Title
所謂特発性腎出血に関する研究 第V篇:自律神経系に関す
る臨床的蛇びに実験的研究
Author(s)
仁平, 寛巳
Citation
泌尿器科紀要 (1959), 5(1): 19-39
Issue Date
1959-01
URL
http://hdl.handle.net/2433/111708
Right
Type
Departmental Bulletin Paper
Textversion
publisher
19 泌 尿紀 要5巻1号 昭和34年1月
所 謂 特 発 性 腎 出 血 に 関 す る 研 究
第V篇
自律 神 経 系 に 関 す る 臨 床 的蛇び に 実 験 的 研 究
京都大学医学部泌尿器科学教室(主任 稲田 務教授)
講 師
仁
平
寛
巳
Studies
on So-called
Essential
Hematuria
Report V : Clinical and Experimental
Studies on the
Autonomic
Nervous
System
Hiromi Ni HIRA
From the Department of Urology, Faculty of Medicine, Kyoto University, Kyoto, Japan
(Director : Prof. 7'. Inada)
Twenty-eight
cases of so-called essential hematuria were tested with pharmacologic
agents to determine the sensitivity of the autonomic nervous system.
Twenty-six cases of
28 showed the functional disorders, i. e. in 11 cases the overreaction to adrenalin was
observ-ed, in 7 to pilocarpine and in 8 to both agents.
In treatment with the drugs blocking
autonomic activity of these patients, 5 cases showed healing, in 3 hematuria was marked
decreased and in 4 slightly decreased. Through the observation of these tests and
treat-ments it was suggested that in several cases the onset of hematuria was closely connected
with the functional disorders of autonomic nervous system.
In experiments on rabbits subjected to repeated injections of adrenalin the urine began
to show slight albumin and blood, and the kidney was found to have degenerative changes
of tubules, but injections of pilocarpine produced no changes. Renal denervation produced
slight vasodilatation but renal tissue was not affected. After denervation the kidney
devel-oped mild inflammatory changes when subjected to repeated injections of adrenalin or
pilocarpine. Toxic agents such as uranium nitrate did not injure the normal kidney as
much as the denervated kidney. Intravenous injection of bacterial filtrate produced marked
hemorrhagic changes on the denervated kidney.
In contradistinction
to the denervated
side, the normal (non-denervated)
kidney showed mild changes.
This phenomenon is
possibly explained as follows, the normal kidney is not injured as much as the denervated
kidney because of protective vasoconstriction.
1緒
言
所 謂特 発性 腎 出 血 の病 因 に関 し て は既 に述 べ
た如 く(第 皿篇,病 因 に 関 す る丈 献 的考 察)多
くの 原 因 が あ げ られ て い るが,自 律 神経 系 の異
常 との 関 係 に つ い てはKlemperer(1897)の
血 管 神 経 性 出 血 説angioneurotischeBlutung が 初 め で あ る.即 ち 彼 は 血 管 収 縮 神 経 の 麻 痺 に よつ て 血 管 は 拡 張 し て 受 動 的 充 血 を 来 し,同 時 に 血 管 壁 は 疎 性 と な つ て 赤 血 球 の 遊 出 が 起 る と 説 明 し た.ま たBrown-S6quard,Ebstein等20
仁平一所謂特発性腎出血に関す る研究(第V篇)
は 視 床,脳 脚,灰 白 隆 起 或 は 頸 髄 等 を 破 壊 ま た は 焼 灼 す る と 胃 の 禰 漫 性 出 血 が 発 生 す る こ と よ り,本 症 に 於 け る 出 血 に つ い て も 同 様 の 原 因 を 想 像 し て 神 経 刺 戟 説 を 唱 え た.Neubttrger (1927)は 一 過 性 の 血 管 攣 縮 性 虚 血 に よ つ て 腎 梗 塞 を 来 し て 血 尿 の 発 生 す る 場 合 の あ る こ と を 述 べ,Borsotti(1937)は 同 様 の 変 化 に よ つ て 組 織 の 栄 養 障 碍 を 来 し て 濾 出 性 出 血 が 起 る と考 え,Mingazzini(1935)は 尿 路 の 攣 縮 に よ つ て 血 管 の 拡 張,破 綻 を 来 す と 述 べ て い る. 手 術 後 に 時 に よ る と 消 化 器 系 の 粘 膜 出 血 を 来 す こ と は 古 くか ら知 ら れ て 居 り,こ の 成 因 に 関 し て は 栓 塞 説 と 血 管 神 経 障 碍 説 が あ る.Junker (1949)は 本 症 に 於 け る 出 血 を 血 管 神 経 障 碍 に よ る と考 え て 交 感 神 経 切 除 術 を 施 行 し,こ れ に よ つ て 血 尿 が 消 失 し か つ 再 発 を 来 さ な か つ た15 例 を 報 告 し て い る.稲 田 教 授 等(1951)は 自 律 神 経 系 の 不 安 定 状 態 を 証 明 した 本 症 患 者 が 自 律 神 経 遮 断 剤 の 投 与 に よ つ て 止 血 し,ア ド レ ナ リ ン の 皮 下 注 射 や 精 神 的 興 奮 に よつ て 血 尿 の 再 発 を 来 す と い う両 者 の密 接 な 関 係 を認 め た 興 味 あ る症 例 を 発 表 し て い る.ま たSarreu.Moe-nch(1951)は 腹 腔 神 経 節 を 刺 戦 す る こ と に よ り腎 に 下 部 尿 細 管 ネ フ ロ ー ゼ 様 の 変 化 が 生 じ る こ と を 実 験 的 に 証 明 し,自 律 神 経 系 の 異 常 と腎 血 流 障 碍 と の 間 に 密 接 な 関 係 の あ る こ と を 述 べ て い る.更 にGriessmal111u.Eufinger(1952) は 数 種 の 薬 剤 に よ る 自 律 神 経 系 の 刺 戟 が 組 織 学 的 に は 腎 乳 頭 部 の 間 質 性 充 血 像 を 来 して 血 尿 の 原 因 と な る こ と を 明 か に し,原 田,岡 本(1957) は これ を 追 試 し てReilly現 像 に属 す る 変 化 で あ る と 説 明 し て い る.Wachsmuth(1953)は 種 女 の 神 経 刺 戟 剤 投 与,内 臓 神 経 節 の 電 気 的 刺 戟 或 は 神 経 切 断 等 に よ つ て 腸 管 系 の 粘 膜 及 び 腎 に 充,雀 血,出 血 等 を 来 す こ と を認 め,Thelen andWiegers(1955)は 尿 管 内 に カ テ ー テ ル を 留 置 す る こ と に よ つ て 現 れ る 血 尿 は,腎 に 反 射 的 に 循 環 障 碍 を 来 す こ と に よ つ て 起 る と 述 べ て い る.以 上 の如 く自律 神 経 異 常 と腎 血流 障 碍 との関
係 が 最近 注 目 され て い るので あ るが,著 者 は 本
症 患者 に対 し て 自律 神経 系 の薬理 学 的検 査 を行
つ て殆 ん ど大 分 部 の症 例 に そ の不 安 定 状 態 を 証
明 し,治 療 と して 自律神 経 遮 断 剤等 の投 与 を行
つ て著 明 な 反応 を 示 す 者 の あ る こ とを認 めた ・
そ して実 験 的 に 自律 神 経 刺 戟 或 は腎 神 経 遮 断 等
に よつ て 腎 血流 障 碍 を来 し,か か る 状態 に於 い
て は種 々 の毒 性 物 質 に よ る障 碍 が 起 り易 い こ と
を認 め た の で これ 等 につ い て詳 述 し,所 謂 特 発
性 腎 出血 と 自律 神 経 系 異 常 との 関 連 につ いて 考
案 を加 えた.
皿 臨 床 的 研 究
1)検 査 材 料 拉 び に検 査 方 法 京都 大 学 医学 部 泌尿 器 科学 教 室 を 訪 れ た血 尿 患 者の 中 で無 症 候 性 の血尿 を唯 一 の症 状 と し,一 側 性の 腎性 血 尿 を認 め るが 諸 種 泌尿 器 科 的 検 査 に よっ て 出血 の 原 因 を把 握 出来 な い 者,即 ち所 謂 特発 性 腎 出 血 と診 断 さ れ た28例 の入 院 患 者 につ いて 検 査 した.こ の中 男子19 例,女 子9例 で あ り,ま た 右 腎 出血 は9例,左 腎 出血 は19例,年 令 的 分布 は20∼29才 が12例,30∼39才 が5 例,40∼49才 が4例,50∼59才 カミ5例,60才 以 上 は2 例 であ る. 自律 神 経 系 の薬 理 学 的 研究 はEppingeru.Hess (1909)に 始 ま る も ので,彼 等 は交 感 神 経緊 張 充 進 状 態Sympathikotonieと 副 交 感 神 経 緊 張 充 進 状 態 Vagotonieと い う学 説 を立 て た.し か しそ の後 の追 試 者 の 一 致 した 見 解 に よれ ば,人 類 に は 少 くと も Eppingeru.Hessの 云 う如 き2の 判 然 とした 状 態 は 存 在 しな い とされ て い る.し か し中山(1949),後 藤 (1954)等 は臨 床 上 ア ドレナ リ)/に強 く反 応 す る型 を 交 感 神 経系 緊 張 充進 状 態,ピ ロ カル ピ ンに強 く反 応 す る型 を副 交感 神 経 系緊 張 充 進状 態 とみ な す とい う考 え を とつ て居 り,著 者 も これ に 従つ て 自律 神 経 系 の薬 理 学 的 検 査 を行 っ た. 検 査 に使 用 した薬 液 及 び 用量 は 次 の如 くで あ る. 0.1%塩 化 テ ド レ ナ リ ソ 注 射 液0.6cc 1.0%塩 酸 ピ ロ カ ル ピ ン 注 卵 夜0.6cc O.1%硫 酸 ア ト ロ ピy注 射 液O.6cc早朝 空 腹 時 に 患 者 を安 静 に 保 た せ て脈 搏,呼 吸等 の 一 定 した 後 上 記薬 品 のい つ れ か を患 者 の上 豚 皮 下 に注 射 し・注 射 後 一定 の間 隔 で 種 々の検 索 を行 つ て 一 時 聞 後 まで 経 過 を 追 求 した ・1日1種 類 のみ の 検 査 を行 い ・次 の検 査 は 少 く とも24時 間以 上 経 過 して か ら施 行 した.
仁平一所謂特発性腎 出」
血に関す る研究(第V篇)
判 定 の基 準は 中山(1949)の 力 法 に大 体 従っ た が, 詳 細 は後 藤(1954)の 論文 を参 考 に され た い. a)ア ドレナ リy試 験 主 として 判定 基 準 を血 圧 上 昇 に 置 き,こ れ に脈 博 数,呼 吸 数,震 頭,心 悸充 進,顔 面 蒼 白等 の徴 候 も参 考 に して強 交 感型(S柵 型),中 交 感型(S昔 型), 弱 交 感型(S+型),無 反 応 型(SRL型),及 び血 圧 上 昇 が お くれ て 起 るか 或 は これ が現 れ ない等 の場 合 はそ の 程 度 に よっ て弱 副 交 感型(V+型),中 副 交感 型((YH型),強 副 交 感型(V冊 型)に 分 つ た. b)ピ ロカル ピソ試験 灘 延70cc以 上,滴 状 発 汗,悪 心 嘔 吐,脈 搏増 加 21 20以 上 の4種 の主 徴 候 を判 定 の基 準 とし,こ れ に心 悸 元 進,呼 吸 困難,尿 意頻 数等 の 副徴 候 を 参考 に し て強 副 交 感型(V帯 型),中 副 交感 型(VH一 型),弱 副 交 感 型(V+型),無 反応 型(VRL型)に 分 っ た ・ C)ア トロ ピy試 験 判 定 の基準 は 脈 搏増 加20以 上,心 悸 充進,口 内乾 燥 ,呼 吸 性 不 整脈,徐 脈 の消 失 を以 て 陽 性 とし,か つ こ れ は ア ドレ'ナリ ン試 験 と ピロ カル ピソ試 験 の綜 合 判 断 の参考 とした, 以 上 の薬 理 学的 検 査 の綜 合 判定 の結 果 は表1に 記 載 す る如 くで,ア ドレ ナ リy,ピ ロカル ピyの 両 者 或 は 何 れ か一 方 に反 応す れ ば 自律 神経 系 不 安定 徴 候 を有 す るも の とした.表1薬
理学的検査の綜合判定
S帯V冊, S惜V粁, S甘V冊, S什V粁 S冊VRL, S冊V十, S粁VRL, S朴V十 V冊SRL, V柑S十, V-H-SRL, VHS十 SRLVRL, S十VRL, S十V十, SRLV十 SV型 S型V型
自律神経系
不安定徴候
0型
2)検 査 成績 拉 び に 自律 神経 遮断 剤等 に対 す る反 応 薬 理学 的検 査 の結 果 は表2に 示 す 如 くで,28例 中26 例 に 自律 神 経系 不安 定 徴 候 を認 め た.こ の中S型 が 最 も多 く11例,つ い でSV型 が8例,V型 が7例 で あ る・ 無 反 応型 た る0型 は28例 中2例 あ っ たに 過 ぎない.ま たS型 で あっ た ものが 腎摘 除術後 に0型 を示 した もの (症例3),及 びV型 が 止血 後 にS型 を示 した もの(症 例22)を 各1例 認 めた.薬 理 学 的 検 査に 際 して投 与 し た ア ドレナ リンに よっ て血 尿 の 程 度が 著 明 に増 強 した もの が2例(症 例20,24),ピ ロ カル ピ ンに よっ て 血尿 の程 度が 著 明 に増 強 した も のが1例(症 例25)あ り, また止 血 後 に 行っ た 薬 理学 的 検 査 に於 て ア ドレ ナ リン の投 与 に よっ て血尿 の再 発 を 来 した ものが2例(症 例 1,9)あ つ た. 治療 と して使 用 した 自律 神 経遮 断 剤等 に対 して何 等 か の反 応 を認 めた ものは28例 中12例 あ り,そ の詳 細 は 表2に 示す 如 くで あ る ・Nは ノイ ロ トピソ,Tは テ プ ロ ソ,1は イ ミダ リy,Bは バソ サ イ ソ,Cは クロ ール プ ロ マジ ソ,Aは ア ドポy,Trop.は トロ ピソを 夫 々 示 す.こ れ 等 の薬 剤 を 使 用 し て数 日以 内 に現 れた 反応 と して(柵)は 止 血 に至 っ た もの,(什)は 血 尿 の 程 度が 著 明 に減 少 したが なお完 全 な止血 に は至 らな かっ た もの,(+)は1血 尿 の程度 が 軽 度 に 減 少 した もの, (一)は 何 等 の変 化 も示 さ なか つ た も ので あ る. ノイ ロ トロ ピ ンは 精 製 痘苗 よ り分離 した も ので 自律 神 経系 鎮 静 作 用を 有す る とさ れ,テ プ ロ ソはTetra-ethylammoniumbromideの 製 品 で 神経 節 遮 断作 用 を 示す.イ ミダ リソはImidazo1誘 導体 で 交 感 神経 遮 断,抗 ア ドレナ リy作 用 を有 し,ク ロー ル プ ロマ ジ ソ はPhenothiazine誘 導体 で 自律 神 経 未梢,特 に交 感 神 経 に対 して強 い抗 ア ドレナ リソ作 用 を有 し,中 枢 的 に は鎮 静,鎮 痙,催 眠,制 吐 作 用を示 す.バ ンサ イ ン は ア トロ ピ ソ と同様 副 交 感神 経 遮 断作 用 と共 に抗 ア セ チル ビ ョ リソ作 用を 有 し,神 経 節遮 断作 用を 示 す もの で ・ ア ドポ ソ,ト ロ ピ ン等 は これ と略 々同 様 の作 用 を 有 す る とされ て い る. ノイ ロ トロピyは21例 に使 用 して止 血2例,著 減2 例,軽 減3例 の結 果 を示 し,な お イ ミダ リソ と共 に 使 用 して止 血1例 を認 め た,テ ブ ロンは19例 に使 用 して 止 血1例,著 減1例,軽 減2例,イ ミダ リンは2例 に 使 用 して この中 ノイ ロ トロ ピ ソ と併 用 した1例 に止血 を 認 め た.ア ドポ ンは4例 中1例 に,ト ロ ピソは3例22
仁平 一所謂特発性腎出血に関す る研究(第V篇)
表2検
査成績並び に自律神経遮断剤等に対す る反応
一
例
番
号
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28名
上
○
木
○
吉 ○
竜 ○
橋 ○
熊 ○
桃 ○
島 ○
伊 ○
松 ○
大 ○
浜
○
岡 ○
谷
○
吉
○
太
○
小
○
相 ○
山
○
角 ○
岸 ○
長 ○
岡 ○
橋
○
倉
○
鎌
○
林
○
樹
○
令
性
24 34 27 62 26 24 41 50 27 23 48 30 61 25 492iL
241 52 49 241 541:劉
33i
30 22[ ・6「 201j
3 ♂ 6 6 6 ♀ 3 ♀ 6 δ ♀ ♂ 6 早 6 ♂ ♀ ♀ ε ♀ δ 6 ♀ 6 ♀ δ 6 δ側
L L L L R R R L L L R L L L L L L L L R R R L R L L R L薬理学的
検査成績
S什VRL SRLV什 S帯VRL S甘VRL S什VRL S什VRL S畳V帯 SRLV十 S柵VRL S柵V粁 SRLV粁 S帯V十 S柵V廿 S帯V甘 S十V朴 S十トV十 S帯VRL S耕V+ SRLVRL S冊VRL SRLV什 SRI、V柵 S柵V什 S帯V什 S十V柵 S惜V甘 S帯V升 SRLV甘 反 応 型 幽 S V S S S S SV O S SV V S SV SV V S S S O S V V SV SV V SV SV V自律神経遮断剤等 に対
す る反応
備
考
N(帯),T(帯) N(一),B(一) N(一),1(一),T(一) N(一),T(什) N(一),T(一) N(一),T(一) N(一),T(一),B(一) N(一),T(一),B(一) N(惜)I I N(一)・T(一)・B(一)[ A(一)} N+1(柑)i lN( 一),T(一),B(一) 「 N(一),T(一),B(一) N(一),A(一),T(一)i N(+),T(+),l T(+),c(一)l N(朴),T(一) N(一),C(一),B(一)I N(一),T(一)I A(一),B(一)旨 I A(柵) N(十),T(一),B(一)1 。(.),。(.),。(.)1 …P・(辮)1 T(一),C(一),TrOP.(一)I I T(一),C(一),TrOP.(一):N(ff)l
I
ア ドレ ナ リンで血 尿 再 発 腎摘 除後(S十VRL)=0型 ア ドレナ リソで 血尿 誘 発 ア ドレ ナ リンで血 尿 増 強止血後(S帯V十)=S型
ア ドレ ナ リンで血 尿 増強 ピ ロ カル ピ ンで 血尿 増 強 註:-N:ノ イ ロ トロ ピy・T:テ プ ロ ソ.C:ク ロeル プ ロvジ ソ. A:ア ドポ こ/,B.パ ソ サ イ ソ ーTrop.=ト ロ ピ ン. (柵):止 血 ・(昔):血 尿 の 程 度 が 著 明 に 減 退,(十):軽 度 減 退,(一):変 化 な し. 中1例 に 夫 々止 血 を 認 め た ・ バ ソ サ イ ソ は10例 ・ ク ロ 剤 等 投 与 に 際 し て ・甚 だ 興 味 あ る経 過 を 認 め た 数 例 に Pル プ ロ マ ジ ソ は4例 に 夫 々 使 用 し た が 何 れ も 何 の 変 っ い て 簡 単 に 述 べ る ・ 化 も 見 ら れ な か っ た.(症 例1) 以 上 の 自 律 神 経 系 の 薬 理 学 的 検 査 及 び 自 律 神 経 遮 断24才 の 男 子 で 左 側 の 所 謂 特 発 性 腎 出 血 ・ 海 水 浴 に て仁 平 一一所 謂 特 発 性 腎 出血 に関 す る研究(第V篇) 身 体 が 冷 え た ので 直 ちに 温 泉 で暖 を とつ た と ころ,翌 朝 よ り無症 候 性 の血 尿を 来 した も ので あ る.泌 尿 羅 科 的諸 検 査 に 於 ては 左側 の腎 性血 尿 以 外 に何 等 の異 常 も 認 めず,一 股 臨 床 検査 に於 て も特 異 な変 化 は み られ な いが,た だ血 圧 が140∼80mmHg.と か な りの高血 圧 を示 した.諸 種止 血 剤 投 与,輸 血,硝 酸 銀 液 の腎 孟 内 注 入療 法等 に よっ て も血 尿 の程 度 に変 化 な く,時 折 凝 血 を混 じ る高度 の血 尿 が 持続 した.自 律 神 経系 の薬 理 学 的検 査で は ア ドレナ リソに 対 して 強 い反 応 を示 し,S型 と判定 した.ノ イロ トロピ ソを投 与 した とこ ろ数 日に して 血尿 の程 度 は著 明 に減 少 し,約 一 週 聞後 には止 血 した.そ こで再 び ア ドレナ リγを 前 回 と同量 投 与 した ところ強 い反応 を示 し,翌 日 よ り」血尿 の再 発 を来 した.再 び ノイ ロ トロピ γを投 与 して血尿 は軽 減 したが完 全な止 血 に至 らない 為 テ プ ロ ソに代 え て止 血 せ しめ る ことが 出来 た.と ころが 一 夜不 眠 の為強 い焦 燥 感 の中 に過 した と ころ翌 朝 よ り血尿 の再 発 を来 した が,テ ブ ロンの投 与 に よっ て 数 日に して著 明 に減 退 し て血尿 は消 失 し,約2週 間経過 を観察 した が異 常 が な い の で退 院 した. (症例9) 27才 の男 子で 左 側 の所 謂 特発 性 腎 出血 ・何等 の誘 因 と思 わ れ る も のな く無 症 候 性 の血尿 を来 し,泌 尿 器科 的 諸 検 査 に於 て は 左側 の 腎 性血尿 以 外 に 異 常を 認 め ず,後 腹 膜 腔気 体 撮 影,大 動 脈撮 影 等 に 於 て も異 常所 見 を 認 め ない.一 般 臨 床検 査 成績 はい ずれ も正 常 の範 囲 内 に あっ た.諸 種 止血 剤 投 与,輸 血,強 力 な抗 生 物 質療 法,硝 酸 銀 液 の腎孟 内 注 入等 に よっ て も血 尿 の程 度 に変 化 は ない.自 律 神 経 系 の薬 理 学的 検 査 で は ア ド レナ リンに強 く反 応 しS型 と判 定 した.ノ イ ロ トロ ピ ソ を投 与 した と ころ今 まで の治療 に抵 抗 した長 期 間 の 血 尿 が 数 日に して著 明 に 減 退 し,約1週 間後 には 完 全 に消 失 した 。そ こで検 査 の 為に ア ドレ ナ リソを 投 与 し た と ころ再 び 強 く反 応 し,翌 日 よ り血尿 の再 発 を 来 し た.2∼3日 経過 を 観察 した が そ の ま ま持 続 す るの で ノィ ロ トロ ピ ンを投 与す る と再 び1血尿 は 減退 し10日 余 に して完 全 に止 血 し得 た. (症 例25) 30才 の女 子 で左 側 の所 謂 特 発性 腎 出血.2年 前 に誘 因 と思 わ れ る も のな く無 症 候 性 の血尿 を来 し,何 等 苦 痛 が な い ので 放置 した と ころ 約2ヵ 月間 出 没 してか ら 消 失 した.今 回 は4ヵ 月前 同様 の血尿 が 現 れ,医 師 に よっ て止 血 剤 の投 与 を 受 け て い るが変 化 な く持 続 して い る.泌 尿 器科 的 諸 検 査 に於 ては 左側 の腎 性血 尿 以 外 に 異 常所 見 を認 め ず,一 般 臨 床検 査 成績 は いず れ も正 23 常範 囲 内に あ る.止1血 剤 投 与,翰 血 等 を 行 いな が ら硝 酸銀 液 の腎孟 内注 入 を 数回 施 行 した が 依 然 として 軽 度 の肉 眼的 血尿 が 持 続 した.自 律 神経 系 の薬 理 学 的 検 査 で は ア ドレナ リソに 軽 度反 応,ピ ロ カル ピyに 対 して は強 く反 応 しV型 と判定 した ・ と ころが ピ ロ カル ピy を投 与 した 日の 夕刻 よ り血 尿は 高度 とな り翌 日もi疑血 を 混 じた 血尿 が 続 い た.そ こで 輸血 を 行 うかた わ らア ドポyを 投与 した と ころ数 日に して 血尿 は著 明 に 減 退 し,1週 聞後 には完 全 に止 血 し,約2週 間経 過 を観 察 したが 異 常 な きた め退 院 した. 3)小 括 所 謂 特 発 性腎 出血28例 に対 して 自律 神経 系 の薬 理学 的 検 査を 行 い,こ の 中26例 に 自律 神 経 系不 安 定徴 候 を 認 めた.即 ち交 感 神 経系 緊 張 充進 状 態 を示 した ものが 11例 と最 も多 く,副 交 感神 経 系 緊張 元 進状 態 は7例, 交感 副 交 感両 神 経 系緊 張 充進 状 態 は8例 に 認 め られ た.こ れ らの患 者 に 治療 と して 自律 神 経遮 断 剤 等 を投 与 し,止 血5例,血 尿 の程 度が 著 明 に減 少 した もの3 例,軽 度 減 少4例 の結 果 を得 た.そ して以 上 の薬 理 学 的 検 査 及び 治 療 に 際 して,自 律 神 経遮 断剤 等 の投 与 に よっ て 止血 した ものが ア ドレナ リソの投 与 に よっ て血 尿 の再 発 を来 し,再 び 同 遮 断剤 等 に よつ て止 血 した2 例 と,薬 理学 的 検 査 に際 して投 与 した ピロ カル ピソ に よっ て血 尿 の程 度が 著 明 に増 強 し,副 交 感 神 経遮 断 剤 の投 与 に よっ て止 血 に 至 った1例 にっ いて そ の経 過 を 簡 単 に述 べ た.こ れ 等 の3例 に於 て は,血 尿 の 発生 が 自律 神経 系 異 常 と密 接 な 関係 に あ る も の と して 特 に興 昧 深 い も の と考 え る.
皿 実 験 的 研 究
1)実 験 方 法 実 験 は す べ て2kg前 後(1950∼2530g)の 成 熟 雄 家 兎 を 使 用 し た.実 験 群 は っ ぎ の3群 に 大 別 出 来 る. a)自 律 神 経 刺 戟 剤 長 期 間 反 覆 投 与 群 0,1%塩 化 ア ド レ ナ リyO.1∼0,2cc,或 は1%塩 酸 ピ ロ カ ル ピ ン0.2∼0.4ccを 耳 静 脈 よ り徐 々 に 注 射, これ を1日2回,約50日 間 に わ た っ て 反 覆 投 与 を 続 け た. b)1側 腎 神 経遮 断+自 律 神経 刺 戟 剤投 与 群 手術 的 に家 兎 の 左側 背 部 を切 開 し て 左 側 腎 を 露 出 し,腎 茎 部 を 注意 深 く剥 離 して動 脈 と静 脈 に 分 け,血 管 周 囲 の神 経叢 を剥 離 して切 除す る.つ いで 濃 厚石 炭 酸液 を血 管 周 囲 に塗 布 し,し ば ら く して アル コ ・一一ル液 及 び 生理 的 食塩 水 で拭 っ て石 炭 酸 液 を 除 き,腎 を後 腹24
仁平一所謂特発性腎出血 に関する研究(第V篇)
膜 腔 に返 して 腹壁,皮 膚を 縫 合 して 手術 を 終 る ・手 術 後10日 目 よ りa)と 同 様 に ア ドレ ナ リソ或 は ピ ロ カ ル ピ ソを約20日 間 投 与 し,手 術 のみ を行 っ た も のを 対 照 群 とした. c)1側 腎 神経 遮 断+腎 毒 性物 質等 投 与群 上述 の如 き方法 で1側 腎 神経 遮 断 を行 っ た家 兎 に於 て,術 後10日 目に硝 酸 ウ ラン液 或 は シユ ワル ツガ ン炉 液 を投 与 した.即 ち0.1%硝 酸 ウ ラソ液1.Occを 背 部 皮 下 に注射 し,24∼48時 間後 まで経 過 を観 察 した.シ ユ ワル ツマ ソ浄 液 として は20時 聞 ブ イ ヨン培 養 の大 腸 菌 を更 に寒 天 平板 培 地 に て約20時 間培養 し,型 の如 く 0.4%石 炭 酸 加滅 菌 生 理的 食 塩 水 にて菌 浮 游 液 を 作 り,こ れ を毎 分2,500回 廻転30分 間遠 心 し,上 清 液 を 直 ち にBerkefeldV泪 過 器 で演 過 し,游 液 は そ の ま ま 氷室 に た くわ え た もの を使 用 した.こ れ は 準備 注 射 に2倍 稀 釈 液0.25cc用 い た場 合,0.5∼1.Occで 確 実 に強 陽 性 を示 す こ とを確 めた.こ の シユ ワル ツマ ン瀕 液1.0∼2.Occを 耳静 脈 よ り徐 々に注射 し,24∼48時 間 後 まで に経 過 を観 察 した. 各群 の家 兎 は 夫 々上 述 の期 間経 過 を 追 っ て 体重 測 定,尿 検 査等 を 行 っ た.尿 検 査 は特 別 に 尿採 取 用 に作 っ た 箱 に家 兎 を 数 時 間入 れ て採 取 した 尿 に つ い て 蛋 白,沈 渣等 を 検 索 した.上 述 の期 間 後 に空気 栓 塞 に て 致 死 せ しめ,直 ちに剖 検 を 行 い,腎 は15%フ オ ルvリ ン液 で 固定,型 の如 くパ ラフ イ ソ包 埋 切 片 と し,ヘ マ トキ シ リソ.エ オ ジ ソ染 色 を 施 して検 索 した ・ 2)実 験 成 績 a)自 律神 経 刺 戟剤 長期 間 反 復投 与群 i)ア ドレナ リソ投 与 群 家 兎No.1は12目 目,No.4は33日 目に死 亡 した 経過 中 の尿検 査 の結 果 は 表3に 示 す 如 くで,尿 中蛋 白 は陽 性 とな り,尿 中赤 血球 は1視 野 に 数個 か ら10∼ 20位 の顕 微鏡 的 血 尿 を認 め たが,白 血 球 及び 円柱 は証 明 しな か った. 腎は 両 側 とも表 面平 滑,暗 赤 色 で,割 面 に 於 て も肉 眼的 に異 常 を認 め な か っ た. 表3ア ド レ ナ リ ソ 投 与 群家
兎
番
号1
蛋
白 10日3Q日50日 No.1 No.2 No.3 No。4(+)
(±)(±)(+) (±)(+)(+)(+)(+)
N・・sl(±)(+)(+)赤
血
球
10日30日50日(+)
(一)(±)(±) (一)(+)(+) (±)(+) (一)(+)(+)白
血
球
10日30日50日 (一) (一)(一)(一) (一)(一)(一) (一)(一) (一)(一)(一)円
柱
10日30日50日 (一) (一)(一)(一) (一)(一)(一) (一)(一) (一)(一)(一) 組 織 学的 所 見:糸 球 体 には 著変 は な く,一 部 に容 積 増 大,細 胞核 増 加 を認 め た が 何れ も軽 度 な も ので あ っ た.尿 細 管 には 種 々の程 度 の変 化 を認 め,上 皮 細 胞 は 浮腫 状 に腫 脹 して 管 腔は 閉 塞 し,一 部 上 皮 の剥 脱 を認 め,細 胞 核萎 縮 が 見 られ た が,上 部 及び 下部 ネ フ ロ ソ の間 に著 明 な 差 はな か っ た(図1)か か る尿 細 管 の 変 性 はNo.1及 び4に 於 て著 明 で,こ れ に比 較 す れ ばNo.2,3,5は 軽 度 で あっ た.腎 乳 頭 及び 腎孟 粘 膜 には 異 常 は見 られず,血 管 の変 化 も認 め られ な か っ た. ii)ピ ロカ ル ピ ン投 与 群 経過 中 死 亡例 は な く,尿 検 査 の結 果は 表4に 示 す 如 くで あ る.即 ちNo.7が 尿 中 蛋 白陽 性 とな り,尿 中 赤 血球 は1視 野 に8∼10認 め る顕 微 鏡 的血 尿 を来 した が,他 の4例 で は尿 所 見 に 異 常 を認 め な か っ た. 腎 は い ずれ も両 側 と も表 面 平 滑,暗 赤 色 で,割 面 に 於 て も肉 眼的 に異 常 を認 め な か っ た 。 組 織 学 的所 見:糸 球 体,尿 細 管 とも に著 変 は な く, 皮髄 境 界 部 の小 血 管 が 軽 度 に拡 張 して 血 液 の 充 満 を認 め た もの もあ つ た が一 般 に 著 明 な変 化 は 認 め ず,腎 乳 頭 部 及び 腎 孟 粘 膜 に も異 常 は な い. b)1側 腎 神 経遮 断+自 律 神経 刺 戟剤 投 与 群 i)1側 腎 神 経遮 断群(対 照群) 尿 所 見 は 表5に 示 す 如 くで ・尿 蛋 白 は術 後3日 目で仁平一所謂特発性 腎出血に関す る研究(第V篇)
25 表4ピ ロ カ ル ピ ソ 投 与 群家
兎
番
号
No.6 No.7 No.8 No.9 No.10蛋
白 10日30日50日 (一)(±)(士) (一)(+)(+) (一)(±)(一) (一)(一)(一) (一)(士)(±)赤
血
球
10日30日50日 (一)(±)(±) (±)(+)(+) (一)(一)(一) (一)(一)(一) (一)(±)(±)白
血
球
10日30日50日 (一)(一)(一) (一)(一)(一) (一)(一)(一) (一)(一)(一) (一)(一)(一)円
柱
10日30日50日 (一)(一)(一) (一)(一)(一) (一)(一)(一) (一)(一)(一) (一)(一)(一) 表51側 腎 神 経 遮 断 群家
兎
番
号
No.11 No.13 No.14蛋
白赤
血
球
3日 10日 3日 10日(+)
(±) (±) (±) (什) (±) (±) (±) (±) (±) (帯)(+)
白
血
球
3日 10日 (一) (一) (一) (一)(+)
(一) 円柱
3日 10日 (一) (一) (一) (一) (一) (一) は 陽 性 に 出 る もの もあ るが,10日 目で は殆 ん ど消失 し, 手 術 時 の操 作 に よる影響 と考 え られ る.尿 中赤血 球 は No.11.及 び13に 於 ては 数 視野 に1∼2現 れ る程 度で あ っ たが,No,14は 術 後 肉眼 的血 尿 を 来 した.し か し これ も術 後10日 目で は1視 野 に数 個 の赤 血球 を認 め る程 度 に減 少 した.処 置 側 の腎 は 周 囲 及び 腎茎 部 に癒 着 を認 め,腎 の大 きさ は一 般 に無 処 置 側 に比 して大 き か っ た.即 ちNo.11は 左側6.8g,右 側6.49, No.13は 左 側8.4g,右 側7.3g,No.14は 左側5.8 g,右 側5.5gで,割 面 に 於 ては い ずれ も両 側 とも肉 眼 的 には 異常 を認 め なか っ た. 組織 学的 所 見:腎 神経 遮 断側 は 皮 質,髄 質 に於 け る 小 血 管は 拡 張 して血 液 の充 満 を認 め,こ れ は特 に皮髄 境 界 部 に於 て 著 し く,糸 球 体 も一 部 に血液 が充 満 して Bowman氏 糞腔 内に赤 血球 の游 出 して い るも のを 認 め た(図2,3)尿 細 管 に は殆 ん ど変 化な く,腎 孟 粘 膜 に も異 常 を認 め な い.無 処 置側 の腎 に は変 化 は 見 られ なか っ た. ii)ア ドレナ リソ投 与 群 腎 神 経遮 断後10日 目か らア ドレナ リン1日2回 投 与 を開 始 し,そ の後16日 間 反復 投 与 を続 け た.尿 所 見 は 表6に 示 す 如 く術 後2日 目で は尿 蛋 白は いず れ も陽 性 で,尿 中赤 血 球 はNo.15,16は1視 野 に数 個,No. 19は 肉 眼的 血尿 を 来 した.し か し術 後9日 目 には尿 蛋 白は 減 少,血 尿 の程 度 も減 退 し,ア ドレナ リンの投 与 に よっ て尿所 見 には 変 化は 現 れ なか っ た. 腎 は 全例 に 於 て処 置 側 に癒 着 を認 め,腎 の大 き さは 無 処置 側 に 比 して 大 ぎかっ た.No.16は 左 側6.7 g,右 側6.5g,No.17は 左側4.7g,右 側4.4g, No.19は 左側7.4g,右 側6.3gで あ り,割 面 に於 て はい ず れ も両 側 とも肉 眼 的 に異 常 を認 めな か っ た. 組織 学 的 所 見:腎 神 経遮 断 側 に於 ては 皮 質,髄 質 に 於 け る小 血 管 の拡 張 が 認 め られ た が著 明な もの では な かっ た.一 部 の糸 球 体 に容積 増大,細 胞 核 増加 を認 め た が これ も著 明 な も ので は な か った(図4)尿 細 管 に は殆 ん ど変 化 な く,腎 孟 粘 膜 に も異 常 を 認 め な い. 無 処置 側 には 著 明 な変 化 は見 られ な かっ た. iii)ピ ロカル ピソ投 与群 腎 神経 遮 断後10日 目か らピ ロ カル ピy1日2回 投 与 を 開始 し,そ の後16日 間 反復 投 与 を 続 け た.尿 所 見は26
仁平一所調特発性腎 出血に関す る研究(第V篇)
表61側 腎神 経 遮 断 十 ア ドレナ リン投 与群 家 兎 …番 号 No.16 No.17 No,19蛋
白 1234 (十)(士)(+)(土) (+)(±)(±)(土) (昔)(+)(+)(+)赤
血
球
1234 (+)(土)(士)(±) (+)(±)(土)(土) (耕)(+)(±)(+) 白 」血 球 1234 (土)(一)(一)(一) (一)(一)(一)(一) (+)(一)(±)(一)円
柱
1234 (一)(一)(一)(一) (一)(一)(一)(一) (+)(一)(一)(一) 註 ・1=腎 神 経 遮 断 後2日 目,2:同9日 目,3ア ドレ ナ リ ン投 与 開 始 後10日 目,4:同16日 目 ・ 表71側 腎神 経遮 断 十 ピ ロカ ル ピ ソ投 与 群家
兎
番
号
No.21 NO。23 No,24蛋
白 1234 (十)(±)(±)(±) (十)(±)(士)(±) (+)(一)(±)(±)赤
血
球
1234 (+)(±)(+)(±) (十)(±)(±)(+) (士)(士)(士)(土)白
血
球
1234 (一)(一)(一)(一) (一)(一)(一)(一) (一)(一)(一)(一)円
柱
1234 (一)(一)(一)(一) (一)(一)(一)(一) (一)(一)(一)(一) 註 ・1=腎 神 経 遮 断 後2日 目,2:同9日 目,3ピ ロ カ ル ピ ソ 投 与 開 始 後10日 目,4:同16日 目. 表7に 示す 如 く術 後2日 目で は尿 蛋 白は い ず れ も 陽 性,尿 中赤 血球 は1視 野 に数 個か ら数視 野 に1∼2程 度 の顕微 鏡 的血 尿 で あっ た.術 後9日 目で は尿 蛋 白は 疑 陽 性或 は 陰 性 とな り,尿 中赤 血球 も数視 野 に1∼2 程 度 に減 少 しピ ロ カル ピ ンの投 与 に よっ て尿 所 見 には 変 化は 見 られ な かっ た. 腎は 全例 とも処置 側 に癒 着 を認 め,腎 の大 きさは 無 処 置 側 に比 して 大 きか っ た.No.21は 左側8.4g.右 側7.2g,No.23は 左側5.4g,右 側4.8g,No.24 は 左側6.3g,右 側6.Ogで,割 面 に於 ては いず れ も両 側 とも肉 眼的 には異 常 を認 め な かっ た. 組織 学 的所 見:腎 神 経遮 断 側 は皮 質,髄 質 に於 け る 小血 管 の拡 張 が 認 め られ たが,ア ドレ ナ リン投 与 の場 合 と同 様著 明 な も ので は なか っ た.ま た糸 球 体 の一 部 に容 積 増大,細 胞 核 増加 を 認 め た もの もあ っ た が軽 度 であ り(図5),尿 細 管 に は異 常 な く腎 孟 粘膜 に も変 化 は認 め られ な い,無 処 置側 には 変 化は 見 られ なか っ た. c)1側 腎 神 経遮 断+腎 毒 性 物 質等 投 与群 三)硝 酸 ウ ラ ン投 与 群 腎 神 経 遮 断 後10日 目 に0.1%硝 酸 ウ ラ ン 液1.Occを 背 部皮 下 に注射 し,No.26は24時 聞 後,No.27,29 は48時 間 後 に空 気 栓塞 に て致 死 せ し め 直 ち に剖 検 し た.尿 所 見 は表8に 示 す 如 く硝 酸 ウ ラソ の投 与 に よっ て尿 蛋 白は 陽性 とな り,尿 中 赤 血球 は1視 野 に 数個 か ら10前後 の顕 微鏡 的 血 尿 を認 め た. 腎 は3例 とも処置 側 に癒 着 あ り,腎 の大 きさ は無 処 置 側 に比 して一股 に大 き く,No,26は 左側5.8g,右 側5.4g,No27は 左側6.7g,右 側6.3g,No.29 は 左 側6.7g,右 側6。5gで,表 面 は平 滑,軽 度 黄 褐 色,割 面 に 於 て も 同様 で あ る. 組織 学 的 所 見.No.26の 処 置 側 は 糸球 体 の容 積 増 大,細 胞 核 増加,貧 血 等 の所 見 を 認 め るが,無 処 置 側 に は 変化 は 見 られ な い 。No.27の 処置 側 は 糸 球 体 の 変 化 が著 明 で容 積 増 大 して 蹄係 相 互 或 はBowman氏 嚢壁 との癒 着 が認 め られ,細 胞 核 は 著 明 に増 加 し,尿 細 管 上 皮 に も軽 度 の変 性が 見 られ る(図6,7)無 処 置 側 の変 化は これ に比 較 す る と軽 度 で,糸 球 体 の 変 化 は 著 明 で はな い(図8)No・29に 於 て も これ と 同様 の所 見 を 呈 した. ii)シ ュ ワル ツマ'/ZEi液投与 群 腎 神経 遮 断 後10日 目・に シユ ワル ツマ ン演 液 をNo .31, 33に は 各1・Occ・No・34・36に は 各2.Occを 夫 々仁平一所謂特発性腎出血に関す る研究(第V篇)
27 表81側 腎 神経 遮断 十硝 酸 ウ ラン投 与群家
兎
番
号
No.26蛋
白赤
血
球
8日剖検時
(±)(+)
No.27 (±) (昔) No.29 (一)(+)
8日剖検時
(±)(+)
(±)(+)
(±)(+)
白
血
球
8日剖検時
(一) (一) (一) (一) (一) (一)円
柱
8日剖検時
(一) (一) (一) (±) (一) (±) 表91側 腎神 経遮 断+シ ュ ワル ツマy炉 液 投 与群家
兎
番
号
蛋
白 8日剖検時
No.31 (±) (±) No.33 (士)(+)
No.34 (±)(紛
No.36 (±)(+)
赤
血
球
白1血 球鰯
剖検時
8日剖検 時
(±)(+)
(±)(+)
(±) (昌) (±) (+) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一)円
柱
8日剖検時
(一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) 耳静 脈 よ り徐 々に注 射 した.No.34は24時 間後 には 死 亡 し,No.31は24時 聞後 に,NQ.33,36は48時 間 後 に夫 々空 気 栓塞 にて 致死 せ しめ直 ち に剖 検 した. 尿 所 見 は表9に 示 す 如 くで,シ ユ ワル ツマ ソ游 液 の投 与 に よ り尿 蛋 白 は4例 中3例 に陽 性 とな り,尿 中赤 血 球 も1視 野 に10前 後 か らNo.34は か な りの顕 微 鏡 的血 尿 を 来 した. 腎 は いず れ も処 置 側に癒 着 が あ り,腎 の大 きさは や は り無 処置 側 に 比 して一股 に大 き く,No.31は 左側 4.7g,右 側4.4g,No.33は 左側6.4g,右 側6.O g,No.34は 左側5.8g,右 側5.3g,No.36は 左 側6.79,右 側6.4gで,表 面 は平 滑,軽 度黄 褐色,割 面 に 於 て も同様 で あ っ た. 組 織 学的 所 見:No.31の 処置 側 は 一 部糸 球 体 の容 積増 大,細 胞 核増 加 を認 め,蹄 係 相 互 間 に 癒 着 が現 れ,Bowma11氏 褒 腔 内 には 一様 の蛋 白様 物 質 が み ら れ る.尿 細 管 には 殆 ん ど変 化 は認 め ら れ な い が,皮 質,髄 質 の小血 管 には軽 度 の拡張 が み られ る.無 処置 側 で は糸 球 体,尿 細 管 に 著 明な 変 化 はな く,皮 質,髄 質 の 小血 管 に 軽 度 の拡 張 をみ るの み であ る.No.33 はNo.31と 大 略 同様 の所 見で あ った. No.34の 処置 側 に 於 け る 変 化 は著 明 で,糸 球 体 の容積増 大,細 胞 核 増 加 を 認 め,蹄 係 相互 間 或 は Bowman氏 嚢壁 との 間に 癒 着 を来 し,Bowman氏 嚢 腔 内 には 一 様 の蛋 白様 物 質 或 は赤 血球 を認 め る(図 9)そ して皮 質 及び 髄 質,特 に皮 髄 境 界 部で は 小血 管 が拡 張 して血 液 が 充満 し,こ れ等 の1j・血管 を 中 心 と した 出血 が 見 られ る(図10,11)尿 細 管は 上 皮 細 胞 が 浮 腫状 に腫 脹 して一 部 剥脱 を 認 め る.無 処置 側 は糸 球 体 の一 部 に容積 増大,細 胞 核 増 加,蹄 係 相 互間 の癒 着等 を 認 め る部 分 も あ るが 一般 に変 化は 軽 度 で,尿 細 管 には異 常な く,ま た 皮 質,髄 質 に於 け る小 血 管 の軽 度 の拡 張 を 認 め るが 出 血 は 見 られ な い(図12) No.36は 略 々同様 の所 見 で あ っ た. 3)小 括 家 兎を 用 い て 自律 神経 刺 戟 剤 の長 期 間 反復 投 与 を 行 い 腎 に対 す る 影 響 を 検 索 した.0.1%塩 化 ア ドレナ リソ0.1∼0.2ccを1日2回 耳静 脈 よ り注 射 し,こ れ を約50日 間続 け た場 合 は尿 中蛋 白が 陽 性 とな っ て顕 微 鏡的 血尿 の 出現 を認 めた.組 織 学 的 に は糸 球 体 に 著 変 は ない が,尿 細 管 は 上皮 細 胞 が浮 腫 状 に腫 脹 して管 腔 は 閉塞 し,細 胞 核萎 縮,一 部 上皮 の剥 脱等 の変 性 像 を認 め た.1.0%塩 酸 ピ ロカ ル ピ ソ0.2∼0.4ccを 同 様1日2回 静注,約50日 間投 与 の場 合 は5例 中1例 に28
仁平一所謂特発性腎 出血に関す る研究(笛V篇)
尿 蛋 白陽性 化,顕 微 鏡的 血尿 等 を 認 め たが 残 りの4例 で は尿 所 見 に 変化 は な く,組 織 学 的 に は糸球 体,尿 細 管 に著 変を 認 めず,一 部 の ものに 皮髄 境 界 部 に於 け る 小 血管 の軽 度拡 張 を 見た のみ で あ る ・ 1側 腎神 経遮 断 を 行っ た もので は,術 直後 には尿 蛋 白は 陽性 とな り顕 微鏡 的 或 は 肉眼 的血 尿 を 来 した が, 10日 後 には尿 の変 化 は消失 した.遮 断 側 の腎 は 無 処置 側 に比 して そ の大 きさが増 大 し,組 織 学 的 には 皮 質, 髄 質 に於 け る小 血管 が 拡 張 して血液 の充 満 を認 め これ は 特 に皮 髄境 界 部 に於 て著 し く,糸 球 体 の 一部 に血 液 の充満 をみ たが 炎症 性iの変 化 は乏 し く醗血 性 の変 化 と 考 え られ る.無 処置 側 には何 等 の 変 化 も認 め られ な か っ た.1側 腎神 経遮 断 家 兎 に対 して術 後10日 目よ り自 律 神経 刺 戟剤 として ア ドレ ナ リソ或 は ピ ロカ ル ピ ンを 上 述 と同様 の方 法 で16日 閥投 与 した場 合尿 所 見 に 変 化 な く,組 織 学的 に は遮 断 側 に於 て一 部 糸球 体 に軽 度 の 変 化 をみ た が尿 細管 には 異 常 な く,一 般 に著 明な 変 化 は認 め られ なか っ た. 1側 腎 神 経遮 断家 兎 に対 して術後10日 目に0.1%硝 酸 ウ ラソ液1.Occを 背 部 皮 下 に注射 す る と,投 与 後 24∼48時 間 後 には尿 中蛋 白は陽 性 とな り顕 微鏡 的 血尿 を 認 め る.組 織 学 的 に は遮 断側 に於 け る糸球 体 の容積 増 大,細 胞 核 増加,蹄 係 相 互 間 或 はBowma11氏 嚢壁 との間 に癒 着 を来 し,尿 細 管 上皮 に も軽 度 の変性 を認 め るが,無 処置 側 には この よ うな著 明 な変 化 は見 られ な い.ま た 同様 に シユ ワル ツマ ン沮液1.0∼2.Occを 耳静 脈 よ り注 射 した 例 で は尿 蛋 白 の陽性 と顕微 鏡 的 血 尿 を 認 め,組 織 学 的 に は遮 断側 に 於 て 糸 球 体 の 容 積 増 大,細 胞 核 増加,蹄 係 相 互 間 の癒 着等 を 来 し, Bowman,氏 嚢腔 内に は蛋 白様物 質 及び 赤 血球 を,ま た尿 細 管 の軽 度 変性 等 を認 め,皮 質 及 び髄 質 の小 血 管 は拡 張 して血 液 が充 満 し,こ れ等 の血 管 を中 心 とした 出血 が 見 られ た.こ れ に対 して無 処 置 側で は糸 球 体 の 変 化 は軽 度 で尿細 管 には異 常 な く,皮 髄 境 界 部 に於 け る小 血 管 の拡 張等 を 見 たが 出 血 は認 め られ な か っ た. 即 ち無 処置 側 に比較 す る と腎 神 経遮 断 側 の変 化 は著 明 で あっ た.IV総
括 並 び に考 按
所謂 特 発 性 腎 出血 患 者28例 に対 して 自律神 経
系 の 薬理 学 的 検査 を行 つ て26例 に 自律 神 経系 不
安定 徴 候 を認 め,治 療 と して 自律 神 経遮 断 剤等
を投 与 して止 血5例,血
尿 の程 度 著 明 に 減 少3
例,軽 度 減 少4例 の結 果 を得 た.そ
して これ等
の 検査 並 び に治 療 に際 して 少数 例 で は あ るが 血
尿 の 発 生 が 自 律 神 経 系 の 異 常 と密 接 な 関 係 に あ る と考 え られ る も の を認 め た. 本 症 に 於 け る 血 尿 の 発 生 機 転 と 自 律 神 経 系 の 異 常 と の 関 係 に つ い て は,Klempererの 血 管 神 経 性 出 血 説 以 来 種 々 の 説 が あ る が いず れ も仮 説 の 域 を 出 な か つ た.と こ ろ がJunker(1949) は 本 症 患 者 に 交 感 神 経 切 除 術 を 施 行 し て 治 癒 せ し め た15例 を 報 告 し,ま た 稲 田教 授 等(1951) は 両 者 の 間 の密 接 な 関 係 を 臨 床 的 に 証 明 し た 症 例 を 報 告 し て 居 り,著 者 が 述 べ た 第1例 は こ れ に 当 る も の で あ る.既 に 後 藤(1954)は 本 症 患 者 の 中 に は 自 律 神 経 系 不 安 定 徴 候 を 有 す る 者 が 多 い こ と を 指 摘 し て い る が.禦,/1・ 川(1958) は 本 症 患 者8例 の殆 ん ど 全 て に 自 律 神 経 系 の異 常 を 認 め,こ れ に 対 し て ク ロ ー ル プ ロ マ ジ ン と 塩 酸 プ ロ メ タ ジ ン を 投 与 し て9例 中7例 に 有 効 と述 べ て い る.岡 本(1958)は19例 中9例 に 自 律 神 経 機 能 異 常 を 認 め,こ の 中 自 律 神 経 遮 断 の 有 効 例 はGanglionblock1例,テ ブ ロ ン2 例 と報 告 し て い る.か く の如 く,本 症 に於 け る 出 血 の 原 因 と し て,自 律 神 経 系 異 常 の 如 き 機 能 的 変 化 に よ る 腎 血 流 障 碍 の 存 在 す る こ と は 否 定 出 来 な い も の と考 え られ る,注 意 深 い 臨 床 的 検 査 及 び 経 過 の 観 察 に よ り,ま た 最 近 発 見 せ られ て よ り著 し い 進 歩 を み た 自 律 神 経 遮 断 剤 等 の 使 用 に よ つ て,本 症 に 於 け る 出 血 の 原 因 の 検 索 と 適 切 な 治 療 と い う面 で 更 に 多 くの 知 見 を 期 待 す る こ と が 出 来 る で あ ろ う.以 上 の如 く本 症 患者 の 中 に は血 尿 の 発生 が 自
律 神 経 系 の異 常 と密 接 な 関係 を有 す る者 の あ る
こ とを 知 つ た の で,実 験 的 に先 ず 家 兎 に 対 す る
自律 神 経刺 戟 剤 の長 期 間 反復 投 与 が 如 何 な る影
響 を与 え る か を検 索 した.ピ
ロ カ ル ピ ン の場 合
は 尿所 見 に も腎 の組 織 学 的 検 査 に於 て も著 明 な
変 化 は認 め な か つ た が,ア
ドレナ リンの投 与 に
よつ て 尿蛋 白 の 陽性 と顕微 鏡 的血 尿 を来 し,組
織 学 的 に は 主 と して尿 細管 の変 性 を認 め た.ま
た 腎 神 経 の 遮 断 を行 う と糸 球 体,尿 細 管 に は著
明 な変 化 は な いが軽 度 の 罐血 性 の変 化 を認 め,
これ に対 して 自律 神 経遮 断剤 を投 与 した場 合 は
糸 球 体 の 一 部 に軽 度 の変 化 を見 る以 外 に著 明 な
影 響 は認 め られ な か つ た・ しか し1側 腎 神 経遮
仁平一所 謂特発性腎出血に関す る研究(第V篇)
断 家 兎 に 腎 毒 性 物 質 と し て 少 量 の 硝 酸 ウ ラ ン を 投 与 す る と,遮 断 側 の 腎 に 於 て は 糸 球 体 の 著 明 な 変 化 と尿 細 管 の 軽 度 の 変 性 を 認 め る が,無 処 置 側 に 於 て は これ 等 の 変 化 は 殆 ん ど な い か 或 は 非 常 に 軽 度 な も の で あ つ た.ま た シ ユ ワ ル ツ マ ン 湧 液 を 投 与 し た 場 合 は 遮 断 側 の 腎 に 糸 球 体, 尿 細 管 の変 化 に 加 え て 小 血 管 を 中 心 と し た 出 血 を 認 め た が,無 処 置 側 に 於 て は こ れ 等 の 変 化 が 非 常 に 軽 度 で あ つ た. ア ド レ ナ リ ン は 交 感 神 経 末 梢 の 刺 戟 興 奮 作 用 を 有 し,腎 に 対 して は 血 管 収 縮 を 来 し て 腎 流 血 量 を 減 少 せ し め る.菱 本(1957)は 実 験 的 に ウ レ タ ン麻 酔 下 の 犬 に ア ド レ ナ リ ン の 少 量 を 投 与 す る と,腎 容 積 は 血 圧 の 上 昇 と と も に 増 大 し 下 降 と と も に 旧 に 復 す る が 後 再 び増 大 し て 経 過 し,大 量 投 与 時 に は 血 圧 は 急 激 に 上 昇 し て 間 も な く下 降 し始 め,途 中 一 過 性 の 上 昇 を み る が 漸 次 下 降 し,腎 容 積 は 一 過 性 の 減 少 の 後 増 大 し て 経 過 し,い ず れ の 場 合 も 尿 量 は 著 明 に 減 少 す る と 述 べ て い る.か くの 如 くア ド レ ナ リン の 投 与 に よ り腎 流 血 量 の 減 少 に も か か わ ら ず 腎 容 積 の 増 大 を 来 す と い う 一 見 奇 異 な 現 象 は 既 に RichardsandPlantに よ つ て 認 め ら れ て い る が,Smith(1956)は ク リア ラ ン ス 試 験 に よ り 次 の 如 く説 明 し て い る.即 ち ア ド レ ナ リ ン の 投 与 で 収 縮 を 来 し た 血 管 の 抵 抗 に よ りRPFは40 ∼50%に 減 少 す るが,こ の 場 合静 脈 系 の 抵 抗 が 動 脈 系 の そ れ よ り も強 い た め に 血 液 は 尿 細 管 周 囲 の 毛 細 血 管 に 欝 帯 し,血 管 収 縮 と腎 流 血 量 の 減 少 に も か か わ ら ず 腎 容 積 の 増 大 を 来 す と い う.著 者 は 家 兎 に ア ド レ ナ リン を 長 期 間 反 復 投 与 し て 顕 微 鏡 的 血 尿 の 発 生 と組 織 学 的 に は 尿 細 管 の 変 性 を 認 め た が,こ れ は 腎 流 血 量 の 減 少 と と も に 尿 細 管 周 囲 に 於 け る 欝 血 と い う変 化 が く り返 さ れ た た め に 生 じ た も の と考 え られ る.齊 藤(1929)は ア ド レ ナ リン,ピ ロ カ ル ピ ン,ア ドロ ピ ン等 の 植 物 神 経 毒 に よ り,腎 の 血 管 系 に 変 化 が 現 れ る が 腎 実 質 に 及 ぼ す 影 響 は 少 い と し て い る が,こ れ 等 を 長 期 間 反 復 投 与 す る と,特 に ア ド レ ナ リン の 場 合 は 尿 細 管 に 著 明 な 変 化 の 現 れ る こ と を 認 め た.Wachsmuth(1953)は 家 兎 に 実 験 的 に 交 感 神 経 刺 戟 と し てPervitin, 29 副 交 感 神 経 刺 戟 と し てAcetylcholin,そ の 他 Strychinin,Histami11,Buscopan,Aktamin 等 を 投 与 し,Pervitin,Acetylcholin,Hista-min等 の 適 当 量 の 場 合 に 腸 管 系 或 は 腎 孟 等 の 粘 膜 に 充 血,時 に 出 血 等 を 認 め,所 謂 特 発 性 腎 出 血 の 本 態 を 血 管 神 経 性 出 血 に 求 め て い る.自 律 神 経 系 の 異 常 に よ つ て 腎 血 流 障 碍 を 来 し,高 度 の 場 合 は 出 血 を 起 す が 軽 度 で あ つ て も この 状 態 が 度 汝 く り返 さ れ る と或 る程 度 の 組 織 学 的 変 化 を 招 く こ と が 予 想 さ れ る. 腎 神 経 遮 断 の 腎 に 対 す る影 響 に つ い て は Bernard(1859)が 内 臓 神 経 切 断 が 尿 排 泄 を 増 加 せ し め る こ と を 発 表 し て 以 来 多 く の 実 験 的 研 究 が 報 告 され,ま た 尿 分 泌 神 経 の 存 在 に つ い て も 幾 多 の 論 争 が 行 わ れ た.CarrelandGuthrie (1906)は 犬 に於 て 腎 移 殖 に よ り完 全 な 腎 神 経 の 切 断 を 行 つ て も 正 常 の 機 能 を 営 む こ と を 認 め,Lobenhoffer(1913),Dederer(1918), Ibuka(1926),Holloway(1926)等 も こ れ を 追 試 し て 同 様 の こ と を 確 か め,組 織 学 的 に 異 常 を 認 め ず 利 尿 剤 に 対 し て も 正 常 に 反 応 す る と述 べ て い る.ま たDeGironcoli(1929)は 腎 神 経 遮 断 に よつ て 腎 に 組 織 学 的 変 化 を 来 さ な い こ と を 認 め,McCaughan(1932)は 腎 孟 内 圧 の 著 明 な 上 昇 は 認 め られ な い と し,Hinman (1935)は 内 臓 神 経 切 断 に よ つ て 水 腎 症 を 来 す こ と は な い と述 べ て い る.Rhoadsetal.(1934) は ク リア ラ ン ス 試 験 よ り腎 神 経 の 麻 酔 或 は 切 断 は 腎 血 流 に 永 続 的 な 影 響 を 与 え な い と し て い る.か くの 如 く腎 神 経 遮 断 は 腎 或 は 腎 孟 の 機 能,腎 血 流 等 に 対 し て 殆 ん ど 影 響 は な い と され て い る が,反 対 の 立 場 を と る も の 特 に 腎 血 流 に 対 し て は 何 等 か の 影 響 が あ る と す る意 見 も 少 く は な い.Quinby(1916),Caldwe11,Marxand Rowntree(1931)等 は 神 経 遮 断 後 数 週 間 か ら 数 ヵ 月 に わ た つ て 腎 機 能 充 進 が 認 め ら れ る と報 告 し,Milles,MullerandPetersen(1931) は レ線 学 的 に 神 経 遮 断 腎 に は 慢 性 の 血 管 拡 張 を 認 め て い る.ま たFabreandDambrin(1933) は 糸 球 体 毛 細 血 管 の 拡 張 を 認 め,尿 細 管 上 皮 に は 異 常 な く利 尿 剤 に 対 す る 反 応 に は 変 化 は な か つ た と述 べ て い る.こ の よ う な 腎 神 経 遮 断 に ょ30
仁平一所謂特発性腎出血に関す る研究(第V篇)
つ て 来 す 血 管 の 拡 張 は,著 者 の 実 験 に 於 て は 特 に 皮 髄 境 界 部 の 小 血 管 に 著 明 で 欝 血 性 の 変 化 を 示 し た が,糸 球 体 及 び 尿 細 管 に は 著 明 な 変 化 は 認 め ら れ な か つ た.腎 神 経 遮 断 を 行 う と ア ド レ ナ リ ン に 対 す る 感 受 性 が 充 進 す る と い う報 告 が あ る が,著 者 の 実 験 に 於 て は ア ド レ ナ リン 或 は ピ ロ カ ル ピ ンの 投 与 で 著 明 な 変 化 は 認 め られ な か つ た. Jungmann(1926)は1側 腎 神 経 遮 断 或 は 内 臓 神 経 切 断 家 兎 に 対 し て 少 量 の 腎 毒 性 物 質 即 ち 硝 酸 ウ ラ ン.カ ン ク リジ ン.昇 禾 等 を 投 与 す る と,無 処 置 側 は 殆 ん ど変 化 が な い の に 対 し て 神 経 遮 断 側 に は 著 明 な 変 化 を 来 す と述 べ て い る. Milles,MullerandPetersen(1931)も 同 様 の 結 果 を 認 め て,正 常 腎 が 障 碍 を 受 け な い の は 血 管 収 縮 作 用 を 有 す る た め で あ る と し て い る. 著 者 は これ を 追 試 し て,無 処 置 側 が 殆 ん ど障 碍 を 受 け な い 程 度 の 少 量 の 硝 酸 ウ ラ ン の 投 与 に よ つ て神 経 遮 断 側 に 著 明 な 変 化 を 来 す こ と を 認 め,こ れ は 既 に 存 在 し た 腎 血 流 障 碍 に よ つ て 障 碍 を 受 け や す い も の と 考 え る の で あ る.Mak-ino(1937)は 同 様 に 腎 毒 性 物 質 の 投 与 に よ つ て 神 経 遮 断 側 の 機 能 が 早 期 に 障 碍 さ れ る こ と を 認 め,毒 物 が 少 量 の 場 合 は 無 処 置 側 よ り機 能 回 復 が 早 い と し,こ の 理 由 と し て 神 経 遮 断 に よ る 腎 血 液 循 環 の 充 進 を あ げ て い る. MillesandHardgrove(1935)は 犬 に 大 腸 菌,Pitressin或 は 両 者 を く りか え し て 注 射 す る と 神 経 遮 断 腎 に 軽 度 の 炎 症 性 変 化 或 は 変 性 を 来 す こ と を 認 め,こ れ は 神 経 支 配 の 遮 断 に よ つ て生 じ た 血 管 拡 張 と 欝 血 に よ り組 織 の 抵 抗 性 が 低 下 し た 為 と 考 え て い る.著 者 は シ ユ ワ ル ツ マ ン現 象 に 於 け る血 管 障 碍 に 注 目 し て 更 に 実 験 を 行 つ た.周 知 の 如 くシ ユ ワ ル ツ マ ン現 象 は シ ユ ワ ル ツ マ ン活 性 物 質 の 準 備 注 射 と惹 起 注 射 の 両 者 か ら 成 り立 つ て い る も の で,Schwartzman (1928)が 細 菌 游 液 を 使 用 し て 家 兎 の 皮 膚 に 生 ぜ し め た 変 化 に 由来 す る も の で あ る.そ の 後 皮 膚 の み な らず 種 々 の 臓 器 に於 て も 惹 起 せ し め ら れ る こ とが 知 ら れ,肺(Schwartzma11),胃 (Karsner,EckerandJackson),淋 巴結 節 (Koplik),限(Sanders),腔(津 田,砂 田 他) 等 に 於 け る 報 告 が あ る.腎 に 於 て はBoone (1937),MoritzandWeir(1937),大 内,四 ツ 柳(1941)等 の 報 告 が あ る が.準 備 注 射 に は 腎 動 脈 に 或 は 直 接 腎 実 質 内 に 注 射 す る等 か な りの 困 難 が あ る.し か し血 管 に 富 む 悪 性 腫 瘍,或 は 極 め て 若 い 肉 芽 組 織 等 の 如 く予 め 何 等 か の 組 織 変 調 の あ る 個 所 で は,準 備 注 射 な し に シ ユ ワ ル ツ マ ン 湧 液 の 静 脈 内 注 射 の み で シ ユ ワ ル ツ マ ン 現 象 の 起 る こ とが 知 ら れ て い る.柴 田(1955) は 腎 に 組 織 変 調 を 予 め 惹 起 す る 手 段 と し て, Goldblatt法 に 準 じ て 家 兎 の 腎 動 脈 に 中等 度 の 狭 窄 を 起 さ し め,し か る 後 シ ユ ワ ル ツ マ ン 炉 液 の 静 注 を 行 う と糸 球 体 腎 炎 の 起 る こ と を 報 告 し て い る.著 者 は1側 腎 神 経 遮 断 家 兎 に シ ユ ワ ル ツ マ ン 源 液 を 静 注 す る と,神 経 遮 断 側 に 於 て 糸 球 体 の 変 化 の み な ら ず 小 血 管 を 中 心 と し た 出 血 を 認 め,無 処 置 側 に 比 し て こ の 変 化 が 甚 だ 著 明 で あ る こ と を 認 め た.Apitz(1934)は 家 兎 に 於 て 準 備 注 射 な し に 大 腸 菌 瀕 液 の 静 注 を 数 回 反 復 す る こ と に よ つ て 心,肺,肝 等 に 浮 腫,出 血,壊 死,脂 肪 変 性 等 を 来 し,腎 に 於 て は 皮 質 壊 死,巣 状 糸 球 体 尿 細 管 変 性,梗 塞 等 を 認 め て い る.著 者 の 実 験 に 於 て は こ の よ う な 高 度 の 変 化 は 見 られ な か つ た が,無 処 置 側 に 比 較 す る と 神 経 遮 断 側 に 於 け る 変 化 は か な り 著 明 で あ つ て,神 経 遮 断 に よ る 血 流 障 碍 が か か る 差 異 を 来 す 原 因 で あ る と 考 え る. 腎 の 支 配 神 経 異 常 に よ る 腎 血 流 の 変 化 に つ い て は,Truetaeta1.(1947)が レ線 学 的 に 腎 の 循 環 系 が 局 所 及 び 中 枢 刺 戟 に よ つ て 神 経 反 射 的 に 如 何 な る 反 応 を 示 す か を 研 究 し,坐 骨 神 経 又 は 内 臓 神 経 に 電 気 的 刺 戟 を 与 え る と腎 内 の 血 液 循 環 に 著 明 な 変 化 即 ちrenalvascular shuntが 起 り得 る こ と を 発 表 し て 以 来 多 く の 研 究 が 行 わ れ て い る.Sheehan(1950)は 腎 神 経 に 電 気 的 に 短 時 聞 の 刺 戟 を 断 続 し て 続 け る と 腎 血 行 障 碍 を 来 す こ と を 認 め て,入 の 腎 血 管 攣 縮 に よ る 腎 障 碍 発 生 の 有 力 な 根 拠 と し,Daniel etal.(1951,1952)は レ線 に よ る 腎 血 管 撮 影 法 に よ つ て 血 管 攣 縮 を 一 層 確 実 に 証 明 し た. Sarreu.Moellch(1951)は 腹 腔 神 経 節 を 刺 戟 す る こ と に よ つ て 腎 に 下 部 尿 管 ネ フ ロ ー ゼ 様仁平一所謂特発性腎出血に関す る研究(第V篇)
の 変 化 が 生 じ る こ と を 実 験 的 に 証 明 し て い る が,か か る病 変 は 小 動 脈 の 反復 攣 縮 に よ る 組 織 の 酸 素 歓 乏 と 毛 細 管 透 過 性 の 変 化 に よ つ て 招 来 さ れ る こ と が 考 え られ る.Franklin(1952)は 実 験 的 に 子 宮,膀 胱,小 腸 等 の 壁 を 伸 展 す る と 腎 の 血 液 循 環 に 著 明 な 変 化 を 来 す こ と を 認 め, か か る 壁 伸 展 に よ る 反 応 は 神 経 反 射 と 副 腎 の ア ド レ ナ リ ン分 泌 と の2因 子 に よ る も の と し て い る. Griessmamu.Eufinger(1952)は 家 兎 の 腎 表 面 或 は 腎 茎 部 を 食 塩 水 叉 はperiosto■ 液 を 以 て 浸 し て,種 々 の 程 度 の 血 尿 の 発 生 と 腎 に 組 織 学 的 変 化 を 来 す こ と を 認 め,原 田,岡 本 (1957)は こ れ を 追 試 し て これ 等 の 変 化 は Reilly現 象 に よ つ て 説 明 出 来 る と 述 べ て い る. Reilly(1954)は 家 兎 の 頸 静 脈 で 上 下2ヵ 所 を 結 紮 し て 静 脈 部 屋 を 作 り,そ の 壁 に 感 応 電 流 を 通 じ て血 管 性 知 覚 線 維 の 刺 戟 状 態 を 生 ぜ し め る と腎 血 管 収 縮,つ い で 蛋 白 尿,血 尿 を 来 す こ と を 認 め た.そ し て 種 々 の 器 官 に 作 用 す る 刺 戟 に よつ て 全 身 的 或 は 局 所 的 に,し ば し ば 恢 復 出 来 な い血 管 運 動 異 常 を 来 す 現 象 に 対 し て 自 律 神 経 刺 戟 擾 乱 症 候 群Syndromed'irritatioll meur(>v696tativeの 名 の 下 に 総 称 し て い る. ま たThele■andWiegers(1955)は 尿 管 内 に カ テ ー テ ル を 留 置 す る 際 に し ば し ば 血 尿 が 現 れ る こ と を 指 摘 し,こ の 血 尿 は 尿 管 の 機 械 的 傷 害 に よ ら な くて も カ テ ー テ ル の 刺 戟 が 反 射 的 に 腎 髄 質 や 乳 頭 部 に 循 環 障 碍 を 起 す こ と に よ つ て 生 じ 得 る と 説 明 し,こ れ を 家 兎 に 於 て 実 験 的 に 証 明 し て い る.そ し て 所 謂 特 発 性 腎 出 血 に て 摘 除 さ れ た 腎 に し ば しば 認 め ら れ る 硬 化 性 の 変 化 は,こ の よ う な 循 環 障 碍 に 於 け る 浮 腫,淋 巴 鯵 帯 等 が く り 返 され る こ と に よ つ て 起 る の で は な い か と述 べ て い る. 所 謂 特 発 性 腎 出 血 に 於 て は 種 々 の 病 変 に よ つ て 出 血 が 起 るが,臨 床 的 に は か か る 変 化 を把 握 す る こ と が 出 来 な い が 故 に 一 括 し て か く呼 ば れ て い る の で あ つ て,本 症 の 本 態 は 決 し て 一 元 的 な も の で な い こ と は 既 に 第 皿篇 に 於 て 述 べ た と こ ろ で あ る.こ れ 等 の 原 因 の 中 で 自 律 神 経 系 の 異 常 に よ る 腎 血 流 障 碍 に つ い て はKlemperer 31以来 種 女 の説 が あ るが,最 近 に於 ては 前 述 の如
く血 尿 の発 生 が 自律 神経 系 の異 常 と密接 な関係
の あ る こ とを認 め た症 例 が報 告 され,ま た 両 者
の 関連 を実 験 的 に証 明せ ん とす る試 み が 発 表 さ
れ て いる.著 者 も この 点 に 関 す る臨 床 的 並 びに
実 験 的 研究 に於 て,か か る機 転 に よる腎 出血 が
存在 す る とい う考 えに 賛 成 す る もの で あ る.所
謂特 発性 腎 出血 の 本 態 に つ
いてIsrael,Kret-schmer等
に 始 ま る腎 実 質 内 の 限 局性 炎 症 説,
G㎞ther等
の主 張 す る腎孟 の慢 性 炎 症 説,そ
の他 種 丸 の小 病 変 等 の 如 き器質 的変 化 のみ な ら
ず,機 能 的変 化 に起 因 す る腎 血流 障 碍 と い う面
か らみ なお され る可 能 性 が 強 くな つ て来 て い る
と考 え る.
V結
語
1)所
謂特 発性 腎 出血28例 に 自律 神経 系 の薬
理 学 的 検 査 を行 つ て26例 に不 安定 徴 候 を認 め,
これ等 に 治療 と して 自律 神 経遮 断 剤等 を投 与 し
て止 血5例,血
尿 の程 度 著 明 に 減 少3例,軽
度
減 少4例 の結 果 を 得 た 。
2)以
上 の 検査 並 び に治療 に 際 して,少 数 例
では あ るが血 尿 の発 生 が 自律 神 経 系 の異 常 と密
接 な関係 に あ る と老 え られ る もの を認 め た.
3)実
験 的 に家 兎 に 自律 神 経刺 戟 剤 を長 期 間
反復投 与 す る と,ピ ロ カ ル ピ ンの場 合 は著 明 な
変 化 は な いが,ア
ドレナ リンの投 与 に よつ て蛋
白尿,顕 微鏡 的血 尿 等 を来 し,組 織学 的 に は尿
細 管 変 性 を主 と した変 化 を認 め た.
4)腎
神 経遮 断 に よつ て腎 血 管 の拡 張,醗 血
等 を認 め,か か る1側 腎 神 経 遮 断 家 兎 に ア ドレ
ナ リン或 は ピ ロカ ル ピ ンを 反復投 与 し た 場 合
は,糸 球 体 の一 部 に軽 度 の変 化 を見 る以 外 に著
明 な影 響 を認 め なか つ た.
5)1側
腎 神 経 遮 断 家 兎 に 少量 の硝 酸 ウ ラ ン
或 は シユ ワル ツ マ ン酒 液 を投 与 す る と,遮 断 側
の腎 に於 て は糸 球 体,尿 細 管等 の 変 化 が著 明 に
現 れ,シ ユ ワル ツ マ ン瀕 液 の場 合 は これ等 の変
化 に 加 え て 小 血管 を 中心 と した 出血 を認 め た
が,無 処 置側 に於 て は以 上 の 変 化 が殆 ん ど認 め
られ な いか或 は非 常 に軽 度 な もの で あ っ た.こ
れ は腎 神 経遮 断 に よつ て生 じた 腎 血流 障 碍 の た
32 め に 遮 断 側 が 障 碍 を 受 け 易 い も の と考 え る. 6)所 謂 特 発 性 腎 出 血 の 本 態 に 関 し て,出 血 の 原 因 と し て 種 ・々の 器 質 的 病 変 の み な ら ず 自 律 神 経 系 の 異 常 に よ る 腎 血 流 障 碍,或 は こ れ に続 発 し た 病 変 が 存 在 す る 可 能 性 の あ る こ と を 示 唆 し た. 稿 を終 るに臨 み終 始 御指 導 を頂 き御 校 閲を 賜 っ た恩 師 稲 田教 授 に謹 んで 感 謝 の意 を 表 します. (本論 文 の 一部 は 昭 和32年11月3日,第8回 日本泌 尿 器 科学 会中 部連 合 地方 会に於 て発 表 した) 仁 平 一所 謂 特 発 性腎 出血vceeす る 研究(第V篇) 文 献 1)阿 部:日 泌 尿 会 誌,44:378,1953. 2)Abeshouse,B.S.:Am.J.Surg.,25;427, 1934;Uro1.&Cutan.Rev.,55:451,1951. 3)Abeshouse,B.S.andTankin,L.H.J. Uro1.,76330,1956. 4)Adams,A.W.Surg.Gynec.&Obst., 105:169,1957. 5)d'Agata,G.:Z.urol.Chir,,8=430,1922. 6)Alken,C.F.u.Kluender,R.H.:Z. Uro1.,45;665,1952. 7)Anderson,W.A.D.andMcDonald,J. R.:Surg.Gynec.&Obst.,82:275,1946. 8)Anderson,J.B.,Lee,J.J.,Hancock,B. A.andBlack,S.R.J.Uro1.,7e867, 1953. 9)Apitz,K.:VirchowsArch.,293=1,1934. 10)新 井:日 泌 尿 会 誌,19:545,588,607,1930. 11)Armstrong,C.P.,Harlin,H.C.andFort, C.A。J.Uro1.,63:208,1950. 12)Ash,J.E.andFriedman,N.Citedby AbeshouseandTankin,J.Urol.,76: 330,1956. 13)Banowitch,M.M.,Polayes,S.H.and Charet,R.=Ann.Int.Med.,161149 , 1942. 14)Barnetson,J,:Brit.J.Uro1.,1990, 1947. 15)Beatty,R.P.:Z.uro1.Chir.,28:238 , 1929. 16)Begner,J.A.J.Urol.,73=720 ,1955. 17)亀 甲.皮 と 泌,13:325,1953。 18)Bell,E.T。J。Uro1.,39238 ,1938. 19)Bird,C.E.andMoise,T.S.:J.A.M・A・ ・ 86661,1926. 20)Birdsa11,J.C.J.Uro1,,35;135,1936・ 21)Blatt,P.Z.uro1.Chir.,40;23,1935・ 22)Blum,V.=Wien.med.Wschr.,62=1269, 1912;Ibid,,Nr.13,1914;Z。urQLChir., 17:169,1925;Ibid,,24405,1930, 23)Bobbitt,R,M,Ho任man,C・H・and Werthammer,S.J.Urol。,52288, 1944. 24)Boone,J.A.Proc.S㏄.Exper.Bio1.& Med.,36=468,1937. 25)Borsotti,P.C.Z.uro1.Chir.,43:314, 1937. 26)Boyd,L.J.Bull.N.Y.Med.Coll.,4: 27,176,1941(CitedbyWomackand Mathews,J.Uro1.,59=733,1948). 27)Boyd,W.;SurgicalPathology,W.A. SaundersCo.,Philadelphia,1943(Cited bySporerandPQllack,J,Urol,,58:524, 1947). 28)Braasch,W.F.J.A.M.A.,61=936, 1913。 29)Braasch,W.F.andEmett,J。L.=Clini-calUrography,W.B.SaundersCo., Philadelphia,1955. 30)Braasch,W.F.andGoyanna,R.J. Uro1.,531,1945. 31)Briggs,W.T。andMaxwell,E.S.lJ. Urol.,161,1926, 32)Bumpus,H.C.=J.A.M.A.,90593, 1928. 33)Burns,J.E.andSwartz,E.0.J. UroL,2=445,1918. 34)Cabot,H.J.A.M.A。,79:1302,1922. 35)Cahill,G.F.J.UrQL,47:224,1942. 36)Caldwe11,J.M.Jr.,Marx,H.andRown-tree,LG.J.Urol.,25=351,1931 . 37)Campbe11,J.L:J..Uro1.,62=80,1949. 38)CantinieauxetLeClere-DandoyZ. uro1.Chir.,4439,1939. 39)Carre11,A.andGuthrie,C.C.:Science, 23:394,1906. 40)Casper,L:Z・urol・Chir・,22=273,1927 . 41)Chiaudano・C・Zurol・Chir.,23283 , 1927;Ibid.,31;160,1931.
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