• 検索結果がありません。

博 士 ( 理 学 ) 和 泉 光 則

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 理 学 ) 和 泉 光 則"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 理 学 ) 和 泉 光 則

学 位 論 文 題 名

フ ェ ニ ル ホ ス ホ 硫 酸 工 ス テ ル 金 属 錯 体 の 構 造 と 動 力 学 的 性 質

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

Jン 酸基 一 金属 イオ ン 相互作 用の無機化学・錯 体化学的研究は数 多く報告されている 。  特にATPとマグネシ ウム イオンとの相互作用 についてはその結 晶中および水溶液 中におけるキャラク タリゼーションが行われてきた。

ところ が溶液内の相互作用 を研究する際、溶 媒が水であると金 属イオンおよびりン 酸基に対する溶媒和が金属 イオン―リン酸錯 体の構造をより複雑 にする事が十分考 えられる。  酵素反応は基質であるllg―ATP錯体が溶媒の 水から隔離さ れた状態で起こる 事を考慮すると、リ ン酸基及び金属イ オンを非水溶媒中 で研究する事が必要とな る。  そこで本研 究ではりン酸―硫酸 結合を有するフェ ニルホスホ硫酸エ ステル(PPs)を対象とし、結晶.7Kを持 たな いマグネシウム塩 及びトリエチルアン モニウム塩の結晶解析および非水溶媒であるN,Nージメチルホルムアミ

(DHF)系溶媒 中におけるPPsとHg2十、Ca2゛またはZnz゛との錯体の構 造と錯形成・解離の動力学を31P170 NHR 測定 により明らかにし た。  またCd2+の 存在下におけるPPSのメタノ リシスの反応速度論 的研究も併せて行 った。

本 論文1ま、 全9章 から成る。  第1章は序論で あり、リン酸基→ マグネシウムイオン 錯体のキャラクタ リゼー シ ョン の重 要 性、 過去 の 研究 成果 について 述べ、非水溶媒中 でのフェニルホスホ 硫酸エステル(PPs)と2価金属 イオンからなる錯 体の構造と錯形成 ・解離の動力学に関 する研究の意義、 行われた研究の概要について述べた。

2章で はPPsの性 質、特にP0S結合の 加溶媒分解に関し て金属イオンの効果 、反応機構につい て述ベ、次 に 溶媒 の 誘電 率、 ドナー数、アク セプター数の概要の 説明の後、本研究 に用いられたDHF、水および メタノール の 溶媒 和 の性 質を 述 べた 。

3章 は研 究 対象 であ るPPsの 合成 法に つ いて 述べ 、 リン 酸基 に170を 導入 したPPsの合成および マグネシウ ム、カル シウムおよび亜鉛 の塩化物の脱水方法について述べた。

4章 ではPPS.マ グネシウム塩およ びトリエチルアン モニウム塩の結晶構 造をX線 回折により決定し、 マグネ シウ ム塩は結晶内で22錯体として存在 する事、ホスホ硫酸 鎖が eclipsed コンホメーションである事を、また ト リエ チルアンモニウム 塩では2つ の陽イオンがそれ ぞれりン酸基の非 架橋酸素と水素結合 をしており、硫酸 基

(2)

側とは相互作用をしていない事をそれぞれ見いだした。

  5章 はDHF、DIIF/水、DMF/ メタノ―ル、水お よびメタノール溶 媒中における錯形成 能と錯体の同定に 閲する 成果につい ての章である。8iP NHR測定 からDlIF中におい て4種類のllg/PPS錯体が存在する事を 章の最初に示し、

それらのピーク強度のR(〓[Hg]T/[PPS]↑)依存性および化学シフト値より、2種類のllg:PPs:1:1錯体、1種類の 2:1錯体をHg ゛をPPsの硫酸基に局在 しているもの、リ ン酸基に局在して いるものおよび2っのMg ゛がそれぞれ 硫 酸基 、リ ン 酸基 と結 合 して いるもの と同定した。  なお 、残るひとっの錯 体はその化学シフ トのR依存 性から Hg:PPS12錯体 と同定した。  次に、化学シフトに注目して、各溶媒中における金属イオン漬定をMg2+、Ca2゛お よびZn ゛ のそれぞれの金属 イオン系に対して 行い、水を含む溶媒 中では外圏錯体形成により直接の錯形成が阻害 されている 事、DlfF溶液中で はllg ゛ がPPSの 硫酸基よりもりン酸 基と結合し易いが、メタノールの存在によって 硫酸基の方 と結合し易くなる 事を明らかにした 。  さらにCa2゛系では漕定曲線にMg ゛系とはほとんど違いが見ら れ な か っ た 事 、 2n2゛ 系 で は そ れ ら と は 異 な っ た 滴 定 曲 線 が 得 ら れ た 事 に つ い て 述 べ た 。   6章 ではPPSの りン 酸 基に 関し て 金属 イオ ン に対 する直接の配 位原子である酸素の 情報を得るべく、 リン酸 基の架橋、 非架橋酸索が ̄ Oで置換さ れたPPsHg ゛のDlIF溶液 の ̄ ONXR測定について述べた。  スペクトル に は2本 のピークが観 測されたが、それ らは非架橋酸索、P−O―S架 橋酸素と帰属され、 それぞれのピーク の化学 シフトおよ び線幅のR依存性から、非架 橋酸素のスペクト ルにはllg ゛のりン酸基への結合効果が、架橋酸素のス ペクトルには2:1錯形成の効果が現れている事を見いだした。

  7章 では2種類 の11錯体 と1種 類の2:1錯 体の 計3本 の ピ― クが 得 られ たR3HgPPS系DHFおよびDHF メタノール =1:1溶 液の゜ ̄PNlIRスペクトルの 温度依存性の測定お よびスペクトル線形の化学交換シミュレーショ ン の結 果に つ いて 述べ た 。DHF中に おい て は、 結合 ・解離 の動的性質として りン酸基の方が硫 酸基よりもHga を引きっけ る能カが高い事お よびlIg ゛のりン酸基にお ける寿命は短く、硫酸基における寿命は長い事が判った。

  さらにCaz゛系DHF溶液中で は錯形成・解離の 化学交換がHg ゛系 に比べてはるかに速いにもかかわらず金属イオ ン涜定曲線に両金属イオンの違いが見られなかった。

  8章 はPPSの加 溶媒 分 解の カドミウ ムイオン効果を反応 速度論的に研究し たものである。  DlIF:メタ ノール

1:1(v/vX)中におけるPPSのメタノリシス反応はCd ゛の存在により加速され、さらにその反応はPーO開裂:oS 裂:58:42の混合開裂であっ た。  メタノリシス反応速度のCd ゛濃度依存性を1:1錯形成モデルによってフィット し、反応の速度定数を決定した。

  9章 で は 、 結 晶 解 析 、 多 核 穏NMRお よ び 反 応 速 度 論 の 立 場 か ら 行 わ れ た 本 研 究 を 総 括 し た 。   本研 究は 、一般には水以外の 溶媒に溶解しない りン酸基を非水溶 媒中において行った りン酸基一金属イ オン結 合 のキ ャラ クタリゼーションで あり、水の存在し ない環境における りン酸エステルと金 属との直接の結合 に関す る情報が得られた点で貴重で興味深い。

(3)

学 位 論 文 審 査 の要 旨 査    教 授    市 川和 彦 査    教 授    喜 多英 明 査    教 授    横 川敏 雄 査   教授   佐々木陽一

          

フ ェ ニ ル ホ ス ホ 硫 酸 エ ス テ ル 金 属 錯 体の 構造 と動 力 学的 性質

  

ア デ ノ シ ン

3

リ ン 酸 (

ATP

) の 酵 素 的 加 水 分 解 の 際 、

Mg

ATP

錯 体 は 酵 素 の 活 性 部 位 に 取 り 込 ま れ る 。

  

っ ま り 反 応 は 生 体 の 溶 媒 で あ る 水 か ら 隔 離 さ れ た 環 境 下 で 起 こ る 。

ATP

を は じ め と す る

2

リ ン 酸 、

  3

リ ン 酸 化 合 物 と

2

価 金 属 イ オ ン の 溶 液 内 相 互 作 用 、 特 に 配 位 部 位 に 閲 し て 様 々 な 研 究 報 告 が さ れ て い る が 、 こ れ ら の 配 位 子 が 水 以 外 の 溶 媒 に 溶 解 し な い の で 研 究 は 水 溶 液 中 に 限 定 さ れ て き た 。

  

し か し な が ら 実 際 の 反 応 系 は 水 溶 液 系 と は 異 な る こ と と 水 和 に よ っ て 外 圏 錯 体 と い う 複 雑 な 配 位 形 態 を 作 リ 易 い こ と の た め 水 溶 液 中 で は

Mgz

+ ― リ ン 酸 基 結 合 の キ ャ ラ ク タ リ ゼ ー ショ ンを 行 う の は 困 難 で あ る 。

  

申 請 者 は り ン 酸 一 硫 酸 エ ス テ ル 結 合 を も つ フ ェ ニ ル ホ ス ホ 硫 酸 エス テル (PPS)が 外圏 錯体 を形 成し にく いN,

N

― ジメ チル ホル ム アミ ド(

DMF

)溶 媒に溶 解 す る こ と に 注 目 し 、

DMF

中 で の

Mg

PPS

錯 体 の キ ャラ クタ リゼ ーシ ョン を中 心に 研究 を 行 い り ン 酸 墓 、 硫 酸 基 と

Mgz

゛ と の 結 台 に 闘 す る 熱 力 学 的 、 動 力 学 的 性 質 を 明ら かに し た 。

  

さ ら に

X

縁 結 晶 解 析 か ら 決 定 し た 結 晶 中 の

Mg

゛ の 配 位 形 態 と 溶 液 中 のそ れと を 比 較検討した。

    

1

)  ̄

PNMR

を 用 い て

DMF

中 の

Mg‑PPS

錯 体 の キ ャ ラ ク タ リ ゼ ー シ ョ ン を 行 っ た 。

PPS

と の 各 結 合 部 位 間 の マ グ ネ シ ウ ム 陽 イ オ ン の 化 学 交 換 速 度 を 遅 く さ せ る た め に 、

‑20

℃の低温で

PNMR

スペクトルのR(〓[Mgz゛]T/ [PPS ー]T)依存性を測定することによ っ て

5

種 類 の 錯 体 の 存 在 を 示 す こ と が で き た 。

  

各 ピ ー ク の 強 度 比 お よ ぴ 化 学 シ フ ト 値の

R

依 存 性か らMg:PPSが1:2錯 体、

1:1

錯 体(

Mg

゛が 硫酸 基に 局 在) 、1:1錯 体(

Mgz

+ が り ン 酸 基 に 局 在 ) お よ び

2

1

錯 体 (

2

つ の

Mgz

゛ がり ン酸 基、 硫酸 基に それ ぞれ 局在 )

3 ‑

主 副 副 副

(4)

と それ ぞれ 同定 した 。  さら にDMF:メ タ 丿一 ル比 を変 えて 溶媒 効果 を検 討し 、D一IF中 で は

Mg

゛ は り ン 酸 基と 、  メタ ノー ル中 では 硫酸 基と 結 合し やす いこ とを 見い だし た。

ま た 化 学 シ フ ト 変 化を 利用 した 金属 ′イ オン 滴定 より 錯 形成 の熱 力学 的性 質を 決定 した が、MgーPPS、Ca−PPs両錯体間の違いが認められなかった。

    

2

) 溶 液 系 と 同 じ 溶 媒

DMF

に よ っ て 溶 媒 和さ れた

PPs

. マグ ネシ ウム 塩の 単結 晶を 作 成し 、  X縁結 晶解 析を 行っ た。

  

マ グネ シウ ム塩 は2:

2

錯 体と し て結 晶化し、Mg + に 対 し て り ン 酸 基 、 硫 酸 基 の 酸 素 が ひ と っ ず つ 配 位 し た

bidentate

の 配 位 形 態 で あ っ た 。

  

こ れ は 溶 液 での

Mg

゛の

PPS

に 対す る琵 位形 態と は異 なっ てい た。

  PPs

.ト リエ チ ル ア ン モ ニ ウ ム 塩 の 結 晶 解 析 を 行 い 、

  2

つ の 陽 イ オ ン が り ン 酸 基 の 非架 橋酸 素 の2 つ に 各 々 水 素 結 合 し 、 硫 酸 基 と は 水 素 結 合 を し て い な い と い う 興 味 深 い 構造 をし てい ることが明らかとな った。

    

3

) リ ン 酸 基 部 分 を

1 O

で 同 位 体 置 換 し た

PPs

を 合 成 す る こ と に よ っ て

DMF

中 に お け る

PPs

の  ̄

ONMR

ス ペ ク ト ル の

R

依 存 性 を 測 定 す る こ と が で き た 。

  

リン 酸基 の非 架 橋 酸 素 ス ベ ク ト ル の 半 値 幅 の 顕 著 な

R

依 存 性は

Mg

゛ との 結合 その もの によ るこ とが 判明した。

    

4

3

サ イ ト 化学 交換 モデ ルで

R=3

DMF

溶液 中に お ける ー20〜20℃の  ̄

PNMR

スベ ク ト ル を 再 現 す る こ と に よ り

2

つ の

t

1

錯 体 お よ び

1

つ の

2

1

錯 体 の 間 の 化 学 交 換 の 動 力 学 的 性 質 を 決 定 し た 。

PPS

の り ン 酸 基 は 硫酸 基よ り もMg ゛ を引 きっ ける 能カ が高 く、−g ゛の滞在寿命(10ー.〜 10‑zs)が短い事が分かった。  Caz゛系におけるスペクト ル の温 度依 存性 は、

Mg

^と くら べて

Ca2

゛ はPPS −との錯形成・解離の化学交換がき わ めて速い事を示した 。

    

5

DMF

/ メタ ノー ル(

1:1

v/vX

)溶 液中 にお ける

PPS

の メタ 丿リ シス 反応のCdz+ 触媒効果を反応速度 鎗的に明らかにした。

  

い く つ か の 研 究 方 法 を 駆 使 し て 得 た 主 な 成 果を まと める と、

  

1

)溶 液中 の配 位形 態 は結 晶中 とは おな じで はなく、Mgz゛とPPS −はDMF溶,液中では結晶中に見られる様 な

bidentate

キ レー トを 両者 の間 で形 成し てい ない こと 、  (2)

Mgz

゛ とCaz゛ では、PPsz‑

と の 錯 形 成 ・ 解 離 の 熱 力 学 的 性 質 に は 違 い が 認 め ら れ な い が 、 こ れ 等 の 動力 学的 性質 が 大 き く 異 な る こ と が 明 ら か に さ れ た 。

  

こ の 様 な 新 し い 重 要 な 知 見 を 得た のは 、非 水 溶 媒 と い う 環 境 下 に 系 を 置 く 事 の 独 創 的 着 想 に よ る も の で あ っ て 高 く 評価 され る。

参 考 論 文

4

駕 は 既 に 公 表 さ れ て い て 、

  3

鬢 は 国際 誌に 、  1編は 国内 誌に 発表 され てい る。

  

以 上 の 研 究 成 果 は 生 物 無 機 化 学 の 分 野 に 溶 液 化 学 、 錯 体 化 学 の 立 場 か ら寄 与す るも の で あ る 。

  

よ っ て 審 査 貝 ― 同 は 、 申 請 者 が 博 士 ( 理 学 ) の 学 位 を 受 け るに 充分 な資 格を有するものと認 めた。

参照

関連したドキュメント

[r]

   第 6 章では、 野菜の 産地集荷 商人によ る労働 力確保の 形態とそこでの問題点を、北 海道の 長ねぎ産 地を対 象として

[r]

   第7 章では、以上に挙げた、種々の実験から得られた結果を総合して議論してい る。すなわち、電気伝導度、拡散係数、NMR

[r]

[r]

[r]

[r]