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動的不安定領域における切削について
門脇義次 後藤美千男
1 緒 言
動的不安定領域での切削加工においては,工作精度の 低下や仕上げ面の劣下を生ずる。
その原因は,工作機械による場合,刃物による場合,
工作物による場合,などに大別出来る。そしてこれら諸 原因のうち,工作機械の剛性については,理論的にも,
実験的にも,解析されつつあり,多くの成果が報告され ている。一方刃物についても,その剛性を高めたり,形 状を変えるなどの方法がとられている。工作物系の動剛 性を高めるため,心押台センターの使用,振れ止めの使 用,などの手段を構じているものの,その使用条件や手 段はほとんど現場の経験に委ねられており,理論的には
もちろん,実験的にも解折例が少ない。
我々はこの問題を実験的に解折するための,基礎実験 として,被削材が切削抵抗によって容易にたわむような,
不安定状態,すなわち長い突出量を持つ被削材の切削試 験を行ない,被削材のたわゑが旋削精度に及ぼす影響に ついて実験を行なった結果を報告する。
2−1 実験方法
本実験における切削状件と被削材料について列挙すれ ば次の通りである。
旋盤 大隈鉄工所製LS450×1,250(5.5KW)
工具 SKH3右勝手片刃バイト 19×19IZI
工具寸法形状上すくい角0.,横すくい角12.,前に げ角17.,横にげ角8。,
切削油ダイヤカット 11
切込承 1加那, 2加加, 3加加, 4 5 , 送り 0.2""/rev
切削速度約20"/min 被削材料市販品SS42
被削材直径28ゆ 3 , 36の, 44 ' 50 ,
ただし切削速度については旋盤の機構上正確に20"/min を得ることが出来ないので20"/minに最も近い値をと った。被削材直径と切削速度との関係を第1表に示す。
第 1 表
主軸一工作物系の振動形態が同じ領域にあると報告され ている(1)ことから,本実験では突き出し長さを200 , 一定とした。又保持方式は4ツ爪チャックによる,チヤ
ック支持方式とした。
切削は自由端側から,チャック側に向かう外丸削りによ
ったo
一方被削材直径に比して切込承量が大きい場合は,被削 材が大きくたわんで,バイトにのり上って,切削不能と
なるので,あらかじめ各直径毎に切削可能な範囲を見い 出し,その範囲内で実験を行なった。
2−2測定方法
切削終了後,被削材をチャックに保持したまま室温まで 冷却した後,往復台上に取りつけたダイアルケージによ って,被削材の全長を10 間隔で,半径方向の寸法誤差 を測定した。
この場合,往復合のすべり面を基準として,寸法誤差を 測定していることになり,往復台と主軸との平行度が問 題となる。このことからテストバーによって,主軸と往 復台との平行度を測定した結果,チャック面から300 の間で平行度誤差が0.004 以下であった。実験値から 象れぱ,基準面として信頼し得る。
叉マイクロメータによって,被削材の全長にわたり10 間隔で直径を測定した。
測定結果から,各断面における,真円度と平均直径を求
めたo
さらに各断面の平均直径から,基準直径を引いた値を直 径変位量として表わした。
この場合の基準直径とは,チャック側から4−5個所の 位置で測定した平均直径から求めた値であるo
各断面での測定位置は次の通りであるo
半径方向寸法誤差測定
a
〔
位置
a, a', cD c/の4点 直径測定位置 a‑aノ, b−b/
c‑cノ, d‑d'の4直径
C
被削材直径"" 28 1 ℃32 1 36 1 44 1 50 1851 2111Ⅲ' 2211 18ユ
切削速度m/min
被削材長さはいずれも全長250 とした。 a
突き出し長さが200 以下で,直径60施鰯以下の場合, なおa, aノ, c, cノ,は4ツ爪チャックの爪が当る位置の
すなわち,片持支持の自由端に近ずくにつれ,直径変位 量が増しており,叉被削材直径が細いほど直径変位量が 増し,叉被削材直径が細いほど直径変位量が大きく現わ れている。これらのことがらは,いずれも切削抵抗によ
り,被削材料が逃げ勝手になることと一致している。
3‑2 (Bうについて
第2図ぱB>に属するものの直径変位量と, 自由端から の距離との関係を示したもので,第3図は同じく,真円 度と自由端からの距離との関係を示したものである。直 径変位量についてiXA)とほぼ同様のことが言い得るo
しかし真円度誤差ぽA)に比較して非常に大きい。 (比 較のため(A)の場合の真円度誤差を第3表に示す。)し かも自由端に近いほど,叉被削材直径の細いほど,真円 度誤差が大であることから,直径変位量の場合と良く似 た傾向を示す。
真円度誤差の大きい部分について,ダイァルヶージによ る半径方向変位量と,マイクロメーターによる直径との 測定結果より,その断面形状を調べた。その結果断面は 楕円をなすと着し得る。そしてその長軸は,各断面にお いてほぼ一定の位置に現われている。又この部分では,
仕上面俎度も非常に大きく, ピピリ現象特有の縞目面も 明瞭である。
従ってこの領域でも,かなり不安定な切削が行なわれて いると考えられる。
第4図は断面形状を調べた一例である。
3‑2 (Cうについて
第5図ⅨCJに属するものの,直径変位量と自由端か らの距離との関係を示し,第6図は同じく,真円度と自 由端からの距離との関係を示すものである。
(A及び<B)の場合と異なり,わずかに先細の傾向を示 す。又第6図によれば(B)と同様に, 自由端に近ずくに つれて真円度誤差が大きくなっている。この場合にも断 面は楕円をなしている。その一例を第7図に示す。
投影点である。
3実験結果と考察
前述の方法で実験した結果を整理すれば,旋削後の被削 材形状は次の様に分類出来る。
[A)明らかに先太であって,真円度誤差の小さいも
のo
(B)先太であって,真円度誤差の大きいもの。
(C)矧田であって,真円度誤差の大きいもの。
[D)先細の傾向が箸るしく,かつ真円度誤差の箸るし く大きいもの。
(E)直径に注目すれば(C3に属し,真円度に注目すれ If(D,に属すもの。
これらの分類を,被削材直径と,切込量との関係に分類 すると第2表の様になる。
第2表
被削材直径 鯛鰯
│ #" │ $o 28 1 32 36
11AI B IAI AIA
切込承深さ
ZL//| B I B I B | c2L//| B l B l B l C 3 1//│//I D I E │ C 41//│//│//IDIg
沈加
5 F参Fン│//│//│ Q
次に分類別に,その実験結果についてのくる。
3−1 〔瓜〕について
第1図ぱA>に属すもので,直径変位量と,被削材の自 由端からの距離との関係を示すものである。これによる といずれも先太であることが判る。
これは切削抵抗によって,被削材がたわゑ,いわゆる逃 げ勝手となるため,設定切込承量と,実際切込ゑ量とが 一致せず,切り残しが生じたものと考えられる。
第3表〔H〕における真円度 脾
自 由 端 か ら の 距 離 沈況
§T盃T王 砺弓T55T75 185 1 95 110S│1151125113511451155116511751181 181 91 51 121 131 91 ]31 71 41 21 31 121 221 6 28 ' 121 151 81 §31 141
被削材直径
36.| 101 ヨー91 7R−gr81 113141 :01 10171 91 111 91 61 91 8
…5F 5「81 '21 "│ '│ '│ &│ 31 '│ #│ '│ '│ 4
…5F「§「副 I51 '│sl sl &│ 。│ 81 ]21 '│ 21 ''│ '41 9
18
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100 150 ①
自由蝋からの距鍵 画画
50 2側
第 1 図 50 150
自由端から の距雑燭嘩
第4図(3 −2)
0 200
込切1222−一一一一径紗dゆり直犯犯調
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込切3234一一一一一径ゆりのjI4000K4555
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﹁輿且割遡豈
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0 50 100 150
自由蝋からの距雛
第2図
一
200 一
自由端からの距離 廊厨
第5図
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1 1 1
150 一
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50 一 一
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0 50 100 150
自由婚からの距離…
第3図
200
自由端からの距雛 瓦圃
第6図
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帝号弩
これ等の結果を考察すると,被削材に切削抵抗が作用し て大きなたわゑを生ずるような,過度の不安定領域での 切削では,被削材がたわんで逃げ勝手になる場合と,バ イトに乗り上がった状態で切削される場合との二つが存 在しているものと考えられる。その変位する附近では (C>に見られる状態が現われるものと考えられる。試料 が少ないので充分な結果が得られなかったが,切込量を 細かく増して行くと, (A3', (B), (C), (E), (D),
と順次現われるものと考えられる。
3‑3 (D)について
さらに切込量を増したら,第8図に示されるように[A) 及び(B>に表われたものと全く異なり,先細になってい
るo
同じ被削材について真円度誤差を測定した結果,第9図 に図示されるように, 自由端に行くに従い真円度誤差が 大きくなっている。
叉前項と同じく断面形状を測定した結果,第10図に示さ れるように明らかに楕円を示している。
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20
4結 言
極端に不安定と思われる領域までの切削試験を行なった 結果。
1. 切込承が浅いうちは,被肖附の逃げ勝手によると思 われる先太の形状となる。
2. 切込承量の増加に伴い,先細の形状に変わる。
3. 切削状態が不安定になると,被削材の断面が楕円を 呈して削られる。叉楕円の長軸はいずれの場合もチャッ
クの爪の位置には表われなかった。
試料数が少なく充分の結果は得られなかったが,今後の 実験の方針を得るに有意義であった。
引用文献
(1)例えば 日本機械工業会
工作機械の構造に関する研究
直径一切込
3345−一一一︒ゆり砂64403445
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000321 000
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脚由端か ら の距離 厘画
第9図
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自由端か ら の距離趣。
第10図(361‑3)
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