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会計法規上の研究開発費処理

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(1)工23. 会計法規上の研究開発費処理. は し が き. 西. 沢. 経済成長政策の一貫として︑近年企業における研究開発活動が重視され︑企業繁栄のいかんは︑研究開発活動. ︵εω①胃9竃創箒く①−8昌⑦自i宛﹄・︶の成果に負うところが極めて大きくなった筥それとともに研究開発費︵篶詔賢9. 竃︷宗く色暑昌①巨①老gω①ω︶の金額も飛躍的に増大し︑年間十億円以上の研究開発費を使用する会杜も二十社をこ. える現状にある︒しかしながら研究開発費の会計管理は︑支出の特殊性ないしは管理の困難性によって︑従来必ずし. も十分な研究が行なわれていない憂がある︒このような理由から本稿では︑研究開発費の会計管理的研究の序説とし. て︑まず日米における現行の会計法規がかかる費用の会計処理をどのように規定しているかの法的考察を行なうテ﹂と. 財務諸表規則上の研究開発費処理 わが国財務諸表規則の坂扱. とする︒. ー. わが国の﹃財務諸表等の用語︑様式及び作成方法に関する親則﹄︵昭和二十五隼九月二十八日︑証券坂引委員会規則. 第十八号−以下財務諸表規則叉は単に規則と略称する︒︶は︑証券取引法の規定により提出される貸借対照表︑挿益. 491. 俺.

(2) 124. 計算書その他の財務計算に関する書類の用語︑様式及び作成方法を定めたものであるが︑研究開発費に相当する費胃. として開発費と試験研究費をあげ︑次のように定義している︒︵規則第三十条第四号及び第五号︶. 開 発 費 新技術の採用︑経営組織の改善︑市場の開拓等のため支出した費用をいう︒. 試験研究費 製品の試作︑製法の研究等のため特別に支出した費用をいう︒. ここに開発費とは︑右の定義から新しい技術を採用したり︑経営組織を改善したり︑市場を開拓したりするために. 支出される費用を指すデ﹂とは明らかであるが︑さらに生産能率を向上したり︑生産計画を変更したりするために有形. 固定資産の配置替を行なう場合の費用も合まれるが︑経営費の性格を毛った毛のはたとえ右の条件に該当するときで. も︑開発費からは除去される︒︵﹃財務諸表規則坂扱要領﹄−以下単に坂扱要領と称する−第百十一︶. テ﹂のような意味の開発費は︑形態別費目ではなく目的別費目であるから︑右の開発目的に支出される費用は︑その. 支出形態に関係なく開発費に参入されるデ﹂ととなる︒例えば︑新技術の採用のために支出される費用には︑技術導入. 費や特許権使用に関する頭金等が含まれ︑市場の開拓のために支出される費用には︑広告宣伝費や市場調査費等毛合 まれる︒. また試験研究費とは︑定義からも知れるように︑製品の試作を行なったり︑製法の研究を行なうために特別に支出. される費用であり︑例えば新しい製品や新しい技術を発見するために行なう試験研究の費用がこれにあたる︒しかし. また試験研究のため特別に建設した設備で︑研究終了. ながら﹁特別に﹂とあるから︑企業が現に生産している製品や現に採用している製造技術を改良するために︑常蒔行 なう試験研究のための費用は含ま在い︒︵坂扱要領第百十二︶. 492.

(3) 後も使用しうると思われるものについては︑これを試験研究費に含ませないか︑もしくは一応試験研究費として処理. し︑転用時の金額を推定して︑デ﹂れを試験研究費の償却額の計算から控除し︑また試験研究の段階において発生した. 収益があれば︑この金額を試験研究費から控除するか︑叉はその金額だけ当該期問の償却額を増加させることができ. るものと解される︒ ︵大蔵省企業会計審議会﹃企業会計原則と関係諸法令との調整に関する連続意見書﹂第五﹁繰延. 資産について﹂昭和三十七年八月−以下連続意見書第五と略称する−第五の三のへ︶. このように開発費叉は試験研究費から経営費叉は通常研究費を除外するのは︑これらの費用は当期の収益に対応. し︑従って通常の費用と同一に取り扱うべきことは明らかであり︑将来の収益と対応すべきその他の費目だけを開発. 財務諸表規則は︑右に詳述したような開発費及び試験研究費については︑創業費︑杜債発行差金︑株式発行費︑建. 設利息とともに﹁繰延勘定として記載することかできる﹂と定め︵規則第三十条︶︑貸借対照表に掲記して次期以降に. 繰延べるデ﹂とを認めている︒本規定は強制規定でないから︑繰延べるか否かは企業の白由であるが︑繰延べの方法を. 選定した場合には︑繰延勘定の部に開発費及び試験研究費の名称を附した科目で掲記しなけれぱならない︒︵規則第. 財務諸表規則では︑単に直接法︵邑篶g冒①旨a︶. 三十一条︶繰延べた金額に対しては︑各期償却を行い︑その償却額を当該繰延勘定から直接控除し︑その控除残高を 各繰延勘定の金額として表示する必要がある︒︵規則第三十二条︶. により貸借対照表に掲記すべきことしか規定していないが︑後述するように改正商法は︑新製品叉は新技術の研究︑. 新技術又は新経営組織の採用︑資源の開発︑市場の開拓に特別に支出した金額は︑その支出後五年内に毎決算期にお. いて均等額以上の償却を行なう旨の規定を新設したので︵第二百八十六条の三︶︑財務諸表規則でも五年を期闇とし て定額法︵段§何葦−篶昌⑦亭a︶により償却すべきであろう︒. 493. 費又は研究費として特別の処理規定を設けようとする立法趣旨によるのである︒. 125.

(4) 126 貸借対照表. 一. 1%. ;. I△9︐022二. ⑤︒︒ヨ︒︒㈹1. !1︐036︐380. ■. −. 一. ■. 234︐545舳⁝1. ︐. 236,760,664. ≡. 77︐868. コ1︐143︐981■O.7. i264.278. ■. ■799・296:. 1,378,526. %0.6100.O. ■. ;. 273300r71︐385. ■ ■ユ98,651,341−100.O. I.流動資産*皿.固定資産*皿.繰延勘定1.社債発行差金2.試験研究費3.長期前払費用︵繰延勘定含計︶資産合計. ■. 減1 1増. 昭和36年g月30日 「. 昭和36年3月31日 要 摘. (単位千円). 冨士製鉄株式会社. 資産の部. *印の詳宗田は省略してある。. なお財務諾表規則の規定に基き作成された貸借対照表における試. 験研究費の記載例を示してみれぱ︑上のとおりである︒. 試験研究費を繰延べた場合︑会計上最も問題となるのは︑当該試. 験研究の結果が判明したときの処理である︒従来は︑この点につ一い. て意見が別れており︑成功して特許権等の無形資産を獲得するとき. は︑未償却残高を当該資産勘定に振り替え︑失敗したときは未償却. 残高を一時に全額償却すべきであるとする説と︑何れの場合で毛︑. 従前の計画通りに繰延べ及び償却を続行しうるとする説が対立して. いた︒ところが大蔵省企業会計審議会は︑昭和三十七年八月に公表. した連続意見書においては︑後者をとり︑試験研究が成功したとき. でも︑試験研究費の未償却残高を資産とくに無形固定資産に振り替. える必要はなく︑逆に失敗したときでも︑これを全額償却して︑そ. の金額を営業外費用もしくは繰越利益剰余金減少高として処理しな. くてもさしつかえないとし︑その理由として試験研究費を一定の期. ︵連続意見書第五︑第一の三. 間にわたって規則的に償却することにより︑毎期の損益計算の正常. 性が完全に保てることをあげている︒. のへ︶従って企業会計原則を理論的な立脚点とする財務諸表規則で. 毛︑同じような坂扱が許されることとなろう︒. 494.

(5) 127. 2 米国財務諸表規則の取扱. §ω−*がある︒氏嚢ミ. §甲*は︑会計方法及び基準の選択原則を明らかにしたも. わが国の財務諸表規則に相当するものとしては︑米国には︑証券取引委員会︵ω8暮ま霧彗o向きぎ轟①Oo昌昌︷ω︒. 色旨一ψ貝O・︶の完嚢ミ. ので︑具体的会計処理の手続を詳述したものではないから︑繰延費用︵宗尿昌&g胃σq霧︶として︑前払費用及びそ■. の他の繰延項目︑創業費︑杜債発行差金及び費用︑株式発行手数料及び費用の四項目を示すのみで︑文言上は研究開. 発費に相応する文字は出てこないが︑これらが﹁その他の繰延項目﹂に入ることは疑いない︒︵宛巨①甲§ミ〜8︶. ﹁その他の繰延項目﹂については︑重要な項目は独立して表示すること︑一年以内に用役を受取る前払額は除外する. ことしか定めていない︒︵内邑①㌣ミ︶しかしながら証券取引委員会の会計処理手続に関する具体的見解は︑個々の有. 価証券報告書を審査する際に示されたり︑﹃会計連続通牒﹄︵ト8§ミぎ的ωミ雲完良㊦§ ︶によって公表されるので︑. 財務諾表提出会杜のこと︶は︑予備的な試験期問中に発生した損失を資産勘定に計上した︒. デ﹂れから大体の解釈は判明する︒この種の個別見解のうち研究開発費に関するものを収集してみれば︑左のとおりで ある︒. ω﹁登録者︵筆者注. 場合によってはこの種の損失を資産に計上することが許されるが︑本例においてはかかる資本的損失を資産勘定に 課することは不適切である︒﹂︵ミざ§涼§§9二①ω向Oo︒①一H違o︶. §ミOk§OεHω向Oooω一H竃㎝︶. ω﹁概卸資産の実験及び開発に付帯して発生したが︑無価値なことが判明した資本的費用は︑貸借対照表に計上して はならない︒﹂︵ト§ミ. 95. ミ§§︑ミ§ざ§〜ド§§辻9二Hω向Oさ一H竃①︶ 4. ㈹﹁建設期間中に発生した採炭場の運営費を開発費に賦課し︑建設期問申に実現した全営業収益を利益に賦課したが︑ このような損益計算書と開発費項目は︑適正ではない︒﹂︵ト§.

(6) ω﹁登録者が︑利益獲得のため鉱石の採堀に従事した期間だけの純営業損失を︑開発費と称する資産に計上したこと. は︑誤った表示である︒﹂︵さ§ミ§O喜Ωoミミぎぎ的Oρ一Nω向Ooo割一H㊤零︶. ミ. 吻ト§雨‡os§﹄寺§ミタト§ρ一Hω目Oωω〇一一㊤ωΦ︶. ミ§ト. §ミタ. ⑤﹁開発又は実験活動に使用されない資産の減価償却費を︑﹃試作︑実験︑開発費等﹄に含めることは︑誤っている︒﹂ ︵卜. 〇戸べ㌣§︶. 一. 社. 社. 七. O. 社. 社. 一九五六年. 流動資産. 十. 記載個所. 非流動資産. 一九五七年. ていた会杜の数と記載個所は︑およそ次のとおりであった︒︵≧O〜戸トoSミミぎ内ドミ§︑吻§︑§きミ§δH鵠o〇一. の項にそれぞれ記載していた︒さらに研究開発費︵冨ω①胃g§o宗き−暑冒①目↓婁潟易霧︶を独立項目として記載し. 動資産﹂の項に記載し︑百二十七社が﹁流動資産﹂と﹁非流動資産﹂の両項に︑また二百七十二社が﹁非流動資産﹂. 百杜のうち五百八十九社が︑一九五七年度貸借対照表に前払費用叉は繰延費用を計上しており︑うち百九十社が﹁流. なお米国公認会計士協会︵>昌①ユo竃−易津巨①o︷09け邑&勺⊆;o>o8冒↓印巨ω︶の調査によれば︑調査会社六. けれぱならない︒﹂︵bミ 下ま§§一ぎ8>08⊆自けま①qω⑦ユ鶉宛①−①器①岩◎.㊦杜一H虞OO︶. ている場合に︑製品に欠陥があったとの理由で︑注文数が坂消により大巾に減少したとすれば︑償却率を引上げな. ω﹁会社が繰延費用を一定の製造単位数で償却するという方針を採用し︑当該数量の確定注文を有していると表明し. §o二 Hω向Oωωo−H㊤ωΦ︶. ㈹﹁製品販売費の大部分を︑﹃試作︑実験︑開発費等﹄に合めることは︑誤っている︒﹂︵卜§涼ト§. 1㎎. 496.

(7) 1. 二. 改正商法上の研究開発費処理. わが国現行商法改正の経緯. わが国の現行商法︵明治三十二年三月九目︑法律第四十八号︶は︑研究開発費に相当する費目については何等の規. 定を有せず︑次の四項目に眼って繰延経理を行い︑その金額を貸借対照表の資産の部に計上することを認めているに. 設立費. すぎない︒. ω. 会杜の負担に属すべき設立費用︑及び発起人が受けるべき報酬の額︑ならびに設立登記の税額︵第二百八十六条︶. ω新株発行費 新株の発行のために必要な費用︵第二百八十六条の二︶. 社債権者に償還すべき金額の総額が︑社債の発行によって得た実額を超過する金額︵第二百八十七条︶. ω建設利息. 会社成立後二年以上︑会杜の目的たる営業の全部を開業できないと認められるとき︑開業前一定期間に株主に支払 った利息の額︵第二百九十一条︶. 現行商法は︑債権者保護の立場から繰延資産を右の四項目に限定し︑たとえ同一の本質を有するものでもその他の 項目は繰延べを許さない方針をとっている︒. ところが財務諸表規則や企業会計原則は︑早くから設立費︑新株発行費︑社債発行差額︑建設利息のほかにも開業. 497. ㈹新株発行差額. 129.

(8) 130. 費︑杜債発行費︑開発費︑試験研究費等をも繰延資産としており︑とくに昭和二十六年九月二十八﹇口に時の経済安定. 本部企業会計基準審議会︵現在は大蔵省企業会計審議会︶から中間報告された﹃商法と企業会計原則との調整に関す. る意見書﹄一以下単に商法意見書と称する一では︑杜債発行費用︑開発費及び試験研究費は︑創業費︑新株発行費︑. 社債発行差額︑建設利息と同一の本質を有しており︑これらを繰延べの対象外とすることは必ずしも債権者を保護す. るゆえんとはならないとの理由から︑次の改正提案が行なわれている︒︵商法意見書︑第十︶. ﹁商法上明文をもって繰延資産としてみとめられているものは︑創業費︑新株発行費︑社債発行差額︑建設利息の四項目にとど. まっているが︑ナ﹂れらの項目と本質上異ると㌣﹂ろのない左の項目も繰延資産として計上することをみとめるべきである︒. 社債発行費用. 開発費 試験研究費﹂. 一方︑法制審議会の商法部会は︑昭和三十年の商法一部改正と昭和三十二年の国際海上物品運送法の制定を実施し. た後︑株式会社法の根本改正の審議にとりかかり︑まず計算規定の改正に坂りくんだ︒とくに株式会社法の計算規定. は不備な点が多く︑会計理論及び実務との問に大きなギャップが生じたので︑この際計算規定を基本的に近代化する. 必要にせまられ︑商法意見書を始め会計理論や会計学者の主張が大巾に参酌された︒そして審議の結果が︑昭和三十. ︵民. 五年八月二十七日に﹃株式会社の計算の内容に関する商法改正要綱法務省民事局試案﹄︵以下単に民事局試案と称す. る︶の名で︑中間報告された︒研究開発費関係では︑商法意見書の要望がとり入れられ︑次の試案が示された︒ 事局試案七中段︶. 一左の目的のために特別に支出した金額は︑貸借対照表の資産の部に計上するナ﹂とができるものとすること︒この場合において. 498.

(9) 131. は︑. その支出後三年内に︑毎決算期において︑ 均等額以上を償却しなければならないものとすること︒. 新製品叉は新技術の研究 新資源の開発. 新技術の採用. 新市場の開 拓 L. つまり民事局試案では︑研究開発費に相当する項目として︑新製晶又は新技術の研究費︑新資源の開発費︑新技術. の採用費︑新市場の開拓費︵以下これらを単に研究開発費と総称する︶があげられた︒財務諾表規則の場合と比較す. ると︑新製品叉は新技術の研究費は試験研究費に該当し︑新技術の採用費と新市場の開拓費が開発費に該当し︑財務. 諾表規則の開発費に合まれていた経営組織の改善費が試案では消滅し︑代りに新資源の開発費が新たにとり入れられ. た︒企業会計原則では︑開発費︑新技術の採用費︑経営組織の改善費︑市場の開拓費等を含めていたから︵財務諸表. 準則︑第三章貸借対照表準則第三十八︶︑民事局試案はむしろ企業会計原則の文言を参照したのかも知れない︒. このような項目まで繰延資産とすると︑不確実な資産が増々貸借対照表に計上されることとなり︑ややもすると資. 本維持の原則がゆがめられる憂があるので︑商法としては無条件に右の繰延べを認めるわけにはゆかないという事情. がある︒このため民事局試案では︑研究開発費を資産の部に計上することを認めて︑損益法の立場で会計処理をなし. うる途を開くとともに︑他方ではこれらの項目と開業費の合計額が資本準備金と利益準備金︵その期に積立てるべき. 利益準備金を合む︶の合計額をこえる場合には︑その超過額は︑配当可能利益に算入しないことにして︑債権者の利 益を保護することとした︒︵民事局試案七の理由参照︶. この民事局試案はその後関係各方面に提示されて意見を徴し︑必要な修正を加えて昭和三十七年二月二日法制審議. 499. 1. 432.

(10) 132. 会総会において︑﹃商法の一部を改正する法律案要綱﹄︵以下単に商法改正要綱と称する︶として可決され︑第七第二 項に次の規定が設げられた︒. ﹁左の目的のために特別に支出した金額は︑貸借対照表の資産の部に計上することができるものとすること︒宇﹂の場合において. は︑その支出後五年内に︑毎決算期において均等額以上を償却しなければならないものとするナ﹂と︒. 一︑新製品叉は新技術の研究. 三︑新資源の開発. 二︑新技術又は新経営組織の採用. 四︑新市場の開拓L. 民事局試案と比べると︑償却期間が三年から五年に延長されたこと︑第二号と第三号の順序が入れ替ったこと︑新. 経営組織の採用が新たに追加されたテ﹂とが主な改正点である︒この商法改正要綱を基にして法務局は︑﹃商法の一部. を改正する法律案﹄︵以下商法改正法律案と称する︶を作成し︑国会に上程した︒デ﹂の商法改正法律案では︑商法改. 正要綱を法文形態に書き改めたほか︑第三号及び第四号の﹁新﹂の字が削除され︑単に資源の開発︑市場の開拓と改. わが国改正商法の坂扱. められた︒. 2. 商法改正法律案は︑昭和三十七年三月十七目に衆議院を︑また四月十三目に参議院をそれぞれ通過し︑四月二十目. に﹃商法の一部を改正する法律﹄︵法律第八十二号−以下単に改正商法と称する︶として公布され︑昭和三十八年四. 月一日から施行されることになった︒改正商法における研究開発費関係の確定条項は︑次のとおりである︒ 第二百八十六条ノ三. 500.

(11) 133. ﹁左ノ目的ノ為二特別二支出シタル金額ハ之ヲ貸借対照表ノ資産ノ部二計上スルコトヲ得此ノ場合二於テハ其ノ支出後五年内二. 毎決算期二於テ均等額以上ノ償却ヲ為スコトヲ要ス. 一︑新製品叉ハ新技術ノ研究 二︑新技術叉ハ新経営組織ノ採用. 三︑資源ノ開発 四︑市場ノ開拓﹂. 第二百八十七条ノ ニ 中 段. ﹁利益ノ配当ハ貸借対照表上ノ純資産ヨリ左ノ金額ヲ控除シタル金額ヲ眼度トシテ之ヲ為スコトヲ得. 一︑資本ノ額 二︑資本準備金 及 利 益 準 備 金 ノ 合 計 額 三︑其ノ決算期二積立ツルコトヲ要スル利益準備金ノ額. 四︑第二百八十六条ノニ及第二百八十六条ノ三ノ規定二依リ貸借対照表ノ資産ノ部二計上シタル金額ノ合計額カ前二号ノ準備金 ノ合計額ヲ超ユルトキハ其ノ超過額﹂. ω. ω. 新しい技術を採用するため. 新しい技術を研究するため. 新しい製晶を研究するため. 改正商法上の研究開発費は︑. ㈹. ω 新しい経営組織を採用するため ㈹ 資源を開発するため. 50I.

(12) 市場を開拓するため. 失敗によって特許権等が獲得できない場合でも︑無形の成果は残るからけして損失と同視すべきではない︒. 502. ㈹. に特別に支出した金額をいうから︑これらの目的に支出されたものであれば別に支出の形態を問うわけではなく︑例. えば新製品及び新技術の研究費には︑新製品の試作費が合まれ︑新技術の採用費には︑技術導入費や特許権使用料の. 頭金等が含まれ︑新経営組織の採用費には︑固定資産の配置替の費用が含まれ︑資源の開発費には︑鉱山における新. 鉱道の開さく費が合まれ︑また新市場の開拓費には︑広告宣伝費や市場調査費等も合まれる︒しかしながら﹁特別に. ω. 失敗によって若干その経済価値が弱まるとしても︑新たに配当制限が設けられたため︑債権者に不当な損害を与 えることはない︒. ㈹. ω 繰延べの条件として支出目的しか規定していないから︑経済的成果のいかんは必ずしも問題にならない︒. おける研究にまつところが大きい︒しかしながら︑私は次の理由から繰延べを続行しうるものと考えている︒. 上しておくことは損失の繰延べと同一結果となり資本充実の原則に反するため︑いかなる処理を講ずべきかは今後に. から︑失敗が明らかになったときも直ちに繰延べの根拠を失うものではないが︑反面かかる無価値のものを資産に計. 述のごとく研究成果失敗時の処理である︒改正商法は︑繰延べの条件としてその経済的効果のいかんを問うていない. きは︑五年以内の毎決算期に均等額以上の償却を行なうことが強制される︒繰延べた場合に最も問題となるのは︑前. られ︑その何れの方法を選択するかは企業の白由意思にゆだねられている︒しかしながら繰延べの方法を選択したと. このような研究開発費については︑当期に全額償却することも︑繰延資産として貸借対照表に計上することも認め. 費は︑別に処理されるため除外される︒. 支出した﹂とあるから︑一般管理費や通常の経営費等は含まれないし︑また以上の条件に該当するものでも開業準備. 1拠.

(13) 135. ω改正商法の理論的根拠を与えた企業会計原則が︑繰延べ続行の統一見解を示すに至った︒. しかしながら右の主張は︑失敗が判明した以降の毎決算期になるべく早期償却することまで否定するものではな. い︒失敗のいかんにかかわらず早期償却を行うことは︑毎期均等額以上償却を定めた商法の精神にそうものといえよ う︒. なお研究開発費を繰延計理した場合︑開業費と研究開発費の合計額が︑資本の額と資本準備金及び利益準備金︵当. 該決算期に積立てるべき利益準備金を含む︶の合計額をデ﹂えるときは︑テ﹂の超過額を貸借対照表上の純資産額より控. 昌. 除した金額以下に利益配当が制限される︒従って改正商法においては︑配当金額は次のAとBのうち何れか低い金額 以下の金額に抑えられることとなる︒. >︑︹蓄津陪騎−一鴻卦騎十彗醤溝建群概犠毒紛十峠豊茸灘酋蝋犠義紛一︺×一H Ho 11︹一議鴻酔−応粛一−毒材菌十蒲建鴻料掃議紛十蒲薦き跳僑議紛十茸灘き蝋犠毒紛一︺×一﹃. ︵議鴻陳−述愈︶1︵鴻斗麓十覇辮蝉十茸耀事.薄弐舅鵠蝿十. 一号−以下単に施行規則と称する︶. は︑. ﹃法. Aに10五とあるのは︑改正商法によって︑利益準備金の積立限度額が毎決算期の利益の二十分の一から十分の一に改正. 茸薄尋・謙醇誇議菜ヨ蝿十輝萄謡嵜鳩十斗蒲麗詰鳩︶. ︸⁝⁝菖津蹄麓1︵域科鐘十謡撚鳩十覇畿麗畿蝉︶. ︵注︶. わが国法 人 税 法 の 坂 扱 ^昭和二十二年三月三十一日勅令第一. 三 法人税法上の研究開発費処理. されたためである︒︵第二百八十七条の二︶. 1. わが国﹃法人税法施行規則﹄. 503.

(14) 一〇〇. 16. 人税法﹄の施行上の規則を定めたものであるが︑ここでは研究開発費に相当する費目として開発費と試験研究費をあ. げ︑次のように定義している︒︵施行規則第二十一条の九第二項第二号及び第三号︶. 開 発 費. 製品の販路拡張のための広告宣伝費及び接待費その他営業を開始した後新たな市場の開拓叉は新たな事業の開始の ために特別に支出した費用をいう︒. 試験研究費. −. 製品の試作費︑製法の研究費その他新たな製品の製造叉は新たな技術の発明に係る試験研究のために特別に支出し た管扁竜いう︒. デ﹂こに開発費とは︑一定の計画に基いて行われる新市場の開拓叉は新事業の開始のために特別に支出した広告宣伝. 費︑旅費︑接待費︑調査費等をいうから︑財務諸表規則や改正商法のように新技術の採用︑経営組織の改善︑生産計. 画の変更等による費用等は︑開発費には含まれない︒︵﹃法人税法坂扱個別通達﹄−以下単に個別通達と称する−. 昭三四 直法一−一五〇のニハ五︶また開発費として経理した費用でも︑固定資産の建設に係る費用は︑当該固定資. 産の坂得価額となり︵同ニハ五︶︑開業準備のために特別に支出した費用は︑開業費となるから﹂︵規則第二十一条の九 第二項第一号︶︑右の開業費からは除外される︒. 一方試験研究費は︑新製晶の製造叉は新技術の発明に係る試験研究のために﹁特別に﹂支出した費用であるから︑. 法人が現に生産している製晶又は現に採用している製造技術の改良等のために常時行なった試験研究に要する費用を. 合まないことは︵同ニハ六︶︑財務諸表規則や改正商法の場合と同じである︒また新製品の試験研究の用に供された固. 定資産を坂得するための費用は︑当該固定資産の坂得価額となり︵同一六七︶︑開業準備のために特別に支出した費用. ・. 0. 54.

(15) は︑開業費となるから︵規則第二十一条の九第二項第一号︶︑右の試験研究費から除外されるデ﹂とは︑開発費の場合セ 同じ・である︒. 試験研究費については︑さらに生産関係の通常研究費が除外される︒﹃法人税坂扱基本通達﹂は︑一二一において︑. ﹁次に掲げる費用のうち︑生産のため叉は生産に附随して要した金額は︑製造原価に算入するものとする﹂として︑. 第八号に﹁事業の遂行のために通常行なう試験研究に要した費用の額﹂を掲げている︒従って生産のため叉は生産に. 叉揖珪産仁附随して要した費用﹂には︑基礎研究費と応用研究費は合まれないから︑法人税法上いわゆる原価性を有︒. するρは︑工業化研究費のみとなり︑事業遂行のための通常工業化研究費だけが製造原価に算入されるテ﹂ととなる︒. 基礎研究費とは︑自然現象に関する実験等によって法則を決定するための研究費をいい︑応用研究費工は︑基礎研究の結. ︵個別通達 昭和二八 直法一−二二六のωの3前段︶ ︵注︶. 果を具体的な物質︑方法等に実際に応用して工業化の資料を作成する研究費をいい︵同後段︶︑応用研究以後の研究費が工業化 研究費となる︒. 以上詳述した費用が︑法人税法上開発費及び試験研究費となり︑繰延べの対象となる︒しかしながら繰延べるか否. かは企業の自由選択にゆだね︑法人税法上では︑その全部叉は一部の金額を支出した事業年度の損金と経理したとき. なお償却計算の詳細は︑左のように坂り扱われ. は︑︑それを課税所得の計算上損金に算入し︑支出事業年度の損金とせず繰延べた金額は︑五隼を期問として償却すべ. きことを定めている︒︵施行規則第二十一条の九第二項及び第三項︶ る︒. ω︐継続的に毎月支出される費用については︑原則として︑研究もしくは開発計画等の目的の異なるごとに︑かつ支. 505. 附随して事業の遂行のため通常行なう試験研究の費用は︑製造原価となるナ﹂とは明らかである︒㌻﹂ト﹂に﹁生産のため. 137.

(16) 1詔. 昭三四. 直法一−一五〇のニハ九︶. 出の月叉は事業年度ごとに区分し︑それぞれの支出金額を基礎として︑その支出をした月又は事業年度の翌月叉は 翌事業年度から償却する︒︵個別通達. ω 一部の金額をその支出の目を合む事業年度の損金に算入した場合においては︑その損金の算入しなかった部分の. 金額については︑当該事業年度の翌事業年度から五年を基礎として償却する︒︵同一七〇︶. ㈹支出の日において一時的に資産に計上し︑当該支出の日を含む事業年度終了の目において償却の方法によらない. で︑当該金額の全部叉は一部を損金に算入した場合も︑同じ取扱を行なう︒一同一七一︶. ω 損金として経理したか償却の方法によったかは︑申告書に明細書を添付したかどうかにより判定する︒. ︵同. ㈲支出の全部叉は一部を損金として経理できるのは︑それを支出した日の属する事業年度に限られるから︑翌事業. 年度以後において損金として経理したときは︑損金として経理した金額は償却したものとして坂り扱われる︒. 繰延︒費用の償却額が償却限度額をテ﹂える場合の超過額は損金に算入されないが︑各事業年度において償却不足額. 一七三︶. ㈹. が生じた場合において︑前年度から繰り越した償却超過額があるときは︑その償却超過額は償却不足額の範囲内で 当該各事業年度の損金に算入する︒︵同一七四︶. 償却額が償却限度額をテ﹂えるかどうかは︑開発計画叉は研究目的ごとに︑かつ効果の及ぶ期間︑ことに判定するか. も法定償却限度額の償却はできる︒︵同一七六︶. ω 各事業年度の償却不足額は︑法定期間を経過しても一時に損金算入はできないが︑その後の各事業年度において. ⑧. ら︑一つの費用の償却額と他の費用の債却額を通算するデ﹂とはできない︒︵同一七七︶. 側 償却限度額を右のωの区分ごとに計算し︑償却額を通算している場合︑当該区分のうち償却により残額が零とな. 506.

(17) ったものがあるときは︑当額償却の基礎金額は︑償却の基礎金額から控除する︒︵同一七八︶. なお法人税法の場合にも試験研究費の成果判明時の処理が問題となるが︑デ﹂の点については︑当該試験研究が成功. しなかったときは︑未償却残高を判明した事業年度の損金に算入するデ﹂とができるが︑成功して特許権等の権利を取. 得したときは︑未償却残高と当該権利を坂得するために要した出願料︑登録税等の費用との合計額を当該権利の坂得. o. 米国法人税法 の 取 扱. ︐. 価額にしなけれぱならない旨を明記しているから︵同ニハ八︶︑少くとも課税所得の計算上は意見の分れる余地はな ︑. 2. 米国では︑わが国の法人税法に相当するものにぎざ§ミ氏§§§9§ミ﹄㎏亀︵oo竃O︒目血目︑︑︑︑1墨ω︒︑︑甘︒目一. 甲界o.o.81以下単に1・R・cと称する︶がある︒デ﹂こでは研究開発費に相当する費目として研究実験費と探さく. A 研究実験費︵轟ω①弩9§︷⑦お邑旨9け﹄異潟邑岸毒星. 1・R・Cは研究費を﹁納税者が課税年度中に事業叉は坂引に附随して支払叉は発生する研究叉は実験費﹂と定義. ︵−申ρ一ω向Oミ中印〜H︶し︑納税者が課税年度中に支払叉は発生した研究及び実験費で︑事業叉は坂引に附随す るものと定めている ︒. ここに研究及び実験費︵篶器胃9竃匹①老⑦Hぎ竃け﹄異肩邑岸膏窪︶とは︑実験上の費用又は実験室の費用と解さ. 印〜H︶図書室で発生する研究費は︑もしその結果著書や論文が作. れるから︑実験叉は試作設計︑製造工程︑製品︑公式︑発明品等の研究費だけが合まれ︑文献研究や史的研究の費用 は除外される︒︵家αq邑註opω窒H・H虞1−俸. 成される場合に研究実験費となるか否かは疑問があるが︑製品自体ではなく新製品の市場を開発する費用は︑研究実. 507. v 費と開発費をあげ︑その税務処理方法を規定している︒. 139.

(18) 140. 験費にならないことは明らかであろう︒右の条件に該当する場合でも︑次の二項目は別に処理規定が設けられている ため︑研究実験費から除外されることが1・R・Cには規定されている︒. 鉱石その他の鉱物︵オイル及びガスを含む︶の鉱床の存在︑位置︑範囲︑数量を調査するために支出叉は発生す. ω 土地の獲得叉は改良費︑研究実験用に使用される固定資産の獲得叉は改良費︵ω向O・ミトo︶. ω る費用︵ω同O.Hミ一〇︶. 吏た﹁事業叉は坂引に附随して﹂︵巨8昌8ま目ま艘巨⑫膏茎①o﹃ぎ色畠霧︶とあるから︑企業の事業又は坂引. と関連のないパート・タイムの発明家への費用は対象外となり︑さらに﹁納税者が支払叉は発生した﹂とあるから︑. φ〜H︶. ﹁品質管理のための材料叉は製品の通常の試験又は検査ならびに能率調査︑管理. 他企業の特許︑設計︑製品︑工程を購入する代価毛対象外となる︒︵内品邑註◎員ω8・一﹂虞1. 以上詳述した研究実験費のうち︑. 研究︑消費者調査︑広告叉は促進のための費用﹂は︑一般の費用となり︵寄αq巨註OPω8︒ゲH違山一印〜H︶︑残額に. 当期の費用として処理する︒. ついては︑次の何れかの方法を選択するデ﹂とができる︒︵ωbO.H軍四俸ず︶. ω. 納税者雅︑研究実験費を当期の費用として処理する場合には︑この費用は課税所得の計算上損金として認められ. る︒デ﹂の規定は︑一九五三年十二月三十一目以降︑本規定が廃止される迄の期間には︑国税庁長官︵ω8屋冨︷︶叉は. その代理人の許可なくして採用するナ﹂とができ︑許可を得ればいつにても採用するナ﹂とができる︒しかしながら本法. の方法は︑当該課税年度の課税所得の計算上遵守しなければならず︑研究実験費の全部叉は一部について別の方法に. 繰延費用として処理する︒. 変更するときは︑国税庁長官又はその代理人の許可をえなければならない︒ ω. 508.

(19) 国税庁長官又はその代理人が制定した準則に基づいて︑納税者が支払又は発生した研究実験費︵当期の費用及び固. 定資産として処理したものを除く︶を繰延費用︵箒ぼ冒&Φ岩竃ω窪︶として処理した場合︑六十カ月を下らない期間. ︵納税者ポ当該支出より収益を享受した月から計算する︶で︑納税者が選定した期間にわたつて償却したときは︑そ. の金額を損金に算入する︒デ﹂の規定は︑一九五三年十二月三十一目以降開始する課税年度から実施されるが︑これ以. 前でも申告書の提出にあたって実施中のときは︑当該課税年度にも適用される︒納税者が選択した方法及び期間は︑. 選択した課税年度及びその後の全課税年度の課税所得の計算上遵守され︑当該研究実験費の一部叉は全部の償却方法. 探さく費︵婁宮睾邑昌①お9津自﹃星. 叉は期間を変更するときは︑国税庁長官叉はその代理人の許可を受けなければならない︒. B. 1・R・Cは探さく費を︑ ﹁鉱石又はその他の鉱物の鉱床の存在︑位置︑範囲叉は数量を調査するために︑当該課税. の場合と同様に︑固定資産の取得叉は改良費と︑オイル・ガスの存在︑位置︑範囲叉は数量の調査費を除外してい る︒一パω向ρ腎9φ︶. このような探さく費については︑十万ドルをこえない範囲内で当期の費用として処理したときは︑課税所得の計算. 上損金として認められる︒また国税庁長官叉はその代理人の制定した準則に従つて︑当期の費用に算入しなかつた金.. 額を繰延費用として処理したときは︑その処理が認められるが︑当該支出によつて発見叉は探さくされた鉱石又は鉱. ︑. 物の採くつ物を販売するときは︑比例して償却しなければならない︒何れの場合でも選択した方法は︑各課税年度中. 継続して使用する必要がある︒ C 開発費︵宗き−ε旨Φ葦⑦岩9魯9﹃霧︶. ≒.﹂. or一. 5︑. 〇. 年度中に支払叉は発生した費用︑及び鉱山叉は鉱床の開発段階以前に支払又は発生する費用﹂と定義し︑研究実験費. 141.

(20) 142. 1.R一Cは開発費を︑. ﹁鉱山又は他の天然鉱床︵オィル叉はガス井戸を除く︶を開発するために当該課税年度中に. 支払叉は発生した支出で︑採用可能な数量の鉱石叉は鉱物の存在を発見した以後のもの﹂と定義し︑固定資産の坂得 叉は改良費を除外している︒︵ω同O.胃9與︶. ︸﹂のような開発費は︑当期の費用として処理したときは︑課税所得の計算上損金として認められる︒また国税庁長. 官叉はその代理人の制定した準則に従って︑当期の費用に算入しなかった金額を繰延費用として処理したときは︑そ. の処理が認められるが︑当該支出によって利益をうけた鉱石叉は鉱物を販売するときは︑比例して償却しなければな. らない︒しかしながら鉱山叉は鉱床の開発段階で支払叉は発生した開発費については︑当該課税年度申の開発費か. 業種別財務諸表規則上の研究開発費処理. ら︑当該鉱山叉は鉱床から採くつされる鉱石又は鉱物の当該年度中の純収入を控除した残額だげに右の選択が許され る︒. 四. ﹃電気事業会計規則﹄︵昭和二十九年四月一目通商産業省令第十二号︶. 最後にわが国業種別財務諾表規則における研究開発費処理規定を一警して本稿を終ろう︒ 1. 電気事業営業費明細表の中で︑営業費の内訳としてわずかに﹁需用開発費﹂と﹁研究費﹂の科目が見出されるだけ. ﹃ガス事業会計規則﹄︵昭和二十九年四月一日通商産業省令第十五号︶. で︑文言上だけからは必ずしもその処理が明らかでない︒ 2. 勘定科目表においては︑左の各個所に研究開発費に関する規定があり︑製造費︑供給販売費︑一般管理費及び繰延 勘定として︑それぞれ処理される費目の存するナ﹂とを定めている︒. 510.

(21) 143. 用. 産. 一般管理費⁝試験研究費. 家サービス費ならびに繰延勘定に計上した開発費の償却額︶. 供給販売費⁝試験研究費︑需要開発費︵ガス及び副産物の新規需用開発及び使用合理化のための周知宣伝等の需用. 製造費⁝試験研究費︵試験研究のため材料費︑外部委託試験研究費及び繰延勘定に計上した試験研究費の償却額︶. 費. 資. 繰延勘定⁝その他繰延費用︵開発費︑試験研究費等当該事業年度の費用に属させることが適当でない費用で︑他の 繰延勘定科目に属させないもの︶. とくに繰延研究開発費の償却額を︑製造原価と販売費と一般管理費に配分したことは︑注目に値する︒︵一般管理 費については必ずしも明確でないが︶ 3 ﹃地方鉄道業会計規則﹄︵昭和二十六年一月三十一日運輸省令第二号︶. 勘定科目表の繰延勘定欄に︑繰延べしうる研究開発費の内容が左のように定められている︒. 開発費⁝新市場の開拓︑新事業の開始︑新技術の採用︑経営組織の改善等のため特別に支出した費用. ﹃自動車運送事業会計規則﹄︵昭和二十六年七月十八日運輸省令第六十四号︶. た費用. ︐. 試験研究費⁝新品の試作︑製法の研究その他新製品の製造叉は新技術の発明に係る試験研究のために特別に支出し. 4. 別に研究開発費の文字は見出されない︒ 5 ﹃建設業法施行規則﹄︵昭和二十四年七月二十八目建設省令第十四号︶. 51工.

(22) 1μ. 貸借対照表の繰延勘定の欄に︑開発費と試験研究費の例示があり︑損益計算書の一般管理費の中に調査研究費の科 目が見られる︒. 6 ﹃建設業財務諾表準則﹄︵昭和二十五年二月二十一目中央建設業審議会決定︶. 第;皐損益計算書準則の第八で一般管理費の一項目として調査研究費をあげ︑第三章貸借対照表準則の第三十で︑. 開発費と試験研究費は繰延勘定に記載するとして︑繰延べすべき内容及び方法を左のように規定している︒. 第三十五 開発費は︑新技術の採用︑経営組織の改善︑市場の開拓等のため支出した費用を記載する︒. 試験研究費は︑工法の試験ならびに材料︑機械装置及び仮設物の研究等のため特別に支出した費用を記載. 開発費の償却 額 は 直 接 法 に よ り 控 除 す る ︒. 第三十六. ﹃水産業財務諸表準則﹄︵昭和二十七年十月企業会計審議会︶. 試験研究費の償却額は直接法により控除する︒. する︒. 7. 第三章貸借対照表準則は︑繰延勘定に科目する研究開発費の内容を︑次のように定めている︒. 第三十八 開発費は︑新技術の採用︑経営組織の改善︑市場の開拓等のため支出した費用を記載する︒ 蘭発費の償却額は直接法により控除する︒. 試験研究費は︑製品の試作︑製法の研究等のため特別に支出した費用を記載する︒. ﹃海運企業財務諾表準則﹄︵昭和二十九年九旦二十目運輸省告示第四百三十一号︶. 試験研究費の償却額は直接法により控除する︒. 第三十九. 8. 第四章貸借対照表は︑第四十三条で開発費及び試験研究費は繰延勘定に属し︑償却額は当該勘定から直接控除する. 5I2.

(23) 145. ことを示し︑第四十八条で開発費及び試験研究費の科目で記載するナ﹂とを定めている︒ 9 ﹃造船業財務諾表準則﹄︵昭和二十六年十月十九目運輸省告示第二百五十四号︶. 第四章貸借対照表の第四十七条で︑開発費及び試験研究費は繰延勘定に記載するとし︑さらに次の内容を明らかに している︒. 第五十二条開発費の科目には︑新技術の採用︑経営組織の改善︑市場の開拓等のため支出した費用を記載する︒. 第五十三条 試験研究費の科目には︑製品の試作︑製造技術の研究等のため特別に支出した費用を記載する︒ 10 ﹃造船業財務諸表準則坂扱要領﹄︵昭和二十七年九月一目船監第三百五十九号︶. 前項ωの開発費及び試験研究費には︑経常費の性格をもったものは合まないことを明示している︒. 5工3.

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