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博士(工学)福本倫久 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(工学)福本倫久 学位論文題名

Fe ー 低 Si およ びNi 合金 の高温酸化に及ぼす      水 蒸 気 添 加 の 影 響 に 関 す る 研 究

学位論文内容の要旨

  近年、表面 処理鋼板の 高機能化に 対応するため、鉄鋼材料には高清浄化表 面が求めら れている。 現在、熱問 圧延工程で 形成する酸化物皮膜は高圧水を 吹き付ける ことによっ て剥離・除 去する方法 が採用されているが、鋼材中の 微量合金元 素および水 蒸気による 再酸化など により、酸化物皮膜を完全に除 去すること は困難であ る。特に、 水蒸気含有 雰囲気で形成する酸化物被膜は 多孔質であ り、かつ、 酸化が加速 されるとい う特徴を有し、その機構の解明 が求められ ている。

  本 論 文で は 、Fe一 低Siまた は 低Ni系二 元合金の高 温酸化挙動 に対する水 蒸 気の 影 響に つ いて 、 特に 、 広い 温度範 囲(1073〜1473K)におい て、酸化 初期の 動力学と合 金上に生成 する酸化皮 膜構造、形態、組成について詳細に 調 査し、その 機構につい て明らかに したもので 、本論文は 全6章 から構成さ れてい る。

第 ー章 は 緒論 で あり 、 高温 酸 化 挙動 およ び機構に関 する歴史的 展開を記述 し、鉄 鋼材料の熱 問圧延工程 における高 温酸化における水蒸気添加の影響に ついて 解決すべき 課題を抽出 し、その工 学的背景と本研究の目的について述 べた。

  第 二 章はFeおよ びFe―Si (0.1〜1. 5mass%)合金 の 大気 中 、温 度1323〜 1473Kに おける初期 (〜150s)酸化 挙動を調査 した.その結果、1373K以下で は 、Si濃化 層 が 保護 性 皮膜 と して 作 用し,Si量 の増加によ って酸化量 は減 少 する が、1473Kでは液相 の形成によ り,Si量の増 加とともに 酸化量は増 大 した・

  第三章はFe−1.5mass%SiとFeの1073,1273K,air,airーH20,ArーH20,02―H20 と02に おけ る 高 温酸 化 挙動 を 調査 し た.その 結果,Feでは ,いずれの 温度 でも水蒸気の影響は見られなかったが、1. 5Si合金では(1)水蒸気含有雰囲気 では, 酸化量は初 期の遷移期 間経過後に 加速酸化に移行し,この遷移期間は 02,air,Arの順 に短くなり ,また,air−H20で は水蒸気量 が多いほど 短時 間となる.(2)遷移期間で形成するスケ―ル構造はFe−oxides (Fe203,Fe304)

(2)

/Si−rich層/内部酸化(Si02)層であり,加速酸化ではFe−oxideS (Fe203, Fe304,Fe0) /FeO+Fe2Si04層/内部酸化(Fe2Si04とSi02)層が形成される,特 に,FeO+Fe2Si04層は厚く成長する.(3) Ptマ―カーは,Feではいずれの雰囲 気でも金属7Fe0の界面に存在し,1.5siでは,遷移期間ではFe―oxides (Fe203, Fe304)とSi−rich層の 界面 ,また ,加 速酸 化で はFe07FeO+Fe2Si04層の界面 に 存 在 す る .(4)加 速酸 化で は, 外層ス ケー ルのFe0と内 層ス ケール に多 数 の ボイ ドが 存在し ,断 面と 表面から立体的に観察することによって,ボイド はFe0柱 状 晶 の 界面 に沿 って チヤ ンネリ ング を形 成し ている ‐(5)水 蒸気 含 有雰囲気では.酸化の初期に形成したSi―rich層を通して酸素が透過し,Fe0 を 合金 表面 に形成 して その 保護性を低下させる結果として,加速酸化に移行 すると考えられる.

  第 四 章 で は 、Feお よびFe―1.5mass96S1合金 の1373お よび1473K.air, air‑H20に おけ る初 期酸化 挙動を調査した.その結果、Feで|ま1373と1473K いずれの温度でも水蒸気の影響は見られなかった。一方、1. 5Siの酸化量は 1373Kで は 水 蒸 気を 添加 する こと によっ て増 加し たが 、1473Kでは水 蒸気 の 影響は見られなかった. Pt一marker実験より,内層は酸素の内方拡散によっ て 成長 して いるこ とが わか った.1473Kでは,Fe2Si04が液相となるため内層 は 生 成 せ ず , Ptマ ― カ ー は 合 金 ノ ス ケ ー ル 界 面 に 存 在 し た .   第 五 章 はFe‑0. 5Niお よび5Ni合金 の1273K,airお よびair−H20に おけ る 高 温酸 化挙 動を調 査し た. その結果、Fe−Ni合金の酸化量は水蒸気添加によ り 増 加 し , 内 層 スケ ール が厚く 生成 し, 高Ni合 金で より 顕著 であっ た. ス ケ ール ノ合 金界面 にはNiが 濃化し ,0.5Niではair中で 酸化した試料よりも air‑H20中 で 酸 化 し た 試料 の 方 が 濃 化 し て い た .― 方,5Niではair中で 酸 化した試料の方がNiは濃化した,  ,

  第六章では、Fe−3mass%Si02とFe,Fe―1.5mass%Siの1273K,airとair−H20 における高温酸化挙動を調査した. Fe−3mass96Si02をair中で酸化すると,

時 間の 経過 ととも に内 層が 成長し ,そ れに 伴いFe304が 生成・成長した.乾 燥 雰囲 気で も,内 層が 形成 し,それに伴い,外層スケ―ル中にはボイドチヤ ン ネリ ング が形成 し、 水蒸 気含有雰囲気では内層が厚く成長し,酸化量は増 加した・

以 上の 結果 および 理論 的考 察から 、水 蒸気 の加 速酸化 は合 金/ スケ ール界 面 より 合金側に向かって、いわゆる内層スケールが成長する時に顕在化し、

特 に、 内層がFeO+Fe2S104またはFeO+Ni (Fe)の混合層であるときに顕著であ る 。こ の混合層の役割としては、外層スケールの後退を阻害し、その結果、

外 層酸 化物の解離による酸素の放出を誘導することが挙げられ、さらに、雰 囲 気に 水蒸 気が存 在す ると 酸素と 水蒸 気の 複合 効果が 現れ るこ とを 提案し た 。加 速酸化はこの水蒸気による酸化の移動が支配要因となるためである。

第七章は、本論文の総括である。

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Fe ― 低Si およ び Ni 合金 の高温酸化に及ぼす      蒸 気 添 加 の 影 響 に 関 す る 研 究

  近 年 、 表 面 処 理 鋼 板 の 高 機 能 化 に 対 応 す る た め 、鉄 鋼 材 料に は 高清 浄 化 表 面 が 求 め ら れ て い る 。 現 在 、 熱 間 圧 延 工 程 で 形 成 す る酸 化 物皮 膜 は 高圧 水 を 吹 き 付 け る こ と に よ っ て 剥 離 ・ 除 去 す る 方 法 が 採 用 され て いる が 、 鋼材 中 の 微 量 合 金 元 素 お よ び 水 蒸 気 に よ る 再 酸 化 な ど に よ り 、酸 化 物皮 膜 を 完全 に 除 去 す る こ と は 困 難 で あ る 。 特 に 、 水 蒸 気 含 有 雰 囲 気 で形 成 する 酸 化 物被 膜 は 多 孔 質 で あ り 、 か つ 、 酸 化 が 加 速 さ れ る と い う 特 徴 を有 し 、そ の 機 構の 解 明 が 求 め ら れ て い る 。

  本 論 文 で は 、Feー 低Siま た は 低Ni系 二 元 合 金 の 高 温 酸 化 挙 動 に 対 す る 水 蒸 気 の 影 響 に つ い て 、 特 に 、 広 い 温 度 範 囲 (10731473K)に お い て 、 酸 化 初 期 の 動 力 学 と 合 金 上 に 生 成 す る 酸 化 皮 膜 構 造 、形 態 、 組成 に つい て 詳 細に 調 査 し 、 そ の 機 構 に つ い て 明 ら か に し た も の で 、 本 論 文 は 全6章 か ら 構 成 さ れ て い る 。

第 ー 章 は 緒 論 で あ り 、 高 温 酸 化 挙 動 お よ び 機 構 に 関 す る 歴 史 的 展 開 を 記 述 し 、 鉄 鋼 材 料 の 熱 問 圧 延 工 程 に お け る 高 温 酸 化 に お ける 水 蒸 気添 加 の 影響 に つ い て 解 決 す べ き 課 題 を 抽 出 し 、 本 研 究 の 目 的 に つ い て 述 べ た 。   第 二 章 はFeお よ びFeSi (0.11. 5mass%)合 金 の 大 気 中 、 温 度1323 ‑ 1473Kに お け る 初 期(150s)酸 化 挙 動 を 調 査 し た . そ の 結 果 、1373K以 下 で は 、Si濃 化 層 が 保 護 性 皮 膜 と し て 作 用 し ,Si量 の 増 加 に よ っ て 酸 化 量 は 減 少するが、1473Kでは液相の形成により酸化量は増大した・

  第三ニ章はFe15mass%SiFe1073,1273K,air,air−H20,Ar−H20,02−H20 02に お け る 高 温 酸 化 挙 動 を 調 査 し た ‐ そ の 結 果 ,Feで は , い ず れ の 温 度

夫 浩

明 明

敏 眞

英 俊

(4)

でも水蒸気の影響は見られなかったが、1. 5Si合金では(1)水蒸気含有雰囲気 では,酸 化量は初期 の遷移期間 経過後に加 速酸化に移 行し,この遷移期間は 02 air,Arの 順 に短くな り,また,air―H20では水蒸気 量が多いほ ど短時 間と な る.(2) Ptマ ー カ ―は ,Feで はい ず れの 雰 囲気でも金 属7Fe0の界面 に存在し,1. 5Siでは,遷移期間ではFe―oxides (Fe203,Fe304)とSi―rich層 の界 面 ,ま た , 加速 酸 化で はFe07FeO+Fe2S104層 の界面 に存在する .(3)加 速酸 化 では , 外 層スケ ―ルのFe0と内層スケ ールに多数 のボイドが 存在し,

断面 と 表面 か ら 立体的 に観察する ことによっ て,ポイド はFe0柱状 晶の界面 に沿 っ てチ ヤ ン ネリン グを形成し ている.(4)水蒸気含 有雰囲気で は,酸化 の初 期 に形 成 し たSi‑rich層 を 通し て 酸素 が 透過 し,Fe0を合金表 面に形成 してその保護性を低下させる結果として,加速酸化に移行すると考えられる・

  第 四 章 で は、Feお よ びFe―1.5mass%Si合金 の1373およ び1473K,air air−H20にお け る初 期酸化挙動 を調査した .その結果 、Feでは1373と1473K いずれの 温度でも水 蒸気の影響 は見られなかった。―方、1. 5Siの酸化量は 1373Kで は 水蒸 気 を添 加 する こ と によ っ て増 加 したが 、1473Kでは 水蒸気の 影響 は 見ら れ な かった .Pt‑marker実験 より,内層 は酸素の内 方拡散によ っ て成長し ていること がわかった ‐1473Kでは ,Fe2Si04が液 相となるため内層 は 生 成 せ ず , Ptマ ー カ ― は 合 金 ノ ス ケ ー ル 界 面 に 存 在 し た ・   第五章はFe―0.5Niおよび5Ni合金の1273K,airおよびair−H20における 高温酸化 挙動を調査 した.その 結果、Fe―Ni合金 の酸化量は 水蒸気添加によ り増 加 し, 内 層 スケ ― ルが 厚 く生 成 し, 高Ni合 金でよ り顕著であ った.ス ケ― ル ノ合 金 界 面にはNiが濃化し,0.5Niではair中で酸化し た試料より も air―H20中で 酸 化し た 試 料の 方 が濃 化 して い た. ―方,5N1ではair中で酸 化した試料の方がNiは濃化した・

  第六章では、Fe―3mass%Si02とFe,Fe−1.5mass%Siの1273K,airとair−H20 にお け る高 温 酸 化挙動 を調査した .Fe−3mass%S102をair中 で酸化する と,

時間の経 過とともに 内層が成長 、し,それに伴いFe304が生成・成長した.乾 燥雰囲気 でも,内層 が形成し, それに伴い ,外層スケ ール中にはボイドチヤ ンネリン グが形成、 水蒸気含有 雰囲気では 内層が厚く 成長し,酸化量は増加 した‐

第七章は、本論文の総括である。

  これを要 するに、著 者は鉄鋼材 料の高温腐食に対する水蒸気の影響につい て新知見 を得たもの であり、材 料工学と界面制御工学に貢献するところ大な るものが ある。よっ て著者は、 北海道大学博士(工学)の学位を授与される 資格ある 者と認める 。

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