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斎 藤 義 則 斉 藤 充 弘

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(1)

立地形態変容と市街地構造について

斎 藤 義 則 斉 藤 充 弘

1.はじめに       え,中心核の立地形態,中心市街地の形態,道路 高度経済成長を終え成熟社会に入った我が国に  体系を市街地構造を構成する3要素として分析を おける国土政策の重要な課題の一つに,多極分散  進める。特に,中心性の強化を図るうえで最も重 型の人ロと都市機能の配置ならびに地方分権化の  要と考える中心核の立地形態の変容を基軸にして 推進があげられている。その多極と地方分権化の  市街地構造との関係を分析する。

受け皿として想定されているのは人口規模の大き   地方中小都市に関する既往研究の蓄積は少なく,

な地方中枢都市や地方中核都市であり,地方中心  都市計画77号で特集された「地方都市計画論」以 都市や地方中小都市はその人口と都市機能の集積   降,あまり行なわれておらず,和田幸信氏が行なっ の低さから明確な位置づけがなされていない。   た地方小都市の概念規定と人口構成の経年変化に 一方,一貫して戦後の国土政策の目標の一つで  関する一連の研究幽),戸沼幸市氏の都市の人口 あった「国土の均衡ある発展」を図るための所得  集中地区人口規模と市街地構造との関係を分析し と人口を中心とした「地域間格差是正」から様々  たもの(注5)以外に本格的な研究はなされておらず,

な要素を対象とした「地域内格差是正」がもう一  筆者が地方中小都市の居住地特性を全国の235市 つの重要な目標に掲げられるようになった(注D。  町村へのアンケート調査から明らかにしたも 国土レベルにおける多極分散政策が地方中枢都市   の(注6>,地方都市圏の人口分布とその変容過程に や地方中核都市において重点的に展開されるなら  果たす中小都市の役割を分析したものがある(注7)。

ば,地域内におけるこれらの人口と都市機能の集   なお,シンポジュームとして「小都市の魅力」

積が高い都市とそうでない地方中心都市や地方中   をテーマに日本都市問題会議が開催したもの(注8),

小都市との間の地域間格差が拡大する恐れもある  1995年8月に日本建築学会都市計画委員会が開催 と考えられる。従って,地域間格差の是正と地域  した「地域像と計画のパースペクティブ」があり,

内格差是正とを同時に抑制し緩和するには地方中   地方都市に関する広範な問題提起をしている。

心都市や地方中小都市の中心性の強化が極めて重    本稿の研究目的に最も近いのは,戸沼幸市氏の 要な課題である。特に,これまで全く戦後の国土  研究であるが,氏は小都市を人口集中地区人口で 政策の上で重要な拠点として位置づけられたこと   1万人〜3万人〜数万人までで10万人を越えない のない地方中小都市(注2)の振興策を検討すること  ものと規定している。そしてその市街地構造の特 は急務の課題になっていると考える。また,第5  徴として,3万人までは「中心となる道路が一本 次全国総合開発計画の策定において小都市を再評   あればそこに商店や業務施設が配置されて,いわ 価しようとする指摘もなされるようになった(注3)。  ば線的にその都市活動が運営される」と指摘し,

本研究は,上記のような基本的な認識に基づき,  「人口3万人を越すと一つの線型システムではす 地方中小都市の中心性の強化を図るためには,ま  まなくなり,線形が2つ3つと格子に組まれ,や ずそれぞれの市街地構造の実態とその変容を明ら  や複雑な様相をもってくるが,しかし10万人に至 かにすることが基礎的研究として必要であると考  るまでは3万人の加算型で比較的単純な型と見な

(2)

しうる」としている(注9)。       その実態を調査・分析し,類型化した。

中心市街地の範囲は,地形図および土地利用図 2.研究の対象と方法       における総描建物(注12)で表記される部分とする。

(1)研究対象       そしてその形態を面型と軸型との2つに分類した。

研究対象とした地方中小都市は,沖縄県を除いた   面型は長辺と短辺の比率が3:1以下の場合とし,

1985年国勢調査による行政区域入口が3万人以上  軸型は同様に長辺と短辺の比率が3:1以上の場 5万人未満で(注1°),同年度に自治省により設定さ  合と設定した。

れている広域市町村圏の中心都市で圏域内での最   中心核の範囲設定とその形態類型区分は,つぎ 大人口規模である,全国の99都市である。     のように行なった。

表1は研究対象都市の概略を示したものである。   1945(昭和20)年代の地形図では,総描建物の 行政区域人口の全国平均が39,159人,人口集中地   うち網目状に表示されている範囲を中心核の範囲 区人口(DID人口)が14,004人である。なお,人   として設定した。そのような表示がない場合は,

口集中地区が設定されていない都市が3都市あ  総描建物として表示されている区域内に軸となる る。(削)人口増減率は全国平均では1.5%の増加で   道路がある場合にはその道路沿いを中心核とし,

あるが,北海道地方,北陸地方,中国地方では減  格子状の道路がある場合にはその街区を中心核と 少を示している。人口集中地区の平均人口が中部   した。1965(昭和40)年代後半以降の地形図につ 地方の9β74人から北海道地方の22,182人と3万   いても同様な方法をとり,土地利用図については 人未満であることは,前記した戸沼幸市氏の分析   商業集積地を中心核として設定した。

によれば線的な市街地構造を持っていることにな   中心核の形態類型をつぎの6つに区分した。軸 る。      型は,道路に沿って線的に形成されており長辺と

表2は,研究対象都市の分布を地方別・地形別   短辺の比率が3:1以上のものとする。面型は,

に示したものである。これを見ると,多様な地形  中心核の長辺と短辺との比率が3:1未満のもの をその立地基盤にしていることがわかり,自然生   とした。多核型は,市街地内に中心核が2つ以上 態系に調和した市街地を彷彿とさせる。また,東  形成されているものである。多軸型は,市街地内 北地方,九州地方などの過疎地を抱える地域に多   において2つ以上の軸的な中心核が形成されてい

く立地しており,研究対象とした地方中小都市の   るものである。複合型は,面的な中心核から軸的 地域振興に占める重要性を示唆している。     な核が延びていたり,又はその逆のように面型と

(2)研究方法       軸型の複合した中心核を形成しているものである。

市街地構造の実態とその変容の調査・分析は概   そして,中心核を形成していないものを未成熟型 ねつぎのような手順で行なった。         とした。

まず,都市化以前と都市化後の市街地構造の変    道路体系については,中心市街地における幅員 容を調査・分析するための基礎資料として,国土  5.5m以上の道路を対象として,そのネットワー 地理院発行の1945(昭和20)年代の五万分の一地   クを4つに分類した。軸系は中心市街地内に1本 形図を2倍に拡大したものと,1965(昭和40)年   もしくは2本の道路が平行に交差せず通っている 代後半以降の二万五千分の一の土地利用図もしく  ものである。枝系は,軸系の道路に1本もしくは は地形図を用いた。      複数の道路が枝状に交わっているものである。格

つぎに,市街地構造の構成要素を,おおむね人   子系は,2本以上の道路が交差して格子状の道路 口集中地区の範囲を市街地として,そこにおける  網になっているものである。網系は,複数の道路 中心市街地の形態,中心核の立地形態,道路体系  が不定形の道路網を形成しているものである。さ の3つに設定し,それぞれについて地図を重ねて   らに,中心市街地内に5.5m以上の道路がないも

(3)

表1 研究対象都市の概略

全 国 北海道(5) 東北(22) 関東(17) 北陸(11) 中部(5) 近畿(7) 中国(5) 四国(7) 九州(20)

人   口 (人) 39,159 35,258 40,662 41,313 38,705 36,053 38,675 36,631 38,812 38,601

人口増減率(%) 1.5 一4.0 1.5 5.0 一〇.6 1.4 1.3 一〇.5 0.5 1.8

世   帯   数 11,295 11,541 11,161 11,452 10,149 10,054 11,409 11,339 11,833 11,947

平均世帯員数 3.49 3.05 3.68 3.61 3.82 3.59 3.43 3.24 3.29 3.44 D.1.D.人口 14,004 22,182 14,113 11,792 i6,408 9,374 15,697 11,565 14,138 13,496

D.1.D.人口比率 35.1 62.8 34.1 27.9 38.3 26.3 40.6 30.8 36.3 34.6

(人口増減率は1980年〜1985年国勢調査による。他は1985年国勢調査による)

表2 研究対象都市の地方別・地形別分布 %)の3つの型だけである。

北海道 東北 関東 北陸 中部 近畿 中国 四国 九州 計 都市化後は6つの型に増加し,面型が22都市 山間地型 3 2 2 1 1 9 (22.2%),多核型が5都市(5.1%),軸型が27

沿海山麓型 3 1 2 1 2 2 3 8 22 都市(27.3%),多軸型が19都市(19.2%),複

山麓河川型 8 3 2 1 1 1 16 合型が21都市(21.2%),未成熟型が5都市

河 川 型 2 2 2 1 1 1 2 12 (5.1%)となっている。

河 ロ 型 1 1 2 2 2 8 (3)道路体系

台 地 型 2 1 3 都市化以前の道路体系は,軸系が7都市

山 麓 型 3 1 1 2 7 (7.1%),枝系が36都市(36.4%),格子系が14

平 地 型 7 4 4 2 5 22 都市(14.1%),網系が14都市(14.1%),生活

都市数計 5 22 17 11 5 7 5 7 20 99 道路系が28都市(28.3%)である。

都市化後は,軸系が6都市(6.1%),枝系が のを生活道路系と呼ぶことにした。         48都市(48.5%),格子系が12都市(12.1%),

これらの分析を踏まえて,都市化以前と都市化   網系が27都市(27.3%),生活道路系が6都市 後の市街地構造を構成する3要素の変容を分析し,  (6.1%)である。

地方中小都市の市街地構造特性を明らかする。    (4)中心核と鉄道駅

鉄道駅と中心核との関係をみると,鉄道駅のな 3.都市化以前と都市化後の市街地構造構成要素   い9都市(注13)を除くと,つぎの5つに分類される。

の特性      第一は,中心核が2つに分離している型で,駅を

(1)中心市街地の形態      挟んで2つの中心核が形成されているものが9都 都市化以前の中心市街地の形態は,面型が99都  市,市街地内に2つの駅がありそれぞれに中心核 市のうち63都市(63.6%)を占め,軸型が36都市  が形成されている都市が1つである。第二は,中

(36.4%)である。      心核と駅が離れている型で,駅と中心核をつなぐ 都市化後は,面型がさらに増加し82都市(82.8  道路もないものが10都市,双方をつなぐ道路が形

%),軸型が17都市(17.2)である。       成されているのが4都市である。第三は,道路沿

(2)中心核の形態      いに中心核が形成され,駅と接している型で,軸 都市化以前の中心核の形態は,軸型と面型がほ  系,枝系の道路沿いが8都市,格子系,網系の道 ぼ半数を占めており,軸型が54都市(54.5%)で,  路沿いが11都市である。第四は,軸系,枝系,生 面型が40都市(40.4%),未成熟型が5都市(5.1  活道路系に中心核が面的に形成されて,駅と接し

(4)

ている型で29都市ある。第五は,格子系,網系,   面型の中心市街地に面型の中心核が形成されてい 生活道路系に面的に形成された中心核が駅と接し  るのがほとんどを占めているのがこの型の特徴と ている型で18都市ある。      言える。

H型は,面型を維持しているものと面型から軸 4.中心核の立地形態変容類型と市街地構造構成   型に変容したものがそれぞれ2都市あり,軸型か 要素      ら面型に変容したものが1都市である。これらは

(1)中心核の立地形態変容類型の設定      中心市街地の拡大に伴って中心核が多核化したこ 表3は中心核の立地と形態が都市化以前と都市   とを示していると考えられる。

化後でどのように変容したかを6つに類型区分し,   皿型は,軸型を維持しているものが11都市,面 その変容過程を示したものである。        型を維持しているものが9都市,軸型から面型に 1型は,中心核の位置は変わらずに面的に拡大  変容したものが7都市と大きく3つに分れている。

し集中化した型である。これには22都市が該当し,  中心市街地の形態変容の違いに関わらず共通に軸 都市化以前の中心核の形態が1都市を除いて面型   型の中心核が延長されているのが,この型の特徴 である。       と言える。

H型は,市街地内に新たな中心核が既存の中心    IV型は,中心市街地の形態変容の結果,総て面 核とは離れた位置に形成されて,複数の面的な中  型になっているのが特徴で,面型を維持したもの 心核により多核化した型である。これには5都市   が13都市,軸型から面型に変容したものが6都市 が該当し,都市化以前の面型から多核化したのが   である。中心核が多軸化するには面的な中心市街 4都市を占める。       地の基盤が必要であることを示しているものと考

皿1型は,中心核が軸的に延長された型で27都市   えられる。

を占め,最も多い。都市化以前の中心核の形態は    V型もIV型と同様な傾向がみられ,中心市街地 総て軸型である。       形態の変容の結果,21都市のうち19都市が面型に

IV型は, H型と同様に新たな中心核が既存の中  なっている。その内訳は面型を維持したものが14 心核とは離れた位置に形成されるが,その形態が  都市と多く,軸型から面型へ変容したものが5都 軸型で多軸化した型である。これには19都市が該  市である。残りの2都市は軸型を維持している。

当し,都市化以前の中心核の形態は軸型である。   中心核の複合化は面的な中心市街地の基盤が必要 V型は,都市化以前の中心核の形態が軸型もし  であることを示していると考えられる。

くは面型であったものに都市化後に異なる形態の   VI型は,中心市街地の形態が面型を維持してい 中心核が連続し,複合した型である。これには21  るものが3都市,軸型を維持しているものが1都 都市が該当し,都市化以前に面型の中心核から変   市,軸型から面型へ変容したものが1都市である。

容したのが15都市,逆に軸型から複合化した都市  中心核が未成熟なため,中心市街地形態の変容と が6都市である。       の関係は明らかにすることができない。

W型は,中心核が形成されていないもので,5   (3)中心核の立地形態と道路体系の変容 都市が該当する。      表6は,中心市街地の立地形態変容類型別に道

表4に変容類型別の都市名を示す。       路体系の変容を示したものである。

(2)中心核の立地形態と中心市街地形態の変容   1型は,都市化以前には枝系が4都市,格子系 表5は,中心核の立地形態変容類型別に中心市   と網系をあわせた面的な道路体系を形成していた 街地の形態変容を示したものである。       のが9都市,5.5m以上の道路がない生活道路系

1型は,中心市街地の形態が面型を維持してい  が9都市であった。変容の結果,格子系と網系は るのがほとんどで22都市のうち20都市を占める。  それぞれ面的な道路体系を維持し,これに枝系か

(5)

表3 中心核の立地形態変容類型

軸→軸 軸→多軸 軸→面 軸→多核 軸→複合 面→面 面→多核 面→複合 未成熟

1 1

21 22

11 1

4 5

27 27

IV 19 19

V 6 15

21

VI 5 5

27 19 1 1 6 21 4 15 5 99

表4 中心核の立地形態変容類型別都市名

1 面的集中化 H 多核化 皿 軸延長化

北海道・名寄市,深川市 千葉県・佐原市 北海道・紋別市 福島県・相馬市 富山県・魚津市 青森県・むつ市

山梨県・都留市 広島県・三次市 岩手県・大船渡市,二戸市

長野県・中野市 愛媛県・大州市 久慈市

静岡県・下田市 鹿児島県・隼人市 宮城県・柴田町

福井県・甘木市,大野市 山形県・東根市,村山市

兵庫県・豊岡市,州本市 福島県・二本松市,原町市

和歌山県・橋本市 千葉県・東金市

広島県・竹原市 山梨県・大月市

山口県・柳井市 長野県・大町市

愛媛県・伊予三島市,八幡浜市 新潟県・五泉市,村上市

高知県・中村市 富山県・新湊市

長崎県・福江市 福井県・勝山市

熊本県・本渡市 和歌山県・有田市

大分県・臼杵市 岡山県・備前市

宮崎県・西都市 島根県・大田市

鹿児島県・指宿市,名瀬市 愛媛県・川之江市

高知県・須崎市 佐賀県・武雄市

熊本県・水俣市,山鹿市 宮崎県・小林市

鹿児島県・出水市

(6)

W 多軸 化 V 複 合 化 VI未成熟型

北海道・留萌市 北海道・根室市 茨城県・鹿島町

青森県・五所川原市 秋田県・大曲市,湯沢市,横手市 神栖町

秋田県・鹿角市,本荘市 宮城県・白石市 波崎町

宮城県・角田市 山形県・新庄市 富山県・砺波市

山形県・寒河江市 栃木県・大田原市,矢板市,黒磯市 福岡県・筑後市 福島県・喜多方市,白河市 群馬県・渋川市,沼田市,富岡市

茨城県・竜ケ崎市,水海道市 新潟県・糸魚川市,十日町市 栃木県・西那須野町 富山県・黒部市

山梨県・山梨市 和歌山県・新宮市 愛知県・新城市 香川県・観音寺市 岐阜県・美濃加茂市 佐賀県・鹿島市 石川県・輪島市 熊本県・人吉市

奈良県・五条市 鹿児島県・国分市,枕崎市 和歌山県・御坊市

福岡県・八女市 長崎県・島原市

る。

軸→軸 軸→面 面→面 面→軸 H型は,生活道路系から枝系に変容した2都市

1 1 1 20 22 の他は,枝系と格子系を維持している。いずれに しても多核化した中心核を支えられると考えられ

H 1 2 2 5

るのは格子系の1都市だけできわめて不十分な道

11 7 9

27

路体系である。

IV 6 13 19 m型は,枝系から格子系に1都市変容したもの

V 2 5 14 21 を除くと,生活道路系の6都市のうち4都市が枝

VI 1 1 3

5 系に加わり軸系,枝系の線的な道路体系維持,変 15 21 61 2 99 容したものが,27都市のうち22都市を占め,中心 核の軸延長化と対応した道路体系の変容を示して ら格子系へ1都市と網系へ2都市変容したものが   いる。格子系,網系の面的な道路体系は3都市あ 加わり,面的な道路体系に該当するものが12都市   りそのまま面的に維持されている。

を占める。枝系は生活道路系から6都市が加わり   IV型は,格子系と網系の7都市の面的な道路体 7都市になり,生活道路系は3都市に減少する。  系に枝系から網系に5都市が加わり,中心核の多 中心核の面的拡大と集中化に伴い,この中心核を  軸化に対応した道路体系の変容がみられる一方で,

支える格子系や網系の面的な道路体系が形成され   枝系と生活道路系のままのものや生活道路系から ているものと,未だに枝系や生活道路系などのよ  枝系に変容したものが残りの7都市を占めている。

うに中心核の面的拡大と集中化を支える道路体系    V型は,生活道路系の6都市が枝系に4都市,

(7)

表6 中心核の立地形態変容類型と道路体系

軸→軸 軸→枝 枝→枝 枝→格子 格一網 格子→格子 格子→網 網→格子 網→網 生活→軸 生活→技 生活→生活

1 1 1 2 2 3 1 3

6 3 22

H 2 1

2

5

3 1 13 1 1 1

1 4 2 27

w 3 5 3 1 3 3 1 19

V 6 1 1 1 1

5 2 4 21

VI 3 1 1 5

3 4 25 3 8 8 6 1 13 3 19 6 99

軸系に2都市が変容し,生活道路系が消滅してい   市街地構造が形成されていたことである。

るのが一つの特徴である。枝系からは格子系と網    中心核と中心市街地の形態がいずれも面型に該 系にそれぞれ1都市が変容し,その他は線的道路   当するのが36都市あり,逆にいずれも軸型に該当 体系と面的道路体系を維持しており,前者に12都   するのは30都市である。道路体系も,前者が枝系 市そのうち10都市が枝系,後者に9都市が該当し   8都市,格子系と網系を合わせたものが14都市,

ている。中心核の変容が面型から複合化したもの  生活道路系が14都市と分れている。後者は軸系と が15都市,軸型から複合化したものが6都市であ  枝系を合わせたのが多く21都市を占める。

ることを考えると,面的な道路体系を形成せずに   中心核が面型で中心市街地が軸型のものは少な 中心核から線的な道路が周辺に伸びていることが   く4都市を数えるのみであるが,中心核が軸型で 想定され,中心核の変容に対応した道路体系の変   中心市街地が面型のものは24都市あり,その道路 容が不十分であると考えられる。         体系は枝系10都市,格子系と網系をあわせて7都

VI型は,生活道路系から枝系へ1都市,軸系か   市,生活道路系が7都市と分れている。

ら枝系へ3都市,網系を維持しているのが1都市    (2)中心核の立地形態変容類型別にみた市街地 である。      構造特性

表8は,中心核の立地形態変容類型別に都市化 5.中心核の立地形態変容と市街地構造       後の市街地構造を示したものである。第4節の分

(1)都市化以前の市街地構造特性        析とこの表から,中心核の立地形態変容類型別に 表7は都市化以前の地方中小都市の市街地構造   みた市街地構造特性をあげれば,つぎの2つが指 を示したものである。第3節の分析とこの表から,  摘できる。

都市化以前の地方中小都市の市街地構造の特性を   第一は,中心核の分散化あるいは拡散化が生じ あげればつぎの2つが指摘できる。        ている型とそうでない型とに分化していることで

第一は,中心市街地の形態と道路体系の違いに  ある。都市化の前後で単一の中心核を維持してい かかわらず,その中心核は単一で比較的コンパク  るのは1型の22都市と皿型の27都市を合わせた59

トな市街地が形成されていたと考えられることで  都市で全体の約6割を占めるが,他の型は,VI型 ある。       を除いて,全て新たな中心核を形成し,市街地構 第二は,地方中小都市の市街地構造を詳細に分  造が複数の中心核で構成されている。しかも,皿 析すると,戸沼幸市氏による人口集中地区人口1  型は軸が延長されていることから中心核の拡散化 万人以上3万人未満の小都市は線的な市街地構造   が生じているとも考えられ,単一の中心核を維持 を有しているという分析とは多少異なり,多様な  している1型,中心核が複数に分散しているH型,

(8)

表7 都市化以前の市街地構造 表8 中心核の立地形態変容別の市街地構造

市街地構造 市街地構造

中 心 核 中心市街地 道   路 都 市 数

中 心核 中心市街地 道   路 都市数

8 6

格  子 6

格  子 6

6

8 1

生活道路 3

生活道路 14 1

1 小     計 22

格  子 1 多  核 3

生活道路 2 多  核 1

H

4 多  核 格  子 1

小     計 5

17

3

格  子 3

6

2 1

生活道路 4 生活道路 1

10 12

格  子 4 格  子 2

3 1

生活道路 1

生活道路 7

小     計 27

未成熟 1 多  軸 6

未成熟 生活道路 1 多  軸 格  子 3

未成熟 2 w 多  軸 9

未成熟 1 多  軸 生活道路 1

99 小     計 19

複  合 2

IV型, V型,中心核が拡散化している皿型に区分 複  合 9

される。 複  合 格  子 1

第二は,中心核を支える中心市街地と道路体系 V 複  合 7

に整合,不整合が生じていると考えられることで 複  合 1 ある。既に第4節でも指摘したように,中心核の 複  合 格  子 1 分散化と拡散化に伴って市街地構造を再編成した 小     計 21 ものとそうでないものとに分かれている。必ずし 未成熟 3 も,立地形態変容類型によってこれらの区分がな VI 未成熟 1 されるのではなくて,同一型の中に道路体系が中 未成熟 1 心核と中心市街地の変容に対応したものに変容し 小     計 5 たものとそうでないものとが並存している。

(9)

6.むすび       (注4)「町村合併から見た地方小都市の成立と地域特 本稿は,広域市町村圏の中心都市である,地方    性に関する研究」 日本建築学会計画系論文報告集 中小都市を対象として,その市街地構造の特性を    355号pp.71〜81

中心核の立地形態変容類型を中心に明らかにしよ     「人口・DID人口からみた地方小都市の人口構 うとしたものである。その結果,次の3点が明ら    成とその経年変化に関する研究」 同上406号pp.

かになった。       111〜121 など

第一は,地方中小都市は都市化する前から多様   (注5)r人口尺度論』 戸沼幸市1980年5月 彰国 な市街地構造を有し,中心核の変容と対応するよ    社

うにその後の変容も多様なものであったことであ   (注6)拙稿 「地方都市圏における都市分布からみ る。従って,地方中小都市の市街地構造整備の課    た中小都市の居住地特性について」 第26回日本都 題も画一的なものではなく多様である。        市計画学会学術研究論文集 1991年

第二は,中心核の立地形態変容類型別にみると,   (注7)拙稿 ∫地方都市圏における人口分布変動状 中心核が単一のまま維持しているもの,分散化し   態とその変動要因からみた人口配置計画の課題」

ているもの,拡散化の傾向が見られるものに区分    日本建築学会計画系論文報告集456号pp.179〜188 され,中心性強化のためには分散化,拡散化して   (注8)r小都市の魅力』 伊藤滋他編著1991年5月 いる中心核間における機能分担や単一核への再編     清文社

成などの対策が必要であると考えられる。      (注9)r人口尺度論』 pp.165〜166

第三は,地方中小都市の中心性強化を図るため   (注10)地方中枢都市,地方中核都市,地方中心都市 には,上記2点を踏まえると,本稿で分析した中    以外の都市を地方中小都市と規定されているが,市 心核の立地形態変容類型に対応した整備が必要で    の要件(5万人以上)と町の要件(3万人以上)を あると考えられることである。       参考にして設定した。

(注11)富山県砺波市,岡山県備前市,鹿児島県出水

(注1)『日本21世紀への展望』 国土庁計画・調整    市

局 1984年11月      (注12)総描建物とは,建物が密集しているため個々

(注2)全国総合開発計画では地方中枢都市が,新全    の建物を区別して表示することが困難な場合に,建 国総合開発計画では地方中核都市が,第3次全国総    物を総合して表示したものである(『昭和61年度2 合開発計画では地方中心都市が,第4次全国総合開    万5千分の1地形図図式』建設省国土地理院)

発計画では東京圏というように,重点的な整備拠点   (注13)茨城県神栖町・波崎町,栃木県太田原市,福 として地方中小都市が位置づけられたことがない。    井県勝山市,兵庫県洲本市,長崎県福江市,熊本県

(注3) 『戦後国土計画への証言』 下河辺淳 1994    本渡市・山鹿市,鹿児島県名瀬市 年3月 日本経済評論社

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