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博 士 ( 水 産 科 学 ) 福 田

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Academic year: 2021

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博 士 ( 水 産 科 学 ) 福 田    覚      学 位 論 文 題 名

海 産 紅 藻 ス サ ビ ノ り の Elongation factor ・ 1 ぱ 遺 伝 子 の 構 造 解 析 と そ の 遺 伝 子 導 入 に お け る

     発 現 ベ ク タ ー と し て の 応 用

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  アマノリ属は海産の多細胞藻類であるアサクサノリ,スサビノりなどの産業的に重要 ないくっかの種を合んでいる.スサピノりの示す諸現象を分子遺伝学的に探求するため に形質転換は必須の技術である.しかしながら,スサピノりでは安定した形質転換系が 確立していないため,夕グラインやノックアウトを利用した分子遺伝学的研究の報告例 はない.本研究では,既存の陸上植物用ベクターを利用することによってバーテイクル ガンによる遺伝子導入の基礎的知見を得た.次に発現ベクターの開発のため,スサビノ りの配偶体と胞子体の両世代で構成的に発現しているElongation factor‑la(EF―1ぱ)遺 伝子 のcDNAの 塩基 配列 をク ロー ニン グ, 決定 し,mRNAの発現を明らかにした.この情 報を 基にEFーla遺 伝子 の上 流領 域を 含む ゲノ ムDNA配列 をク ロー ニン グし ,その構造 をcDNA配 列と 比較 し,RT―PCRに よるmRNAの発 現を 明ら かに した .配 列決 定した上流 領域 を含 むゲ ノムDNA配列を利用し,構築した発現ベクターをバーテイクルガンでスサ ピノリTU―1株に導入し,一過性発現が見られる細胞数から,一過性発現効率を求めた.

これらの結果について以下に述べる・

  陸 上植 物用pBI221ベ クタ ーを バー テイ クル ガンによってタマネギの表皮細胞とスサ ピノ リTU−1株ヘ 導入 し,p−glucuronidase遺 伝子の一過性発現におけるGUS活性を組 織 化 学 的 ア ッ セ イ に よ る 手 法で 検 出 し た . 夕 マ ネ ギ の 表 皮 細 胞 の 一 過 性 発 現 効 率

〔2.5(土1.1)x10ー4%〕を1とし,スサピノリTU−1株への一過性発現効率を相対的に 比較 した .そ の結 果,一過性発現効率はパーティクルガンの発射口と試料との距離が8 cmの 条件 で約5.5x10‑3倍 であり ,発 射口 と試 料との距離が9 cmの条件で約1.1x10‑2 倍であった・

  葉 状の 配偶 体に 由来するcDNAライブラリーからEF−1ぱ遺伝子の候補を単離し,その 構造 と発 現を 明ら かにした.塩基配列を決定したcDNAの全長は1,347 bpであり,その 配列 中に 推定449個のアミノ酸に翻訳される読み取り枠が見っかった.インターネット

(2)

上のデータベースを利用した相同性検索やモチーフ検索を行った結果,他の生物の EF―1ぱ遺伝子と相同の領域であることを確認した.ノーザンハイプリダイゼーションに より,本遺伝子の発現は葉状の配偶体と糸状の胞子体の両世代で認められ,発生段階に よって発現量の顕著な変動は見られなかった.

  葉状の配偶体に由来するゲノムライブラリーからEF−la遺伝子の上流配列を含むゲ ノムDNAのク口ーンの候補を単離し,その構造と発現を明らかにした.ESTク口ーンの 情報から塩基配列を決定したcDNAの全長は1,347 bpであり,その配列中に推定449個 のアミノ酸に翻訳される読み取り枠が見っかった.ゲノムDNAのクローン中には約1.3 kbpの上流配列が見っかった.また,本遺伝子は5 非翻訳領域に1個のイント口ンを 持つことが明らかとなった.インターネヅト上のデータベースを利用した相同性検索や モチーフ検索を行った結果,他の生物のEF−la遺伝子と相同の領域であることが分かっ た.RT−PCRにより,本遺伝子の発現は葉状の配偶体と糸状の胞子体の両世代で認めら れた.

  イントロンを含む約1.3 kbpのEF―1ぱ遺伝子の上流配列を利用してスサビノリ用に プロモ一夕ー領域を改変した発現ベクター,p47GUSとp47GUS−ILを構築した.この2つ のべクターをバーテイクルガンによってスサビノリTU−1株ヘ導入し,pーglucuronidase 遺伝子の一過性発現におけるp−glucuronidaseの活性を組織化学的アヅセイによる手 法で検出した..pBI221をタマネギの表皮細胞に導入した時の一過性発現効率を1とし,

p47GUSをスサピノリTU―1株に導入した場合の一過性発現効率を算出した結果,バーテ イクルガンの発射口と試料との距離が7 cmの条件で約5.5X10‑3倍,発射口と試料との 距離が8 cmの条件で約1.7x10・2倍,発射口と試料との距離が9cmの条件で約3.3x10‑2 倍であった.p47GUS−ILについては,発射口と試料との距離が8cmの条件で約5.5x10‑3 倍 で あ り , 発 射 口 と 試 料 と の 距 離 が9 cmの 条 件 で 約5.5xl0‑3倍で あ った .   以上の結果から,p47GUSをスサピノリTU―1株に導入した場合,発射口と試料間の距 離が9 cmの条件での一過性発現率は,pBI221を同じ距離で導入した時の3倍であった・

また,p47GUS―ILを試料との距離を9cmとして一過性発現を行った時の効率は,pBI221 を同じ距離で試料に遺伝子を導入した時の1/2倍であった.これらの結果から,p47GUS に用いられたイン卜ロンを含む約1.3 kbpのEF−1ぱ遺伝子の上流配列は,陸上植物で 開発された発現ベクターpBI221よりもプロモーター部分として機能していることが示 唆された.

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

海産紅藻スサビノりのElongation factor‑l ぱ遺伝子の 構造解析とその遺伝子導入における

発現ベク夕,としての応用

  アマノリ属は海産の多細胞藻類であるアサクサノリ,スサピノりなどの産業的に重要 ないくっかの種を含んでいる.スサピノりの示す諸現象を分子遺伝学的に探求するため に形質転換は必須の技術である.しかしながら,スサピノりでは安定した形質転換系が 確立していないため,夕グラインやノックアウトを利用した分子遺伝学的研究の報告例 はない,

  本 論文は,6つの章より構成され,第1章では,全体における緒言を示し,第2章にお いて,既存の陸上植物用ベクターを利用したバーテイクルガンによる遺伝子導入法の基 礎的知見を得るとともに,発現ベクター開発の重要性について論じた.第3章では,EF―1 ぱ 遺伝子の クロー ニング法 を示し,得られたcDNAの構造とmRNAの発現の特徴について 論 じた.第4章では,EF1ぱ遺伝子のプロモーター領域を含むゲノムDNA配列のクロー ニ ング法を示し,cDNA配列との構造比較とRTPCRによるmRNA発現の特徴について論じ た .第5章では ,第4章で決定 したプ ロモ一夕 ー領域 を含むゲ丿ムDNA配列を利用した 発 現ベク夕一の開発を行い,それらを用いた遺伝子導入を試みた.第6章では,研究の 総括を行い,形質転換系の確立における今後の課題ならぴに研究方針について論じた・

  2章において,陸上植物用pB1221ベクターをバーテイクルガンによってタマネギの 表皮細胞とスサピノリTU1株ヘ導入し,pglucuronidase遺伝子の一過性発現における GUS活性を組織化学的アッセイによる手法で検出した.夕マネギの表皮細胞の一過性発現 効率〔2.5(士11)x10・4%〕を1とし,スサピノリTU−1株への一過性発現効率を相対 的に比較した.その結果,一過性発現効率はバーテイクルガンの発射口と試料との距離 8cmの条 件で約5.5x103倍 であり, 発射口 と試料と の距離が9cmの条件で約1.1x 102倍であった.

    1348

直 克

嵯 荒

都 安

授 授

授 授

   

   

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  第3章において,葉状の配偶体に由来するcDNAライプラリーからEF−la遺伝子の 候補を単離し,その構造と発現を明らかにした.塩基配列を決定したcDNAの全長は 1,644 bpであり,その配列中に推定449個のアミノ酸に翻訳される読み取り枠が見 っかった.インターネット上のデータベースを利用した相同性検索やモチーフ検索を 行った結果,他の生物のEF−la遺伝子と相同の領域であることを確認した.丿ーザ ンハイプリダイゼーションにより,本遺伝子の発現は葉状の配偶体と糸状の胞子体の 両世 代で認め られ,発 生段階によって発現畳の顕著な変動は見られなかった.

  第4章において,葉状の配偶体に由来するゲノムライブラリーからEF−la遺伝子 の上流配列を含むゲノムDNAのクローンの候補を単離し,その構造と発現を明らかに した.ゲノムDNAのクローン中には約1.3kbpの上流配列が見っかった.また,本 遺伝子は5 非翻訳領域に1個のイントロンを持つことが明らかとなった.インター ネット上のデータベースを利用した相同性検索やモチーフ検索を行った結果,他の生 物のEF−la遺伝子と相同の領域であることが分かった.RT−PCRにより,本遺伝子の 発現は葉状の配偶体と糸状の胞子体の両世代で認められた,

  第5章において,イントロンを含む約1.3 kbpのEF−la遺伝子の上流配列を利用 してスサビノリ用にプロモーター領域を改変した発現ベクター,p47GUSとp47GUS−IL を構築した.この2つのべクターをバーテイクルガンによってスサピ丿1J TU−1株ヘ 導入し,p―glucuronidase遺伝子の一過性発現におけるp−glucuronidaseの活性を 組織化学的アヅセイによる手法で検出した.この結果から,p47GUSに用いられたイ ントロンを合む約1.3 kbpのEFー1a遺伝子の上流配列は,陸上植物で開発された発 現ベクターpBI221よりもプロモーター部分として機能していることが示唆された.

  主論文は平成15年1月29日16時から17時まで第二研究棟特別講義室において,

審査員およぴ関連教官9名およぴ一般聴講20名出席のもと発表された.一般聴講に おいては,目的の遺伝子を含むゲノムクローンの取得方法,5 非翻訳領域に含まれ るイントロンの特徴,金属粒子のサイズと導入する強さとの関係について質疑・応答 がなされた.また,審査員およぴ関連教官においては,スサピ丿りにおける形質転換 系の確立後の展望,発現ベクターのターゲットとする細胞ステージや細胞内における 発現部分について質疑・応答がなされた.本論文で開発したスサビノリ固有の遺伝子 の上流配列を利用した発現ベクターは,大型藻類の形質転換の研究に貢献すると判断 し , 博 士 ( 水 産 科 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 の あ るも の と 判定 し た.

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参照

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