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初代肝細胞の三次元培養法を利用した肝臓シュミ レータの開発

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

初代肝細胞の三次元培養法を利用した肝臓シュミ レータの開発

中澤, 浩二

九州大学工学化学工学

https://doi.org/10.11501/3122989

出版情報:Kyushu University, 1996, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

第4章 静置培養を利用した肝臓シミュレータの開発

4.1はじめに

培養肝細胞によって「薬物構造変換過程Jや「薬物代謝酵素活性の変化J, í薬物の消失速度」を評 価する薬物代謝の研究では, これまで静置培養による単層培養肝細胞を利用した肝臓シミュレータの開 発が研究の対象とされてきた。 これは, 静置培養法は培養方法として操作が最も簡単であり, しかもラ ンニングコストが安いため, 一度の細胞調製を行う ことで大量の化合物のスクリーニ ングが行えるから である。 しかし な が ら, 単層培養肝細胞の薬物代謝機能の維持は培養後2-3日間が限界であり, 機能維 持ができ ないことが問題とされてきた。 細胞を無駄なく, しかも長期間にわたって 利用するためは, で きるだけその機能の維持が行えることが望ましく, 薬物代謝機能の維持が可能な培養法を利用した肝臓 シミュレータを開発することが, 医薬品開発における薬物代謝研究のための有効な動物実験代替法とな る。

第3章において, PUFを利用した単層培養法とは異なる初代肝細胞の三次元培養法(スフエロイド培養 法)を確立した。 この三次元状の組織休培養法は, アルブミン分泌能やアンモニア代謝能を維持 できる

ことが報告されており2), 薬物代謝機能において も機能維持が期待される。

そこで, 本章では静置培養のPUFjスフエロイド培養肝細胞を使用し, í 薬物構造変換過程 Jや「薬 物代謝醇素活性の変化J, í薬物の消失速度Jを評価できる肝臓シミュレータの開発を試みた。 まず,

4.2節では, í薬物構造変換過程」と「薬物の消失速度Jに関する研究として, 薬物構造変換反応の第 一相反応と第二相反応の代表的なモデル薬物を取り上げ, スフエロイド肝細胞が「生体肝臓内と同線の 構造変換過程および消失速度を再現できるかJ, また「単層培養肝細胞と比較して機能維持が十分かど っか」を検討した。 さら に, 4.3節では, í薬物代謝酵素活性の変化」に関する 研究 として, 薬物代謝 酵素活性を誘導するモデル 薬物を使用し, スフエロイド培養肝細胞の酵素活性の変化を単層培養の場合

と比較する とともに, 生体肝臓との比較を行うことで, この培養法の動物実験代替法への利用の可能性 を検討した。

(3)

4.2三次元培養肝細胞の薬物構造変換機能の評価

4.2.1本節の目的

生体内に取り込まれた薬物は肝臓によって構造変 換される。この反応は,薬物の極性を増加させ,生 体外に排j世しやすい化合物に変換する反応である。 しかし,得られる構造変換産物は,必ずしも生体に とって無害とは限らず,より薬理効果を高めたり,副作用を発現する有害物質に変換する場合がある。

なお,構造変換反応と薬物の薬理活性変化の関連は,Fig. 4-2-1で示す3つのタイプに分類することがで きる。

薬物(未変化体) 代謝産物

-F 不活性型

|

排j世

代謝

代謝' 毒性発現型

|

持!千世

不活性型 |

代謝' 不活性型| 'r排j陛

代謝

Fig. 4-2-1 構造変換反応と薬物の薬理活性変化の関連

これまでの多くの研究から,構造変換産物の構造によってこれらの関連を予測することが可能である ため,新規医薬品として可能性をもっ化合物のスクリー ニングが行 われる。また,薬物が構造変換され る速度,すなわち薬物の消失速度が薬効の維持期間 を支配する。さらに,薬物の構造変換過程や消失速 度は動物種によって異なる場合があり,数種の実験動物,最終的にはヒトによって評価しなければなら ないため,細胞レベルで評価できることが望まれる。

肝臓シミュレータによってこれらを評価するため には,培養肝細胞が生体肝臓と同様の薬物情造変換 過程を行うことを立証するとともに,生休肝臓の薬 物消失速度を反映できることが望ましい。また,こ の機能を長期間維持できる培養法が有効な肝臓シミュレータであるといえる。

そこで本節では,2つのモデル薬物を使用して,静置培養の スフエロイド培 養肝細胞の薬物構造変換 反応過程および消失速度を生休肝臓と比較するとともに,その機能維持について単層培養肝細胞との比 較を行うことで, r薬物構造変換過程」と「薬物消失速度Jを評価できる肝臓シミュレータとしての可 能性を+食言すしたO

49

(4)

4.2.2モデjレ薬物の選択

2.1.3で述べたように肝細胞による 薬物の構造変換反応は, 第一相反応と第二相反応に分類することが できる。 さらにこれらの反応は, その反応機構の違いからTable 4-2-1のような 反応の型に分類すること ができる。 生体内に取り込まれた薬物は, これらの うちのいずれかの反応の型ある いは複数の反応の型 によって水溶化された産物へと構造変換される。 ここで示した反応の型はすべて重要であり, これらす べての反応の型について検討することが望ましいが 本研究では第一相反応の代表的なモデル薬物とし て局所麻酔斉IJであるリドカイン, また第二相反応の代表的なモデル薬物として解熱鎮痛斉IJであるアセト アミノフェンを取り上げることにした。 これらの薬 物はすでに臨床分野で広く利用されており, 生体肝 臓内での構造変換過程および消失速度が多くの研究者によって研究されている。 したがって, 培養肝細 胞の構造変換過程および消失速度を検討ーすることで生体肝臓の反応過程を再現できる かどうかを判断す ることが容易になる。

Table 4-2-1 肝臓内の薬物構造変換反応の分類

反応の型 機構 モデル薬物

脂肪族の水酸化 R-CH3 R-CH2・OH 芳香族環の水酸化 C6HSX HO-C6H4X

第一相反応 N-脱アルキル化 R-NHCH3 R-NH2 リドカイン 0-脱アルキル化 R-OCH3 R-OH

s-脱アルキル化 R-SCH3 R-SH

脱アミノ化 R-CH2NH2 → RぐOCH

(

一合 R-OH R心-C6H906 アセトアミノフェン

第二相反応 硫酸抱合 R-OH R心ーS03H アセトアミノフェン グリシン抱合 R-COOH R-CONHCH2C OOH

アセチル抱合 R-NH2 R-NHOCH3

(5)

4.2.3実験方法

4.2.3.1リドカイン代謝反応および分析方法 (1)反応およびサンプル調製法

1. エタノールで溶解した50mMのリドカイン溶液をHDMに5μl/mlの濃度で、投与し, 0.25mMのリドカイ ン反応培地を調製したO エタノールの最終濃度は0.5wt%とした。

2. 培養各期間の単層培養およびPUF/スフエロイド培養肝細胞に対して, 2ml/dishの0.25mMリドカイン 反応培地を投与後, 24時間にわたって代謝反応を行った。

3反応終了後, 単層培養肝細胞の場合はラパーポリスマンにより培養dishの底而に付着した細胞および 反応培地を試験管に回収した。 PUF/スフエロイド培養肝細胞 の場合は, 細胞の付着したプレート状 のPUFをメス によって16等分し , 反応培地と共に試験管に回 収した。 また, それぞれの反応に使用

したdishは200μlのエタノールで、洗浄し, 反応培地および細胞を回収している試験管に移した。

4. 2.2mlのサ ンプルを含んだ試験管 に100μlの1N-NaOH溶液を添加し , サンプル溶液をアルカリ性にし

た。

5. GCル1S分析用の内部標準物質としてp心iethoxybenzeneを選び, 最終濃度が0.25mMになるようにサン プル溶液に添加した。

6. 2mlのトルエンを添加後, 20分間の往復振還(330 min")を行うことで基質・構造変換産物の抽出を行つ たO

7. 2500巾mで、10分間遠心分離を行い, トルエン相を回収して分析サンプルとした。

但)サンプル分析法

分析にはHewlett Packrd 5890シリーズEのGC爪IS(Gas Chromatography/Mass Spectrometer)を使用し, サン プルの定量および定性分析を行った。 木装置はオー トインジェクターを装着し, 定量的なサンプルの注 入が可能である。 また, ライブラリーサーチプログラムを 有し, 75,000の標準マススペクトル(NISTラ イブラリー)との比較から測定化合物の同定が可能である。

(i)定性分析

定性 分析にはGC/MSのSCANモード を使用した。 本装置が有するSCANモードによってL6�700の質 量範囲にお いて測定化合物の 質量スキャンが可能である。 リドカインの質量は234であり, 得られた構 造変換産物の質量も350を超えないと予測されることから, 本実験においてはSO�350の質量範囲で測定

しfこO

分析には微極性のキャピラ リーカラム(HP-5MS ; 5%Phenyl Methyl Silic one,内径0.25mm,長さ30m, JJ英 厚0.25μm ; Hewlett Packrd)を使用し, 1μ!のサンプル溶液を注入しt::.o 以下に分析条件を示す。

初期温度と時間: 100"C, 2min 昇温速度: 10"C/min

最終涜度と時間: 230"C, Omin 検山器(MS)温度: 280"C

51

(6)

(ii)定量分析

リドカインおよびその構造変換産物の定量には内部標準法を使用した。 内部標準物質は, 分析におい てリドカインおよびその構造変換産物とリテンションタイムが重ならず, 基質(リド カイン)と同様にベ ンゼン骨格を有し, 室渦で安定な化合物であるp-Diethoxybenzeneを選択した。 基質と内部標準物質, 構 造変換産物と内部標準物質との関係は以下の式で示すことができる。 また, 式中のF(Factor)は, 絶対量 のわかっている物質を測定することで求めた。

Area (substrate)

Weight (substrate) - F X Area (standard) ^ .."'" ("t " "rl" ..rl\ X Weight (standard)

Area (product)

Weight (product) - F X Area (standard) ^ ___ /_<__..1__..1\ X Weight (standard)

抽出時に添加される内部標準物質の絶対量はわか っているため, クロマトグラムから各化合物の面積 を得ることによりサンプル内の基質および構造変換産物の絶対量を得ることができる。

定量分析にはGC爪I1SのSIM(Selected 10n Monitering)モードを使用した。 S1Mは, 分析中指定したいくつ かのイオンだけをモニタするモードであり, これによって混合物中の目的化合物をピコグラム, フェム トグラムレベ ルで分析することが可能で ある。 本実験では後述のFig. 4-2-5, 4-2-6および4-2-7で示す SCANモードの分析結果から, Table 4-2-2で示す イオンをリドカイン, 構造変換産物, 内部標準物質の それぞれの選択イオンとした。

分析カラム ・分析条件は定性分析の場合と同じである。

Table 4-2-2 GC爪I1Sのリドカイン分析におけるSIM

化合物

p-Diethoxybenzene 恥1EGX Lidocaine

4.2.3.2 アセトアミ ノフェン代謝反応および分析方法

(1) 反応およびサンプル 調製法

イオン

110.00, 166.05, 81.00 58.00, 12l.05, 163.05, 206.00

86.15, 72.05, 120.05, 58.00

i エタノール で溶解した200l11Mのアセトアミノ フェン溶液をHDMに5μI/mlの濃度で、投与し, 1.0mMの アセトアミノフェン反応培地を調製した。 エタノールの最終濃度は0.5wt%とした。

2培養各WJ問のIjí.層府養およびPUF/スフエロイド培養肝細胞に対して, 21111/dishの1.0111Mアセトアミノ フェン反応培地を投与後 241時間にわたって代謝反応を行っt:.0

(7)

3. 反応終了後, 単層培養肝細胞の場合はラパーポリスマンにより, 培養dishの底面に付着した細胞およ び反応培地を試験管に回収したo PUF/スフエロイド培養JJT-細胞の場合は, 細胞の付着したプレート 状のPUFをメスによって16等分し, 反応培地と共に試験管に回収した。 また, それぞれの反応に使 用したdishは1mlの0.04N-HClを含むエタノールで、洗j争し, 反応培地および細胞の回収用試験管に移し たO

4. HPLC分析用の内部標準物質として, アセトアニリドを最終濃度が1.0mMになるようにサンプル溶液 に添加した。

5. サンプル溶液をVoltexで、撹祥後, 200μiのサンプル溶液を0.45μm のHPLCffJ前処理ディスク(TOSOH) で処理して分析用サンプルとした。

(ll)サンプル分析法

分析にはH汀ACHI のHPLC(High Perfonnance Liquid Chromatography)を使用し, サ ンプル の定性お よび 定量分析を行った。

(i)定性分析

本装置に装備されているUV-VIS検山器(HITACHI)は一波長の測定しか行えないため, 特定の波長を指 定しなければならない。 そこで分光光度計(HITACHI U-2OO0)を使用し, 基質のアセトアミノフェンおよ び内部標準物質のアセトアニリドの200----400nmのuv吸光度を 測定した。 そ の結果, Fig.4-2-2に示すス ペクトルが得られ, 十分な吸光を示す250nmの波長を本実験に使用した。

2

r-、

ωυロMW円以』O∞』〈

0 200 225 250 275 300 325

Wave length (nm)

Fig.4-2-2 アセトアミノフェンとアセトアニリドの分光分析

一-0一一 Acetaminophen

一一・- Acetanilide

分析には逆相カラムであるLiChrospher 100 RP-18(内径4mm,長さ250mm,充填斉Ij粒径5μm; MERCK)を 使用し, 2μlのサン プル溶液を注入した。 分析 条件はPeter等64)の方法に改良を加えた方 法で行っ た。 以 下にその条件を示す。

53

(8)

移動相溶媒:1%酢酸溶液:アセトニトリル:酢酸エチル=85: 15 : 0.1 (vjvjv) 流速: 0.5m1jmi n

カラム温度: 40'C uv検出探: 250nm

(ii)定量分析

アセトアミノフェンおよびその構造変換産物の定量には内部標準法を使用した。 内部標準物質には,

分析においてアセトアミノフェンおよびその構造変換産物とリテンションタイムが重ならず, 基質(ア セトアミノフェン)と似た骨格をもっアセトアニリドを選択した。定量計算の方法は4.2.3.1但)で示した。

また, 分析カラム ・分析条件は定性分析の場合と同じである。

以上, 培養肝細胞によるリドカインおよびアセトア ミノフェン代謝反応の測定方法を述べたが, その手 順をまとめてFig.4-2-3に示す。

当ー;

m m・

-4V-

ct 35mm

単層培養肝細胞 PUFjスフエロイド培養肝細胞

リドカイン ; 0.25mM アセトアミノフェン ,lmM

薬物代謝反応 反応時間; 24hour

サンプリング; 2m!

(培養液及び細胞)

C/MS!l[l'HPL山る分析

Fig. 4-2-3 薬物代謝反応の概略図

(9)

4.2.3.3薬物消失速度の評価65),“)

薬物消失速度の評価には, 一般に次式で定義されるクリアランス(CL)が用いられる。 クリアランスと は単位時間に除去する薬物が, どれだけの容積の血液(本研究にお いては培地)に相当するかを示す値で ある。

dX\

CL=ム也乙

(

X:培養容器内の薬物量hC

C:培地中薬物j濃農度[mgダ凶/ハlり] CL:クリアランス[ml/min]

、、‘,ノ'EEA 〆't、• • • • •

今, 投与された薬物が培養容器内で腕時に均一に混合され, その薬物の消失反応は一次反応であると 仮定し, Fig. 4-2-4で示すょっなモデルを考えた。

\シ

xvc -d

�k

(

D ;薬物投与量同)

Vd I分布容積(mり

k I消失速度定数(min-I)

Fig.4-2-4 培養容器内の薬物消失動態の考え方

このモデルにおいて, 培養容器内での薬物消失速度は d?C = -k . X

dt =-k . dt . (2)

t=OのときX=D, t= tのときX=Xとして積分すると

dX =

101-

k . dt In(X)- In(D) = - k. t

In (X)=一k.t+ln(D) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ (3) ここで, 分布容積Vdを次式で定義する。

X =Vd. C . (4)

薬物投与直後の培地中の濃度をc。とおくと Cn = _I?

V Vd . (5)

55

(10)

. (6)

個ヤ剖制」γ判長佃Q{て∞E}制蝶丑梨容

、-­

In

(

Vd.C

)

= -k.t+ln

(

V d

In

(

C

)

= -k.t+ln

(

Co

)

式(3), (4), (5)より

[-\∞E]…世蝉丑梨hr

投与後の時間[min]

投与後の時間[min]

培養容器内の薬物濃度変化 Fig. 4-2-5

よって薬物投与後の培地中濃度の自然対数値と, 投与後の時間とは直線関係(Fig.4-2-5)にある ことが わかり, 培養容器内の薬物濃 度を経時的に測定することにより消失速度定数kとCoを求めることができ

Vd (7) る。 この結果, 培養容器内のクリアランスは

CL=

世)

=

=k

したがって, kとVdを実験から求めることにより, 培養容器内でのクリアランス を知ることができる。

本項ではモデル薬物としてリドカインを使用した。 4.2.3.1のリドカイン構造変換過程の評価では,

しかし , 木項 ドカインの濃度を反応律速にならない濃度とするため, 初期投与濃度を0.25mMとした。

生体に投与される場合 を考慮した。 以下 では生体肝臓とのリドカイン消失速度の比較を行うことから,

に反応条件を示す。

細胞;ラット肝細胞(培養後3日目) リドカイン初期濃度,20μM 反応時間;2時間

反応および分析の操作は, 4.2.3.1の場合と同様である。

また,

(11)

4.2.4実験結果

4.2.4.1初代肝細胞によるリドカイン代謝 (1)構造変換過程

Fig.4-2-6に示すラット肝細胞によるリドカイン代謝のGCクロマトグラムから3つの化合物のピークが

得られた。 それぞれの化合物のマスフラグメントをGC爪1Sが有する標準マススペ クトルのNISTラ イブ ラリーから検索した結果, リテンションタイム(Rt) 6.94 min の化合物 は内部標準物質として用いた p-Diethoxybenzene(Fig.4-2-7), Rt = 13.98 minの化合物は基質のリドカイン(Fig.4-2-8)で、あることが確認さ れたo Rt =13.22 minの化合物はNISTライブラリーと一致するもの存在しなかったが, そのマスフラグ メントよりリドカインからの構造変換産物であると考えられる。 そこで, この構造変換産物のマスフラ

グメントを解析した結果(Fig.4-2-9), リドカインのN-エチル基が脱エチル化されたMonoethy1glycine­

xylidide (MEGX)であると判定された。 これによって, ラット培養肝細胞によるリドカインの構造変換過 程はFig.4-2-10で示す過程で行われることが示された。

p-Diethox y benzene

MEGX

Lidocaine

6.∞ 8.00 10.∞ 12.∞ 14.∞ Retention time [min]

Fig.4-2-6 ラット)1下車問)J包によるリドカインイ℃説fのGCクロマトグラム

Abundancc

2ぽ均∞

1 8αlOO 160000 14∞∞

168 川沿∞

8αX泊

6α)()()

81 4α)()()

2α)()()

m/z Fig. 4-2-7 p-Diethoxybenzene(内部標準物質)のマススペクトル

57

(12)

今、d丹、d

H H よ ポj : H H ゆ C C 2 /\ N

Uいl,,,,,q

'「 f H 5 1 C 8 O He 4

lv

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Abundance

7以泊 sα)()

5民淘 58

4目)()

Udocaine (M.W. 234)

z m

+7 Mmis--L

72 3以泊

2α)()

1000

MB牛山ω

リドカインのマススペクトル

内4J H C いhe,,,,守山a'a'

3 H

C H AW /F\ 勾

引;;:JZ

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C

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J

M

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J N

3 α叶α

2&ì

nu T

Fig. 4-2-8

S l

Abundance

24αm 22飢渇 2凹)()() 同αm 16は苅 u民泊 163 12ぼ)() 121 10000

M+

mJ-ITI

206

2 V

lJ�r�

猷Eぬ 6侠)() 4α)() 2民)()

Fig. 4-2-9 MEGX(monoethylglicinexylidide)のマススペクトル

,CH3 ハ

;=\

11

/CH2C町

、 ノ -NH-C-CH 2�

"---\

H

CH3

N-deethylation

60

CH3 ハ

;=\ リ /CH2C町

、 〆-NH-C-CH2 �

」べ\

• CH2CH3

CH3

MEGX

(Monocthylglycinexylidide) 初代肝細胞によるリドカインの構造変換過程

Lidocaine Fig. 4-2-10

(13)

イヌ肝細胞およびブタ肝細胞によるリドカイン代謝のGCクロマトグラムをFig.4-2-11とFig.4-2-12に示

す。 イヌおよびブタ肝細胞の場合も, 微量ではあるが構造変換産物としてMEGXが確認され, その構造 変換過程はラット肝細胞の場合と同様であると判断できる。

p-Diethox y benzene

Lidocaine

6.∞ 8∞ 10.∞ 12∞ 14.∞ 巳4- Retention time [min]

Fig.4-2-11 イヌ肝細胞によるリドカイン代謝のGCクロマトグラム

p-Diethoxybenzene

MEGX Lidocaine

6.∞ 百ご10:∞

百=hγ一二平 問

Fig.4-2-12 ブタ肝細胞によるリドカイン代謝のGCクロマトグラム

59

(14)

(II)初代ラット肝細胞の単層培養とPUF/スフエロイド培養によるリドカイン代謝活性の比較

Fig.4-2-13にラットの単層培養とスフエロイド培養肝細胞のリドカイン減少量の比較を示す。 木関は,

24時間毎にリドカインが減少した量を示すものである。 向上許 各培養期間の細胞にリドカインを投与し,

養系の肝細胞とも, 培養の3日日までは投与されたリドカインのほとんどが代謝されたが, 4日日以降は 代謝による減少量が低下し, 培養7日日以降は投与量の1O�2S%しか代謝することができない。

60 ハU nu cJ d斗

{}日\凶え].υロoυωEMNυ02J

30 20 10 60

50 E

40 υ

υ 30

ω υ

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J

ハU・s-A

'E'a ハU 12 8

4 6

2

12

10 8

6 2 4

Culture time [dayJ

Culture time [dayJ

ラット肝細胞によるリドカインの代謝

戸しvrA U 6zt u Fiv .パue・1

0

・目、,Ea

H e HM LH c ny rん内、、、,ノ 9uVJ1 O円、

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一寸.一 MR 一-0一

Fig. 4-2-13

60

50 a 且(1) r・・町、

1-< :0、、、υコ

l) 竺竺

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υ ぷコ '二a川 む 岳E .三

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8 E泊20

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40 30

10

10 4 6 8

Culture time [day]

2

単層培養とスフエロイド培養ラット肝細胞のリドカインの代謝速度の比較

Monolayer culture PUF(R-1 )/spheroid culture

一一e--

Fig.4-2-14

一一0ー

(15)

一方, Fig.3-3-6 で示す 生細胞数の変化から 生細胞 当りのリドカイン代 謝速度の経時変化 を Fig.

4-2-14に , また構造変換産物として得られたMEGXの発現速度の経時変化を Fig.4-2-15に示す。 この結果,

両培養系で、MEGXの発現速度に は大きな差が見られないが, 基質であるリドカインの代謝速度では, ス フエロイド培養肝細胞は単層培養肝細胞に比べ約1.5 �2.0倍高い活性を維持できることが示されている。

また, 単層培養肝細胞では培養2 日目を境にその活性の低下が見られたが, スフェロイド肝細胞では培 養後10日間にわたって比較的安定した活性の維持が見られた。

2占 =マ くこ

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Culture time [dayJ

Fig.4-2-15 単層培養とスフエロイド培養ラット肝細胞のMEGX発現速度の比較

一寸.­

ーベ〉ー

Monolayer culture

PUF(R-l)/spheroid culture

(III)初代イヌ肝細胞の単層培養とPUF/スフエロイド培養によるリドカイン代謝活性の比較

Fig.4-2-16に培養期間内におけるイヌの単層培養とスフエロイド培養肝細胞のリドカイン代謝の減少 量の比較を示す。 この期間内におい て, 単層培養肝細胞 は投与したリドカインの約35%しか代謝できな いのに対し, スフエロイド肝細胞は約50%の量を代謝した。 この違いは培養期間内の生細胞数の違い に も起因するが Fig.3-3-7で、示した生細胞数の変化から求めた生細胞当りのリドカイン代謝速度の経|時変 化はFig.4-2-17に示す ようになる 。 すなわち, 単層培養肝細胞に 比べ, スフ エロイド肝細胞の安定した

リドカイン代謝機能の維持を硲認でき た。

61

(16)

60

E 50 五1泊

ιJ C u o c1)

C可8 'てコ』斗

40

30 60

nUハU円υζJd斗叱引J

[-Ehi]・υcoυω5502J

12 15

6 9

Culture time [day]

3 20

0 12 15

6 9

Culture time [day]

3 20

0

イヌ肝細胞によるリドカインの代謝 一→・- Monolayer culture

一てアー PUF(羽人1)/spheroid culture Fig.4・2-16

12 10 8 6 4 2

[刀\凶一一ωυωZ何回〉mc-\ω3

85υコ0円以SωEω日ωυoH)コ

14 4EEA ハU 12

6 8

Culture time [day]

2 4

単層培養とスフエロイド培養イヌ肝細胞のリドカインの代謝速度の比較

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(17)

(IV)初代ブタ肝細胞の単層培養とPUF/スフエロイド培養によるリドカイン代謝活性の比較

Fig.4-2-18に培養期間内におけるブタの単層培養とスフエロイド培養肝細胞のリド カイン代謝の減少 量の比較を示す。 単層培養肝細胞で、は培養12日目でも投与したリドカインのほとんどを代謝したが ス

Fig.3-3-8からわかるよ ブエロイド肝細胞では培養12 日日には投与量の約半分が残存してい る。 これは

うに生 細胞数の存在の少なさが原肉である。 生細胞当りのリドカイン代謝速度の経時変化はFig.4-2-19 に示すようになり, 阿培養肝細胞とも培養経過に伴う活性の低下が見られたが, 単層府養JH-;Ý:I日胞に比べ スブエロイド肝細胞は高いリドカイン代謝を行っている。

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2

ブタ肝細胞によるリドカインの代謝

一寸砂- Monolayer culture

一-0-ー PUF(羽人1)/spheroid culture Fig.4-2-18

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Culture time [day]

2

単層培養とスフエロイド培養ブタ肝細胞のリドカインの代謝速度の比較

一→・- Monolayer culture

一て〉一 PUF(羽1-1)/spheroid culture Fig.4-2-19

63

(18)

4.2.4.2初代肝細胞によるアセトアミノフェン代謝 (り構造変換過程

Fig.4-2-20に示すラット肝細胞によるアセトアミノフェン代謝のHPLCクロマトグラムから4つの化合 物のピークが得られた。 基質であるアセトアミノフェンと内部標準物質であるアセトアニリドの標準品 をそれぞれ単独で分析した結果, リテンションタイム(Rt) 7.50 minの化合物は基質のアセトアミノフェ ン, Rt =23.94 minの化合物は内部原準物質として用いたアセトアニリドであることが確認できた。 この 結果, Rt =3.47 minと4.62 minの化合物はアセトアミノフェンの構造変換産物であり, ほほ同様な条件 で分析を行っているPeter等64)の分析結果と比較す ると, Rt =3.47 mintまアセトアミノフェングルクロン 酸抱合体(AG), Rt =4.62 mintまアセトアミノフェン硫酸抱合体(AS)であると判断した 。 これによって ラット培養肝細胞に よるアセト アミノフェ ンの構造変換過程はFig.4-2-21で示す過程で行われる ことが 明かとなった。

EJ

Acetaminophen glucuronide (metabolite) Acetaminophen sulfate (mctabolite)

Acctaminophen (substrate)

20-

25- Acetanilid巴

(int巴mal standard)

313- Retention time

Fig.4-2-20 ラット肝細胞によるアセトアミノフェン代謝のHPLCクロマトグラム

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H、COCH3

Conjugation

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H ノ

COCH3

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J

COCH3

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S03H C6H906

Acetaminophen Acetaminophen sulfate Acetaminophen glucuronide

Fig. 4-2-21 初代肝細胞によるアセトアミノフェンの構造変換過程

イヌ肝細胞およびブタ肝細胞によるアセトアミノフェン代謝のHPLCクロマトグラムをFig.4-2-22と 4-2-23に示す。 この結果, ラット ・ イヌ ・ ブタの肝細胞ではアセトアミノ フェンの代謝量と得られる情

造変換産物の発現量に速いはあるが, 構造変換過程は同機であると判断した。

(19)

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八celaniJide (inlernaJ slandard)

八celami!loph巴n (subSlrale)

Fig.4-2-22 イヌ肝細胞によるアセトアミノフェン代謝のHPLCクロマトグラム

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18-

15-

213-

25-

313- RClcnlion limc

八celaminoph巴n gJucuronide (melaboJilc) A celaminophen suJfale (melaboJile)

AcelaniJide (inlernaJ slandard)

A cel am i n oph en (sub slral巴)

Fig. 4-2-23 ブタ)J干*rnn包によるアセトアミノフェン千℃訪JのHPLCクロマトグラム

(II)初代ラット肝細胞の単層培養とPUF/スフエロイド培養によるアセトアミノフェン代謝活性の比較 Fig.4-2・24に培養10円問におけるラットの単層培養とスフエロイド培養肝細胞のアセトアミノ フェン 代謝による減少量の比較を示す。 両培養系の肝細胞とも, 培養経過に伴う代謝減少量の減少が見られ,

培養初期には, 投与した基質の約50%を代謝したが, 培養5日目以降は20%以下に低下した。

生細胞当りのアセト アミノフェン代謝速度の経時変化をFig.4-2-25に, また構造変換産物として得ら れたAGとASの発現速 度の経11寺変化をそれぞれFig.4-2-26と4-2-27に示す。 この結果, 単層培養肝細胞の アセトアミノフェン代謝速度は, 培養経過に伴って低下傾向が見られたのに対し, スフエロイド培養肝 細胞では培養10日間において50-60同ハ05 viable cells/dayの値を維持し た。 AGの発現速度は両培養細胞 とも培養経過とともに低下傾向を示したが, 単層培 養に比べスフエロイドJJ干*1fI胞は高い 活性を有した。

一方, ASの発現速度は両培養手111胞とも培養初期から府養5日日にかけて増加傾向が見られ, その後, tii 層培養肝細胞は発現速度の低下が見られたにもかかわらず, スフエロイド培養肝細胞は活性の維持が行 われた。

65

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Culture time [day]

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Culture time [day]

ラット肝細胞によるアセトアミノフェンの代謝

一『・- Monolayer culture 一-0-ーPUF(R-l)/spheroid culture

2 4 6

Culture time [day]

8 10

10

Fig.4-2-25 単層培養とスフエロイド培養ラット肝細胞のアセトアミノフェン

の代謝速度の比較

一一・- Monolayer culture 一一0- PUF(R-l)/spheroid culture

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Culture timc [day]

単層培養とスフエロイド培養ラット 肝細胞のAS発現速度の比較

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Fig.4-2・27

12

単層培養とスフエロイド培養ラット 肝細胞のAG発現速度の比較

4

6 8

10

Culture time [day]

2

Fig 4-2-26

Monolayer culture PUF(R-I)/spheroid culture 一-.一

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(1lI)初代イヌ肝細胞の単層培養とPUF/スフエロイド培養によるアセトアミノフェン代謝活性の比較 Fig.4-2-28に培養12 日間に おけるイヌの単層培養とスフエロイド培養肝 細胞のアセトアミノフェン代

この結果から, 両培養系の肝細胞とも培養12日間の各期間において投与量の約 謝減少量の比較を示す。

10%を代謝した。

Fig.4-2-29で、示す生細胞当りのアセトアミノフェン代謝速度の経時変化から, 培養4日固まではスフェ その後, 両培養細胞の代謝速度は同レベル ロイド肝細胞が単層培養肝細胞よりも高い活性を維持でき,

これらの傾向はFig.4-2-30と4-2-31に示す構造変換産物のAGとASの発現速度の経時変 となった。 また,

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Culture time [day]

2 130

Culture time [day]

イヌ肝細胞によるアセトアミノフェンの代謝 Monolayer culture

PUF(明人1)/spheroid culture

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Fig.4-2-28

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単層培養とスフエロイド培養イヌ肝細胞のアセトアミノフェン の代謝速度の比較

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2

Fig.4-2-29

一一・- Monolayer culture

ーベ〉ー PUF(W -1 )/spheroid culture

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単層培養とスフエロイド培養イヌ 肝細胞のAS発現速度の比較

10 12 2

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4 6 8

Culture time [day]

単層培養とスフエロイド培養イヌ 肝細胞のAG発現速度の比較

10 2

Fig.4-2-30

Monolaycr c ulture PUF何人l)/spheroid culturc Fi g.4-2-31

一寸'一 一一0ー Mono la yer culture

PUF(W -l)/spheroid culture 一一.一

一一0一ー

(23)

(IV)初代ブタ肝細胞の単層培養とPUF/スフエロイド培養によるアセトアミノフェン代謝活性の比較 Fig.4-2-32に培養12 日間におけるブタの単層培養とスフエロイド培養肝細胞のアセトアミノフェン代

の代謝減少量を除けば スフェロイド培養肝細胞の培養12日

この結果から,

謝減少量の比較を示す。

スフエロイド培 両培養系の肝細胞とも培養各期間においでほぼ同量 のアセトアミノフェンを代謝した。

ルキm リドカイン代謝結果で述べた場合と同様,

の代謝減少量がわずかな原因は,

養肝細胞の培養12日

胞数の減少にあると考えられる。

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Culture timc [day]

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プタ肝細胞によるアセトアミノフェンの代謝 -・トー Monolayer culture

一-0-ーPUF(W-1 )/spheroid culture Fig.4-2・32

12 10

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Culture time [day]

単層培養とスフエロイド培養ブタ肝細胞のアセトアミノフェン の代謝速度の比較

Fig. 4-2-33

Monolayer culture

PUF(W -1 )/spheroid culture

-→・- 69 一一0一

(24)

Fig.4-2-33と4-2-34および4-2-35で示す生細胞当りのアセトアミノフェン代謝速度の経時変化,

一方,

スフエロイド肝細胞は単層培養肝細胞よりも高い活性を維持でき

AG ' ASの発現速度の経時変化から,

イヌの アセトアミノフェン代謝結果と同様, 培養8日目以降のスフエロイド肝細胞 と単層培養肝細胞の代謝速度には有意な差はみられなかった。

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Culture time [day]

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Cultu陀time [day]

単層培養とスフエロイド培養プタ 肝細胞のAG発現速度の比較

単層培養とスフエロイド培養プタ 肝細胞のAS錦見速度の比較 --トー Monolay er culture ーベ〉ー PUF(W-l )/spheroid cultu陀

Fig.4-2・35 Fig.4・2-34

一『・- M onolayer culturc ーベ〉ー PUF(別人1)/sphcroid c ulture

4.2.4.3初代ラット肝細胞によるリドカイン消失速度の評価

Fig. 4-2-36に単層培養 とスフエロイド培養肝細胞のリドカイン消失の経時変化を示す。 両培養系の肝 4.2.3.3で述べた薬物消 そこで

反応、後2時間で投与したリドカインの半分を代謝している。

細胞とも,

斗,/リドカインの クリアランス を求めた結果をTable 4-2-3に 示す。

失速度の評 価法に基づいて,

Nybergら67)が, 摘出ラット肝臓による肝溢流実験によって求めた生体肝臓のリドカインクリアランスを 生体肝臓での値 と同じ Table 4-2-3中に示す67)。 摘出ラット肝臓によるリドカインクリアランスの値は,

生体肝臓のリ この結果, 単層培養およびスフエロイド培養肝細胞とも,

であることが報告されている。

ドカイン消失を反映できるまでの機能は保持されていないことが示された。

(25)

30

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Reaction lime [min]

Fig.4-2-36 単層培養とスフエロイド培養ラット肝細胞のリドカイン消失の経時変化

一一・- Monolayer culture

一-0-- PUF(R -1 )jspheroid culture

Table 4-2・3 静置培養の肝臓シミュレータと生体肝臓のリドカインクリアランスの比較

リドカインクリアランス [m 11m injg-liver]

静置培養の肝臓シミュレータ(Rat)

単層培養肝細胞 スフエロイド培養肝細胞

0.72 0.78

71

摘出肝臓67) (Rat)

1.94

へ ・・・・・.--

(26)

4.2.5考察

4.2.5.1 培養肝細胞と生体肝臓によるモデル薬物の構造変換過程の比較

ラット, イヌ, ブタの生体肝臓において, リドカインの第一相反応の産物はMEGX アセトアミノフェ ンは第二相反応によってグルクロン酸および硫酸抱合体に変換されることがKeen出加ら飢)やT回ら的)によっ て報告されている。 本研究の結果から, 生体肝臓から単離され, 単層およびスフエロイド培養された剤11 胞であっても, 薬物の構造変換反応を行う過程は生体と同様の過程で行うことが可能であり, 細胞レベ ルでこのような変換過程を評価できることが示され た。 また, 動物種の違いによって得られる構造変換 産物の発現比が異なることから, 細胞レベルで種差 による薬物の構造変換過程の違いも評価できると思 われる。 これより, 培養肝細胞を利用した肝臓シミ ュレータは, 新規医薬品として可能性をもっ化合物 をスクリーニングするツールとして利用できること が示された。 しかしながら, 今回使用したモデル薬 物はTable 4-2-1で示すょっに第一相反応中のN-脱アルキル化反応および第二相反応中のグル クロン酸あ るいは硫酸抱合反応についてであり, その他の構造 変換過程は培養肝細胞が生体肝臓の反応過程を必ず しも再現できるとは限らないことから, これらの反応の代表的なモデル薬物によって培養肝細胞と生体 肝臓の構造変換過程の比較を行うことが今後の課題のーっといえる。

4.2.5.2 単層培養とPUF/スフエロイド培養による第一相反応の代謝活性の比較

今回モデル薬物として取り上げたリドカインが第一相反応のすべての反応の型の評価につながるもの ではないが, 本研究ではこの代謝活性を単層培養とPUF/スフエロイド培養肝細胞の第一相反応の代謝 機能として評価を行った。

ラット , イヌ, プタの肝 細胞では, Fig.4-2-14, 4-2-17, 4-2-19で示されるように肝細胞がスフ エロイ ド化することによって単層培養状態よりも第一相反応の機能維持がみられ, スフエロイド培養法を利用 した肝臓シミュレータは, 薬物研究のための代替法として有望であることが示された。

また, 特にFig.4-2-14に示すラットJJ干細胞によ るリドカイ ンの構造変換産物であるMEGXの発現速度 では, 単層培養とスフエロイド培養で大きな差がみられていない。 MEGXは第一相反応の 構造変換産物 であることから, ラット のスフエロ イド培養肝細胞の第二相反応の活性が高く, 今回分析に使用した GCル1Sでは検出することができない水溶化 された第二相反応の産物へと速やかに変換されているもの

と考えられる。

Fig.4-2-14, 4-2-17, 4-2-19で示される生細胞当りの代謝速度の比較に おいて, 単層培養肝細胞 の場合 では生細胞数の変化に関係なく培養経過とともに機能の低下が見られた。特に, イヌやブタの単層明養 肝細胞の生細胞数は, 培養期間内において維持ある いは増殖されているにもかかわらず薬物代謝活性は 低下傾向を示していた。 これに対し, スフエロイド 培養肝細胞の機能はほぼ一定を保っていた。 生細胞 の変化が薬物代謝機能の維持に直接関係ないと考え ると, 単層培養系とスフエロイド培養系の違いとし て挙げられる点は, 細胞形態の違いである。 単層培養の場合, 二次元状の伸展した細胞形態であるのに 対し, スフエロイド肝細胞は三次元状の細胞形態であり, 肝細胞が本来有する立方体的構造をそのまま 維持した状態である。 すなわち, このような細胞形 態の違いが薬物代謝機能維持に大きな影響を与える

(27)

と考えられる。 培養肝細胞の機能には肝細胞の立体的な構造維持が重要な役割を果たすことがGugucnら 50)によって報告されており, 今回得られた結果はこれと一致するものといえる。

4.2.5.3単層培養とPUF/スフエロイド培養による第二相反応の代謝活性の比較

リドカインの場合と同機, アセトアミノフェンの 代謝活性が第二相反応のすべての反応の型の評価に つながるものではないが, 本研 究ではこの代謝活性を単層培養とPUF/スフエロイド培養肝細胞 の第二 相反応の代謝機能として評価を行った。

Fig.4-2-24よりラ ットのスフ エロイド肝細胞は, 単層培養肝細胞に比べ , 高い第二相反応の機 能維持 が培養後10日間にわたってみられた 。 これはリドカイン代謝のMEGX発現で考察したこ とと矛盾ない紡 果であっ た。 また, AGとASの発現速度を比較すると培養7日目以後からは 発現速度の活性に逆転がみ られることから, グルクロン酸抱合両手素系は単南!Ê直後から活性の低下がみられるが, 硫酸抱合防素系の 活性は生体外でも比較的維持できると判断される。

一方, Fig.4-2-29と4-2-33で示すようにイヌや ブタ肝細胞では, スフエロイド状態 であっても機能維持 が可能な のは 培養後4日日程度 までであると考えられる。 これ はラットの結果 と異なるが, イヌやブタ のスフエ ロイド培養肝細胞 では培養後4日目が限界であるという 結果が, 動物種の違いによる限界なの か, それとも培養培地等の検討によって向上するものなのかが今後残された課題といえる。 しかし, 培 養4日日にはすでに機能維持ができない単層培養状態に比べる と, 薬物代謝研究におけるスフ エロイド 培養肝細胞の利用は有効であると考えられる。

4.2.5.4 動物種による構造変換過程の比較

培養肝細胞を利用した薬物構造変換過程の研究における一つの利点として, 細胞レベルで動物種の違 いによる薬物の構造変換過程の違いを評価できることが挙げられる。 本研究で使用したモデル薬物は,

ラット ・ イヌ ・ ブタの問で構造変換過程が同じであるため, 本シミュレータによって動物種による構造 変換過程の違いを評価できるところまでは硲認する ことができなかった。 しかしながら, 培養肝剤11胞に よるモデル薬物の構造変換過程が生体と同様である ことが明かとなり, 本シミュレータによって動物種 による構造変換過程の違いを評価することが可能であると考えられる。

4.2.5.5培養肝細胞と生体肝臓の薬物消失速度の比較

リドカインをモデル薬物として, 培養肝細胞の薬 物消失速度の評価を行ったが, 生体肝臓の機能を反 映できるレベルまでには至らなかった。 ここで, 培 養肝細胞と生体肝臓のもつ機能の間に相関が得られ るならば, 薬物消失速度を評価できる肝臓シミュレータとして利用できる可能性が開かれる。 しかしな がら, このためにはさまざまな薬物を使用して, 培養肝細胞と生体肝臓との薬物消失機能の相関を立証 することが必要であり, 今後の課題のーっといえる。

73

(28)

4.2.6本節のまとめ

リドカインを第一相反応のモデル薬物, アセトアミノフェンを第二相反応のモデル薬物として取り上 げた薬物代謝の研究から, 静置培 養下のPUF/スフエロイド 肝細胞の特徴は以下のよう に示すことがで きる。

( 1 )生体肝臓内の薬物の消失速度を反映できるレベルまでは至らないが, 薬物の構造変換過

程は再現できる。

( 2 )第一相反応の構造変換機能の維持について

ラット ・ イヌ ・ ブタのスフエロイド培養肝細胞は, 単層培養肝細胞に比べ l. 2--- 2.0倍高い活性を少なくとも培養後10---13日間にわたって維持できる。

(3 )第二相反応の構造変換機能の維持について

ラットのスフエロイド培養肝細胞は, 単層 培養肝細胞に 比べ, 2.0---3.0倍高 い活 性を少なくとも培養後10日間にわたって維持できる 。 イヌおよびブタ のスフエロ イド肝 細胞では, 培養後4日目までが限界であり, その後単層培養肝細胞との有 意な差はみられない。

以上の結果, 薬 物の構造変換機能を長い期間維持できるPUF/スフエロイド培養肝細 胞を利用した肝 臓シミュレータは, 一回の細胞調製を行うことで少 なくとも約2週間にわたって生体肝臓内の薬物構造 変換過程と動物種による構造変換過程の違いを評価することが可能であることが示された。 このため,

これまで薬物代謝研究に利用されてきた単層培養肝細胞よりも有効な肝臓シミュレータであり, 動物実 験代替法として有望であることが示された。

(29)

4.3三次元培養肝細胞の薬物代謝酵素誘導機能の評価

4.3.1本節の目的

薬物を繰り返し投与すると, 次第に効かなくなる現象が知られている。 この原因のーっとして, 薬物 の繰り返し投与によって薬物代謝酵素系の誘導が行われ, その薬物の代謝が促進されることがあげられ る。 また, 臨床現場では一種類の薬物により薬物治療を行うことは少なく, 複数の薬物を投与して治療 を行うことが多い。 しかし, 二種以上の薬物が生体内に投与された時, ある種の薬物によって薬物代謝 酵素系の誘導や阻害が起こり, 代謝速度が速くなっ たり遅くなったりして薬物の薬効が減少したり増加 されたりすることがある。 さらに, 自然、界には様々な環境物質が存在し, ある種の化合物が薬物の代謝 を促進したり, 阻害したりする場合がある。 このような薬物代謝酵素系を誘導する化合物は誘導剤, 逆 に阻害する化合物は阻害剤と呼ばれ, 薬物治療において取り扱いを注意しなければならない化合物とし て分類される。 例えば, 抗てんかん剤であるパルプロ酸と催眠薬であるフェノパルピタールをともに服 薬するとフェノパルピタール の解毒代謝が問害 されて薬理効果が維持されることが知られている(Table

4-3-1)。

このため, 医薬品開発の一つの評価項目として, 新規医薬品としての可能性をもっ化合物の代謝活性 の誘導や阻害の効果が実験動物を用いて評価される 。 すでに述べたように薬物代謝の醇素系は肝臓内に 存在することから 培養肝細胞によって薬物代謝酵素活性の変化を評価することは実験動物に替わる方 法として有効である。

ここで, 生体肝臓内の薬物代謝酵素活性を変化させる代表的な化合物をTable 4-3-1に示した 。 肝臓シ ミュレータによって「薬物による代謝防素活性の変化Jを評価できることを明らかにするためには, こ れらすべての化合物の評価を行うことが望ましいが 本研究では動物実験によって研究例が多い代表的 な反応として, 3-メチルコラントレン(3-MC)を誘導斉IJとした7-エトキシクマリン(7-EC)の代謝反応を取

り上げた。

そして , 本節では, 静置下のラット/スフエロイド培養肝細胞と単層培養肝細胞を使用して, それぞ れの活性の比較を行い 代謝醇素?副主の変化を評価できる肝臓シミュレータの可能性について検討した。

Table 4-3・1 肝臓内の薬物酵素活性を変化させる代表的な化合物

誘導斉IJ 代謝が誘導される化合物

3-メチルコラントレン(発ガン物質) フェノパルピタール(催眠薬) グルテチミド(催眠薬)

阻害剤

アスピリン(解熱鎮痛剤) パルプロ酸(抗てんかん剤)

75

7-エトキシクマリン(生体異物) テストステロン(ステロイド剤)

ワルファリン(抗凝血剤)

代謝が阻害される化合物

トルプタミド(糖尿病治療薬) フェノパルピタール(催眠薬)

Fig. 4-2-6  ラット)1下車問)J包によるリドカインイ℃説fのGCクロマトグラム Abundancc  2ぽ均∞ 1 8αlOO  160000  14∞∞  168  川沿∞ 8αX泊 6α)()()  81  4α)()()  2α)()()  m/z  Fig
Fig. 4-2-11  イヌ肝細胞によるリドカイン代謝のGCクロマトグラム p-Diethoxybenzene  MEGX  Lidocaine  6.∞  百ご10:∞ 百=hγ一二平 問 Fig.4-2-12  ブタ肝細胞によるリドカイン代謝のGCクロマトグラム 59
Fig. 4-2-15  単層培養とスフエロイド培養ラット肝細胞のMEGX発現速度の比較 一寸.­ ーベ〉ー Monolayer culture  PUF(R-l)/spheroid culture  (III)初代イヌ肝細胞の単層培養とPUF/スフエロイド培養によるリドカイン代謝活性の比較 Fig.4-2-16に培養期間内におけるイヌの単層培養とスフエロイド培養肝細胞のリドカイン代謝の減少 量の比較を示す。 この期間内におい て, 単層培養肝細胞 は投与したリドカインの約35%しか代謝できな いのに対し,
Fig.  4-2-21  初代肝細胞によるアセトアミノフェンの構造変換過程
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