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柔道の大衆化に向けた試合法の試作と検討 -中学校部活動実践者を対象として-

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(1)学 位 論 文 柔道の大衆化に向けた試合法の試作と検討 一中学校部活動実践者を対象として一. 兵庫教育大学大学院. 学校教育研究科. 教科領域教育学専攻. 生活・健康系コース. 学 籍 番 号. MO6281E. 氏 名. ノ. 田 中 孝 明.

(2) 目次. 1.研究の背景および目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 1. ∬.方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 5. 1).指導者への予備調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 6. 2).柔道の特性に関する予備的考察・・・・・・・・・・・・・…. 13. 3).試合法の作成と継続的な予備調査・・・・・・・・・・・・…. 15. 4).本実験および本調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 20. ①.質問紙の作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 20. ②.実験および調査の対象・・・・・・・・・・・・・・・…. 20. ③.実験および調査の方法・・・・・・・・・・・・・・・…. 21. 皿.結果 1).試合による実験の結果・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 22. 2).質問紙による調査の結果・・・・・・・・・・・・・・・・…. 24. 3).「簡易試合法」と「国際規定」の回答結果に対する因子分析・…. 32. 4).標準因子得点からみた技術レベル別の比較・・・・・・・・…. 36. 5).各因子の質問項目に対する「肯定・否定」からみた技術レベル別比較. 39. 6).「柔道の特性」に対する評価結果のまとめ・・・・・・・・…. 46. 7).「簡易試合法」と「国際規定」の特性に対する感想の結果・…. 47. W.考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 49. V.結論および今後の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 53. VI,参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 皿,謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 54. 56.

(3) 1.研究の背景および目的 平成19年現在,日本において主に使用される柔道競技の試合審判規定には, 「講道館柔道試合審判規定」(以下,「野道館規定」という)と「国際柔道連盟 試合審判規定」(以下,「国際規定」という)の2種類の規定が存在している.. 「日本間畔道館柔道」(以下「柔道」という)は,明治15年,嘉納冶五郎(以. 下「嘉納」という)によって創始され,「講道館規定」は,明治33年に彼が中 心となって制定したものである.日本で初めて明文化された柔術(柔道を含む). の試合法は,明治32年の「武徳会柔術試合審判規定」であったが,その作成を 担ったのも嘉納であり,翌年に制定された「側道館規定」とほぼ同じ内容であ った.. また,今日に至るまでに「警察柔道試合審判規定」や,旧・高等専門学校の 寝技重視の審判規定など,いわばローカル・ルール的なバリエーションも存在 してきたが,それらの基本となっているのはやはり「野道館規定」である.. 明治33年に嘉納が中心となって制定した「講道館規定」は,柔道を通じて心 身を向上させるための教育的意図を含んだ内容の規定であった.「国際規定」は, 1951(昭和26)年にヨーロッパを中心に発足した「国際柔道連盟」(International. Judo Federation;以下「IJ:F」と略記)1によって1967(昭和42)年に制定 された規定であり,柔道のオリンピックでの採用に象徴されるように,「世界標 準(グローバル・スタンダード)」の試合法として存在してきた.つまり,基本的. に世界での活躍を目指しているような高度な技術をもつ選手に対する試合法で あるといえる.. 一方,戦後の「聴道館規定」も,昭和42年に「国際規定」が制定されるまで の間に,国際的な試合法であることが意識され,「技評価のポイント化」,「罰則. のポイント化」が徐々に進められ,「国際規定」の下地となっていった.このこ. とは「国際規定」が制定される前の第1回(1956年)から第5回(1967年) に行われた世界選手権や東京オリンピックで,「講道館規定」がそのまま適用さ 1日本がIJFへ正式に加盟したのは翌年の1952(昭和27)年である.. 1.

(4) れ,また制定された当初の「国際規定」は「曲道館規定」をただ英訳したもの だったことからも明らかである.. そして「国際規定」は,その後さらに,「いかにして時間内で勝敗を決するか」. へ向けての合理化を進めていくとともに,「観客にとっても面白いダイナミック. なJUDO」を念頭に置いて,独自に高度化されていったのである.一方,戦後の 「国道館規定」は今日でも,例えば選手の自律性を促すために罰則でない「教育 的指導」1が採用されているように,「国際規定」と比べて教育的な観点を残して. いる.しかし「国際規定」とのズレによって生じる現場の混乱を回避するため に,特に平成7年以降からは,「国際規定」に大きく歩み寄り改訂された.この. ことからも,現行の柔道の試合法として行われている2種の規定は,ともに高 度化の方向へ進んでおり,大衆に向けての視線が欠落しているといえる.すで に昭和59年の時点においても,例えば大瀧が,「今日,勝利第一主義あるいは. 技術や体力の向上のみを主眼とする柔道があまりに多いのに不満を抱く者は決 して少なくないであろう.もちろん,柔道の競技化,スポーツ化のみがこの原 因とは考えていないし,また競技化,スポーツ化を否定するものでもない.た だ技術よりも精神を重視する思想,いわゆる勝負によって鍛えられるのは人間. であり,人間性を高めるため柔道の哲理や真理にふれる豊かな分野をもって探 求すべきではないか」2と述べているように,戦前以来継承されてきた柔道を通 じての教育的価値が見失われているという危機感は存在していた.. しかし,特に学校体育の現場では,高度化したスポーツをモデルとして,そ の競技の特性を活かしながら誰もが実践することのできる競技の行い方を工夫 する必要性があると思われる.いうまでもなく学校体育は「大衆への教育」を 前提としているからである.ボールゲーム(球技)をはじめとする競技スポー ツ教材の工夫はこれまでももちろんなされてきたが,近年では平成14年に「体 ほぐしの運動」領域が新たに学習指導要領の内容として加えられたように,児 童・生徒が日常生活を送っていく上で必要な,より基礎的な運動の設定が図ら れている.. 1ただし,選手に与えられる2回目以降の「教育的指導」は罰則扱いとなる. 2大瀧忠夫(1984)論説柔道,不昧堂,東京,p.3. 2.

(5) 中学校・高等学校における現行の学習指導要領・体育編の「武道」領域では,. 「伝統的な行動の仕方に留意して,互いに相手を尊重し,試合や練習ができる. ようにするとともに,勝敗に対して公正な態度が取れるようにする.また,禁 じ技を用いないなど安全に留意して練習や試合ができるようにする」1と示され ており,「伝統的な特性の教育」が強調されるとともに,戦後強められていった 「競技スポーツとしての柔道」路線が踏襲された内容となっている.「武道」種 目である「柔道」・「剣道」・「弓道」等の中でも「柔道」は唯一オリンピック種. 目として採用されてきた経緯があるため,学校体育の「大衆への教育」といっ た前提の中にも「競技種目として」の特性を無視することはできないであろう.. 永木(2003)2や山口(2004)3らの研究にもみられるように,「柔道」では かた. 元来から「形」と呼ばれる「勝敗を競わない」方法も存在しており,それらを 「自己の体への気づきや体の調子を整えること」,「仲間との交流を図ること」. といった「体ほぐしの運動」と関連づけて教材化することも,「伝統的な特性を. 味わう」という視点からみて意味があると考えられる.しかし一方では,戦後 のオリンピック競技に採用された昭和39年から現在まで普及・発展を遂げてき. た「競技柔道」という路線についても,実践方法を工夫することによって「伝 統的な特性を味わう」ことを図るのもまた重要ではないかと筆者は考える. 現在,「畔道館規定」・「国際規定」のこれら2つの規定は,大会の種類や性下. 等によって使い分けられてはいるが,近年の柔道競技はオリンピック,世界大 会などの国際的な大会で「国際規定」が使用されているということもあり,国 内で行われる大会もその多くが国際的な大会に対応できるように「国際規定」 で行われてきており,「講道館規定」で試合をする機会が少なくなってきている.. そのような状況を踏まえ,競技者や指導者の中にはそれらを「出来るだけ早 い時期に一本化すべき」4というような意見を唱える者も出てきている. さらに,「国際規定」は,勝負の決着をはっきりとつけ,勝者と敗者を観衆に. もわかりやすくすることをコンセプトとして改訂が進められているため,高度 1文部科学省(1999) 中学校学習指導要領解説 体育編.東山書房.pp.130. 2永木耕介・松下健二(2003)「和文化の風」を学校に一心技体の場づくり.明治図書pp.90.. 3山口昭彦(2004) 「じゅうどうあそびによる体ほぐしの運動」の効果に対する研究.兵 庫教育大学大学院,教科領域教育,修士論文. 4正:木照夫(1996)柔道新聞・平成8年1月20日付6面,日本柔道新聞社. 3.

(6) な技術レベルが要求され,選手の試合での体力消費はより激しいものとなって いる.しかし,柔道競技の全てが「国際規定」で行われるようになれば,世界 を目指して日々稽古を行っているような若い競技者ばかりならばよいのだが,. 体力が低下した年配の競技者や柔道を始めたばかりの初心者,あるいはこれか ら柔道をやってみようと志すものにとっては競技自体が敬遠されてしまうこと になりかねない.筆者自身,柔道を十数年間競技者として実践し,「講道館規 定」・「国際規定」の両規定で競技を行ってきたが,その経験からいっても,競. 技者として日々稽古を続けている場合ならばまだしも,しばらく稽古を休んだ 後に試合に臨むことに不安を感じる.特に「国際規定」で試合を行うことは, 体力の低下した者や初心者が気軽に参加するのは難しいであろう.. 平成19年度中に改定が予定されている新しい学習指導要領では,これまで選 択教材として扱われていた中学校の保健体育における「武道」の必修化が決定 している.そこで取り扱われる柔道でも,前述した「伝統的な特性と競技スポ ーツ的な特性」を踏襲した内容になると予想され,「大衆化」といった視点から. 初心者や初級者が伝統的な特性を味わいやすいような試合法の工夫がますます 不可欠なものになってくると考えられる.. 以上のことから本研究は,学校体育という視座から,特に中学校における柔 道初級者がより柔道の特性の感得を可能とする,新たな「試合法」の試作と検 討を目的とするものである.. 4.

(7) 皿.研究の方法 新たな「試合法」の作成についての手続き 以下で述べるように,本研究において新たに作成する試合法は,基本的にこ れまで多くのスポーツが大衆化に向けてなしてきた方法に倣って,「高度なルー ルをより簡易にする」という方法をとったものであるため,便宜上,「簡易試合. 法」と名付けるものとした.なお,野々宮1によれば,これまでの新たなスポー. ツ(ニュースポーツ)の創られ方は,大きく分けて3つに分類できる.①「全 く新しい創造・開発」,②「既存のスポーツの組み合わせ(コラージュ)」,③「既. 存のスポーツのルールを簡易に縮小(ダウンサイジング)」によって為されてき. たと整理されている.したがって,それらの観点からいえば,本研究での「簡 易試合法」は,③の「ダウンサイジング」にあたるものといえる.. さて,「簡易試合法」の作成は,以下の手続きによって進めた(図1にチャート を示す).. 1.指導者への予備調査 2.柔道の特性に関する予備的考察. 3.1中学校における継続的な予備調査 4.質問紙の作成 ①先行研究の検討 ②実験および調査の対象 ③実験および調査の方法. 1野々宮徹(1993)ニュースポーツへの接近.ニュースポーツ研究会編ニュースポーツと は何か. (財)水野スポーツ振興金助成金・研究成果報告書,pp.3−16.. 5.

(8) 中学校部活動指導者への質問紙調査(2006年). 十 試合で味わう「柔道の特性」についての予備的考察. 主な先行研究. 具. 西岡(1985年). 永木(2003年) 山口ら(2004年). 予備調査(1中学校における柔道部活動実践者). 佐藤(2006年). (2006年6月∼2007年9月) 息. 「簡易試合法」の試作. 恩. アンケート(質問紙)の作成. 二. 実験・ビデオによる分析. 恩. 質問紙調査. (上級レベル2校,中級レベル2校,初級レベル2校). 図1.本研究の方法・手続き 1.「指導者への予備調査」 まず,日頃,中学生以下を指導している柔道指導者(以下「少年指導者」と いう;112名)と,高校生以上を指導している柔道指導者(以下「成年指導者」. という;86名)が,現行の「国際規定」と「講道館規定」の違いをどのように 捉えているかについてアンケート調査を行った(平成18年10月実施)1.. 1この調査は,現行の2つの規定に対する指導者全般の捉え方の差異を明らかにするために 行ったものであり,すでに佐藤(2006)の論文において整理されている.佐藤博信(2006) 「柔道試合審判規定」の在り方に関する研究一「国際規定」と「講道館規定」に対する実 践者の認識を通して一.兵庫教育大学大学院・教科領域教育専攻・生活健康系コース修士 論文.ここでは,当調査で収集された資料の一部を,少年指導者と成年指導者別に新たに 分析し直したものである.. 6.

(9) ここでは,特に「少年指導者」に特徴のみられた,次の質問項目の結果につ いて記す.. ①「技評価」について(「国際規定」では「講道館規定」にはない「効果」が ある). ②「消極的な柔道」に対する「罰則」について. ③「体重制」について ④国内における「白道館規定と国際規定」の今後の在り方について. ①「国際規定」における最低の「技評価」である「効果」ポイントの必要性 についての質問である「効果は不要,有効以上で良い」では,「少年指導者」・「成. 年指導者」共に,高校生以上の柔道競技者が行っているようなハイレベルな試 合には,「効果」ポイントはあった方がよいとの回答が多かったが,「少年指導. 者」の方が「成年指導者」よりも「効果」ポイントの導入に関して,若干では あるが否定的であった.. 効果は不要、有効以上で良い 0%. 20%. 40%. 60%. 80%. 100%. 」肯定意見i l否定意見…. 少年指導者. 成年指導者. 図2.効果は不要,有効以上でよい. 7.

(10) 一方,中学生以下の,まだ技術レベルが低いと考えられる柔道競技者の行っ ている試合では,先程と同じ「(少年柔道では)効果は不要,有効以上でよい」 という質問の結果,「成年指導者」,「少年指導者」共に少年柔道では「効果」ポ イントは「不要」であるという回答が多かった.. またこの質問でも「少年指導者」の方が「成年指導者」よりも「効果」ポイ ントを不要とする回答が多く,「少年指導者」は「技評価」であるポイントの細 分化について否定的な傾向にあることが認められた. (少年柔道では)効果は不要、有効以上で良い 0%. 20%. 40%. 80%. 100%. ィ耀∼’凪呼7轡’,5’搾馬蔀「r・ 己卓・勢購醜酔趣,隈、ウh層躍二r、・・ぜ軸ド鳥_㍉F. ・▼. 少年指導者. 60%. @. 87. ¶ρ鰍「臨’Ψ鯛・り. 』’燭}阿覧凡り凶慶v+娼蝦. 25. 鞠..繍噺蜘略 購. 1■肯定意見: 、耽否定重.見、. 成年指導者. 60. 一. 図3.(少年柔道では)「効果」は不要,「有効」以上でよい. ②「消極的な柔道」に対する「罰則」である「教育的指導」1の必要性につい. ての質問の「教育的指導は不要,指導からで良い」や「罰則で勝敗が決まるの は反対,教育的指導はあった方が良い」では,自分から技をかけられるよう促 すことを目的とした,「教育的指導」は必要であるとする回答結果が,「成年指 導者」と比べて,「少年指導者」の方が多く,両質問の結果には,有意差が認め られた.「少年指導者」が「教育的指導」を必要とする理由として,少年の柔道 実践者は技術が成年の実践者と比べて未熟であるため,「効果」ポイントを導入. することによって,不十分な技でも試合で勝利してしまうことから勝利志向が 高くなり,技術の向上を求めなくなる可能性があると考えられるためである. 1 「教育的指導」は現在では「講道館規定」にのみ存在している.「国際規定」では制定さ れた当初には存在していたが,その後,「教育的指導」を取ることの意味が,世界中の全て の柔道実践者に十分理解できるとは考えられないとされ,規定の中から削除された.尾形 敬史(1998)審判規定の変遷,競技柔道の国際化一カラー柔道衣までの40年一,不昧堂 pp.78∼83.. 8.

(11) 一一一一一. 0%. 宙逑I指諭訴颪指導からセ良6. 20%. 40%. 60%. 80%. 100%. 少年指導者 .●肯定意見 .■否定意見. 成年指導者. 一 ... .. 一. . .. 「. 一.『.. .. .一. 一... 一−「. 一一一一一一._.一一 一一.一. 図4.教育的指導は不要,指導からで良い. 表1.「教育的指導は不要,指導からでよい」Z2検定結果 κ2三値. P値. 自由度 1. 6.07. 判定 0.01. *. (★歯P<1%, ★P<5%). 罰則で勝敗が決まるのは反対、教育的指導はあった方が良い 0%. 20%. 40%. 60%. 80%. 100%. 少年指導者 :■肯定意見 .■否定意見. 成年指導者. 図5.罰則で勝敗が決まるのは反対,教育的指導はあった方が良い. 表2.「教育的指導はあった方が良い」Z2検定結果 κ2乗下. P値. 自由度 12.99. 1. 判定 0.00. **. (★★P<1%, ★P<5%). 9.

(12) ③「体重制」についての質問である「全ての試合は体重制で行うべき」では,. 全体的な意見としては少数であるが「少年指導者」の方が「成年指導者」と比 べて「体重制」の採用に肯定的であり,その結果に有意差が認められた.これ は,少年の柔道実践者は技術が未熟であると考えられるため,身長・体重とい った,身体的な要因での差をなくすことが理由であると考えられる.. 「. 全ての試合は体重制で行うべき 0%. 20%. 40%. 60%. 80%. 100%. 少年指導者 ■肯定意見i. 燗否定意見. 1. 成年指導者. 図6.全ての試合は体重制で行うべき. 表4.「全ての試合は体重制で行うべき」Z2検定結果 κ2乗値. P値. 自由度 4.31. 1. 判定 0.03. *. (★★P<1%, ★P<5%). 10.

(13) ④国内における「国際規定と講道館規定」の今後の在り方についてどう考え ているかの質問では,「成年指導者」が「講道館規定」で試合を行う機会が減少 していることもあり,「講道館規定」は不要とする回答が多かった.しかし,「少. 年指導者」は「講道館規定」に改定の必要性はあるが,2種類の規定があった方 が良いとする回答が多く,結果に有意差が認められた.. 国内における「講道館規定と国際規定」の今後の在り方 20%. 0%. 40%. 60%. 80%. 100%. 2種類あって. ■. 良い. ■講道館規定は:. 少年指導者. 不要 講道館規定は. .ロ改定すべき. 1 成年指導者. 図7.国内における「講道館規定と国際規定」の今後の在り方. 表5.国内における「開道館規定と国際規定」の今後の在り方Z2検定結果 κ2乗値. P値. 自由度 17.54. 2. 判定 0.00. **. (★★P<1%, ★P<5%). 11.

(14) これら5つの質問項目での「少年指導者」の回答結果を受け,現行の「講道 館規定」,「国際規定」に対して,「少年指導者」がどのように感じていると考え られるかを以下に示す.. 「技評価」の結果から,「効果」ポイントを「成年指導者」よりも,不要であ るとしていたことから「相手を制する技術(投げの技術)」の向上の結果として, 「一本」を取ることを目指していると考えられる.. 「消極的な柔道」の結果から,「罰則」等による試合での勝敗という結果だけ. に囚われず,柔道を通して心身の育成等の教育的な側面にも着目し,試合を通 して技の攻防などを楽しむことができるような余裕のある展開を望んでいるこ とが考えられる.. 「体重制」の結果からは,まだ柔道が創始された当初からの「柔よく剛を制 す」のような無差別で試合を行うべきといった考え方が残存しており,全体的 にみて少数意見ではあったが,「少年指導者」は体重制の採用に対しては「成年 指導者」よりも肯定的であった.このことから,「少年指導者」は,柔道が力や. 体重差などで決まってしまうことを望んでおらず,技での決着を望んでいると 考えられる.. 「国内における国際規定と避道館規定の今後の在り方」の結果から,国内に おける両規定の今後の在り方に対して,「成年指導者」が「講道館規定」を不要 とする意見が多かったのに対し,「少年指導者」では「講道館規定」は改定の必. 要性はあるものの2種類の規定があって良いとする回答が多くみられた理由は,. 成年の柔道実践者が行っている「国際規定」は先述したように高度化されてい るため,誰でもが気軽に行えるといったものではないと考えられる.. そこで「国際規定」とは別に,大衆性があり,誰でもが柔道の試合を楽しむ ことが出来るような試合規定を求めているということが「少年指導者」のアン ケート調査の回答から伺えた.. 12.

(15) 2.「柔道の特性」に関する予備的考察 アンケート内容を作成するために「柔道の特性」とは何かについて,予備的 な考察を行った.. その結果,まず技術的な側面として「一本」を取ることが挙げられた.これ は,明治33年に「講道館規定」が嘉納らによって制定された当初,技の評価と なるポイントは,現行の規定のように細分化されていたわけではなく,「一本」. と「技あり」の2種類であった.柔道における「一本」の定義は,「大体におい いきおい. て仰向けに,相当のはずみまたは勢を以って相手を投げる」や「完全な技・ 十分な技」とされており,もう一方の「技あり」は「投技にして十分の一本と 見なし難きも技として相当の価値ありと認められるべきとき」と定義されてお り,「一本」を十分な技とするならば,それに至らない八分・九分(80%∼90%). の技であるとされていた1.だが,ここでの「技あり」の位置づけも,あくまで 「一本」に迫る八分,九分の技であり,必ずしも勝敗を決定付ける要因にはな. りえず,技の質を評価するというものであった.その後,戦後の昭和26年の規 定改訂で「技ありを取れば勝ちになる」という「技のポイント化」がなされ始 めたが,それ以前には「一本」のみが試合の勝敗を決定づけるポイントであっ た2.技評価となるポイントがこれらしか存在していなかった理由としては,「柔 道」が「武術として完全な技」3を志向していくとされていたことが挙げられる.. こういつた柔道の歴史的な経緯や,先の方法①で行った指導者への予備的な質 問調査から,特に少年の柔道実践者には,より「柔道」の最大の目的である相 1嘉納治五郎(1916)柔道審判規定解説.柔道2(6),嘉納治五郎体系所収,本の郷社,p403 ∼404.. 2なお,大正14年の改訂に至るまで,「試合者の優劣は2回の勝負にて決すこと(2本勝負)」 が原則とされていた.その理由についての詳細は判明しないが,柔術時代から引き継ぐ「武 術としての真の実力」を試すという意味で「二本」取ることが求められたものと考えられ る.尾形敬史(1998)審判規定の変遷,競技柔道の国際化一カラー柔道衣までの40年一, 不昧堂,P.44.. 3武術は本来,いかにして相手を殺傷できるかを追及していくものであり,素手で戦うこと を主体とする「柔術」では,戦時の組み打ちに勝利して「敵の首を掻く」ことを最終目的 としていたことからも,「武術としての完全な技」とは相手の身体を完全に制し,戦闘不能 に至らしめることである.入江康平(2003),武術・武芸と武道.武道文化の探求,不昧堂 PP 26・. 永木耕介(2003).柔道の歴史(近世∼近代).入江康平編著,武道文化の探求,不昧堂pp.112.. 13.

(16) 手を完全に制して投げる「一本」を取ることを目指してもらいたいという意図 のもと,今回「柔道の特性」として設定するものとした.. 次に柔道の理念や,精神的な側面として考えられるものには,嘉納が柔道の 教育理念として掲げていた「精力善用」,「自他共栄」という言葉がある.まず 「精力善用」とは,柔術時代から用いられており,「柔道」の技術原理でもある 「柔よく剛を制す」から発展したもので,「相手の力を感じ,それをうまく利用. する」という考えが基本となっている.もう一方の「自他共栄」とは,「自分と. 他者が共に栄える(向上していく)こと」であり,言い換えれば,相手を尊重 し,融和協調していくという考え方である.これらは「生き方」の二大原理・. 原則とされ,このように「生き方を学ぶ」ことを柔道の終極目的とした.また こういつた柔道の教育理念以外にも柔道を用いての精神的な側面の育成を嘉納 が,「目の前の勝敗ということより柔道修行の終極の目的を考えて,あくまでも. 柔道の修行が人格の養成,精神の修養に資するようにしたいものである」1と述 べていたことなどからも柔道では競技を通じて,身体を鍛えるだけでなく,人 格の形成や道徳性を育てていくといった教育的な観点からの指導が創始された 当初よりなされてきている.これらの考え方からも判るように,嘉納によって 創始された初期の柔道は,現在の柔道競技のように 「試合で勝つことを追及す る(勝利第一主義)」のではなく,競技での勝敗は二義的なものであり,人格の 陶冶のための教育的価値を重視していたことがわかる.. これまでに述べてきたように「柔道の特性」を考えるために必要となってく るであろう,嘉納によって創始された当初から受け継がれてきている柔道の理 念や指導方針などを踏まえたうえで,より「一本」を取ることを目指す,(武術 としての完全な技,「一本」の重視),「相手の力や動きをうまく利用する」(力. のやりとり・調節),「相手を尊重し,融和協調しようという考え」(他者への気. づき・交流)の3つを導きだし,「柔道の特性」として,設定することとした.. 1嘉納治五郎(1916)柔道の修行者に告ぐ.柔道4(2),嘉納治五郎体系所収,本の友社, p210∼211.. 14.

(17) 3.試合法の作成と継続的な予備調査 「簡易試合法」の作成に向けて,1中学校の部活動実践者を対象として,平成. 18年の6月から,19年の8月にかけての継続的な予備調査を行った. 対象とした中学校は部員解約20名,小学校からの柔道経験者が一人もおらず, 全員が中学校から柔道を始めた「初級者」ばかりの中学校である.. ①通常の試合場面で少年の柔道実践者に適応されている「講道館規定(少年 規定)4についてどのように感じているのかを探るため,まず,「講道館規定(少. 年規定)」による練習試合を繰り返し行うとともに,すでに試合に参加した経験. のある生徒については,その時の感想を「簡易試合法」を作成するための参考 にするため,聞き取り調査を行った.. その結果は具体的な記録としては残されていないが,筆者が聞いただけでも 「技がかけにくい」や「(いつもの)練習よりしんどかった」といった意見を多 くの生徒たちから得ることができた.. そこで,生徒たちが「野道館規定(少年規定)」に対して主に感じていた「技 がかけにくい」や「練習よりしんどかった」等の不満を解消するため,まず「試 合場の広さ」を6畳と狭くし,「技評価」のポイントを「一本」のみとした.. これは試合場内を動き回れなくして無駄な体力の消費を抑えることと,間合 いが近くなり,相手を捉えやすくなるようにするために設定し,その結果とし て,相手を完全に制して投げる「一本」を取れるだけのしっかりとした「技」 の習得を目指してもらいたいと考えたために設定した.. しかしこの結果については,「(試合場が)狭いからやりにくい」や「一本し. かないので厳しい」といった否定的な意見が多くみられ,不満を感じていた様 子が伺えた.. そのため,次に「試合場の広さ」,「技評価」は変えず,組み手争いを禁止し. て,組んだ状態から試合を始めることと,相手の奥津を持つこと,体を相手に 預けて投げようとする,「捨て身技」を掛けることを禁止した.. これは組んでから試合を始めることで,あまり動き回らなくてもよくなるこ とや,相手との接触回数が増えることで,力の伝わりが感じやすいと考えられ ること,そして,より間合いが近くなり相手を捉えることが容易になると考え,. 15.

(18) 設定した.また奥襟や捨て身技を禁止することで,無理矢理に相手を投げよう とすることによって起こる怪我の危険性の防止と,しっかりとした「投技」の 技術を習得させることを目的として設定した.. その結果,やはり「(試合場が)狭かったからやりにくかった」や「奥襟がな いとやりにくい」等の否定的な意見はみられたものの,「技がかけやすかった」,. 「組んでから始めるから力を感じやすかった」,「技に力を入れられた」等の肯 定的な意見も試合の結果からみられるようになった.. ②これまでに述べてきた方法1.「少年指導者への調査結果」,方法2.「柔道. の特性」に関する考察,および,先の①に述べた中学校柔道部活動実践者から の聞き取り調査をもとに,以下のような. 「簡易試合法」の内容を設定するこ. ととした.. なお補足として,今回授業でなく柔道部活動実践者を対象としたのにはまず,. 筆者が授業を受け持てる立場にいないということ,授業で生徒が自由練習や試 合を安全に行えるようになるまでにはある程度の時間が必要となってくること,. また小学校から柔道を行っている者や,実際の試合場面で好成績を残している 者のような中級者,上級者と考えられる生徒と比較し,初級者にはどういつだ 試合法が適しているのか探る意図から中級者,上級者を捉えやすい柔道部活動 実践者を対象とすることとした.. 表6.簡易試合法の内容 ● 技評価「一本」のみ. ● 試合場の広さ12畳 ● 奥襟・捨て身技の禁止 ● 相手と組んだ状態から試合を始める ● 立技のみの試合法としたため,寝技の禁止 ● 身長・体重・経験の有無を考慮して相手を選ぶ. 16.

(19) ここで現行の規定と「簡易試合法」との主な相違点を示す.. 表7.各規定比較表1 講館規定. 国際規定. 講道館規定少年規定. i明治33年∼). i昭和42年∼). i昭和57年∼). 一本 @. 技評価. 一本. 技あり. L効(昭和26年から導入). 簡易試合法. 一本. @. 技あり. Zあり. @. 有効. L効. 一本のみ. 果(昭和49年から導入). 試合場の広さ. 50畳. 50畳. 25秒→一本. 30秒→一本. 寝技. 30秒→一本. @ 25秒→技あり. @. 20秒→技あり. Q5秒→技あり. @. @. 鰍→有効. Q0秒→有効. @. 10秒→効果. 20秒→有効. 12畳. 50畳. 寝技は無し. @ *昭和16年の改正で 氓ウえ込み30秒で一本目された. 抹ス成10年の改正で25秒で一本に短縮. 昭和27年:全国青年大会で実施 中学生は体重制と 昭和42年∼体重制が前提となり細分化 体重制. 糧幡聾 @ 3階級. 別で試合が行われており. コ和39年:鯨五黙考定着. ャ学生は全て無差別で行われる. @ など両方が混在. サ在:60∼100kg超の7騰 「だ二型無しの試合も多い 育的指導指導 罰則. ー警告反則負け @. @. 現在:60∼100kg超の7騰. ルとんど全ての試合が体重制で行われる. 指導1,指導2指導3. 教育的指導旨導. 教育的指導指導. ス則鮒の4醐. ー警告反則負け. ー警告反則負け. @ の5種類. @. の5種類. 1なお少年規定では,安全性を考慮しての独自の罰則として,両膝をついてかける背負い 投げが指導,関節技を施すことは禁止事項として挙げられている. また「国際規定」では,柔道が消極的であった際に与えられる罰則(積極的戦意の欠如) の「教育的指導」は平成2年の改正で不要として規定から削除された. 17. の5種類.

(20) 表6の項目を設定した経緯を以下に示す. 技評価を「一本」のみとしたのは,指導者への予備調査で,「少年指導者」が. 技術レベルの未熟であると考えられる少年の柔道実践者にはより「一本」を取 ること,また「一本」を取れるだけの「相手を制する技術」の習得を目指して いたことや,「柔道の特性」に関する予備的考察で,柔道が相手を完全に制する 「一本」を目指しており,創始された当初には唯一「一本」のみが,試合を決. 定づけるポイントとされていたという柔道の歴史的な経緯などから考え,この 条件を設定することとした.. 試合場の広さを12畳としたのは,予備調査の段階で動き回れなくなるため体 力の浪費が少なくなると考え,広さを6畳に設定し,試合をさせた後に取った 生徒からの自由記述の結果では,「(試合場が)狭くてやりにくい」との回答が. 多くみられたが,「力を感じやすかった」等の肯定的な意見もみられたため,試 合場の広さを少し広くして,12畳に設定することとした.. 奥襟・捨て身技の禁止を設定したのは,無理矢理に相手を投げようとするこ とによって起こる怪我の危険性の防止と,しっかりとした「投技」の技術を身 に付けさせることを目的として設定することとした.. 相手と組んだ状態から試合を始めると設定したのは,方法2で柔道の理念で ある「精力善用」という言葉を受けて,「柔道の特性」として「力や技のやりと. り」を設定したことや,方法3の自由記述で,「組んでから始めるから力が入れ やすかった」という意見がみられたことから,相手の力を感じやすくなり,ま た相手を捉えることが容易になると考え,この条件を設定することとした.. 立技のみの試合法として寝技をすることを禁止したのには,嘉納が生前の講 話の中で,「体育としては、投を主とし、次に抑業を稽古し、時々絞めも稽古す る順序をもってするがいい。」1と述べており,投技に重きをおく理由を,全身. の発育に利益があり,理論も高尚で面白いとしていたことを受け,発育・発達 段階にある少年の柔道実践者にはまず,投技のみに集中させて練習を行った方 がよいのではないかと考え,この条件を設定することとした.. 1嘉納治五郎(1916)第三回柔道聯合勝負の前後における講話.国士2(10),嘉納治五郎 体系所収,本の友社,p303.. 18.

(21) 身長・体重・経験の有無などを考慮して相手を選ぶこととしたのは,なるべ く対等な条件の下,試合を行えるようにするために考えたものである. 例えば,岡部平太は,「力は則ち体重である」とし,「精密に体重を測って、. 一人宛綱引きをやらせて見ると三キログラム体重に差がある場合、百人やらせ て九十五人までは体重の重い方が勝つ」1と述べていることなどから,筋力もま だそれほど発達していない中学生ならば,より身長・体重といった身体的な差. が試合の勝敗に大きな影響を及ぼすのではないかと考えた.それは方法3の継 続的な予備調査の際,自由記述で「重量級は倒せないと思った」と述べていた 生徒がいたことなどからも実証されるのではないかといえる.. また経験の有無を考慮して相手を選ぶようにしたのは,これまでに小学校等 から町道場のような場所で柔道を行っていた経験のある生徒と,全く未経験の 生徒とでは,技術等に明らかな差が認められるのではないかと考え,この条件 を設定することとした.. 先に述べたこれらの考えから,新たに6つの条件を「講道館規定(少年規定)」. の内容に付け加え,今回の「簡易試合法」の内容として設定することとした.. 1岡部平太,柔道新聞・昭和27年8月20日付3面,日本柔道新聞社. 19.

(22) 4.本実験および本調査 1)質問紙の作成 「簡易試合法」の実験後,対象者がそれに対してどのような感想・印象を持 つかについて知るために質問紙を作成した.. まず,西岡1の柔道を行うことの楽しさを感じる場面に関する質問紙調査,山 口ら2のじゅうどうあそびを用いた児童の「気づき・交流」の深まりや攻撃性の. 軽減に関する調査結果などの先行研究の検討や,前述した①「指導者への調査 結果」で浮かび上がった「少年」に,柔道を指導している指導者の考えや,② 「柔道の特性」で挙げた三つの特性に関する考察結果を用いて,「一本の重視」,. 「力のやりとり・調節」,「他者への気づき・交流」という項目(カテゴリー). を設定した.また質問の内容については,③の継続的な予備調査で述べた「簡 易試合法」作成の過程で繰り返し調査しながら整理・修正し,質問紙の具体的 な質問内容を作成した.. 2)調査対象・時期. 本調査は平成19年9月から11月にかけて実施した.対象は兵庫県下の異な る技術レベルにある6校の公立中学校柔道部員とし,それらを2007年の県下中 学校総合体育大会(2007年7月)の結果及び,各地区で行われた地区大会の試 合成績を基準として,初級2校,中級2校,上級2校の3グループに分類した. また初級,中級の各学校において既に初段を取得している部員(「初級」グルー. プ4名,「中級」グループ2名)については,実力的にみて,上級グループに組 み入れた.. 1西岡広樹他(1987)柔道の楽しさに関する研究一楽しさ体験に影響を及ぼす諸要因の検討 一。兵庫教育大学大学院,教科領域教育,修士論文. 2山口昭彦(2004) 「じゅうどうあそびによる体ほぐしの運動」の効果に対する研究.兵 庫教育大学大学院,教科領域教育,修士論文. 20.

(23) 3)実験及び調査方法. 試作した「簡易試合法」を適応して,異なる技術レベルの中学校6校の柔道 部活動実践者98名に試合を行わせ,それをビデオカメラに収録した.実験では. 同じ技術レベルのグループ内で体重別に軽量級,中量級,重量級の3グループ に分け,できるだけ他校の中学生と対戦できるように相手を選び,試合時間を2 分として試合を行った.そして「簡易試合法」の特徴をより比較的に抽出する ために「国際規定」による試合を同時に行い,「技の掛け数」,「一本の数」,「技. の種類」について分析した.なお調査用紙の配布については筆者が各学校に行 き,「簡易試合法」と「国際規定」の2種の試合法で生徒に実際に試合を行って もらい,各試合の直後,調査用紙を手渡しで配布し,その場で生徒に記入して もらい,回収するものとした.. 21.

(24) 皿.結果 1. 試合による実験の結果. 1の方法で述べたように,技術レベル別に試合を行って収録したビデオを, 「技の掛け数」,「一本の数」「技の種類」の3つの観点から分析した.. 「技の掛け数」では,技を掛けた総数から試合が決まるまでに要した時間を 割り,1秒間の技の掛け数を出して「簡易試合法」と「国際規定」の分析をした.. なお,今回「技の掛け数」について1秒間に何回技を掛けたかを分析するこ ととしたのは,2分間の試合時間が終わるまでに「一本」を取ってしまい,1試. 合の試合時間が短い者と2分間試合を行った者とを,同じ条件のもとで技の掛 け数を比較するために,1秒間に技を掛けた数の平均値を算出した.. 表8.各グループの1秒間あたりの「技の掛け数」 初級(30名). 中級(22名). 上級(46名). 「簡易試合法」. 0.13回. 0.18回. 0.13回. 「国際規定」. 0.11回. 0.13回. 0.10回. 結果,表8に示したように「技の掛け数」は3グループ全てにおいて「簡易 試合法」の方が「国際規定」よりも増加しており,中でも「中級」グループが 他のグループに比べ,「簡易試合法」と「国際規定」の間に1秒あたりの「技の 掛け数」において大きな差があったことが認められた.. 22.

(25) 「一本の数」は,「簡易試合法」と「国際規定」で試合を行った中で,どちら に「一本」を取った数が多かったかを比較したものである.. 表9.各グループの1試合における「一本の数」 初級(30名). 中級(22名). 上級(46名). 「簡易試合法」. 4本. 11本. 6本. 「国際規定」. 6本. 6本. 6本. 結果,表9に示したように「一本の数」では,全グループで1秒あたりの「技 の掛け数」が増加していたにもかかわらず,「中級」グループのみが「簡易試合 法」で試合を行った場合に,「国際規定」と比べて「一本の数」が増加している ことが認められた.. 「技の種類」は,柔道での「投技」1は,「手技」(主に背負い投げ等),「足技」. (主に足払い,大外刈り等),「腰技」(主に払い腰等)の3種類に分類される.. ここでは,試合時間内に掛けたそれぞれの技回数を各グループの人数で割り, 算出した.. 表10.各グループが1試合あたりに掛けた「手技」の回数 初級(30名). 中級(22名). 上級(46名). 「簡易試合法」. 2.22回. 1.76回. 1.76回. 「国際規定」. 1.74回. 2.11回. 1.65回. 1元来柔道は,「投技」,「固技」,「当身技」の3つから構成されているもので,本文中にあ る「立技」,「寝技」という表現はそれらをわかりやすくするために使用された略称である. ただし,「手技,足技,腰技」は「投技」に分類されるため,ここでは「投技」という表現 を使用する,. 23.

(26) 表11.各グループが1試合あたりに掛けた「足技」の回数 初級(30名). 中級(22名). 上級(46名). 「簡易試合法」. 11.00回. 5.03回. 12.51回. 「国際規定」. 7.96回. 7.26回. 8.42回. 忌12.各グループが1試合あたりに掛けた「腰技」の回数 初級(30名). 中級(22名). 上級(46名). 「簡易試合法」. 0.33回. 0.11回. 0.44回. 「国際規定」. 0.07回. 0.19回. 0.42回. 結果,表10,11,12に示したように「初級」,「上級」グループでは「手技」,. 「足技」,「腰技」の全てで「簡易試合法」の方が「国際規定」よりも,技が増 加していた.それに対して,「中級」グループでは,「手技」,「足技」,「腰技」. の全てで「簡易試合法」の方が「国際規定」よりも1試合あたりの「技の掛け 数」が減少していた.また「足技」の数が全てのグループで「手技」,「腰技」. と比べて多いのは,相手を投げるというよりも牽制するために掛けている,「足 技」も含まれていることによる.. 2.質問紙による調査の結果. 1)3グループ(初級・中級・上級)による回答結果の平均得点 方法の④で述べたように「簡易試合法」と「国際規定」の各々の試合後に 「柔道の特性」の観点から構成した質問25項目について,4段階評定尺度に より回答させた(資料3.4「本調査の質問紙」参照).ここではまず,技術レ. ベル別に「簡易試合法」の効果を考察するための基本的な資料として,回答. にそれぞれ1∼4点(思わない∼そう思う)の得点を与え,3グループ別にみ た平均得点の結果を示す.(図8∼12). 24.

(27) 十. 2あまり3やや4そう思う. 1.思わない. →ヨ1. 思わないそう思う. 1.力を加減. 薯:. 、. ?4. 2.自分の気持ち 3.全力すっきり. 嘉1. 4.積極的 5.ほめられる技. 塁. 6.連続技. 十…. 1、 @. 」. 1. 7.うまく動けた. 5. v. 8.技楽しめた. 蓄……. 1. 9.動きのコッ. l. 10.技返せそう. 藝…. 〒. 11.技考えた 畑. 碧 雲…. ,,. 12.全力悔しさ メ. 13.得意技容易 皿. P. 宙. 14.強引な技. (. 15.自然に笑顔 16.ケが心配 十1:. 芯: 面::. ). {. 17.相手体気づき 18,技返される不安. ■. 、. 19.技・動き予想 糞…. 20.自分体気づき 21.相手気持ち. 細1…. お. 菌1. 1 }. 22.力利用し,技. 茎. 23.相手と一つに. 1 1. 24.相手体違い. 戟E. 25.認め合えた 図8.技術レベル別,回答結果の平均得点(簡易試合法) 25.

(28) 十. 1思わない. 2あまり 3やや. 4そう思う. 思わないそう思う. 壽1 1.力を加減. 書. 2,自分の気持ち. 糞1. 3.全力すっきり. 瑠1. 4.積極的. 塁i. 5.ほめられる技. ぐ. 6.連続技 十i. 7.うまく動けた. 9.動きのコツ 10.技返せそう. 署1. 璽. v. 8.技楽しめた. 豊1. 藩. ≦. l 〒. 、. 11.技考えた 臨. 12.全力悔しさ. 鯛 13.得意技容易 皿. 面 圖. 14.強引な技. 15.自然に笑顔. 臨. ). 16.ケが心配 17.相手体気づき 18.技返される不安. 襲. 1. 19.技・動き予想. 20.自分体気づき 21.相手気持ち. 撃. 22.力利用し,技. 23.相手と一つに. 24.相手体違い. 3. 25.認め合えた 図9.技術レベル別,回答結果の平均得点(国際規定) 26.

(29) 1思わない2あまり3やや4そう思う 思わないそう思う. 1.カを加減 2.自分の気持ち 3.全力すっきり. 当1. 4.積極的 5,ほめられる技. 舞1. 6.連続技 7.うまく動けた. 蓼. 8.技楽しめた. 謡:. 判 ¥. 9.動きのコツ. 1. 10.技返せそう. 塁;. 〒 講 湘. 11.技考えた i. 12.全力悔しさ. l…. 13.得意技容易. 蓄…. 皿. 昼 ら 耐. 14,強引な技. 書 馨. 15.自然に笑顔 馨…. 16.ケが心配 17.相手体気づき. 暴. 18技返される不安 19.技・動き予想. 些. 20.自分体気づき. 21.相手気持ち 22.力利用し,技 23.相手と一つに. 24.相手体違い 25.認め合えた 図10.「簡易試合法」と「国際規定」の平均得点(初級グループ). 27.

(30) 1思わない. 2あまり 3やや 思わないそう思う. 4そう思う. 1.力を加減 2.自分の気持ち 3.全力すっきり 十. 4.積極的 5.ほめられる技. 聲. 6.連続技 7.うまく動けた. 董. v. 8.技楽しめた 9.動きのコツ. 認:. l 〒. 10.技返せそう 塁:. 11.技考えた 12.全力悔しさ. 十:. 13.得意技容易. 皿 蓄…. 喜 画…. Bl. 型. 14.強引な技. 号. 15.自然に笑顔. ). 16.ケが心配 17.相手体気づき 18.技返される不安 19.技・動き予想. ’ミ. 20.自分体気づき. 21.相手気持ち 急一. 22.力利用し,技. 23.相手と一つに. 24.相手体違い 25.認め合えた 図11.「簡易試合法」と「国際規定」の平均得点(中級グループ). 28.

(31) 1思わない2あまり3やや4そう思う 思わないそう思う 1.カを加減 2.自分の気持ち 3.全力すっきり. 装. 4.積極的 5.ほめられる技. 置. 6.連続技. 面:…. ρ1. 7.うまく動けた. 糞…. 8.技楽しめた 9.動きのコツ. 離1. 10.技返せそう. 禽…. 十1. 豊 犀…. 薔 翠. MV寸17鯛甜頒跡. 11.技考えた 囲. 12.全力悔しさ. 囲 13.得意技容易 皿. 14.強引な技. 15.自然に笑顔. 興 ヒ. ). 16.ケが心配 17.相手虫気づき 18.技返される不安 19.技・動き予想. 20.自分体気づき 21.相手気持ち 22.力利用し,技. 23.相手と一つに. 24.相手体違い 25.認め合えた 図12.「簡易試合法」と「国際規定」の平均得点(上級グループ). 29.

(32) 以下には図8∼図12から読み取れる点について示していく.. 図8に示した,「簡易試合法」における技術レベル別(初級,中級,上級)の. 平均得点の結果からは,総合的にみて「中級」グループの得点が高く,次いで 「初級」グループ,「上級」グループへと得点が低くなる傾向にあることがわか. る.ちなみに25項目中「初級」グループが「中級」グループよりも高い平均得. 点を示した項目は,項目No.8「技のかけ合いを楽しめた」と項目No16「相手 が怪我をしないか心配した」項目No.18「技を返されるのが不安だった」の3 項目であった.また「上級」グループで「中級」グループよりも高い平均得点 を示した項目は項目No.14「何回か強引な技をかけた」,項目No.18「技を返さ れるのが不安だった」の2項目であった.. 図9で示した,「国際規定」における技術レベル別(初級,中級,上級)の平 均得点の結果からも,総じて「中級」グループの得点が高く,次いで「上級」 グループ,・「初級」グループへと得点が低くなる傾向にあることがわかる.ちな. みに25項目中「上級」グループが「中級」グループよりも高い平均得点を示し た項目は,項目No.14「何回か強引な技をかけた」, No.18「技を返されるのが. 不安だった」の2項目であり,「初級」グループが「中級」グループよりも高い. 平均得点を示した項目はNo.18「技を返されるのが不安だった」の1項目のみ であった.. 図10に示した,「初級」グループにおける「簡易試合法」と「国際規定」に 対する平均得点の結果からは,総じて「簡易試合法」の平均得点の方が「国際 規定」の平均得点よりも高い傾向にあった.ちなみに「国際規定」で25項目中 の平均得点が高かったのは,項目No.6「連続技がいつもより出しやすかった」, 項目No.12「全力を出して戦ったので負けてもあまり悔しくなかった」, No.14 「何回か強引な技をかけた」,No.23「試合中相手と一つになったように感じた」. の4項目であった.. 30.

(33) 図11に示した「中級」グループにおける「簡易試合法」と「国際規定」に対 する平均得点の結果では,12の項目で「簡易試合法」の方が「国際規定」より も高く,残り13項目で逆転している.したがって,全体的な傾向は平均得点か らだけでは判断できず,項目ごとに相違性を考えていく必要があり,この点に ついては後述するように,因子分析の実施後に記すこととした.. 図12に示した「上級」グループにおける「簡易試合法」と「国際規定」に対 する平均得点の結果では,15項目で「国際規定」の方が「簡易試合法」よりも. 高く,残り10の項目で逆転している.したがって全体的には「国際規定」の方 がやや肯定的な傾向にあるといえるが,とれについても平均得点からだけでは 判断できず,項目ごとに相違性を考えていく必要があり,この点についても後 述するように因子分析の実施後に記すものとした.. 31.

(34) 3)「簡易試合法」と「国際規定」の回答結果に対する因子分析. IIの方法で述べたように,先行研究をもとにして「柔道の特性」という観点 から構成した質問25項目は,尺度として構成したものではあるが標準化された ものではない.そこでまずは,「簡易試合法」と「国際規定」で行った試合に対. する全対象者(98名)の25項目に対する評価にはどのような因子(共通する 概念)があるのかを確認するため回答結果に因子分析を施した。. 因子分析は,主因子法により共通性の初期値を1,固有値1.0以上を目安に因. 子数を5が適当であると判断し,さらに因子を解釈しやすくするため,直交バ リマックス回転を施した。またその結果について(稿末資料5参照),因子負荷量. 0.4以上の項目を取り上げ,次のような因子の解釈・命名を行った.まず第1因 子は,「全力を出して気持ちや体がすっきりした」,「得意技がいつもより出しや すかった」,「先生や友人からほめられるような良い技が出せた」,「積極的に試. 合することができた」などの因子負荷量が高いことから,試合場面においての 技や力のやりとりに対する満足感を現すものと捉えられ,「満足感」と命名した.. なお,この第1因子における寄与率は21.35%あり,第2因子の寄与率が9.81%. であることから考えても,かなり高いものとなっており重要な因子であるとい える.第2因子は,「相手の体の様子(固さ,柔らかさ,力があるなど)に気づ いた」,「自分と相手の体の違いに気づいた」,「お互いに認め合うことができた」. などの因子負荷量が高いことなどから自己や相手に対しての気づきを表すもの と捉えられ,「気づき」と命名した.第3因子は「試合中相手と一つになったよ うに感じた」,「相手の気持ち(喜び,怒り,優しさなど感じた)」などの因子負. 荷量が高いことから相手との交流・一体感を表すものと捉えられ,「一体感」と 命名した.第4因子は,「相手の技や動きが予想しやすかった」,「相手の技を返 せそうな気がした」,「力をうまく加減することができた」などの因子負荷量が. 高いことから,技・力のやりとりを行う上での相手への対応を表すものと捉え られ,「対応力」と命名した.最後に第5因子は「何回か強引な技を掛けた」,「自. 分の気持ち(喜び,怒り,優しさ)などを感じた」「技を返されるのが不安だっ. た」などの因子負荷量が高いことから勝ち負けについての自己認識を表すもの と捉えられ,「勝負観」と命名した.なおこの5因子での累積寄与率は57.66% 32.

(35) であった.. また「簡易試合法」の比較という観点から,「国際規定」で行った試合につい. ても全対象者(98名)の質問25項目に対する評価にどのような因子が在るのか 確認するために回答結果に対する因子分析を施した.そこで施した因子分析は,. 前述した「簡易試合法」について行った手続きと同じもの(主因子法,共通性 の初期値1,因子数5,直交バリマックス回転)で行った.その結果についても 同じく因子負荷量0.4以上の項目を取り上げて因子の解釈・命名を行ったが,各 因子について因子負荷量の高い項目は,「簡易試合法」の負荷量の高かった項目 とかなり一致しており,第1因子は技や力のやりとりに対する「満足感」,第2因 子は,技や力による相手への「対応力」,第3因子は,自己や相手に対しての「気. づき」第4因子は相手との「一体感」,第5因子は勝ち負けについての自己認識を 表す「勝負観」と命名した。. なお,この5因子での累積寄与率は63.70%であった.また表12,13の両規定. における「卜T相関係数」が示すように,各因子における各項目の妥当性を検 討するため,全回答者の各因子における合計得点と各項目の合計得点との相関 係数を算出した結果,全ての項目で1%水準の有意な相関が認められた.. また,全因子の変数(項目)の回答パターンにおける内的一貫性について検 討するため,クロンバックのα信頼性係数を算出した.その結果,表12,13に 示すように,α信頼性係数は0.8以上を示した.なお,変数(項目)の少ない因. 子があるため,各因子の組み合わせによる信頼性を検討することは不可であっ た.以上から,当因子分析の妥当性と信頼性が確認された.. 33.

(36) 表13.「簡易試合法」因子分析相関係数表 因子分析表(簡易) 項目文章(略文). 因子二塁. 1−T. 3全力出してすっきり. 0.86 α81**. 13得意新出しやすい. 0.79 0.74**. 5ほめられる技. 0.77 0,71**. 4積極的に試合 7うまく動けた. ・0.74. 二二与率. 21.35. 21.35. 9.81. 31.16. 9.67. 40.83. 一体感. 9.64. 5047. 対応力. 7」8. 57.66. 勝負観. α係数. 因子の解釈. 0.75**. 0.73 0.84**. U連続早出しやすい. O.64. 9動きのコツ. 0.59 0.74**. 11どんな技出すか考えた. 0.56 0.73**. 22相手の力・動き利用して技. 0.49 0.67**. 8技掛け合い楽しめた. 0.46 0,67**. 17相手の体に気づいた. 0.69 0.73**. 24相手との体の違いに気づいた. 0.63 0、66**. 25お互いに認め合えた. 0.56 α66**. 16怪我しないか心配した. 0.53 0.52**. 20自分の体に気づいた. 0.52 0、64**. 23相手と一つになったよう感じた. 0.78 0.78**. 21相手の気持ち感じた. 0.65 0.78**. 15自然に笑顔になった. 0.59 0.73**. 19技や動きが予想しやすかった. 0.67 0,69**. 10相手の技返せそうな気がした. α53 0.77**. P力をうまく加減. O.51 O、63**. 12全力負けても悔しくなかった. 因子寄与率. 満足感. ソ77**. 一〇.49. α31**. 14強引な技をかけた. 0.68. 0.72料. 2自分の気持ち感じた. 0.63 0、67**. 18裏返されるのが不安だった. 0.59 0.65**. 34. 088. 気づき.

(37) 表14.「国際規定」因子分析相関係数表 因子分析表(国際) 項目文章(略文). 因子負荷量. 1−T. 7うまく動けた. 0.86 0.88**. 13得意技出しやすい. 0.84 0.85**. 3全力出してすっきり. 0.79 0,84**. 4積極的に試合. 0.73 0,76**. 5ほめられる技. 0.69 0.75**. 6連続外出しやすい. 0.67 0、78**. 8甲掛け合い楽しめた. 0.61. 11どんな技出すか考えた. 0.56 0.76**. 22相手の力・動き利用して技. 0.55 0,72**. 9動きのコッ. 0.59 0.80**. 10相手の技返せそうな気がした. α57. 0,78**. 1力をうまく加減. α53. 0.72**. 14強引な技をかけた. 0.51. 0.64**. 19技や動きが予想しやすかった. 0.44 0.72**. 21相手の気持ち感じた. 0.78 0、71**. 2自分の気持ち感じた. 0.67 0.74**. α係数. 因子の鰍. 22.05. 22.05. 満足感. 11.81. 33.86. 対応力. 0.77**. Q0自分の体に気づいた. O.66 O.81**. 17相手の体に気づいた. 0.6 0.81**. 15自然に笑顔になった. 0.79 0.76**. 16怪我しないか心配した. 0.71. Q3相手と一つになったよう感じた. 因子寄与率 累積寄与率. 0.93. 10.86. 44.73. 気づき. 10.27. 55.00. 一体感. 8.70. 63.70. 勝負観. 0.76**. O.6 O.73**. 25お互いに認め合えた. 0.48 0、72**. 18技返されるのが不安だった. 0.76 0、82**. 24相手との体の違いに気づいた. 0.69 0,75**. 12全盛負けても悔しくなかった. 0.48 0、65**. 35.

(38) このように,「簡易試合法」と「国際規定」の各々における各因子には,共. 通して負荷量の高かった項目が多く含まれていることから,解釈・命名した5 因子自体には「簡易試合法」と「国際規定」での違いは認められない結果と なった.すなわち,「簡易試合法」であれ,「国際規定」であれ,全対象者が 「試合を行った上で感得した柔道の特性」(25項目)に対する評価の次元は概. ね一致していることとなった.特に「簡易試合法」と「国際規定」の共に第1 因子にある,「満足感」では,11項町中10項目が一致していることなどから, 両懸合法に共通する重要な因子として捉えることができる. ただし,「簡易試合法」では第2因子に「気づき」(寄与率9.81%)があり, 「国際規定」では第3因子に「気づき」(寄与率10.86%)がある.また,「簡. 易試合法」では第4因子に「対応力」(寄与率9.64%)があり,「国際規定」で は第2因子に「対応力」がある(寄与率11.81%).このように,「簡易試合法」. と「国際規定」の第2因子以降の配列は異なっている.この点については,「簡. 易試合法」では対象者にとって,より自己や相手のことを感じられる「気づ き」が感得されやすく,「国際規定」では試合や練習場面における力や技,動. きなどへの「対応力」が感得されやすいのではないかと考えられるが,各々 の寄与率における差からみても大きな相違があるとはいえない.. 4)標準因子得点からみた技術レベル別の比較. 次に,「簡易試合法」と「国際規定」の各々における,回答者の各因子の標. 準因子得点を技術レベル別(初級・中級・上級の3グループ)に分析した1.. 標準因子得点は,例えば第1因子の「満足感」において正の値をとる回答者 では「満足感」が大きく,負の値をとる回答者では「満足感」が小さいこと を示す.. 1標準因子得点とは,回答者の零因子における合計得点の平均値を平均0,標準偏差1に標 準化して算出したものである. 田中敏(1996)。実践心理データ解析.新曜社.pp249.. 36.

(39) 表15∼表16に示すのは,「簡易試合法」の各因子における標準因子得点に ついて,技術レベル別で各因子の平均点を算出し,分散分析(一元配置)を 施した結果であり,表17∼表18に示すのは,「国際規定」の各因子における 標準因子得点について,同じく技術レベル別で各因子の平均点を算出し,分 散分析(一元配置)を施した結果である.さらに分散分析を施した結果,有 意差が認められた因子についてはSchef£eによる多重比較を行い,各々のグル ープ間で有意差があるかどうかを分析した.. なお,等分散性の検定も加えて行い,各々のグループにおいて母集団が推 定できるかどうかについても確認した。. 「気づき」因子の分散分析結果. 表15.「簡易試合法」. 分散分析表 偏差平方和. 要 因. 自由度 平均平方. 気づき因子. 6.406260814. 2. 3.2031304. 誤差. 91.59373919. 95. 0.9641446. 全体. 98. 97. F値 P値 3.322251. 半掟. 0.0403. *. ( 央士P<1% 索P<5%). 「一体感」因子の分散分析結果. 表16.「簡易試合法」 分散分析表 欄一. ■ 量ロ. ,. 、因子. キ. @ 、,. 、’. F. 、’ 、. 2 5」9263. 10.385261. 87.614739. 95. 98. 97. P 5.63033. 当. 0.0049. **. 0.92226. ヒ・:Sche仔e 大. 一,、因子. フラ1. フラ2. Ψ・. P. ”・. P. Q. t’. 男. 0.55877. 0.01384. 0.54493. 0.1353. 上. 0.55877. 一〇.2763. 0.83503. 0.0049. 上,. 001384. 一〇2763. 02901. 04399. P. **. ( 索索P<1% ★P<5%). 37.

(40) 以上のように,「簡易試合法」における分散分析の結果,有意差が認められ. たのは,第2因子の「気づき」,第3因子の「一体感」であり,Schef艶の多 重比較を施した結果,「気づき」因子ではグループ間での有意差が認められな. かったものの「一体感」因子では「中級」グループと「上級」グループの間 で有意差が認められた.. 「満足感」因子の分散分析結果. 表17.「国際規定」 分散分析表. 要 因 馬足心因子 誤差. 偏差平方和自由度平均平方F 値 P 値 判定 10.7699423. 2 5.384971. 88.2300577. 95 0.919063 97. 98. 全体 多重比較:SchefFe. 5.8592. 0.0040. **. **:1%有意*:5%有意. 満足感因子. 0.307206. 初級. 上級. 0.17136. 一α493750.17136 ( 央央P<1% 肉P<5%). 表18.「国際規定」. 「一体感」因子の分散分析結果. 分散分析表 要 因 「一体感」因子. 偏差平方 自由度 6.84703. 誤差. 92.15297. 全体. 98. 平均平方. F値 P値. 2 3.423515 3.566434 95 0.959927. 0.0321. 半掟 *. 97 ( 央央P<1%. 誤・P<5%). また,「国際規定」における分散分析の結果,有意差が認められたのは,第 1因子の「満足感」と第4因子の「一体感」であり,「満足感」因子ではScheffb 38.

(41) の多重比較を施した結果,「初級」と「中級」グループ,「初級」と「上級」. グループ問で,有意差が認められたが,「一体感」因子については多重比較を 施しても有意差は認められなかった.. これらの結果から,「簡易試合法」における「気づき」因子では全グループ による評価に違いが在り,また,「一体感」因子では,特に「中級」グループ. による評価が他のグループと比しても高いことを示している.そして国際規 定では「満足感」因子に対する評価が「初級」グループで低く,「一体感」因 子については全グループによる評価に違いがみられることが示された.. 5)各因子の質問項目に対する「肯定・否定」からみた技術レベル別比較. 次に「簡易試合法」と「国際規定」の各因子の質問項目に対する技術レベル 別の3グループ(初級,中級,上級)による「肯定・否定意見」から,各試合 法の評価(捉え方)の違いについて分析した.違いをみるための分析方法は,. Z2検定1によって,各質問項目における「肯定者と否定者」2の人数:の偏りを 判定し,さらに有意水準5%以下で人数に偏りが認められた項目については, グループ問で偏りをもたらした原因となる肯定者・否定者の割合を確認するた めに残差の分析を行った.. 以下に示す表19∼表28において,例えば(初級く中級〉上級)と記すもの には,残差分析の結果「初級」および「上級」よりも「中級」グループの方が 「肯定者」の割合が高かったことを示す.なおz2検定および残差分析の詳しい 結果については稿末の資料13,14に掲載した.. lz2検定は,実測度数から期待度数(偶然に期待される度数:各セルの実測度数について縦 計+横帆÷全実測度数)を算出し,全体の変数パターンが偶然に起こりうるかどうかを判 断するものである.期待度数「5」以下のセルが全セルの20%以上含まれる場合にはX2検 定は不可であるとされている.前掲.田中(1996).pp46∼47. 2ここでの「肯定者」とは「そう思う」,「ややそう思う」の回答者を,「否定者」とは「あ まり思わない」,「思わない」の回答者を各々1カテゴリーとして集計した人数である。 39.

参照

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