• 検索結果がありません。

博 士 ( 歯 学 ) 橋 本 正 則

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 歯 学 ) 橋 本 正 則"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 歯 学 ) 橋 本 正 則

     学位論文題名

    In r)ivo Degradation of Resin‑Dentin Bonds      ●

    lnHumanSOVerlt03YearS

(ヒト口腔内で1 から3 年経過したレジン・象牙質接着構造の劣化)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

【研究目的】

  レジン ・象牙質 接着性 に対する 評価は 、試験片作製後24時間などin vitro短期間によるものが 多く、in yivo長期 接着性 について の報告 は数少な い。そ こで本研 究では、ヒト口腔内で長期経 過したレジン修復歯から、レジン・象牙質接着試験片を作製し、micro‑tensile testを行った。ま た破 断 面 をSEMで 観察 し 微 視的 様 相の経年 変化を 調べた。 さらに 、破断面 におけ る破断様 式の 面積率を計測し、接着強さとの関係を調べた。

【本研究の背景】

  近 年、 接着性レ ジンシ ステムの 象牙質に 対する 接着性能 は新型 機能性モ ノマー の開発に より 飛躍 的 に向上し た。レジ ン・象 牙質接着 性に対 する評価 は、そ のほとん どが試験 片作製 後24時 間な ど 短期間に 得られた 結果に ついて考 察され ている。 レジン ・象牙質 接着構造 内には 象牙質 を酸 処 理後、露 出したコ ラーゲ ン層にレ ジン成 分が充分 に浸透 せずに形 成された 残留脱 灰象牙 質層 の 存在が指 摘されて いる。 そしてこ の部分 が長期的 に加水 分解を受 けること により 接着強 さの低 下をもた らすと 言う仮説 から、い くっか の長期水 中浸漬 試験が行 われている。Gwinnetと Yu(1995)に よ り 、All‑bond2とAmalgambondの 接 着 強さ は6カ月 間 の 水中 浸 漬 に より 低 下 す るこ と が 報 告さ れ て いる 。 ま たBurrow et al.(1996)も3年間の 水中浸漬 試験か らPhoto Bond の接 着 強 さ が低 下 し たこ と を 報告 し て いる 。 佐 野ら (1999)が 行ったサ ルの口 腔内で1年間経 過し た レジン・ 象牙質接 着構造 の劣化に 関する 研究では 、接着 強さの低 下および 残留脱 灰象牙 質層 の 劣化様相 は見出さ れなか った。こ のよう に、レジ ン・象 牙質接着 構造の劣 化機序 は現段 階で は 明らかに されてい ない。 そこで申 請者ら は、レジ ン・象 牙質接着 構造にお ける劣 化機序 を解明することを目的として本研究を行った。

  【材料と方法】

齲蝕 治 療 の ため 北 海 道大 学 附 属病 院 小 児歯 科 専 門外 来 を 受診 した患児 を被験者 とした 。齲蝕 が象 牙 質に及ぷ 乳臼歯に 、浸潤 麻酔およ びラバ ーダム防 湿下で 窩洞形成 を施し( 齲蝕検 知液を もち い て 、 軟化 象 牙 質を 全 て 除去 ) 接 着性 レ ジ ンシ ス テ ム(Scotchbond Multi‑Purpose、3M Dental Products,St Paul,MN,USA)を用 いて、メーカーの指示通りに修復操作を行った。上記 修復 操 作 は 全て 同 一 術者 に よ って 行 わ れた 。1から3年 経過 後、 後継永久 歯萌出 のためレ ジン 修復 を 施した乳 臼歯を抜 去した 。齲蝕お よびマ ージン部 分の着 色が認め られない 修復歯 から、

被着面積が1. OITII11゜になるようにレジン・象牙質接着試験片(hourglass‑shape)を作製した。試

735

(2)

験片作製後、直ちにcross‑head speed: 1.0 mm/minでmicro‑tensile test (EZ Test,ShimadZuCO.,

Kyoto,Japan)を行った。

引張試験後、破断面の象牙質側を走査型電子顕微鏡(SEM/S・4000,HitachiLtd.,Tokyo,Japan) で観察した。

  ここ で、破断 様式を以 下に示 す4種 類に分 類した。 (I) コンポ ジットレ ジンお よびボン デイ ング 材 に おけ る 凝 集 破壊 、 ( 皿) 樹 脂 含浸 層 で の破 壊 、 (m) 残 留脱 灰 象 牙 質層 で の破壊、

(W)象牙質における凝集破壊

  この分 類をもと に、micro.tenSiletest終了後 、得ら れた全て の破断面象牙質側のSEM写真を 撮り 、 そ のSEM写 真上 か らimageanalyZer(KD4030B;Graphtec,Tokyo,Japan)を用 いて破 断 様式の 面積率 を測定し た。ま た、抜去 乳臼歯 にレジン 修復を施 し24時間 水中浸漬 後、同 様に試 験を行い、これをコントロール試料とした。

【結果と考察】

  接着 強さの結 果は、コ ントロ ール試料 (28.3土11.3MPa:nニ26)、口腔 内で1から2年経過 した試 料(15.2土4.4MPa:nニ11) および 口腔内で2から3年 経過した 試料(9.1土5.1MPa: n=11)の 各 群 に おい て 接 着強 さの低下 が統計 学的に認 められ た(one・wayANOVAandFisherIs PLSDtest:pく0.05)。

  長期口 腔内で経 過した 試料の破 断面観察 においては、コンポジットレジンとボンデイング材、

ボンデ イング 材と樹脂 含浸層 上層部、 残留脱 灰象牙質 層と象牙 質の異 なる層状 構造の 境界で破 壊 す る 傾 向 が 認 め ら れ た 。 こ の こ と か ら 、 破 断 面 上 に 膜 状 構 造 が 特 異 的 に 観 察 さ れた 。   破断面 上の残留 脱灰象 牙質層部 分におい て象牙細管側枝の開口部が観察される場合があった。

通常の せん断 およぴ引 張試験 後の破断 面にお いて象牙 細管側枝 の開口 部が観察 される ことはな い。 参 照 とし て 象 牙 質面 をScotchbondMuln・Purpose付 属の10%マ レイン 酸を用い て15秒間 処 理し、 有機質 除去のた め10分間10%次亜鉛 素酸ナ トリウム を適用 した面に おいて は、多数 の象 牙細管 側枝の 開口部が 観察さ れた。ま た、象 牙細管の 管周象牙 質は細 管側枝と 比較す ると、石 灰化に 富むと ぃうこと を勘案 すれば、 レジン ・象牙質 接着構造 内にお いて、コ ラーゲ ン線維が 加水分 解を受 けること によっ て細管側 枝の開 口部が開 拡し、観 察でき ると推測 される 。このこ と に よ ル レ ジ ン ・ 象牙 質 接 着構 造 内 での コ ラ ーゲ ン 線 維 の加 水 分 解の 事 実 が証 明 さ れた 。   また 、コンポ ジットレ ジンの 凝集破壊 部分で はフイラ ーとマ トリック ス間のギ ャップ 、フイ ラ ー の 脱 離 な ど が 観察 さ れ 、シ ラ ン カッ プ リ ング 材 の 加 水分 解 に よる 劣 化 が認 め ら れた 。   破面 解析の結 果におい ては、 長期口腔 内で経 過した試 料にお いて残留 脱灰象牙 質層の 破断面 上での 面積率 が増加し た。さ らにコン トロー ル試料と 長期口腔 内で経 過した試 料にお ける破断 様式の 面積率 を各接着 強さ別 群に分類 したグ ラフにお いて、コ ントロ ール試料 におい て、接着 強さが 増加す るにっれ 、レジ ンおよび 象牙質 における 凝集破壊 の面積 率が増加 し、樹 脂含浸層 での破 壊は減 少した。 このこ とから、 接着強 さの大き い試料に おいて は、機械 的強度 の高い象 牙質お よびレ ジンの破 断面上 での面積 率が増 加するこ とがわか り、破 断様式と 接着強 さの間に 相関性 が認めら れた。接 着強さ10.20MPa群におい て、コン トロー ル試料と長期口腔内で経過し た試料 を比較 すると、 長期口 腔内で経 過した 試料にお いてはレ ジンの 凝集破壊 の面積 率が高く なった 。これ は、接着 構造内 で劣化し た部分 の機械的 強度は低 下し、 破断面上 での面 積率が増 加するためと考えられる。

  ま た 接着 強 さ 長 期口 腔 内 で経過 した試料 の10MPa以下群に おいて 残留脱灰 象牙質 層の面積 率

736

(3)

が最大となることから、この部分の物性が低下していることは明らかであり、SEM観察で確認 さ れ た コ ラ ー ゲ ン 線 維 層 の 加 水 分 解 の 事 実 を さ ら に 裏 付 け る 結 果 と な っ た 。   このように、レジン・象牙質接着構造は口腔内で長期経過することにより劣化し、接着強さ の低下を引き起こしていることが示唆された。またレジン・象牙質接着耐久性向上のため、更 なる研究継続の必要性が認められた。

737

(4)

学位論文審 査の要旨

     学位論文題名

In ぴi7)o Degradation of Resin‑Dentin Bonds     in Humans Overlt03Years

( ヒト 口 腔内 で1か ら3年経 過 し たレ ジ ン ・象 牙 質接 着 構 造の 劣化)

  審査 は、主査 ・副査が それぞれ 個別に、口 頭試問に より行わ れた。提 出論文の 概要 の 説 明 を 求 め た 後 、 本 論 文 の 内 容 と そ の 関 連 事 項 に つ い て 試 問 し た 。   審査 論文の概 要は以下 のとおり である。

  レジン ・象牙質 接着性に 対する評 価は、試験 片作製後24時間などin vitro短期間に よ るも のが多く 、jn伽vo長期 接着性に ついての報 告は数少 ない。そ こで申請 者らは、

ヒ ト口 腔内で長 期経過し たレジン 修復歯から 、レジン ・象牙質 接着構造 における 微視 的様相の経年変化を調べた。

  齲蝕治 療のため 北海道大 学歯学部 附属病院咬 合系歯科 小児専門 外来を受 診した患 児 を 被験 者とした 。齲蝕が 象牙質に 及ぷ乳臼歯 に、浸潤 麻酔およ びラバー ダム防湿 下で 窩洞 形成を施 し、接着 性レジン システム(Scotchbond Multi‑ Purpose、3M)を用いて、

メ ーカ ーの指示 どおりに 修復操作 を行った。 上記修復 操作は全 て同一術 者によっ て行 わ れ た。1か ら3年 経過 後 、 後継 永 久歯 萌 出 のた め レ ジン 修 復を 施した乳 臼歯を抜 去 した。その修復歯から、被着面積が1.0 IIllIl2になるようにレジン・象牙質接着試験片を 作製 した。試験片作製後、直ちにcross・head speed:1.0 mm/minでmicro‑tensile test を 行っ た。引張 試験後、 破断面の 象牙質側を 走査型電 子顕微鏡 で観察し 、破断様 式を 以 下に 示す4種類 に分類し た。(I) コンポジッ トレジン およびボ ンデイン グ材にお け る凝 集破壊、 (u)樹脂 含浸層で の破壊、 (m)残留脱 灰象牙質層での破壊、(IV)象牙 質における凝集破壊。この分類をもとに、micro ‑ tensile  test終了後得られた全ての破 断 面 象牙 質 側 のSEM写 真を 撮 り 、そ のSEM写 真 上 からlmage analyzerを用い て破断様 式 の面 積率を測 定した。 また、抜 去乳臼歯に レジン修 復を施し24時間水中 浸漬後、 同

久 彦

春 英

口 野

小 佐

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

様に試験を行い、これをコントロール試料とした。

   接着強さの結果はコントロール試料( 28.3 土11.3MPa :n 二ニ26 )、口腔内で1 から2 年 経 過し た 試料 ( 15.2 土 4.4MPa : n‑ll )および 口腔内で2 から 3 年経過し た試料 (9.1 土 5.lMPa : n‑ll )の各群において接着強さの低下が統計学的に認められた。長 期口腔内で経過した試料の破断面観察においては、異なる層状構造の境界で破壊する 傾向が認められ、破断面上に膜状構造が特異的に観察された。破断面上の残留脱灰象 牙質層部分において象牙細管側枝の開口部が観察される場合があった。象牙細管の管 周象牙質は細管側枝と比較すると、石灰化に富むとぃうことを勘案すれば、レジン・

象牙質接着構造内において、コラーゲン線維が加水分解を受けることによって細管側 枝の開口部が開拡し、観察できると推測される。このことによルレジン・象牙質接着 構造内でのコラーゲン線維の加水分解の事実が証明された。また、コンポジットレジ ンの凝集破壊部分ではフイラーとマトリックス間のギャップ、フイラーの脱離などが 観察され、シランカップリング材の加水分解による劣化が認められた。破面解析の結 果においては、長期口腔内で経過した試料において残留脱灰象牙質層の破断面上での 面積率が増加した。また、接着強さの大きい試料においては、機械的強度の高い象牙 質およびレジンの破断面上での面積率が増加することがわかり、破断様式と接着強さ の間に相関性が認められた。接着強さ10 ―20MPa 群において、コントロール試料と長 期口腔内で経過した試料を比較すると、長期口腔内で経過した試料においてはレジン の凝集破壊の面積率が高くなった。これは、接着構造内で劣化した部分の機械的強度 は低下し、破断面上での面積率が増加するためと考えられる。また長期口腔内で経過 した試料の接着強さlOMPa 以下群において残留脱灰象牙質層の面積率が最大となるこ とから、この部分の物性が低下していることは明らかであり、SEM 観察で確認された コラーゲン線維層の加水分解の事実をさらに裏付ける結果となった。このように、レ ジン・象牙質接着構造は口腔内で長期経過することにより劣化し、接着強さの低下を 引き起こしていることが示唆された。

   論文の審査にあたっては、各審査委員と申請者の間で、本論文の内容とその関連事 項について質疑応答がなされた。これらに対して、申請者らは本研究結果と他の文献 を引用し適切な回答を行った。特に本研究は、交換期に脱落する乳臼歯を用いた点に おいて長期の接着耐久性を調べるスクリーニングテストとしては、世界で初めての手 法であり、今後、他研究機関においても同様な試験が行われると予想される。また、

破断面の各面積率をイメージアナライザーにより測定した研究報告は過去にみられず、

その実験方法の有用性が明らかに認められた。以上のことから本論文が歯質接着の研

究領域に与える影響は極めて大きく、事実、世界の各研究機関から高く評価されてい

る。よって、学位申請者は博士(歯学)の学位授与にふさわしいものと認められた。

参照

関連したドキュメント

本論文では、唾液サンプル採取後に室温保存した際の経時的な菌叢変化をモニターすることで、口

大阪歯科大学口腔解剖学講座所蔵の上顎歯列弓 62 例ならびに下顎歯列弓 53

実験材料として市販の純チタン金属板を使用し,表面に TNS を析出させたものを実験群,#2000 ま で研磨したものを対照群として使用した.その後,各種試料を

携帯 型 筋電 計を 用い た大 規模 で, 長期 間に わた る本 研究結果より,RDC/TMD に含まれ ている間診のみではSB

市町 村の 3 歳児 う蝕 有病 者率 の平 均は 40.4 土14.2 %であった。経験的ベイズ推定値により、人口 の少 ない 地域 にお ける 変動 が 抑制 され 、39.8

大変形範囲を拡大し、さらに、破壊感受性が高い湿潤環境下の口腔内でより叢生

  IM 非投与群:比較的大型の破骨細胞が観察され,発達した ruffied ー border が認められ た.ruffled