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博 士 ( 理 学 ) 福 水 正 則

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 福 水 正 則

     学 位 論 文 題 名

    Soft Mode and Relaxational Behavior in Two 一 Dimens10nalFerroeleCtriCBi ― LayeredPerOVSkiteS      ( 2 次 元 性 層 状 ベ ロ フ ス カ イ ト 強 誘 電 体 に お け る      ソ フ ト モ ー ド と 緩 和 的 挙 動 に 関 す る 研 究 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  

ピス マス層 状ベ口 フスカ イトは、

Aurivillius

に よって 研究され た一連 の化合 物で、一般式は

(Bizoz)z+ (Am‑iB

ユ03m+l)2‐と表わされ、多くの物質で強誘電性を示すことが知られている。これら の 物 質群 が 最 近 注目 を 集 め てい る の は 、強誘 電体メ モリ(FeRAM)や圧電 センサ ーなどの デバイ ス に 適し て い るた めであ る。物 理的に見 ると、 その強 誘電性 は他の 典型的 な強誘 電体と 大きく 異 な って い る 。こ の物質 群は、 強誘電性 の主因 と考え られる ぺロフ スカイ トユニ ットを ピスマ ス 半 導体 層 が 挾ん だ構造 で、こ れは、デ バイス 中で電 極に挟 まれた べ口フ スカイ ト薄膜 と同様 で あ る。 ピ ス マス 層状ベ 口フス カイ卜自 体はパ ルク結 晶であ るが、 強誘電 性の超 薄膜モ デルと 考えられる。

  

ピ ス マ ス 層 状 ベ 口 フ ス カ イ ト の 中 で も 特 に 研 究 が 進 め ら れ て い る の が 、 積 層 数

m=2

SrBizTaz09

で ある。

SrBizTaz09

の特 徴は抗 電場が 小さい こと(35kV/cm2)、また 分極疲 労が極 め て小 さく良 質の薄膜 を作製 しやす いなど 応用面 で優れ た物質 である。SrBi2Ta209は、強誘電相転 移

(Tc=608K)

に 加 え て 、 高 温 側に も う ー つの 相 転 移

(T*=850K)

を 示 し 中間 相 の 存 在が 報 告 さ れ て いる 。 代 表的 なべロ フスカ イト強誘 電体に 比ベSrBizTaz09は、特 徴的な 誘電挙 動を示 す。

SrBi2Ta209

BaTi03

の誘電特性を比較すると、BaTi03はCurie−Weiss則に従い転移点で鋭いピーク を示 す。そ してその 値は104にも及 び変移型 強誘電 体の特 徴を示 す。一 方、SrBiZTa209は変移型 強誘 電体を 示唆する ソフト モード が観測 される にもか かわら ず、転 移点でも 誘電率 が300程度と

2

桁 小 さ い。 し かし 自発分 極は14肛

C/cmz

と比較 的大き く一般 的な変 移型強 誘電体 と同程 度であ る。 さらに 興味ある 特徴と しては 誘電異 常の温 度に対 する半 値幅が数百度にも及びCurie−Weiss 則 に は従 わ な いプ 口ード な異常 を示す。 また分 極方向 につい ても、

BaTi03

はtetragonal軸方向 であ るのに 対し、SrBi2Ta209はTa06が

c

軸方向 に歪ん でいる にも関わらず、層内のa軸方向を向い てい る。こ のような 特徴は 、SrBizTazOgの 低次元 的な結 晶構造が大きく関係していると予想され る が 、充 分 な 研究 が行わ れてお らず、特 徴的な 誘電異 常のメ カニズ ムにつ いても 説明さ れてい な い 。こ の 新 奇 な誘 電 異 常 の主 因 は 、 ペロフ スカイ トユニ ットの

2

次元性 が関与 してい ると考 え ら れる 。 そ こ で本 研 究 で は2次元 性 か ら3次元 性への ク口ス オーバ ーが予 想され る積層 数m=5 の強 誘電性 ピスマス 層状ペ ロフス カイト

Sr2Bi4Ti5018

にお いて光散乱実験と誘電測定を行い、従 来報 告され ている積 総数m 2の強誘 電性ピ スマス 層状ベ ロフスカイトSrBizTaz09と比較すること によ り低次 元性強誘 電体が 示す強 誘電性 相転移 の誘電 異常と 相転移ダイナミクスについて調ベ、

2

次元性強誘電体におけるソフトモードの振舞を明らかにする。

  

本研 究では 先ず強 誘電性 ピスマス 層状ベ 口フス カイト

SrZBi4Ti50rS

のセラミックス試料を固相 反 応 法に よ り 作製 した。 作製し た試料は

X

線回折 実験に より格 子定数 を測定 し、格 子定数 がa,

b=5. 465A

c=48. 81A

と な り 、

Ismunandar

ら の 報 告 と 一 致 して い る こ とを 確 認 し た。

LCR

ヌ ー 夕

(HP4284A

) を 用 い

SrZBi4Ti5018

セ ラ ミ ッ ク ス 試 料 の 誘 電 率 の 温 度 依 存性 を

lOOkHz

で 室 温 か ら

850K

の 温 度 領 域 で 測定 し た 。 誘電 率 の 温 度依 存 性 は これ ま で に 報告 さ れ て いる

TL=558K

の 異常に加 えて、 さらに 従来報 告され ていな いTH=730Kの誘電異常が新しく観測された。

ー1151 ‑

(2)

そ こ で 光 散 乱 実 験 で は 本 研 究 で 発 見 さ れ た

TH

− ー

730K

の異 常 とTL=558Kの異 常 に 注 目 し、 高 振 動 数 の ラ マ ン ス ベ ク ト ル 領 域 か ら 低 振 動 数 の ブ リ ル ア ン ス ベ ク ト ル 領 域 ま で サ ン ダ ー コ ッ ク 型 夕 ン デ ム 式 フ ん ブ リ ・ ベ 口 ー 分 光 器 と ダ プ ル モ ノ ク 口 メ ー 夕

(Ul000)

を 駆 使 し て 高 分 解 か つ 広 帯 域 で 光散 乱スペ クトル を測定 した 。

  

室 温 で 観 測 さ れ た

SrZBi4Ti5018

セ ラ ミ ッ ク ス 試 料 の 光散 乱 ス ベ ク トル は6つ の モー ド か ら 成 り 、 そ の 中 で

2

つ の モ ー ド に つ い て 相 転 移 に 特 徴 的 な 振 舞 が 観 測 さ れ た 。 一 っ は ゼ 口 振 動 数 に ピ ー ク を 持 っ セ ン ト ラ ル ピ ー ク で あ り 、 他 方 は 温 度 上 昇 と と も に ソ フ ト 化 を 示 す ソ フ ト モ ー ド で あ る 。 先 ず 、 セ ン ト ラ ル ピ ー ク は

TL

ー ―

558K

で 強 度 の 著 しい 増 大 と と もに 臨 界 的 な

narrowing

を 示 し 揺 ら ぎ の 相 関 長 が 転 移 点

TL

で 発 散 的 に 増 大 す る こ と を 示 し て お り 、TL=558Kの 相 転 移 が 秩 序 ・ 無 秩 序 的 な 相 転 移 に 起 因 す る こ と を 示 唆 し て い る 。 次 に ソ フ ト モ ー ド は

TL

以 上 の 温 度 領 域 に お し ゝ て 減 衰 振 動 モ ー ド か ら 過 減 衰 振 動 モ ー ド ヘ と 連 続 的 に 移 行 す る 。 そ し て さ ら に 温 度 を 上昇 す る と 、 こ の ソ フ ト モ ー ド は 高 温 側 の

TH=730K

に 向 か っ て

Curie

Weiss

的 に ソ フ ト 化 を 示 す 。 ま た ソ フ ト モ 了 ド の 寿 命 を 示 す ソ フ ト モ ー ド ス ベ ク ト ル の 幅 「 は 、 一 般 的 な ソ フ ト モ ー ド で 経 験 則 と し て成 り 立 つ

Universal  Scaling LawF

(0)/r(

T

) =((Tc―

T

)/Tc)0,

5

に 従い転 移点THに 向か って 臨界 的な発 散傾向 を示す こと が明ら かとな った。

  

こ の よ う に 積 層 数 が

m=5

の 強 誘 電 性 ピ ス マ ス 層 状 ベ ロ フ ス カ イ ト

Sr2Bi4Ti5018

は ソ フ ト モ ー ド に 関 し て

2

次 元 的 な 振 舞 よ り

3

次 元 的 結 晶 に 特 徴 的 な

Curie

Weiss

的 挙 動 を 示 す 。 こ こ で

Lyddane

−SachsーTelle,rの 関係式

(LST

の関係式)りL02ノのT02二ニE(0)/E(oo)からSrZBi4Ti5018のソフ ト モ ー ド の 振 舞 を 考 察 す る 。 誘 電 率

E

0

) の 温 度 依 存 性 がCurie一

Weiss

則 か ら 大 き く外 れ て い る こ と か ら 、 ソ フ ト モ ー ド 振 動 数 の 温 度 依 存 性 も

Curie

Weiss

則 か ら 外 れ る と 予 想 さ れ る。 し か し 実 験 結 果 は

Curie

Weiss

則 に 従 っ て お り 誘 電 率 の 温 度 依 存 性 の 起 源 は ソ フ ト モ ー ド の 振 舞 で は 説 明 で き な い こ と を 示 し て い る 。 こ こ で

TL=558K

以 上 の ス ベ ク ト ル を 詳 細 に 見 る と ス ペ ク ト ル は 非 常 に 複 雑 に な っ て お り 、 独 立 し た 各 々 の モ ー ド の 和 と し て 感 受 率 を 仮 定 し 、 ス ペ ク ト ル 解 析 す る と 実 験 結 果 を 再 現 で き な い 温 度 領 域 が 現 れ る 。 こ の 結 果 は モ ー ド 間 の 結 合 、 特 に 緩 和 モ ー ド と ソ フ ト モ ー ド の 間 に 結 合 が 存 在す る こ と を 示唆 . し て お り、

SrZBi4Ti5018

で 観 測さ れ た 誘 電 異 常 は モ ー ド 問 の 結 合 に よ り 揺 ら ぎ が 抑 制 さ れ 散 漫 的 な 誘 電 異 常 を 示 し た と 考 え ら れ る 。

  

最 後 に 積 層 数がnrニ

5

のSrZBi4Ti5018と 積 層 数が 〓 ―

2

SrBi2Ta209

にお け る ソ フ トモー ドの振 舞に つ い て 比 較 す る と 、 よ り

2

次 元 性 が 顕 著 な 積 層 数

m

二 ニ

2

SrBizTaz09

に おい て ソ フ ト モー ド の 減 衰 が 相 転 移 点 に 向 か っ て 著 し く な り

Universal Scaling Law

か ら 外 れ る こ と を 明 ら か に し た 。 こ の 結果 は2次 元的 効果が ソフト モード の寿 命に現 れるこ とを示 してい る。

  

本 研 究 に よ り

2

次 元 的 構 造 を 持 つ 強 誘 電 性 ピ ス マ ス 層 状 ペ ロフ ス カ イ ト

Sr2Bi4Ti5018

に お い て 、

3

次 元 結 晶 と 同 様 のCurie―

Weiss

的 振 舞 を 示 す ソ フ ト モ ー ド の 存 在 を 明 ら か に し た 。 ま た ピ ス マ ス 層 状 ペ ロ フ ス カ イ ト に 特 有 な 緩 和 モ ー ド の 存 在 を 明 ら か に し た 。 こ の 緩 和 モ ー ド は

SrZBi4Ti5018

に お い て ソ フ ト モー ド と 結 合 し、 散 漫 な 誘 電異 常 の 起 源 に なっ て い る と 考え ら れ る 。 ま た 誘 電 測 定 に よ り こ れ ま で 報 告 の な い 構 造 相 転 移 の 存 在 を 明 ら か に し 、 ピ ス マ ス 層 状 ベ ロ フ スカ イト物 質群に 共通し て中 間相が 存在す ること を明ら かに した。

(3)

学 位論文審査の要旨

主 査

  

教 授

  

小 野 寺

  

彰 副 査

  

教 授

  

伊 土 政 幸 副 査

  

講 師

  

武 貞 正 樹

     学位論文題名

    Soft IvIode and Relaxational Behavlorin Two ―Dimensional Ferroelectric Bi ―Layered Perovskites      ( 2 次 元 性 層 状 ベ ロ フ ス カイ ト 強 誘電 体 に おけ る      ソ フ ト モ ー ド と 緩 和 的 挙 動 に 関 す る 研 究 )

  近 年 、 強 誘 電 体 は 機 能 性 デ7ヾ イ ス の 目 覚 し い 進 歩 に よ る 高 機 能 高 密 度 化 に 伴 い 、 強 誘 電 体 薄 膜 に 関 す る 基 盤 研 究 が 強 く 要 請 さ れ て い る 。 こ れ ま で 強 誘 電 体 薄 膜 の 物 性 に つゝ て は 、 基 礎 物 理 学 的 に 理 論 ・ 実 験 の 両 側 面 か ら 広 く 研 究 さ れ て き た が 、 実 際 の 応 用 に 重 要 と な る 強 誘 電 特 性 の サ イ ズ 効 果 な ど 基 本 物 性 に 関 し て ま だ 十 分 な 解 明 に は 至 っ て い な い 。 そ の 理 由 と し て は 、 従 来 の 強 誘 電 体 薄 膜 に 関 す る 実 験 的 研 究 で は 結 晶 基 板 上 に 作 製 さ れ た 薄 膜 試 料 が 用 い ら れ て お り 、 薄 膜 試 料 が 基 板 か ら 複 雑 な 相 互 作 用 を 強 く 受 け る た め 基 礎 物 理 学 的 視 点 か ら 強 誘 電 体 薄 膜 の 物 性 を 議 論 す る こ と が 困 難 な 点 に あ る 。 こ の 様 な 状 況 の 中 、 最 近 超 薄 膜 モ デ ル 物 質 と し て ヒ ゛ ス マ ス 層 状 ヘ゜ ロ フ ス カ イ ト (旦ismuth LayerederovskitesBLP)が 注 目 さ れて い る 。BLPは 強 誘 電性の 主因 となる ペロ フ ス カ イI層 をBi202半 導 体 層 が 挾 ん だ 構 造 と な り 、 こ れは デ パ イ ス 中 で 電極 に 挟 ま れ た ペ ロ フス カ イ ト 薄 膜 と 同 様 の 構 造 を 形 成 し て い る 。 こ の 様 な 構 造 を 持 つBLPは 、 薄 膜 試 料 を 基 板 成 長 さ せ た 際 に 薄 膜 と 基 板 の 間 に 発 生 す る 格 子 不 整 合 が な く 、 さ ら に へ ° ロ フ ス カ イI層 の 層 数 ( 薄 膜 サイ ス ゛ ) を 原 料 の 化 学 量 論 比 の 調 整 に よ り A精 度 で 自 由 に 制 御 で き る と い う 利 点 が あ る 。 そ の た めBLP自 身 は ハ ゛ ル ク 結 晶 で あ る に も か か わ ら ず 、 強 誘 電 体 の 超 薄 膜 の 物 性 を 研 究 す る 理 想 的 な 舞 台 と 考 え ら れ る 。 実 際 、BLP3次 元 的 な 結 晶 構 造 を も つ 代 表 的 な 強 誘 電 性 ヘ ゜ ロ フ ス カ イ ト ・BaTi03と 比 べ て 、 薄 膜 に 特 徴 的 な 誘 電 挙 動 を 示 す 。 例 え ばBaTi03で は 、 誘 電 率 の 温 度 依 存 性 が CurieWeiss的 な 振 舞 を 示 す こ と に 対 し て 、BLPで は 非CurieWeiss的 な ァ ロ ー ド な 誘 電 異 常 を 示 す 。 こ の 特 徴 は BaTi03 の 薄 膜 試 料 の 誘 電 挙 動 と 同 様 の 傾 向 で あ る 。 こ の 様 にBLPは 超 薄 膜 モ デ ル と し て 興 味 あ る 系 で あ る が 、 そ の 基 本 物 性 に 関 し て 超 薄 膜 の 視 点 は も と よ り 十 分 な 解 明 は さ れ て お ら ず 、 未 解 決 の 研 究 課 題 と な っ て い る 。BLPの 系 統 的 な 強 誘 電 性 発 現 機 構 の 解 明 は 、 こ れ ま で 研 究 の 糸 口 が 見 つ か ら な か っ た 強 誘 電 体 薄 膜 に お け る サ イ ス ゛ 効 果 等 の 基 本 物 性 の 解 明 や 、 強 誘 電 体 薄 膜 に お け る 普 遍 的 な 強 誘 電 性 相 転 移 機 構 の 解 明 を も た ら す 可 能 性 が あ り 、 今 後 の 展 開 が 待 た れ て い る 。   本 論 文 で はBLPに お け る 強 誘 電 性 相 転 移 の 相 転 移 タ ゛ イ ナ ミ ク ス に 反 映 す る 強 誘 電 体 薄 膜 の サ イ ス ゛ 効 果 を 明 ら か に し 、 強 誘 電 体 薄 膜 の 基 本 物 性 に つ い て 重 要 な 知 見 を 得 る こ と を 目 的 と し て い る 。 こ こ で は 特 に2次 元 性 か ら3次 元 性 へ の ク ロ ス オ ーJrー が 予 想 さ れ る 積 層 数m5BLPに 注 目 し 、 広 帯 域 高 分 解 能 干 渉 分 光 器 と タ ゛ フ ゛J妊 ノ ク ロ メ ー タ を 組 み 合 わ せ た 低振 動 光 散 乱 分 光 実験 と 誘 電 測 定 が 行 わ れ、 こ れ ま で に 報 告例 の な い10 cm.l以下の フオ ノ冫タ ゛イ ナミク スが 明らか にさ れた。 試料 はベロ フス カイI層 と し てSrTi03CaTi03PbTi03BaTi03を そ れ ぞ れ5層 挟 ん だSr2BhTi5018Ca2BhTi5018Pb2Bi4Ti5018 Ba2Bi4Ti5018セ ラ ミ ッ ク ス 試 料の4種類 が 固 相 反 応 法 で 作製 さ れ 、 ッ7ト モ ー ド がSr2Bi4Ti5018Ca2Bi4Ti5018 に 存 在 す る こ と が 明 ら か に さ れ て い る 。 本 論 文 で は 特 に 良 質 な 試 料 を 得 る こ と に 成 功 し た

1153 ‑

(4)

Sr2Bi4Ti5018セ ラミ ッ クス 試 料に つ いて 、室 温 から1000Kの温 度 領域 でフ オ´冫 タ゛イナミク スと誘電挙動 の詳細が 調 べ ら れ た 。 そ の 結 果 、 先 ず 誘 電 率 の 温 度 依 存 性 は こ れ ま で に 報 告 さ れ て い る TL=558Kの 相 転 移 異 常 に 加 え て 、 さ ら に 従 来 報 告 さ れ て い な い 誘 電 異 常 を 温 度 TFr730Kで 新 し く 発 見 し 、 上 記 4つ の 物 質 で 共 通 し て 中 間 相 が 存 在 す る こ と を 明 ら か に し て い る 。 ま た 誘 電 率 の 温 度 依 存 性 が 非Curie−Weiss的 な 振 舞 を 示 す に も か か わ ら ず 、 リ フIモ ー ト ゛ は 約400Kに 渡 る 広 い 温 度 領 域 で 温 度 THに 向 か っ て 相 転 移 点 近 傍 ま でCurie−Weiss則 と ス ケ ー リ ン ゲ 則 に 従 う こ と を 実 験 的 に 明 ら か に し た 。 こ の 様 に Sr2814Ti5018の ッ フ ト モ ー ド は2次 元 的 な 振 舞 を 示 さ ず 、3次 元 的 結 晶 に 特 徴 的 な CurieーWeiss則 に 従 う 。Lyddane―SachsーTellerの 関 係 式 か ら ッ フ ト モ ー ド の 振 舞 を 考 察 す る と 、 誘 電 率Eの 温 度 依 存 性 がCurieーWeiss則 か ら 大 き く 外 れ る こ と か ら 、 ッ フIモ ー ド 振 動 数 の 温 度 依 存 性 も CurieーWeiss則 か ら 外 れ る と 予 想 さ れ る 。 し か し 実 験 結 果 はCurie−Weiss則 に 従 っ て お り 誘 電 率 の 温 度 依 存 性 の 起 源 は 従 来 の ッ フ Iモ ー ト ゛ 概 念 で は 説 明 で き な い2次 元 的 な 強 誘 電 体 の 特 徴 が 現 れ た も の と 考 え ら れ る 。 さ ら に ッ フIモ ー ド に 加 え て 温 度TLで 異 常 を 示 す2種 類 の セ ンIラ ル ヒ ° ー ク が 発 見 さ れ 、 そ の う ち 低 エ ネ 肘 ゛ ー 側 で 直 接 相 転 移 の 秩 序 変 数 と 関 係 す る 緩 和 モ ー ト ゛ の 緩 和 周 波 数 が 臨 界 挙 動 を 示 さ ず 相 転 移 点 で 有 限 の 値 に 留 ま る 。 こ の 結 果 は 強 誘 電 性 の 長 距 離 相 互 作 用 が2次 元 構 造 に よ り 抑 制 さ れ 、 相 転 移 に 伴 う 揺 ら ぎ の 相 関 長 が 発 散 で き な い こ と に 起 因 す る と 考 え ら れ る 。 ま た こ こ で は2つ の 緩 和 モ ー ト ゛ が 観 測 さ れ て い る が こ れ は2次 元 的 な 強 誘 電 体 に 内 在 す る 動 的 階 層 構 造 に 起 因 す る も の と 考 え ら れ 、 薄 膜 化 に よ り 誘 起 さ れ た 新 た な 緩 和 モ ー ド の 特 徴 を 示 し て い る 。 本 結 果 に よ り 薄 膜 強 誘 電 体 に 特 徴 的 な 誘 電 挙 動 は 、 相 転 移 に 伴 う 揺 ら ぎ が 2次 元 構 造 で 抑 制 さ れ る こ と に 基 づ く と 結 論 さ れ た 。 さ ら に へ ° ロ フ ス カ イ ト 層 が5層 ( 膜 厚20A)の 超 薄 膜 で も 強 誘 電 性 や り フ 1モ ー ド が 観 測 さ れ た こ と か ら 、 強 誘 電 体 の 臨 界 膜 厚 は 存 在 し な い と 結 論 さ れ た 。   本 論 文 は 強 誘 電 体 薄 膜 に 関 す る 相 転 移 タ ゛ イ ナ ミ ク ス に つ し ゝ て 新 し い 知 見 を 得 た も の で あ り 、 誘 電 体 物 理 学 に 対 し て 貢 献 す る と こ ろ 大 な る も の が あ る 。 よ っ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 理 学 ) の 学 位 を授 与 され る資 格 ある も のと 認 める 。

‑ 1154 ‑

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