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博士(工学)岡島吉俊 学′位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)岡島吉俊 学′位論文題名

Density of States at the Fermi Level in High‑Tc Superconductors        Studied by Specific Heat Measurements

(高温超伝導体におけるフェルミ準位での状態密度の比熱測定による研究)

゛ 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  約30Kの超 伝導転 移温度り を持つLa2‑xBaxatj4溌見さ れて以来 、より高しヽTcを持 つ 鏑 駿 化物高 温超伝導 体が続 々と発見 されて きている 。刪匕 物高温超 伝導体は すべ て 結晶構造 ヒの特 徴として 銅と酸素 からなる二次元面を有している。この銅酸素二次 元 面が高温 超伝導発現の中´N翻殳割を果たしており、発現機溝はすべての高温超伝導 体 について 同じで あると考 えられて いる。高温超伝導体の母結晶は反強磁性絶縁体で あ るが、構 成元素 の一部置 換や酸素 量を変化させることによってキャリアの導入が行 われると、金属化して高温超伝導が発現する。そのTはキャリア濃度の:噌加と共に、単 調 に上昇し て最大 値を示し た後単調 に低下する。高温超伝導体のこのような振る舞い はキャリア濃度によって支配される。これら高温超伝導体の研究はさらに高しヽTを持つ 物 質探索の 指針を 得るため に極めて 重要である。高温超伝導体発見以前から、フェル ミ準位での状態密度の高いことが、より高しヽTcを持っ超伝導体探索のための指針のーつ で あった。 このこ とが高温 超伝導体 においても意味を持っかどうかは見極めねばなら な い重要な 問題で ある。こ の観点か ら、著者は高温超伝導体におけるフェルミ準位で の状態密度に着目した。しかし、その測定は高温超伝導体の高しヽTcと強い臨界磁場のた めに困難であった。

  Ia2− 咼p磁とIa2ぷ江や04は、その結晶構造が単純であるため、発見当初から詳しく 調べられてきた典型的極軅輔匕物高温超伝導体である。I穆っ咼p04の・Tcは瀘の増加と 共に、単調に上昇して最大値を示した後単調に低下する。これに対し1穆やa廼04では、

賦 濃度xぬ125を 中心とするxの狭い範囲で超伝導が著しく抑制され、Tcはニつの極大を 示 すふIa2瑛b如D4におけ る超伝導 のこの特異な抑制は、高温超伝導の発現機溝を明ら かにするためのかぎのーっとして注目を集めた超伝導が抑制される闘繊蔓xぬ1矧:寸近 で は 、 超伝 導 転 陟よ り も30Kほ ど高 い60K付 近 で 構造 旧 転 移が 起こ り、この 構造相 転 陟が超伝 導の抑 制に密接 に関係す ることが明らかにされた。また、この構造相転移 に 伴って電 気抵抗 や熱起電 カの温度 変化に異常が現れることから、構造旧転侈に伴つ て フェルミ 準位付 近の電子 構造が著 しく変化していることが予想された。しかし、電 子 構 造 がど の よ うに 変 化 して い る のか 、 そ の詳 細 は 明 らか に なって いなかっ た。

  本 研究 は、高 温超伝 導体の電 子比熱係 数を実 験的に決 定する 方法を確 立し、Laケ

) 出ぬ4系を対象として電子比熱係数を系紬勺に調べ、フェルミ準位での状態密度が高 温 超伝導体 におい ても重要 な役割を 果たしていることを明確に示したものである。本 論文は以下の7章から構成される。

(2)

  第1章f甜キ論であり、本研究の背景、目的およぴ本論文の構成にっいて述べている。

鋸睦町匕物高温超伝導体では銅の一部を亜鉛で置換することにより超伝導が急激に抑制 され消失する。このことを 利用して高温超伝導体の電子比熱係数を見積る方法を提 案 している。すなわち、超伝 導が消失した亜鉛量領域での電子比熱係数の亜鉛濃度依 存 性を外挿することによって 、超伝導体の電子比熱係数を決定する。本研究では典型 的 な高 温超 伝導 体で あり 、 かつ 超伝 導の 特異 な抑 制の ためにTがニつの極大を示すLa0 出卿系を対象とした

  第2章で は本 研究 で取 り上 げたLa2ぶ 饗批0旧b啣系 の性質、特に構造相転移 とTc の関係について詳しく述べている。

  第3章で は比 熱測 定の 原理 と本研究で用いた測定装置について述べている。本研 究 では 少量 の識 斛で 比熱 の 絶対 値を 測定 でき る熱 緩和 法に よっ て1.5Kか ら8Kの範 囲 で測定した。測定系を構成する各測定機はGP一1B′ヾスを通してコンピュータでコント ロールされ、測定はプログラムによって 自動化されている。

  第4章で は本 研究 で用 いた 試料の作製方法と評価方法について述べている。試糾 は 固相反応法によって作製し た多結晶である。組成はLa0出瑛m垂LaL91%.oびh11加y叫 LaLめo.1ぶh1づ盈y04の三つの系列を選んだ,低温比熱測定から電子比熱係数を決定す るには測定した試料が単相 であること、また、超伝導転移しないことが重要である 。 この ため 、結 晶構 造を 室 温でのX線回折、電気的性質を電気抵抗率の温度依存性、 超 伝導陸を反磁性磁化率の測定によって調 べた。

  第5章で は、 作製 した 三つ の系列毎に、試料評価のための測定の結果を述べ、試 斛 の質 を検 討し 、そ れを 基 に低温比熱測定の結果を整理 している。X線回折測定から 、 作製した試糾は単相である ことがわかった。また、電気抵抗率と反磁性磁化率の測 定 から、超伝導転移する試糾 としない試叫を明確に判別することができた。超伝導転 移 しない試料の比熱から温度 に比例する電子系の寄与を分離し、電子比熱係数を得た 。   第6章で は、 第5章で 得 た結 果を 基に 、銅 の亜 鉛に よる一部置換に伴う電子比熱 係 数の 振る 舞い 、賦 繊蔓m.1黼 での 構造 旧転 移に 伴う フェルミ準位での状態密度の 振 る舞 い、 及び それ らとTcの関 係に つい て議 論し てい る。瓰濃度をxぬ09及ぴxぬ18に 固定して銅の一部を亜鉛で 置換したとき、電子比熱係数は亜鉛量の増加と共に直線 的 に増加した。そこで、超伝 導が消失した亜鉛量領域での電子比熱係数の亜鉛量依存 性 を直 線的 に外 挿す るこ と によ って 、超 伝導 体LaL91B弧吋 加4及 びLalId珀o.1艀qの 電子比熱係数を決定した。 亜鉛置換に伴う電子比熱係数の直線的増加は、超伝導を 示 さないLa16Sr0.4Q04での電子比熱係数の亜鉛量依存性 の報告や、YBaめp7もにっい て のバンド計算によるフェル ミ準位での状態密度の亜鉛量依存性の報告と一致する。 以 上により、高温超伝導体における電子比熱係数を実験的に決定する方法が確立された。

次に、この方法で求めた超 伝導体の電子比熱係数と超伝導を示さなぃLaL87如0112蜘q の電子比熱係数の比較から 、Ba濃度xぬ125付近では、電子比熱膨激が約4分の1にま で 減少していることを明らか にした。すなわち、xぬ125付近で起きる構造相転移がフ ェ ルミ準位での状態密度の著しい減少を伴い、その結果として超伝導の抑制が起き、る。

このようなフェルミ準位での状態密度の減少はバンド計算によっても再現されている。

一方、鋼の一部を亜鉛で置換したとき電子比熱係数は噌加するがTcは急激に低下する。

従ってこのTcの減少は、フェルミ準位での状態密度の減少ではなく、銅の一部を亜鉛で 置 換 し た こ と に よ る 舌 け し の 影 響 に よ る こ と が 明 ら か に な っ た 。   第7章は結 論であり、本研究で得られた結果を総括し、今後の課題に言及している。

(3)

学位論文審査の要旨

主 査    教 授 ′ 阿 部    寛 副 査    教 授    中 山 恒 義 副 査    教 授    山 谷 和 彦

副 査    教 授    伊 土 政 幸 ( 北 海道 大 学大 学 院理 学 研究 科 )      学 位 論 文 題 名

Density of States at the Fermi Level in High‑Tc Superconductors        Studied by Specific Heat Measurements

(高温超伝導体におけるフェルミ準位での状態密度の比熱測定による研究)

  近 年、 銅酸 化物 にお いて 高温超伝導 発現機構を解明する研究が盛んに行われている。高 温超 伝導 体発 見以 前の 従来 型超伝導体 ではフェルミ準位での状態密度は超伝導遷移温度Tc の大 きさ を決 定す る重 要な 因子であっ た。それが高温超伝導体においても意味があるか否 か、 高温 超伝 導発 現機 構解 明上、重要 視されている。しかし、高温超伝導体では、その特 徴で ある 高いTcと 強い 臨界 磁場のため 、フェルミ準位での状態密度を決定することは困難 であった。本研究は、典型的な高温超伝導体であるLaz‑エBaーCu04の銅の一部を亜鉛で置換 する こと によ り、 超伝 導の 急激な抑制 から常伝導相を出現させ、低温比熱の測定から高温 超伝 導体 にお ける フェ ルミ 準位での状 態密度を実験的に決定する方法を確立した。その手 法を 用い るこ とに よっ て、 この系特有 の低温構造相転移による超伝導の特異な抑制・消滅 の 機 構 を 解 明 し 、 同 時 に 、 亜 鉛 置 換 に よ る 超 伝 導 抑 制 を 解 明 し た 。   固柤反応法により、結晶特性、及び電気的・磁気 的特性の優れたLa2‑ーBaエCu04高温超伝 導焼 結体 を作 製し た。 銅サ イトの亜鉛 置換により常伝導相を出現させ、電子比熱係数の亜 鉛量 依存 性の 詳細 な解 析か ら、高温超 伝導体のフェルミ準位での状態密度を決定する実験 手法を確立した。

  Ba濃度x 0.125付近 で出現する低温構造相転移による超伝導の特異な抑制・消滅はフェル ミ 準 位 で の 状 態 密 度 の 急 激 ナ ょ 減 少 に よ る こ と を 、 微 視 的 立 場 か ら 実 証 し た 。   銅 サイ トの 亜鉛 置換 によ る超伝導抑 制はフェルミ準位での状態密度の増加を伴っている こと 、又 、低 温で の電 気伝 導がバリヤ ブル・レンジ・ホッピング伝導を示すことから、乱 れによる電子の局在が原因であることを実証した。

  以 上の 結果 に基 づい て、 高温超伝導 出現には、フェルミ準位での状態密度が大きく、且 つ、電子の波動関数が広がっている物質の探索を提 言した。

  こ れを 要す るに 著者 は、 高温超伝導 発現機構におけるフェルミ準位での状態密度の重要 性を実証したもので、超伝導物理工学および応用物 理学の進歩に寄与するところ大である。

  よ って 、著 者は 、北 海道 大学博士( 工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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