博 士 ( 工 学 ) 近 藤 啓 子
学 位 論 文 題 名
非線形フイルタを用いた高精度画像復元に関する研究 学位論文内容の要旨
本 論 文 は , 非 線 形 フ ィ ル タ を 用 い た 高 精 度 画 像 復 元 に 関 す る研 究成 果を まと め た も の で あ る .
近 年, イン ター ネッ トを 始め とす る通 信技 術の 発展 は目 覚 まし く, 特に ,高 速 通 信が 望ま れて いる ディ ジタ ル画 像に 関す る処 理技 術の 開 発は ,急 務と され て い る. その 中で も, 高速 通信 下で 劣化 した 画像 の復 元技 術 の開 発は 重要 とさ れ て い る . 実 際 に デ ィ ジ タ ル 画 像を 伝送 する 際,A/D変換 , 撮像 時の セン サー エ ラ ー, 通信 経路 にお いて 雑音 が混 入す るこ とか ら, 劣化 は 避け られ ない .ま た , 劣化 の程 度は ,高 速化 が進 めば 進む ほど 激し くな り, 高 速通 信を 実現 する た め に は , よ り 高 精 度 な 復 元 技 術 が 必 要 と さ れ て い る ・ こ のよ うな 背景 から ,画 像上 に情 報の 欠損 とし て現 れる イ ンパ ルス 性雑 音を 除 去 する 手法 が種 々提 案さ れて いる .イ ンパ ルス 性雑 音に よ って 劣化 した 画像 の 復 元に は, 非線 形フ ィル タが 優れ た効 果を 示す こと が知 ら れて いる .こ れら 非 線 形フ ィル タの 中で も, メデ ィア ンフ ィル タは ,エ ッジ を 鮮明 に保 った まま イ ン バ ル ス 性 雑 音 を 除 去 す る こ と が 可 能 で あ る . し か し な がら ,メ ディ アン フ ィ ルタ は, 原信 号の 画素 に対 して も, 雑音 が付 加し た画 素 と同 様の 処理 を行 う た め , 画 像 の 細 部 を 劣 化 さ せ る と い う 問 題 を も つ .
そ こで ,こ の問 題を 回避 する 手法 とし て, 原信 号の 画素 に は, フィ ル夕 処理 を 施 さず ,そ のま ま出 カす ると いう 復元 手法 が提 案さ れて い る. この 手法 は,
ま ず ,雑 音検 出器 でイ ンパ ルス 性雑 音の 位置 を検 出し ,次 に ,雑 音除 去フ ィル タ で 雑 音 と 判 定 さ れ た 画 素 の み に雑 音除 去処 理を 行う .こ のよ うな2段階 の処 理 に おい て, 雑音 除去 処理 は雑 音検 出結 果を 用い て行 われ る ため ,雑 音検 出精 度 が 雑 音 除 去 の 性 能 を 決 定 づ け る 重 要 な 要 素 と な る . し か しな がら ,従 来の 復 元 手法 が行 う雑 音検 出は ,充 分な 復元 効率 が期 待で きず , 実用 面で は問 題が あ っ た ・
そ こ で , 本 論 文 で は , 高 精 度 な 画 像 復 元 を 実 現 す る こ と を目 的と した 雑音 検 出 器の 提案 を行 って いる .ま た, 復元 画像 の更 なる 高品 質 化を 目的 とし て,
雑 音 除去 フィ ルタ の提 案を 行っ てい る. 本論 文で は, 従来 の 雑音 検出 器で は,
エッジ部分を高精度に復元できないという性質上の問題があることに着眼し,
劣化画像から画像の特徴であるエッジを抽出し,それに基づいて,複数の異な る雑音検出器を切り替えて用いることによって,高精度な雑音検出器の実現を 可能とした.さらに,提案する雑音検出器は,一度検出した雑音検出結果に対 して,再度雑音か否かを検証するという新しいアプローチを導入することによ り,更に雑音検出率の高精度化を実現している.また,画像の自己相似性に基 づいた雑音除去フィルタについて提案しており,復元画像の品質向上を可能と している.
本論文では,まず第2章で,提案する雑音検出器が検出対象とするインパル ス性雑音の発生モデルについて説明する.また,インパルス性雑音によって劣 化した画像の復元において,優れた効果を示す非線形フィルタについて説明す る.第
3
章では,雑音検出器と雑音除去フィルタの2つの処理によって画像復 元を行う場合において,既に提案されている手法を取り上げその概要と解決 すべ き問題点 について述 べる.第4
章では,インパルス性雑音の発生モデル のーつである固定値インパルス性雑音における高精度な雑音検出器を提案す る. 第5
章では ,固定値イ ンパルス性雑音だけでなく,もうーつのインパル ス性雑音の発生モデルであるランダム値インパルス性雑音においても,精度良 く雑 音の位置 を検出する 雑音検出 器を提案 する.第6
章では,第4
章で述べ た雑音検出器に対し,ベクトル信号の概念を導入し,カラー画像においても適 用可 能な手法 を提案する .第7
章では,画像の自己相似性に基づいた反復関 数系(Iterated FunctionSystem
:IFS)を用いた雑音除去フィルタについて提案す る.提案する雑音除去フィルタを用いることにより,高品質な復元画像を得る ことができる.最後に第8章において,本研究の成果について要約し,論文全 体のまとめとする.以上を要約すると,本論文は,非線形フィルタを用いた画像復元について提 案を行っている.また,本手法を実際の画像に適用した実験を行うことにより,
その有効性および有用性を示している.
学位論 文審査の要旨 主査
副査 副査 副査
助教授 教授 教授 教授
長谷山 北島 山本 荒木
学 位 論 文 題 名
美紀 秀夫 強 健治
非線形 フイルタ を用いた 高精度 画像復元に関する研究
本論文は,著者が行った非線形フィルタを用いた高精度画像復元に関する研究成果 をまとめたものである.近年,インターネットを始めとする通信技術の発展は目覚ま しく,特に,高速通信が望まれているディジタル画像に関する処理技術の開発は,急 務とされている,その中でも,高速通信下で劣化した画像の復元技術の開発は重要と されている.実際 にディジタル画像を伝送する際,A/D変換,撮像時のセンサーエ ラー,通信経路においてノイズが混入することから,劣化は避けられない.また,劣 化の程度は,高速化が進めば進むほど激しくなり,高速通信を実現するためには,よ り高精度な復元技術が必要とされてしjる.
このような背景から,著者は,画像上に情報の欠損として現れるインバルス性ノイ ズを効果的に除去する復元手法に注目した.インパルス性ノイズによって劣化した画 像の復元には,原信号の画素には,フィル夕処理を施さず,そのまま出カするという 復元手法が優れた効果を示すことが知られている.この手法は,まず,ノイズ検出器 でインパルス性ノイズの位置を検出し,次に,ノイズ除去フィルタでノイズと判定さ れた画素のみにノ イズ除去処理を行う.このような2段階の処理において,ノイズ除 去処理はノイズ検出結果を用いて行われるため,ノイズ検出精度がノイズ除去の性能 を決定づける重要な要素となる.しかしながら,従来の復元手法が行うノイズ検出は,
充分な復元効率が期待できず,実用面では問題があった.
著者は,本論文においてこの問題を解決すべく,高精度な画像復元を実現すること を目的としたノイズ検出器の提案を行っている.また,復元画像の更なる高品質化を 目的として,ノイズ除去フィルタの提案を行っている.著者は,従来のノイズ検出器で は,エッジ部分を高精度に復元できないという性質上の問題があることに着眼し,劣 化画像から画像の特徴であるエッジを抽出し,それに基づいて,複数の異なるノイズ 検出器を切り替えて用いることによって,高精度なノイズ検出器の実現を可能とした.
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さらに,提案するノイズ検出器は,一度検出したノイズ検出結果に対して,再度ノイ ズか否かを検証するとtゝう新しいアプローチを導入することにより,更にノイズ検出 率の高精度化を実現している.また,画像の自己相似性に基づいたノイズ除去フィル タ に つ い て 提 案 し て お り , 復 元 画 像 の 品 質 向 上 を 可 能 と し て い る . 以下,章を追って論点を述べる.まず論文第2章で,提案するノイズ検出器が検出 対象とするインバルス性ノイズの発生モデルについて説明を行った.また,インパル ス性ノイズによって劣化した画像の復元において,優れた効果を示す非線形フィルタ に ついて説明を行った.第3章 では,ノイズ検出器とノイズ除去フィルタの2つの処 理によって画像復元を行う場合において,既に提案されている手法を取り上げ,その 概 要と解決すべき問題点について指摘した.第4章では,インパルス性ノイズの発生 モデルのーつである固定値インパルス性ノイズにおける高精度なノイズ検出器を提案 し た.第5章では,固定値インパルス性ノイズだけでなく,もうーつのインバルス性 ノイズの発生モデルであるランダム値インパルス性ノイズにおいても,精度良くノイ ズ の位置を検出するノイズ検出器の提案した.第6章では,第4章で述べたノイズ検 出器に対し,ベクトル信号の概念を導入し,カラー画像においても適用可能な手法を 提 案した.第7章では,画像の 自己相似性に基づいた反復関数系(IteraedFhnction System:IFS)を用いたノイズ除去フアルタについて提案した.提案するノイズ除去 フ ィルタを用いることにより,高品質な復元画像を得ることを示した.最後に第8章 に お い て , 本 研 究 の 成 果 に つ い て 要 約 し , 論 文 全 体 の ま と め を 行 っ た . 以上を要約すると,著者は,高精度な画像復元手法を実現するために,ノイズ検出 と ノイズ除去の2つの処理から復元を行う手法に着眼し,従来手法が抱える問題点を 定性的に分析し,その結果,精度良くノイズを検出する検出器およびノイズ除去フイ ルタについての提案を行った.本研究を通じて情報ヌディア工学・通信工学への大き な貢献をしたので,著者は博士(工学)の学位を授与される資格があるものと認める.
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