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博士(農学)鄭 会勲 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(農学)鄭   会勲 学位論文題名

画像情報と地理情報システム(GIS )を用いた都市及び 農業地域における遊休地の空間解析に関する研究

学位論文内容の要旨

  土地の有効活用において望ましい姿とはいえなぃ遊休地は,都市域でも農業地域でも発 生している。都市域の遊休地と見なされる低未利用地の面積は,人口30万人以上の都市の みを対象としても約6万2千ha存在し(抽出調査による2000年の推定値),市街化区域(用 途地域)面積の9.3%に相当している。一方,農業地域における遊休地の代表である耕作 放棄地の面積は,全国で約21万ha (2000年農業センサス)とされ,耕地面積に対応させ た耕作放棄地率として5.1%に相当する。さらに土地持ち非農家の耕作放棄地を加えると,

約34万haにも達するとされている。これらの遊休地は,面積的には統計情報として公表 されており,とくに耕作放棄地に関しては市町村別およぴ農業集落別に記載されている。

しかし,どの地区にどの程度の遊休地が分布しているのか示す地図情報としては存在しな いのが一般的であり,遊休地の有効活用のための土地利用計画の立案に障害となっている。

遊休地の地図情報化が進まなぃ要因のーっは,その発生と消滅が経年的に変化しやすいた めであり,これを解決するためには,周期的に地図データを集録している衛星リモートセ ンシング画像などの空間情報を利用し,遊休地の検出とマッピングを容易にする手法を開 発することが必要である。

  そこで本研究では,くD都市域の低未利用地の検出手法と分布を明らかにする,◎農業地 域の耕作放棄地の検出手法と分布を明らかにする,◎農業集落レベルにおける耕作放棄地 発生の要因を景観生態学的に明らかにすることを目的とし,衛星リモートセンシング画像,

空 中 写 真 な ど の 空 間 情 報 を , 地 理 情 報 シ ス テ ム(GIS)を 用 い て 解 析 し た 。 1.荒地の細分化による都市遊休地の空間解析

  広域札幌圏(札幌市,江別市,千歳市,恵庭市,北広島市,石狩市,当別町)を対象に,

土地利用・被覆カテゴリーのーっである荒地(未利用地・しの地など,国土地理院)を衛 星画像上で細分することにより,都市域の低未利用地の検出と分布について解析した。用 いた衛星画像はLandsatー5TM(2000年7月)であり,トレーニングデータとして国土地理 院 の 地 形 図 (2万5千 分 の 1) と 空 中 写 真 ( 1万5千 分 の 1) を 参 照 し た 。 1)荒地トレーニングデータは,衛星画像上において正規化植生指標(NDVI)の値とその分   散幅により,3タイプに分類できた。

2) AOIツールとOFFSET処理を用いて人工的に造成された施設周辺の荒地タイプ(空港,

    ゴルフ場,自衛隊演習地)を分離し,合計4タイプの荒地(自然的荒地2,人工的荒地   2)に区分された。

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3)分光反射特性が畑に類似した荒地の誤判別の修正には,植生指標(NDVI)と鉄鉱物指標     (Ferrous Mineral Index)が有効であった。

4)荒地4タイプを含む最終土地利用図を作成したが,荒地の分類精度は60. 38% (Producers     Accuracy)から84.2%(Users Accuracy)であった。

5)都市遊休地としての低未利用地に相当する荒地の分布図を作成し,石狩市と千歳市の     大規模工業団地周辺に集中することを明らかにした。

2.圃塀区画をべースにした農業遊休地の空間解析

  衛星リモートセンシング画像を用いて,耕作放棄地を中心とする農業遊休地の空間分布 を圃場区画べースで明らかにする手法を開発することを目的として,空知支庁管内の栗沢 町を事例に解析を行った。

1)栗沢町内中央部の空中写真域約4,350haを対象に,すべての圃場区域について作付け   状 況の現 地調 査を2003年と2004年に行い,農業遊休地(区画は残存するが雑草が繁   茂)の数値地図データを作成した。

2)空中写真上の圃場区画を自動抽出するためには,エッジ強調処理とイメージセグメン     ト化(Segmentation)手法の複合利用が有効であった。

3) 多 時 期 衛 星 画 像(2002年5月 ,1999年6月 ,1993年7月,1985年9月) を用い ,フ     ァジー最尤法による土地被覆分類,衛星データベースの誤分類修正プログラムの開発   を行った。

4)衛星画像の年度別に,土地利用分類図と平均NDVI分布図を圃場区画ベースで作成する     ことと同時に,農業遊休地検出ロジックを開発した。その結果,作付け地から農業遊     休地への年次変化の検出を可能にした。

5)対象地域の農業遊休地は292haであったが,水田由来が21%,畑由来が79%であり,

    畑からの遊休地が卓越していた。遊休地化した年度別には,1985年から1992年までが     49%,1993年から1998年までが19%,1999年から2001年までが32%であり,単年     度 平 均 の 遊 休 地 を 比 較 す る と ,1999年 以 降 で 最 大 で あ るこ と が 判 明 し た 。

3.耕作放棄地を有する農業集落の空間構造的特性  

  個別市町村内部における耕作放棄地の発生状況には集落問差異が存在するため,GISと 景観構造指標を用いて耕作放棄地の集落間差異を明らかにすることを目的に,後志支庁管 内 の 赤 井 川 村 と 空 知 支 庁 管 内 の 栗 沢 町 を 対 象 に 事 例 的 な 解 析 を 行 っ た 。 1)農業集落カードから2000年の耕作放棄地率を参照し,放棄地率の大きい集落を抽出し     た(赤井川村4集落,栗沢町10集落)。抽出した集落に対する耕作放棄地率確認の現     地調査を2003年に行い,耕作放棄地率の分布を空中写真の各圃場区画上に示した。

2)調査集落を対象に,10mメッシュ標高値とGISソフトを用いて数値地形解析を行い,

    赤井川村では圃場傾斜が5度以上になると,また栗沢町では圃場標高が70m以上(畑),

    もしくは圃場傾斜が3度以上(水田)になると,それぞれ耕作放棄地が発生する傾向     のあることが明らかになった。

3)景観構造指標による解析結果から,集落レベルでは土地利用混在度の大きい集落で耕     作放棄が発生しやすいことが明らかになった。また圃場レベルでは,水田よりも畑の     景 観 構 造 指 標 に お い て 耕 作 放 棄 地 率 と の 関 連 が 強 い 傾 向 が 認 め ら れ た 。 以上の研究結果は,衛星画像や空中写真などの画像情報を用いて,都市及ぴ農業地域に     ‑ 1322―

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おける遊休地の検出とマッピングという空間解析の有効性を示したものであり,経年的に 変 化 し や す い 遊 休 地 の 有 効 利 用 の た め の 土 地 利 用 計 画 に 対 す る 貢献 が 大 きい 。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

画像情報と地理情報システム(GIS )を用いた都市及び 農業地域における遊休地の空間解析に関する研究

  本 論文は5章からなり,図,42,表22,参考文献69を含む107ぺージの和文論文である。他に 参考論文5編が添えられている。

  土地の有効利用において望ましい姿とはいえなぃ遊休地は,都市域でも農業地域でも発生してい る。都市域の遊休地と見なされる低未利用地の面積は,人口30万人以上の都市のみを対象としても 約6万2千ha存在し(抽出調査による2000年の推定値),市街化区域(用途地域)面積の913%に 相当 している。一方,農業地域における遊休地の代表である耕作放棄地の面積は,全国で約21万 ha (2000年農業センサス)とされ,耕地面積に対応させた耕作放棄地率として5.1%に相当する。

これらの遊休地は,面積的には統計情報として公表されているが,分布状況を示す地図情報として は存在しないのが一般的であり,遊休地の有効活用のための土地利用計画の立案に障害となってい る。遊休地の地図情報化が進まなぃ要因のーっは,その発生と消滅が経年的に変化しやすいためで あり,これを解決するためには,周期的に地上データを集録している衛星リモートセンシング画像 などの空間情報を利用し,遊休地の検出とマッピングを容易にする手法を開発することが必要であ る。

  そこで本研究では,@都市域の低未利用地の検出手法と分布を明らかにする,◎農業地域の耕作 放棄地の検出手法と分布を明らかにする,◎農業集落レベルにおける耕作放棄地発生の要因を景観 生態学的に明らかにすることを目的とし,衛星リモートセンシング画像,空中写真などの空間情報 を,画像解析技法と地理情報システム(GIS)を用いて解析した。

1.荒地の細分化による都市遊休地の空間解析

  広域札幌圏(札幌市,江別市,千歳市,恵庭市,北広島市,石狩市,当別町)を対象に,土地利 用・被覆カテゴリーのーつである荒地(未利用地・しの地など,国土地理院)を衛星画像上で細分類 することにより,都市域の低未利用地の検出と分布について解析した。用いた衛星画像はLandsat‑5 TM (2000年7月11日)であり,ト レーニングデータとして国土地理院の地形図(2万5千分の1) と空中写真(2万分の1)を参照した。

1)荒地トレーニングデータは,衛星画像上において正規化植生指数(NDVI)値とその分散幅により,

  3タイプに分類できた。

2)AOIツールとOFFSET処理を用いて人工的に造成された施設周辺の荒地タイプ(空港,ゴルフ場,

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士 明

郎 峰

   

   

正 徹

昭 秀

沢 澤

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  自衛隊演習地)を分離し,合計4タイプの荒地(自然的荒地2,人工的荒地2)に区分された。

3)分光反射 特性が畑に類似した荒地の誤判別の修正には,植生指数(NDVI)と鉄鉱物指標(Ferrous   Mineral Index)が有効であった。

4)荒地4タイプを含む最終土地利用図を作成したが,荒地の分類精度は60.4%(Producers Accuracy)   から84.2%(Users Accuracy)であった。

5)都市遊休地としての低未利用地に相当する荒地の分布図・を作成し,石狩市と千歳市の大規模工業   団地周辺に集中することを明らかにした。

2.圃場区画をべ―スにした農業遊休地の空間解析

  衛星リモートセンシング画像を用いて,耕作放棄地を中心とする農業遊休地の空間分布を圃場区 画 べ ー ス で 明 ら か に す る た め , 空 知 支 庁 管 内 の 栗 沢 町 を 事 例 に 解 析 を 行 っ た 。 1)栗沢町内中央部の空中写真域(4,350ha)を対象に,すべての圃場区画について作付け状況の現地   調査を2003年と2004年に行い,農業遊 休地(区画は残存するが雑草が繁茂)の数値地図データ   を作成した。

2) 空 中 写 真 上 の 圃 場 区 画 を 自 動 抽 出 す る た め には ,エ ッジ 処理 とイ メー ジセ グメ ント 化   (Segmentation)手法の複合利用が有効であった。

3)多時期衛 星画像(2002年,1999年,1993年,1985年)を用い,ファジイ最尤法による土地被覆   分類,衛星データベースの誤分類修正プログラムの開発を行った。

4)衛星画像 の年次別に,土地利用分類図と平均NDVI図を圃場区画べースで作成し,農業遊休地の   検出ロジックの開発と農業遊休地への年次変化の検出を可能にした。

5)対象地域の農業遊休地は292haであったが,畑由来の遊休地が79%で卓越していた。遊休地化し   た年次別の解析から単年度平均の遊休化を比較すると,1999年以降で最大であることが判明した。

3.耕作放棄地を有する農業集落の空間構造的特性

  個別市町村内部における耕作放棄地の発生状況には集落間差異が存在するため,景観構造指標を 用いて耕作放棄地率の集落間差異を明らかにすることを目的に,後志支庁管内の赤井川村と空知支 庁管内の栗沢町を対象に事例的な解析を行った。

1)農業集落カードから2000年の耕作放棄地率を参照し,放棄地率の大きい集落を抽出した(赤井川   村4集落, 栗沢町10集落)。抽出した集落に対する耕作放棄地確認の現地調査を2003年に行い,

  耕作放棄地の分布を空中写真の各圃場区画上に示した。

2)調査集落 を対象に,10mメッシュ標高値とGISソフト用いて数値地形解析を行い,赤井川村では   圃場傾斜が5度以上になると,また栗沢町では圃場標高が70m以上(畑),もしくは圃場傾斜が   3度以上( 水田)になると,それぞれ耕作放棄地が発生する傾向のあることが明らかになった。

3)景観構造指標による解析結果から,集落レベルでは土地利用混在度の高い集落で耕作放棄が発生   しやすいことが明らかになった。また圃場レベルでは,水田よりも畑の景観構造指標において耕   作放棄地率との関連が強い傾向が認められた。

  以上のように,本論文は経年的に変化しやすい遊休地の地図情報化のためには,衛星画像や空中 写真などの空間情報と地理情報システム(GIS)を用いた空間解析が有効であることを示したもので あり,その成果は関連学会において高く評価されている。よって審査員一同は,鄭会勲が博士(農 学)の学位を受けるのに十分な資格を有するものと認めた。

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