カンニング談義
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・ O カ ン ニ ン グ 鞍 卦
せ ん ば い め ず ら べ ん き ょ う
先 輩
「 お や 、 珍 し
‑ 勉 強 か い 。
」
こ う は い ご が く し け ん
後輩「はい、あした語学の試験がありますから。」
え い ご
先 輩
「 語 学 っ て 、 英 語 か な ん か
? 」
ご ぶ ん ぽ う に が て
後輩「いえ、英語のほうはなんとかなるんですけど、ドイツ語の文法が苦手
し く は っ く
なもんですから、四苦八苦してるところです。」
ひ ょ う ま る あ ん き
先輩「で、その表を丸暗記しょうってわけ?」
い ち や づ み
後輩「ええ、一夜漬けでは身につかないことはわかってるんですけど、ほか
なまにしょうがないんです、なにしろふだん怠けていたもんで。」
じ か ん
先輩「ふん。どろなわもいいとこだな。でも、時間がないんじゃ、しかたが
ないよな。まさかカンニングするわけにもいかないし。」
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こ う こ う じ だ い ど う き ゅ う せ い
後輩「ああ、カンニングといえば、高校時代の同級生にカンニングのうまい
と う に ん は な し じ ゅ う な ん か い い ち ど み
やつがいましてね。当人の話だと、なんでも十何回かやって、一度も見
じ っ こ う み ょ う
つからなかったって、いぼってましたよ。実に巧妙で、ばれることはお
う
た
が
.
>
ろか、疑われたことさえなかったって言うんです。かえって、見られたほ
せ き に ん せ い と ぎ ゃ く
うのなんの責任もない生徒が逆に疑われたぐらいだって言いますから、
めいじん名
人な
んで
すね
。」
じ
ま
ん
だ
い
先輩「いや、自慢してるようじゃ、ほんとの名人とは言えないな。おれの大
が く じ だ い
学時代の同級生のなかにも、よ‑カンニングするやつがいたけど、そい
ば
あ
い
ひ
つ
よ
う
せ
ま
い
っ
し
ゅ
し
ゅ
み
つの場合は、必要に迫られてやるっていうより、一種の趣味みたいなも
の で
ね 。
」
ひと後輩「へえ、カンニングが趣味なんていう人がいるんですか。」
しけ
‑v
y‑
1
先輩「ああ、いるんだよ。勉強がよ‑できるやつでね、試験の準備だって、
ひ と な
ちゃんと人並みにやるんだ。」
後輩「それじゃ、カンニングする必要なんかないじゃないですか。」
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77 カンニング談義
てんとうあん先輩「そうなんだ。だから、いい点をとるためにひとの答案を見るんじゃな
きけんたのいんだ。危険をおかしてまわりの人の答えを見ることが楽しいんだそう
なかいとうようしていしっきみてんだ。ベルが鳴って解答用紙を提出したあとで、君のは八五点、おまえの
れんちゅうせいせきよこくとききぶんは七〇点と、まわりの連中の成績を予告するんだ。その時の気分はなん
なんもんしゅつだいともいえないなんて言ってたな。しかも、よほどの難問ぞろいの出題で‑
よそうあもどないかぎり、その予想がぴたっと当たるんだ。答案が戻ってきた時にみ
んなあっけにとられるわけさ。」
糾かいとう後輩「なんだか、怪盗ルパンみたいな話ですね。」
ともんだいですうがく先輩「ところが、ある時、どうしても解けない問題が出たんだよね、数学で。
しゅつだいしゃかんちがじょうけんたあとでわかったんだけど、出題者の勘違いで、条件が一つ足りなかった‑0
がくせいんだ。学生はそんなことは知らないから、なんとかこじつけて答えを出
れいたつじんこんどよゆうす。例のカンニングの達人、今度ばかりは余裕がなかったんだな。試験
かんとくめぬすしゅういかんじんじぶん監督の目を盗んで、周囲の連中の答案を見るには見たが、肝腎の自分の
かげんかほうは解けていない。それで、いい加減に書いたやつの答えをそのまま
3 フラ ンス の作 家M au rf ce L eb la nc (1 八六 四‑ 1九 四一 ) の1 連の 探 偵小 説の 主人 公A rs
㌢e Lu pi n
ごじ写したらしい。それだけならまだよかったんだけど、その時に誤字まで
ま
お
も
そのとおり書いちゃったんだって。魔がさしたとしか思いようがないよ
∽
マ
ル
パ
ツ
し
き
紹
せ
ん
た
く
し
き
ね。○×式か選択肢の問題だったら、ばれないですんだわけだから、気
どくの毒っていえば、気の毒みたいなものさ。」
わる後輩「やっぱり悪いことはできないもんですね。」
た い が
‑ て い が
‑ し ょ ぷ ん
先輩「うん.こわいね。やっこさん、退学や停学の処分はまぬがれたものの」
た
ん
い
ひ
っ
し
ゅ
う
か
も
く
もちろん単位はもらえない。あいに‑それが必修科目だったもんだから、
糾りゆうねんとうとう留年するはめになっちゃってね。」
うん後輩「運が悪いですね。ほんとのカンニングって言えるのは、見つかったそ
いっかい
の1
回だ
けな
んで
すか
らね
.」
と
う
に
ん
い
ち
先輩「でも、当人はばれてかえってさっぱりしたなんて言ってたよ。もし一
ど
そ
つ
ぎ
ょ
う
度もばれずにそのまま卒業できてたらって思うと、ぞうっとするなんて。
き も ふ た ん
いつまでも気持ちの負担になっただろうってことかな。」
普後輩「ああ、なんだか、わかるような気もしますね。」 佃 正誤の判断を記号で表す出題方式.刷 解答例を複数示し、その中から正
解を選ばせる出題方式。選択肢の数
によって四肢選択、五肢選択などと
いう
。
㈲ 必要な単位が取得できず、卒業が
延びること。
79 カンニング談義
じ
か
ん
ぜ
ん
じ
っ
か
い
ど
き
先輩「あれ、もうこんな時間か。ごめん、ごめん。試験の前日の書き入れ時
だっていうのに、すっかりじゃましちゃって、つまんない話で。」
さ ん こ う
後輩「そんなことありませんよ。いろいろ参考になりました。」
て つ や
先輩「うれしいこと言って‑れるね。じゃあ、がんばって。だけど、徹夜は
するなよ。あした、ぼうっとするから。」
き
後輩「はい。それと、カンニングもしないように気をつけます。」
と
く
ぜ
っ
た
い
先輩「そう、そう。特に、解けない問題のところは絶対見るなよ。」