第 6 章 電流と磁場 50
6.6 アンペールの法則
クーロンの法則に対応するのがビオーサバールの法則である。クーロンの法則から 電場を計算するよりも,ガウスの法則を使う方が便利であり,一般的であった。よって ビオーサバールの法則に対応する法則を見つけよう。
ビオーサバールの法則により,回路C’を流れる電流が場所rにつくる磁場は B = μ0
4π
C
Idr×(r−r0)
|r−r0|3 (6.19)
で与えられる。この磁束密度を別の閉曲線Cについて積分すると,
CB·dr = μ0 4π
C
C
I[dr0×(r−r)]·dr
|r−r0|3 (6.20)
である。[dr×(r−r)]·dr = (dr×dr)·(r−r)を使う。ここで,この積分をr−r =r を変数としてみると,この積分はCが徐々に−rずれていくことで,作られる面に関 する積分であることがわかる。その積分は
CB·dr = μ0I 4π
C
C
I(dr×dr)·r
r3 (6.21)
dr×dr は,その絶対値が面積を表し,方向がその面の法線になっているベクトル,
r
r3 はr方向を向き,大きさが1/r2のベクトルである。二つのなす角度をcosθとす ると,この積分は
CB·dr = μ0I 4π
cosθdS
r2 (6.22)
この積分は立体角4πを与え,結局,
CB·dr =μ0I (6.23)
が得られる。これがアンペールの法則である。
(6.23)式の右辺は
μ0
Sj·ndS 左辺はストークスの定理より,
S
rotB·ndS となるので,
rotB =μ0j (6.24)
である。これがガウスの法則の微分形に対応する。
Problem 6.3 半径a,大きさIの円電流が軸上に作る磁場が Bz = μ0I a2
2(a2+z2)3/2 (6.25)
となることを示せ。
Problem 6.4 式(6.25)において,∞
−∞Bzdzを行え。結果をアンペールの法則で解釈 せよ。
6.6.1 ソレノイド
導線を螺旋状に巻き付けたのがソレノイドである。前問の結果を使うと,zにおけ る半径aの円電流がzに作る磁場は
Bz = μ0I a2
2[a2+ (z−z)2]3/2 (6.26) である。巻き数N,長さLのソレノイドの場合,dzにある円電流はNdz/Lなので
dBz = μ0N I a2dz
2L[a2+ (z−z)2]3/2 (6.27) となる。これを−L/2からL/2まで積分すると,
Bz = μ0N I a2 2L
L/2
−L/2
dz
[a2+ (z−z)2]3/2 (6.28)
= μ0N I 2L
z−z [a2+ (z−z)2]1/2
L/2
−L/2
-7.5 -5 -2.5 2.5 5 7.5 0.2
0.4 0.6 0.8
図 6.1: ソレノイド中の磁場。縦軸はBz/μ0nI,横軸はz/aである。この場合,L/a= 8 と取ってある。
となるので,
Bz = μ0N I 2L
L/2−z
[a2+ (L/2−z)2]1/2 + L/2 +z [a2+ (L/2 +z)2]1/2
(6.29) をうる。La,|z|の場合,ソレノイド中の磁場は
Bz = μ0N I
L =μ0nI (6.30)
となる。n =N/Lは単位長さあたりの巻き数である。
Problem 6.5 ソレノイド中の磁場をアンペールの法則から導け。
今求めたのは,軸上の磁場であるが,アンペールの法則を使うと,これが軸から離 れてもほぼ一様だということがわかる。
Problem 6.6 半径aのまっすぐにのびた導線の中に直線電流Iが流れているとする。
r > aを今までは考えてきたが,r < aではどうなるか?
Problem 6.7 半径aの薄い導線の中に直線電流I が流れているとする。中は空であ る。この場合,電流のr依存性はどうなるか?
Problem 6.8 アンペールの法則の微分形rotB = μ0jが,6.6で満たされていること を示せ。
Problem 6.9 内径a,外径bの同軸ケーブル中の磁場は
B=
⎧⎪
⎪⎨
⎪⎪
⎩
0 (r < a) μ0I
2πr
φˆ (a < r < b) 0 (r > b)
(6.31)
である。φˆは軸の周りの方向である。これを示せ。