双生児に於けろ各種白血球核型の相 似性並びに其の数的取扱ひ方
金澤讐科贈与精紳馨學i教室(主任秋元教授)
長 澤 太 郎
:7hノづ滞碧町。 σ
川 田 行 :雄
聾 唐。?TKawadez
學生 大 塚 良 作
Riosaku O/alJa (昭和勾年12,月23日受附)
白血球の核型の生理的攣動は疾病時の細動或 は個人的差異の甚だ顯著なるに比し,極めて輕 微であり,健康入に於ては之を以て艦質の一細 胞學約i表徴と見傲してよい。
中性嗜好性白血球の核型が同胞に隔て相似す ることは先づ大月によって報告され,著者等の 一人長澤も之を追試し,加ふるに推計學的に検 討することによって之を確讃しlc.
然らば更に進んで双生見に於ける白血球核型 の相似性は如何様であろうか?此の:重要な課題 に關して未だ其の研究あるを聞かないのは寧ろ 奇異な慈じさへする.私達は鼓に双生見に於け る核型を中性嗜好性白血球(N)のそれのみなら 免更に「エオジン嗜好性白血球働及む揮球
(M)のそれ迄押し披めて槍索した結果を報告す る.N及びEの核型は杉山氏一般化平均核撒法 によゆ其の亭均核敷を求め,MはR(圓形なる もの),W(陪凹淺きもの)1, T(陥凹深きもの)
及びS(分節せるもの)に封し,夫々1,2,3,
4,なる激値を與へ,其の亭均核指数を求めた
(長澤).
研究の封象に撰んだ双生誤配は一卵性13封,
〔(男十男)10封,(よ十女)3封〕,二卵性8封
〔(男+男)2封,(女+女)2i封,(男+女)4劃う
で共の年齢は3歳乃至16歳の見繕である.
卵性の診断は概ねSiemens其の他の主張に よる,種々の形質による相似診断法(Polysy・
mptomatische A hnlichkeitsdiagnose)に基づいて 之を行った。
其の検査域績は第1表に示すが如くである。
現在の塵中性嗜好性白血球の無数に就ては年 齢的差異も男女別による差異も認むべきものが 謹明されてみないので,之を一卵性群〔E.Z.〕と 二卵性群〔Z.Z.〕とに大別して比較し,其の数 的取扱ひ方としては從來の平均百分率偏差法
(Verschuer),自乗平均法(石崎)の外に新しく 分散比法(長澤)及び級内相關係敷法(Fisher)を 試みた.
(1) 平均百分率偏:差法(Verschuer)。
噛醗率縦(・土f,・識響,Dは百
A{一B
分配偏差一論竺x亘・・二耀x、1・・, IX
丁
下同じ,Verschuer),其の環境及び遺傳性攣異 の分節比(Lenz−Verschu6r)並に遺傳力(Erbkraft,
Len3)は第2表の如くである.
此の方法によるとNの百分率偏差が一卵性と 二卵性とに於℃相違せる如くに解せられる.然
肛27 ]
328 長澤・川田・大塚
第 1 表
卵憶
卵
性
層
i 卵
性 男
山
男
女 十 女
男 十 男 女 十 女
男 十 女
番 號
性1
u南陽二
三均核数・罎ほ彗ほ8§菱:18菱:18 21
男 8 2.02 2。15 2。55 男 8 1.96 2.35 2.5⑪
圭麟腿劃鍵・
5[量18 圭二琶珪 塁:慧量 茎:29 男 8 2.45 2.35 2.25
61
男 8 2.42 2.35 2.407麟igil:訓1二;剰茎:18 si量ほ量隆8引釜:89 1:R8
g蔭L号健乳1鍛一雌
・01墨18i 1:1窓1舞:巷1隆;1
11@1姿 }1}8 1 器:8乙 1 圭:§8 茎:1;言
・畷ほ9藤壷「辮一1:29
・3
g国1=llほ二劣萎灌
14@1量 「 9 一一壬:ε呑 董:8き 一 § 98
・5}量ほ劃1:§9ほ191:量r
161姿1圭含1 子:惹歪i I 垂二琴9 妾:9舞
・7妾ll§Ll二劉1:18隆1言
181箋塁 1圭珪1 萎:9? 釜:8呂 碁:葦9
・g 圏ォ3il:器1茎:1ぎ1:重言 2・屡ほ§隊と§陸:191:量8
2工屡1劃1:1劃萎:龍鉾8
一「emUTヲPi 〒一別−冊
第 2 表
N E
M
E. Z. (A)
1.62土0.45 2.46±O.68 2.12±O.59
Z. Z. (B)
6.50±O.23 2.74=ヒO.97 2. 14±O.76
AIB(e/.)
24.9 89.8 99.3
( B−」A) IB ( O/a )
72.0 10.2 0.7
(B/A)2一一1
ユ5.08 0.28 0.02
し此の方法には多くの訣陥が藏せられてるるこ とは周知の事柄である.
(II) 自乗平均法(石崎)
中田舶癖均(λ±〆演λ一ψ響2)
並に其の遺傳力(石崎)を求めるど第3表の如く
i 28 ]
である.
第 3 表
N
E
M
E. Z. (A)
2.41士0.33 3.28±O.45 2.41±O.33
Z. Z. (B)
4.99±O.88 3.42士0。61 3.36±O.57
(B/A)2−1
3.14 0.15 0.82
然し之も研究野象たる双生見数を如何に多数 例蒐集しょうと努力しても,其の例撒に制限を 受けるが如き朕況下に於ては適當な方法である
とは去へない.
(III)分散比法(長澤)
之は著者等の一人長澤が案出した方法であ る.要領は一卵性と二卵性との百分率f扁差分散 を比較して,それを:F一分二三で検定するのであ
る.
即ち一一gs性双生兇の百分率偏差分散をVA,二 卵性のそれをVBとすると,
VB F=
VA
が一定の危瞼率を越へる確率を求めるのであ る.鼓に
IN A D,2 v.=i. 一一[ L
NA
vB=HNnvt.一,BL−ip.!t:2
NB ,
DA, DBは一卵性及びコ卵性双生見の百分率 偏差
NA, NBは其の封の数とし,
VAの自由度はNA VBのそれはNB
とするのである.
回し噛渤としてはv峯
ハVA殊る・ IH・;の結果は第4表に示すが如くである.
此の方法によると危瞼牽を0.05に採るとN の百分牽偏差分散のみが一卵性と二:卵性とに於 て有意の差異を示す.
嫌於て臆すべきは表に講したVB{書
の数値そのまSを以てN,E及びMの遺傳力を第 4 表
VA
VB F P (V刄ネVA
N E M 6.⑪2
P0。ブ6
U.18 24.90 P2.41 P1.28
4.14 P.15
P.82
〈0・05 рO。⑪1 р潤E2⑪ ョ/O.20\>0.05
29.8
k5
O.7
比較するのは早計であることである.何となれ ば李尺屈数及び核指数を求めるに當ってNは 100箇,E及びMは各2C箇の白血球を観察した が故である.此の観察細胞数の相異に基づく考 慮を加へて初めて三者を比較し得るのである,
(IV)級内相關係敷法(:Fisher)
双生見の相似度を研究する場合,一樹の双生 見を取り,其の一方を第1の攣量X,他方を第
2の攣量Yとして,XとYとの間の通常の相
關係数を求めると,之は双生児の相似面面を指 示する計量:とは云ひ難いことがある.Xを双生 児の核撒の大なる方のそれ,Yを小なる方のそ れとすれば,相關係数は双生免に於て忌数の大 なるものと,其の小なるものとの相關關係を指 示する.然し双生見とV・ふ概念は相樹的であっ て上記の相關係撒は双生晃に於ける相似面出を 指示する計量としては不適當である.:妓にX1, X「11×2, Xt2; ………l Xii, X,1と
いふD封の測定値があれば
X==一 . £(X+Xi)
se一一一一一21.{t:(x−7K)2+s. (xtm−x)1}
v一一iiltiff, y {(x−x)(xit−x)}
によって定義されたγを級内相關係数といふ。
然し以上のγ、は叉感量分析法に於て級間分散
をA淑醗翫8とすれば,r一一緯b一に
よって求め得る.
第1表のi資料に攣量分析法を施せば第5表を
得る.
帥ち一卵性では:N,E, M,が二卵性ではMが 甚だ粗汁してみることが詮明せられる.
次に其の相似の程度を示すγを求めると第6 表の如くである.
[ 29 ]
33e 長澤・川田・大塚
第 5 表
白血球
N
F.
M
卵性
卵 性
卵 性
卵 性
鍵因 封間 封内 全
ノ李方和
11.764 b.066 1コ.830
盛時⑪・623 O.467射内
。全 LO90 封間 射内 全
冷間
躍聖 ド
二間 卵 封内 幌 全
=二 封間 卵 射内 性 全
a.757 0.114 0.871 O.093 0.ess O.178 O.629 0.ユ23 0.752 O.577 0.128 0.704
自由度
1ぞ
13 25 7 8 15 12 13 25
7 8 15 12 13 25
7 8 15
不偏推 定屋
O.930 0.eos
薗
O.089 0.058
e.e63 e.oog
O.013 0.Oll
O.Q52 0.009
O.082 0.016
分散比
182.4
1.5
7.2
1.2
5.6
5.2
P
くO・⑪1
>O.05
く0.01
・>O.05
〈O.Ol
〈O.Ol
第 6 表
E
M
一卵性 二卵性
O.995(O.96e)
O.878(O.881)A O.848(O.897)
O.602(O.741)
⑪.ちぢ4(0.819)
O.838〈O.944)
(括弧内は普通の相騨二二.)
第 7 表
N
I.
M
一・
@卵 性
(十〇.999) 一一 (十〇.984)
(十〇.963)一く十〇.672)
(十〇.954)一(十〇.603)
二 卵 性
(十〇.914) 一一 (一Q.018)
(十e.go1)一(一〇.og4)
(十〇.968)一(十〇.459)
γから母集雲級内相關係数ρの信頼度90%の 範園を求めると第7表の如くとなる.
然るに著者等の一人長澤が嚢に同胞2人組及 び3人組に就て求めたNのρのそれは夫k
(+0 750)一(+0.059)及び (十〇:869)一(十〇。119)である.
邸ち一卵性双生見に於てはN,E, M,が甚 だ相似し,而も:Nのをれは同胞間の相似度以上 であり,二卵性双生見に於てほMが甚だ相似す ることを詳し得た.
要
双生免に於ける各種白血球の核型の相似性並 に共の撒的取扱ぴ方に就て槍討し,次の結果を
得た.
約
11) 中性嗜好性白血球及び「エオジン嗜好性 白血球の核型は夫k一卵性双生見に於て,又輩 球の核型は一卵性及び二卵性双生児に於て甚だ
[ 3a ]
相似する。
2)一卵性双生5己に於ける中性嗜好性白血球 核型の相似度は瑚色間のそれ以上である.
3) 申性嗜好性白」血球核型の百分率偏差分散
(長澤)は一卵性及び二卵性双生見聞に有意なる 差異を認め,且つ前者に於ては分散が一暦小で
ある.
4)・白血球核型は膿質の表徴として有用なも のであり,且つ双隼見間の相似性の指標として 之を用ひることは細胞學的である黙に於て,叉 其の年齢的差異及び性別による差異が認φられ
なV・悪婆に於て,夫等の差異を搾めす種々の身儀 計測量に比し,有利とする虞である,此の核型 の遺傳及び環境による攣動の程度は更に今後精 細に研究さるべき興味ある問題である.
5)双生見研究法に就ての從來の平均百分 牽偏差法(Verschuer),自乗亭均法(石崎)の 外に萩に分散三法(長澤)及び級内相關係数法
(Fischer)を試みたのであるが,後二者がよb 適切な数的取扱ひ方である.
とv・ふ結論を得た。
文
1) 大月: 一{4全會雑誌, 423 昭12. 2) 長調:
近く同誌に護表の豫定, 3)杉山3血液及び 組織の新研究と其方法,昭16, 4)谷:十全
献
會雑誌,43;昭13,その他.
會雑誌,43;昭13.
5)石崎=十全
灘 ㍉凡、 .織灘贈
サ Q
聰講♂ 隔1
毒
新筋ワム吝ゆ鋼錫ヂコー鬼 冒潰傭治瀦ゆイ鄭鞠鯵貰)
喘息治療剤g罰 鵠 )
(公定馨訓義 エフェドリン注)
夫華道雑巾 大日本製藥株式
凹ン『弼騰
製 造機・費 元 書蹴
翻.
東寡都本町
・ 鞭籔欝艦鍮灘・羅難灘
謬
[ 31 )