論文内容要旨
論文題名
Expression and localization of pituitary adenylate cyclase activating polypeptide specific receptor(PAC1R) after traumatic brain injury in mice.
マウス頭部外傷後における脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリ ペプチド特異的受容体(PAC1R)の局在及び発現
掲載雑誌名
The Open Critical Care Medicine Journal, Vol.1 P.33-38 2008 年
専攻名
専攻科目 外科系 救急・災害医学 専攻 森川 健太郎
内容要旨
マウス頭部外傷モデルを使用し、頭部外傷による組織学的変化を受傷直 後から受傷後 7 日目まで経時的に追跡調査した。
1.マウス頭頂部に頭部外傷を生じせしめ、直後より、3 時間後、6 時間後、
12 時間後、24 時間後、2 日後、4 日後、7 日後で PAC1R を免疫染色し発現 の具合を観察した。
PAC1R 陽性細胞は、外傷周辺に 3 時間後から見られ始め、1 週間後まで 強く発現してみられた。
2.1 日後および 7 日後とで PAC1R と、CD11b および GFAP、NeuN とそれぞ れ二重免疫染色を行い、PAC1R を発現している細胞を経時的に観察した。
受傷 1 日後では、PAC1R 陽性細胞と CD11b 陽性細胞が一致して見られた。
受傷 7 日後では、PAC1R 陽性細胞は、CD11b 及び GFAP 陽性細胞にも見られ た。経過を通して NeuN 陽性細胞は PAC1R 陽性を示さなかった。
PAC1R は外傷周囲の astrocyte、microglia に強く発現がみられ、この発 現は 3 時間後よりみられ、1 週間にわたり持続していた。
PACAP の神経保護作用は IL-6 をはじめとする炎症性サイトカインを介 していることが知られている。また、頭部外傷においてミクログリアやア ストロサイトなどの活性化グリア細胞は急性細胞死から神経再生、さらに
遅発性に起こる外傷性アルツハイマー症候群などを含めた外傷後の神経 炎症(neuroinflammation)において中心的な役割を担っている。今回の検 討で頭部外傷において PACAP は活性化グリア細胞に発現した PAC1R を介 して頭部外傷後における超急性期から亜急性期神経炎症、あるいは抗神経 炎症に強く関わっていることが示唆された。