oけo一①︶℃︒一隠●. 第三共和制においても︑間諜罪に死刑を科す﹁改正﹂がデクレによって行われたこともあった︵一九三八年六月一七日の. o ユきω冨08ω菖言け凶8詮 ︵9 1︶冨田>ω畠り富ωo包o旨き8ω岱︒一︑翼凶︒一︒︒︒︒. デクレ︶︒これは特異な例である︒閑oεoご号國Oq鴇国︸一・ρ型一8ど斜一$ooづao答︵昌o冨一〇〇︶・. ︵20︶. ︵21︶ 憲法の次元でも立法権と行政権︑法律と命令において優位性の転倒が行われた︒U¢高国O国♂oマ9ρ︵昌90刈︶℃・刈認脚 嵩●09ω●. ピ.=ごF=国ぎド借α画一ヨ祥暮一〇昌αo冨一〇凶9畠β冨oq一〇ヨo昌けα帥諺﹃Oo3ユεユo昌含信卜090ぼo一〇qoo噂∪●一〇㎝OOぼ.℃●. する︒これには︑固有の意味での法律︵一9♂﹃B色冨︶の外に行政立法︵帥9窃ユβ宕βぎ冒o惹窪け5と条約が含められ. ︵22︶ 現代のフラソス刑法学は︑罪刑法定主義における法定性︵一猪筥一鼠︶を﹁広義の法律︵一〇凶薗βのo器冨おo︶﹂の概念で説明. oQo●. る︒℃・O鉾ω↓問句>蜜9ピ国︿>ω旨q♂∪8胃℃似昌9碗価口驚亀矯讐伽自︒︸一S9昌︒Q. 全体を指称すること︑前文で一七八九年人権宣言に言及しているがこれも違警罪規定の法律による定めを要求していること. ︵23︶ 違警罪規定も法律事項だとする説の論拠は︑三四条の規定が︽R凶ヨ09象犀︾となっていてこれは刑法では犯罪︵ぎヰ8該o昌︶. ブベ︶を棄て︑違警罪の総則を重罪・軽罪の総則に内容的に接近させる努力を傾注するに至る︒閃oεoご幕関oq雷炉トρコ. などを挙げる︒ピ国<>ωω国q♂U︒お昭Oザ﹃・冒曾霊︵昌o盆呂︶マ匿卜o●しかし︑その後︑﹁このような幻想﹂︵ルジュ・ド.. 国鰹餌昌にoのト国ω閑国﹂一800輸唱.嶺刈9ω︒. 一霧一曽一一一〇ωo o冥似9戸︵昌90一〇〇︶馴ω>い<>一窃℃ご鰹詳ρ8暮β︿o暮一〇器曽象一律甲8暮冨︿o旨一〇拐﹂●ρ即一8鱒一︸一お㌣ドけo>ご. ︿①暮凶o昌ρ薯. これは︑コンセイユ・デタ︑憲法院により相続いて肯認される︒ρ国・嵩欲く・一89砺ミ・肉尊・ご・一§・ま潮昌o冨. ピo昌oβ︿o曽口菰凪ヨo畠①のoo昌ヰ. ︵盟︶.

(15) βoけoいけO=>匡OzWいρ型一89鍔置一謡℃oび90︒溶. い.国望冨日ヨいρ勺︒一8ρ一一℃=爵Oげ一ρ口o訂く国∪国ごω・一〇①ρ一ω一もo旨一︒内>=ヨO︒8霧鉾一〇欲. ︵26︶. U国oooρ8・息ρ︵昌oけo①︶P一〇刈魯一〇〇〇●. ︵25︶ ピけo>ごoや9件 寓鰹岩碗oのピ臣召﹂︵昌o器鱒ω︶掌一qoo●. 裁判官の法律への拘束. ︵飾︶ 勾oεo¢号国oq爵Pいρ勺●一〇①ご一℃一〇ωoo 胃似9鉾︵き曽〇一〇〇︶.. 三. 一8ω︸U●一§℃Oρ. 前章までに確認したところに従えば︑フランス革命初期に成立した罪刑法定主義の﹁原型﹂即ち﹁厳格な法定性﹂. は︑その豊かな構想と内容をはぎ取られ形式化した︒それとともに︑人身の自由は︑ますますその保障を裁判官の役 割に依存せざるを得なくなる︒. ここでは︑そのような使命を負った刑事司法官︵裁判官︶が︑フランス革命以来の伝統である﹁法律への拘束﹂と. いう要請の下で︑どのように法律解釈の蓄積を行ってきたかを現在の時点で確認する︒. この間題にアプ・ーチするため︑法律の規定態様︵法文の明確・曖昧︶に従って︑それぞれの領域における特徴を. 明らかにする方法を取ることにした︒これは︑今日のフランス刑法も用いる﹁オーソドックス﹂な方法であるが︑﹁法. 律への拘束﹂を基本的要請としながらも︑裁判官に﹁刑法の解釈﹂をかなり広く認めて行こうとする傾向を明らかに するのに役立つであろう︒. 二五七. 次に︑われわれは︑﹁法律の拘束﹂という視点から︑刑事裁判官による行政行為の審査制−刑事判例における﹁違 フランス刑法と罪刑法定主義.

(16) フランス刑法と罪刑法定主義. 二五八. 法の抗弁﹂の法理を検討することにする︒ ここでは︑ 刑事制裁を伴う行政行為の増大に対して︑﹁人権の擁護者﹂. 刑罰法規の厳格解釈. ある刑事裁判官の役割が明らかにされる︒. 一. 罪刑法定主義のコ・ラリーとして︑﹁刑罰法規の厳格解釈︸8召ぎ窪旨おω鼠轟窪母﹂が導き出されることは︑. で. 今日のフランス刑法学でも認められる︒厳格な法定性の下では︑被告人の有利・不利を間わず︑詳細な行為記述で構. 成される犯罪類型に一定の刑罰を照応させた法規がそのまま適用された︒ここでは︑法学的三段論法が字義通り適用. された︒また︑その必要があった︒一般意思の表明である法律により︑またその法律の枠内に刑事裁判官の活動を厳. 格に控制することが︑厳格な法定性の真の狙いであった︒即ち︑刑罰法規の厳格解釈という要請︵裁判官による専断. 刑の排除︶をそれ自体の論理の内に包括する理論として︑厳格な法定性が構想されたのであり︑その制度的支柱とし. て︑詳細な行為︵霞什H事実︶を記述する犯罪類型および固定刑℃①ぎ①幹oが構築され︑刑事手続において︑陪審. 制︵事実認定旺法学的三段論法の小前提からの職業裁判官の排除︶が取り入れられた︒厳格な解釈の要請は︑このよ. うな制度︵立法技術︶・手続に支えられていた︒しかし︑その後︑刑法の領域的拡大︵とくに財産保全ー←経済制度. 保護︑政治制度保護←社会制度保護︶と量的拡大に伴い︑包括的規定・主観的要素・価値的要素が立法に取り込ま. れるにつれて︑法律の適用は裁判官の積極的な関与を必要とするようになり︑厳格な解釈の要請も軟化する︒しか. し︑裁判官の役割は︑法律の適用であって︑法の創造ではない︒法律の解釈は︑法律に内在する限界を越えてはなら.

(17) ︵28ノ. ず︑法律の限界の表出でなければならない︒法律に限界を置きながら︵法律への拘束︶︑法律を限界づける︵法律の. 解釈︶という要請は︑刑法の解釈は﹁立法者意思の宣言的解釈である﹂という表現の中に一つの解決をもとめる︒ ︵29︾. われわれは︑﹁刑罰法規は厳格に解釈され⁝⁝裁判官は︑この事柄において拡張または類推を用いることができな. い﹂という一八〇九年判決を起点として確認した上で︑﹁厳格な解釈は宣言的解釈である﹂という論理の内容を検討 してゆこう︒. A 法文が明確な場合でも︑法文の意味を再構成し︑その適用範囲を区画することが認められる︒. ψごN企一︸No︒ω︶︑これを認. ①まず特異なものとして︑法文の補正の問題がある︒判例は︑法文の補正が被告人に有利・不利を問わず︵ρ一目・ 一一旨貰ωおω ど ¢ 一 〇 ︒鈴﹂u崔刈︶︑あるいは不利な場合に限って︵〇二B︒ooO8ρお旨. めていなかったが︑一九三〇年の切ミミ事件判決で被告人に不利益な補正も認めた︒これは︑鉄道警察法の﹁飛び乗 ︵30︶ り・飛び降り﹂の禁止に関して明文で﹁列車が完全に停止したときに乗降を禁止する﹂とあるのを補正したのである︒. ②裁判官は︑法文の規定する法命題を変更することはできない︒たとえば︑﹁住居にかう動物のなき声を禁止す. る市町村アレテは︑動物商が住居とは別の家畜小屋に動物をかう場合には適用されない﹂︵9ぎ・O甘葺ご解中. ωお︶︒また︑タクシーの無賃乗車を処罰する法律は︑救急車に運ばせた場合には適用されない︵9ぎ●嵩目巴這お O帥N●勺巴●一〇 お ︾ 鉾 ㎝ 認 ︶ ︒. ③特に重要なのは︑無銭飲食︵白o昇鼠①α︑呂B①馨ω︶を不処罰にした例があることである︒. 二五九. ﹁刑法典第三七九条の一般的規定に当らない行為即ち握持または直接の窃取︵琶①日巴β巨器2毒①ω窪の什轟9一9 フランス刑法と罪刑法定主義.

(18) フランス刑法と罪刑法定主義. 二六〇. 象お90︶を伴わない行為は︑同法典第四〇一条に言う可罰的な窃盗︑かっばらい及びすり︵筐o暮R凶8︶に含むことは. できない︒実際にも第四〇一条は盗罪の節に設けられている︒背任及び詐欺は第一一節に設けられており︑その処罰. は特別の規定及び条件に服する⁝⁝のである︒そうでないとすると︑他人の財産に対するあらゆる欺岡行為は︑たと. えそれが盗罪の性格を帯びていず︑背任・詐欺の性格を帯びていなくても︑恣意的に︑かっばらい及びすりに含まし. めうることになり︑刑罰の序列は無視されることになってしまう﹂︵9巨﹄ぎ〜一鍍SU﹂鎚S一くふさ︶︒. これは︑古い判例であるが︑一八七三年七月二六日の法律によって処罰されるまで︑無銭飲食では︑不処罰の判例. ︵31︶. その後︑拡張をみとめた例が出現する︒その転期は︑およそ一九一〇年前後に求めることができる︒たとえば︑. が確立していた の で あ る ︒. ④. 電気窃盗を認めた著名な判決は︑一九一二年に下された︒もっとも︑拡張解釈といってもこの段階では︑規定の文言 ︵32︶ を再構成し直すもので︑﹁法制度全体の精神﹂に依拠して法命題の可能な範囲で拡張するのではなかった︒. ⑤やがて︑法文の予定する法命題の範囲まで拡張を許す例が生じる︒適用例を列挙する包括的な文言で法文が構. 成されている場合には︑これを制限的に解する余地もあるが︑他の法律上の規定に依拠して︑反対の明文がないかぎ. り︑この列挙規定を例示規定と解釈する訳である︒たとえば︑一九二四年二月七日の法律は︑配偶者︑未成年の子ま. たは卑族に対して扶養定期金を支払う義務を負う者が定期金を三ヵ月間支払わない場合には︑家族の遺棄として軽罪. の刑を課せられる︑と規定する︒ところで︑義母に対して扶養定期金の支払いを命じられた場合は︑どうか︒. ﹁法律は︑明文の反対がある外は︑同一の家族間に民法典が規定し︑︹民事裁判所の︺判決が命じた扶養義務の不履.

(19) 行をすべてその法文に定める刑罰により制裁する意思を表明し︑その規定に包括的な効力を与えたのである︒また︑. 本法は︑卑族に対する扶養定期金の不払いを明文で除外しているが︑子と同様の扶養義務を民法典第二〇六条により ︵33︶. 負う婿及び嫁にも適用される︒従って︑被告人︹判決により義母に対して扶養定期金の支払いを命じられた者︺を有. 法文の意味内容の可能な範囲で最大の拡張をみとめる例がある︒これは︑科学技術の発達により法律制定当時. 罪とした原判決に所論のような法律違反はない﹂︒ ︵34︶ もっとも︑法律が認めて判決が命じた家族扶養義務に限るのであって︑それ以外の義務は除外される︒. ⑥. には予想しえなかった類似事象を包摂する場合である︒わが国のガソリン・カー事件判決︵大判昭和一五年八月二二. 日刑集一九巻五四〇頁︶に似た例で︑著名なつばめ号︵霞8鼠亀o︶判決がある︒一九五六年の可航河川法典第=二. 八条は︑無許可で﹁汽船﹂を航行した者を処罰している︒判決は︑同法典当該条項が百年前の法律の複製であること︑. 当時の立法者が乗客の安全のために汽船の航行を許可制にしたこと︑当時汽船以外には機械推力をもつ船舶が知られ. ていなかったこと︑その後の科学技術の発達により蒸気以外の機械推力をもつ船舶が出現したことを理由として︑ ︵35︶ ﹁汽船﹂を櫓擢船・帆船と区別される意味で機械推力をもつ船舶の﹁一般名称﹂だとした︒. この場合︑一九五六年の法典化の際に明文で﹁ディーゼル船﹂を法文に記述することもできた︒この点を捨象して︑. 判例は︑更に百年前の立法者意思を探求する︒﹁合理的な拡張﹂であるが︑このような法律の改廃関係をどこまでも遡. 二六一. 法文が曖昧な場合には︑裁判官は︑解釈の伝統的手法を用いてその意味の発見に努めなければならないー民. って立法者意思を探求する必要があったのであろうか︒ここに︑立法者意思探求論の危険な陥穴があるように思う︒. B. フランス刑法と罪刑法定主義.

(20) フランス刑法と罪刑法定主義. ︵36︶ 事法では明文の規 定 が あ る ︒ 刑 法 で は ど う か ︒. 二六二. ①﹁裁判官は︑曖昧さや不確実性を理由として︑それを鮮明にし精査して法的問題を解決するのを放棄し︑被告人. ︵7 3︶. に疑いの利益を亨受させて了う場合︑同時に︑違法な宥恕を認め︑その職権を等閑視し民法典第四条に違反したので ある﹂︒. ここでは︑厳格な解釈の要請は︑裁判官が想像したり︑立法者の代りをすることを禁止するに過ぎない︒では︑ど. ︵38︶. 戸39︶. 象巴8諏2①一畦一象ρ器︶の様々な手法を駆使することがある︒法律の準備作業︑説明書︑議. のような解釈手段に依るべきか︒. ②法学的推論︵一 ︵40︶. 会討議その他﹁合理的な資料﹂に依拠して︑法文の意味を確定する︒しかし︑議会資料は法律の部分ではないので︑ 法律の文言を補充することはできない︒. ③これまでは︑立法者意思の探求論の射程内での議論であった︒議会資料の探索はその極地に位置する︒しかし︑. 寄るべき資料のない場合には︑裁判官は︑法文の曖昧さを理由として被告人を釈放することになるか︒フランスの判. 例は︑このような﹁解決﹂を拒否して飛躍する︒たとえば︑刑法典第三三五の六条︵一九六〇年オルドナンス第一二. 四五号による新設規定︶は︑﹁名儀は何であれ︑公衆の用に供されない場所または敷地を処分し︑常習淫蕩の目的で売. 春に従事する者に︑情を知りながらこれを使用させた者﹂を処罰する︒売春婦にアパルトマンを売却した者はどうか︒. グルノーブル控訴院は︑法文が明らかに売却を除外するものでないこと︑﹁名儀のいかんを問わない処分﹂には︑所. 有権の移転により使用を実現する最も完全な方法である売却を含みうることを理由に︑犯罪の成立をみとめた︒これ.

(21) ︵41︶ に対して︑破殿院は︑﹁処分ヨ一ω①帥一餌良ε8筐9﹂を法律的意味に解し︑原判決を破殿した︒しかし︑この判決. のような例は稀である︒刑法上の文言は︑他の法領域︵民法︑商法︑行政法︶に同形語があっても︑意味を異にして ハ姐︶ 解釈されることが多い︒刑法は﹁自律性﹂を主張するのである︒ここにおいて︑判例は︑法律の目的を介して︑条理 による解釈を広く認めるに至る︒. ④最後に︑先例に依拠する場合がある︒これには︑更に二つの場合があるー適用すべき公準︵目貰ξ窃︶が存. 在しないとき︑判例が明らかにこのような公準をしりぞけるとき︒ここでは︑規範的要素︵狸褻性︶や﹁何でも入る. 文言什段ヨ8巴o﹂で記述された犯罪類型が挙げられる︒財産罪における利益犯処罰を拡大するのは︑このような手. 法にもとづいている︒たとえば︑一九七〇年のト慧ミ鳴事件判決は︑駐物犯︵器8一①巽︶概念を︑従来の自然的要. 素を一掃して利益概念で構成したー﹁重罪・軽罪の果実を亨受する者﹂︵9ぎ●ε9一一﹂鶏ρいP 一〇芦戸一8お︶︒. ここには︑寄るべき立法者意思はない︒むしろ︑立法者は︑このような判例の自律的な展開に期待していると言う方. が正確であろう︒問題の真の解決は︑各犯罪類型毎に判例を分析し︑必要で不可欠な処罰は何かを明らかにすること から出発すべきであろう︒しかし︑それは本稿の課題ではない︒. ︵28︶ このような定式が出現したのは何時か審かにしないが︑確認しうるかぎりでは︑フォスタン・エリーの論稿︵一八五四年︶. が早い︒悶>¢oo目宰寓吋=PUo一.冒3壱泳貫菖o昌αo富一〇一b伽昌巴9勾o︿●R三ρ仁や一〇〇qト戸O癖9ω凱ぎ響O⑪Ooq↓. 一〇ω♪ρ一鍔マ竃ト. 二六三. ピ.一旨R胃簿帥二〇三濤鼠轟一〇αoの一〇冨忌塁一〇ω嵐蕊㍉菊8垢出山︑ぴ9α①のω目一①ωのo醇8ω身身o詳魯一︑げ8琴ξαo劉O雪メ. 〇〇〇ー一〇 〇一ど一 一〇S ︵29︶ Oユヨ●ooのo讐●一〇〇〇〇いω●o日︒一〇. フランス刑法と罪刑法定主義.

(22) ︵30︶. ︵31︶. ︵2 3︶. フランス刑法と罪刑法定主義. 二六四. o旨畦ωおω9戸国這GoP斜一〇どβo盆<o舅一客先例として︑法文自体から誤りが明らかになる場合に補正を認め 〇ユヨ︒o. Oユ5ω8Rお旨博ω・這る﹂℃器刈℃8冨国o¢×●なお︑沢登俊雄﹁電気の財物性﹂︵フランス判例百選一九六九年︶二. たものがあった︒Oユヨ・旨甘冒一〇〇〇どU︒コ一〇〇旨鳩どミ●. 二五頁︒. このことは︑一九三〇年代に相継いで類推刑法が登場して来たのに対して︑フランスでは禁欲的と言えるほど類推に警戒. 菊o ︿ ● ω o ・ o ユ B ● 一 8 S ℃ ︒ 雪 0 9 ω ・. ︵8冨No o︶廟寓・>z畠ご︾寓80ωユoε色ρまω島g窃忽o拐泳8暮ooD讐円冨冨唯oロ三寅℃o窪帥ω冒o. 心をもっていたことと無関係ではない︒旨蜜国2目U国>撃ンい.︾暴ざαq笹o昌身o詳℃魯毘博勾o〜9■oユ目︒一逡O︸P這ご. 一〇凶o. Oけoo¢↓一8●o一. Oユ幹群冒⁝︒お謡℃∪︒=●這N9田9同趣の判例lOユヨ●q8律這曽︸U●一〇Nooいど認︵離婚訴訟に勝訴した夫︶⁝一︒H. 欲 一逡ρU・=﹂逡ρさ錦国O︿・零・Oユヨ・一逡ρ曽ρO富・寓>OZ9︵姦生子︶︒このうち前二者について︑法案の準備. ︵33︶. たとえば︑姦通した妻に与えられる子の養育のための定期金を支払わなかった場合︵9言●ミB舞ω這巽輸甲$︶︒. 冨一9幕尽一ρ図雲・のρoユタ一〇㎝oo・マお・後者は︑一九七二年の法律︵一92ωす箋﹂零N︶で明記された︒. 作業の中でも同一の結論が表明されていた︒属>ωo︒国7一①器8畦o窪×霞薯き図鷲9貰暮o騨8鼠昌ω一.ぎ冨遇泳冨謡o昌審. ︵4 3︶. oooご§黛§物劉b認>r 一〇臼戸o. Oユヲ一︑.m霞出一8μ国一8︒﹁合理的﹂解釈として認めようとする者としてlOo鼠窒い∪目F>質名8α.躍昌8p語什. 8霞o冨︽﹃9ω8︾〇二.ぎ3暑泳雷ユg3曾ユo諏︿o窪身o窯℃魯巴℃勾o〜ωo●R凶日. ︵5 3︶. Oユ目●さ昌O︿●這器しW●癖刈曾国o〜ωpR一ヨリ一8ど器刈℃Oげ9ピけO>二勾①︿.零.R一ヨ︒一39890ぴ9勾O切国国﹂. 富3屯o儀o身oぎ一︑9.︵U﹃o津o一︿︒︶>唱●>国↓︒直︸一〇刈N.. 同趣. 民法典四条︒国目田↓︸U犀U伽三号冒9ざρ∀9︒︵U8淳9︿︐︶>男﹂声一3ω凱国目P一旨o唱泳冨怠◎昌9坐ぎo冨菖o昌審. 国o︿︒のo︒R陣ヨ■一〇㎝鱒㎝OO oび9いけO>ピ●. 罪ご曽冒日一800 ψ一80﹂℃一曽℃88ピ嘱026>国Z︵録音と刑法典四二五条の偽造罪ど509●一旨ど9這認︸一︸ε9. 肉oダ8・Rぎ﹂89宅・同趣の判例19ぎ・ミ象ρ這隙・9這錺﹂し3・ぎ富O雪幡︵ラジオ放送による中傷と誹殿. ︵36︶. ︵37︶.

(23) ω卜o QOけ①㎝09. 19ぎ・Noo甘ぎ一〇旨℃中ωqヨ隠一き〜一〇〇〇①℃U︐型一〇ω9一博①ρ8仲o冨一さヨ. く︾ω鴇70マ9け●︵8霊ωωソ閑o︿.のρoユヨ︒一〇㎝oo㌧℃.おoけω・. 0ユB o oB舞ω一〇お︸ω・旨ご旨目巴一Sト閃・一8.. ︒. 一ω餌く注9一ω一昆一﹂Oヨ︸U・一〇田︸. OユB●刈目巴一8PU●一80噂斜ooご幻①〜ωρR一ヨ・一80︸o oミ︑oぴの●ピ国<︾ω鴇q閑︒なお︑Oo冨ω>ru田F℃8蜜竃叡9. o℃℃︒ミ植⇒o器. 一〇qo. ︒鴇1ε●息鉾︵昌90ωω︶閑o〜のρRぎ︒ 男>dω↓毫=け口国博8︒9壁︵き$Noo︶幻o〜R一二2P一〇︒総 ℃︒一〇〇︸9ρb碧吋>︒. ︵38︶. ︵40︶. ︵39︶. ︵41︶. O>男一F>oは︑商法との関連で﹁小切手﹂︑﹁破産﹂︑﹁粉飾決算﹂等に刑法独自の概念形成があることを指摘する︒O>男F琴P. 冥8葺5一8霊冨忌88︒獣鼠拐宣く8旦寄︿﹄︒・9昌﹂83マ89マ80ー象一︒ ︵42︶. 忌牙o一什獄塁一︵のo易&﹃ooユo旨αoω↓鴇>呂︶℃一〇誘℃や8009のり. い.冒α9︒注弩8魯身o律幕器P一.猪餌旨8ρ8一ρ5賃猪一〇の身象o津8旨B震︒芭鼠§ρ5一20の霧℃Φo$αo一︑窪8ぎ巨o. 二 ﹁違法の抗弁﹂の法理. 司法裁判所は︑行政的手続による先議を経ることなく︑行政行為の意味を解釈したり︑行政行為の適法性を審査す. ることができることがある︒刑罰をおびた行政行為は︑先決問題として被告人によりその違法性を争われる︒. フランス革命期においては︑裁判組織の分立と徹底した行政府の司法府に対する優位が貫かれていたので︑司法裁 ︵43ノ. 判所はそもそも行政行為を審査しえなかった︒. ①一八一〇年の破殿院判決は︑その第一の転換を行った︒この判決は︑行政行為を命令︵融笹①目窪房︶と個別行. 二六五. 為︵8富ωぎ象ξ魯⑦邑とに分け︑命令の適法性審査を司法裁判所にも認めた︒一八三二年の刑法一部改正は︑警察 フランス刑法と罪刑法定主義.

(24) フランス刑法と罪刑法定主義. 二六六. 命令の制裁を違警罪法制の中に取り込むことにより︑このような地方警察命令に対する﹁違法の抗弁﹂を法律上確認 ︵44︶. した︒その後︑こめ規定を根拠に個別的行政行為にまで﹁違法の抗弁﹂が認められるようになり︑とりわけ第三共和 制の下では︑著しく強化された︒. このような個別的行政行為への司法審査権の拡大は︑民刑事事件に共通してみられた訳ではなかった︒民事事件に ︵45︶. おいては︑個別行為の司法審査権が再び否定されたばかりか︑一九二三年のセフォン事件判決により︑行政立法の司. 法審査権も否定されるに至った︒最早﹁本案の裁判官は抗弁の裁判官﹂の観念は︑その立論の根拠を喪失して了った︒. ここに﹁刑事裁判権の完全性﹂の観念が発生する余地が生まれる︒一九五〇年までは︑刑事裁判官は︑個別的行政行. ︵47︶. ところが︑権限争議裁判所は︑傍論ではあったが︑この﹁刑事裁判権の完全性﹂の観念に依りながら︑刑事裁. 為について︑それが犯罪成立の積極的要素であっても消極的要素であっても︑直接法律の明文の根拠がなくても︑法 戸菊︶ 律に反対の明文がない以上法の基本的原則に基づき︑審査権をえていたのである︒. ②. 判官による個別的行為の審査権を否定した︒ここには︑次のような論理が支えになっている︒個別的行政行為︵行政. 処分︶が違法とされ被告人が無罪になれば︑行政活動に私人の容啄を許し行政意思の貫徹を挫折させることになる︒. とりわけ︑公役務の持続的・整合的・継続的な活動を必要とする特に重要な部門︵公土木事業の施行︑公衆保険衛生︑ ︵48︶. 地域の市街化と整備︑社会保障争訟︶では︑その影響は大きい︒しかも︑個別的行政行為においては︑規制の適宜性・ 実効性判断の方が適法性の審査に優位する︒. ③これに対して︑一九六一年の富肉ミ鞭事件判決は︑アヴランシュ事件判決の前提とする権力分立論に依りな.

(25) がら︑﹁命令的であれ個別的であれすべての行政行為を︑それが刑事制裁をおびており︑かつ︑それを解釈すること ︵49︶. が必ずしも必要ではないならば︑適法であるか否か評価するのは︑刑事裁判官の義務である﹂として︑個別的行政行. 為に対する司法審査権を再び主張した︒個別的行政行為が刑事制限をおびている場合には︑その適法性評価は︑刑事. ︵50︶. 裁判官の義務である︒これが︑ルルー事件判決の骨格である︒その後︑権限争議裁判所に個別的行政行為の司法審査. 権に関する新しい判断がないことは︑ルルー事件判決の論理への黙諾を意味すると言える︒. これまで︑われわれは︑焦点となっている個別的行政行為の司法審査制をめぐって︑刑事制裁を伴う行政行為に対. する司法審査制の伸長を大枠で把えてきた︒このような過程を通じて︑﹁違法の抗弁﹂の法理も︑﹁刑事裁判権の完全. 性﹂から﹁人権の擁護者である刑事裁判官﹂へ原理的基礎を移動させてきている︒それは︑一言で言えば︑ますます. 増大する﹁刑事裁判官への期待﹂の表明であり︑刑事裁判官の使命が重要なものとなることを意味する︒このような. まず︑授権法に基く委任命令が﹁違法の抗弁﹂の対象となるかを検討しよう︒第三共和制下のデクレ・・ワは︑. 視点から︑刑事裁判官に委ねられる権限と手段を検討する必要がある︒ ④. 法律を改廃することができ︑その意味で法律の効力をもつとされた︒しかし︑それは︑議会が承認するまではやはり. 行政行為であり︑授権法の文言に適合しなければならず︑授権事項の範囲内にあることが必要である︵9冒︒8獄〜. 一〇ωり℃ψ一逡O﹂﹂堕き田︼≦田舅国︶︒このことは︑第四共和制におけるデクレ・ロワにも妥当する︵Oユ琴=日貰ω. 二六七. ︒欲〜お$︸甲一匡︶︒また︑第五共和制における議会の授権に基づくオルドナンス︵憲法第三八条︶ ︒︸中認9一〇. 一〇㎝o. フランス 刑 法 と 罪 刑 法 定 主 義.

(26) フラソス刑法と罪刑法定主義. 二六八. にもあてはまる︒人民投票に基づいて成立する法律︵憲法第一一条︒一〇π陳酵窪倉B︶を根拠に行われた行政府の行. 為についても︑その行為はこの法律の定める限界を超えることができない︒破穀院判例はないが︑コンセイユ・デタは ︵51︶. 人民投票によって成立した一九六二年四月一三日の法律第二条を根拠にするオルドナンス︵一九六二年第六一八号︶. 違法の抗弁は行政行為が犯罪成立要素とどのような関係にあるとき認められるか︒権限争議裁判所は︑防禦方. に対する越権訴訟を認めたので︑刑事裁判所もこの種のオルドナンスの違法性を審査しうる︒. ⑤. 法として用いられるときにも違法の抗弁を認める︵前記アヴランシュ判決︶︒破穀院は︑﹁刑事制裁をおびた行政行為﹂. についてのみその適法性審査を認める︵前記ルルー判決︶︒﹁刑事制裁をおびた﹂という表現は不明確であるが︑その ︵52︶. 後︑一九六七年に破穀院は︑﹁それ自体刑罰で制裁されない個別的行政行為﹂の適法性審査権が刑事裁判官にないこ. とを明言した︒この結論は︑権限争議裁判所の論理から引き出すことができる︵個別的行政行為審査の否定︶し︑破. 殿院の論理からも導くことができる︵刑事制裁を課されない行政行為審査の否定︶︒両者の対立関係が解消したとみ. るのは早計であろう︒違法の抗弁が﹁抗弁﹂制度の一環として出現したことを考えれば︑訴追に対して被告人が別の. 行政命令に従ったことを防禦方法として主張しながら︑実はその命令が違法であったと﹁抗弁﹂することは︑ありえ. ぬ事態ではないが︑稀である︵但し︑民事事件では︑防禦方法として違法の抗弁を想定するのは意味がある︶︒その. ような事態を予定するアヴランシュ判決は︑確かに﹁非論理的﹂である︒他方︑防禦方法として主張された行政行為. の適法性の有無は︑被告人の行為の違法性の有無に影響する︒﹁刑事裁判権の完全性﹂の観点に立てばルル!判決も. 不十分である︒しかし︑アヴランシュ判決の論理は︑結局︑犯罪成立の積極的要素をなす個別的行政行為の適法性を.

(27) 司法審査から排斥することになるのに対して︑ルルー判決は︑このような個別的行政行為の審査を刑事裁判官に留保. ︵54︶. する点で︑﹁人権擁護者たる刑事裁判官﹂の観点からは︑一歩前進である︒一九六七年判決︵O貸ミミ馬亀§ミ鳴§\蕊 ︵53︶. 刑事裁判官は︑行政行為が形式不備の場合︑無権限で行われた場合︑法律を侵犯する場合︑権限濫用となる場. 事件︶は︑これを消極面で確認した︒. ⑥. 合には︑その行政行為を違法とし︑適用を拒否しうる︒このうち法律侵犯には︑成文法に反する場合だけでなく︑. ﹁法の一般原則﹂に反する場合も含められている︒これは︑コンセイユ・デタが形成してきたいわば判例法であるが︑. その基礎は︑人権宣言にある︒破殿院もこの原則に依り行政行為を審査してきたが︑法律の規定の介在を必要として. いた︵行政行為の法律適合性の審査︶︒一九四六年の判決は︑法の一般原則に直接依拠して行政命令の違法を認めた 点に特色がある︒. ・ーヌ県知事のアレテは︑売春婦が長時間立ち停りまたは様々な場所においてしきりに往来することを禁止した︒. 破殿院は︑このアレテが時間と場所の限定を著しく欠き︵終日中︑・ーヌ県全体・リヨン市のほぽ全域で公衆の近づ. きうる私的公的施設付近や住居の入口にまで及ぶ禁止︶︑一定の人物の公道上の往来をほぽ完全に禁止することにな ︵55︶ り︑公的自由︵往来・停車の自由︶を一般的に規制するので違法だと宣言した︒判決は︑理由の中で︑市町村行政組. 織に関する法律︵一八八四年︑第九七条︶にも言及しているが︑このような一般的禁止をアレテで定めることを明記 していないことを指摘しているに止まる︒. 二六九. この外にも︑法の一般原則︵公的自由と平等がその主要な内容である︶を根拠に法律を解釈し︑結論として行政行 フランス刑法と罪刑法定主義.

(28) フラソス刑法と罪刑法定主義. 二七〇. 為の違法を認める判決は︑意外に多い︒行政行為の実効性を担保する手段として刑罰を多用するフランスのような制. 度において︑刑事裁判官の役割が重要な地位を占めていることが︑このことによっても理解できる︒ ︵56︶. ⑦行政行為の適法性審査に権限濫用象8葺器目①昇号宕薯9﹃の理論を用いる点で︑刑事裁判官と行政裁判官. に相違はない︒しかし︑その内容はかなり異なるようである︒権限濫用とは︑行政当局が委託された目的と異なる目. 的を追求するために自己の権限を用いることである︒行政の目的は公共の利益にあるから︑問題になるのは︑公共の. 利益以外の目的を追求する場合と法律の規定する以外の公共目的を追求する場合である︒刑事裁判所は︑長い間この ︵57︶. 領域にふみこむことを躊躇してきた︒明白な権限濫用に限って︑法律の侵犯という廻り道を通り︑行政行為の違法を ︵58︶. 確認する例もあった︒この逡巡には理由があった︒権限濫用を認めるには︑行政行為者の意図を考慮しなければなら. ない︒裁判官は︑行政行為の適宜性の評価にさらされる︒しかし︑個別的行政行為を適法性審査の対象として承認. し︑不公正な行政行為に基づく処罰から国民の自由を守護するためには︑権限濫用概念を行政行為の適法性の基準に 取り入れざるをえない︒. 前記ルルー判決は︑町長の不許可処分を︑その意味と動機を考慮して︑違法と断じた︒しかし︑これは︑明白な権. 限濫用の例ではなく︑権限濫用概念を採用したとは言いにくい︒一九六四年の判決は︑権限濫用を理由とする抗弁を 認めた最初の判例と言える︒. カンヌ市長のアレテは︑外国軍艦の錨舶中埠頭・浜辺・街頭での立売り︵<①旨①℃畦ヨ畦9き8帥日ぎ一き芭を. 禁止した︒その違反にとわれた被告人は︑違反したとされる条項が︑カンヌ市警察署長のグラースの共和国検事宛の.

(29) 手紙で判明したように︑良俗と公共の安全を目的としてではなく定住商︵8目ヨR8器8暮巴お︶を奨励する目的で ︵59︶. 設けられたという抗弁を提出した︒破殿院は︑この抗弁の審理が刑事裁判官の権限に属することを認めたが︑その事 実はないとした︒. ︵60︶. 権限濫用の抗弁は︑違法の抗弁の中に取り容れられた︒残るは︑立証の問題︵行政行為の理疵の立証は書証による︶ だとされる︒. ⑧通達︑訓示など回状︵o旨2巨冨︶が行政執行に影響を及ぼすことが多い︒とくに経済領域ではそのことは顕著. である︒回状を信頼したことを﹁善意﹂の証拠としうるか︑回状を正当化の根拠としうるか︑あるいは逆に回状の指. 示を守らないことが過失における規則の不遵守︵ぎo訂R<讐一2号冨αQ一〇ヨo旨︶に当るかなど問題はあるけれども︑. ︵614. 回状そのものには法源性が認められていない︒それは︑単に指示的な役割を認められるにすぎない︵9善﹂o︒甘冒. 一8銅いρ即おβ戸5認一︶︒従って︑違法の抗弁の対象にならない︒これが原則である︒. しかし︑例外的に︑回状に規範的性格が与えられることもある︒為替規制にかんするオルドナンス︵一九四五年五. 月三〇日︶第一四条は︑明文で︑大蔵大臣および為替局の﹁指示﹂による法規の補充を認めている︒この場合には︑ 違法の抗弁を提出することができる︒. 〇〇〇i一〇 Oユヨoo鎚o律一〇〇一ρω■oげμ一〇 〇一ど一る漣・ぎ黛.℃国い田↓鵠菌い.巷短曾一彗博o昌αo訂一猪曽一凶叡αoω帥9①ω区ヨ凶急ω賃卑ユ︷ω. 冨吋写甘αq①叡冥窃ωヌ浮●℃震冨℃お蜜︑℃マ嵩℃一9臼9幹なお︑宮沢俊義﹁フランス法における違法の抗弁﹂︵同﹃憲. ︵43︶. 二七一. 宮沢・前掲書︵注43︶五九ー六一頁︒なお︑権限争議手続にかんするオルドナンス︵一八二八年六月一日︶は︑﹁以下の場. 法と裁判﹄ 一九六七年︶五二ー五七頁︒ ︵44︶. フランス刑法と罪刑法定主義.

(30) フラン ス 刑 法 と 罪 刑 法 定 主 義. 二七二. 合でなければ︑軽罪にかんして争議を提起しえない︒1.軽罪の処罰が法律の定めにより行政権に与えられる場合︑2.権限争. ω愚さミ静U.一〇漣︸一目︸匿. 暮oユまの℃器ヨ凶三曾円碧一︿窃9冒象99器の卑一.碧冒曾冨二〇昌αo冨一聲巴凶叡b貰一〇甘のo. 8昌o一・匡>弓↓国ヨω●一旨ρ一戸劇O℃590国>ご困oq.. 強する論拠になるとする者もいる︒U零ooρo℃・o拝︵昌o器①︶P一〇麻・. 議裁判所の行う判断が法律の定めにより行政権の先決的判断にかかわる場合﹂︵第二条︶と規定する︒これも司法審査権を補. ↓ユげ仁昌巴ユ800昌岳黄一〇甘ぎ一8ω. 勺宥ざピ帥ω曾四冨菖o昌含oω. なお︑宮沢・前掲書︵注43︶六二ー六五頁︒. ︵45︶. ︵46︶. βρq甘崖・お田. ﹄qミ§ミ匂ミb象§ミ価登U︒這認噛ミ一昌o霊ωい>国<o国ご9お認﹂一どど8器>o巽・兼子仁. 叡冒窃o・算き 匡画帥昌αqoω勺>自ヌ一89℃●Oooり. Oユ目.bo一象Ω一8どU・一8馳・さ紳3マ08↓>恥一ρ即一8鯉鼻旨Ooo9き言い>鼠>幻ρq国・兼子・前掲書︵注47︶八. ℃宥ざo℃︒9﹃︵昌o霊盆︶︑℃︒一〇ど一〇〇〇●. ︵47︶. ︵48︶. ﹃現代フランス行政法﹄︵一九七〇年︶八四頁以下︑九六頁︒. ︵49︶. ︵50︶. 〇昌90∪国ωω>ωo=● ρ国一 〇 〇 9 . 一 8 ρ U ● 一 8 N ℃ O o oごいρ勺●一8ω℃戸一〇〇〇〇〇. U零ooρoロ︒9ρ︵昌90①︶矯づ︒一〇戯︒. 六i八九頁︒. ︵51︶. OユB●膳甘旨.一〇㎝一︸ω●一〇ω嚇崔昌o〜一8ω︸U●一§. 〇二B●一①吋冒言一3メO. 〇P﹄§ミ斜ω.一漣ρ一℃どロo富寓国胃国ヨ㎝甘筥・一8ど切§ミ鼻U︒一霧ど①一倉昌o冨い・rρ OユB︒器欲く●一〇〇. 8㎝︸ロo$OFU●. ︵4 5︶. U零8ρ8・o霊︵8霊①︶戸一〇91﹁適法性の審査から適宜性の評価へすべり落ちるのを恐れて︑刑事裁判所は︑行政. OユB︑一跨欲く・一〇q9ω︒一一〇〇旧U 一〇qρωO㎝・. ロ03い>竃>男Oqφ. ︵52︶. ミミ〜禽猟黛§恥さ鳶斜いρ悼一〇①oo讐一一℃一30q. ︵53︶. ︵56︶. ︵55︶. Oユヨ︒一〇m<ユ一一〇ω9U■=●一〇ω9ω一〇●. 裁判所より賢明にこの概念を用いる﹂︒なお︑阿部泰隆﹃フラソス行政訴訟論﹄︵一九七一年︶一一六頁以下︒ ︵57︶.

(31) ︵58︶ Oユヨ.旨8 一8μO欝.勺餌一●一〇ωμ鱒09旧Nωま. び. 一〇認℃P8ω9の. 一〇ωo︒. ω℃︒曽ω魯の●. O震.勺9一﹂Oωo ︒し℃零ρ. 冒3器日言冨q葺貯3. ︵59︶ 9言︒謡冒冒一8倉§鴨旨︸ω愚譜O嚇謡冒冒一8鰹9ミ§勲いρ型一〇①♪一一℃一ω鍵ρ昌03舅O・ ︵60︶り目oヌピ窃αq声巳ω霞﹃ゆ富畠︒一餌甘冴蜜且88R言ぎ︒一一ρ一零9ρど℃●︒一︒. 結. 甘島o或﹃ρ︾・一︒∪●︾も. ︵61︶ このような問題解決に疑間を示す者もいる︒ωいq鼠>zz・い︑巷三ざ讐δ昌α窃9旨三. 四. ℃貰一〇甘伊qo. 法律の優位を背景に成立したフランス革命初期の罪刑法定主義は︑その厳格な法定性の上に人権保障︵人身の自由︶. の砦を築こうとした︒しかし︑歴史の現実の前に︑この罪刑法定主義の﹁原型﹂は︑それを支える基盤を喪失すると. ともに︑あるいはそのような基盤を成立させないままに︑変容し︑衰退していった︒その原因のうちには︑社会にお. ける矛盾の拡大とともに増大する刑罰法規のインフレーションがあった︒とりわけ︑行政事務の増大となって現われ. る行政権の強大化は︑その事務執行の確保を刑事罰にもとめることにより︑刑罰法規のインフレ:ションに拍車をか. けた︒それに平行して︑立法権を行政権が蚕食する現象が充進する︒委任命令は︑その一つの現われであり︑独立の. 行政立法を憲法制度として樹立することで最高潮に達した︒このような法律の頽廃︵象島ロ8一9︶の中で︑人権保. 障の担い手が立法府から司法府へ移行する︒厳格な解釈の要請は︑このような過程の中で緩解し︑ますます﹁人権の 擁護者である﹂司法府に重い使命を与えるようになる︒. 二七三. われわれは︑何故﹁厳格な法定主義﹂が変容するのかを検討してきた︒では︑どのような﹁罪刑法定主義﹂をその フランス刑法と罪刑法定主義.

(32) フランス刑法と罪刑法定主義. 二七四. 国家形成と社会構造との関連の中で構想すべきであるか︒それは︑立法府の活生であろうか︑ 司法府への信頼であろ うか︒ * ピ齢>ご↓鼻U3津駄昌巴9α似ヨ8冨菖ρき%匡似富昌ひqoω>2畠ご一S9ρ員℃D一臼oけω︒.

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参照

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