• 検索結果がありません。

学位論文内容の要旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文内容の要旨"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 理 学 )

  

オ ブ ッ ト ・ オ ルガ

(Olga T.Obut)

      itL

論 文 題 名

  X/Iicropaleontological study of Lower Paleozoic siliceous rocks in the Altai Mountains area ‑ with special reference       to the evolution of the Paleo‑Asian Ocean.

(アルタイ山地地域における下部古生界の珪質岩の微古生物学的研究

    

ー特に古アジア海の進化に関連して―)

学位論文内容の要旨

    近年、地 球科学において地球ジオダ イナミクス史の研究が注目さ れており、コールドプリュームが沈みこ んでいるとさ れる中央アジア地域の総合 地球科学的研究が重要になっ ている。また、生物の爆発進化がおこっ たカンプリア紀の古生物の消長や絶滅なども問題になっている。本研究は中央アIジアのアルタイ山地にお,いて 古生代早期の カンプリア紀(5.5ー5.0億年 前)の珪質堆積岩に含まれ る微化石の生層序学的研究をまとめ,古 ア ジア 海の ジオダイナミックな進化 解明を目的としたもので、同 時に,放散虫類(原生動物 )およびコノド ント(錐歯類 )の起源と初期進化につい て検討したものである,これ までアルタイ山地のカンブリア系では大 型化石の生層 序学的研究は多くなされて きたが、珪質堆積岩の微古物 学的研究は皆無であった。また、アルタ イ 山地 をは じめシベリア西部には先 カンプリア代後期ー古生代前 期と考えられる珪質堆積岩 を含むいろいろ な地質体や地 層が広範囲に分布するが、 大型化石を含まず、また、変 形や変咸作用を蒙っているため同位体年 代の測定も困 難であり、長い間それらの 地質体の多くは地質年代が不 明であった。このため、古アジア海のジ オ ダイ ナミ クス進化モデルの復元は 不完全であった。アルタイ山 地の珪質堆積岩の微化石年 代の決定による 多数の時代不 詳の地層の年代の改訂は古 アジア海の進化およびそのテ クトニック・モデルを見直す上で重要で あ った 。こ の研 究 目的 のた め、 北部 ア ルタ イ地 域か ら 南西アル タイ地域まで南北約400 Km,東西約300 Km の範囲の下部 古生界の野外地質調査を行 なった。まず第ーにVendo‑Cambria紀とみなされてきたゴルノ・アル タイ層群に含 められるザスーリン地層( 厚さ5000mを越える砂岩、泥 岩の互層を主とし玄武岩、ガブ口などの 火山岩や赤色 層状チャー卜を挟む)中の 数10地点からチャート・サン プルを採集し,微化石の抽出をおこなっ た 。そ の結 果、ザスーリン層の一部 からカンプリア紀後期および オルドピス紀早期を示準す るコノドント、

放 散虫 化石 を得ることに成功し、こ れまでのVendo‑Cambrian説は 否定された。なお,ザスー リン層から産出 した放散虫化 石は内外の2重の珪質骨格を 有し、6本の主骨針をもつInanibiguttaグループであり、これらがカ ンプリア紀の 地層から見っかったのはは じめてである。共同研究者に よるザスーリン層の火山岩の古地磁気学 的検討ならび に岩石化学的検討結果から 、これらの火山岩が海嶺ない しは海洋島起源であり、低緯度地域で形 成されたことが判明し、上記の放散虫類が古アジア海の低緯度地域で棲息レてbゝ.たことが明らかとなった。ま た 、 ザ ス ー リ ン 層 は オ フ ィ オ ラ イ ト を 挟 み 、 覆 瓦 構 造 を 示 す こ と か ら 付 加 体 と 考 え ら れ る 。     次に、中 央アルタイ山地のカ卜ーン 川中流部のアッカヤ地域を中 心として分布するシャシクナール層の地 質 調査 およ び珪質堆積岩に含まれる 微化石の検討を行った。シャ シクナール層は礫岩、砂岩 および泥岩の互 層、石灰岩な どからなり最上部に多色の 珪質頁岩からなる地層であり 、三葉虫、古杯類化石の産出し,カンブ リア紀前期の ポトム階(約513億年前)に 堆積した地層であることが 判明している。この地域の多色の珪質頁 岩には多量の 珪質海綿骨針化石が含まれ ているが、アッカヤの2地点 の緑色および灰色珪質頁岩から保存良好 な原始的放散 虫化石が得られた。大量の 岩石のサンプルを採集しフッ 酸処理を行った結果、これまでに4グル ープの放散虫 化石が得られた。これらの放散虫の骨格は発達状態が未分化であり、(a)小型の殻で殻孔が微小な 円 形で 骨針 をもたないグループ、り 中型の殻をもち殻孔が矩形、 不規則形などで多数の骨針 を有するグルー プ、中型で粗 い格子状の殻を持っグルー プなどの放散虫が含まれてい ることが明らかとなった。これら放散虫 化石の記載分 類を行い、(a)及び(b)の放 散虫グループにあたらしい種名を与えた。(c)群の放散虫グループは未 記載である。 この放散虫化石群集は世界 で最古の放散虫である。

上述のザスー リン層をはじめゴルノ・ア ルタイ層群に属する地層がカ ンブリア紀後期ーオルドビス紀早期の付 加体であるこ とが判明したことにより従 来の古アジア海のジオダイナ ミクス進化モデルは一部修正せざるを得 なくなった。

335

(2)

最後に、(1)最古の放散虫はカンプリア紀前期に遡ること、(2)カシプリア紀後期に既に放散虫の内外の 二重の殻構造が完成していたこと、(3)これまで不可能とされたカンプリア紀の放散虫化石による生層序区 分が可能であることを示した。

336

(3)

学位論文審査の要旨

主 査   教 授   渡 辺 暉 夫 副 査   教 授   岡 田 尚 武

副 査  助 教 授  ニ コ ラ イ ・ セ ヨ コ フ ( ノ ボ シ ビ ル ス ク 大 学 )

学 位 論 文 題 名

  Micropaleontological study of Lower Paleozoic siliceous rocks in the Altai IVIountains area ‑ with special reference       to the evolution of the Paleo‑Asian Ocean.

(アルタイ山地地域における下部古生界の珪質岩の微古生物学的研究

―特に古アジア海の進化に関連して―)

  近年、放散虫生層 序に関する研究が贐んに行わ れているが、その多くは新 生代ー中生代放散虫化石分帯 区 分や中生代の変動帯のテク 卜二クスの解明を目的として おり、古生代早期の放散虫生層序(化石帯区分)の確 立、放散虫類の初期系統進 化の研究の分野や古生代前期 の変動帯におけるテク卜二クスの解明の分野での応用 研究は少数である。特にカ ンブリア紀放散虫の研究は未 開拓の分野で、カンプリア紀における生物の爆発的進 化の問題の解明ともあいま って今後の研究の発展が待た れている状況にある。

本論文は、このような現況 にあるカンプリア紀の微古生 物、なかんずく放散虫化石について中央アジアのアル タイ山地のカンブリア紀の 全層準の珪質堆積岩を対象と してフッ化水素酸を用いて抽出し、生層序学ならびに 微古生物学上の有益な新知 見を得ることを目的として調 査研究を行ったものである。これまでアルタイ山地の カンプリア系については大 型化石を用いた生層序学的研 究は多くなされてきたが、珪質堆積岩の微古物学的研 究は皆無であった。アルタ イ山地をはじめシベリア西部 には先カンプリア代後期ー古生代前期と考えられる珪 質堆積岩を含むいろ いろな地質体や地層が広範囲 に分布するが、大型化石を 含まず、変形や変成作用を蒙 っ ているため同位体年代の測 定も困難であり、長い間それ らの地質体の多くは地質年代が不明であった。本研究 では、6年間にわたって北部 アルタイ地域から南西アル タイ地域まで広範囲の下部古 生界の地質調査を行ない Vendo‑Cambria紀とみ なされてきたゴルノ・アル タイ層群に含められるザスー リン地層(厚さ5000mを越え る 砂岩、泥岩の互層を主とし玄武岩、ガプ口などの火山岩や赤色層状チャー.卜を挟む)中の数10地点か.らチャ ート・サンプルを採集し微 化石の抽出をおこなった。そ の結果、ザスーリン層の一部からカンブリア紀後期お よびオルドピス紀早 期を示準するコノドント、放 散虫化石を得ることに成功 し、これまでのVendo‑Cambrian 説を否定した。詳細な観察 結果に基づき、ザスーリシ層 から産出した放散虫化石が 内外の2重の殻構造を有す るInanibigutta属であるこ とを明らかにしたが、2重の殻構造をもつ放散虫化石がカンプリア紀後期に既に出現 していたことをっきとめた ことは放散虫類の進化史を考 察する上で重要な発見であるといえる。次に、中央ア ルタイ山地のカトーン川中 流部のアッカヤ地域を中心と して分布するカンブリア紀前期(ポトム階)のシャシ クナール層の珪質堆積岩に 含まれる微化石の検討を行な い、2地点の緑色および灰色 珪質頁岩から保存良好な 原始的放散虫化石を見い出 し分類・記載的検討を行った。これまでにAltaiesphaera,Archaeocenosphaeraなど 少なくとも4つの新属、新種 の放散虫化石のグループを 識別し、この放散虫化石群集 が世界で最古の放散虫で あることを明らかにしたが 、この点は放散虫古生物学上 で画期的成果である。著者 は、本研究の結果、(1) 最古 の放 散虫 はカ ン プリ ア紀前期に遡ること、(2)カンプリア紀後期に既に 放散虫の内外の二重の殻構造 が 完成 して いた こと 、(3)最 近のオーストラリアや 中国におけるカンプリア紀 放散虫化石の知見を加えて、 こ れまで不可能とされたカン ブリア紀の放散虫化石による 生層序区分が可能であることを示し、暫定的な放散虫 化石帯区分を提唱した。

    要するに著者はカンブ リア紀放散虫生層序について の新知見を得たものであり、カンプリア紀放散虫化石 帯区分の確立、放散虫類の 系統初期進化の解明に対して 貢献するところ大なるものがある。また、他面、上述 のザスーリン層をはじめゴ ルノ・アルタイ層群に属する 地層がカンブリア紀後期ーオルドピス紀早期の付加体

337

(4)

であることを明ら かにしたことにより、オルド ピス紀中期にシべルア大陸北西縁の海溝域で海洋プレー卜の沈 みこみが行われたことをはじめて予測し、従来の古アジア海のジオダイナミクス.進化モデルを修正きせる成果 を挙げた。これら の研究成果を挙げたことによ り著者は北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格ある ものと認める。

338

参照

関連したドキュメント

たな相転移を見出すとともに SDW 状態を定量的に議論したものであり、電子相関に よっ て 生じ る 多様 な 物理現 象の理解に 対して大き

   本研究で確立したMRI と NIRS の同時測定法は、fMRI 単独では得られない信号強度変化 に新たな知見を与え、更にBOLD 効果と流入効果を利用し、適切な撮像パラメーターを選択 する

― 194―.. 素として大学と周辺市街地が結びっきながら再整備されることが大学、周辺市街地共通の計画 目標 にな り得 るこ とが 考え ら れ、 その ため の計 画フ レー ムの 提言 をま

   これを要するに、著者はシリコン単結晶(111) 表面原子層構造の動的観察によルシ リコン(

   これを要するに著者は、電子相関が強い2

の透過性を上昇させることによる殺菌であることを明らかにするとともに、胃潰瘍

   本研究の結果から、根室海峡系のスケトウダラにはC . osculatum が多く寄生 すること、クラカケアザラシはC

(2 )西部北太平洋亜寒帯域で氷期に生物生産が低かったのは、間氷期と比ベ成層化が