• 検索結果がありません。

博 士 ( 医 学 ) 福 家

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 医 学 ) 福 家"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 医 学 ) 福 家    聡

     学位論文題名

    ChemokineslnBronChiolarEpitheliuminthe DeVelopmentofChroniCObStruCtiVePulmonaryDiSeaSe      (慢性閉塞性肺疾患の発症機序における末梢気道上皮での      炎症性ケモカインの発現)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

【 背景 】 慢 性 閉塞 性 肺 疾 患(chmnicobstmdivepulmonarydse鄒e;COPD) は中高 年の喫 煙者に 発症す る進行 性、不 可逆的 疾患で ある。 その病 態におぃ て、末 梢気道 への炎 症細胞 浸潤が 重要 な 役割 を 果 た すと 考 え ら れて い る 。 われ わ れ の気管 支肺胞 洗浄液 を用い た一連 の研究 から、

COPDの発症には、好中球の活性化が関与し、C‐X‐Cケモカインのひとつである血terleuHn‐8(n′8冫 の多寡 がその ひとつ の要因 である ことが 示唆さ れてきた 。しか し肺内 の凡18の 産生細 胞は多種 に わた り 、COPDの 病 態と 関 連 し た凡18の産 生 亢進 がどの 細胞由 来であ るのか は必ず しも明ら かではない。近年開発された1盤crcaptu駕mi伽匝ss鰍ion(L,CM)法は組織標本から顕微鏡下に任 意 の 細 胞 を 採 取 し 、 細 胞 特 異 的 な 遺 伝 子 発 現 の 定 量 的 解 析 を 可 能 に す る も の で あ る 。

【目的】末梢気道上皮およぴ肺内マクロフアージにおけるIし8、macmPha伊innammatorypr.0teふ‐l dphaQ沍IP−1alph冫丶mononoヴtechemoattract卸tpmtein‐1(MCP‐1)の3種類の炎症性ケモカイン遺 伝子発現と慢性喫煙、COPD発症との関連を明らかにする。

【方法 】対象 は肺癌 の治療 目的に て、肺 葉切除術を施行された患者30名。術前に喫煙歴の聴取、

高 分 解 能CT、呼 吸 機 能 検査 を 施 行 し、 非 喫 煙 者10名 、COPDを合 併 し て いな い 喫 煙 者10名 、 COPD合 併 喫煙 者10名 の3群 に 分 類 した 。 摘 出 肺の 非 腫 瘍 部分 の 一 部 を凍 結保 存した 。組織標 本を薄 切し、 末梢気 道上皮 細胞に ついて は、ヘ マトキシ リン染 色を施 行した 後、1£Mを用いて 1症例あ たり40,000発の レーザ ー発射 にて選択 的に採 取した 。肺マ クロフ アージ は抗ヒ トCD68 抗体を 用いて 免疫染 色した 後、1症 例あた り30,000発 のレー ザ一発 射にて 選択的 に採取 した。

また、 全肺組 織とし て薄切 した組 織切片 を用いた。その後、n′8、MIP・1mpha、MCP,1の遺伝子 発現を 定量的RT−PCR法 にて測 定した。 各遺伝 子発現 は内因 性コン トロールの発現で補正した。

さらに 、末梢 気道上 皮細胞 におけ る96種類 の炎症 性ケモ カイン およびそ れらの レセプ ターの遺 伝子発現をcDNAアレイを用いて網羅的に解析した。

  【結 果】LCMで 採取し た末梢 気道上皮 におけ るn′8の 発現は 、COPD合併喫煙者群において、非 喫煙者 群と比 較して1.9倍、COPDを合 併してい ない喫 煙者群 と比較 して2.4倍にそ れそれ 有意 に 上昇 し て い た。 さ ら に、Mロ −1alphaの発 現はCOPD合併喫 煙者群で は、COPDを合併 してい な い喫煙 者群と 比較し て2.2倍 に有意 に上昇 してい た。MCP‐1の発現 は、IL广8と同様に、COPD合 併喫煙 者群に おいて 、非喫 煙者群 ヒ比較 して1.7倍、COPDを 合併し ていな い喫煙 者群と 比較し て3倍に それそ れ有意 に上昇 してい た。ま た、末 梢気道 上皮にお ける凡 ・8の発 現とMCP‐1の発 現は有 意に相 関して いた。 しかし 、これ らの遺 伝子発現 と一秒 率、肺 拡散能 、CT上気 腫性変化 の程度 との関 係はな く、喫 煙歴や 禁煙期 間とも 関連はな かった 。肺マ クロフ アージ におい ては 各群間でH々、MIP.1甜pha、MCP.1の発現に有意差は認めなかった。全肺組織においては、MrP‐1 甜phaの 発 現 の みが 、COPD合 併喫煙者 群にお いて、COPDを合 併してい ない喫 煙者群 、非喫 煙者 群と比 較し、 それそ れ有意 に上昇 してい た。末 梢気道上 皮を用 いたcDNAアレイ の検討に より、

‑ 432 ‑

(2)

ILー8の発 現はRT‑PCR法の 結果と同一である ことを確認し、さらに、C‑C chemokine receptor2 (CCR2)の 発 現 がCOPD合 併 喫 煙 者 群 で他 群よ り有 意に 亢 進し てい るこ と を新 たに 発見 した 。 MIP‑1 alpha、MCP‑1の発現はアレイの 検出感度以下であった。

【 考察 】末 梢 気道 上皮 は喫 煙等の外来吸入物 質の主たる標的細胞であり 、肺の防御機構に重要 な 役割 を果 た して いる 。気 道上皮細胞は慢性 喫煙により形態的および機 能的に変化し、末梢気 道 領域 にお け る炎 症は ほと んどの喫煙者に認 められる病理学的所見であ る。末梢気道における 炎 症の 程度 と 肺胞 破壊 の程 度が相関するとい う報告や、気道炎症が肺胞 破壊に先行するという 報 告が ある 。 これ らの 知見 より、肺気腫をは じめとするCOPDの発症初期 においては、末梢気道 上皮にお ける病態が関与していると考 えられる。

  COPD合併 喫 煙者 群の 末梢 気道 上 皮で のIL‑8、MIP‑1 alpha丶MCP‑1の 発現 は、COPDを合併し ていナょ い喫煙者群に比ペ有意に亢進 していた。末梢気道上皮に おける炎症性ケモカインの発現 亢 進は 、喫 煙 によ る影 響で はなく、閉塞性換 気障害もしくは気腫性変化 の病態に関係している と考えら れる。De Boerらはin situ hybridizationや免疫染色を用いて、COPD患者の末梢気道上皮 におけるII一名産生亢進を報告したが 、われわれは、この知見を より定量的手法を用いて支持す る もの であ る 。ま た、 肺内 でのもうひとつの 有カな炎症性ケモカインの 産生細胞として肺マク ロ ファ ージ に 注目 し、 同組 織か らLCM法 に て肺 マク ロファージを採取し 、各群間で比較検討し た 。各 ケモ カ イン 発現 には3群 間で 有意 差 は認 めな かったが、喫煙によ り肺内マクロファージ 数 は増 加す る こと から 、病 態へ の 関与 は否 定で き ない。LCM法は特定の 細胞集団を選択的に採 取 し、RT‑PCR法と 組み 合わ せることで、注目 する遺伝子の発現を定量的 に解析することが可能 で ある 。さ ら にcDNAア レイ に応用することで 、不特定多数の遺伝子を網 羅的に解析できること を 示し た。 末 梢気 道上 皮細 胞は、長期の喫煙 曝露により形態的には様々 な変化をきたす。これ ら の細 胞の 機 能が どの よう に変化し、COPD発 症に至るのかについて、今 後さらに分子生物学的 に研究を 進める必要がある。

  今回 の検 討 では 、肺 にお ける炎症性ケモカ インの発現は末梢気道上皮 や肺マクロファージな ど 個々 の細 胞 群に よっ て一 様ではないこと、 慢性喫煙暴露のみでは、末 梢気道上皮や肺マクロ ファージ での炎症性ケモカイン発現は 亢進しないこと、COPD合併 喫煙者群の末梢気道上皮では、

炎 症性 ケモ カ イン 発現 亢進 が認められ、一部 の患者では禁煙後も持続し ていることが明らかに された。

【 結語 】COPD台併 喫煙 者に おぃては、末梢気 道上皮において、炎症性ケ モカインであるIL‑8, MIP‑1 alpha,MCP‑1の発現が亢進して いる。

433 ‑

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨

     学位論文題名

    ChemokineslnBronChiolarEpitheliuminthe DeVelopmentofChroniC0bStruCtiVePulmonaryDiSeaSe      (慢性閉塞性肺疾患の発症機序における末梢気道上皮での      炎症性ケモカインの発現)

   慢 性閉塞性 肺疾患 (chronic obstructive pulmonary disease;COPD) は中高年の 喫 煙 者 に発 症 する 進行性 、不可逆 的疾患で ある。そ の病態にお いて、末 梢気道 へ の 炎 症細 胞 浸潤 が重要 な役割を 果たすと 考えられ ている。 COPD の 発症には 、 好中球の活性化が関与し、 interleukin‑8 (II.8) の多寡がそのひとつの要因である こ と が 示唆 さ れて き た 。し か し肺 内 の IL‑8 の産 生 細胞 は 多 種に わ た り、 COPD の 病 態 と関 連 した IL‑8 の産生 亢進がど の細胞由 来である のかは必ず しも明ら か で はない。 Laser capture microdissection (LCM) 法は組織標本から顕微鏡下に細 胞 を 採 取し 、 細胞 特異的 な遺伝子 発現の定 量的解析 を可能にし た。そこ で、末 梢 気道上皮 および肺 内マク口 ファージに おける IL‑8 、 macrophage inflammatory protein‑l alpha (MIP‑la) 、mononocyte chemoattractant protein‑l (MCP‑1) の3 種類の 炎 症 性 ケモ カ イン 遺伝子 発現と慢 性喫煙、 COPD 発症との 関連を明ら かにする こ と を 目 的と し た。 対象は 肺癌の治 療目的に て、肺葉 切除術を施 行された 患者。

術 前 に 喫煙 歴 の聴 取 、 高分 解 能 CT 、 呼吸 機 能 検査 を 施行 し 、 非喫 煙 者10 名 、 COPD を 合 併 し て い な い 喫 煙 者 10 名 、 COPD 合 併 喫 煙者 10 名 の 3 群 に 分類 し た。

摘 出 肺 の非 腫 瘍部 分の一 部を凍結 保存した 。組織標 本を薄切し 、末梢気 道上皮 細 胞 に つい て は、 LCM を 用い て 1 症 例あ た り 40 , 000 発のレー ザー発射に て選択 的 に 採 取し た 。肺 マク口 ファージ は抗ヒト CD68 抗体を用 いて免疫染 色した後 、 1 症例 あ た り30 っ OOO 発 のレーザ ー発射に て選択的 に採取し た。また、 全肺組織 と し て 薄切 し た組 織 切 片を 用 いた 。 そ の後 、 IL‑8 、 MIP‑la 、 MCP‑1 の遺伝子発 現 を 定 量 的 RT‑PCR 法 に て 測 定 し た 。 さ ら に 各 群 ご と に 末 梢 気 道上 皮 細胞 を LCM で 採 取 し 、 炎 症 性 ケ モ カ イ ン およ び そ れら の レセ プ タ ーの 遺 伝 子発 現 を cDNA アレイを用いて解析した。

  LCM で 採 取 し た 末 梢 気 道 上 皮 に お け る IL8 の 発 現 は 、 COPD 合 併 喫煙 者 群に

郎 哲

和  

  正

嶋 藤

長 近

西

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

おいて、非喫煙者群と比較して1.9 倍、 COPD を合併していない喫煙者群と比較 して214 倍にそれぞれ有意に上昇していた。さらに、MIP‑la の発現はCOPD 合 併喫煙者群では、COPD を合併していない喫煙者群と比較して2.2 倍に有意に上 昇していた。MCP‑1 の発現は、 IL8 と同様に、COPD 合併喫煙者群において、

非喫煙者群と比較して1.7 倍、 COPD を合併していない喫煙者群と比較して3 倍 にそれぞれ有意に上昇していた。肺マク口ファージにおいては各群間でIL‑8 、 MIP‑la 、MCP‑1 の発現に有意差は認めなかった。全肺組織においては、MIP‑la の発現のみが、 COPD 合併喫煙者群において、非喫煙者群やCOPD を合併して いない喫煙者群と比較し、それぞれ有意に上昇していた。 cDNA アレイを用い た末梢気道上皮の検討により、IL8 の発現亢進以外にC‑C chemokine receptor2 (CCR2) の発現がCOPD 合併喫煙者群で他群より有意に亢進していた。以上よ り、早期あるいは軽症COPD において、末梢気道上皮でのIL8 ,MIP‑la, MCP‑1 の発現亢進が認められた。

   審査にあたり、副査近藤教授より、1 )これまでにCOPD においてLCM を用 いた報告の有無、2 ) cDNA アレイを一例ずつに用いなかった理由、3 )喫煙だけ が COPD の発症要因ではないと考える根拠についての質問があり、副査西村教 授より1 )肺胞マク口ファージと問質マク口ファージの役割の違い、2 )全肺組 織の検討で MIP‑la の有意差を認める意義について、3 )COPD の病態におけるマ ク口ファージの役割についての質問があった。主査長嶋教授からは、1 )採取し た RNA の品 質に 関し ての確 認は行ったか、 2 ) cDNA アレイでMIP‑la 、MCP‑1 の発現を認めなかった理由、3 )肺気腫におけるこれまで明らかにされている遺 伝子多型について、 4 )夕バコ煙に含まれる直接の毒性因子、4 )このような検 討 を 欧 米 で は 行 っ て い な い か 否 か に つ い て の 質 問 が あ っ た 。    申請者はこれらの質問に対して、自験データと文献を引用して概ね適切な解 答を行った。この論文は、ヒトの細気管支上皮におけるケモカインの発現を定 量的に評価し、COPD の病態との関連を世界で初めて明らかにした研究として 高く評価され、今後 COPD の病態のさらなる解明にっながることが期待される。

   審査員一同は、大学院課程における研鑽や取得単位なども併せ申請者が博士

( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 充 分 な 資 格 を 有 す る と 判 定 し た 。

参照

関連したドキュメント

 実際の臨床において臓器移植と人工臓器による生体機能の代替については,両者間でそり利害得失が論議され

   様々な地域瑠個体醐の^仍について調査を実施し, 15 種の蠕虫を検出した。これら のう ち 13 種カ 漸宿主記録であった。今回検出した蠕虫では,

[r]

過去 の最高曝 露濃度が 50ppm に超えた群 の CCI 値は50ppm 以 下の群より有意に高か った

[r]

   以 上の結果から、 EIAV は、PND 領域の SU の挿入/反復変異に加えて、SU

[r]

genotypellI 型では、II 型よりRNA 陰性化率が高く、IFN に対する感受性が異なることが 示唆された。.    以上より、RT