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博士(農学)高橋昌志 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(農学)高橋昌志 学位論文題名

牛 胚の体外 発生に及ぼすチオール化合物の      作用機 構に関 する研究

学位論文内容の要旨

  哺 乳動 物 胚 を 体外 で 培 養 する と 、 動 物種 に よ り違い が認め られる が、種 に特有 な発育 段階 て 琴色生カ け.止 するこ とカ洳 られて いる。 牛胚でtま8‑16却黼 に発生が停止し、こ¢田譖魁ま in vitro blockと 呼 ば れ、 胚 を 体 外で 培 養 す ると きの大 きな障 害とな っている 。この ことは 体 外 で 培 養 する 胚 の 環 魔剰 翰 嗹 斟 蚋と 大 き な 隔た り が あ るこ と を 示 唆し て い る 。体 外 培 養 に おける胚 のin vitro blockを解除 し、そ の後の 胚の発 生を促進 する手 法とし て、卵 管ヒ皮 、 卵 丘 細 胞単 層 と の 共培 養 を 始 めと し て 、 培養 液 への 成長因 子、還 元物質 の添弧、 低酸索 分圧 条件下での培養等ガ罍£みられているとともに、培養環境圍駆動び胚のボ謝に及ほづ噪う響、作用 機 序の解明 が強く 求めら れてい る。

    胚 細 胞 内 で誼 、 エ ネ ルギ 二 産 生 部位 で あ る ミトコン ドリア におい て、ス ーパー オキサ イ ド 、 遏 酸化 水 素 等 の活 性 酸 素 が絶 え ず 産 生さ れ てお り、内 因性の 酸化ス トレスに 曝され てい る 。;柘誼 文でiま 、体外 受精で 得られ 体外培 養した 牛胚へ の酸化 ストレスの軽減を計り、発生 率 を 高 める こ と に 主眼 を 置 き 、培 養 液 を 還元 的 環暁 に整え る作用 を持つ チオール 化合物 が胚 発 生に及段 サ作用 とその 機構に ついて 検討し た。得 られた 主な成果Iま次のように要約される。

1.チオール化合物による牛胚の発生促進

  体 外受 精 由 来 牛胚 の 体 外 培養 の 際 に 、還 元 作 用 を持 っ チ オ ールf臨 潮rで あ る ぉーメ ルカ プト エタノ ールお よびシ ステア ミンを 血清瀞 弧齬養 液に添み ロする ことに よって胚盤胞へ.の 発生 促進効 露幼電 謬6られ た。こ の発缶 ミ促進 効果はB丘細脆 との共 艤による 発生葺酎こ匹ivす る 結 果 であ っ た 。 この こ と か ら、チ オール 化合物 の添加 により 、従来 法であ った卵丘 細胞、

卵管、子宮ヒ皮鑞晒亀との災歯輔巻を行うことなく胚盤|磐への発生率カ叩!進されることが明ちか に な っ た。 チ オ ー ル化 合 物 添 加の際 の適正 濃度は ローメ ルカプ トエタ 丿ール およびシ ステア ミ ン そ れ ぞ れ50 uMで あっ た 。 ま た、 高 濃 度 く500皿M) の 添 獅ま か え っ て胚 発 生 を 阻害 し た 。B‑メ ル カ プ ト エ タ 丿 ー ル を 添 細 し た 培 養 液 で 牛 胚 の3H ‑Thymidineの 取り 込 み を 潤 定 し た ところ 、対照区 である 血清添 加培養 液にお いて培 養したBlqtこjり虹 有意な 増加が 詔め られた。

2

. チ オ ー ル 化 合 物 の 発 生 促 進 効 果 と 細 胞 内 ク っ レ タ チ オ ン 量 と の 関 係

声―メルカプトエタノールあるいはシステアミンを50 弘M の濃度で添軅した培養液で

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24時 間 培 養 した 牛 胚 の 細胞 内 グ′レ タチオ ン量を 酵素法 を用い て灑定し たとこ ろ、無 譲lnrc 培 養し た 胚 に 比ぺ て 有 意 に増 加 し て いる こ と が 明ら か に な った 。

  次 に 、 ロ ーメ ル カ プ トエ タ ノール あるい はシス テアミ ン存在 下でグル タチオ ン合成 阻害荊 で ある プ チ オ ニン ス ル ホ キシ イ ミ ンCBSO)を 培 養液 に 添加 して胚 の培養 を行っ たところ 、チ オ ー ル 化 合 物 カ 淳 在 し てい る に も かか わ ら ず 胚盤 ほ 釟 の 発生 率 は 低 下し た 。BSOに よる 発 生 阻害 を 受 け た胚 に つ い て、 少な くとも 一回の 細胞分裂 が見ら れた。 また、 チオー ル化合 物 存 在 下 でBSOを 添加 し た 培 養液 で24時 間 の 培 養を 行 い 、 その 後 、 細 胞内 グ ル タ チオ ン 量 を 測 定 し た と こ ろ 、 有 意 な 減 少 が 認 め ち れ た 。 ま た 、BSOを 添 加 す る こ と に よ っ て3H̲

Thymidine取 り 込 み 量も 減 少 の 傾向 を 示 し た。 こ れ ら のことよ り、細 胞内グ ルタチ オンは 、 胚 発 生 及 びDNA合 成 を 含 め た 細 胞 増 殖 に 深 く 関 わ っ て い る こ と カ 苛 箇 甅 さ れ 党 。

3.胚の酸化ストレスに関わるグルタチオンの役割

  BSO添 如 に よル グ ル タ チオ ン 合 成 阻害 を お こ ない 、 胚 細 胞内 の 還 元 状態 を 崩 し た際 の 細 胞内過巒f匕7Jc素量を螢う目票謌閉オ質によって瀧したところ、グルタチオンカ韓舗曷した尠遵蒙で

;ま 過 缶HりK素 量 の 有意 な増 加ガ勸 られた 。また 、細胞 ミクロ 電気i承 重法に よって胚 のDNA 損傷の 程度を 澳腱し たとこ ろ、ク ヮレタ す・オ ン合成が 阻害さ れるこ とによ ってDNA損 傷の程 度 が 黯 に 増 加 し た 。 ま た 、DNAの 損 傷 程 度 は チ オ ー ル 化 合 物 の 添 弧 に よっ て 減 少 する 傾 向が 認 め ら れた 。 以 上 のこ と か ら 、細 胞 内 グ ルタ チ オ ン 量の 減 少 に より 還 元曝嚇 嘲れた 結 果 、 酸 化 ス ト レ ス に よ り 細 胞 内 鵐 晦 劼 懶 を 受 け 、 そ れ に よ っ てDNAが 露 疆 閤 懈 を 受 け ることカ涛.えられ党。

4. 牛胚の シスチ ン、シ ステイ ン利用性 に及ば すチオ ーリレ イb舗誑 甜キ彌と共培養細胞の役割   グ ルタ チ オ ン の構 成 物 質で あり、 その合 成に最 も影響 するア ミノ酸 であるシ スチン 、シス テ イ ン の 取り 込 み に 及ぼ す チ オ ール 化 合 物 の効 果 を 放 射性 標 識 シ スチ ン を 用いて 検討し た と こ ろ 、 牛胚 絃 シ ス テイ ン の 酸 化二 量 体 で ある シ ス チ ンを 取 り 込 むこ と が 匪黻あ ること が 明 ら か に なっ た 。 し かし 、B一メル カプト エタノ ールあ るいは システア ミンを 培養液 に・ぬH す る こ と によ っ て 、 細胞 内 への放 射性標 識シス チン取 り込み量 が有意 に増加 した。 チオー ル イ 匕台 物の添 加によ る放射 性鱗シ スチン 取り遜 み量の促 進錢甥 試ま、BSOによる クンレ タチオ ン 合 成 阻 害に よ っ て 減少 し たこと から、 細胞内 グルタ チオン代 謝とシ ステイ ン取り 込みと の 間 に何ら かの関 連があ ることが 考えち れた。

  HPLC法 に よる 分 析 よ り、 培 養 液 中の シ ス チ ンは チ オ ー ル化 合 物 と の反 応 によ って異 なっ た 状 態 で 培養 液 中 に 存在 す ること が明ら かにな った。 チオール 化合物 は強カ な還元 作用を 持 つ こ と か ら、 胚 が 利 用で き な い シス チ ン を 還元 す る こ とに よ っ て 、細 胞 内 への取 込カ儺 さ れ たと考 えられ る。ま た、牛胚 の培養 に有効 とされ ている 卵丘一 .X1騰I珊包との共培養の果 た す 役 削 につ い て 検 討し た 結果、 胚が取 り込む ことが 困難であ ったシ スチン を共培 養細胞 が 取 り 込 ん で利 用 し 、 培養 液 中に放 出する ことに よって 、胚がそ れらを 取り込 んで利 用でき る こ とカi考 えられ た。

  以 上 の こ と か ら 、 チオ ー‑H醒F賊 ま、 培 養 液 内に 存 在 す るシ ス テ イ ンの 胚 へ の 取込 を 促

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    。ぶ3kれirがRN ‑ぬニレ Jゼ昧榊韃霧匹筆ぬや柚u麗衛綴讙やH::鐘鉛彊¢vNくI,露盤G避斑VN(IGヰ最K /l‑IK盡,盤函賞鬣野麟沿藷坦唖雲,レPHu→Nり両缶衛囓おr八太小ヘュぐ叭ぞ靈,j蝋

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学位論文審査の要旨 主 査    教 授    清 水    弘 副 査   教 授    大久保 正彦 副 査    教 授    近 藤 敬 治 副 査   助 教 授    上田 純治      学 位 論 文 題 名

牛胚 の体外 発生に及ぼすチオール化合物の      、作用 機構に関 する研 究

   本論文は表13 、図9 、写真 4 、引用文献70 を含み、6 章、67 頁の和文 論 文 で あ り 、 ほ か に 参 考 論 文 6 編 が 付 さ れ て い る 。    哺乳動物初期胚を体外で培養すると、動物種による特定の発生段階 で発生が停止することがあり、この現象はin vitro block と呼ばれ牛胚で は 8 〜 16 細胞期に起こる。このことは生体内と体外での培養とで生存 環境に大きな隔たりがあることを示唆する。体外における胚のin vitro block を解除レ、その後の胚の発生を促進する手法として、卵管上皮、

卵丘細胞単層との共培養を始めとして、培養液への成長因子、還元物 質の添加、低酸素分圧条件下での培養等が試みられているとともに、

培養環境要因が胚の代謝に及ぼす影響、作用機序の解明が強く求めら れている。

   胚細胞内では、エネルギー産生部位であるミトコンドリアにおい て、スーパーオキサイド、過酸化水素等の活性酸素が絶えず産生され ており、内因性の酸化ストレスに曝されている。本論文では、 体外受 精で得られ体外培養した牛初期胚への酸化ストレスの軽減を計り、発 生率を高めることに主眼を置き、培養液を還元的環境に整える作用を 持っチオール化合物が胚発生に及ぼす作用とその機構について検討し た。得られた主な成果;ま次のように要約される。

1 .チオール化合物として声ーメルカプトエタノール(ローME) とシ ステアミンを用い、これらを添加した培養液で体外受精した牛胚を培 養し、卵丘細胞単層との共培養と差のない胚盤胞への発生率を得た。

従って、従来の卵丘、子宮、卵管細胞との共培養を行うことなく培養

液のみで胚盤胞への発生を促進できることを実証した。また、適正な

濃 度 は 50 ル M で 、 高 濃 度 の 添 加 は 逆 に 胚 発 生 を 阻 害 し た 。

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2 .培養液への声一 ME あるいはシステアミンの添加は胚の細胞内グル タチオン量を増加させた。また、グルタチオン合成阻害剤(ブチオニ ンスルホキシイミン; BSO) はチオール化合物の存在下でもグルタチ オン量の減少と胚盤胞への発生率の低下をもたらした。これらのこと から、グルタチオン i ま胚発生並びにDNA 合成を含めた細胞増殖に深く 関わっていることを明らかにした。

3 .BSO 添加によって、グルタチオン合成阻害をおこなうと、胚細胞 内の過酸化水素量が有意に増加し、 DNA 損傷の程度が顕著に増大し た。このことから、細胞内グルタチオン量の減少に伴う酸化ストレス によって、細胞内環境が障害を受け、それによってDNA が顕著な傷害 を受ける.と推察した。

4 .牛胚はグルタチオンの構成物質であるシスチンを取り込むことが 困難であるが、p ーME あるいはシステアミンの添加によってシスチ ン取り込み量が増加した。また、BSO 添加によるグルタチオン合成阻 害によって減少したことから、細胞内グルタチオン代謝とシスチン取 り込みとの関連性を認めた。

5 .体外培養では、チオール化合物はシスチンをシステイン化合物に 還元することによって細胞内への取り込みを促進する。また、卵丘細 胞単層との共培養では、共培養細胞がシスチンを一旦取り込んだ後に 胚が取り込み可能な物質として放出することによって、胚が利用でき ると推察した。

   以上、牛の初期胚の培養液にチオール化合物を添加することによっ て、その発生を促進させるとともに、その作用機序を明らかにしたこ とは哺乳動物初期胚の人為操作技術の改善と胚発生機序の解明の産業 面並びに学問的貢献が大きい。よって、審査員一同は別に行った学力 確 認 試 験 の 結 果 と 合 わ せ て 、 本 論 文 の 提 出 者 高 橋 昌 志 は 博 士

(農 学)の 学位を 受け るのに 十分な資格があるものと認定した。

参照

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