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博 士 ( 医 学 ) 渡 利 英 道

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 医 学 ) 渡 利 英 道

学 位 論 文 題 名

ヒ ト 絨 毛 癌 細 胞 の 形 質 に お け る ras 遺 伝 子 の 意 義

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  初 期 の 正 常 絨 毛 細 胞 に 類 似 し た 形 質 を 有 し て い る と 考 え ら れ る ヒ ト 絨 毛 癌 細 胞 株 に , ras癌 原 遺 伝 子 と し て の 作 用 を 強 く も っ て い る 活 性 化ras遺 伝 子 を導 入す るこ とで 惹起 され る 生 物 学 的 性 質 の 変 化 を 解 析 す る こ と に よ り ,ras癌 原 遺 伝 子 の 絨 毛 細 胞 系 列 に お け る 機 能 的 意 義 を 解 明 す る こ と を 試 み , 絨 毛 組 織 の 機 能 分 化 とras遺 伝 子 と の 関 連 を 考 察 す る こ と を 本 研 究 の 目 的 と し た .

II.研 究材 料および方法

(1)細 胞 培 養

  ヒ ト絨 毛癌 細胞 株CC1を ,20u/o FCS添 加DMEMに て,37℃ ,50loCく 冫2の 条件 で培 養し た.

コ ラ ー ゲ ン ゲ ル 包 埋 培 養 は , コ ラ ー ゲ ン 混 合 溶 液 を ゲ ル 化 させ た支 持層 上に ,コ ラー ゲン 混 合 溶 液 に て 細 胞 数 を5xl04/mに調 整後 ,分 注し てゲ ル化 させ ,そ の上 に20%FCS加研 江EM を 重 層し ,37℃,5% (め2にて 培養 した .ゲ ルを ホル マリ ン 固定 し, パラ フイ ン包 埋後 に薄 切 し , ヘ マ 卜 キ シ リ ン ― エ オ ジ ン 染 色 を 施 し 観 察 し た .

(2)v―ras発 現 ク ロ ー ン の 単 離

  v―ras癌 遺 伝 子 の 発 現 ベ ク タ ー と し て ,pSV2neom‐raSpsV2neO瓜 ‐f弧 対 照 と し て pSV2neoを 各 々 リ ポ フ ウ ク シ ョ ン 法 に てCC1細 胞 (5x10゜ 個 ) に ト ラ ン ス フウ クシ ョン し,

G418に て 選 択 培 養 後 に 耐 性 コ ロ ニ ー を 単 離 し た. 導入 遺伝 子の 発現 は,v.腦 に特 異的 なプ ラ イ マ ー を 用 い たRT−PCR法 に て 確 認 し た . 増 幅 さ れ たPCR産 物 を2% ア ガ ロ ー ス ゲ ル 中 で 電 気 泳 動 し ,emidium弧 )mideに て 染 色 後 に 写 真 撮 影 し た .

(3)細 胞増 殖曲 線お よび 軟寒 天培 地で の コロ ニー 形成

  5x10゜ 個 の細 胞を35‑mmシ ャー レに 播 種し ,24時間ごとの細胞数を(h亅pHcateにてカウント して ,細 胞 増殖 曲線 を作 成し た.

  軟 寒 天 培 地 で の コ ロ ニ ー 形 成 能 に つ い て は ,20%FCS加DEMを 含 む0.5% 寒 天 溶 液 を 60―mmシ ャ ーレ に注 入し て支 持層 とし ,lx10 個の 細胞 を0.33% に希 釈した軟寒天培地に浮

(2)

遊 させ , 支持 層上 に重 層し て3週間 培 養後 ,形 成さ れた コロ ニー (直径200)tLm以上)数をカ ウ ント し た.

(4) Na゛ ・ ぐ − ATPase活 性 の 測 定 お よ び 細 胞 形 態 に 対 す る ウ ア バ イ ン の 影 響   5x10 個 の 細 胞 を60‑mmシ ャ ー レ に 播 種し ,5日 後に 細胞 を回 収し ,STE solution (0.25M sucrose/10 mMTris‐HCl,pH7.5/2nMEGTA) に 浮 遊 さ せ , ホ モ ジ ェナ イズ した .Bebham etal. (1980) の方 法に 従っ て分 離さ れた 細胞 膜分 画を,lomMTns‐HCl,pH7.4に浮 遊させ,

J¢rgensen(1974) の 方 法 でNa゛ ・K+ ‐ATPase活 性 を 測 定 し , 蛋 白 質 量 で 補 正 し た .   5x10 個 の 細 胞 を60−mmシ ャ ー レ に 播 種し ,1週 間後 に各 クロ ーン の細 胞形 態を 観察 した 際 , シ ャ ー レ 表 面 か ら 遊 離 ・ 膨 隆 し た 半 球 状 の 細 胞 層 を ド ー ム と 規 定 し た .   Na゛ −ぐ −AH恤の 特異 的阻 害剤 (ウ アバ イン )を 終濃 度1x101u〜1x10.。Mの範囲 で培地に 添加 し ,24時間 後に 長径100ルm以 上の ドー ムを (hJphcateに て カウ ント し,1cm゜あ たりのド ーム 数 を算 出し た.

(5) hCG分 泌 量 の 測 定

  3xl05個 の 細 胞 を35‑mmシ ャ ー レ に 播 種 し ,48時 間 後 に 無 血 清 培 地(DMEM)に 交 換 し た . さ ら に24時 間 後 に 再 度 無 血 清 培 地 に 交 換 し , その24時 間後 に 培養 液を 回収 し, 培養 上清 中 のhCG濃 度 をEIA法 に て 測 定 し た .hCG分 泌 能 は . 細 胞l05個 あ た り の 分 泌 量 で 表 し た .

(6) hCGp mRNAの 発現

  2x10゜ 個の 細胞 を100―mmシャ ーレ に播 種し ,(5)と同 様に細胞培養後,t・oぱRNAを抽出し た .to讎RNA30ルgを グ リ オ キ サ ー ル 化 し ,1% ア ガ 口 ー ス ゲ ル 中 で 電 気 泳 動後 ,ナ イロ ン 膜 に 転 写 し た .hCGpに 対 す る プ ロ ー ブ と し て ,FiddesandG00dman(1980) が 報 告 し た hCGpcDNA,hum孤ca耐iacaC血 のg飢0rnicDNAを ラ ン ダ ム プ ラ イ マ ー 法 で32P標 識 し た も の を 用 い た . ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 後 , オ ー ト ラ ジ オ グ ラ フ イ ー を 行 っ た .

m. 研 究 結 果

  RT−PCR法にてv―rasの発現が確認されたクローン(H‑ras‐1,H−ras‑5,K―ras―1,K−ras‑2)と,

対照クローンくneo−1,2)を用いて検討を行い,以下の結果を得た,

(1)細胞 増殖 能お よび 足 場非 依存 性増 殖能

  細 胞増 殖能 ,軟 寒天 培地 中で のコ ロニ ー形 成能 に つい ては ,v・ras発現クローンと対照ク ロー ンと の間 で明 らか な差 異を 観察 し得 なか った .

(2) 細胞 形態

  H‑ras‑1,5で は 液 体 を 貯 留 し た三 次元 的な ドー ム 形成 が共 通し て観 察さ れた のに 対し , K‑ras‑l,2とneo―1,2とで は明 らか な形 態変化を示さなか った,光顕での観察から,ドーム

(3)

は,培養皿と細胞層との間に液体が貯留して細胞層が培養皿から半球状に遊離・膨隆し たものと考えられ,コラーゲンゲル包埋三次元培養でも液体を内包した嚢胞形成が認め られた.

(3)Na十‑K十‑ATf ase活性およびドーム形成に与えるウアパインの影響

  ド ー ム の 形 態 観 察 か ら ,Na゛ ―K. + ―Anke活 性 の 上 昇 が ド ー ム 形 成 の ー つ の 要 因 と 考 え , Na゛ ‐K十 ―ATP蠧e活 性( ルgPi/m血 /mgpmtem,mean土SE) を比 較 検 討 した 結 果 ,neo―1,2では 3.08土0.92,2.47土0.79,K一腦‐1,2では3.50土O.60,2.97土1.03であったのに対し,H―fヨs‐1, 5で は10.83土2,30,8.95土2.45と ,neo‐1,2に 比 べ て 有意 (pくO.05)に 高 値 を 示し た .   さ ら に ,Na゛ ‐K+ ‐A11P蠧eの 特 異的 阻 害 剤 であ る ウ ア バイ ン の 添 加に よ ル ド ーム が 消 失 し,

濃度依存性のドーム数の減少が確認された.

(4) hCG分泌能

  H‑ras‑1,5においては0.85土0.15,2.81土0.39 (mIU/ml/10 cells,mean土SE)とneo‑l,2 の1.82土0.36,1.50土0.41に比べて明らかな差を認めなかったのに対し,K‑ras‑1,2におい ては5.09士0.71,8.40土1.20と,neo‑l,2に比べて有意(pく0.01)に高い分泌量を示した.

  ノーザンブロット解析の結果,H‑ras‑1,5ではneo‑l,2との比較において一定の傾向を示 さ な か っ た の に 対 し ,K‑ras―1,2で は 明 ら か に 高 いhCGpmRNAレ ベ ル を 示 し た .

IV.考 察

(1)ドーム形成とH‑rasとの関連

  ドーム形成を示すv―H‑ras発現CC1クローンのNa゛‑K+―A'IPase活性が対照クローンのそれ に 比べ て高 く, かつ 特異 的阻 害剤(ウアバイン)の濃度依存性にドーム数の減少が観察 されたことから,ドーム形成が,Na゛―K+̲A'IPaseで駆動される絨毛細胞を介した外界(培養 液 側) から 細胞 内へ 向か う一 方向性の液体輸送機構に基づく現象と考えられる.本研究 の 結果から,H‑rasが絨毛細胞における経細胞性輸送機構に促進的に作用している可能性 がはじめて示唆された.

(2) hCG分泌能とK‑rasとの関連

  従来 ,主 にA‑kinase系 がhCG分泌 調節 機構 に関与していることが確認されており,ハ kinase系は細胞の増殖を抑制し,hCG分泌を亢進させる,これに対し,v‑K−rasをCC1細胞内 で 発現 させ た場 合, 細胞 増殖 能に 明ら かな 影響を 与え るこ とな くhCGpの 発現が対照ク ロ ーン と比 べて 増加していたことから,(1)絨毛細胞におけるhCGt]の調節機構として,

Aーkinase系とともにrasを介する系が存在していること,ならびに(2) rasが増殖旺盛な妊娠 初 期の 絨毛 細胞 にお けるhCG産 生の 主要 な調 節系のーっとして作用することで妊娠維持 機構に関与している可能性があること,がはじめて推察された.

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

ヒ ト 絨毛 癌細 胞の 形質 にお ける ras 遺伝子の意義

  ヒ ト 絨 毛 癌 細 胞 株 に ,ras遺 伝 子 を 導 入す るこ とで 惹 起さ れる 生物 学的 性質 の変 化を 解析 する こと に よ り ,ras癌 原 遺 伝 子 の 絨 毛 細 胞 系 列 にお ける 機能 的 意義 を解 明す るこ とを 試み ,絨 毛組 織の 機能 分 化 とras遺 伝 子 と の 関 連 を 考 察 す る こ と を 本 研 究 の 目 的 と し た .

  ヒ ト 絨 毛 癌 細 胞 株CC1を ,20% FCS添 加Dh4EMに て ,37℃ ,5XCOzの 条 件 で 培 養 し た ,   コ ラ ― ゲ ン ゲ ル 包 埋 培養 は, コラ ー ゲン 混合 溶液 をゲ ル化 させ た支 持層 上に ,コ ラー ゲン 混 合溶 液 に て 細 胞 数 を5x10 /mlに 調 整 後 , 分 注 し て ゲ ル 化 させ ,そ の上 に20%FCS加DMEMを 重層 し,37℃,5X COzに て 培 養 し た . ゲ ル を ホ ル マ リ ン 固 定 し , パ ラ フィ ン包 埋後 に薄 切し ,ヘ マト キシ リン ー エオ ジ ン染 色を 施し 観 察し た.

  v‑ras癌 遺 伝 子 の 発 現 ベ ク 夕 一 と し て ,pOv2neOZHーras,psv2neo/K‑ras,対 照と してpSV2neoを 各 々 リ ボ フ ェ ク シ ョ ン 法 に てCC1細 胞(5xl05個 ) に ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン し ,G418に て 選 択 培 養 後 に 耐陸 コ口 二― を 単離 した .導 入遺 伝子 の発 現は ,V−rasに特 異的 なブ ラ イマ ーを 用い たRT−PCR法 にて 確認 した .

  5x10 個 の 細 胞 を35―mmシ ャ ー レ に 播 種 し ,24時間 ごと の細 胞 数をduplicateに てカ ウン ト して , 細胞 増殖 曲線 を 作成 した ,

  軟 寒天 培地 で のコ 口ニ 一形 成態 につ いて は,20%FCS加DMEMを含 むO.5% 寒天 溶液 を60―mmシャ ーレ に注 入し て支 持 層と し,lx10 個 の細 胞を0.33'Xに 希釈 した 軟寒 天培 地に 浮遊 させ ,支 持層 上に 重層 し て 3週 間 培 養 後 , 形 成 さ れ た コ 口 二‑( 直 径 200LLm以 上 ) 数 を カ ウ ン 卜 し た ,   Na゛−K゛‑ATPase活性 の測 定お よび 細胞 形態 に対 する ウア バイ ンの 影響の観察のた めに,5x10゜個の 細 胞 を60−mmシ ャ ー レ に 播 種 し ,5日 後 に 細 胞 を 回 収 し ,STE solution  (0. 25Msucrose/10 mMT ris−HC1,pH 7.5/2mM EGTA)に 浮 遊 さ せ , ホ モ ジ ェ ナ イ ズ レ た . 分 離 し た 細 胞膜 分画 を,10 mM Tr 1S―HC1,pH 7.4に 浮遊 させ ,Na゛ーK゛‑ATPase活性 を測 定し た,

  5xl05個 の 細 胞 を60ーmmシ ャ ― レ に 播 種 し ,1週 間 後 に 各 ク 口 ― ン の 細 胞 形 態を 観察 した 際 ,シ ャ ーレ 表面 から 遊 離・ 膨隆 した 半球 状の 細胞 層を ド ーム と 規定 した .

  Na゛ ―K゛ 一ATPaseの 特異 的阻 害剤 (ウ アバ イン )を 終濃 度lx10‐ii〜lxl0‑8Mの 範囲 で培 地 に添 加 し ,24時 間 後 に 長 径100 um以 上 の ド ー ム をduplicateに て カ ウ ン ト し ,lcmZあ た り の ド ー ム 数 を 算 出し た.

  3xl05個 の 細 胞 を35−mmシ ャ ー レ に 播 種 し ,48時 間 後 に 無 血 清 培 地(DMEM)に 交 換 し た . さ ら に24 時 間 後 に 再 度 無 血 清 培 地 に 交 換 し , そ の24時 間 後 に 培 養 液 を 回 収 し , 培 養 上 清中 のhCGロ濃 度をEIA 法に て測 定し た ,hCGロ 分泌 能は ,細 胞105個あ たり の分 泌量 で表 した .

  さ ら に ,2 xl06個 の 細 胞 を100―mmシ ャ ー レ に 播 種し ,total RNAを 抽出 した .total RNA 30Ltgを グ リ オ キ サ ― ル 化 し ,1%ア ガロ ース ゲル 中で 電気 泳動 後, ナイ ロ ン膜 に転 写し た.hCGロに 対 する プ

郎 雄

征 輝

本 橋

藤 石

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

ロ ― ブ と し て ,hCGロcDNA,human cardiac actinのgenomic DNAを ラ ン ダ ム ブ ラ イ マ ― 法 で3ZP標 識 し た も の を 用 い た . ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ― シ ョ ン 後 , オ ― 卜 ラ ジ オ グ ラ フ ィ ー を 行 っ た .   RT‑PCR・法にてv−rasの発現が確認された′クロ―ン(H‑rasー1,H‑ras―5,K‑ras―1,K‑ras−2)と,対 照クローン(neo−1,2)を用いて検討を行い ,以下の結果を得た.

(1)細胞増殖能 および足場非依存 性増殖能

  細 胞増 殖能 ,軟 寒天 培地 中で の コ口 ニー 形成 能に っい ては ,v‑ras発 現ク ロー ンと対照クロ―ンとの 間で明らかな差異を観察し得なかった・

(2〕 細胞 形態

  H‑ras―1,5では 液体 を貯 留し た 三次 元的 なド ーム 形成 が共通して観察されたのに対し,K‑ras−1,2 とneo−1,2と では 明ら かな 形態 変 化を 示さ なか った .光 顕で の観 察か ら. ドー ムは ,培養皿と細胞層 と の 間 に 液体 が 貯留 して 細胞 層が 培養 皿か ら半 球状 に遊 離・ 膨隆 した も のと 考え られ ,コ ラー グン ゲ ル包 埋 三次 元培 養で も液 体を 内包 した 嚢胞 形成 が認 めら れた .

(3)Na゛−K゛−ATPase活性およびド―ム形 成に与えるウアバインの影響

  ドームの形態観察から,Na゛−K゛‑ATPase活性の上昇がドーム形成のーつの要因と考え,Na゛―K゛―ATP ase活 性 ( ルgPi/minY mg protein mean土SE)を 比 較 検 討 し た 結 栗neo―1,2で は3.08土0.92, 2. 47土0.79,K‑ras−1,2では3. 50土0.60,2.97土1.03であったのに対し,H‑ras―1,5では10. 83土 2.  30, 8. 95土 2. 45と ,neo−1, 2に 比 べ て 有 意 ( pく0. 05)に 高 値 を 示 し た .   さ らに ,Na゛―K゛一AIPaseの 特異 的阻害剤であるウアバインの添加によル ドームが消失し,濃度依存 性のドーム数の減少が確認された.

(4) hCGロ 分泌 能

  H‑ras−1,5に お い て は0.85土0.15,2.81土0.39 (mIU/ml/105cells.mean土SE)とneoー1,2 の1. 82土0.36,1.50土0.41に比 べ て明 らか な差 を認めなかったのに対し,K−ras‑1,2においては 5. 09土0.71,8.40土1.20と ,neo―1,2に 比 べ て 有 意 (K0.01) に 高 い 分 泌 量 を 示 し た .   /― ザン ブ口 ット 解析 の結 果, H‑ras―1,5で はneo−1,2との比較において一定の傾向を示さなかっ たの に対 し ,K‑ras−1,2で は明 らか に 高いhCGロmRNAレ ベル を示 し た.

  以 上 の 実 験 成 績 か ら 次 の2点 が は じ め て 示 唆 さ れ た . す な わ ち ,(1) H‑rasが 絨 毛 細 胞 お け る 経 細 胞 性 輸 送 機 構 に 促 進 的 に 作 用 し て い る 可 能 性 が あ る .(2) 絨 毛 細 胞 に お け るhCGロ の 調 節 機構 と し て ,A−kinase系 と と も にrasを 介 す る 系 が 存 在 し て い る .

  口 頭 発 表 に 際 し , 葛 巻 教 授 か らras蛋 白 と イ オ ン チ ャ ン ネ ル , ポ ン プ と の 関 係 ,3種 類 のrasの 機 能 的相 違に っい て, また ,石 橋教 授 からは,ドーム形成とNa゛ーK.ーATPaseの作用機構との 関連,膜蛋 白 で あ るNa゛‑K゛‑ATPaseに 対 す るrasの 作 用 機 構 , 細 胞 膜 で の 本 酵 素 の 局在 など につ いて ,さ らに 小 山 富 康 教 授 か ら は , 正 常 絨 毛 細 胞 に お け るK‑rasとhCG産 生 と の 関 係 , 絨毛 癌あ るい は絨 毛組 織で の ド ー ム 形 成 現 象 の存 在, 水分 輸送 にお けるCaZ十‑ATPaseの 意義 につ いて ,そ れぞ れ質 問が あっ た.

  申 請 者 は こ れ ら の 質 問 に 対 し て 概 ね 適 切 に 解 答 を な し え た も の と 思 わ れ た .   発 表 後 , 葛 巻 教 授 , 石 橋 教 授 か ら 個 別 に 面 接 の 上 審 査 を 受 け 合 格 の 判 定 を 下 さ れ た ・   以 上 , 本 研 究 は ヒ ト 絨 毛 癌 細 胞(ccDに お い て ,ras癌 原 遺 伝 子 の 機 能 的 意 義 を ド ー ム 形 成 hCG分泌 能の 両面 から 明確 にし えた 基礎 的 研究 であ り, 博士 (医 学) の授 与に 価す ると 判断 され た .

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