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上智大学理工学部物理学科 大槻東巳

(2)

目 次

1 章 ベクトル解析の基礎 3 1.1 内積・外積 . . . . 3 1.2 偏微分 . . . . 5 1.3 全微分 . . . . 6 1.4 ナブラ記号 . . . . 6 1.5 ガウス (Gauss) の定理 . . . . 7 1.5.1 ガウスの定理の系 . . . . 8 1.5.2 グリーン (Green) の定理 . . . . 9 1.6 ストークス (Stokes) の定理 . . . . 9 第2 章 静電場と静電ポテンシャル 11 2.1 クーロンの法則 . . . . 11 2.2 静電ポテンシャル . . . . 12 2.3 連続的な分布 . . . . 13 2.4 円柱座標と極座標における勾配 . . . . 14 2.4.1 円柱座標 . . . . 15 2.4.2 極座標 . . . . 15 2.4.3 一様に帯電した無限大の平面が作る電場 . . . . 16 2.4.4 一様に帯電した線が作る電場 . . . . 17 第3 章 ガウスの法則 19 3.1 立体角 . . . . 19 3.2 ガウスの法則 . . . . 19 3.2.1 例 1:一様な直線電荷の作る電場 . . . . 20 3.2.2 例 2:電荷密度が一様な球の作る電場 . . . . 21 3.3 アーンショー (Earnshaw) の定理 . . . . 21 3.4 導体とガウスの定理 . . . . 22 3.5 静電エネルギー . . . . 22

(3)

4 章 境界値問題 26 4.1 解の一意性 . . . . 26 4.1.1 空洞をもつ導体 . . . . 27 4.2 映像電荷 . . . . 27 4.3 電気容量 . . . . 29 4.4 ラプラス方程式 . . . . 32 4.4.1 無限に広い金属板 . . . . 34 4.4.2 円柱対称 . . . . 34 4.4.3 球対称 . . . . 34 4.5 より一般的なラプラス方程式の解(以降の節は電磁気学Iで再び扱うのでと ばす。) . . . . 35 4.5.1 フーリエ展開 . . . . 35 4.5.2 導体平面内部のポテンシャル . . . . 37 4.6 ルジャンドル展開 . . . . 39 4.6.1 一様な電場中の金属球 . . . . 41 第5 章 電気双極子と誘電体 43 5.1 電気双極子ポテンシャル . . . . 43 5.2 電気双極子による電場 . . . . 45 5.3 誘電体 . . . . 46 5.4 誘電体中のガウスの法則 . . . . 47 5.4.1 一様な電場中の誘電体球(以降の節は電磁気学Iで再び扱うのでとば す。) . . . . 48 第6 章 電流と磁場 50 6.1 連続の式 . . . . 50 6.2 オームの法則 . . . . 51 6.3 キルヒホッフの法則 . . . . 51 6.4 ローレンツ力 . . . . 52 6.5 ビオ-サバールの法則 . . . . 52 6.6 アンペールの法則 . . . . 53 6.6.1 ソレノイド . . . . 54 6.7 ベクトルポテンシャル . . . . 56 6.8 円電流の磁気モーメント . . . . 56 6.9 磁性体 . . . . 58 6.9.1 境界条件 . . . . 58 6.9.2 磁場と電場の対応 . . . . 59

(4)

7 章 時間変化する電磁場 60 7.1 ファラデーの電磁誘導の法則 . . . . 60 7.2 変位電流 . . . . 61 7.3 自己誘導と相互誘導 . . . . 62 7.4 磁場のエネルギー . . . . 63 7.5 複数の回路 . . . . 65 第8 章 マクスウェルの方程式と電磁波 68 8.1 ゲージ変換 . . . . 69 8.2 電磁波 . . . . 70 8.2.1 1次元方向に進む波 . . . . 71 8.3 一般的な平面波 . . . . 72 8.4 反射と屈折の法則 . . . . 73 8.5 ポインティングベクトル . . . . 74 第9 章 まとめと公式集 76 9.1 第 1 章: ベクトル解析の基礎 . . . . 76 9.2 第 2 章: 静電場と静電ポテンシャル . . . . 78 9.3 第 3 章: ガウスの法則 . . . . 79 9.4 第 4 章: 境界値問題 . . . . 80 9.5 第 5 章: 電気双極子と誘電体 . . . . 82 9.6 第 6 章: 電流と磁場 . . . . 83 9.7 第 7 章: 時間変化する電磁場 . . . . 86 9.8 第 8 章: マクスウェルの方程式と電磁波 . . . . 87 付 録A 付録:単位系について 88 付 録B 試験問題と解答 91

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はじめに

自然界に存在する力は四つある。重力、電磁気力、弱い力、強い力である。重力に ついては基礎物理コース I で習っているので説明は要らないであろう。重力はマクロな 天体の運動や物体の落下現象を説明する。 強い力は原子核の中のような 10−15m程度の世界で重要となる力で、もちろんこれが なければ原子核は存在しないのであるが、その効果は原子核が存在するということを なぜと思わなければ、多くの物理現象を理解するのには必要はない。弱い力はベータ 崩壊など、ミクロの世界で起こる特異な現象を説明するのにもちだされる。 電磁気学はこのミクロとマクロ、両方の世界できわめて重要である。いうなればミ クロな世界、マクロの世界を理解するうえで電磁気学は欠かせないのである。たとえば 身近な化学現象を考えてみよう。これは重力がかかわってくるか?No である。スペー スシャトルの映像を見てもわかるように,人間は無重力でも基本的には同じ食べ物を たべて同じ生活している。弱い力、強い力は化学現象がおこる舞台が 10−10m程度から なので無視してよい。よって、日常の化学現象はすべて電磁気力が支配しているので ある。机にノートがのっているとき、力が机からノートに働いている。でないと机に もぐってしまう。ではこのような抗力はなんだろう?これも電磁気力なのである。こ のように電磁気力はいたるところに現れるのである。理由は簡単。素電荷に働くクー ロン力のほうがたとえば陽子間の重力に比べて桁違いに大きいから。ただ、重力はい つでも足しあわせなのに、電磁気力はプラスとマイナスの電荷があるんで打消しが起 こってしまうことがある。こういう状況では重力が主な力の原因となる。 力学の理論は Newton ほとんど一人によって発展していったのに比べて、電磁気学 はクーロン (Coulomb)、アンペール(Ampere)、ガウス (Gauss)、キャベンディッシュ (Cavendish)、ファラデー (Faraday) らの複数の物理学者によって完成させられていっ た。最終的にマクスウェル(Maxwell)は電磁場は以下の微分方程式に従うことを発見 した。   divD = ρ divB = 0 rotE = −∂B ∂t rotH = J + ∂D ∂t   この方程式で電磁場が決まり、その電磁場中の荷電粒子は   F (r, t) = q[E(r, t) + v × B(r, t)]  

(6)

というローレンツ (Lorentz) 力に従って運動することを理解することで物理現象の理解 が驚くほど深まる。 参考書として以下の著書を挙げる。 書名 著者 出版社 電磁気学 I,II −新しい視点にたって V.D. バーガー, M.G. オルソン 培風館 一般物理学 (下) 太田信義 丸善 電磁気学 砂川重信 岩波 電磁気学演習 砂川重信 岩波 理論電磁気学 砂川重信 岩波 最後のはより進んだ内容を含んでいるので,この授業が終わってから読むとよい。

(7)

1

章 ベクトル解析の基礎

本章では今後、物理を学ぶ上で必要な数学を学ぼう。

1.1

内積・外積

まず内積は以下のように定義される。 a · b = n  i=1 aibi =|a| |b| cos θ (1.1) θは a,b のなす角度である。線形代数学(数学)でやるようにこれは一般の次元で定義 されるが、物理の場合は 2,3 次元の応用が主である。この値はスカラー (scalar) で座標 の回転しても不変である。 つぎに外積を考えよう。これは三次元ベクトル (vector) で定義される。 a = (a1, a2, a3) b = (b1, b2, b3) a × b = (a2b3− a3b2, a3b1− a1b3, a1b2− a2b1) (1.2) 向き:aからbの方向へ右ねじをまわしたときに進む方向 大きさ:|a||b| sin θ θ:a,b のなす角 この成分表示が、a, b と垂直であることは、 (a × b, a) = (a × b, b) = 0 であることからわかる。また大きさが|a||b| sin θ となるのは、 |a × b|2+|(a, b)|2 =|a|2|b|2 から示される。 内積の表式のより難しい説明 球座標をつかうと

(8)

x

y

z

θ

φ

a

となる。これより、

axbx+ ayby+ azbz =|a||b|(cos θ1cos θ2+ sin θ1sin θ2cos(φ1− φ2))

となる。この cos θ1cos θ2+ sin θ1sin θ2cos(φ1− φ2)は余弦定理から cos θ となることが

わかる。 外積の性質は上の定義から次のようになる。 1. a × b = −b × a (1.3) 2. a × (b + c) = a × b + a × c (a + b) × c = a × c + b × c (1.4) 3. (ka) × b = k(a × b) = a × (kb) (1.5) 4. a × a = 0 (1.6) Problem 1.1 以下の式を成分表示で証明せよ。 a · (b × c) = b · (c × a) = c · (a × b) (1.7)

(9)

a × (b × c) = b(a · c) − c(a · b) (1.8) [(a × b) × c] · d = (a × b) · (c × d) (1.9) = (a · c)(b · d) − (a · d)(b · c) (1.10)

1.2

偏微分

今まで習ってきた関数は主に1変数関数であったと思う。しかし大学では多変数関 数を考えることが多い。例えば、山の高さは h(x, y) という緯度と経度の関数だし、川 の流れは (vx(x, y), vy(x, y))で表される。そこでこうした関数の微分を考える。 偏微分とは、ある変数に関して微分して、残りの関数は定数とみなすものである。2 変数の場合の定義は ∂f ∂x def = lim Δx→0 f (x + Δx, y)− f(x, y) Δx (1.11) である。ここで偏微分に関する重要な性質を証明しておく。 Theorem 1.1 2f ∂x∂y = 2f ∂y∂x (1.12) 証明 ) 2f ∂x∂y = ∂xΔy→0lim f (x, y + Δy)− f(x, y) Δy = lim Δx→0Δy→0lim 1 Δx  f (x + Δx, y + Δy)− f(x + Δx, y) Δy f (x, y + Δy)− f(x, y) Δy  = lim Δy→0Δx→0lim 1 Δy  f (x + Δx, y + Δy)− f(x, y + Δy) Δx f (x + Δx, y)− f(x, y) Δx  = 2f ∂y∂x

(10)

1.3

全微分

たとえば、x, y が時間の関数で同時に変化していたとする。このとき、関数 f (x, y) の変化は Δf = f (x + Δx, y + Δy)− f(x, y) = f (x + Δx, y + Δy)− f(x + Δx, y) + f(x + Δx, y) − f(x, y) = Δy ∂yf (x + Δx, y) + Δx ∂f (x, y) ∂x ≈ Δy∂f (x, y) ∂y + Δx ∂f (x, y) ∂x こうして、変化が無限小として df = ∂f ∂xdx + ∂f ∂ydy (1.13) をうる。逆に df = gdx + hdy (1.14) とかけていれば、(1.12) より ∂g ∂y = ∂h ∂x (1.15) となっていることが、df が全微分であるための条件となる。つまりある微分形がこの条 件を満たしていれば、x, y の値だけで決まる関数 f (x, y) が存在するということである。

1.4

ナブラ記号

これから議論するのは3次元空間での粒子の振る舞いであるので、偏微分 ∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z が頻繁に出てくる。しかもこれらは対称な形で出てくるので、いっぺんにまとめて書 いた方がよい。そこでベクトル、 def = ( ∂x, ∂y, ∂z) (1.16) を考える。たとえばこれが関数 f (x, y, z) に作用すると ∇f = ( ∂xf, ∂yf, ∂zf ) (1.17) となる。これは勾配 (gradient) を表しているので ∇f = gradf (1.18)

(11)

とも書く。 こんどはこれがベクトル v = (vx, vy, vz)に作用したとする。内積は a · b = axbx + ayby + azbzであったことを思い出して、 ∇ · v def = divv = ∂vx ∂x + ∂vy ∂y + ∂vz ∂z (1.19) と定義する。これを div と書くのは、流れのわき出し (divergence) に関係しているから である。 さて、内積が出てきたら次は外積である。これは a × b = (aybz− azby, azbx− axbz, axby − aybx) (1.20) で定義されていたことを思い出すと、 ∇ × v def = rotv = (∂vz ∂y ∂vy ∂z , ∂vx ∂z ∂vz ∂x, ∂vy ∂x ∂vx ∂y ) (1.21) なぜこれを rot と書くかというと、これは流れの回転 (rotation) に関係しているからで ある。

ここで grad と div と rot に関して重要な性質をあげておく。

rot(gradf ) =∇ × (∇f) ≡ 0 (1.22) div(rotv) = ∇ · (∇ × v) ≡ 0 (1.23) Problem 1.2 (1.22),(1.23) を証明せよ。 Problem 1.3 以下の恒等式を証明せよ。 ∇ × (∇ × v) = ∇(∇ · v) − ∇2v (1.24) ∇ · (v × u) = (∇ × v) · u − v · (∇ × u) (1.25)

1.5

ガウス

(Gauss)

の定理

ベクトル v を微小体積の立方体の面上で積分することを考える。このとき、v の面 に関して垂直な成分を積分するとすると、結局流れ出す量を計算したことになる。 x方向に垂直な面に対してこの積分をまず行おう。面は小さいとしてこの面上ではベ クトルの値は一定だとする。するとこの流量は [vx(x + Δx, y, z)− vx(x, y, z)]ΔyΔz≈ ∂vx ∂xΔxΔyΔz

(12)

となる。同様に y, z 方向の流量は ∂vy ∂y ΔxΔyΔz , ∂vz ∂z ΔxΔyΔz となるので、これらを合計すると、この立方体から流れ出す量は divvΔxΔyΔz となる。 こうした微小体積の立方体を組み合わせれば、結局任意の形状を作ることができる ので、結局以下の定理が導かれる。 Theorem 1.2 (ガウスの定理) 閉じた立体を考え、それに垂直で外側を向いた単位ベ クトル n(x, y, z) を考える。このとき  (v · n)dS =  dV divv (1.26) これは体積積分と面積積分を結びつける便利な定理であり、今後、特に電磁気学でよ く出てくる。

1.5.1

ガウスの定理の系

定数ベクトル c を使って,v → c × v と置き換えると ([c × v] · n)dS =  dV div(c × v) (1.27) となる。div(c × v) = −c · rotv なので  ([c × v] · n)dS = −  dV c · (rotv) (1.28) となる。 (c × v) · n = −(n × v) · c (1.29) なので,  dS(n × v) =  dV rotv (1.30) をうる。 また,v = cΦ とするとガウスの定理は (cΦ) · ndS =  dV div(cΦ) (1.31) となる。div(cΦ) = c · gradΦ,(cΦ) · n = c · Φn なので  gradΦdV =  ΦndS (1.32) をうる。これも一種のガウスの定理である。

(13)

1.5.2

グリーン

(Green)

の定理

ガウスの定理 (1.26) 式から以下の公式が導かれる。v = φ grad ψ とおいて div(φgradψ) = φ∇2ψ +∇ψ · ∇φ (1.33) を代入する。ここで ∇ψ · ndef = ∂ψ ∂n (1.34) という定義を用いると,  φ∂ψ ∂ndS =  dV (φ∇2ψ +∇ψ · ∇φ) (1.35) となる。これをグリーンの第一恒等式とよぶ。φ, ψ を入れ替えて,引き算を行うこと でグリーンの定理が導かれる。 Theorem 1.3   φ∂ψ ∂n − ψ ∂φ ∂n  dS =  dV (φ∇2ψ − ψ∇2φ) (1.36)

1.6

ストークス

(Stokes)

の定理

ガウスの定理は体積積分と表面積分を結びつける公式であった。ストークスの定理 は面積分を線積分に結びつける公式である。ある微小な長方形を左回りで一周した積 分を考える。このとき、  v · dr = vx(x + Δx/2, y, z)Δx + vy(x + Δx, y + Δy/2, z)Δy

+ vx(x + Δx/2, y + Δy, z)(−Δx) + vy(x, y + Δy/2, z)(−Δy)

≈ −Δx  ∂yvx  x +Δx 2 , y, z  Δy  + Δy  ∂xvy  x, y +Δy 2 , z  Δx  ≈ ΔxΔy  ∂vy ∂x ∂vx ∂y  = (∇ × v)zΔxΔy =  dSn · (∇ × v) これは x− y 平面にある長方形の周りについて証明したのだが、これを次々と適用すれ ば、任意の閉曲線に関してこれが成り立つことがわかる。さらにこの閉曲線が x− y 平 面になくても成立し、結局以下の定理が成り立つ。

(14)

Theorem 1.4 (ストークスの定理) 任意の閉曲線について、これに沿った方向の積分 を考える。この閉曲面に垂直な単位ベクトルを n とすると  v · dr =  rotv · ndS (1.37) が成立する。この閉曲面の選び方は任意である。 Problem 1.4 この閉曲面の選び方が任意であることを証明せよ。 Problem 1.5 (0,0),(2,0),(2,1),(0,1) を角に持つ長方形を考える。これについて v = (−y, x, 0) を積分して、ストークスの定理を確かめよ。

(15)

2

章 静電場と静電ポテンシャル

電荷の運動はローレンツ力を受けている質点を力学の法則で解析すればよい。である のでローレンツ力がわかれば前期で学んだ基礎物理コース I の知識で電荷の運動は理 解できる。問題はローレンツ力をどう求めるかである。ローレンツ力は F (r, t) = q[E(r, t) + v × B(r, t)] なので、とにかくある時空の一点 (r, t) での電場 E と磁場 B を求めればよい。本章で は一番簡単な(しかし応用範囲は非常に広い)時間に依存しない電場の求め方を学ぶ。 これは静電気学と呼ばれている。

2.1

クーロンの法則

Coulombは真空中に電荷 q, q1があるとき、これらの電荷に働く力が Fq = 1 0 qq1 R3 1 R1 = 1 0 qq1 R2 1 ˆ R1 Fq1 = 1 0 qq1 R3 1 R1 = 1 0 qq1 R2 1 ˆ R1 (2.1) であることを示した。Fqは q に働く力、Fq1は q1に働く力である。また、 R1 = r − r1, Rˆ1 = R1 R1 (2.2) である。 MKSA単位系では 0 = 8.854× 10−12C2/N· m2 (2.3) である。 Problem 2.1 1/4π 0 = 8.988× 109N· m2/C2 を確かめよ。これが高校時代に習った クーロン定数 k である。

(16)

q q

r

r 1 1 R 1

F

q q 1

F

O

このクーロン力は電荷 q1がつくる電場 E = 1 0 q1 R2 1 ˆ R1 (2.4) に電荷 q がおかれ、磁場がないときのローレンツ力 qE が働いているとも考えられる。 このように電磁気学では力を求める前に電場を求めておき、その電場に電荷をかけて 力を導く。力で見た場合、二つの電荷の間だけに電気力が存在しているような記述に なる。一方、電場を最初に求めると空間のあらゆる場所に電場が存在しており、たま たま電荷があったところに力が働くという記述になる。後者のような “場” による記述 が現代物理学の発展において重要な役割を果たした。 電荷がたくさんあった場合、電場は個々の電荷のつくる電場の重ね合わせとなる。 よって E = 1 0 q1 R2 1 ˆ R1+ 1 0 q2 R2 2 ˆ R2+· · · =  i 1 0 qi R2 i ˆ Ri (2.5) となる。これがクーロンの法則である。

2.2

静電ポテンシャル

では (2.5) を用いて簡単に電場は求められるのかというと、困難だといわざるを得な い。なぜかというとこの式はベクトルの足し算であるからである。もっとうまいやり 方はないだろうか? 力学の場合、力から仕事、運動エネルギー、位置エネルギーに移行して考えると非 常に簡単な記述が得られた。そこでここでも位置エネルギーにあたるものを導入しよ

(17)

う。クーロン力に逆らって仕事をすると位置エネルギーがたまる。この位置エネルギー を静電ポテンシャルと定義するのである。静電ポテンシャルは Φ(r) = i 1 0 qi Ri (2.6) で定義される。電場は E = −grad Φ(r) (2.7) となる。 Problem 2.2 (2.7) に (2.6) を代入してクーロンの法則を導け。

2.3

連続的な分布

電子は点電荷であり、その大きさは−1.602 × 10−19Cである。陽子の電荷は 1.602× 10−19Cであり、大きさは厳密に等しく符号が逆になっている。そういうわけで、電荷 の分布は厳密にはすべて離散的で、(2.5) が正しい。しかしながら実用上はこのような 和をとるわけには行かない。帯電した物質では電子の電荷は 10−10m間隔で分布してい るので、これらを遠く ( 10−10mのスケール) から見る限り、連続分布と思ってよい。 黒板の字を見てほしい。チョークの濃淡は連続的に変わっているように見えるが、目 を近づけてみれば粉のあるところとないところで、不連続に変わっているはずである。 このチョークの粉の間隔よりも十分離れてみればチョークの濃淡は連続的に変化して 見えるのと同じことを電荷の分布に利用するわけである。 連続的な電荷密度が与えられたときのポテンシャルを求める公式を導く。位置 riおける体積 ΔVi中の電荷が Δqiだとする。この場所の電荷密度は ρi = Δqi/ΔViである。 Φ(r) = 1 0  i Δqi |r − ri| = 1 0  i ρiΔVi |r − ri| (2.8) である。体積を無限小にもって行くことで(これは近似である) Φ(r) = 1 0  dq(r) |r − r| = 1 0  ρ(r)dV |r − r| (2.9) となる。ここで電荷密度を考えたが、表面電荷密度 dq(r) = σ(r)dS (2.10) や線電荷密度 dq(r) = λ(r)dr (2.11)

(18)

を考えるほうが便利な場合は、 Φ(r) = 1 0  dq(r) |r − r| = 1 0  σ(r)dS |r − r| (2.12) Φ(r) = 1 0  dq(r) |r − r| = 1 0  λ(r)dr |r − r| (2.13) を考えるとよい。 電場を求めるにはこれらの勾配を求めればよい (式 (2.7) を使う)。r − r = R とする と、電場は 1 R = ˆ R R2 (2.14) から、式 (2.7) と組み合わせて E(r) = 1 0  ˆ R R2ρ(r )dV (2.15) となる。 表面電荷密度が与えられている場合は E(r) = 1 0  ˆ R R2σ(r )dS, (2.16) 線電荷密度が与えられている場合は E(r) = 1 0  ˆ R R2λ(r )dr, (2.17) となる。ポテンシャルに比べて電場は,はるかに計算しづらい表式になっていること に注意せよ。 Problem 2.3  1 Rn  = n ˆR Rn+1 (2.18) を示せ。

2.4

円柱座標と極座標における勾配

電荷の分布が対称な場合、その対称性を保った方向での勾配を考えるのが便利であ る。デカルト座標ばかりで計算を行っていると、もとからあった対称性が見えなくな り見通しが悪くなるし、物理がわからなくなる。そこでポテンシャルに対称性がある 場合に便利な勾配の公式を導出しておく。

(19)

2.4.1

円柱座標

円柱座標とは x = r cos φ , y = r sin φ , z = z (2.19) というように (x, y, z) を (r, φ, z) の組であらわしたものである。このとき、方向は円柱 の軸に平行な方向を単位ベクトル ˆz、動径方向を単位ベクトル ˆr、動径方向と垂直な方 向を単位ベクトル ˆφ と定義する。デカルト座標で表したときのポテンシャルの微小変 化は dΦ = dr · ∇Φ (2.20) である。 dr = ˆrdr + ˆφrdφ + ˆzdz (2.21) であるので、 dΦ = (ˆr · ∇Φ)dr + ( ˆφ · ∇Φ)rdφ + (ˆz · ∇Φ)dz (2.22) となる。一方、dΦ を (r, φ, z) の関数とみなして偏微分すると、 dΦ = ∂Φ ∂rdr + ∂Φ ∂φdφ + ∂Φ ∂zdz (2.23) となる。これら二つの式が等しくなるためには ˆ r · ∇ = ∂r , ˆ φ · ∇ = 1 r ∂φ (2.24) となっている必要がある。よって ∇ = ˆr ∂r + ˆφ 1 r ∂φ+ ˆz ∂z (2.25) となる。

2.4.2

極座標

極座標とは

x = r sin θ cos φ , y = r sin θ sin φ , z = r cos θ (2.26)

というように (x, y, z) を (r, θ, φ) の組であらわしたものである。このとき、動径方向を 単位ベクトル ˆr で、動径方向と垂直な方向で θ にそって増大する方向を単位ベクトル ˆ θ と、ˆr, ˆθ と垂直な方向を ˆφ と定義する。 ˆ φ = ˆr × ˆθ (2.27)

(20)

である。 デカルト座標で表したときのポテンシャルの微小変化は dΦ = dr · ∇Φ (2.28) である。 dr = ˆrdr + ˆθrdθ + ˆφr sin θdφ (2.29) であるので、 dΦ = (ˆr · ∇Φ)dr + (ˆθ · ∇Φ)rdθ + ( ˆφ · ∇Φ)r sin θdφ (2.30) となる。一方、dΦ を (r, θ, φ) の関数とみなして偏微分すると、 dΦ = ∂Φ ∂rdr + ∂Φ ∂θdθ + ∂Φ ∂φdφ (2.31) となる。これら二つの式が等しくなるためには ˆ r · ∇ = ∂r , ˆ θ · ∇ = 1 r ∂θ, ˆφ · ∇ = 1 r sin θ ∂φ (2.32) となっている必要がある。よって ∇ = ˆr ∂r + ˆθ 1 r ∂θ+ ˆφ 1 r sin θ ∂φ (2.33) となる。 以後、これらの式の応用例を考える。

2.4.3

一様に帯電した無限大の平面が作る電場

一様な表面電荷密度 σ をもつ平面が作る電場を求めよう。電場を求めようとする位 置の真下に原点を取って、この垂線を z 軸にとる。このとき、ポテンシャルは (2.12) より Φ(r) = σ 0  dS |r − r| = σ 0  rdrdφ r2+ z2 (2.34) となる。φに関する積分は 2π がでてくるだけである。rに関する積分は 0 から Λ まで の積分だと思うと、  Λ 0 rdr r2+ z2 = r2+ z2Λ 0 =Λ2 + z2− |z| (2.35) となる。

(21)

Φは r, φ を含まないので (2.25) を使って円柱座標で勾配を求めると、z 成分だけしか 電場にはないことがわかる。Ezは、Λ を無限大にもっていき、 Ez = σ 2 0  ∂z Λ2+ z2−∂|z| ∂z  = ⎧ ⎪ ⎪ ⎪ ⎨ ⎪ ⎪ ⎪ ⎩ σ 2 0 z > 0 σ 2 0 z < 0 (2.36) である。∂√Λ2+ z2/∂z = z/Λ2+ z2なので Λ → ∞ で 0 になることをここでは使った。

2.4.4

一様に帯電した線が作る電場

次に一様な線面電荷密度 λ をもつ線が作る電場を求めよう。この帯電した線を z 軸 にとる。このとき、ポテンシャルは (2.13) より Φ(r) = λ 0  −∞ dz |r − r| = λ 0  0 dz r2+ z2 (2.37) となる。zに関する積分は発散してしまうので、その上限を Λ とおき、 z = r sinh θ , sinh Θ = Λ/r (2.38) とおく。こうすると、被積分関数の分母と分子が打ち消しあい、 Φ(r) = λ 0Θ (2.39) となる。Θ は Θ = ln(Λ +Λ2+ r2)− ln r (2.40) である。 Φは z, φ を含まないので (2.25) を使って円柱座標で勾配を求めると、ˆr 成分だけしか 電場にはないことがわかる。Erは、Λ を無限大にもっていき、 Er =−∂Φ ∂r = λ 0r (2.41) である。 Problem 2.4 線が −∞ から 0 までしか帯電していない場合のポテンシャルと電場を 求めよ。 Problem 2.5 これら二つの例をポテンシャルでなく電場でやってみよ。ポテンシャル と比べて格段に計算が面倒となる。しかし、発散の問題が出てこないという長所もある。

(22)

ポテンシャル、電場は電荷密度が与えられればそれがどのように複雑な形でもせい ぜい 3 重積分で求められる。そのため、コンピュータで数値積分を行えばクーロンの 法則で静電場は完全に決定できるのである。 Problem 2.6 水素原子内の電子と陽子の間に働く重力と電気力を求めて比較せよ。 陽子の質量 Mp = 1.7× 10−27kg, 電子の質量 me = 9.1× 10−31kg, 万有引力定数は G = 6.7× 10−11N· m2/kg2 である。

(23)

3

章 ガウスの法則

電荷 q の点電荷を考える。この周りの電場はクーロンの法則 (2.5) で簡単に計算できる。 この点電荷を中心とした半径 r の球を考えよう。この球面上の電場は q/4π 0r2なので、 球面積をかけると q/ 0となる。これは半径に依存しない。 では球面でない場合はどうだろう?これを説明する前に立体角という概念を説明する。

3.1

立体角

ある場所からものを眺めたとき、それがどれくらいの視野を占めるかを定量的にあ らわしたものが立体角である。この立体角に対応するのがラジアンである。ラジアン は円弧の長さで定義された。立体角は dω = cos θdS r2 (3.1) と定義される。dS は微小面積である。θ は面の法線ベクトルと視線の方向の角度をあ らわす。どんなに大きな面積でも見る方向に沿っておかれてはあまり視野を妨げない ことをあらわす。cos θ はどんなひねくれた方向を向いた面でも球面に射影することを 意味し、r2でわることは単位球に変換することを意味しているので立体角を積分する と 4π になる。これはどんな曲面でも閉じた曲面の中にある点の周りなら成り立つ。

3.2

ガウスの法則

点電荷の周りの任意の曲面を考え、その面での電場を考える。面と電場は一般には 垂直でない。ここでその垂直成分、Enを考える。これを全面について積分した値、  EndS =  E · ndS =  q 0 cos θ r2 dS (3.2) は、cos θ/r2dSが立体角 dω なので  EndS = q 0  (3.3)

(24)

になる。 dω = 4πなので、結局  EndS = q 0 (3.4) が導かれる。 今、点電荷一つを考えたが、電荷が複数あっても重ね合わせの原理から同じことが 言える。結局、  EndS = Q 0 , Q =  i qi (3.5) となる。これがガウスの法則である。 点電荷の集まりでなく、連続的な電荷分布の場合はどうなるであろうか?この場合、 電荷密度 ρ を使って  EndS =  ρ 0dV (3.6) となる。ところで数学の定理(ガウスの定理)から  EndS =  divEdV (3.7) である。よって、 divE = ρ 0 (3.8) が成り立つ。 ガウスの法則がいかに役に立つか、例題で見てみよう。

3.2.1

1

:一様な直線電荷の作る電場

線密度 λ で一様に帯電した電線を考える。空間の対称性から電場は放射状にできる。 直線からの距離を r として、この直線を軸とする円柱を考えるとその側面に対する積 分はガウスの法則から円柱内の電荷である。円柱の高さを h とすると、 2πrhE = 0 (3.9) なので E = λ 0r (3.10) となる。

(25)

3.2.2

2

:電荷密度が一様な球の作る電場

電荷密度 ρ で一様に帯電した半径 a の球を考える。中心から r 離れた電場を求めよ う。この場合、r > a, r < a で別々に考察する。 1. r > aの場合、 4πr2E = Q 0 = 4πa3ρ 3 0 (3.11) より E = Q 0r2 (3.12) となる。 2. r < aの場合、 0r2E = 4πr 3ρ 3 (3.13) より、 E = Q 0a3r (3.14) である。 この関数依存性は地球の外部、内部の重力の大きさと同じ振る舞いである。重力も電 磁気力も逆二乗の法則に従うので当然である。

3.3

アーンショー

(Earnshaw)

の定理

ここで静電気学における重要な定理を示しておく。 Theorem 3.1 電荷をどのように配置しても,電荷のない空間 (真空) に試験電荷が安 定になる場所は存在しない。 試験電荷 (test charge) とは,電場を調べるために置く非常に小さい (はじめにあった電 場に影響を与えない) 電荷である。ある意味でこれは困った事情を表している。電荷を 空中に閉じこめることは不可能ということである。 これは背理法で証明できる。もし安定な平衡点であったらその周りで,電場がその 領域に向かっていなければならない。するとガウスの定理より,平衡点を囲んで面積 分を行うと,この値が有限になってしまう。するとこの領域に電荷が含まれているこ とになる。これは真空と言うことに矛盾する。言い換えると,電荷がない領域ではポ テンシャルは極大にも極小にもならないということである。

例えば,(a, 0, 0), (−a, 0, 0), (0, a, 0), (0, −a, 0) に正電荷をおくと一見,原点から x, y

方向に電荷を動かすと復元力を受けるような気がする。だが,z 方向には復元力は働か ず,ずるずると原点から遠ざかってしまうのである。

(26)

3.4

導体とガウスの定理

導体に電荷を与えるとどのように分布するであろうか?導体内では電場は 0 である。 よって divE = 0 = ρ/ 0より導体内部では電荷は存在しない。よって電荷が分布する のは表面である。またこのことから導体は等電位になっていることが分かる。(導体内 部のある点から E · dl を行っても 0 なので。)以上より,導体面では電場は導体に垂 直の向きだということが分かる。 導体表面も等電位面なので,空洞が導体に囲まれている場合,その中には電場が存 在できない。電場があれば空洞に電位の極大か極小の位置が存在してしまうからであ る。これはアーンショーの定理に反する。

3.5

静電エネルギー

クーロン相互作用している粒子系の静電エネルギー U は Φiを i 番目の粒子の位置で のポテンシャル,qiをその電荷として, U = 1 2 N  i qiΦi (3.15) で与えられる。(2.6) 式と組み合わせると, U = 1 2 N  j=1 N  i=1,i=j qiqj 0Rij (3.16) が得られる。

Problem 3.1 N 個の +e の電荷と N 個の −e の電荷が,a だけ離れて交互に直線上に

配置されている。N が十分大きいとき,静電エネルギーは U = e 2 0a × N × 2 ln 2 となることを示せ。 次に,粒子が点電荷でなく,連続的な電荷分布をもっている場合を考えよう。(3.15) 式は, U = 1 2  ρ(r)Φ(r)dV (3.17) となる。なお,ポテンシャルは (2.9) 式で与えられる。

(27)

ガウスの法則より, ρΦ = 0Φdiv E である。これを変形し, ρΦ = 0[−E · ∇Φ + div(ΦE)] とすると,静電エネルギーは U = 1 2 0  dV (E2+ div· (ΦE)) (3.18) となる。積分範囲を十分遠くまでとると,第 2 項は 0 となる。よって U = 1 2 0  dV E2 (3.19) である。 Problem 3.2 3.2.2 節で求めた一様に帯電した球の静電エネルギーが 3 5 Q2 0a となることを示せ。 答えを何通りかでやってみよう。ガウスの法則より E = ⎧ ⎪ ⎨ ⎪ ⎩ Q 0 r a3 r < a Q 0 1 r2 r > a (3.20) である (3.14)。ポテンシャルはこれを積分して, V = ⎧ ⎪ ⎨ ⎪ ⎩ Q 0a3  −r2 2  + C r < a Q 0r r > a (3.21) となる。r = a でポテンシャルは連続的なので (これは後に証明される) V = ⎧ ⎪ ⎨ ⎪ ⎩ Q 0a3  −r2 2 + 3a2 2  r < a Q 0r r > a (3.22)

(28)

である。静電エネルギー U は U = 1 2  a 0 dr4πr2ρV (r) (3.23) = 1 2  a 0 dr4πr2ρ Q 0a3  −r2 2 + 3a2 2  = Q 2 0a3 3 2a3  a 0 dr  −r4 2 + 3a2r2 2  = Q 2 0a 3 5 一方,  dV 0E 2 2 = 0 2  Q 0 2 a 0 drr 2 a64πr 2+  a dr1 r44πr 2  (3.24) = Q 2 0a 3 5 である。また, U = 1 2 1 0  dV ρ  dVρ 1 |r − r| (3.25) = 1 2 1 0 ρ2  a 0 dr4πr2  a 0 dr2πr2  π 0 sin θdθ r2+ r2− 2rrcos θ = 1 2 1 0 2ρ2  a 0 r2dr  a 0 r2dr  1 −1 dt r2+ r2− 2rrt = 1 2 1 0 2ρ2  a 0 r2dr  r 0 dr2r 2 r +  a r dr2r  = 1 2 1 0 2ρ2  a 0 dr  a2r2 −r 4 3  = Q 2 0a 3 5 ここで,  1 −1 dt r2 + r2− 2rrt =  2 r r < r 2 r r > r (3.26) を用いた。いずれにせよ,結果は同じである。 Problem 3.3 原点 (0, 0, 0) と点 (0, 0, a) にそれぞれ電荷,q1, q2の点電荷がおかれてい る。前者が作る電場を E1,後者が作る電場を E2とする。 1. E1を求めよ。(ベクトルで書くように!)

(29)

2. E2を求めよ。(ベクトルで書くように!) 3. 電場のエネルギーは 0(E1 + E2)2 2 = 0E21 2 + 0E22 2 + 0E1· E2 である。右辺の最初の2 項は,点電荷が独立にもっている電場のエネルギー,最 後の項が電荷の相互作用によって生じた項である。 この相互作用のエネルギー  dV 0E1· E2 を求めよ。 ヒント;極座標を用いよ。r についての積分を行い,その後,cos θ = t として t に関する積分を行う。なお,不定積分,  dr r− A r2+ a2− 2rA3 = −1 r2+ a2− 2rA + C である。

(30)

4

章 境界値問題

4.1

解の一意性

ある場所に点電荷があったとしよう。これだけで電場が決まるだろうか?答えは NO である。この電荷が真空中にあるか,導体がそばにあるかで電場は全く異なる。 点電荷があることで,導体の表面に電荷ができる。この表面の電荷がわかれば,電場 はクーロンの法則から求められるのだが,この表面の電荷が簡単にはわからない。こ うした導体などと真空などの境を境界とよび,境界面上の条件と境界以外での電荷分 布を与えて,電場を求める問題を境界値問題とよぶ。 ではどのような境界を与えれば問題が解けるのだろうか?これは以下の 3 通りである。 1. 境界上でポテンシャルが与えられたとき 2. 境界上で境界に垂直な方向の電場が与えられている 3. 導体の場合,境界面上で全電荷が与えられている これを証明する。 境界内部で divE1 = ρ/ 0をみたす電場があったとする。1divE2 = ρ/ 0も成り立っ ているとしよう。この方程式を満たす E は無限にある。(真空中でもいろいろな電場が 可能なことを思い出せばいいだろう。)これらの電場にはポテンシャル Φ1, Φ2が対応し ている。E1 =−∇Φ1 , E2 =−∇Φ2である。 二つの差がなくなる条件を求めるのだから,差をとってみる。E = E1 − E2, Φ = Φ1− Φ2である。

div(ΦE) = ΦdivE + (∇Φ) · E = 0 − E · E = −E2 (4.1)

である。両辺を境界にそって積分すると,  V div(ΦE)dV =  (ΦE) · ˆndS (4.2) である。もし表面積分が一致すれば, 0 =  V div(ΦE)dV = −  V E2dV (4.3) 1境界内部という言い方は誤解を招くかもしれない。要するに導体の外部。

(31)

なので,E = 0 が至るところで成立している必要がある。こうして表面積分が一致し ていればよいことになる。上の 1,2 の条件は Φ = 0, E · ˆn = 0 を意味するので,確か に一意的に電場が決まる。 3番目の条件はこうやって導く。  (ΦE) · ˆndS = i Vi  Si (E1− E2)· dS = 1 0  i Vi(Qi1− Qi2) (4.4) こうして,導体の全電荷(表面電荷でないことに注意!)が与えられれば,電場は一 意的に決まる。 以上の条件を単一解の定理とよぶ。

4.1.1

空洞をもつ導体

空洞をもつ導体中では,外の電荷がどんな値をとっていようと電場は 0 である。導 体内部の空洞壁は等ポテンシャル面で,この値を V0とすると,空洞内全体で V = V0 は空洞中で divgradV = 0 を満たし,境界で値が与えられているから単一解の定理より これが解になっていることがわかる。よって空洞全体でポテンシャルは一定で,電場 は 0 ということがわかる。 空洞内部に電荷があった場合はどうなるか?この場合,空洞内部の電場は 1. 導体の外側の電荷とこれによって導体表面上に誘起された電荷とが作る電場 2. 空洞中の電荷とこれによって導体表面上に誘起された電荷とが作る電場 の重ね合わせである。前者は空洞中で常に 0 であるので,外にどんな電荷があろうと, 空洞内の電場は影響を受けない。これを静電遮蔽とよぶ。

4.2

映像電荷

静電気学の多くの問題は導体のポテンシャルと導体外の電荷分布を与えて,電場を 求めるものである。そこで導体を取り去ってしまって,導体のあった場所で導体と同 じポテンシャルを与える,仮想的な電荷考えるのが映像電荷である。なぜ,映像電荷 (mirror charge)というかは以下の例を見ればよい。 点電荷 q が接地した(ポテンシャルが 0 の)無限に大きな導体平面から d だけ離れて いるとする。この平面上でポテンシャルを 0 にするには,無限に大きな導体平面の代 わりに−d だけちょうど鏡の像の位置に −q 電荷の電荷をおいてやればよい。この仮想 的な電荷が映像電荷である。

(32)

このとき,ポテンシャルは r+ =  ((z− d)2 + r2) , r =((z + d)2+ r2) , Φ(r) = q 0  1 r+ 1 r  (4.5) で与えられる。導体表面上の電場は E = (0, 0, − qd 0R3 ) , R =√r2+ d2 (4.6) となる。 表面電荷はガウスの法則より, σ = 0Ez = qd 2πR3 (4.7) となる。 Problem 4.1 境界面上で σ を積分し,これが −q,すなわち映像電荷に等しいことを 示せ。 導体球の外部に電荷がおかれた場合は以下のように考える。原点に半径 a の導体球 がおいてあり,電荷 q の点電荷が rq においてあるとする。 はじめ,球が接地されているとする。このとき球の表面で電位は 0 になる。試しに 中心と点電荷を結んだ直線上 (z 軸にとる), (0, 0, rI)に電荷,qIをおく2。このとき,球 の表面でポテンシャルが 0 になる条件は 0 = 4π 0Φ(r) = q  a2+ r2 q− 2arqcos θ + qI a2+ r2 I − 2arIcos θ (4.8) である。これより qI rI =−q a, rq a = a rI (4.9) ととればよい。よって映像電荷の大きさは qI=  a rq  q (4.10) で位置は rI = a2 rq (4.11) である。 接地されていない場合は,球のポテンシャルが Φ0となっている。このときは球の中 心にもう一つの映像電荷をおいてやって,ポテンシャルを調節すればよい。 2この軸上におくのは対称性からである。

(33)

Problem 4.2 電荷 Q の電荷をもった接地されていない球と,外部電荷 q のつくるポ テンシャルを求めよ。とくに球の表面上のポテンシャルが Φ = Q− qI 0a となることを示せ。

4.3

電気容量

高校時代にさんざん,コンデンサの問題をやっていると思うが,それは平行平板コ ンデンサが主であった。ここでは平行平板コンデンサでなく,一般の形の多数の導体 からなる系での電気容量を議論する。 N個の導体が空間である配置を取っていたとする。電荷が存在するのは導体表面だ けだとする。導体 i に与えられた電荷は Qiとする。 電荷が与えられているのでポテンシャルは一意的に決まる。(もちろん定数だけずら す任意性があるので,無限遠や適当な境界を 0 ととっておく。)この系の静電ポテンシャ ル Φ(r) を導体の電荷で書くと Φ(r) = F (r; Q1, Q2,· · · , QN) (4.12) で表される。F は導体の配置で決まる関数である。別の電荷分布,{Qi} が与えられると Φ(r) = F (r; Q1, Q2,· · · , QN) (4.13) となる。では,{Qi} = {Qi+ Qi} が与えられたときのポテンシャルはどうなるであろ うか?すなわち Φ(r) = F (r; Q1, Q2,· · · , QN) (4.14) はどうなるか?

そこで f (r) = Φ(r) + Φ(r) とする。divgradΦ = divgradΦ = 0なので divgradf = 0

である。また,f は導体 i 上で一定の値を取る。なぜなら Φ, Φがそれぞれ一定である から。 このとき, 0  Vi dVidivE = − 0  Si dSigradf · ni =0  Si dSi(gradΦ + gradΦ)· ni = Qi+ Qi (4.15) なので f は電荷 Qi+ Qiが与えられたときの解になっている。解の一意性により, Φ(r) = F (r; Q1+ Q1, Q2+ Q2,· · · , QN + QN) (4.16) = F (r; Q1, Q2,· · · , QN) + F (r; Q1, Q2,· · · , QN)

(34)

j Q1 Q2 Qj Qi が成立している。これが重ね合わせの原理である。 重ね合わせの原理が成り立っている場合, Φi = n  j=1 pijQj (4.17) でなければならない。まず,すべての導体で Qi = 0ならポテンシャルは 0 である。 (x = 2xとなるから。) 2 次関数以上だとだめになるのは代入してみればよい。 (4.17)を逆に解いて, Qi = n  j=1 CijΦj (4.18) をうる。Ciiは静電容量係数,Cij は静電誘導係数とよばれている。Cij の物理的な意味 は,接地した複数の導体を考え,そのうち一つだけ,接地せずに 1V の電位を与えたと きに誘起される電荷である。 ここで Cij の対称性について述べておく。Vj = 1でその他は接地されている場合の 電荷密度を σj(r) とする。このとき, Cij = Qi =  Si dSσj(r) (4.19) である。つぎに Vi = 1とした状況を考える。このとき,Φi(r) = 1 が導体 i 上で成り 立っている。他の導体上では Φi(r) = 0 である。よって Cij = Qi = k  Sk dSkΦi(r)σj(r) (4.20) である。積分はすべての導体表面上で行うのでがついている。(0 をかける,1 をか けるのでこれが許される。) ここで Φi(r) = 1 0 n  k  dSk σi(r0) |r − r| (4.21)

(35)

d

R

Q

1

V

1

Q

2

V

2 を用いると,これらより, Cij = 1 0 n  k,k   dSkdSk σj(r)σi(r0) |r − r| (4.22) となる。この式の右辺は i, j を入れ替えても不変なので,Cijは対称である。C と P は 逆行列の関係にあるので,Pij も対称である。 Cij の符号は以下のようにして決まる。正の電位を i に与えれば,そこから電場が出 てくる。その周りでガウスの法則を適用すれば Qiが正なことがわかる。よって Cii正である。i からでた電場は j に入るので導体 j の周りでガウスの法則を適用すれば, 導体 j の電荷 Qj は負だとわかる。よって Cij ≤ 0 , (i = j) である。電場は無限に逃げ てしまうものもあるので,正の電荷の周りにあった電気力線が必ずしも負の電荷に吸 い込まれるわけではないので,iQi ≥ 0 が成立する。 一個の孤立した電荷の場合は Q = CV (4.23) である。例えば半径 R の導体球の電位は V = Q 0R なので C = 4π 0R (4.24) である。球からずれていてもだいたいこれくらいの大きさになっているのを知ってお くとよい。 導体が 2 個あるときが高校時代にやったコンデンサーである。二つの導体の大きさ は R 程度で,その距離は d とする。この場合,  Q1 Q2  =  C11 C12 C21 C22   V1 V2  =  C11V1+ C12V2 C21V1+ C22V2  (4.25)

(36)

となる。導体 2 を接地し,導体 1 のポテンシャルを一定として,二つを近づけると,二つ の間の電位差が一定なので電場が大きくなる。この状況にガウスの法則を適用すると, 二つの距離を近づけると Q1, Q2が大きくなることがわかる。よって,d が小さくなる と C11, C21が大きくなる。同様に C12, C22も大きくなる。もしポテンシャルが同じなら 二つを近づけても Q1, Q2はほとんど変わらないだろうから,C11≈ −C12, C22≈ −C21 である。対称性から C12= C21なので C11≈ C22≈ −C12 =−C21 (4.26) となる。こうして近似的に Q1 =−Q2= C(V1− V2) , C = Q1 V1− V2 (4.27) となる。高校時代に習った平行平板コンデンサは非常に特殊な例である。 Problem 4.3 平行平板コンデンサの場合,C = 0A d であることを示せ。A = d 2とし て,d = 0.1μm のときの C を求めよ。また, e 2 2C はどの程度か?

4.4

ラプラス方程式

divE = ρ(r) 0 をポテンシャルで書き直すと, ΔΦ(r) = −ρ(r) 0 (4.28) となる。 divgrad = 2 ∂x2 + 2 ∂y2 + 2 ∂z2 (4.29) をラプラシアンという。 特に電荷がない真空中では ΔΦ(r) = 0 (4.30) 前者をポアッソン (Poisson) 方程式,後者をラプラス (Laplace) 方程式とよぶ。 r→ ∞ のとき,Φ(r) → 0 ではポアッソン方程式の解は Φ(r) = 1 0  ρ(r)dV |r − r| (4.31) となる。

(37)

ここで物理でこれからよく出てくるデルタ (δ) 関数を導入しておく。 Δ1 r = 0(r = 0) (4.32) で,しかしガウスの定理より  −Δ1 rdV =  div r r3  dV = 4π (4.33) である。つまり,原点に無限大のポテンシャルがあり,0× ∞ = 有限 となっていなけ ればいけない。これをデルタ関数とよび δ(x) と書く。 δ(x) =  0 x= 0 ∞ x = 0 ,  η −η δ(x)dx = 1 , for all η > 0 (4.34) である。これから −Δ1 r = 4πδ(x)δ(y)δ(z) def = 4πδ(r) (4.35) がわかる。また,δ 関数の変数が 0 になる瞬間だけ意味をもつので  f (x)δ(x− a) = f(a) (4.36) である。ただし積分範囲は a をまたぐようにとる。 δ関数を使えば,(4.31) が確かにポアッソン方程式の解になっていることがわかる。 解が球対称,円柱対称の場合などは,ラプラシアンが作用するのは f (r) = f(x, y, z) でなく,f (r) であり,簡単になる。 Problem 4.4 系が円柱対称のとき,ポテンシャルは f(r, z) と書ける。f(x, y, z) = f (r, z)のとき,ラプラシアンは Δf (r, z) = 1 r ∂r  r∂f ∂r  + 2f ∂z2 (4.37) となることを示せ。 Problem 4.5 系が球対称のとき,ポテンシャルは f(r) と書ける。f(x, y, z) = f(r) の とき,ラプラシアンは Δf (r) = 1 r2 ∂r  r2∂f ∂r  (4.38) となることを示せ。

(38)

4.4.1

無限に広い金属板

無限に広い金属板の場合,ポテンシャルは平面に垂直な方向のみに依存する。平面 に平行な方向はどこも同等だから,どこかにその方向を向いた電場があるのは ‘不公平 ”だからである。このとき,ラプラス方程式は d2Φ(z) dz2 = 0 (4.39) である。よって解は Φ(z) = a + bz (4.40) となる。電場はこれを微分するので一定となる。

4.4.2

円柱対称

無限に長い導線の周りのポテンシャルは円柱対称となる。このとき, ∂r  r∂f ∂r  = 0 (4.41) から, Φ(r) = a + b log r (4.42) である。

4.4.3

球対称

同心円の二つの導体球 (半径 a, b, b > a) の作るポテンシャルは球対称である。この 場合, ∂r  r2∂f ∂r  = 0 (4.43) なので, r2dΦ dr = C1 , Φ(r) = C1 r + C2 (4.44) となる。外側の電位を Vb,内側を Vaとすると Va =−C1 a + C2 , Vb = C1 b + C2 (4.45) となる。これから C1 = (Vb− Va) ab b− a , C2 = Vbb− Vaa b− a (4.46) となる。

(39)

Problem 4.6 内側の球の電荷は qa =−4π 0  Vb− Va b− a  ab (4.47) となることを示せ。 球の外側の電位は,無限遠で Φ = 0,r = b で Φ = Vbより,Φ = bVb/rとなり,電場 は E = bVb/r2となる。これより,2つの球の外側でガウスの法則を適用すると qa+ qb 0 = 4πbVb (4.48) となり, qb = 4π 0  bVb− aVa b− a  b (4.49) となる。こうして,  qa qb  = ⎛ ⎜ ⎝ 0ab b− a 0ab b− a −4π 0ab b− a 0b2 b− a ⎞ ⎟ ⎠  Va Vb  (4.50) となる。 こうして,同心球の電気容量 (正確には相互容量係数) は (4.47) 式から Cab = Cba=−4π 0 ab b− a (4.51) となる。

4.5

より一般的なラプラス方程式の解

(以降の節は電磁気学Iで再び 扱うのでとばす。) ラプラス方程式の形は実は量子力学で非常に頻繁に出てくる形である。そこで,1 年 生には少し難しいかもしれないが,そのいろいろなとき方をここに記しておく。

4.5.1

フーリエ展開

まずは極座標でなく,直交座標で考える。ポテンシャルは x, y のみに依存してると する。するとラプラス方程式は  2 ∂x2 + 2 ∂y2  Φ(x, y) = 0 (4.52)

(40)

となる。ここで変数分離解を 仮定 する。(この仮定がうまく行ったら解の一意性から解 が求められたことになるし,うまく行かなかったら別の方法を考えることにする。) 変 数分離解とは, Φ(x, y) = X(x)× Y (y) (4.53) となっているものである。これを上のラプラス方程式に代入すると, Y (y)d 2X(x) dx2 + X(x) d2Y (y) dy2 = 0 (4.54) となる。両辺を X(x)Y (y) で割り算すると, 1 X(x) d2X(x) dx2 + 1 Y (y) d2Y (y) dy2 = 0 (4.55) となる。この方程式の左辺第 1 項は x だけの関数,第 2 項は y だけの関数なので,この 方程式の右辺が任意の x, y に対して 0 であるためには 1 X(x) d2X(x) dx2 = 1 Y (y) d2Y (y) dy2 = C (4.56) である。C は定数である。仮にこれが負だとする (正の場合は X, Y を入れ換えれば同 じ議論ができる) 3。C = k2とおいて d2X(x) dx2 =−k 2X , d2Y (y) dy2 = k 2Y (4.57) となる。この式はよく見たことのある式で,特に最初の式は単振動の方程式である。 X(x) = Akcos kx + Bksin kx (4.58)

Y (y) = Ckexp(−ky) + Dkexp(ky) (4.59) (4.60) これは任意の k について成り立つので Φ(x, y) は

Φ(x, y) =

k

(Akcos kx + Bksin kx)(Ckexp(−ky) + Dkexp(ky)) (4.61)

である。 話は少し横道にそれるが,−a ≤ x ≤ a で定義された任意の関数 f(x) は正弦波と余 弦波の重ね合わせで書ける。つまり f (x) =  n=0  Ancosnπx a + Bnsin nπx a  (4.62) 30 の場合,X = a + bx, Y = c + dy である。

(41)

となる。これをフーリエ級数展開,またはフーリエ展開とよぶ。  a −a dx sinmπx a sin nπx a = aδmn (mn= 0) (4.63a)  a −a dx cosmπx a cos nπx a = aδmn (mn= 0) (4.63b)  a −a dx sinmπx a cos nπx a = 0 (4.63c) である。これらの式を使うと, A0 = 1 2a  a −a dxf (x) (4.64) An = 1 a  a −a dxf (x) cos nπx a (n= 0) Bn = 1 2a  a −a dxf (x) sinnπx a (4.65) となる。 フーリエ級数の意味はあらゆる関数は異なる波長をもった波の重ね合わせにすぎな いことを意味している。

4.5.2

導体平面内部のポテンシャル

実例として図のような導体面で囲まれた領域の内部のポテンシャルを求めよう。y 方 向に伸びる平面は接地されていて V = 0 である。x 方向の面は V0の電位をもつ。 変数分離解を仮定する。x = 0, a で Φ = 0 となるのは exp 型の関数では不可能であ るから,x 方向が三角関数型である。よって Φ(x, y) = k

(Akcos kx + Bksin kx)(Ckexp(−ky) + Dkexp(ky)) (4.66)

が解の候補である。 y→ ∞ でポテンシャルが発散しないためには Dn = 0。x = 0, a で V0であるために は Ak = 0で k = a である。よって Φ(x, y) =  n=0 Cnsin a exp(−nπy/a) (4.67) という形まで絞り込める。

(42)

0

a

Φ=0

Φ=0

Φ=V

0 y = 0で Φ = V0とするので V0 =  n Cnsin a (4.68) である。  n=1 dxCn  a 0 sin a sin a = V0  a 0 dx sinmπ a (4.69) から Cnを (4.66) を使って求めると, Cn = ⎧ ⎪ ⎪ ⎨ ⎪ ⎪ ⎩ 4V0 n = 1, 2, 3, 4, ... 0 n = 2, 4, 6, 8, .... (4.70) となる。こうして Φ(x, y) = 4V0 π  l=1 1 2l− 1sin (2l− 1)πx a e −(2l−1)πy/a (4.71) となる。

参照

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