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博士(工学)張 文農 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(工学)張   文農 学位論文題名

Robust Control Design for Systems with both Parametric Variation       and Unstructured Uncertainty

(パラメー夕変動と非構造的な不確かさを同時に含むシステムに対するロバスト制御)

学位論文内容の要旨

  近年、口パスト制御の研究が注目されている。これはすべての実際の制御対象が変動や 不確かさなどを含んでいることが原因である。制御系設計を制御理論に基づいて行うには 制御対象のモデルが必要であるが、モデルは対象に関する知識の不足、環境の変化および 制御対象の経年変化、設計のための簡略化の必要性などの要因で不完全たものしかあり得 ない。一方、フイードバック制御の基本的な目的としては、系の安定化と制御性能(目標 値追従特性、外乱除去特性、低感度特性など)の改善のニっがあげられる。ロパスト制御 は制御対象の特性が多少変動しても系の安定性を保証した上で性能が著しく劣化しないく 頑健な>制御を意味する。制御対象の不確かさはパラメ一夕変動と非構造的な不確かさの 2種類に分けられる。それらを同時に大きく含んでいる制御対象に対して、これまでは、

制御の基本的な目的を達成するのは困難であった。本研究は、この問題点に関して新たな ロパスト制御系の設計法を提案している。

  これまで、口パスト制御の手法が数多く提案されており、そのうち、主に注目されてい るのはHー制御である。Hー制御において、ロバスト安定性と制御性能を混合感度問題とし た シ ス テ ム 設 計 法 は ほ ぽ 確 立 さ れた 。 しか し、 以下 の問 題点 が存 在し てい る。

  (1)  ロー制御で用いられるロパスト安定定理は小ゲイン定理である。確かに、小ゲ イン定理は非構造的な不確かさのみを含む制御対象に対してフイードパック系の口バスト 安定の必要十分条件を与えている。しかし、パラメ一夕変動と非構造的な不確かさを同時 に含む実際の制御対象に対して、小ゲイン定理ではパラメ一夕変動を非構造的な不確かさ と区別せずノルム変動として扱うため、保守的な条件しか与えていない。この場合、制御 性能を劣化させざるを得ない。

  (2)Hー制御では、制御性能 を評価するのに、公称モデルに対する感度関数のみを 用いる。公称モデルに対する感度関数が小さくても、不確かさを含んだ実際の制御対象に 対して制御性能が良い保証がない。

  一方、バラメ一夕変動のみを含む制御対象に対しては、Routh―Hu rwltz安定の判別条件 によ っ て特 性多 項式 のHurwltz口 バスト安定の必要十分条件が与えられ、さ らに、

Kharltonov理論(Kharltonov定理およびその拡張)によってパラメ一夕空間で安定領域 を調べる手順を大幅に簡略化する可能性が示されている。

  実際の制御対象は殆どバラメ一夕変動と非構造的な不確かさを同時に含んでいる。これ らの制御対象に対して、本研究では、感度低減化問題および非構造的な不確かさに対する ロバスト安定問題については、Hー制御理論と同じように取り扱うが、パラメー夕変動に 対し て、パラメ一夕 空間でKharltonov理論に基づき、口パスト安定性を保証 する。

585

(2)

Kharltonov理論はパラメー夕空間で多項式のHurwltz安定性の必要十分条件を与えている ので、制御性能を劣化させないような制御器が構成できる。

  第一は、ロパスト安定化問題とロパスト制御性能問題を考慮するロバスト設計問題を新 たに定式化している。前者の問題については、パラメー夕変動を非構造的な不確かさと区 別して、パラメ一夕変動に対して、Routh一Hurwitz安定の判別法によって特性多項式の Hurwltz安定の必要十分条件を与え、非構造的な不確かさに対して、小ゲイン定理を用い て安定の必要十分条件を与える。そのニつの条件を併せると、フイードパック系の口パス ト安定の必要十分条件となる。後者の問題については、不確かさが存在する場合に対して、

漸近追従と漸近外乱除去を考慮し、公称モデルだけではなく、実際の制御対象に対する口 パスト感度低減化問題を考える。  .

  第二は、口バスト設計問題の混合条件を満たすようにLPF(LowDass−filter冫ループを用 いたロバスト制御法(LLR)を提案している。LLR補償器tよ相補感度関数にローパスフィル タの特性を持たせるように構成される。相補感度関数は低周波域においてIに近く、かつ高 周波域において低ゲインであるので、低周波域でパラメ一夕変動が大きく存在し、かつ、

高周波域で非構造的な不確かさが大きく存在しても、システムの感度特性と口パスト安定 性のトレードオフをバランスよくとることができる。

  第三は、K haIitonov理論を用いることにより制御器を構成するための計算を大幅に簡 略化可能であることを示している。パラメ一夕変動モデルの係数が変動のパラメータの実 アフィン関数である場合、特性多項式のHurwltz安定性については、パラメ一夕ポリトー プの露出エッジだけを調ぺるだけで必要十分であることが知られている。特に、パラメ一 夕変動モデルが区間プラントである場合、すぺての設計条件が満たされるかどうかについ て は 、 そのCB集合 だ け を調 べ る だけ で 必 要 十分 で あ るこ と が 知ら れ て いる . 。   第四は、提案するLLR法をパラメ一夕変動と非構造的な不確かさが大きく存在する電気 推進装軌式車両の走行制御に適用している。キャタピラによって走行する装軌式車両は、

現在ではエンジンによって駆動されるのが一般的であるが、高機動性、高効率及び運動操 作の簡素化などを達成するため、電気推進システムを用いて駆動することが有望視されて いる。装軌式車両における走行負荷トルクは、慣性トルク、直進抵抗トルク及び旋回抵抗 トルクに分けて考えることができる。慣性トルクは車両の重量によって変わる。直進抵抗 トルクは路面状況、坂の勾配度や車両の重量などにより変化する。旋回抵抗トルクは路面 状況、坂の勾配度と車両の重量だけではなく、左右履帯の運動速度の比率により大きく変 化する。装軌式車両の旋回は一般の自動車のように操作輪の回転方向を変える方法とは異 なり、左右履帯の運動速度を変えることにより行われるもので、旋回抵抗は速度の比によっ て決まる。さらに、装軌式車両の作業環境は複雑であるので、制御対象のパラメー夕変動 と非構造的な不確かさの両方が大きいという問題がある。電気推進装軌式車両に高走行性 能を持たせるためには、これらの不確かさに対して走行速度が影響を受けにくく、かつロ パスト安定性を有する補償器が必要である。

  本研究では、電気推進装軌式車両のモデルを導出し、パラメ一夕変動の範囲と非構造的 な不確かさの大きさについても同定している。このモデルに対して、LLR法を適用し、走 行制御系を構成し、さらに、この制御系が優れたロバスト性と負荷外乱抑圧特性をもつこ とをシミュレーションおよび実験により検証している。

586

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Robust Control Design for Systems with both Parametric Variation     and Unstructured Uncertaint.

    く  ′     ,

(パラメー夕 変動と非構造的な不確かさを同時に含むシステムに対するロバスト制御)

  多 く の 制 御 対 象 は 、 非 線 形 性 と 不 確 定 性 を 含 ん で い る の で 、 制 御 系 設 計 時 に は こ れ ら の 影 響 を 考 慮 す る 必 要 が あ る 。 こ の 問 題 に 対 レ て 、 非 線 形 性 に 対 し て は 線 形 時 不 変 系 で 近 似 し 、 不 確 定 性 に 対 し て は 範 囲 の み が 既 知 で あ る も の と し て 、 近 似 誤 差 と 不 確 定 性 を こ の 線 形 時 不 変 系 の 変 動 と み な す こ と に よ り 、 議 論 を 簡 略 化 す る 線 形 系 の ロ バ ス ト 制 御 が 盛 ん に 研 究 さ れ て き た 。 本 論 文 で は 、 こ の 変 動 が パ ラ メ ー 夕 変 動 と 非 構 造 的 変 動 で 表 現 で き る も の と し て 、 新 た な 制 御 系 設 計 法 に つ い て ま と め て お り 、 そ の 主 要 な 結 果 は 次 の よ う に 要 約 さ れ る 。   (£ レヾ ラメ ー夕 変動 と非 構造 的 変動 を含 んだ 制御 対象 に対 して 、ロバス卜制御     問 題 の 新 た な 定 式 化 を 提 案 し た 。 本 定 式 化 に 基 づ い て 、 制 御 系 を 設 計 す る     と 、 バ ラ メ ー 夕 変 動 を 非 構 造 的 変 動 と 区 別 し て 対 処 す る こ と に な る の で 、     よ り良 い制 御性 能が 期待 でき る 。

  @ 定 式 化 さ れ た 混 合 条 件 を 満 た す よ う に 制 御 器 の 設 計 法 を 提 案 し た 。 本 設 計     法 は 、 ま ずIPF (Low Pass Filter)ル ープ を 導入 し、 数値 的にLPFのパ ラ メー     タ を決 定す るこ とに よっ て制 御 器の 構成 を行 う。

  ◎Kharitonov理 論 を 用 い る こ と に よ り 制 御 系 構 成 時 の 計 算 が 簡 略 化 可 能 で あ     る こ と を 示 し た 。 バ ラ メ ー 夕 変 動 モ デ ル に お い て 、 変 動 す る パ ラ メ ー タ が     線 形 条 件 を 満 た せ ば 、 定 式 化 さ れ た 混 合 条 件 に つ い て は 、 ご く 限 ら れ た 領     域 を 調 べ る だ け で 必 要 十 分 で あ る の で 、 こ の 簡 略 化 方 法 は 有 効 で あ る 。   @ 提 案 し た 方 法 を 、 電 気 推 進 装 軌 式 車 両 の 走 行 制 御 に 適 用 し 、 実 機 に 近 い シ     ミ ュ レ ー 夕 実 験 装 置 に よ り 検 証 し た 。 こ の 制 御 対 象 は 非 線 形 性 と 不 確 定 性     が 比 較 的 大 き い が 、 提 案 し た 方 法 を 適 用 す る こ と に よ り 、 ロ バ ス ト 安 定 か     つ 高速 な応 答が 可能 にな った 。

  以 上 の よ う に 本 論 文 は 、Kharitonov理 論 を 制 御 系 設 計 に 適 用 し て 新 た な 制 御 系 構 成 法 を 提 案 し て お り 、 制 御 工 学 の 進 歩 に 寄 与 す る と こ ろ 大 で あ る 。   よ っ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。‑ 587―

谷 西

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