旋削中の被削物の振動と仕上げ面のうねり について (第2報)
−実験計画法による静的な検討一
門脇義次 後藤美千男
TurningVibrationofWorkpieceandUndulationRemainedonthe
MachinedSurface. (2ndReport)
‑StaticlnvestigationbytheDesignofExperiments‑
YoshituguKadowaki, MitioGoto.
(昭和46年10月28日受理)
これは,いづれの方向にも等価であると考えて,最も単
純な方法によったものである。なお,大隈鉄工所製, 450×1250(5kw)を供試旋盤
とし,北川製作所製,三ツヅメスクロールチャック (6‑700N)を取付けて用いた。
1. 緒言
イ1)
前報において,著者等は,三ツヅメスクロールチャッ クを用い, きわめて長い突出しによる旋削の結果,被削
物はほぼ主軸一回転を周期として変位し, この変位の水
平方向成分と,旋削後の断面形状におけるうねりとがほぼ一致すること。さらに,主軸一回転中の周波数スペク
(2)
トルによって,チャックの爪の影響と考えられる第3次 のスペクトルが長いこと。などを明らかにした。
チャックの爪の影響について,静的にのゑ認められる
(瓢 (1)
とする報告がある。しかし,前報において,長い突出し
によったことを考慮すれば,一般の切削,あるいは動的 な実験においても,チャックの爪の影響は現われるが,その量は少なく,無視されて来たものと考えられる。し かも,チャックの爪による影響が少ない場合であっても
これが強制振動の加振源となり,主軸の回転数が,被削 物を含む主軸系の固有振動数をチャックの爪数で除した
値に近い場合には,励振されることが考えられる。チャックの爪の影響を定量的に求めるため,その第一 段階として,静的に実験を行い,一応の成果を得たので 報告する。
2. 実験方法
零
図1 測定方法
一方,試験片は荷重点に深サ1 .5鯛加の溝を有してい
ウ
る。
表1 24型要因実験における要因と水準
二=−ニテ =一−−=・ ‐=二 二一一
要
i材削│直径⑧,雫付モーらン│荷重。
'低水準i軟調r凧而「頁2凧価凧
水準−−−
高水準鋳鉄a:, 40""b)' 8. 1"9‑"@(c)43.4"'d)
2. 1測定方法試験片を含む,主軸系の,荷重によ
る変位を測定するため,図1に示す如く,チャックに締 付けた試験片の左端におもりをかけ, この時の垂直方向 の変位を,ダイアルケージによって測定した。
(1)
荷重及び測定の方向は,前報から,水平方向が望まし
いが,チャックの爪の影響を調べることに重点を置き,2.2実験計画法切削などの様に,影響する要因が 多いと予想される場合には,実験計画法によって,その
影響の度合を調べておくことが,実験の第一段階として
(4)
有効であり,本実験では, 2イ型要因実験を採用した。こ の際の,要因ならびに水準を表1に示す。
各要因において,その水準は,一般に行われている作 業条件から,極端に過ぎないもの二つを選んでいる。
なお,鋳鉄は,試験片間のバラツキが少ないと考えて 連続鋳造法による製品を用い,チャックの締付けモーメ ントは,熟練した旋盤工が締付ける力を,チャックハン ドルにはりつけたストレンケージによって測定し, これ をもとに決めたものである。しかし,チャックの締付け は,ハンドルに加わるモーメントのみでは決定されず,
締付け速度も影響すると考えられる。これは同一実験者
により,出来る限り一定速度で締付ける様に注意しつつ 行った。
図1の様に,突出しが長い場合は,荷重による変位の 内,試験片のたわぷによって,生ずる部分が主であるこ とを考えると,材質,直径,及び荷重の各要因は独立で ないことも予想される。しかし,チャックの爪のたわゑ の影響も同様に大きいものとし,一応これらを独立に扱 った。もし, この様な仮定が正しくないとすれば,分析
(5)
の際に交互作用として,有意となるはずである。
50
00
15︵建言三︑○ 01
半哨Q△二
5●0
︑YK肉やい
~1
0.1
0.05
5 10 15 20
周 波 数(/rev.)
図3離散的スペクトルの例実験条件
軟鋼, 201, 5.2〃'‑", 23.4kg
25
3. 実験結果
3. 1 実験結果の整理初め,荷重を加えず,手動で 静かに回転し, 15。おきのダイアルケージの読みを,回 転角を横軸として整理し,無負荷曲線と名づけた。
無負荷曲線は試験片をチャックに締付ける際の偏心,
すなわち,主軸一回転を周期とする三角函数と,表面粗 さなどの形状誤差を加えたものである。
次に,荷重を加えた場合の読みを,無負荷の場合と同 様な整理をし,負荷曲線と名づけた。負荷曲線では,初 めの数回転まで,ほとんど周期性のないことが判り, 30 回転以後の測定結果のゑ用いた。
負荷曲線と無負荷曲線との差を,各回転角について求
め,変位曲線と名付けた。これにより,取付の際の偏心
や形状誤差が除かれたことになる。以後の解析は主として, この変位曲線に関して行った
ものである。40 0①● 第第第 123 次次次
︵置き三︑︒+岨Q−ミ︑YK丹やい 0
O
3o
O ●
●
●
Ooe O
審
①
⑪●① 。
。c; 。
0
1
10 100
/零、串
000 00
12−一旬︶勿膿Q公l恥ミトや︑と≦弩
、一α
傘
鍼−2鍼−2
万一ワ︼万一ワ︼
冗
回転角
冗
回転角 ① ①
1,0 o無負荷
・負荷
①変位 負位荷荷
①
① ●も
① ● ①●
●
災験条件 鋳鉄 20窮飼
5.2勾一祁
23.4ルワABCDABCD
①
、
0.1 1.0 10
ラインスペクトルの長サ(1/100〃")
図4実験の繰返しによる相関
−300 100
図2 無負荷曲線,負荷曲線,変位曲線の例
旋削中の被削物の振動と仕上げ面のうねりについて(第2報) 35
上記の三曲線の一例を図2に示す。 である。(2)
変位曲線を,時系列函数と同様に取扱い,かつこれが
図4によって,第3次のスペクトルは再現性の強いこ主軸一回転を周期とする周期波形であることから,主軸 とを示している。
一回転内での,離散的周波数スペクトルを求めた。 3.2実験結果と考察各条件での離散的周波数スペ 離散的周波数スペクトルの代表的な一例を図3に示 クトルにおいて,個々のラインスペクトルを指すのに,
す。
第1次のスペクトル,第2次のスペクトルなどの様に呼
さらに,本実験における,測定ならびに計算結果の再 び, しかも, これらの各スペクトルは各を異なる物理的 現性を吟味する目的で,同一条件での実験を二回行っ 原因,ないしその組合せによって生ずると仮定して,次
た・二回目の場合は前回と同一の試験片を用い,チャッ の様な解析を行った。ただし,図3によって,第4次以{11
クに対し, 60。回して締付け,爪が前回の個所に当るこ 上のスペクトルは短かいことが判り,前報と同様にこれ
とを避けて行った。二回の実験結果について,第3次迄 を省略した。のラインスペクトルを相関図として表わしたものが図4 3.2. 1 第1次のスペクトルラインスペクトルの
表2 YETESの方法による第1次スペクトルの比較解析
実験条件 | 変位成分 |−−
計
算 二乗平均一
(1) (2) I (3) (4)=効果 4.30
2.00 2.46 1.53 5.02 1.81 0.79 1.32 13.39 4.76 4.52 5.02 19.34 10.54
4.56
18.6694913839121774312961261257663719
●●●●●●の●●●●●●●●凸0873328524861392
25一一一一一一一21 6.30
3.99 6.83 2. 11 18. 15 9.54 29.89 23.22
−2.30
−0.93
−3.21 0.58
−8.63 0.50
−8.81 14. 10
19.23
80.80−5.91
−2.84
−7.03
−15.28 5.11 32.04
−135
25.420.55
13.42−2.41 1.94 2.37
13.78 1
a
b ab
C ac
bc abc
d
‐ ad bd abd
cd acd bcd
abcd
旧一丑321−161−2210827430613866241
●●●■●●●●●●●●●●●●35157775775377510731094150297834 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一︒|一一一一一一一一一 ︑ABACABADABACABA
tBCCBDDBDCCB
al CDDDC D
4.7852 31. 1085 86.2577 36.2103
△12.1976
△0.0138
△16.3014
236.9291△0.5891
△4.2539
45.3266 44.7896△10.3523 A1.1827
△8.1368
−
△印=分散分析における誤差変動
表3 第1次スペク トルの分散分析表
動 原 因 二乗和 │ 自由度│ 分葱│≦F 盾1F"%jl雨弱那意禾準
一 一 一 一
変
2
3334166 7129|脱朏佃馴
質径ト重
ン
メ
モ付材直締荷
I
果効
一主J
’
1111
4.7852
31.1085 36.2103 236.9291
妬〃〃〃
●
1 1
0.7165 4.6580
5.421935.4764
兇〃〃〃
■
5
’
■■■■■■■■
|%% 5999
交互作用
’
材質と直径と荷重
材質 と 直径
締付モーメントと荷重
%%%595999
45.3266 86.2577
44.78%111
45.3266
86.2577 44.7896
6.7869
12.91576.7065
″″″ ″″″
’
’| ,3〃 |
誤 差
−−−−−−盲F−i−−−
合
8 1 6678う
1−1
’
'ぅ |
(5) クトルの長さを比較すれば,軟鋼の201,鋳鉄の20 長さについて,各要因の効果をYetesの方法によって解
,軟鋼の40#,鋳鉄の40 の順に短かくなり,直径 析したものを表2に示す。ここで実験条件は,低水準を
が小さく,軟らかい材質ほど,長いラインスペクト すべて1とし,高水準をa, b, c, d, としたもので
ルを有すると考えてよい。
あり,それらの組合わせを積の形で表わす。
(例えば,すべてが低水準の組合わせの場合は1×1×
(3)試験片のたわゑの影響を直接表わすと考えられる 交互作用ABDは有意である。一方, ラインスペク
1×1=1とし,すべてが高水準の場合は, a×b×cXd=abcd とする)
トルの長さは,軟鋼の201と43.4〃',鋳鉄の40'と 表2にもとずき,分散分析を行ったものが表3であ 23.4〃などの順に短かくなる。
る。表2,表3等から,有意水準の高い順に検討を加え これが試験片のたわゑによるものとすれば,縦弾
ると, 性系数が小さく,直径が小さく,荷重の大きな組合
(,)主効果Dが正の値を取って有意であることから, せほど,長いラインスペクトルを有するはずであっ
荷重の大きい方が, ラインスペクトルは長い。 て,上記の順序よりすれば,単なる試験片のたわみ
(2)交互作用ABが有意であることから, ラインスペ
によるものとは考えられない。表4 YETESの方法による第2次スペクトルの比較解析
升一
実験条件
一一
一果
効
言 算 秬
一 一一−
変位成分 二乗平均
1111
−0.16
1.680.29
0.32 0.75 1.990.10
0.22 0.74 2.81 0. 13 0.36 2.98 2.820.46 1.33
1.84
0.61
2.74 0.32 3.550.49
5.801.79
1.52 0.031.24
0. 12 2.07 0.23−1.16 0.87 1
a
b ab
C ac
bc abc
d ad bd abd
cd acd bcd abcd
56495601326192434005533724004180
●●●●◆●●●●●●●●●●●2347112012341111
一一一一一一一 13113711159995775690606865151938
●●●●●●●●●●●●︒●●●5 1 2 3 3 7 2 0 0 3 0 1 1 0 0 7一一一一一一一一 CD l
atBCCBDDBDnABACABADABAC 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
4222684420204↑1974171211489↑●●●●●●●●●●●●●7503412360312・引一一一1
2.1904
7.1824
0.7310 1.0816 0.1980 0.2862 0.6561 2.3409 0.0006 0.7310 0.20250.5402
0. 12250.0036
0.3906△
△△△
’
△△
△△△△一Dl
DDC︐CCB−CABA三一咋峠︽
一
I l I I
︲
」− |
△印=分散分析における誤差変動
表5 第2次スペク トル分散分析表
変 動原因 | 二乗霜 で言壼蘆│了=蔦下了=埴弓雨踊│壹宿(,,%)│有意水準
:| |淵
1 1.0816
1 1 2.3409
2. 1904 1
7. 1824 1.0816
2.3409材
質直
径
主効果締付モーメント
荷
重
6
9〃〃〃4
5.9847
19.6240 2.9552 6.3959
10.04
〃
〃
〃
95%
99%
95%
材質と直径と荷重 α血, 1 202,
交互作用
〃 〃
0.5527
差 10 1 03660 1 |
15
誤 3.6598
計
■
■
■
■
■
■
■
■
■ I 6 H U B 9
Ⅱ 1 甲 卜 上
■
■
■ B
■
■ 8 口
■ 日 日
Ⅱ
Ⅱ
Ⅱ q B B q
合
秋田高専研究紀要第7号
験片に,チャックの爪によるくぼみが生ずるためと考え られる。この様な, くぼ承の深さは,締付モーメント,
試験片の軟らかさ,などに影響されることは,明らかで ある。
3.2.2 第2次スペクトル図3及び図4によって
このラインスペクトルは,一般に,第1次及び第3次の
(1)
ものに比較し,短かいことが判る。これは前報における
切削実験でも,ほぼ同様の傾向が見られた。ラインスペクトルの長さについて,各要因の効果を,
第1次と同様に解析した。これを表4及び表5に示す。
表4,及び表5によって,直径,荷重,材質の影響が 明らかである,すなわち,有意水準の高い要因から述べ ると,
(4)交互作用CDに関しては,締付モーメントの大き な場合と大荷重との組合せで, ラインスペクトルが
長いことを示している。(5)主効果Cが正の値を取って,有意であることから
締付けモーメントの大きい方が長いラインスペクト ルを有する。以上を綜合すると,第1次のスペクトルは,荷重と締 付けモーメントとに左右されるものであり,単なる試験
片のたわゑによるものではないことが判る。しかも図4によって, このラインスペクトルの長さは,再現性に乏
しく, ここにのべた要因によって,その原因を表わすこ とは出来ないが,荷重を加える際の加え方, (初め,お もりをかける時,多少の打撃を伴なう。)によって,試
、
表6 YETESの方法による第3次スペクトルの比較解析
芯
実験条件 | 変位成分
(1) 計 (2) (3) (4)=効果 算
' 二乗平均8.62 6.15 29.94
18.55 0.861.77
10.38 1.69−7.28
−5.49
−16.56
−9.33
−0.36
−1.47 0. 12 5.77
14.77 48.49
2.63 12.07−12.77
−25.89
−1.83 5.89
−2.47
−11.39 0.91
−8.69 1.79
7.23−1.11 5.65 3.67
4.28 0.21 0.46 2. 10 3.72 0.09 0.24 9.06 14. 19 0.72 5.97
7.99 5.95
0.444.17
7.95 0.67
5.82 0.33 23.25 6.69 13.944.61
0.61 0.25 1.62 0.15 5.13 5.25−2.04
3.73
斗一一一61331 3484379439378956
●●●●●●●●●●●●●●●●60666824242220462760870574179647 l−一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 nABACABADABACABA
tBCCBDDBDCCB
al CDDDC D
bCCddMddd︑m−C
岫一
1品a詞︐C勺D勺qa司りccCaa制Daaa司り13.5056
93.4122△1.0302
12.0062△3.7830 A5.0850
△1.2882
71.0649△5.5696
△10.7584
3.7249△4.9729
△5.7600
△1.8496
△2.8561
△印=分散分析における誤差変動
。
表7 第3次スペク トルの分散分析表
−
蔦一因−1 三乗和「百 百度│秀散「F EIF"'5%)IF値(99%)│有意水準
−−−
変
動
鯵
材 質
直 径
主効果締付モーメント
荷
重I %〃〃〃
●
4
13.5056
93.4122 12.0062 71.0649
1111
13.5056
93.4122 12.0062
71.06心3.1443
21.7475 2.795216.5448
】、04
濯蠅径 荷重|,剛, | | ,剛, @伽| ,|"|=
交互作用
差 42脱0 1 10 1棚男 | ・加
11 |誤
|
計 | 旧
合
−
昭和47年1月
(1)主効果Bが負の値を取って,有意であることから 直径の小さい方が, ラインスペクトルは長い。
(2)主効果Dが正の値を取って,有意であることから 荷重の大きい方が, ラインスペクトルは長い。
(3)主効果Aが正の値を取って,有意であることから 鋳鉄の方がラインスペクトルは長い。
以上を綜合して,第2次のスペクトルの原因として,
たわゑが上げられる。しかし,交互作用ABDの有意水 準が低いことから,試験片自体のたわゑとは考えられず 試験片一回転に付,二度ピークの存在する現象について
目下実験中である。
50
40
乎、へ
ら30
02週鼠色鎚劉
J〜イチ一C 垣
喝ルーC
密
10
︵ご︶垣懲霊超溌
0 50 100
荷重点からの距離(加孤)
図6 チャックの爪の位置と荷重と除去の 繰返しによる塑性的変位の相違
(里鵠警藻去蒋鯨蕊と逵誤寺)
150
(2)主効果Dが正の値を取って,有意であることから
荷重の大きい方が, ラインスペクトルは長い。しかし,第2次の場合と同様,交互作用ABDが有意 でないことから,第3次のスペクトルの原因は,試験片
自体のたわゑによるものとは考えられない。さらに, ここに例示はしないが,第3次のスペクトル における,位相の遅れは,いづれもほぼ60.であった。
このことは,図2に示す,変位曲線の一例においても
明らかであり,チャックの爪の一つが,真上にあるとき 最も変位しやすいことを示している。これを,確認するため,ほぼ上記と同様の測定を,試
験片の軸方向について行った。この際の供試旋盤は,池
貝鉄工所製EC/18 400×800(3.7kw)であり, これ に,北川製作所製三ツヅメスクロールチャック(6‑828)を取付けたものである。
試験片は,軟鋼, 25.8ゅ,荷重点までの距離を280卿膨,
つか承代35獅卿とした。
軸方向のダイアルケージの移動は刃物台の縦送りによ
150 200
チャック本体端面からの距離(加加)
の相違
図5 チャックの爪の位置による弾性的変位
│鑿羅篝撫蓋震;憲鯏
25()
‑伍
一
夕
3.2.3 第3次のスペクトル ラインスペクトルの 長さについて,各要因の効果を,第1次,第2次と同様 に解析した。その結果を,表6,表7に示す。
表6,表7によって,直径と荷重の影響が明らかであ る。すなわち,
(1)主効果Bが負の値を取って,有意であることから
直径の小さい方が, ラインスペクトルは長い。
った,移動の際の誤差,ならびに,試験片の取付誤差を
除くため,最初,無負荷状態で,各測定点での,ダイア ルケージの読承をlとし,負荷状態での,同様な読みを I,さらに荷重除去後の読みをⅢとして, IとⅢの差を 弾性的な変位, ⅢとIとの差を塑性的な変位と見なし
た。
図5にチャックの爪の一つが真上に来る場合の三点と 真下に来る場合の三点の,各測定位置鋤方向)での弾 性的な変位の平均を示す。なお,同図に示す二線の間に は,統計的にも有意差があり,弾性的な変位には,チャ
ックの爪の位置による相違が明らかである。
又,チャックに締付けた試験片を,片持ばりと仮定し た計算値を,同図に,実線で示してある。しかし,爪の たわゑを考慮して居らず,実際の変位との間に大きな相 違がある。チャック本体の端面を一応固着端と見なし,
参考のため示したものである。
一方,図6に,塑性的な変位を示す。この様な塑性的 変位は,チャックの爪の位置の他,同一条件であっても 何番目に測定したかによって異なる。これは,前回の実 験において,負荷状態で,初めの数回転は,周期的な変 位とならない理由が, この様な,塑性的変位の変動によ
るものであることを示している。
以上のことから,第3次のスペクトルは,チャックの 爪によって起こることは明らかである。
などの事項が明らかとなった。
最後に,本実験に終始協力を戴いた本校実習係の諸氏 ならびに当時学生,相原昭雄,山内拓二の諸君に感謝致 します。
叉,京都繊維工芸大学教授,井上友一氏には多くの示
唆を戴きました。ここに記して,感謝の意を表します。
なお,周波数スペクトルなどの計算には,東北大学大 型計算機センターを煩わした。
文献
1)門脇,後藤秋田高専研究紀要5, 13,
(1970)
2)中村常郎機械の研究23−5 775(1971)
堀井明ランダム変動の解析共立
3)井上友一精密機械23−3 15 4)奥島啓弐,人見勝人,棚橋次彦機械学会論文集33−255 1869 (1966)
5)W.G.CochranG.M.COX
実験計画法(I), 丸善
北川敏男実験計画法講義(I),培風館
6) S.A.TobiasMachine‑ToolVibvation,Blackie⑨
S
3. 結言
三ツヅメスクロールチャックを用いた旋削において,
切削中の被削物の水平方向変位に関する,周波数スペク トルによれば,爪の影響と考えられる第3次のスペクト ルが,比較的長いことから,被削物を含む主軸系の,荷 重による変位について,実験計画法により,静的な検討
を行った。その結果,旋削における場合と,ほぼ同様の 傾向を示し,(1)試験片を含む主軸系の,先端荷重による,荷重方 向の変位は,初めの数回転を除いて,ほぼ周期的で ある。なおこの際の周期は,主軸系の一回転に相当 する。
(2) この周期波数の周波数スペクトルによれば,第1 次と第3次が支配的であり,第4次以上はごく小さ
い。
(3)第1次のスペクトルの主原因は,試験片に生じた チャックの爪による,塑性的変形と考えられる。
(4)第3次のスペクトルの原因は,チャックの爪の位
置によって剛性が異なるためと考えられる。(5)材質,及びチャックの締付モーメントによる効果
は,荷重及び直径の効果に比べ小さい。6
−
。−
昭和47年1月