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2. FSAP 方式による画像化原理

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Academic year: 2022

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低周波アレイ探触子による非均質材料内部の空隙の超音波画像化

愛媛大学大学院 学生員 ○矢野智之,川村 郡  愛媛大学大学院 正会員  中畑和之,岡崎慎一郎

1. はじめに

コンクリート等の非均質材料中では,介在物による 多重散乱の影響で,超音波の減衰が顕著となる.従っ て,非均質材料に対して探傷を行うには,より高い 電圧で素子を駆動したり,連続波を送信してSNを向 上させる必要がある.金属部材ではアレイ探触子が 積極的に導入されているものの,これまで,電子ス キャン装置のハードウェアの問題で,非均質材料に対 する超音波アレイ探傷は行われていない.

著者らは,超音波アレイ探触子を用いた内部欠陥 のイメージング手法として全波形サンプリング処理 (FSAP)方式1)による画像化を提案している.FSAP 方式ではコンピュータ上で波形を重ね合わせるため,

単純な素子切り替え機能付きの探傷器でアレイ探触 子を制御できる.そこで,本研究では,低周波数域の アレイ探触子を設計し,これをFSAP方式に組み込 むことで非均質材料中の欠陥画像化を試みた.本研 究では,非均質材料として骨材率の異なるモルタル 供試体を作成し,供試体中に設けた人工欠陥(空隙) の画像化を行う.FSAP方式による画像化の精度に最 も寄与するパラメータは音速である.ここでは,画 像化の前に,骨材率の変化に伴う音速の変化につい てイメージベース動弾性有限積分法2)(EFIT)を用い て数値解析的に考察を行う.その後,人工欠陥の画像 化結果を示す.

2. FSAP 方式による画像化原理

一般的な電子スキャン装置では励振タイミングを 制御する内部回路によって集束ビームを作っている が,FSAP方式ではコンピュータのメモリ上の演算で ビームを合成する.FSAP方式による超音波の送受 信概要を図–1に示す.素子番号1で送信した超音波 は欠陥で散乱し,そのエコーは1から4番の各素子 で受信される.このとき,4つのエコー(M11M12M13M14)が波形記憶マトリクスに保存される.次 に送信素子を変えて,同様に各々の素子で受信して いくと,波形記憶マトリクスの要素が全て埋まるこ とになる.アレイ探触子の素子の総数がN個ならば,

組み合わせはN2パターンとなる.波形記憶マトリ クスから必要な波形パターンを選択し,これにコン ピュータメモリ上でディレイを設定して,画像化した い領域の1画素にビームが集束するように波形を合

成する.その画素とアレイの中心までの路程から計 算された到達時間に相当する集束ビームの振幅値R をプロットすることで,欠陥像の再構成を行う.

FSAP方式は,原波形を保存しているため後処理 で任意の波形操作が実行できるのが特徴である.こ こでは,欠陥エコーから抽出した散乱振幅3)を欠陥 の画像化に利用する.空洞欠陥からの散乱波の場合,

散乱振幅は理論的には負方向の矩形状のパルス波形 となる.これを用いれば高分解能を有する画像化が 期待できる.ここでは,参照波を用いて欠陥エコー から散乱振幅を抽出している.

1

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2 3 4

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12 13 14

21 22 23 24

31 41 32 42 33 43 34 44

1 2 3 4

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– 1 FSAP方式によって計4素子で送受信した場合の 波形記憶マトリクスに保存される波形パターン

3. 超音波伝搬速度に関する検討

欠陥画像化の前に,イメージベースEFIT2)を用い た数値解析によって,介在物の体積率(骨材率)が変 化した場合の供試体中の音速の変化について検討を 行う.幅50mm,高さ200mmで,骨材率が異なる3 つのモルタル供試体の数値モデルを考える.ここで は,モルタル中に空隙が無く,骨材のみが分布してい ると仮定する.数値モデルの骨材の粒度分布は実験 の供試体と同じように設定し,乱数発生プログラム を用いて粒度分布に準じて骨材をランダムに分布さ せた.本解析では,セメントペーストの縦波音速は 3711m/s,横波音速は2143m/s,密度は1989kg/m3 とした.実験で用いた骨材の音速を計測するため,骨 材を1辺が1cmの立方体に加工し,小型の超音波探 触子を用いて計測した.その結果,骨材の縦波音速は 5450m/s,横波音速は3147m/sとなった.また,密 度は2478kg/m3である.EFITのパラメータとして,

セル長∆x=0.05mm,時間間隔∆t=0.005µsとした.

このときの超音波伝搬速度の計算結果を図–2の赤印 で示す.図–2からわかるように骨材率が大きくなる

キーワード:非破壊検査,超音波,低周波アレイ探触子,欠陥再構成,全波形サンプリング処理(FSAP)方式

790-8577 愛媛県松山市文京町3,E-mail: [email protected]

土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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(2)

ᚘยኽௐ(m/s) ᚐௌኽௐ(m/s) ǻȡȳȈȚȸǹȈ 3711 3711

ᭌ஬ྙ10%ƷȢȫǿȫ 3841 3855

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ឬ᪦ඬˡ੿ᡮࡇ(m/s)

3300 3500 3700 3900 4100 4300 4500

0 10 20 30

ᭌ஬ྙ(%)

ᚐௌኽௐ ᚘยኽௐ

図– 2 超音波伝搬速度の計測結果と解析結果の比較

と音速は上昇することがわかる.図–2には,比較の ために計測実験で得られた音速を青印で示す.以上 より,計測による音速と数値解析モデルから算出した 音速は良好に一致することがわかる.非均質材料中 の音速は,介在物とその体積率が支配的なパラメー タであり,数値解析によって精度良く推定できる.

4. 低周波アレイ探触子を用いた非均質材料内 部の画像化

図–3 に示すような骨材率が異なる4 つのモルタ ル中の空洞欠陥の画像化を行う.図–2より,それぞ れの縦波音速は3711m/s(供試体A),3841m/s(供試 体B),3946m/s(供試体C),4015m/s(供試体D)であ る.供試体中に作成した空洞欠陥の直径は,それぞ れ19.4mm,19.2mm,19.4mm,19.2mmであり,空 洞欠陥を中心とした100mm×100mmの範囲を画像化 の対象とした.使用したアレイ探触子は24個の振動 素子が配列されており,素子幅は4.9mm,中心周波

19.4

140.4 203.4

(mm) ဒ΂᪸҄؏

63.0 100

100 19.2

140.8 200.3

(mm) ဒ΂᪸҄؏

59.5 100

100

19.4

138.5 201.1

(mm) ဒ΂᪸҄؏

62.6 100

100 19.2

138.2 200.0

(mm) ဒ΂᪸҄؏

61.8 100

100

̓ᚾ˳C ̓ᚾ˳D

̓ᚾ˳B

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Ჴ4014m/s Ჴ30%

– 3 モルタル供試体の仕様

-50 -25 0 25 50

-10 15 40 65 90

-50 -25 0 25 50

-10 15 40 65 90

-50 -25 0 25 50

-10 15 40 65 90

-50 -25 0 25 50

-10 15 40 65 90

ᭌ஬ྙ

0%

ᭌ஬ྙ

10%

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20%

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30%

0.5 0

1.0 -0.5 -1.0

R

̓ᚾ˳C ̓ᚾ˳D

̓ᚾ˳B

̓ᚾ˳A

図– 4 モルタル供試体中の空洞欠陥の画像化結果

数は400kHzである.ここでは,欠陥が無い位置で計 測した供試体の底面エコーを参照波として用い,散 乱振幅を抽出している.アレイ探触子を供試体の上 部に設置して超音波の送受信を行い,画像化を実行 した結果を図–4に示す.骨材率が増加するとエコー のS/N比は低下するものの,30%の骨材率を有する 供試体でも,良好に欠陥画像化ができた.

5. 結論

本研究では,低周波アレイ探触子を用いて,FSAP 方式による非均質材料中の空洞欠陥の画像化を試み た.ここでは,画像化の前に,イメージベースEFIT を用いて数値解析的に音速の検討を行った.音速が 定量的に評価できたので,これを元にモルタル中の 空洞欠陥に対して画像化を試みた結果,骨材率が増 加するとエコーのS/N比は低下するものの,良好に 欠陥形状の推定ができることを示した.今後はコン クリート材料について本手法を適用したいと考える.

その場合,多重散乱や減衰がキーワードになると想 定されるが,波動伝搬解析との比較を含めて,詳細 な検討を行っていきたい.

参考文献

1) 中畑和之,平田正憲,廣瀬壮一:全波形サンプリング 処理方式を利用した散乱振幅からの欠陥再構成,非破 壊検査,Vol.59, No.6, pp.277–283, 2010.

2) 中畑和之,木本和志,廣瀬壮一:動弾性有限積分法を用 いた波動伝搬解析のためのイメージベースモデリング,

計算数理工学論文集,Vol.7, No.2, pp.267-272, 2008.

3) Schmerr, L.W.: Fundamentals of Ultrasonic Nonde- structive Evaluation, Plenum Press, New York, 1998.

土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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参照

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