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超硬バイトの摩耗に及ぼすチップ°取付方法の影響
門脇義次・安藤正昭・渡辺善治郎。
EffectsofTipFixingMethodonToolWear
YoshitsuguKADowAKI,MasaakiANDo,ZenjiroWATANABE (昭和55年10月31日受理)
Themethodsforfixingthetiptothecuttingtoolcanbedividedintotwomaingroups
Thosearethemeansofmechanicalclampingandbonding. Itseemsthatthetipfixingmethodinnuencesonthetoolwear.Thepresentreportaimsatcomparingwithtoolwear
betweentheclampedtipsandthebrazedtipsbymeasuringthecraterwear, theflankwearandthegroovewear.
Theresultsareasfollows:
(1) Asforthecraterwear,wedon'trecognizetheobviousdifferencescausingby
thefixingmethods.
(2) Theflankwearmayeasilytakeplaceonthebrazedtips incomparisonwith theclampedtips.
(3) Onthecontrary, it isclearthatthegroovewearoftheclampedtipsarelarger
thanthatofthebrazedtips.
(4)Wedon'tconfirmwhichmethodismoreeffectiveforthetoolwear.
緒 言 ことも意義のあることと思われる。
一般に,金属切削において,工」
一般に,金属切削において,工具
1.
摩耗は刃先温度 の上昇と共に,急激に増大することが知られ, また 刃先付近で発生する熱量の大部分は切屑と共に外部 に持出されるとされている。 しかし,発生熱量の一 部は, 刃先からシャンクを通って工作機械本体に伝 わることになる。
このような,発生熱の通路として見るとき, クラ ンプではその接触部分は強圧のもとに接しているだ けであるが, いつぼうろう付けではろうが介在して いる。そこで, クランプ.と付刃とで熱の伝わり方,
その他に差があるならば,摩耗量の相違として,明 らかとなるはずである。
このような観点から,本報においては, スローア ウェイ形クランプ°バイトと付刃バイトとの摩耗の形 態を比較する。
刃先としての超硬チップは, ろう付けまたは各種 の機械的クランプによって, シャンクその他の本体 に結合されている。
バイトの場合には, このような結合方法のうちで スローアゥェイ形を中心とするクランプ・によるもの が, その経済性の故に,主流をなしているのが現状 である。
しかし, クランプの方法はカムまたはねじなどで 取付ける必要があって, チップの大きさがある程度 以上でないと適用は困難である。 したがって, 刃先 が特に小さい場合とか, クランプのための空所が不 足する場合等には,今後も付刃バイトが用いられよ
う。なお,付刃バイトではろう付けの際の熱影響も 考えられ,再研削の費用等も大きいから, クランプ°
バイト以上にその刃先摩耗に対し注意が払われねば ならないと考える。 このため, クランプパイトとの 比較の上で,付刃バイトにおける刃先摩耗を論ずる
2. 実験方法
h ・
供試バイトはスローアウェイ形クランプバイト
(以下クランプパイトと称す) と付刃バイトとであ
*秋田大学鉱山学部生産機械工学科
昭和56年2月
I
−14−
i' !1 脇義次 ・ 安藤 」[昭 ・ 渡 ju ""ipli
り,付刃バイ トとしては, ガスろう付けによるもの と, 高周波ろう付けによるものとの二極を川いる。
バイ トの形状ならびに諸うじは図lのものである。
図は本来クランブバイ |、であるか,尖験条│'│:を1両1−
とするために,付刃バイ トとしても同形状のものを 使用した。
付刃パイ 一における, ガスろう付けの際の加熱の 状態を図2に示す。すなわち,①においてチゾブに ろうを溶滴する。 このとき, シャンクの方にもlifl様 にろうを溶旛して,②においてはi'i'j荷を合せたlz,
もう一度加熱してろう付けを終える。
図2は光高温計と表而温度計‑とを〃]いて測定した 結果であり,光高臘計による測定範囲では, 図のピ ークに示きれる点のみ実i!l'1で求め,他の部分は推定 によっている。
また, 高周波ろう付けにおける 渚条{''二を表1に'J§
‐ラヤ ,ソo
供試被削材は市販のS45Cを焼ならししたもので 焼ならしの条件を図3に,焼ならし前後の顕微鏡組 織を図4, 図5に示す。
いつぽう, 刃先摩耗の測定項目はISO〃鼻準によっ て図6に示すものであり, チップ"のすくい伽とにげ 面とについて,工具顕微鏡を用いて測定した。
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図3 供試材の焼ならし条件 表1 高周波ろう付バイトのろう付条件
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ろう1,l・ノノ法 i,i {l.fj iM1%
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図1 供試バイト 図4供試被削材(焼ならし前×30)
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図2 ガスろう付けにおける温度履歴 図5 供試被削材(焼ならし後×30)
秋│ I 1高専研究紀要第16号
-15-
超硬バイ トの摩耗に及ぼすチ・ソプ取付方法の影響
7K
表2 実験計画法における切削条件 ー道
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低水準 高水準
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lllll l山| GOO,
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川'' lllll lll lクランプ。
被削材 切削速度
の142
2ム76mノmin s45C
図6 摩耗の測定法 3. 実験結果および考察
それ以外の要因についても, その効果の程度を比較 した。なお,表2における要因中, 中断とは,切削 の途中に空切削の区間を設け, 刃先を一たん常温と してから,再度切削を行う場合であり,総計の切削 長ざは, 中断のある場合と, ない場合とで等しくし
てある。
また、付刃バイトのチップがろう付けの際に熱影 響を受けることは,先の実験結果より明らかである から, これによる相違を無くするために, クランプ 用チップ・についても,付刃用チップと同様に加熱し てある。
供試バイトによる切削の後, 刃先摩耗の測定項目 について, にげ面の摩耗幅およびクレーター深さを 求め, その結果について,各測定項目ごとにYetes の方法により効果を求め2)さらに分散分析を行った。
その結果を整理したものが表3である。
表より, クランプ・とろう付けとの比較を示す固定 法(D)に注目すればにげ面摩耗幅(VBmax,VEVb) はいずれも99%有意であり,明らかにその大きさに 差のあることが示される。 しかも,効果の値が正で
表3 分散分析結果 3−1 チップの加熱温度が刃先摩耗におよぼす
影稗付刃バイトのチ・ソプはろう付けの際に熱影靭 を受けるはずである。 これが刃先躍耗に対し, どの 椴度影稗するかを知るため,次の実験を行った。
すなわち, スローアウェイ形超硬チ.ソフ・を図2に 示すガスろう付け│司様に加熱してから,切肖リを行い その刃先廉耗を測定した。 このとき,実際の方法と しては, ガス加熱では温度制御がしにくいことから 600℃, 700℃, 800℃, 900℃に保持した晒気炉内に 超硬チ・ソプを投入して, 5分後に取出し、 これを供 試バイトとして切削をおこない,摩耗測定をおこな
ったものである。
切削条件ならびに摩耗測定の結果を図7に示す。
図より,加熱温度の高いほど刃先摩耗が大きくなる ことは明らかで,特に平行部般大摩耗幅の増し方が 顕著である。 これは,超硬チップ°表面のバインダー の酸化消失や微細なクラ、ソクの発生によって,初期 摩耗')が高温にさらした場合ほど増大したためと考
えられる。
3−2 要因実験24剛要因実験によって, クラ ンプパイ トと付刃バイトとの刃先摩耗の比較をおこ なう。 この際の実験要因ならびにその水準を表2に 示す。 クランプ。と付刃との比較を固定法と呼んだが
果一ABCD
効 切込み
送 り
中断 固定法
KT 共 XX") 黄
XX(‑)
0,5 1m
切Wリ条件 被Wリ材 切Wll速度 切込み
送 リ
チソー取│妨法
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ム32jOQQO
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加熱温度(℃)
図7 摩耗に対するチップ加熱の影響
o/b c+)高水準大(‑)低水準大 99
昭和56年2月
ロ
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門脇義次・安藤正昭・渡辺簿治郎
法性よりして,連続して切削した場合の刃先摩耗の 進行状態と大差がないはずである:)
各一ステップの切削条件等を表4に示す。すなわ ち, いくぶん切削速度の異なる三回の切削をろう付 けバイトとクランプパイ トとについて行い、 各三個 の摩耗趾を平均して,累械摩耗幟ないしクレーター 深さとしたものである。
実験結果を図8 (境界部摩耗幅VB''),図9(平行 部最大摩耗幅VBmax),図10 (平たん部摩耗幅V8'), 図11 (先端部摩耗幅VB')、 図12 (すくい面摩耗深さ KT)等に示す。
図によって,逃げ面摩耗幅(VB''、VBmax,VB.)は いずれもろう付けバイトの方が大きく, その差は切 削のごく初期に生じている。 したがって, 第2ステ ップ以後はほぼ平行に推移している。 これはろう付 けチップの加熱の際に生じた, ごく表面屑の熱影稗 が初期摩耗を大きくしたためであり, また, 第2ス テップ以後はこのような表面層の影騨がなくなって,
ろう付けとクランプとでほぼ同程度の摩耗趾となっ たためと考えられる。
クレーター深さ(KT)については,切削開始直後 はクランプの方が大きく, 第六ステップでこの大き あることから,高水準すなわち, ろう付けバイトの
逃げ面における摩耗のはげしいことを示している。
ここでは,付刃用チップと同様にクランプ用チ.ソ プも加熱してあるから,両者における切削前の熱影 響は等しいと考えねばならない。 したがってクラン プチップとろう付けチップとの逃げ面摩耗幅の違い はガスろう付けによる熱影轡によるとは考えられな いため, ろうの熱伝導率が小かいとか, ろうによる 残留応力などのろう付け本来のものと考えられる。
いつぽう, クレーター深さに関しては, クランプ チ、ソプとろう付けチ、ソプとで明らかな差の認められ ない程度であった。
それ以外の要因に関しては,切込みの大きいほど,
また送りの大きいほどクレーター摩耗が大きく,送 りの小さい方が逃げ面摩耗幅が大きくなっている。
これは, この程度の切断条件では,送りが小さ過ぎ るための,逃げ面上での押込みによると考えられる。
中断(C)に関しては高度に有意となる項目がな い。すなわち,切削途中でわずかの空切削を行って も,工具摩耗に対しあまり影響がないといえる。 こ れは工具摩耗の可加法性が成り立つためと考えられ る:) したがって, この程度の切削条件の場合,途中 で切削を中断するようなことがあっても, それには あまり影響を受けず, 刃先の摩耗量は切削距離のみ で変ることを示している。
3−3 高周波ろう付けによる付刃バイトとスロ ーアウェイ形クランプパイトとの摩耗の比較付刃 バイト製作をろう付けとする方法のうち,母材に対 する熱影響が最も少ないとされる高周波ろう付けに よる付刃バイトと, スローアウェイ形クランプパイ
トについて,摩耗の進行状況を比較するため,累積 摩耗を求める。すなわち,旋肖リによる一回の送り
を一つのステップとして,各ステップ°ごとに刃先摩 耗の測定を行う。 このようなステップを同一のバイ
トについてく り返す。 これは前述の工具摩耗の可加 表4付刃とクランプとの実験条件(共通)
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境界摩耗幅(V6)の比較
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供試旋盤焼ならし 440X800
2 4 6 8 10 12
切WII IIll"
平行部最大摩耗幅(VBmax)の比較
0
図9
秋田高専研究紀要第16号
︲I
-17-
超純バイ トの1予椛にノ史ぽ‑オーチ¥ノブ.取{、l・ノj法の影郷
00O −EE言釦匝ン墓軍聖篭せ轡︾一
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図12 すくい面摩耗(KT)の比較
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図10
2 ム 6 8 10 12
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平たん部摩耗幅(V1{平たん)の比較
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○ ,1.;j ll',1 11fろ‑) 1・1
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O● ○●
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0 2 ム 6 8 10 12
リノ lilll lr' l :t
図11 先端部摩耗幅(Vi,)の比較
さが逆Iルミして, ろう付けバイ トのノ〕・が大きくなって いる。 これは付ポi物によるill'l定誤藍とも考・えられる が,取扱う数仙のオーダーから兇て, ill'j者にはほと んど差かないと言えるようである:)すなわち, ろう 付けチップの, 加熱による熱影郷部は極めて薄いた めに, たとえこのIWが剥離しやすいとしても, クレ ーター深さを左右する侭ではないためと将・えられる。
いつぼう、境界摩耗'剛に関しては,前二者とは明 らかに異なった傾lrIjが兇られる。すなわち, クラン ブバイ トの摩耗I叩の方か大きいこと。 しかも,初期 摩耗の段階のみならず明らかに定常摩耗と考えられ る段階に致ってもなお1ステップ.当りの摩耗'幅が大 きくなること等である。
境界摩耗の生成機構に関してはすでに多くの報告 が見られる:) しかし, いずれの説を採るとしても,
またいくつかの説によるものの相乗作用によるとし ても, ろう付けとクランプ.との上記の相違の説明に は不適当のようである。
ここで,逃げ面摩耗幅の増加が境界摩耗に対して 何らかの影響を与えるものと考えると,逃げ面摩耗 の振動抑制効果5)によって,逃げ面摩耗I鴫の大きく
なりやすいろう付けバイ トの方が振動しにく くなる
図13 ろう付けバイトのにげ面摩耗状態
図14 スローアウエイ形クランプチップのにげ 面摩耗状態
はずで, このために境界摩耗カゼ進行しにく くなるこ とも考えられる。 しかし,確認のために行った切削 抵抗の実験結果からもこれを裏ずけることは無理の ようである。すなわち,切削抵抗の測定結果は,送 り分力と背分力とに関しては, 刃先が摩耗するほど 変動の幅が小さくなって,振動抑制効果を認められ るが,主分力に関しては変動の幅が増す場合か多く . 境界摩耗を進行しにく くする理由の説明としては不 充分であった。 ろう付けバイ トとクランプ・バイ トと の上のような境界摩耗幅の進行速度の相違について
昭和56年2月
ー
1
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門脇義次・安藤正昭・渡辺善治郎
しかもその差は切肖リ距離を燗すとしだいに大き くなる。
などのことが判った。
岐後に本実験に協力下さった本校実習係の諸氏.
ならびに当時学生,越中良彦.今井利宣,小丹弘志 滝敏の諸君に感謝申し上げる。
は今後明らかにして行きたい。
●図13および図14は12ステップまでの切削終了後の 逃げ面における摩耗の状態を示す。両図を比較する とクランプパイトの方が全体としての摩耗幅が小さ いように見える。 しかし,境界摩耗は付刃バイトよ
りも大きく, かつ鋭くなっているのがわかる。
本実験においては,最初に設定した工具寿命進準 をいくらか超過したところで累祇摩耗の測定を終え ている。 しかし, 刃先の破禎まで切削を続行したと すれば,境界部摩耗幅の増大のためにクランプバイ トの方が先にかけなどを生じて高周波ろう付けによ る付刃バイトよりも少ない切削回数で切削不能とな る可能性がある。
参考文献
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における実験計画法の応用,機械学会論文集.
33, 255 (1967‑11)。1876
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42, No.6, 453
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6) 村田良司:工具寿命の実験誤差,糖密機械,
Vol.42, No.2, 100
4. 結 言
刃先摩耗の観点より, スローアウェイ形クランプ パイトと付刃バイトとを比較するため,両者の切削 距離を等しくして, すくい面摩耗とにげ面摩耗とを 比較した。その結果
1 クレーター深さに関しては両者の間に明瞭な 差違は認められない。
2 にげ面摩耗幅に関して付刃バイトの場合初期 摩耗がいくぷん大きい。 これはろう付けの際の 加熱によるチップ表面層の変質およびろう付け 本来のものと考えられる。
3 境界摩耗幅はクランプパイトの方が大である。
秋田高専研究紀要第16号
I
ユー呑云一二一乙一一一一 一一一・画■−〜ー今一一一一一一