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博士(工学)久留賢治 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)久留賢治 学位論文題名

小型光ポンピング方式セシウム原子発振器の      設計法に 関する研究

学位論文内容の要旨

  

近年、広帯域デイジタル伝送システムにおける時分割多重化方式は、従来 の非同期クロックを用いるスタッフ多重方式から、網同期システムから供給 される同期クロックを用いる同期多重方式に移行しつっある。同期多重方式 においては、多重化された高速信号内における任意の低速信号を直接識別す ることができるので、信号の多重・分離や、多重化された信号相互のクロス コ ネ ク ト と ぃ っ た 信 号 処 理 を 高 度 化 す る こ と が で き る 。

  

現行の網同期システムでは、マスタノードのCs 原子発振器で発生させた 基準クロック周波数を、ノード間に設けられたクロック分配リンクを多段に 介して、全国のスレープノードに分配する従属同期方式が採用されている。

従属同期方式では、リンクの段数が増加すると、末端のノードにおけるク ロックの同期品質が劣化するので、リンクの段数は制限される。また、ク ロック分配網を構築する場合、あるいは障害によってクロック分配経路を切 り替える場合、リンクの段数が制限値を超えたり、相互従属によってループ を形成する部分が発生したりしないように、クロック分配網を管理する必要 が有る。今後、同期化された通信網の拡大に伴い、これらの問題点が顕著に なることが予想される。超高安定・高確度発振器を用いた独立同期方式を採 用すれば、クロック分配網の管理を要しない、柔軟な網同期システムを実現 することができる。

  

光ポンピング方式Cs 原子発振器は、従来の偏向磁界方式Cs 原子発振器よ りも実効的な原子ピーム強度が大きく、また周波数シフト要因が少ないの で、超高安定・高確度発振器として有望である。現在のところ、大型の1 次 周波数標準器としての設計法についてはぃくっかの標準機関から報告がなさ れているが、小型の実用周波数標準器に関するものは少ない。本論文では、

実用周波数標準器としての小型光ポンピング方式Cs 原子発振器の設計法を

(2)

明らかにすることを目的とする。

  

第2 章では、研 究を進めるために必要な、光ポンピング方式Cs 原子発振 器の動作原理について述べた。

  

3

章では、光ポンプ及び共鳴検出に用いられるレーザ光の発振スペクト ル線幅が光ポンピング方式

Cs

原子発振器の周波数短期安定度に与える影響 について解析を行った。この解析の結果、レーザ光の雑音を考慮すると、2 周波ポンプ・ポンピング遷移の組み合わせによる構成が最も優れた周波数短 期安定度を与えることが明らかになった。

  

第4 章では、光 ポンピング方式Cs 原子発振器の周波数確度を劣化させる

3

種類の周波数シフト要因について検討を行った。まず、位相差シフトにつ いて、双方向原子ピーム管を用いた実時間自動補正法を提案した。また、

レーザ光と原子との相互作用に伴って発生する蛍光による光シフトの解析法 を明らかにした。さらに、ポンプ光の偏波状態と近接遷移による周波数シフ トの関係を明らかにした。

  

第5 章では試作 した光ポンピング方式Cs 原子発振器の概要ついて報告し

た。特に、原子ピームコリメータについて詳細な検討を行い、チャネル壁面

の温度上昇が原子ピーム広がりの原因であることを明らかにした。また、こ

の試作 機を用いた

Ramsey

共 鳴スペクト ルの観測を行い、Ramsey 共鳴線幅

650 Hz

、 雑 音 帯 域 幅

1Hz

あ た り の

SN

比 と し て

50 dB

の 値 を 得 た 。

DBR

レーザ等の高コヒーレント光源を用いれば、SN 比を改善して現行の実用周

波 数 標 準 器 よ り

1

桁 程 度 高 安 定 化 で き る と 予 想 さ れ る 。

(3)

主 副 副

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

小型光ポンピング方式 セシウム原子発振器の      設計法に関する研究

  近 年, 広帯 域デ ジタ ル 伝送 シス テム にお いて は, 超高 安定 ・高 確度 周波 数標 準 器を用い た独 立同 期方 式を 採用 す るこ とに より ,柔 軟な 網同 期シ ステ ムを 構築 する こと が 求められ て い る 。 そ の た め に は , 超 高 安 定 ・ 高 確 度 の 実 用 周 波 数 標 準 器 が 必 要 で あ る 。   従 来か ら一 次標 準器 と して 用い られ てい る, 超高 安定 ・高 確度 の発 振器 は, 磁 界により 原子 状態 準備 およ ぴ共 鳴 検出 を行 うCs原子 発振 器で ある 。し かし ,こ れは 装置 構 成が非常 に 大 規 模 で 長 時 間 の 連 続 運 用 が 困 難 で あ り , 実 用 周波 数標 準器 とし ては 不 適当 であ る。

  本 論文 は小 型の 実用 周 波数 標準 器と して 期待 され る, レー ザ光 によ り原 子状 態 準備およ び 共 鳴 検 出 を 行 うCs原 子 発 振 器 の 設 計 法 を 以 下 の 点 で 明 ら か に し て い る 。

@光 ポン ピン グ及 び共 鳴 検出 に用 いら れる レー ザ光 の発 振ス ベク トル 線幅 が周 波 数短期安 定 度 に 与 え る 影Iを 解 析 し て い る 。 ま た ,2周 波 ポ ンピ ング とボ ンピ ング 遷 移の 組み 合わ せに よる 構成 が最 も優 れ た周 波数 短期 安定 度を 与え るこ とを 理論 的に 明ら かに し ている。

@マ イク ロ波 の位 相差 に よる 周波 数シ フト につ いて ,双 方向 原子 ピー ム管 を用 い た実時間 自動 補正 法を 提案 して い る。 また ,Cs原子 から の螢 光に よる 周波 数シ フト の解 析 法や,ボ ンピ ング 光の 偏波 状態 と 近接 遷移 によ る周 波数 シフ トの 関係 を明 らか にし てい る 。これら の 理 論 解 析 に よ り 周 波 数 確 度 の 劣 化 を 最 小 限 に す る 設 計 法 が 示 さ れ た 。

◎小 型光 ポン ピン グ方 式Cs原 子発 振器 を試 作し ,原 子ピ ーム 広が りの 原因 が原 子 ピームコ リメ ータ のチ ャネ ル壁 面 の温 度上 昇に よる もの であ るこ とを 明ら かに し, 熱伝 導 率の悪い 材 料 を 用 い る こ と で こ の問 題を 解決 して いる 。 また ,Ramsey共鳴 線幅650Hz,雑 音帯 域幅 1Hz当 た り のSN比 と し て50dBの 値 を 得 て い る 。 こ れ は 現 行 の 実 用 周 波 数 標 準 器 とほ ぼ同 程度 の特 性に 相当 する 。DBRレー ザ等 のよ ルス ベク ト ル線 幅の狭いボンピング光源を用いる と 現 行 の 実 用 周 波 数 標 準 器 よ り1桁 程 度 高 安 定 化 が 可 能 で あ る と の 見 通 し を 得 てい る。

  こ れを 要す るに 著者 は ,超 高安 定・ 高確 度な 実用 周波 数標 準器 とし て期 待さ れ る小型光 ポン ピン グ方 式Cs原子 発 振器 について., 周波数安定度や周波数確度を新たに理論解析する とと もに 試作 ・検 討を 行 い, その 設計 法に 新知 見を 得た もの で, 電子 物理 工学 , 情報伝送

‑ 230 ‑

人 彦

瑛 精

島 藤

三 伊

授 授

教 教

査 査

(4)

工 学 , 光 計 測 工 学 , 情 報 ネ ヅ ト ワ ― ク 工 学 に 貢 献 す る と こ ろ 大 で あ る 。   よって著者は北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

231

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