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四つ爪単動チャックにおける把握圧力分布 一チャッキングの基礎研究(第8報)一
門脇義次・奈良勝敏・斎藤輝雄
Chu(,kingPressureDistributiononFour‑JawlndependentChuck
‑BasicStudyofChuckng(8thReport)‑
YoshitsuguKADowAKI,KatsutoshiNARA,TeruoSAITo
(昭和57年10月30日受理)
Afour‑jawindependentchuckismountedonaprecisionlathe・Chuckngpressure ismeasuredbymeansofpressuresensitivepapertoestimatechuckingeccentricity ofcylindricalworkpiece・Acompartorisused toObtaineccentricity・Estimated valueiscomparedwithmeasuredone, showinggoodagreement.
取付け偏心が充分に除かれているかどうかも,把握 圧力分布に影響するはずであり,始め心出しの過程 における把握圧力分布について調べ,次に充分に取 付け偏心が小さいと考えられる, いわゆる四つ爪単 動チャックの理想的工作物取付け状態での把握圧力 分布に関して検討を加えている。
1. 緒 言
工作機械自体および切削現象に関する研究に比較 すると,切削工具や工作物の取付具に関する研究は 立遅れていることが最近の解説記事にも見えてい る(1)(2にのような事情は股も代表的な工作物取付具 である旋盤用チャックについても同様であるといえ る。しかも,旋盤の場合, チャック部分での剛性が 加工精度とか加工性能に及ぼす影響の大きさには計
り知れないものがある(3〕〜(5も
筆者等は旋盤用三つ爪スクロールチャックに円筒 形状工作物を把握する際,チャックの把握力の他に 工作物と爪との接触面の圧力分布状態もこの部分の 結合剛性に関与することを指摘した(6ルかも,チャ ックハンドルに加えるモーメントを増して,把握力 をある値以上に増加させても,爪の口開き現象のた めに, この部分の剛性の向上は期待出来ないと考え られた。この爪の口開きの現象は把握圧力分布を知 ることで始めて感知出来るものであり, この点より すれば,把握力以上に把握圧力分布の測定が有用で あることを示している。
さて,以上で述べた三つ爪スクロールチャックに おける爪の口開きの現象が他の爪の開閉機構を有す る旋盤用チャックについても生ずるか否かは興味あ る問題である。
そこで,本報においては,手動チャックの中で,
三つ爪スクロールチャックに次いで使用される機会 の多い四つ爪単動チャックの把握圧力分布について 論じている。ただし,四つ爪単動チャックでは,三 つ爪スクロールチャックの場合と異なり,工作物の
2. 実験方法
本実験においては,四つ爪単動チャックに円筒形 状工作物を把握する際の把握圧力分布とその際の取 付け偏心とを測定しているが,図1に実験装置の概 要を示す。すなわち,高精度の普通旋盤主軸に取付 けられた四つ爪単動チャックに,予め感圧紙を巻き
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図 取付(式偏心と把握圧力分布の測定方法
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昭和58年2月
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門脇義次・奈良勝敏・斎藤輝雄
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把握圧力分布の感圧紙による測定例 (直径90rnm,把握長さ20rnm,把握
注) J1〜J4 :瓜の番号
把握 図2
モーメント30N・m)
秋田高専研究紀要第18号
−27−
四つ爪単動チャックにおける把握圧力分布一チャッキングの基礎研究(第8報)一
便であるため,接触面の先端と後端とについて,あ る圧力値を示す円周方向位置をプロットし直すと図 3右のようになる。図より,各爪の両端の圧力分布は ほぼ同じ傾向にあり,各爪の円周方向のいずれかの 側に極端な片寄りを示していることになる。しかし,
この段階では三つ爪スクロールチャックで見られた ような爪の口開きの傾向は明らかではない。ここで,
図3の例について接触面後端の圧力を工作物断面上 の分布として表示すると図4 (a)に示すようにな る。図に見られるように, J,とJ3およびJ2とJ4 のように,向い合う爪については, ほぼ線対称の把 握圧力分布を示している。そこで,例えば向い合う 一対の爪J,. , J3に注目して見ると,その圧力分布 から,爪の右部分での接触が強く,工作物は爪J2の 方向に偏って取付けられているものと考えられる。
従って,爪J2, J4の把握圧力分布も同時に考慮す ると,工作物の取付け状態は図4(b)に示すように なっているものと考えられる。これに対して,工作 物の取付け偏心の測定結果は235"mであり,爪J,
とJ2の中間の方向が高くなっていた。すなわち,こ
つけた,直径90mの円筒形状工作物をチャッキング する。規定時間保持した後, この感圧紙を取り出し,
濃度計センサーによって圧力値に変換する。いつぽ う,チャッキング状態での取付け偏心は,爪の先端 よりlOm離れた点で, ダイヤルゲージを用いて測定 する。なお,供試チャックは四つ爪単動チャック(称 呼寸法NQlO,外径255m, J ISB6151)である。
以上の測定を,工作物取付けの際の心出しの各過程 に関して行なう。
3. 実験結果と考察
図2にチャッキングにより発色した感圧紙の例を 示す。四個の縦の並びは,一回のチャッキングにお ける円筒形状工作物と各爪との接触面を示し, J1
J4は爪の番号である。図によれば,一個の爪の接触 面は爪の把握面に切られた溝のために, 16個(4個
×4個)の小接触面に分断されている。
次に,発色した感圧紙の濃度を用いて圧力値に変 換することになるが, このとき,二つの解決すべき 問題点がある。一つは,市販の濃度計センサー受光 部の直径が3mmであり,爪一個あたり16個の小接触 面の一つの最小寸法が1.5mであることから,測定 に際して,小接触面一個あたりの面積の大小の影響 も受け,測定誤差の増大が懸念される。これに対処 するため,直径1.5mのマスクを取付けることとし た。したがって,圧力値は直径1.5mmの円内の平均 値となる。もう一つの問題点は,爪一個当たりの実 接触面積が小さく,圧力値が過大となるため,市販 の高圧用感圧紙の測定定囲(約20MPa〜80MPa) の上限を越すことである。これについては,実接触 面積を増すために,出来るだけ,狭い溝を有する硬 爪を用いること,実用的な範囲内で把握力を低く抑 えること,および,上限を越えるような圧力値につ いては,測定が可能な範囲からの外挿によること等 の対策を行っている。
ところで,図2によれば, casel,case2等にお いて, いずれの爪も片寄った接触となっており, こ れを明確にするため, case2の場合について,各小 接触面の圧力値を求め,等高線表示すると,図3左 に示すようになる。同図では右側が爪の先端,左側 が後端である。これらは全面接触する生爪の場合よ りも,同・じ把握モーメントに対して高い圧力が現わ れており,いずれの爪も片寄った圧力分布となって,
図2のcase2における感覚的な結果と一致する。
ところで, この等高線表示も,詳細な検討には不
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把擢圧力分布の等高線表示,並びに 両端圧力と瓜の周方向位置の関係
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図3
昭和58年2月
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門脇義次・奈良勝敏・斎藤輝雄
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図4工作物の取付け偏心と把握圧力の円周方向分布との関連
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(a)等高線表示 (a)等高線表示
幕
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(c)予想取付け偏心 (d)取付け偏心の実測値
(c)予想取付け偏心 (d)取付け偏心の実測値 図6 把握圧力分布と工作物の取付け偏心
(その2)
図5 把握圧力分布と工作物の取付け偏心
(その1 )
秋田高専研究紀要第18号
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四つ爪単動チャックにおける把握圧力分布一チャッキングの基礎研究(第8報)− −29−の結果は把握圧力分布が工作物の取付け偏心と密接 に関連していることを示している。図5〜図8はこ の点を実際に工作物をチャッキングする際の心出し の過程について検討した結果である。なお, これら の図では図3と同様に,(a)は把握圧力分布の等高 線表示, (b)は爪の接触面の前後端における圧力分 布,(c)は把握圧力分布から予想される爪の接触状 態,(d)は爪の先端からlOmm離れた位簡で測定され た取付け偏心を示している。ただし, いずれもチャ ッキングモーメントを30Nm(爪あたり把握力約5 KN)の一定にした場合である。これらの図に示さ れる通り,工作物の取付け偏心と把握圧力分布とに は密接な関連のあることが明らかにされている。と ころで,本実験中で最も取付け偏心の小さい例は図
8の場合であり, その偏心は6.4座mであった。こ の図8の例では, J1の一部を除き,爪と工作物はほ ぼ均一な接触状態にあるといえる。したがって, こ れを四つ爪単動チャックの理想的な把握状態と見な して若干の検討を試みた。まず,円周方向分布につ いて見ると,爪の中央付近の圧力が低くなっている。
これは,チャックの爪の内接円径に対して,感圧紙 を巻いた円筒形状工作物の直径が若干大きいことに よるものである。いつぽう,軸方向分布について見 ると,爪の後端に比較して先端での圧力がいずれの 爪についても低くなっている。これは爪の口開き現 象のためと考えられる。
以上のことから,把握圧力分布を知ることによっ て,工作物の取付け偏心も含めた,把握状態の正確
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(a)等高線表示
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図8工作物取付け偏心の小さい状態における 把握圧力分布の等高線表示と瓜の両瑞圧
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(c)予想取付け偏心 (d)取付け偏心の実測値 図7 把握圧力分布と工作物の取付け偏心
(その3) 1 1
1、
昭和58年2月
酒
−30−
門脇義次・奈良勝敏・斎藤輝雄
と激励を賜った,東京工業大学工学部生産機械工学 科・伊東誼助教授に心から感謝申し上げます。
な認識が可能となる。
4. 結
一一目
参考文献
四つ爪単動チャックに円筒形状工作物を把握する 際の把握圧力分布とこのときの工作物取付け偏心と を測定した。また,取付け偏心が充分除かれた状態 での把握圧力分布を三つ爪スクロールチャックの場 合と比較しながら検討した。その結果
(1)工作物の取付け偏心と把握圧力分布とには明 確な関係のあることが明らかとなった。例えば,
把握圧力の円周方向分布カヌ爪のいずれかの側に 片寄っていれば,取付け偏心が大きく,把握圧 力分布によって,取付け偏心の程度とその生じ ている方向とを正確に予測出来る。従って,把 握圧力分布を測定することにより,工作物取付 け状態の認識が可能である。
(2) 四つ爪単動チャックの場合にも,三つ爪スク ロールチャックの場合と同様に,爪の先端が低 く後端が高くなるような把握圧力分布の傾向が 見られた。これは,爪の口開きが原因と考えら れる。
終わりに,本研究の全搬にわたって熱心な御指導
(1) 中野嘉邦:工作物・工具のチャッキングと加 工精度,粘密機械, 44, 11 (1978), 1299 (2) R、H・Thornley,B・willson:AReviewof
Someof thePrinciples lnvolvedinChu‑
ckDesign,TheProductionEngineer, March(1972)
(3) M・RAHMAN,Y・ITO:MachiningAcc‑
uracyofaCylicalWorkpieceHeldbya Three‑JawChuck, Bull・ JapanSOC・
ofPrec・Engg、 13, 1 (Mar、 1979) (4)土井雅博ほか2名:三つつめチャック加工に
おける工作物剛性の方向依存性,機械学会論文 集, 48.429(昭57. 5), 761
(5) I.A.IVASHCHENKO:SomeFactors
AffectingtheAccuracyandRigidityof Three‑JawedChucks,Machinesand Tooling,32, 1, (1961)31
(6) 門脇,安藤,機講論,NQ811‑2(昭56‑11), 51
ロロワ
秋田高専研究紀要第18号
幽