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博士(工学)久保正男 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)久保正男 学位論文題名

Design of Intelligent Autonomous Agents Systems

(知的自律エージェントシステムに関する研究)

学位論文内容の要旨

    本論文は自律エージェント群から構成されたシステムの設計法及びこの新たなバラダ イムが含む課題について実験的に考察している,本論では自律エージェントはローカルな問題 観測と他のエージェントから独立した自己意志決定権を持つ計算ユニットの総称と定められて いる.また,自律エージェント群による問題解決は問題の各局面に応じて組織を適応的に変化 させることによって行うものと定めている.っまり,自律エージェント群の組織が問題解決プ ロセスに対応するものと定義されており,システムは問題とのインタラクションを通じて自己 の組織を変えながら動的問題の各局面を処理してゆくものと定められている.本論では,この システムの具現化による相互問題変化監視による動的環境下での即応性,柔軟な問題解決機構,

システムデッドロックヘの頑健性等の大幅なアドバンテージヘ注目している.ところが現在,

このシステムに関する設計理論はもちろんのこと自律エージェントの機構やエージェント間の 相互作用のプログラム表現方法さえも確立されていないことが指摘されている.その最大の理 由として,対象問題領域の動的性の為に,問題領域に特化した相互関係生成が許されないこと を挙げている,問題が特定されている場合には設計者が問題を解析して適切な組織推移をイン プリメントすればよいのに対し,対象が未知情報を含むためにこの従来法では十分能カを持つ システムの構築困難が予想されている.これは逆に,この新たなシステムの一般性をふまえた 具現化は上記した問題解決能カの向上のみならず,システムデザイナ―の過酷な解析的設計プ ロセスを改善することにもっながることを示している.

    具体的なアブローチが全く確立していないといえる現状においては,このシステムを デザインする為には2つの設計について考察する必要があると指摘されている.一っは自律エー ジェント群が生成可能な組織集合が問題の各局面を処理可能な組織を被覆する為の仕様設計で ある.もう一方は,問題の各局面に対して適切な組織を生成する適応性の設計が必要である.2 番目の設計は深刻な課題を抱える.その課題はーつのメタシステムよってこの組織コントロー ルが行われるわけではなく,自律したエージェント群による相互作用の結果として実現されな けれぱならない為である.しばしば,相互関係は時空要素を含むと考えられこのマネージメン トが一厨困難なものなることを指摘している.

    まず第一に本論では,自律性に着目している.まず,自ぞお性をシステムが自己の内部 状態を一定に保つことど定義している.これによってシステムと問題解決を対比させることが でき,上記第二課題はシステムの自律性を達成するために如何に各自律エージェントをデザイ ンすればよいかという課題に置換される.

    次に,新たなエージェントデザインとしてIntelligenceとRespon sibilityを提案する.この

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2概念を ふまえ 設計する ことに よって ,実際 に問題 を処理 しなが ら適切な相互関係を獲得,再利 用新たな組織の発見が可能であると考えられている.本論では特にIntelligenceに着目している.

Intelligenceは自 律性を向上させる新たな知識の自己発見機構と定めている.さらにこれを4種に 分類し ている. またInteUigenceをも つエージ ェント システ ムを特 にIAASと呼んでいる.本論文 は7章か ら構成 されてお り,複 数の異 なる動 的問題 へ異な るIntelligenceをふまえIAASを実際に 設 計 し て い る .こ れ に よ って 上 設 計 概念 が 妥 当 でか つ 汎 用 性が あ る こ とを 主 張 し てい る .     第1章では,本論文の全体構成について述べている,  `

    第2章 では ,Sensingの 概念を 取り入 れるこ とによ って自 律性お よびRecognitionをシン プ ルにデ ザインす ること が可能 である ことを 示して いる. 次にIAASの 構造が 周期性 をもつ ことを のべて おり,上 記Intelligenceが実行 可能で あることを述べている.また具体的なエージェント イ ン プ リ メ ン ト手 法 と し て学 習 や 適 応と い う 関 連領 域 に つ いて の サ ー ベイ を 行 っ てい る .     第3章 では , 位 相 差顕 微 鏡 像 にお け る タ マホ コ リ カ ピの 領 域 抽 出に 対し て基礎 モデル を 構築し てIAASとエ ージェ ントの 関係を 明らかに してい る.ま たシス テムと しての 自律性 が妥当 であることを示唆している,

    第4章 では 伝 統 的 な工学 的問題 に対し てRespon siblityに着目 したIAASを デザイ ンして い る.組 み合わせ 問題と いうAI論 が取り 組んで 来た問 題への インプ リメン トと試 み,IAASの 妥当 性を検 証してい る.こ こでは 組み合 わせ問 題とし てTSPを取 り扱っ ている.ここではオフィシャ ルデ ー タ の みな ら ず , 実時 間 上 で 都市 位 置 が 変化す る特殊 な課題 にも取 り組ん でいる .この IAASがオフ イシャ ルデー タに対 し妥当 なレベル の解を 探索す ること ができ る上, 動的な 環境変 化に十分な追従が可能であることを実験的に示している.

    第5章で は,2,3種に分 類され るIntelligenceを もつIAASを動的 な環境として代表的な多人 数から 構成され たチー ムゲー ムにイ ンプリ メント してIAASの 動的問 題への 適応能 カの高 さを示 している.

    第6章 では4種 に 分 類 され るIntelligenceを もつIAASを動的 な環境 として サッカ ーゲー ム にインプリメントしてIAASの動的問題一丶丶の適応能カの高さを示している.またここでは自律エー ジェン ト間のコ ミュニ ケーシ ョンを 扱って おり,IAASとして の予測 機構を 実現し ている .特に ここで はIAASにお いて場 を介し たコミ ュニケー ション が有効 である こと, またこ の際, コミュ ニケー ションプ ロトコ ルを予 め設計 者が規 定する 必要が ないこ とを示し ている .記号 空間操作 のみが 与えられ たエー ジェン ト群に よって 意味空 間が創 発され ることを 実験的 に示し ている.

またエ ージェン ト間に 予め階 層性や 並列性 を設計 者が予 め与え なくても 妥当な 構造が 発生する ことを実験的に示している.

    第7章 では 上 記 で おこ な っ た モデ ル 群 を まと め 将 来 に残 し た 課 題に つい て述べ ている . 多数の エージェ ントか らなるIAAS僻築 の必要性とこれへのアプローチとして全Intelligenceおよ びResponsiblityのハイプリッド化について述ぺている.

以上の実際的な設計を通じて自i仁性,Intelligence,ResponsibilityがIAAS設轟t.において瓜要な概 念であることを示している.

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学 位 論 文 審 査 の 要旨

主 査   教 授   嘉 数 侑 昇 副 査   教 授   宮 本 衛 市 副 査   教 授   和 田 充 雄

学 位 論 文 題 名

Design of Intelligent Autonomous Agents Systems

( 知 的 自 律 エ ― ジ ェ ン ト シ ス テ ム に 関 す る 研 究 )

  近 年 ,情 報処 理 分野 でエ ー ジェ ント とぃう概念が取 り入れられ,様々 な問題領域において コレクテイ ブに問題解決ヘ アプローチする手 法が試みられてき ている.コレクテイ ブアプローチの持 つ特徴として動 的環境下での即 応性,柔軟な問題 解決機構,問題解 決過程におけるデッ ドロック状況に対 する頑健性等と いった点におい て優位性を持って いる,しかしなが ら,問題対象のモデ ル化が困難な場合 や動的に問題環 境が変動する場 合において,如何 にして効果的なエ ージェントシステム の構築を行うか明 確な手法が与え られてきていな い.特に高い柔軟 性と解決能カを持 っと期待される分散 型エージェント詳 の組織的活動に よる自律的問題 解決へのアプロー チは,これまでに ほとんど手が付けら れてこなかった. 本論文はこのよ うな問題に対し ,分散型コレクテ イプアーキテクチ ャを基本とし,付与 された問題環境に 対して,適応的 かつ自倖的な振 る舞いと創発的な 組織化によって問 題解決を図るための 様々な知的自倖エ ージェントシス テ ム の 構 築 設 計 手 法 を 展 開 し て い る . す な わ ち , そ の 主 要 な 成 果 は , 次 の4点 に 要 約 さ れ る .   1  分 散 型コ レクテイプアーキテ クチャを基本とし た知的自律エージ ェントシステムが具 備すべき要 件に 関 して ,動 的 な環 境と の イン タラ ク テイ ブな 関 わり とい う 面か ら捉 え 直し ,特にInteliigence Responsibilityの面から定式化し た議論を行なって いる.この議論を通 して,各エージェ ントの自律的活 動可能領域の同 定過程における創 発的振る舞いの性 質,すなわち自己更 新機能の設計手法 の重要性を明ら かにしている.

  2  創 発 的組 織化 を 通し て問 題 解決 を図 る 場合 に, 集 団としての意 思統一と分権を図る ことの重要 性を指摘すると ともに,従来の強 化学習の枠組みを 拡張した提案手法に よって,分業性を もった組織化の 創発が可能とな ることを示してい る.

  3.  変動 的な 問 題領 域に お いて は, 意 思統 一の 遅 延性 が克 服 すべ き問 題 点で あることを 取り上げ,

この課題に対し ,従来の強化学習 の枠組みに加え, コミュニケーション の概念を導入した 新たな意志統一 系の設計手法に ついて提案を行っ ている.特にコミュニケーションの媒体とじてP PS(PrimirivcP otential Scheme)と呼ぷ 場を利用した表現 手法を提案し,こ れをさらに変動環境 とのインタラクシ ョンにもJHいる ことによって, 状況に応じて変化 するフオーメーシ ョン生成が彳〒える ことを確かめてい る.とくにこの PPSJnいた乎淡では, 荊t織的活 動を行うためのコ ミュニケーションプロトコルを設aI.哲が予め規定する ことなく,エー ジェントが群の匚If扛的栩互作用を 通じて荊発的に意味空ltIUが制発されることを示してい る.また学骨過 程において必要な .インタラクショ ンの因釆関係を,インスタンスとしてのPPs crに対する 各エージェント の利J川鑓艇としてJWいることによって,通常では学習が困離なliキ|m発展的役割分担として のフオーメーシ ョン生成′ 可能 としている.

  4  以上の提案手法 を,最適化問題,画 像処理I!iJ題等への工学的 応用を図り,その 有効性を確認し てい る .巌 適化 問題の一例 として組み合わせ 最適化問題であるTSPを取り 上げ,オフイシャル データのみ ならず,実時I刈上で都 市位般が変動する‖H題にも 取り組んでいる,これらの結果からオフイシヤルデータ に対し妥当なレ ベルの解探索能カ を実現するととも に,動的変動環境下 における問題にお いても提案する コレクテイプな アプローチが有効 であることが確か められている.さら に,提案手法の有 効性を効果的に

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検 証する 場と して, 様々な制約条件下での知的自得rエージェントシステムの柵互対戦型ゲーム環 上 げ,自 衛活 動領域 の同定 過程, 組織 的分業やフオーメーションの生成過程に関する議論と検討 と によっ て所 望する コレク ティプ 指向 の問題解決システム設計に対する重要な知見を得ている.

  以上の ように 本論文 は,分 散型 エージ ェント 群の組 織的 活動に よる自 倖的問 題解決へのアプ 実 現する ため の様々 な設計 概念お よび 設計手法に関して提案を行い,従来困離であった動的時間 う 問題へ の知 的自常 エージ ェント シス テムによる解決に関する新知見を得ており,情報工学,知 進 歩に寄 与す るとこ ろ大で ある. よっ て著者は,北海道大学博士(工学)の学位を授与される資 の と認め る.

境を取り を行うこ

ローチを 変化を伴 識工学の 格あるも

参照

関連したドキュメント

  

   次に、上記で提案した凸閉曲面の形状決定法をより複雑な物体の形状決定に適用できる

また 、TMS による 推論機構 においても 先の知識ベースが利用可能であることを示

  

   以上,こ

   第8

   一 方,今 日の道 路交通 シス テムは ,r 人」, 「車」 ,「道 路(環 境) 」3 サ ブシ ステムから構成 され ると 言われ るよう に道路 交通そ のも のの特 性を考

   第2