• 検索結果がありません。

博士(工学)中島学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(工学)中島学位論文題名"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博 士 ( 工 学 ) 中 島 学 位 論 文 題 名

臨界実験装置による軽水減速燃料格子の核特性研究

学位論文内容の要旨

  軽水炉時代の長期化に伴い、現在の軽水炉の安全性・経済性をより向上した改良型軽水 炉や次世代軽水炉の開発が国内外で進められている。炉心経済性の向上のために、スペクト ルシフトによる運転サイタルの長期化や稠密な燃料格子の採用による転換比の増大などが計 画され、また、最近では、軽水炉による燃料の増殖を目的とした低減速軽水炉の提案も行わ れている。

  このような新しい型の原子炉の炉心設計では、設計精度が炉心性能に直接影響を与える ため、精度の良い核計算手法が必要となる。この核計算手法の精度評価は、通常、計算対 象炉心の中性子スベクトル場に近い中性子スペクトルを有している炉心の実験データをべン チマークデータとして使用した検証計算(ベンチマーク計算)をとおして行われる。将来の軽 水炉の多様な中性子スベクトル場に対応し、精度の良い炉心設計を行うための核計算手法 の 検 証 に は 、 広 範 囲 の 中 性 子 ス ペ ク ト ル 場 に お け る 実 験 デ ー タ が 必要 と な る。

  本研究は、このような核計算手法の検証に使用できるべンチマークデータを提供するため に実施した、幅広い中性子スペクトル場における軽水減速燃料格子の核特性測定とその評 価に つ い てま と め た もの で あ る。 以 下に 、各章の 概要と 主な成果 につい て述べる 。   第2章では、 本研究で 使用し た軽水臨 界実験 装置TCAの概要 と特徴について述べた。

  第3章では、 稠密度及び格子形状の異なる6種類の稠密ウラン格子炉心の核特性測定と して、臨界量、出力分布、金線放射化率分布、核分裂率分布、反応率比(C8/F5)の測定を行 った。臨界量は、テスト領域燃料棒数本をB4C吸収棒あるいは水穴と置換した炉心を含む18 の炉心について測定した。計算により求めた臨界炉心の中性子実効増倍率は、すべての炉 心にっいて0.4〜0.7%程度過小評価ではあるが、実験値を良く再現した。炉心の水平方向 出力分布の測定の結果、テスト領域が稠密になるにっれて、テスト領域の出力割合が減少す る様子が明らかになった。また、B4C吸収棒や水穴の存在によルテスト領域全体の出カが大き く変動するが、燃料棒問の出力変化(ピーキング)は高々10%程度であることがわかった。垂 直方向の出力分布の測定結果から求めたテスト領域の垂直方向外挿距離は、稠密度ととも に単調に増加し、稠密化に伴う中性子スベクトルの硬化の様子が示された。金線放射化率分 布から求めたカドミウム比及び核分裂率分布から求めた核分裂率比は、テスト領域中心の土 Scmの範囲で一定となっており、この領域ではテスト格子固有の中性子スペクトル(漸近スベ クトル)場が成立していることが確認できた。そこで、漸近中性子スペクトルに関する情報を得 るために、テスト領域中心の反応率比C8/F5 (238U中性子捕獲反応率の235U核分裂に対する 比)を箔放射化法により測定した。C8/F5の格子計算結果は、稠密になるとともに測定値を過 大評価する傾向を示した。感度解析では、238U中性子捕獲断面積の減少または235U核分裂 断面積の増加により、計算の過大評価が解消されることが示された。なお、第3章における計 算では核データライプラりとしてJENDL‑3を使用した。

(2)

  第4章では、本研究において開発した転換比C8/F (238U捕獲反応率/全核分裂率)の非 破 壊測定手 法の原理 、その 適用例と して稠 密ウラン格子及びMOX燃料格子の測定につい て述べた。この手法では、反応によって燃料棒内に蓄積した核種のガンマ線を非破壊的に測 定することにより、燃料棒内の反応率比を求める。測定した核種及びガンマ線エネルギーは、

C8が239Np (277,6keV)、Fが143Ce (293.27keV)及び140Ba (537.27keV)である。この手法は、

燃料棒自身を放射化試料として用いるため、箔放射化法のように箔の設置により測定場に外 乱を与えることが全くない。しかし、燃料棒自身によるガンマ線の遮蔽効果を補正する必要が あり、これを計算により行った。239Npと143Ceのガンマ線はエネルギーが近く同程度の遮蔽効 果が生じるため、相対的な遮蔽効果の補正は高々数%であったが、140Baの場合は239Npとの ガンマ線のエネルギー差が大きいために、100%以上の補正が必要であった。ウラン稠密格 子の転換比の測定の結果では、ガンマ線エネルギーの大きく異なる2種類のFP核種を用い た測定結果は良い一致をしており、ガンマ線遮蔽効果の補正が適切に行われていることが示 された。また、箔放射化法により測定した反応率比と比較したところ、両者は実験誤差内で一 致しており、今回開発した手法の妥当性が確認できた。そこで、この手法によりMOX燃料格 子の転換比測定を試みた。MOX燃料の場合は、ウラン燃料に比べて核分裂する核種が多い ため、FPの核分裂収率の評価も問題となるが、二つのFP核種の測定から求めた転換比は良 く一致しており、本手法がMOX燃料に対しても適用可能であることが確認できた。この方法 は、これまでの箔放射化法に比べて簡便に測定を行えるため、広範囲の分野における今後 の応用が期待できる。

  第5章では、ベンチマーク計算で使用するための標準ウラン炉心の転換比の測定及びバ ックリングの評価について述べた。また、これまでの測定値を用いたベンチマーク計算結果に ついても述べた。転換比の測定は、前章で開発した非破壊測定手法により行った。これにより 標準ウラン炉心の中性子スペクトルに関するデータをベンチマークデータとして使用できるよう になった。また、格子計算で中性子実効増倍率を求める際に使用する材料バックリングの評 価を装荷量変化法により行った。評価された材料バックリングは、従来の手法である束形状法 により求めたバックリングに比べて精度が良く、このバックリングを用いた格子計算による中性 子実効増倍率は、モンテカルロコードによる全炉心計算と良い一致を示した。さらに、転換比 のベンチマーク計算において臨界格子モデルを使用することの妥当性を検証するために、全 炉心モデルによりC8/F比を計算し、臨界格子モデルとの比較を行った。両モデルは、良い一 致を示し、臨界格子モデルを用いた計算の妥当性が確認できた。また、最新の核データライ ブ ラリJENDL‑3.2を用いた転換比のゲ及び実効増倍率を計算し、JENDL‑3との比較を行っ た。両ライブラリ間で、転換比には有意な差は生じなかった。従って、稠密度の増加による計 算値の過大評価の傾向は依然解消されていない。これについては、核データに関する微分 実験と臨界実験による積分実験の両面からのアプローチが必要と思われる。一方、実効増倍 率では約1%近くJENDL‑3.2の結果が増加した。これは、主に、低エネルギー領域における 235U中性子捕獲断面積の減少が原因といえる。

  第6章では、本研究で得られた成果をまとめた。本研究により、幅広い中性子スベクトル場 を有する軽水減速格子の核特性についての情報が得られた。中性子スペクトルの硬化に伴う 転換比の実験と計算との不一致は、最新の核データを用いた解析でも解消されていない。こ れについては、今後より多くの実験データの蓄積を行うとともに核データの評価方法を含めた 詳細な検討が必要である。

(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

成 田 正 邦 大 橋 弘 士 熊 田 俊 明 澤 村 晃 子

     学位 論文題名

臨 界実験 装置によ る軽水減速燃料格子の核特性研究

将 来 炉 と し て 注 目 さ れ て い た 高 速 増 殖 炉 の 導 入 遅 れ 等 か ら 、 現 在 の 発 電 用 原 子 炉 の 主 流 で あ る 軽 水 炉 の 使 用 が 長 期 化 す る 見 通 し で あ る 。 こ の た め 核 燃 料 転 換 比 、 安 全 性 ・ 経 済 性 を よ り 向 上 さ せ た 改 良 型 軽 水 炉 の 開 発 が 検 討 さ れ て い る 。   本 論 文 は こ の よ う な 改 良 を 行 う 上 で 重 要 な 炉 心 核 特 性 を 軽 水 臨 界 実 験 装 置TCA を 使 っ て 系 統 的 に 研 究 し 、 そ の 過 程 で い く っ か の 新 し い 実 験 手 法 を 開 発 し 核 計 算 手 法 の 検 証 に 使 用 で き る デ ー タ を 提 供 し て い る も の で あ る 。

  本 論 文 に 示 さ れ た 主 な 成 果 は 以 下 の6項 目 に 要 約 で き る 。

  (1) 軽 水 炉 燃 料 の 転 換 特 性 を 表 す 指 標 と し て 修 正 転 換 比C87F (238U中 性 子 捕 獲     反 応 率 の 全 核 分 裂 に 対 す る 比 ) を 導 入 し 、 従 来 の 転 換 比 に 比 べ て 定 量 的 な     評 価 が 容 易 で あ る こ と を 示 し た

  (2) 本 研 究 で 導 入 し た 修 正 転 換 比C8/Fを 用 い る と 、 燃 料 体 の 転 換 比 を 非 破 壊 的     に 測 定 で き る こ と を 示 し た 。 こ の 非 破 壊 測 定 法 は 強 い 放 射 線 に よ っ て 従 来     取 扱 い が 困 難 で あ っ たPuの 入 っ た 混 合 酸 化 物 燃 料(MOX) に も 適 用 で き     る こ と を 示 し た 。

  (3) 格 子 形 状 ・ 寸 法 の 異 な る6種 類 の 稠 密 ウ ラ ン 格 子 炉 心 ( ド ラ イ バ 領 域 と テ ス     卜 領 域 の2領 域 炉 心 で 、 同 炉 心 にB4C吸 収 棒 あ る い は 水 穴 を 配 置 し た 炉 心     を 含 む 総 計18の 炉 心 ) を 組 み 立 て 、 臨 界 量 、 出 力 分 布 、 金 線 放 射 化 率 分 布 、     核 分 裂 率 分 布 、 反 応 率 比C8/F5 (238U中 性 子 捕 獲 反 応 率 の235U核 分 裂 に 対     す る 比 ) 等 の 核 特 性 量 を 系 統 的 に 測 定 し た 。

  (4) 炉 心 の 材 料 バ ッ ク リ ン グ を 評 価 す る た め に 装 荷 量 変 化 法 を 新 し く 開 発 し た 。     評 価 さ れ た 材 料 バ ッ ク リ ン グ を 用 い て 格 子 計 算 に よ り 求 め た 中 性 子 実 効 増     倍 率Iま 、 モ ン テ カ ル ロ 炉 心 計 算 結 果 と よ く 一 致 し た 。

  (5) モ ン テ カ ル ロ コ ー ド を 用 い た 格 子 計 算 に よ り 、 反 応 率 比 を 求 め る た め 新 た     な 「 格 子 モ デ ル 」 を 提 案 し 、 結 果 の 妥 当 性 を 確 認 し た 。 こ れ に よ り 反 応 率     比 を 高 精 度 で 計 算 す る こ と が 可 能 と な っ た 。

(4)

   (6 )以上の実験方法、データ評価法を開発した結果、種々の中性子スペクトル      場における軽水減速格子の臨界量、転換比等の核特性データを得ることが      可 能 と な り 、 核 デ ー タ の ベ ン チ マ ー ク に 使 用 可 能 と な っ た    以上のように本論文は、多様な中性子スペクトル場において軽水減速格子の臨界 量、転換比等の核特性データを得て、核デー夕及び核計算手法の検証に利用できる ことを示したものであり、また本研究において開発された修正転換比を非破壊的に 測定する手法は簡便に転換比を測定することを可能とし、接近不可能な燃料の転換 比の測定を容易にしたものであり原子炉物理学及び原子炉工学の進歩に寄与する ところ大なるものがある。

   よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認め

る。

参照

関連したドキュメント

   第

  2 章 では fcc 金 属と bcc 金 属の 活性 化エ ネル ギー の理 論計 算を 行っ た。 fcc 金属は遷 移 状態理論に基づく理論

   第6 章で は、 各PI フ アル ムに おけ るR 〇と 引張強さの関係を 破壊力学に基づき予測するこ とを

  1960

   これを要するに、著者は、これまでX 線回折法の適用が困難であった低結晶性 HAp に対するひずみ測定法を提案し、骨組織を負荷した際の骨組織内HAp

   第8

   第3

   第 4 章 では、2 流束近 似に基 づく実用 的な改 良解析モ デルを 提案した 。ここで はまず 従来 の 2 流 束モデル 及びモデ ルに必 要な逆散 乱割合