26 IFBB BEl -IFppmB BHC CCBH ZHAO J Z DE A K (Bake hardening Steel BH)(YS) 2-

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(1)

第2章  焼付硬化鋼板の深絞り性に及ぼす窒化物競合析出の影響

2-1 緒言

 焼付け硬化型鋼板(Bake hardening Steel 以下BH鋼板と略記)は、加工後の塗装焼付け による加熱処理によって高い降伏強度(YS)が得られるため、加工時は低強度で加工し易く、

加工後塗装焼付けでの加熱により高強度化するという特徴を有する。このため、形状凍結 性、耐デント性を損なうことなく、鋼板の薄肉化が図れる。これらの特徴により車体軽量 化に有効であることから、自動車用外板用途として多く使用されている 1-3)。特に最近で は衝突時の乗員保護のため、耐衝突特性向上の観点からの検討が高橋ら4)によって報告さ れている。BH鋼板では、固溶元素のうち、NはAlNの析出物を形成し、CはNbCの 析出物を形成している。ZHAO J Zら5)、DE A Kら6)は、焼付け硬化機構などの基礎的な 現象解明を行っている。それによると、BH鋼板は歪み時効時にコットレル雰囲気を形成 し、固溶Cの偏析場所として転位線、粒内のセメンタイト粒子、粒界が作用し、高強度化 する機構を報告している。

一方においてBH鋼板には固溶C の存在が必要であるが、焼鈍中に溶解する析出 C は r値の発達を抑制するため、BH鋼板のr値はIF鋼より低く、r値向上のための検討が なされている7-8)

 極低炭素-IF 鋼は優れた延性および深絞り性を有するが、二次加工脆性に劣る。その対 策として数ppmのB添加が有効であることはよく知られている9)。しかし一方において は B 添加は再結晶温度を上昇させたり、El、r値を低下させる 10-11)。このような事実に よりIF鋼へのB添加は積極的には行なわれていないのが現状である。従来技術ではBH 性とr値は両立しないとされてきた。すなわち、固溶元素の存在は塑性変形を抑制すると されている。そこで、本章ではBの添加により析出物を制御し、固溶Cの析出、溶解に及 ぼす影響について検討した。

(2)

2-2 実験方法

 Table 2-1に示す化学成分の供試鋼について50kgの小型鋼を溶製した。C≦0.001mass%、

S=0.001mass%、N=0.001mass%、Nb=0.01 mass%を基本成分とし、N=10ppm〜

30ppm、B=0〜15ppmと変化させた。この溶解鋼を厚さ30mmのスラブに鍛造し、1250℃

で30分加熱後、3.5mmに3パスで熱間圧延を施した。仕上げ温度はいずれも930℃とし、

熱間圧延後は室温まで空冷とした。その後巻取り相当処理として 20℃/hで700℃まで加 熱後、この温度で 60 分の保持を行い、炉冷により室温まで冷却した。表面に発生したス ケールを塩酸酸洗により除去後、0.7mmに冷間圧延し、850℃、900℃で 20 秒の再結晶 焼鈍を施した。焼鈍後の試料には 0.7%の調質圧延を施した。なお、熱膨張率計で測定し た Ar3変態温度(20℃/sで 1000℃に加熱後、30℃/sで冷却)は、B 無添加鋼が 910℃、

B0.0005%添加鋼が890℃、B0.0015%添加鋼が870℃であった。

 機械的特性はJIS5号試験片により測定し、集合組織は板厚1/4面でのX線による(200) 極点図、三次元方位解析法により計算した結晶方位分布関数(Orientation Distribution Function 以下ODFと略記する)により評価した。析出物の観察は透過電子顕微鏡によ り行なった。

 時効指数(AI)の測定はJIS5号試験片に加工後、歪み量7.5%の予加工を与えた後、100℃

の油浴に60分浸漬による時効促進処理を施した。時効処理後再度引張試験を行い、7.5%

Table 2-1  供試鋼の化学成分 /mass%

C Si Mn P S Al Nb N B Nb/C B/N

A 0.0009 0.010 0.10 0.008 0.001 0.053 0.011 0.0010 0.0004 1.6 0.52 B 0.0008 0.007 0.10 0.007 0.001 0.056 0.012 0.0020 0.0004 1.9 0.26 C 0.0009 0.010 0.10 0.008 0.001 0.051 0.011 0.0026 0.0004 1.6 0.20 D 0.0007 0.008 0.10 0.008 0.001 0.050 0.011 0.0022 0.0001 2.0 0.06 E 0.0008 0.010 0.10 0.008 0.001 0.056 0.011 0.0019 0.0015 1.8 1.03

(3)

 BH量はJIS5号試験片に加工後に、2%の予加工を行い、170℃の油浴に20分浸漬の 時効処理を施した。時効処理後再度引張試験を行い、2%予加工後の強度と時効後の降伏 強度との強度差をBH量とした。 

2-3 実験結果

2-3-1 材料特性に及ぼすNの影響

 Fig.2-1に熱延板の組織に及ぼすN量の影響を示す。N量の低減に伴い、熱延板結晶粒 径は粗大化する傾向が認められ、フェライト平均粒径はN=30ppm鋼で22μm、N=10ppm 鋼では36μmであった。これらの粒径はJISG0552-1997の鋼のフェライト結晶粒度試験 方法に従い切断法によって、結晶粒度番号を求め、平均結晶粒径に換算したものである12)

Fig.2-1  熱延板結晶粒径に及ぼす鋼中N量の影響

N = 10ppm N = 20ppm N = 26ppm

100μm

Fig.2-1  熱延板結晶粒径に及ぼす鋼中N量の影響

N = 10ppm N = 20ppm N = 26ppm

100μm

(4)

ないと考えられる。

 850℃、900℃で焼鈍後の材料特性をFig.2-3に示す。N量の低減、焼鈍温度の上昇によ

りEl、r値、BH量は増加する。特にr値はN=12ppmで著しい向上を示す。また、低

N化によりBH量が増加する。焼鈍板の組織をFig.2-4に示す。N量が20ppm以上では 平均結晶粒径は22μm〜25μmであり、焼鈍温度が上昇しても結晶粒径は粗大化しない。

一方、N量10ppm鋼では850℃焼鈍で30μm、900℃焼鈍では45μmとなり、焼鈍温度 の上昇により結晶粒径が粗大化することがわかる。

Fig.2-2  熱延板固溶C量に及ぼすN量の影響 0

10 20 30 40

10 26

N量 / ppm

A I  / M P a

0 20 10 20 30 40

0 10 20 30 40

10 26

N量 / ppm

A I  / M P a

20

(5)

Fig.2-3  延性、r値、BH量に及ぼすN量の影響

焼鈍温度 :900℃

焼鈍温度 :850℃

焼鈍温度 :900℃

焼鈍温度 :850℃

20 30 40

BH/MPa

N 量 /ppm 30 10 20

0 10

0 2.0

2.5 3.0

r-value

1.5 3.5

N 量 /ppm 30 10 20

0

El / %

52 56

50 54

48 58

N 量 /ppm 30 10 20

0

20 30 40

BH/MPa

N 量 /ppm 30 10 20

0 10

0 2.0

2.5 3.0

r-value

1.5 3.5

N 量 /ppm 30 10 20

0

El / %

52 56

50 54

48 58

N 量 /ppm 30 10 20

0

Fig.2-4  冷延焼鈍板の組織に及ぼすN量の影響

100μm

8 5 0 ℃ 9 0 0 ℃

N=10ppm N=20ppm N=26ppm

Fig.2-4  冷延焼鈍板の組織に及ぼすN量の影響

100μm

8 5 0 ℃ 9 0 0 ℃

N=10ppm N=20ppm N=26ppm

(6)

2-3-2 材料特性に及ぼすBの影響

 Fig.2-5にB添加量によるEl、r値、BH量への影響を示す。r値、ElはB含有量が0ppm、

5ppmでは大きな変化が認められないが、15ppm鋼では高温焼鈍(900℃)によって、r値 が著しく向上し、3.2に達する。BH量はB無添加鋼、B5ppm添加鋼では焼鈍温度の上 昇に従い、高くなる。15ppm 添加鋼では焼鈍温度による影響はなく、いずれの温度でも 35MPaを示す。

熱延板の組織をFig.2-6、熱延板のAIをFig.2-7に示す。B量の低減により、結晶粒 径は粗大化し、5ppm以上添加した鋼では26μmであるが、B無添加鋼は45μmと粗 大である。このときのAIはB量の増加に従って低下し、B=1ppmではAI=30MPaであ るが、B=15ppmではAI≦5MPaである。

焼鈍板の組織をFig.2-8に示す。焼鈍板の組織は850℃焼鈍ではB量の増加に従い若 干微細化する傾向にあり、B無添加鋼が25μm、5ppm 鋼で22μm、15ppm 鋼で 16μmであった。一方900℃焼鈍では、いずれの鋼も結晶粒は粗大化するが、B=

15ppm鋼の粒成長は著しく、16μmから46μmに粗大化する。

焼鈍温度 :900℃

焼鈍温度 :850℃

焼鈍温度 :900℃

焼鈍温度 :850℃

Fig.2-5  延性、r値、BH量に及ぼすB量の影響

BH/MPa

B 量 /ppm 15 10 0 5

20 30 40

10 0

El / %

52 56

50 54

48 58

B 量 /ppm 15 5 10

0

2.0 2.5 3.0

r-value

1.5 3.5

B 量 /ppm 15 5 10

0

BH/MPa

B 量 /ppm 15 10 0 5

20 30 40

10 0 20 30 40

10 0

El / %

52 56

50 54

48 58

B 量 /ppm 15 5 10

0

2.0 2.5 3.0

r-value

1.5 3.5

B 量 /ppm 15 5 10

0

(7)

Fig.2-7  熱延板の固溶C量に及ぼすB量の影響

0 10 20 30 40

5 15

B 量 /ppm

A I  / M P a

0 10 10 20 30 40

0 10 20 30 40

5 15

B 量 /ppm

A I  / M P a

10

Fig.2-6  熱延板結晶粒径に及ぼすB量の影響

B=1ppm B=5ppm B=15ppm

100μm

Fig.2-6  熱延板結晶粒径に及ぼすB量の影響

B=1ppm B=5ppm B=15ppm

100μm

(8)

2-4 考察

 2-4-1 成形性に及ぼすNの影響

焼鈍温度900℃では、N量低減によりr値は2.2から3.2に著しく向上する。冷延板の 焼鈍板の(200)極点図をFig.2-9に示す。冷延板ではN量による影響はないが、900℃焼鈍 ではN=10ppm鋼で非常に強い(111)方位が発達しており、これはFig.2-3 のr 値の変化 に対応している。

Fig.2-8  冷延焼鈍板の組織に及ぼすB量の影響

B=1ppm B=5ppm B=15ppm

100μm

85 0℃ 90 0℃

B=1ppm B=5ppm B=15ppm

100μm

85 0℃ 90 0℃

(9)

成形性に及ぼす因子として、①熱延板の結晶粒径、②熱延板での固溶C量、③熱延板で の析出挙動があげられる。結晶粒径については上記のように、N量の低減によって熱延板 の組織は粗大化の傾向にあり、むしろr値低下の傾向にある。前述のようにAI はいずれ のN添加量においても、AI≦10MPaであり、AIへのNの影響は小さいと考えられる。

Fig.2-10に熱延板の窒化物の形成挙動に及ぼす鋼中N量の影響を示す。本成分系での窒化

物はAlNもしくはBNと考えられる。N=26ppm では窒化物の多くが AlN であるが、

N=10ppmではAlNが減少し、BNの割合が大きく増加している。N量の減少により熱

延板析出物がAlN主体からBN主体に変化していることがわかる。

Fig.2-9  焼鈍板の(200) 極点図に及ぼすN量の影響

0.5 1.0 1.5 2.0 3.0 4.0 5.0

N=10ppm N=20ppm N=26ppm

8 5 0 ℃ 9 0 0 ℃

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

▲:{111}<112> △:{111}<110> ◇:{001}<110>

0.5 1.0 1.5 2.0 3.0 4.0 5.0 0.5 1.0 1.5 2.0 3.0 4.0 5.0

N=10ppm N=20ppm N=26ppm

8 5 0 ℃ 9 0 0 ℃

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

N=10ppm N=20ppm N=26ppm

8 5 0 ℃ 9 0 0 ℃

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

▲:{111}<112> △:{111}<110> ◇:{001}<110>

(10)

Fig.2-11 に熱延板での析出物の電子顕微鏡観察結果を示す。N=26ppm 鋼ではAlN と NbC が複合析出物として析出しているものが多く観察された。一方 N=10ppm 鋼では NbCが、単独で析出しているものがほとんどであった。

50nm

C,N Al

Fe

Fe Fe

C,N Al

Fe

Fe Nb Fe

1) 2)

b)

C,N Al

Fe

Fe Fe

C,N Al

Fe

Fe Nb Fe

1) 2)

b)

C,N

Fe

Fe Fe

Nb

a)

1)

C,N

Fe

Fe Fe

Nb

a)

1)

N 量 / ppm 0

10 20

10 26

析 出 N 量 /p p m  

5 15 25

N 量 / ppm 0

10 20

10 26

析 出 N 量 /p p m  

5 15 25

Fig. 2-10  熱延板の析出物組成に及ぼすN量の影響

(11)

 焼鈍温度850℃での析出C量と鋼中N量の関係をFig.2-12に示す。析出C量は炭化物 がすべてNbCとして析出していると仮定し、析出Nb量の分析値からC量に換算した数 値である。N=10ppm鋼では析出Cは存在せず、熱延板において固溶Cはほとんど観察 されなかったことから、熱延板で析出しているNbCは、850℃焼鈍時にNbCが再溶解し たと考えられる。このため、N=10ppm鋼はr値を低下させることなく、高いBH量を確 保できたものと考えられる。

 2-4-2 成形性に及ぼすBの影響

850℃、900℃焼鈍において、B 量を4ppmから15ppmに増加させることによって、r 値は2.5から3.1へ大きく向上した。冷延板、焼鈍板の(200)極点図をFig.2-13に示す。

冷延板はいずれの方位も B 量の影響はないが、焼鈍板においては 850℃において、B=

15ppm鋼で<111>//ND集合組織、特に{111}<112>への集積が非常に強くなる。900℃焼鈍 ではさらにその傾向が強くなる。一方 B=4ppm では特定方位への集積は見られない。

B=1ppmでは850℃以上の焼鈍によって{111}<110>への集積が強くなる傾向を示した。熱 延板の結晶粒径はB無添加鋼に比べて、B=5ppm 以上添加により微細になること、また

Fig.2-12  焼鈍板におけるC析出物量に及ぼすN量の影響 N 量 / ppm

10

析 出 C 量 /  p p m  

0 10 20

26 20

5 15

N 量 / ppm 10

析 出 C 量 /  p p m  

0 10 20

26 20

5

15

(12)

15ppmではr値の差は大きく、B増加によりr値は900℃焼鈍で2.4から3.2に飛躍的に 向上した。熱延板の結晶粒径、熱延板のAIがB=5ppmと15ppmで大きな差がないこ とから、この要因として析出挙動を考え、熱延板の析出物としてAl化合物およびB化合 物を分析した。AlNとして析出しているN量、BNとして析出しているB 量をFig.2-14 に示す。B量が5ppmと15ppmでは析出物の構成が大きく異なり、B=5ppmでは析出物 はAlNが主体であるが、B=15ppmではBNが主体に変化している。すなわち、B析出物 の形態は B 量の増加に従って、AlN を主としたものからBN を主としたものに変化して いる。B=15ppm 鋼の析出物を透過電子顕微鏡で観察した結果を Fig.2-15 に、μ-オージ ェ分光分析装置で分析した結果をFig.2-16に示す。0.2〜0.3μmの析出物が観察され、こ れらがBNであることを確認した。

Fig.2-13 焼鈍板の(200) 極点図に及ぼすB量の影響

0.5 1.0 1.5 2.0 3.0 4.0 5.0

B=1ppm B=5ppm B=15ppm

8 5 0 ℃ 9 0 0 ℃

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

▲:{111}<112> △:{111}<110> ◇:{001}<110>

0.5 1.0 1.5 2.0 3.0 4.0 5.0 0.5 1.0 1.5 2.0 3.0 4.0 5.0

B=1ppm B=5ppm B=15ppm

8 5 0 ℃ 9 0 0 ℃

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

B=1ppm B=5ppm B=15ppm

8 5 0 ℃ 9 0 0 ℃

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

RD

TD

▲:{111}<112> △:{111}<110> ◇:{001}<110>

(13)

1μm

Fig.2-15 TEM によるB添加鋼の析出物観察

B 量 /ppm

析 出 N 量 /p pm  

5 15

0 5 10 15

B 量 /ppm

析 出 N 量 /p pm  

5 15

0 5 10 15

0 5 10 15

Fig.2-14  熱延板の析出物形態に及ぼすB量の影響

N as AlN

N as BN

N as AlN

N as BN

(14)

B=5ppm鋼とB=15ppm鋼では窒化物の形態が異なる理由としてAlNとBNの析出曲 線を計算した結果をFig.2-17に示す。AlNの溶解度積はL.S.Darken 13)の式、BNの溶解 度積はR.W.Fountain 14)の式を用いた。

Log(Al)(N)=-7400/T+1.95 Log(B)(N)=-13970/T+5.24

N=20ppmの試料ではB=5ppmの場合には、AlNとBNの析出温度はほぼ同じ960℃

付近であるが、B=15ppmの場合ではAlNよりBNの方が50℃以上高温から析出するこ とがわかる。一方N=10ppmではB=5ppm以上の添加によりAlNよりBNの方が高温か ら析出することがわかる。

 Nb添加鋼においてはN量の低減もしくはBの添加によってAlNよりBNの方が高温 で析出するため、窒化物の形態がAlN を主とするものからBN を主とするものに変化す

Fig.2-17 AlNとBNの析出曲線

N 量 / %

0.0010 0.0015 0.0020 0.0025 0.0030

900 950 1000 1050 1100   BN 

(B=0.0005%)

 AlN  (Al=0.05%)

 BN  (B=0.0015%)

N=0.0020%

N=0.0010%

析出温度 / ℃

N 量 / %

0.0010 0.0015 0.0020 0.0025 0.0030

900 950 1000 1050 1100   BN 

(B=0.0005%)

 AlN  (Al=0.05%)

 BN  (B=0.0015%)

N=0.0020%

N=0.0010%

析出温度 / ℃

(15)

の析出にも影響を与え、AlNが低減するとNbCとAlN の複合析出から、NbC単独での 析出挙動に変化すると考えられる。

 Table 2-2にNbC、AlN、BNの格子定数を比較して示す15)。NbCはCubic型(立方 晶)であり、その格子定数は 0.45nmであるのに対し、AlN,BN はいずれも Hexagonal

(六方晶)である。BNの格子定数はa軸=0.25nm、C軸=0.66nm、AlNの格子定数 はa軸=0.31nm、C軸=0.49nmである。AlNのC軸の格子定数とNbCの格子定数の 比が1.11であるのに対して、BNの格子定数はa軸、c軸ともNbCの格子定数とは大き く異なり、格子定数の比は1.49である。NbCと、AlN,BNの整合性を格子定数で比較す ると、いずれもNbCを核として析出するにはミスフィットは大きいと考えられる。但し、

NbCはCubic型以外にC濃度によってNb2C型が考えられ、Nb2C型ではa軸=1.23nm、

b軸=1.09nm、c軸=0.49nmであり、Nb2C型のc軸とAlNのc軸の格子定数は1.00と なり、非常に整合性が良好となる。

これらの結果から窒化物としてAlNが主に形成する場合はAlNはNbC上に析出し易いが、

Table 2-2  炭化物と窒化物の形態

AlN NbC

BN

Cubic

Hexagonal

Hexagonal

a=0.44698nm

a=0.31114nm  c=0.49792nm a=0.250441nm  c=0.66562nm

析出物 結晶構造 格子定数

Nb

2

C Orthorhombic

a=1.236nm b=1.0895nm c=0.4968nm AlN

NbC

BN

Cubic

Hexagonal

Hexagonal

a=0.44698nm

a=0.31114nm  c=0.49792nm a=0.250441nm  c=0.66562nm

析出物 結晶構造 格子定数

Nb

2

C Orthorhombic

a=1.236nm

b=1.0895nm

c=0.4968nm

(16)

このようなNbCの析出挙動の違いによって、NbCが単独で析出する場合には焼鈍時での 再固溶が促進され、さらに冷却時の再析出が抑制されるため、固溶Cが焼鈍板中に残存し 易く、BH量が増加したものと考えられる。

また、熱延板において窒化物がAlN からBNに変化することによって、BN の方がAlN より高温で析出するため、微細な析出物が減少し、析出物の粗大化が起こりやすいため、

r値やElの向上が図られたと考えられる。

2-5 小括

Nb添加極低炭素鋼において低N化もしくはB添加によって析出物を制御することによ りr値の向上とNbCの溶解制御が可能であることがわかった。

(1) N量の低減によってr値、Elが向上し、BH量が増加した。成形性の向上はN低 減により熱延板での窒化物がAlN主体からBN主体に変化していること、また、

窒化物の減少により微細析出物が減少したためと考えられる。また、BH量の増 加は、熱延板の析出物においてAlNが減少し、BN主体となることにより、AlN とNbCの複合析出物が減少し、NbCが単独で析出し、焼鈍時にNbCが溶解し 易くなったこと、さらに析出物低減によりNbCの再析出が抑制されるためと考 えられる。

(2) B量の適量添加によって、r値、Elの向上、BH量が増加した。成形性の向上は、

熱延板結晶粒径の微細化、析出物の粗大化、固溶N量の低減によるものと考えら れる。BH量の増加は、熱延板の析出物がAlN主体からBN主体に変化し、こ れに伴ってNbCが単独で析出することによって、焼鈍時の高温加熱時にNbCが 溶解し易くなり、また焼鈍冷却中の再析出が抑制されたためと考えられる。

2-6 参考文献

(1) 坂田敬、佐藤進、加藤俊之、橋本修:International Forum for Physical Metallurgy of IF steels,(1994),279

(17)

(3) 岡田進、佐藤進、森田正彦、加藤俊之、高崎順一:材料とプロセス,CAMP-ISIJ,

6(1993),763

(4) 高橋学、上西朗弘、吉田博司、栗山幸久:自動車技術会学術講演会前刷集,No.106-02 (2002)1-4

(5) ZHAO J Z, DE A K,De COOMAN B C:Metall Mater Trans A,Vol.32A,No.2 (2001),417-423

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