静電容量による変位測定の精度について
(変位量の大きい場合のキャリブレーション曲線)
門脇義次 後藤美千男
F 〃 直流増巾器 DA‑l
G横河電機製 電磁オシログラフ
EMO‑121
使用振動子G・ 1,000 なお微少変位計の,回路の概略を第2図に示す。
1 . 緒
二 三 亘
本測定法は,測定物の変位を静電容量の変化に変換検 ll│する方法で, 出力をシンクロスコープ,電磁オシログ ラフ等に接続することによって動的状態も容易に観察出 来る。
又測定物に非接触で測定出来ることから,回転体の観 察に適しており,工作機械主軸の心振れ測定などに用い られ, 成果を上げている(l,。 しかし比較的変位量が小 さい範囲での測定であるため,電極と測定物との平衡間 隙を狭くとって,高感度の測定をおこなっているが,変 位量の大きい場合には,測定範囲の延長を計るために平 衡間隙を大きくとらなければならない。
平衡間隙を大きくした場合,感度が著しく低下するた め,精密測定の目的が達せられない。 これを補うため,
出力を高倍率に増巾しなければならないが,増巾するこ とによって,測定条件や,機器系統の微細な因子に影響 されて, ドリフトや雑音レベルの増加が考えられる。
本実験では,測定機器の綜合的な特性を求めるため,
増巾された出力をオシログラフに接続して,オシロク.ラ ブ上で安定した振れを示す範囲内での特性を求めた。
リンク変洲回路 一
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〒︲︲ ろ波回路 記録器へ
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第 2 図
2. 2電極の測定物測定物が平面である場合には問 題ないが, 円筒面の場合,対向面積が一定であっても,
電極の対向面に対し,測定物が平行に変位した場合,有 効な対向面積が変化し, これが測定精度に影響すること が考えられる。
このことから,第3図に示す電極を自作して,その特 性を求めた。
一方,測定物が円筒の場合,直径の違いにより,有効 な対向面積が変ると考えられるので,測定物の直径を,
2. 実験装置
2. 1 使用機器, 本実験に用いた機器を第1図に示
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十一十測定物
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第 1 図 一
図において D岩崎通信機製
E 〃
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微少変位計 MD‑31
同上プロ= MDG‑643 第3図 電極形状
40
ス)と定めた。 4)平衡位置より, 測定物を片側測定範 囲に相当する距離だけ接近し, この距離を近ずく方向の 最大変位とし,光点が記録紙上で, マイナス方向に最大 振り巾を示すように, 増巾率を調整した。5)平衡位置 からの変位を,縦軸(y)とし,記録紙上の光点の振れを 横軸(%)として, キャリブレーション曲線を求めた。
3. 3実験の組分け次に示す三種の測定条件に組分 けした。
l 平衡間隙及び片側測定範囲を一定とし,測定物が 円筒の場合の直径, 材質,及び電極形状の各因子につい て,各々4水準をラテン方格に配置し, これらの因子が キャリブレ lションllll線に及ぼす影響を調べた。なお測 定条件を第1表に示す。
第1表 実験lの測定条件 平衡間隙 4.00mm 片側測定範図 0.33mm 自作電極寸法表(第図)
電極 │ 。(mm) │ b(mm) I NC | ヨ8 13 1 848
l
No.2 1 4704 6.12
N・3 | 00# | 76 1
M
NQ4 1 20山
材質 黄銅
48mm, 30mm, 20mm, 12.5mm, として測定した。
又,材質の違いによる特性についても,黄銅, アルミ ニウム,軟鋼及び鋳鉄について検討した。
3. 実験方法
3. 1 測定方式,測定物の変位量を,静電容量の変化 に変換するため,次の二つの方式が主として用いられて いる。すなわち, a)対向距離を変化する方式, b)対向 面積を変化する方式,である。本実験では,回転体の変 位測定に適しているa)の方式によった。
3. 2測定方法,第4図に示す如く, マグネットスタ ンドに取付けた電極を, 定盤上に固定し, 一方測定物
| 測定物直径mm
l 」25 1 20 1 30 1 ・§
│No 31Nq21No」│NC 4
アルミ ニウム 黄銅
測定物材質 負
│N・ 4 1No3 Nq2 1No. 11
鋳鉄│No」│NC 4INq31No2
"│No21No」│No 4匹う
|軟
・表中No.は電極形状を示す。 (第3図参照)
I 測定物の材質及び電極形状を一定とし,測定物が 平面の場合について,平衡間隙及び片側測定範囲を第2 表に示す様に変え, 安定な測定が出来る範囲で実験し た。
第2表 実験Iの測定条件 測定面 1E102mm高さ41mm
測定物材質 鋳 鉄
電 極 No.3(第3図参照)
壷
蕊
第5 図
は.工具顕微鏡の微動敷物台に戴せて移動した移動し た量は,戴物台移動用のマイクロメーター (感度0.002 mm)によって測定した。
測定の手順は次によった。 すなわち, 1)電極と測定 物を密着し, 隙見によって,間隙Oの点を求めた。 2)
電極と測定物の間隙を平衡間隙とし,微小変位計の平衡 を行った。3)オシログラフの振動子による光点 (以後 光点と呼ぶ)を,入力オフの状態で,記録紙巾の中央に 来る様調節し, オンの状態では,平衡位置より,近ずく 方向の振れを(マイナス),遠のく方向の振れを (プラ
平衡間隙 m、
│ ,5 1 1 ○
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片側測定範囲目日 0.05 叫司司一訓 o」31 /
0331 / 0831 / 2 '01 /
○○|/|/ ○一○|//
表中,斜線はドリフトその他の理由により測定 不能の条件を示す
第5表 実験Iの場合の回帰直線 y=CYx+βにおけるβ
Ⅲ測定物が円筒の場合について, Iと同様に実験し
、 ノ. .:
た。なお測定条件を第3表に示す。
第3表実験Ⅲの測定条件
測定物 直 径 3
〃 材 質 軟鋼
電 極 No.3 (第3図参照)
測定物直径mm
12.ぅ │ 20。3""8:0 Qo,291do645##QO4i」l ク4,.回
アノレミ ニウム
測定物材質
黄銅IM4921 QO4361 0062Ol OU'
| 平衡間隙 mm
l o, , ,、 ' 1 , ,, ' , '
鋳鉄 dO2311 '0:046010P3521"420 軟銅│ QO2ううIM4801QO3661叩妨 0肪' ○ ○ | /| / |/| /片側測定範囲︑/
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斜線は, ドリフトその他の原因により測定不能
の条件を示す
0 一
0 ユ0 20 30 40 50
伽 鋒…癖駁蕊苓塗診 測定物直径皿 3. 4実験のまとめ平衡位置からの変位(xi)と,
光点の振れ(yi)との関係から,最小二乗法により回帰 直線, y=cYx+βを求め,次にこの直線のまわりの偏
I
巨員
0。04 一
○
淵曜
差,/2(yo‑yi//nを求めた。ただし, yO=α郭i+6, nは測定点の数である。
4. 実験結果と考察
Iについてα及びβの値を第4表及び第5表に示 す。
第4表 実験Iの場合の回帰直線 y=α免十βにおけるa
一
一 −
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0.02 −
一
0 −
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一
No.2 Np、3
電極 一
A & . 0
測定物直径、
旨0.04 一一一一一
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’ 30.0
12.5 20.0
柵
曜0.02
Z蕊│"0831 Qoo841 Qoqgd
測定物材質
黄銅│ QOO8'│ QOO851 QOO''│
鋳鉄│ Q00811万00871 dOO801
軟鋼「丘凧│ qOO791000841 0 Cu・ AI FC SC
(C) 測定物材質
第5図 測定物直径・電極形状測定物材質 と偏差
対向面積に対し,電極巾bの大なるほど,有効な対向面 積が大であることから,直径と偏差との関係についての 考察と矛盾する。しかし偏差が大となる原因としては,
前述の場合の他,増巾率が大きいために,拡大された,
次に第5図に測定物直径,材質,及び電極形状と偏差 との関係を示す。第5図(A)によれば,直径と共に偏 差が大きくなっている。この理由として,直径が大とな れば,有効な対向面積が増すため,一定の測定範囲に対 し,平衡間隙が狭過ぎるためと考えられる。一方第5図 (B)によれば, 電極No.4の場合に偏差が最小であ ヌり,No.3において最大となっているb しかるに一定の
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42
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ドリフトや雑音によるものが考えられる。すなわち,電 極No.3においては,有効な対向面積が最小となり,従 って増巾率が最大であって,後者の理由によって,偏差 が最大となったものと考えられる。
測定物の材質に関しては,電極と同質である黄銅の場 合偏差が最少であって, アルミニューム,鉄類の順とな
る。
Iについて片側測定範囲に対する,α及びβの値を それぞれ第6図・第7図に示す。又平衡間隙と偏差との 関係を第8図に示す。第8図によれば片側測定範囲0.05 mmの場合に明らかである様に,‑ある平衡間隙において 偏差は極小値をとるdこの要素を明らかにするため,測
定値と回帰直線との関係を第9図に示す。図は片側測定
範囲一定(0:05mm)ゐ場合の,g偏差が極歩値に近い平 衡間隙のもの一例と平衡間隙がこれより狭v場合, ・及び 広い場合のそれぞれ一例を示す。̲第8図及び第9図によ って片側測定範囲が一定の場合,平衡間隙が狭過ぎると
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第8図 実験条件Iの場合の平衡間隙と偏差
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曲線を直線に回帰したために大きな偏差が生じ,広過ぎ ると増巾されたドリフトのために大きな偏差を生ずるこ とが明らかである。
本測定法において,測定の便宣上キャリブレーション 曲線の直線性が問題となるが,ある片側測定範囲におい て適当な平衡間隙,すなわち,偏差が最小の平衡間隙に よれば最良の直線性を得ることが知れる。
, Ⅲについて片側測定範囲に対するα及びβの値をそ れぞれ第6図及び第7図に示す。又平衡間隙と偏差との関 係を第10図に示す。第10図において,片側測定範囲0.13 mm及び0.33mmの場合に,偏差の極小値が平衡間隙 の小さな範囲に移っていることが分る。この理由は測定 物形状の差によるものと考えられる。すなわち電極に対 する対向面が円筒面である場合には平面の場合に比べ有 効な対向面積が狭くなる。従って増巾率を上げるため,
ドリフトなどによる偏差が増すものである。ゞ又第8図と 第10図との比較によって知れる如く,測定物が円筒の場 合には平面の場合と同じ程度の直線性は期待できない。
キャリプレーション曲線と回帰直線の関係を示す一例 として,片側測定範囲0.33mmの場合を第11図に示す。
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第6図 回帰直線y=crx+βにおける:片
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第7図 回帰直線y=α力+βにおける片 側測定範囲とβ
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第11図 片側測定範囲0.33mmの場合の測 定点と回帰直線(実験条件Ⅲ)
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lにおける実験結果によれば 電極No64すなわち,
円板状の電極によると偏差が最小のキャリブレーション 曲線を得るが,電極の対向面と平行な方向の変位が同時 に起こる場合には 対向面積が変化し,誤差が最大とな ることが考えられ, I及びⅢにおいては電極No.3を 用いた。なお測定条件をⅢと同様にし,平衡間隙におい て,電極形状の違いによる影響を第12図に示す。
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第9図 片側測定範囲0.05mmの場合の測 定点と回帰直線(実験条件I)
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第10図 測定条件Ⅲの場合の平衡間隙と偏差
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測定物の仕上面粗さの影響を調べるため,測定物の材 質に鋳鉄を用い直径30mm,表面粗さをHmaxO.5脾及 U:Hmax20〃の2種について,電極No.3を用いキャリブ レーション曲線を求めたがほとんど差が認められずこ の程度の表面粗さの違いは無視出来る。
5. 結 言
静電容量変化による微小変位の測定において,適切な 電極形状と平衡間隙を採れば測定範囲が広い場合におい ても,直線性の良い測定が可能であり, しかも,適切な 平衡間隙は測定物形状が平面である場合と,円筒面であ
る場合とでは異なることが分った。
なお本実験をおこなうに当たり協力戴いた本校機械工 場の職員諸氏に感謝します。
引用文献
(1)後藤・渡辺機械学会誌(Vol66No.536 P1171)
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