152 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(60) アキ モト カ ヨ コ秋元佳代子(昭和
博士(医学) 三二1406号平成5年11月19日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
Quantitative analysis of stratum corneum lipids in xerosis and asteatoticeczema
(乾皮症及び皮脂欠乏性湿疹における角層細胞間脂質の定量的解析) (主査)教授 川島 真 (副査)教授 高桑 雄一,浜野 恭一論 文 内 容 の 要 旨
目的 角質細胞間脂質,なかでもその約50%を占めるセラ ミドは角層における水分保持能に重要な役割を果たし ている.そこで,代表的な乾燥炉皮膚疾患である鰐皮 症,皮脂欠乏性湿疹におけるセラミドの病態への関与 の有無を明らかにするために,角質細胞間脂質の定量 的解析を行った. 対象および方法 1990年9月から1991年3月に当科を受診した乾皮症 25例,皮脂欠乏性湿疹16例および健常人49例の下腿伸 側よりシアノアクリレート樹脂を用いて角層を採取 し,脂質を抽出し,HPTLC解析し,乾燥角質重量あ たりの脂質重量を算出した. 結果 総セラミド量は,高齢健常者群(平均71.6歳,n=20) では平均12.0μg/mgと若年健常者群(平均24.3歳, n= 29)の平均18.3μg/mgに比し,有意に減少していた (p<0.01).また,乾皮症(16.1μg/mg),皮脂欠乏性 湿疹(17.4μg/mg)と炎症症状を伴うにつれ上昇する 傾向をみた.セラミド分画には特記すべき変動はみら れなかった.同時に測定した皮脂腺由来の脂質のなか では,トリグリセリドが若年健常者群(8.6μg/mg)に 比し,高齢健常者群(3.1μg/mg),乾皮症(3.8μg/mg), 皮脂欠乏性湿疹(2.3μg/mg)とも有意に減少していた (p<0.01). 考察 従来,皮膚の乾燥は,主に皮脂腺由来の脂質によっ て構成される皮表脂質の欠乏により生じるとされてい た.一方,近年の研究から,角質細胞間脂質,なかで もセラミドの水分保持能が注目されている.そこで, 従来の方法より定量性で優る新しい解析法を用いて, 高齢者の皮膚の乾燥化と脂質の関連性を検討した.そ の結果,高齢健常者では若年健常者に比し角質細胞間 脂質,特にセラミドが減少しており,高齢者ではひと たび低湿度環境にさらされると,容易に乾燥を生じう ることが示された.そして,そこに他の保湿因子の減 少や掻破,過度の摩擦などの外界からの刺激が加わる と,乾皮症から皮脂欠乏性湿疹へと進展するものと考 えた.乾皮症,皮脂欠乏性湿疹ではセラミドの上昇傾 向がみられたが,これは炎症による角化の充進が表皮 でのセラミド産生を促すことが知られており,これら の病態における角化直進状態を反映したものと考え た.なおトリグリセリドの変動は高齢者における皮脂 腺の活動性の低下を示すものと考えた. 結論 冬季に高齢者に高頻度にみられる皮膚の乾燥状態 は,角層細胞間脂質の減少により説明され,これを基 盤に種々の他の保湿因子の減少,外的刺激が加わり, 乾皮症が顕症化し,さらには湿疹化を来し皮脂欠乏性 湿疹を呈するに至ると考えた. 一758一153