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ヒト末梢血リンパ球におけるインターリュウキン

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 石 坂 明 人

学 位 論 文 題 名

ヒト末梢血リンパ球におけるインターリュウキン4 に よ る IgG4 お よ び IgE 産 生 の 誘 導

学位論文内容の要旨

    I.はじめに

  イ ンタ ーリ ュウ キン4(以下IL―4)がBおよびTリンパ 球に種々の作用を有するこ とは広 く知られている。マウスでは,IL―4がりポポリサッカライド刺激B細胞のポリク口ーナルな IgEお よ びIgGl産 生誘導を 促す一方,IgG2bおよびIgG3の産生を抑制することが知 られて いる。一方,ヒトではIL―4が健常人末梢血リンパ球のIgE産生を誘導することが知られてい るが,特異的かつ精度の高 いIgGサブクラス測定法がないために,IL―4がヒトIgGサブクラ ス産生に影響を与えるか否かにっいては明かではなかった。著者は,ヒトIgGサブクラスに対 するマウスモノク口一ナル 抗体(MoAB)を用いることによ り,ヒト単核球培養上清中 の4つ のIgGサブクラスの定量が可 能な特異的かっ精度の高いELISAを確立した。更に本方法を用 いて ,ヒ 卜末 梢血 単 核球(PBL)に おい ては ,IL―4がIgEばかりではなくIgG4の産 生を誘 導し ,か っこ のIL―4によ り誘導されたIgE/IgG4産生 は7−イン夕一フェ口ン(IFN ‑ア)

によって抑制されることを明らかにした。

    JI.材料と方法

  リ コン ビ ナン トIL―4はGenzyme社 ,リ コン ビ ナン 卜IFN‑ア は, 塩 野義製薬KK,マウ ス抗ヒトIL―4モノク 口一ナル抗体は,小野薬品KKより得た。健常成人より得たへパリン加 末梢血をFicoll−Hypaqueを用いた比重遠心法に よりPBLを得,10%不活化牛 胎児血清,2 mMグ ル タ ミン ,50 U/mlペ ニシ リ ン,50ルg/mlス トレ プト マイ シン を 加え たRPMI1640 培地 に浮 遊 した 。培 養は細胞の最終濃度2 x10e7ml,総量1mlで,12x 75mmFalconチュー ブを用い,37℃,5%C02大気下でおこなった。培養終了後,チュ―ブを450g,5分間遠心し 培養上清を集め,ELISAによる測定まで―20℃で凍結保存した。培養上清中のIgE定量はマウ ス抗 ヒトIgE MoAB( ヤマ サ 醤油KK) を抗 原と して用いたELISAによ った。培養上清中の

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IgG総 量 .IgGサ ブク ラス の 定量 はマ ウス 抗ヒ トIgGあ る いはIgGサ ブ クラ スMoAB (Ox‑

oid社 ) を 用 い たELISAに よ っ た 。

    m.結  果

  IgGサ ブ ク ラ スELISAの 検 量 線 ・ 特 異 性 ・ 精 度 :WHO―REFーSERA (67/97)を も ち い た 検 量 線 か らそ の測 定下 限 はそ れぞ れ,IgGl,10ng7ml,IgG2,5ng/ml,IgG3,2 ng7ml,IgG4,2ng7mlで あっ た。 そ の特 異性 を精 製IgGサ ブク ラ スを 抗原 として用い検 討した時,そのcross―reactivityfま4%以下で あった。ヒトPBLのpokeweed mitogen培養 上清 に っき その 総IgG量 と,同一検体の4っのIgGサブクラス量を測定した時 ,総IgGサブ ク ラ ス 量 の 総 和 と の 相 関 は , き わ め て 高 か っ た (r =0. 990,pく0.001)。   ヒ 卜PBLによ る114誘 導IgGサ ブク ラス 産 生の 培養 期間 : 本ELISAを 用 いて ,IL―4が IgE産生を誘導する 条件下で,IgGサブクラス産生に与える影響にっき検討を加えた。2x106 個のPBLを400単 位/mlのILー4の 存在 ・非 存在 下 に培養すると,培養上清中 には,IL一4 非存在下では培養期 間が長くなるに伴いspontaneousなIgGl,およびIgG2産生を認めたが,

IgG3,IgG4,およびIgEの産生は認められない。 一方,400単位/mlの1L―4存在下におい ては,IgE産生の誘 導とともにIgG4産生の誘導が認められ,培養9日から12日目にその誘導は プラ ト ーを 示し た。IL一4の添加は,IgGlある いはIgG2のspontaneousな産 生にadditive な効果を何等示さな かった。

  IL―4の容 量反 応 性:2 xl06個 のPBLを 種々 の 濃度のIL―4存在下で培養 し,培養10日 目に培養上清中のIgEおよびIgGサブクラスを定 量すると,添加するIL→4の 濃度が増加す るにっれ,IgEとと もにIgG4の産生量は増加し,400単位/mlで両者の最大の産生誘導を認 めた。

  IL―4誘 導IgG4産 生 の抗IL―4抗 体.IFNアに よる 抑制 :10〃g/mlの 濃度 の抗IL―4 抗体を加えることに より,IL―4誘導IgG4. IgE産生は完全に抑制されるが,IgGl.IgG2の spontaneousな産生 は抗IL―4抗体により抑制さ れないことからIgG4産生の誘 導がIL―4特 異的 で ある こと が示 され た 。ま た100UZ mlのIFN‑7の存在により,IL―4誘 導IgG4.IgE 産生は,完全に抑制 された。

    IV. 考  按

本研究において著 者は,ヒトPBL培養上清中の4っのIgGサプクラス定量を 可能とする

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特異 的かつ 感度の 高いELISAを 確立し た。本ELISAの測定 下限は ,それ ぞれIgGlで10n g/

ml, IgG2で 5ng7ml,IgG3お よ びIgG4で 2ng/mlで あ っ た 。 本ELISAに 用 い た MoABのIgGサ ブク ラ ス 特 異性tま , 性 格 の異 な る 数 種類 のassayを用 いたIUIS7WHO協同 研究によりすでに明かにされているが本研究においても,それぞれのIgGサブクラスが98%以 上に精製された精製IgGサブクラス蛋白を用いた場合その交差反応性は4%を越えず,特異性 は十 分と考 えられ た。っ ぎにこのELISAを用 いてヒ トPBL培養上清中のIgGサブクラスを定 量 す るこ と に よ り, ヒ トPBLに及 ぼ すIL―4の効果 を検討 した。IL―4をヒ トPBLに 加え て培 養する とIgE産生 に加え ,IgG4の著 しい産 生が認められた。このとき他の3っのIgGサ ブク ラスの産生には,影響が認められなかった。このIL―4で誘導されたIgG4産生は抗IL― 4 MoAB添 加によ り,IgE産 生と共に抑制された事から,IL―4特異的であるものと考えられ た。

  ヒトにおいて,血清IgG4とIgEとが共通の調節を受けているらしいことが,いくっかの病 的状 態においてすでに示唆されている。すなわち,1)慢性寄生虫感染においては,特異的 IgG4とIgE抗体が 産生さ れる,2)アレル ギ一患 者において血清IgG4.IgE値はともに高値 と な る,3)IgA欠乏 症患者 におけ る血清IgG4.IgE値 はパラ レルに 変動する ,4)高IgE 症候 群の患者血清中のIgG4とIgEとは,きわめて高い正の相関が認められる,などである。

IL一4がいかなる機序でIgG4合成を増強するかにっいては,まだ不明であるものの,マウス に お いて は ,ILー4は,IgE.IgGl産生 にcommitさ れた細胞 の増殖 ではな く,IgGl.IgE へのクラススイッチを強く誘導することにより,IgGl.IgE産生の増強を促すことがあきらか にされており,ヒトにおいても同様の機序が働いている可能性が示唆される。本研究では,IFN

―ア によるIgG4産生の抑制効果は,IgEに対する抑制効果より弱いことが認められた。ヒト PBLのin vitro抗体産 生系として従来より用いられている,PWM,あるいは,Staphylococ‑

cus aureus CowanI刺激系 では,IgE産生の誘導は認められておらず,この刺激系における IgE産生 の抑制 は,mitogenにより誘導されるIFNー7による抑制によるものと考えられてい る。しかしながら,この2っの抗体産生系においても,IgG4産生が認められることから,IgG4 産生 の調節には,IL―4・IFN‑アに加えて,細胞間の相互作用あるいは,他のサイ卜カイン が,複雑に関与している可能性が示唆される。

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学位論文審査の要旨

イ ンター リュウ キン4(以 下IL―4)がBおよびTリンパ 球に種 々の作用を有することは広 く知られている。ヒトではIL―4が健常人末梢血リンパ球のIgE産生を誘導することが知られ ているが,特異的かつ精度の高いIgGサプクラス測定法がないために,IL―4がヒトIgGサブ クラス産生に影響を与えるか否かにっいては明らかではなかった。著者は,ヒトIgGサブクラ ス に対す るマウ スモノク口一ナル抗体(MoAB)を用いることにより,ヒト単核球培養上清中 の4っのIgGサ ブクラ スの定 量が可 能な特 異的かっ精度の高いELISAをまず確立した。更に 本 方法を 用いて ,ヒト末 梢血単 核球(PBL)にお いては,IL―4がIgEばかりでなくIgG4の 産 生 を誘 導し, かっこ のIL―4に より誘 導され たIgE/IgG4産生は7―イン ターフ ェ口ン (IFN‑7)によって抑制されることを明らかにした。

  培 養上清 中のIgE定 量はマ ウス抗 ヒ卜IgE MoABを抗原 として 用いたELISAにより行い,

一 方培養 上清中 のIgG総量 .IgGサブ クラス の定量 はマウ ス抗ヒ トIgGあるいはIgGサブク ラスMoABを用いたELISAによった。

  っ ぎに 本ELISAを 用 い て ,IL―4がヒ トPBLにin vitroの系でIgE産生 を誘導 する条件 下で,IgGサブクラス産生に与える影響にっき検討を加えた。培養上清中には,IL―4非存在 下では培養期間が長くなるに伴いspontaneousなIgGl,およびIgG2産生を認めたが,IgG3, IgG4, およびIgEの産生 は認め られな い。一 方,400単位/mlのIL―4存在下においては,

IgE産 生の誘 導とと もにIgG4産生の誘導が認められ,培養9日から12日目にその誘導はプラ ト ーを示 した。IL―4の添 加は,IgGlあるい はIgG2のspontaneousな産生にadditiveな効 果 を何等 示さな かった。IL―4誘 導によ るこのようなIgG4とIgEの産生は10〃 g/mlの濃度 の 抗ILー4抗 体を加 えることにより,完全に抑制されるが,IgGl゜IgG2のspontaneousな産 生 は抗ILー4抗体に より抑制されないことからIgG4産生の誘導がILー4特異的であることが 示 さ れた 。一方 また100U7mlのIFN‑アの 添加に よって も,IL―4誘導IgG4゜IgE産生 は,

完全に抑制された。

  本研究において著者はこのように抗ヒトIgGサブクラスモノクローナル抗体を用いた特異的

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三 彦紀 脩 邦知 本林 川 松小 皆 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

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か っ 高 感 度 のELISA法 に よ り , ヒ ト リ ン パ 球 培 養 上清 中 の4っ のIgGサ ブ クラ ス の 定 量 法を 確 立 し た 。 こ のELISAの 測 定 下 限 は , そ れ ぞ れIgGlで10n g/ml,IgG2で5ng/ml,IgG3 お よ びIgG4で2ng7mlで あ っ た 。 本 方 法 を 用 い て @ ヒ ト114に よ る 末 梢 血 リ ン パ 球 のIgG サ ブク ラ ス 産 生 に 及ぼ す 効 果 を 検討 し た 結 果 ,114は ,IgE産 生 の増 強 に加え て,IgG4産生を 強 く誘 導 し た が ,IgGl,IgG2, ある い はIgG3産 生 に は 影響 を 与 え な かっ た 。 ◎IL―4に よ り 誘 導 さ れ るIgG4お よ びIgE産 生fま ,IFNア あ る い は , 抗114モ ノク 口 ナ ― ル 抗体 に よ り 用 量 依 存性 に 抑 制 さ れ た。 ◎114がIgE産 生の み な ら ずIgGサ ブ クラ ス 産 生 に も 重要 な 調 節 的 役割 を演 じてい ること が明ら かにな った 。

  以 上 の よ う に ヒ トPBL培 養 上 清 中 の4っ のIgGサ ブ ク ラ ス定 量 を 可 能 と する 特 異 的 且 つ感 度 の 高 いELISA法 を 確 立 し た 点 と そ れ を 用 い てr−IL4及 びrーIFN‑ア のIgG4疾 患 に 及 ぼ す 影響 を は じ め て 検討 し , 上 記 の如 く ,IgG4とIgEが 共通の 調節 を受け ている と考え られ る結 果を 得たこ とはこ の種の 領域の 研究 として 十分評 価し得 るも のと考 えられ る。副査の小林・皆川 両 教授 か ら はIgGサ ブ ク ラ ス測 定 上 の 方 法論 と サ イ ト カ イン に よ るIgE,IgG4産 生抑制 のメカ ニズ ム等に っき質 問がな され, さらに皆川教授・小野江教授からも幾っかの御討議を頂戴したが,

いず れに関 しても 正確な 答えが なさ れたも のと判 断され た。

  よっ て博士 の学位 授与 に充分 値する ものと 判定さ れる 。

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