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斜面上の波動場における組織渦構造 と気体交換機構

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Academic year: 2022

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(1)応 用 力 学 論 文 集Vol.11,pp.817‑824(2008年8月)土. 木学会. 斜面上の波動場における組織渦構造 と気体交換機構 Organized. Vortex Structures. and Air-Water. Gas Transfer. in the Wave Field on a Sloping. Bed. 杉 原 裕 司*・ 河 津 那 由他**・ 桜 木 幸 司***. YujiSUGIHARA, NayutaKAWAZUand KojiSAKURAGI *正 会 員. 博 士(工)九 **非 会 員 ***非 会 員. 州 大 学 大 学院 准 教 授 修 士(工)新 修 士(工)JFEス. 総 合 理 工学 研 究 院(〒816‑8580福. 日本 製 鐵 株 式 会 社(〒100‑8071東. 岡 県春 日市春 日公 園6‑1). 京都 千代田区大手 町2‑3‑3). チ ー ル 株 式 会社(〒100‑0011東. 京都 千代 田区内幸 町2 .2.3). The gas transferof CO2at the air-waterinterfacewhen regularsurfacewavesrun up a sloping flat bed is investigatedexperimentally. The CO2absorptionprocessis visualizedby using a laser-inducedfluorescencetechnique(LIF). We found out in the vicinity of the air-water interface,organizedvorticeswhoserotationdirectionis oppositeto thatof the offshorevortex train,which was reportedby Matsunagaet al. The counter-rotatingvorticesare found to promoteefficientlythe gas transferat the wavy air-waterinterfacein the offshorezone. The local gas transfer velocity is obtained from an image processingfor LIF images. It is quantitativelyconfirmedthatthe transfervelocityincreasesdueto the organizedvortices. Key Words:gas transfer,organizedvortex,offshorevortex,air-waterinteiface,LIF. 1.序 論. 気 液界面 での気 体交換 が促 進 され て いるので はないか と い う仮説 が成 り立つ.こ の よ うな組織 渦が,気 液界面での. 気液界 面での気体交換量 を定量化す るこ とは,地球温暖 化 に代表 され るよ うな環 境変動 の予測 手法 を確 立す る上 で重要 な課題 である.CO2やO2な どの低溶解 性の気体 の 交換は,主 として液相側 の流体運 動に支配 され ている.海. 2輸 送 に どの よ うな役 割 を果 た してい るの かを調べCO る こ とは,環境流体力学 の立場 か らも極 めて興味深い問題で ある. Woodrow and Duke4)は,O2を トレー サー気体 とす る レー. 洋 に風 が吹 くと水 表面 にせ ん断力 が作用 し,それ に起因す る流 速シアーに よって水表面近傍 に乱流渦 が形成 され る. Kamran et al.1))は,風 洞 水槽 において,PTVを 用 いて風波 下 の流速場 を計測 し,得 られ た流 速デー タか ら気体交換 を促. ザー誘起蛍光法(Laser‑induced fluorescensen techique:LIF). 進す る大規模 な乱流 秩序構 造 を抽 出 した.そ のよ うな大規. 動 によって水表面が伸縮 し,それ に伴 い境 界層厚 さが変動. 模 な乱流渦 が存在す る領域 は,そ の他 の領域 に比べて気体 交換速度 が2.8倍 も大き く,全 気体交換 のおお よそ60%を. す るこ とに起因 してい ると考 えられ る.従 って,波 動気液 界面 には,層流的 な気体交換の促進機 構も存在 して いる と 思 われ るが,そ の よ うな機 構について の研究例 が少 な く,. 担 っているこ とが示 され た.こ の よ うに,風 応力 が作用す る風波 下の水 中は乱 流的で あ り,そのこ とが気体交換 を促 進す る大 きな要 因になってい る. 風応力の作用 しない非砕 波波動場 には,気 体交換 を促 進 させ る機 構は特に存在 しない よ うに思 われ る.し か し,. を用 いて規 則波 に よる波動 場の濃度境 界層厚 さを計測 し, 波 の位相 によって境 界層厚 さが変化 して,気 体交換速度 が 波 の谷 の部分で最大 にな ることを示 した.こ れ は,波 動運. よ り多 くの実験的知見が求め られてい る. 本研 究の 目的は,斜 面上 を伝播 する2次 元規則波動場 に おいて,組 織渦 による気体交換過程 を レーザー誘起蛍光法 (以下LIF)を 用 いて直接 可視 化す るこ とで ある.ま た,. 斜面上 を波 が伝播す る場合,砕 波帯外 にお いて も,砕 波点 で生成 され た乱れ が定常循環流 に乗 って移 流 して くるこ. 得 られたLIF画 像か ら,波の位相 に沿 った局所的 な気体交 換速度 を算出 し,組織渦 が どの程度気体交換 に寄与 してい. とに よ り,波 動場 が渦 動的 になる こ とが知 られて い る. Matsmaga etal.2)3)は,そ の よ うな斜 面上の砕 波帯 外におい. るのか について も定量的に検討 す る.. て組織 的 な渦列(offshore vortex train)が 形成す ることを実験. 2.実 験装置 および 実験 方法. 的 に見 出 した.砕 波点 か ら放 出 された乱れが沖向 きの定常 流 に乗 って砕 波帯外 に移流 し,定常循環流の シアーか ら渦 度 が供給 され るこ とで,組 織的 な渦列が形成 され ると考 え られ ている.こ こで,こ の砕 波帯外の渦 運動 に よ り,波 動. ―217―. 図‑1に,本 研究 で用 いた実験装置 の概略図 を示す.実 験には透明アク リル板 で作 られ た長 さ6.2m,深 さ0.5m, 幅0.15mの2次. 元造波水槽を用いた.水槽 の一端には造波.

(2) 図‑1LIFに. 図‑ 2LIFに. 関す る実験装置の概 略図. よ る可 視 化 の一 例. (撮影領 域:横18cm×. 図‑. 30offshore vortevx とsurface. 縦12cm). (撮 影 領 域:横18cm×. offdshore vortex 縦12cm). 置 され て い る.斜 板 の 勾 配 θは2.68° に 固 定 され て お り,. そ の 値 にな る よ うに 調整 した.本 実 験 で は,ア ル ゴ ンイ オ ン レー ザ ー の ス リ ッ ト光 を水 槽 直 上か ら水 表 面 に挿 入 し,. 水 平 床 にお け る平 均 水 深 は0.20mで. 水 槽 に 対 して 固 定 され た デ ジ タル ビデ オ カ メ ラ に よ っ て. 機 が取 り付 け られ て お り,他 端 には 長 さ5.0mの. 斜板が設. あ る.造 波 板 の 振 動 周. 期Tは1.25sで あ り,斜 板 上 に入 射 す る規 則 波 の 沖 波 波 長 と沖 波 波 高H0は,そ れ ぞ れ2.4mお よび0.06mで あ る. L0 はgT2/2π か ら,H0は. 水 平床 部 で撮 影 され た水 面 変 動L0 の. 水 表 面 の 下 か ら角 度 をつ けて撮 影 を行 っ た.そ の 際,CO2 を水 槽 の 奥 行 き方 向 に 一様 に5l/minの 流 量 で 供 給 した,ま た,デ ジ タル ビデ オ カ メ ラの解 像度 は640×480pixels,フ. デ ジ タル ビデ オ画 像 を解 析 す る こ とに よ って 評 価 した.こ. レー ム レー トは30framesで. こ で,gは 重 力 加 速度 を示 す.な お,こ れ らの実 験 条件 は,. 12cmで. Matsunga. 補 正 は行 って い な い.カ メ ラ の レン ズ に は透 過 限 界 波 長 が. et al.3)に よ って 報 告 され た組 織 渦 の 形 成 条 件 を. あ った.撮 影 領 域 は18cm×. あ り,本 実 験 で は カ メ ラの 角 度 に よ る画 像 の 歪 み. 満 足 して い る こ とに注 意 する.ま た,組 織 渦 が形 成 され て. 520nmの. い る か否 か を確 認 す る た め に,こ の 条件 に加 えてT=0.71s,. 撮 影 す る よ うに した.本 実 験 で は規 則波 を対 象 と して お り, レー ザ ー シ ー ト光 は波 の 伝 播 方 向 に 沿 っ て挿 入 して い る. 2.50sの 条件 の 可視 化 実験 も別 途 行 っ た.. シ ャー プ カ ッ トフ ィル ター を装 着 し,蛍 光 の み を. LIFを 行 う際 に 作 業 流 体 に溶 解 させ る蛍 光物 質 と して水. た め,レ ー ザー の屈 折 ・散 乱 の影 響 は か な り小 さ く,カ ッ. 溶 性 蛍 光 染 料 の フル オ レセ イ ンナ ト リ ウム(C20H10O5Na2). トフ ィル ター 以外 の 特 別 な 補 正 は行 って い な い.撮 影 は,. を 用 い た.フ ル オ レセ イ ンナ トリウム水 溶 液 がCO2を す る とそ の 部 分 のpHが. 吸収. 局 所 的 に低 下 し,そ の結 果 蛍 光 強. 砕 波 点 か ら沖 側1.3mの して 造波 後10分. 位 置 にお い て,静 水 状 態 か ら開 始. 程 度 ま で連 続 的 に行 っ た.な お,造 波 開. 濃度分布 を定性. 始 か ら数 分 程 度 経 過 後 に は,乱 流 場 は ほ ぼ動 的 安 定 状 態 に. 的 に可視 化 で き る.す な わ ち,流 体 中に レー ザ ー 光 を挿 入. 達 す る こ とを確 認 して い る.以 下 で示 す 全 て の画 像 にお い. した 場 合,高 いCO2濃. て左 側 が岸 方 向 で右 側 が沖 方 向 に対 応 して い る.. 度 が 低 下 す る性 質 を利 用 して溶 存CO2の. 度 の 流 体 塊 は 相 対 的 に 暗 くな り,低. い 流 体 塊 は 明 る く見 え る こ とに な る.な お,水 溶 液 の フル. 2にLIFに. よ るCO2吸 収 過 程 の 可視 化 画図‑ 像 の一 例 を. オ レセ イ ンナ トリウム 濃 度が2.5×10‑6mol/lの 場 合に蛍 光. 示 す.画 像 内 の 中 心 よ りや や 上 に 見 え て い る黒 い線 が濃 度. 強 度 が 最 大 に な る こ とが 過 去 の研 究5)か らわ か っ て い るた. 境 界層 を 示 してお り,そ の 中 心線 が水 表 面 の位 置 に相 当す. め,本 研 究 で もフル オ レセ イ ンナ トリウム 水 溶 液 の 濃 度 が. る.水 表 面 よ り上 側 に写 って い る部 分 は,レ ー ザ ー シー ト. ―818―.

(3) (. (a)t=0s. (e)t=25s. t)t=30s. (b)t=5s. (g)t=35s. (c)t=10s. (d)t=15s 図‑4組. (h)t=45s 織渦構造に よる気体交換過程(撮 影領域:横18cm×. ―819―. 縦12cm).

(4) 図‑ 5bottom. offshore vortex. (撮 影 領 域:横18cm×. 縦12cm). 図‑6組. 織渦 構造の模 式図. 境 界 層 を更 新 す る過 程 をLIFに. よ って 可 視 化 した もの で. あ り,そ れ ぞ れ の 画 像 の 時 間 間 隔 は5sで あ る.図(a)に い て,中 央 右 側 にOV(A)が,中 の 存在 が確 認 で き る.図(b)で. 央 左 側 にOv(B)以. 下(B)). は,(B)が 沖方 向 に移 流 しな. が ら成 長 し,そ の右 上部 分 にSOV(C)以 めて い るの が わ か る.図(c)で. お. 下(c))が発 生 し始. は,さ らに 沖方 向 に移 流 し. つ つ,(C)が 境 界 層 を 界 面 か ら剥 ぎ取 りな が ら巻 き取 っ て い る様 子 が確 認 で き る.図(d)〜(9)の. 図‑7無 次元定常流速場の鉛直分布 上 のLIFパ. 一連 の 画像 に お い て,. (B)に よっ て(C)が 引 き伸 ば され,界 面 近 傍 の高 いCO2濃 度 の 流 体 が バ ル ク領 域 へ と引 き ず り込 ま れ て い る過 程 が 可. ター ンが レー ザ ー シー ト面 に よ りも手 前 の 水. 視 化 され て い る.そ して,図(h)で. は(C)は もはや 原 型 を と. 表 面 で 反 射 して 写 り込 ん で い る もの で あ り,本 研 究 で は 水. どめ て お らず,バ ル ク領 域 に拡 散 して しま っ て い る こ とが. 表 面 か ら下 側 に見 え る領 域 の み を検 討 対 象 とす る.画 像 下. わ か る.以 上 の よ うに,中 央 付 近 のOVと. 方 には 斜 板 が 写 って い る.. 成 し,溶 存 濃 度 境 界 層 を剥 ぎ取 っ て い く こ とで 気体 交換 を. 共 にSOVが. 形. 行 って い る こ とが 明 らか とな っ た.ま た,SOVがOVに 3.組 織 渦構 造 と気 体 交 換 過 程 の 可 視 化 結 果. よ って 移 流 ・ 伸 張 され る こ とに よ っ てCO2が. バ ル ク領 域 に. 効 果 的 に 拡散 ・混合 して い くこ とが わ か る. 本 章 で は,LIFに よっ て 可 視 化 され た組 織 渦構 造 を示 し,. 本研 究 で は ま た,底 面 付 近 にOVと. 同 じ方 向 の 時計 周 り. 組 織 渦 が どの よ うに気 体 交 換 を促 進 して い るの か につ い. の 渦 度 を持 つ組 織 渦構 造 を見 出 した.こ の組 織 渦 構 造 を こ. て 明 らか にす る.本 研 究 にお い て,従 来 認 識 され て い た. こで はbottom offshorevortex(以 下BOV)と. offshorevortex(以 下OV)と. る.図‑5にBOVの. は逆 向 きの 半 時 計 周 りの 渦 度. を持 つ,水 表 面 付 近 に 形 成 され る組 織 渦 構造 を見 出 した.. て,BOVが3つ. 連 な っ て形 成 して い る こ とが わ か る.こ. こ の渦 を,こ こで はsurface offshore vortex(以 下,SOV). の 組 織 渦 構 造 はOVと. と呼 ぶ こ と とす る.図‑3にSOVの. OVと. 構 造 を示 す.画 像 中. 央 付 近 に 時計 周 りの 渦 度 を持 つOVが OVと. あ り,そ の右 上 に. は 逆 向 きの,半 時 計 周 りの 渦 度 を持 つSOVが. で き る.SOVは. 確認. 多 くの 場 合OVと. 対 で 観 察 され た.本 実. 験 の可 視 化 位 置 にお い て は,OVは. 半 水 深 程 度 の 比 較的 大. き な ス ケー ル を有 して い るが,SOVはOVと. 水表面の間. に形 成 す るた めそ の ス ケー ル は相 対 的 に小 さ く,OVに. 同 じ回 転 の 渦度 を持 って い る た め. マ ー ジ ン グす る こ とが で き,バ ル ク領 域 の拡 散 ・混. 合 に大 き な役 割 を果 た してい る こ とが予 想 され る.ま た, こ こで はBOVが. 相 対的 に 明 る く可視 化 され て い る が,底. 面 近 傍 に は砕 波 点 方 向 に 向 か っ て 遡 上す る定 常 流 が 形 成 され て お り,BOVが. 沖 側 底 層 の よ りCO2濃. 度 の低 い流 体. か ら構 成 され て い るた め で あ る と考 え られ る.. よ. っ て伸 張 され て ス ケー ル を増 大 させ な が ら渦 度 を失 い 消 滅 す る.し か し,SOVは. 呼ぶ こ と とす. 構 造 を 示す.画 像 中央 の底 面 に 沿 っ. 4.組 織 渦構 造 の 形 成 機 構. 水 表 面付 近 に 形 成 され るた め,. 気 液 界 面 で の 気 体 交 換 に お い て 重 要 な役 割 を 担 っ て い る こ とが 推 察 され る.図‑4(a)〜(h)に,組. 織 渦 構造 に よ る. 気 体 交 換 過 程 の一 例 を示 す.こ れ らの 図 は,乱 流 渦 が 濃 度. ―820―. 6に,砕. 波帯 外 の組織 図‑ 渦 構 造 の 模 式 図 を 示 す.こ の図. の よ うに,底 面 付 近 には 規 則 波 の進 行 方 向 に 向 か う強 い岸 向 き定 常 流 が あ り,そ の補 償 流 と して,水 表 面 に沿 って.

(5) (a)規則波 の入射直後 図‑8砕. (b)十分時間が経 過 した後(5分 程度経過後). 波帯外におけ る規則波入射 直後 と十分時間が経 過 した後の様 子(撮影領域:横18cm× 縦12cm). 沖 向 き の 定 常 流 が形 成 され て い る.こ の 定 常流 速 場 に よっ て 底 面 付 近 に 形成 す るBOVは 近 に 形 成 す るOVとSOVは. 岸 方 向 に移 流 し,水 表 面付 沖 方 向 に移 流す る.こ こで,. 定 常 流 速 場 の 鉛 直 分 布 につ い て 考 え る.Longuet‑Higgins6) に よ って 示 され た,水 平 床 上 を波 が伝 播 す る とき の 質 量輸 送 速度 を表 す 理 論 式 は 次 の よ うに表 され る.. (1) 図‑9組. 織渦構 造 の形成領域. もの と思 われ る.ま た,SOVの. 寿 命 時間 は,図‑4で. も. 示 され た よ うに,お お よそ 数 十 秒 の オ ー ダ ー で あ る と考 え こ こで,U(z)は 質 量 輸 送 速 度,Hは 波 速,hは. 波 高,Lは. 波 長,Cは. られ る.. 水 深,ま た μ=z/hを 示す.本 研 究 で は 斜 面 を波. 図‑8(a),(b)に,砕. 波 帯 外 に お い て規 則波 を入 射 した. が伝 播 す る場 合 につ いて 調 べ て い るが,定 性的 には 斜 面 上. 直 後 と,あ る程 度 時間 が 経 過 した 後 のLIFの. で も この 式 で 表 され る 流 速 場 と類 似 した 流 速 場 に な る と 仮 定 して,便 宜 的 に この 式 を用 い て 考 察 す る.図‑7に,. 示 す.規 則 波 を入 射 した 直後 の(a)で は 濃 度境 界層 は ほ ぼ 一 様 な厚 さ を示 して お り ,水 中 には 乱 流 的 な構 造 は ほ とん. (πH/L)2Cで 規 格 化 され た 無 次 元 定 常 流 速F(μ)の 鉛 直 分 布 を示 す.底 面 か ら鉛 直 上向 き にz軸 を とって い るの で,μ. 時 間 が経 過 した 後(5分. が底 面 に相 当 し,μ=1が. 水 表 面 に相 当す る.F(μ)が =0 正. 可視 化 結 果 を. ど存 在 しない こ とが わ か る.一 方,規 則 波 を入 射 して 十 分 程 度 経 過 後)の(b)で. は組 織 的 な. 渦構 造 の存 在 が確 認 で き る.こ の こ とか ら,規 則 波 を入射. の とき が 沖 向 き の流 速 を,負 の とき が岸 向 き の流 速 を示 す. して か ら一 定 時間 が 経 過 す る こ とで,定 常 流 速 場 が 形成 さ. こ とに 注意 する.こ こでkは. れ,砕 波 点付 近 で発 生 した乱 れ が 岸 向 き定 常 流 に よ って移. の値 は0.5で あ る.式(1)は,肋. 波 数 で あ り,本 実 験 で のkh の値 に 関係 な く,水 表 面. 流 し,砕 波 帯外 の定 常 流 の流 速 シア ー に よ って 渦 度 が 強 化. 付 近 で 正 の最 大値 を取 る よ うな速 度 分 布 を示 して お り,こ. され る こ とに よっ て 気 体 交換 を促 進 す る組 織 渦 構造 が形. の 最 大 値 よ り底 面 側 の部 分 の流 速 シ ア ー に よっ てOVと. 成 され る もの と考 え られ る.ま た,こ れ らの組 織 渦 構造 は 一 時 的 に形 成 され る もの で は な く ,発 生 ・消滅 を繰 り返 し. BOVが. 形 成 ・強化 され,水 表 面側 の部 分 の流 速 シ アー に. よっ てSOVが. 形 成 す る もの と考 え られ る.ま た,肋. の値. な が ら同様 の 構 造 が維 持 され る こ とを確 認 して い る.以 上. 関与 す る流 速 シ アー は小 さ. の よ うに,波 動 が あ るだ けで は 渦 動 的 な構 造 は発 生 しな い. 関 与 す る流速 シア ー は若 干 で は あ る が大. が,斜 面 上 に波 が入 射 す る場 合 に は,風 応 力 の 作 用 しな い. が 大 き くな るに つれ て,OVに くな り,SOVに き くな る.OVは,沖. 向 きに移 流 しな が ら,マ ー ジ ン グ に. よ りそ の ス ケ ール を増 大 させ る た め,1つ. の渦 構 造 の寿命. 時 間 を 定義 す るの は難 しい.た だ し,砕 波 点 か らの到 達 距. 砕 波 帯 外 にお い て も渦 動 的 な 構 造 が 形 成 され る こ とが確 認 され た. 図‑9にMatsunaga. et al.3)が 示 したOVの. 離(形 成 区 間長)に つ い て は既 往研 究 力で 明 らか に され て い る.一 方,SOVに つ い て,OVの 形 成 機 構 と密 接 に 関 わ. 本 実 験 の結 果 をプ ロ ッ トした もの を示 す.こ. って い るた め,そ の 形 成 領 域 もOVの. り,規 則波 の 周 期Tが0.71s,2.5sの. 形 成 領 域 図 に,. それ と類 似 して い る. ― 821―. こで,HとL. はそ れ ぞ れ 局 所 的 な 波 高 と波長 を示 す.ま た,こ の 図 に 限 実 験 結 果 も併せ て示.

(6) 図‑10δ. とkLの 関係. してい る こ とに注 意 す る.こ の 図 にお い て,原 点 よ り右 上. ここで,Dは 溶 存気体 の分子拡散係数で ある.従 って,KL. 方 向 に 向 か っ て 描 か れ て い る 実 線(A)は 砕 波 限界 を表 して. を求め るためには境 界層厚 さ δを求 めれ ば良いこ とがわ か る.濃 度境 界層 は,水 表面近傍 で濃度が急激 に変化 する. お り,原 点 よ り図 の 中央 に 向 か って 描 か れ て い る一 番 下 の 実 線(C)は 組 織 渦 が 沖 側 で 消滅 す る境 界 を表 して い る.ま た,図. の 中 央 か ら右 下 に 向 か っ て 描 か れ て い る 実線(B)は. 斜 面 上 に入 射 す る波 の 沖 波 波 形 勾配 が4.0×102以. 下でな. けれ ば組 織 渦 が形 成 しな い とい う形 成 限 界 を示 して い る. 1.25sの 左 側 の3点(黒. 色)に お い て は 組 織 渦が 形成T=さ. れ て い る こ とが確 認 され た.肋 OVが. 支 配 的 で あ り,肋. の 一 番 小 さい左 の 点 で は. の大 き い右 の2点 で はSOVが. 支. 配 的 で あ る こ とがわ か った.こ の こ とは,先 の 質 量 輸 送 速. 領域であ る.LIFの 可視 化画像において,CO2の 濃度変化 は輝 度の変化に対応す るので,LIFに よって得 られ た輝度 デー タか ら,輝 度 が急激 に変化す る領域 を判 定 し,そ の厚 さを求め ることで境 界層厚 さδを求 めるこ とができる.水 面直上 か ら入射す る レー ザー光が水 中で徐 々に減 衰す る 効果(ランバー ト減衰)を補正後 に,濃 度分布 か ら境 界層厚 さを算定 した.境 界層厚 さと輝 度値の間には,次 の よ うな 関係があ る.. 度 の流 速 場 の 依 存 性 と矛 盾 しな い 結 果 とな っ て い る.な お, 規 則 波 の 周 期Tを0.71s,2.5sと の うち図‑9の. (3). した実 験,ま た周 期T=1.25s. 右 側2点 の 実 験 にお い て は,OV,SOVの こ こで,Ib,liお. 両方 とも見 出す こ とは で き なか った.. よびI(z)は,そ れ ぞれ バル ク層,水 表 面,. 水 深zに お け る輝 度 値 を 示す.こ の 式 の 両辺 に 対 数 を取 り, 5.組 織 渦 構 造 と 気 体 交 換 速 度 の 関 係. 境 膜 モ デ ル8)に よれ ば,気 体 交換 速 度KLは,境. をXと. δ. ln(Ib‑I(z)/(Ib‑Ii). (4). 界層厚 さ. を用 い て次 の よ うに表 され る.. お く と,. と表 せ る.水 深zとXの. 関係 に最 小 二乗 法 を用 い て 直線. 関 係 を 適 合 させ,そ の 傾 きか ら境 界 層 厚 さ δを 求 め た.式. (2). (3)の 関係 は水 表 面付 近 で よ く成 り立 っ と考 え られ る の で, こ こで は(Ib‑I(z))/(Ib‑li)<0.3の 範 囲 のデ ー タ に対 して最 小 二 乗 法 を適 用 して い る.こ の よ うに して得 られ た境 界層. ― 822―.

(7) 図‑12規. (a)t=10〜20s. 則 波入射 直後 のkLと ηの関係. 付近でKLが 最 大値 を示 してお り,その時間 に組織 渦 による 気体交換が最 も促進 されてい ることがわか る.δやKLが 波 の周期Tよ りも十分大 きなタイ ムスケール で変動 してい るの は,Woodrow. and Duke4)の示 した波動界面の伸縮 によ. る機構 とは別に,組織渦 に起因 した渦動的な気体交換の機 構が 作用 してい るためであ る. 図‑12に 規 則波 を入射 した直後 のKLと ηの関係 を示 してい る.こ こでは組織渦は まだ存在 していない こ とに注 意す る.多 少 時間 の経過 した5s以 降 に着 目す る と,η が 極大の位相でKlが 小 さくな り,極 小の位相で大 き くなる と い う逆 相 関 の 関係 が 見 られ る.こ の よ うな 関係 は, Woodrow and Duke4)によって報告 された結果の妥 当性 を支 持 している.こ の よ うな挙動 は,図‑11の. (b)t=20〜30s. 図‑11δ,kム. お よ び η の 時 系列. 厚 さ δの 値 を式(2)に 代 入 して気 体 交 換 速 度KLを 算 出 した. 図‑10に,LIFに. よっ て 可視 化 され た組織 渦 と,δ お. よびKLの 関 係 を示す.画 像 の 両端 で レー ザ ー の 減 衰に よ り 輝 度 が 小 さ くな るの で,両 端 を除 い た10cmの. 範囲につい. て δとKLを 算 定 した.こ こ で画 像 の 左 端 をx=0と. 組 織渦が通過. す る前の時 間帯で も確 認 でき る.従 って,Woodrow and Duke4)が報告 した この よ うな挙動は,波 動気液界面が示す. して い る.. 画 像 の 中央 付 近 にOVが2つ 並 ん で お り,そ の 間 にSOV の存 在 が確 認 で き る.こ の 画 像 で は,中 央 のSOVが 活発. 普遍的 な特 性であ ると考え られ る. 組織 渦構 造の気体交換への寄与について50秒 間のデー タ を基 に検討 した.図‑11の. 結果 に基づ いて,明 らかに組. 織渦 構造 が気 体交換 を促 進 してい る と考 え られ るKL> 0.035の 場 合を,組 織渦 構造 による気体交換への寄与部分 と定義 した.全 時間 帯のKLの 平均値 と比較す る と,組織渦. る境 界 層 が最 も薄 くな って い る.KLの 分 布 を見 る と,そ の. 構造 の影響 を受 けた時間帯の局所的 なKlの 値 はその約5 倍の値 を とることが明 らか となった.た だ し,こ の よ うに 局所的 には大 きく気体交換が促 進 され るが,全 時間帯のKLL の時 間積 分値 に対す る組織 渦 構造が寄与 した時間帯 のKl. 領 域 でKLが 局 所 的 に 大 き くな って い る こ とが わ か る.一 方,. の寄与 は,高 々15%程 度 であった.な お,こ の寄与率は界. 画 像 左 側 の境 界 層 が剥 ぎ 取 られ て い る領 域(x=3.9cm)で は,. 面 とバル ク領域 のCO2濃. 境 界 層 が局 所 的 に厚 くな って い る.. それば,そ のままフラ ックスの寄与率 と見て もよい ことに 注意す る.こ れは,組 織渦 構造が30sと い う長周期で発 生. に運 動 して お り,画 像 か らもSOVの. 図‑11(a),(b)に,x=7.2cmに 面 変 動 ηの時 系 列 を示 す.こ を10秒. 分 ご とに(a),(b)に. 見 る と,10〜17sの. 領 域(x=6.3cm)に お け. お け る δ,KLお よび 水 こで は,約20秒. 間の時系列. 分 けて 示 して い る.図(a)を. 時 間 帯 にお いて は組 織 渦 構 造 に よ る境. 度差 の時間変化 が無視 で きると. す るた めに,時間 平均で見 る と気体交換への寄与が相対的 に小 さくなって しま うためであ ると考え られ る.し か し,. 界 層 の 剥 ぎ取 りはな く,δ は波 の位 相 に合 わ せ て 周 期 的 に. 組織 渦構 造は,水 表面付近 での境界層 の剥 ぎ取 りと,渦 の マー ジ ングによ るバル ク領域 の拡散 機構 とを併せて気 体. 変 動 して い る こ とが わ か る.t=20s付. 交換 を促進す る重要な役 割を担 っている と考 え られ る.. 近 か ら,δ は 大 き く. 変 動 し始 めて お り,KLに つ いて もt=17sく. らい か ら徐 々 に. 大 き くな って い る こ とか ら,こ の あた りの 時 間 帯 に組 織 渦 が接 近 して きた もの と考 え られ る.図(b)を. 見 る と,t=24s. ― 823―. 6.結 論.

(8) 本 研 究 で は,LIFを. 用 い て,砕 波帯 外 に形 成 す る組織 渦. が どの よ うに 気 体 交 換 を促 進 す るの か に つ い て 実 験 的 に. 謝辞 本研 究 を行 うにあた り,九州 大学 教授の松永信博先 生に. 検 討 した.ま た,砕 波帯 外 にお け る組 織 渦 の 形 成 機 構 に つ. 貴重な ご助 言を頂 きま した.ま た,(株)神. い て考 察 した.LIFで. 木達也君(当 時九州大学大学院修 士課程)に は実験 に際 し て多大な協力を頂 きま した.本 研究の一部は,平 成18‑20. 得 られ た 画 像 か ら,局 所 的 なKLを 算. 出 し,組 織 渦 構造 が どの程 度 気 体 交 換 に寄 与 して い るか を. 年度科学研究費補助金(基 盤 研究(C):代 表者 杉原裕 司) の援助 の下で行 われ た ものです.ま た,査 読者 の方 か ら既. 明 らか に した.本 研 究 で得 られ た結 果 を要 約 す る と以 下 の よ うに な る. (1)斜. 面 上 を 波 が遡 上 す る とき,砕 波 帯 外 で は,surface. offhore vortex, offhore vortex, bottom offshorevortex か ら. 戸製 鋼所 の三. 往研 究に関 して有益 な助言 を頂 きま した.こ こに記 して謝 意 を表 します.. 成 る組 織 渦 構造 が 形 成 され る こ とが わ か っ た. (2)水. 表 面 付 近 に形 成 す る半 時 計 回 転 のsurface offshore. vortex と時 計 回転 のoffshore vortexが 連 動 して 境 界 層 を 剥ŽQ•F•¶Œ£1). H.K.. ぎ取 り,offshore vortexとbottom. beneath. wind. transfer,. Journal. ofdshorevortexが マ ー ジ ン. グす る こ とで バ ル ク領 域 を効 果 的 に 混 合 し,気 体 交換 を促 進 して い る こ とが わ か っ た. (3)LIFの. 1559-1573,. 画像 か ら気 体 交換 速 度Klを 算 出 した 結果,組. 織 渦構 造 の 通 過 時 に は 平均 値 の5倍 領 域 の 局 所 的 なKLの 寄 与 は15%程. 2). N.. 3). N.. 程 度 の値 を とる こ と. が わ か った.ま た,全 時 間 帯 のKLの 積 分 値 に 対 す る組 織 渦 度 で あ る こ とが 明 らか. 形 成 につ い て は,Li. と理 論 解 析 に 基 づ い て,OVの. 槽 実験. 形 成 が 定 常 戻 り流 れ の 不 安. Coherent. influence. Geophysical. Takehara. J. Fluid K.. on. Research,. Mech,. of. and Vol.276,. Takehara. and. oxygen. and. Y.. structures air-water. gas. Vol.109,. Awaya.:. Bed,. pp.234-245, S.R.. Duke.:. transfer. interfaces,. Ind. across Eng.. The. pp.113-124,. Y. Awaya.:. on a Sloping. Engineering,. Woodrow. 1985-1995,. pp.. offshore. 1994.. Coherent. Proc.. 21st. Eddies. Conference. 1988. Laser-induced unsheared Chem.. Res,. fluorescence hlat. and. Vol.. wavy. 40,. pp.. 2001.. の 取 り込 み 過 程 の 可 視 化, 海 岸 工 学 論文 集, 第46巻,. 同様 の構 造. で あ る可 能 性が あ るが,こ の 点 につ い て は 今 後 の検 討 課 題 と した い.. P.T.. Loewen.: their. 5) 竹 原 幸 生, 加 藤 明 秀, 江藤 剛 治: 風 波 に よ る炭 酸 ガ ス. 逆 向 きの 渦 が 形 成 す る と し. て い る.こ の 渦 と,本 研 究 で 報 告 したSOVは. of. by Breakers. air-water. らは,水 深 に渡 っ て2つ の せ ん 断 層 が 存 在 す る こ とを 示 し て お り,水 表 面 近 傍 に はOVと. train,. studies. 定 性に 起 因 す る と した 形 成機 構 を提案 して い る.ま た,彼. and. K.. Matsunaga,. Induced. 4). M.R.. 2004.. on Coastal. and Dahymple9)が,水. and waves. Matsunaga,. vortex. にな った. OVの. Siddiqui. pp.101‑105, 1999.. 対 象 と して い るが,風 応 力 が 作 用 して 風 波 が 形 成 す る場 合. 6) M.S. Longuet-Higgins.:Mass transport in water waves, PhilosophicalTransactionsof the RoyalSocietyof London, Vol.245,pp.535-581,1953.. の 気 体 交 換 も興 味 深 い 現 象 で あ る.例 えば 岸 向 き の 風 応 力. 7) 松 永 信 博, 竹 原 幸 生, 粟 谷 陽 一: Offshore vortex train の. 本 研 究 で は,水 表 面 に風 応 力 が 作 用 しな い 規 則 波動 場 を. に よ り吹 送 流 が 発 生 す る場 合,本 実 験 とは 異 な る定 常 シ ア ー 場 が 形 成 す る もの と思 わ れ る.そ の よ うな場 合,本 研 究 で 見 られ た 組 織 渦 構 造 が 安 定 的 に形 成 され な い か も しれ な い.ま た,風 応 力 の 作 用 に よ り水 表 面 極 近 傍 に 高 シア ー 層 が 形 成 され る こ とか ら,よ り微 細 な 表 面 更 新 乱 流 渦 が 気 体 交 換 を支 配 す る こ とが 予 想 され る.. 特 性 に 関 す る 定 量 的 評 価, 13, pp.157‑164,. 土 木 学 会 論 文 集,. 1990.. 第417号 /II‑. 8) W.K. Lewis and W.G. Whitman.: Principles of gas absorption,Industrialand Chemistry,Vol.16, pp.1215-1220, 1924. 9) L. Li and R.A.. Dalrymple.:Instabilitiesof the undertow,I FluidMech,Vol.369,pp.175-190,1998. (2008”N4ŒŽ14“ú Žó•t). ― 824―.

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参照

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