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博 士 ( 農 学 ) 竹 花 稔 彦

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 農 学 ) 竹 花 稔 彦

学 位 論 文 題 名

コ ン ポ スト よ り 分 離し た 耐 酸 陸微 生 物 が 産生 す る カル ボ キ シ ルプ ロ テ ア ーゼ の 酵 素特 性と

     機 能 に 関す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の要 旨

  微生物を利用した有機性廃棄物の堆肥化(コンポス卜化)は,省資源的な有機性廃棄物 の処理法であるばかりでなく.発酵処理物を堆肥として土壌に還元することができ,有機 性廃棄物の再利用を可能にした.コンポス卜過程に関与する大部分の徽生物は,酸性環境 下では その増殖 活性が 低下する.このためコンポス卜化過程におけるpHの低下は.コン ポス卜反応を阻害する‐本研究の最終的な目的は.コンポス卜化過程における生物学的な pH制御技術の確立により、安定したコンポスト化過程を実現することにある‐このことは・

コンポス卜化過程の管理制御を容易にするのみならず,コンポス卜製品の品質向上に寄与 することになる・

  コンポスト化過程におぃて、pHを低下させる要因は,有機酸ことに酢酸の蓄積であるこ とが明 らかにさ れてぃ る,その一方でpHを増加させる要因は、タンパク質分解によって 発生するアンモニア等のアルカリ物質の産生である.そこでタンパク質分解過程の第1段 階で働くキーエンザイムとしてカルボキシルプロテア―ゼ(CP冫の調節に着目した.すな わち耐酸性微生物の働きにより、酸性環境下におけるタンパク買の資化を促し、代謝産物 により生物学的にpHを調整するとぃう着想を得た・

  本論文 は.コン ポス卜から分離した耐酸性微生物が産生するCPに関するものであり、

耐酸性 タンパク 質資化性微生物の分離、CPの精製および酵素学的諸性質、CP MB8酵素一 次構造 およぴ基 質特異性の解析、さらにCP産生微生物のコンポス卜環境中の挙動解析に ついて 、実験結 県を示 し,論究 したも のである .

(1)耐酸性タンパク質資化性微生物の分離

  コンポス卜を分離源として,耐酸性タンパク質資化性微生物の探索を行い、4株のグラ ム 陰 性 桿菌 ( 系 統 番号MB2.MB7、MB8、MB11) を 分離 し た .16S rDNAの相同性 およ び 細菌学 的性状に より、MB2.MB7、MB11株 は、Burkholderia属 の一種であると同定さ れた‐MB8株は.Proteobacteria classの新属新種であると同定された,分離株はいずれも カ ゼイン を唯一の 窒素源とする酸性培地(pH 4.5)中で良く生育し,CPを菌体外に産生し た .培地pHは.分離 菌株の 生育にと もなぃ .急速に上昇し,5日間の培養後では全ての 分離株におぃてpH6.0を越えた.このことはタンパク質の一連の資化過程を経て、最終的 に 脱アミ ノ化反応 によルアンモニアを生じることにより、培地環境のpHを上昇させたも

(2)

のと推測した.この結果は,本分離菌株がコンポス卜酸性環境下におけるタンパク質分解 に 寄 与 す る こ とで 分 解 産物 に よ りpHを 改善 す る 機能 を 有 す るこ と を 示し て ぃ た・

(2CPの精製および酵素学的藷性質

  MB8株 お よ びMB11株 由 来 のCP (CPMB8CP MB11)を 精 製し そ の 酵素 学 的 性質 を 明 ら か にし た .CP MB8お よびCP MB11は、23ステッ プのカラ ム操作 により, 電気泳 動 的に均一な酵素標品として精製した.分子量は61,000 (CP MB8),36,000 (CP MB11),至適 pHは3.5 (CP MB8)3.7 (CP MB11)、至適温度は55℃であった.阻害剤pepstatin.DAN およ びEPNPに対 して非感 受性を示 したが 、pepstatin非感受性CPの特異的阻害剤である tyrostatinの影響を検討した結果、tyrostatinでは作用濃度依存的に酵素活性が阻害された.

CP MB8CP MB11に対 する150は、2.sxl016M(CP MB8)1.8X10‑6M (CP MB11)と算出し た.以上の結果より本酵素(CP MB8、CP MB11)がPepstatin非感受性CPEC 3.4.23.33) 一種 であると 結諭し た.しか しCP MB8の分 子量は、 既知CPと は著しく 異なり一次構造 上の差異を示唆してぃた・

(3)CP MB8酵素一次構造および基質特異性の解析

  N末端アミノ酸配列および部分アミノ酸配列を決定し,CP MB8,CP MB11がpepstatin 感受 性CPの一 種である ことを 酵素一次構造からも裏付けた.また部分アミノ酸配列をプ ロー ブとし てクロ一 二ング したCP MB8遺 伝子断片 の塩基配 列よりCP MB8成熟酵 素は、

558残基の アミノ酸 からな り,分子 量は57871と推 定した .CP MB8Pseudomonas CP (43.4 qc)およぴXnnmDmD凡甜CP40.6%)と高い相同性を示した‐CPMB8C末端側に存 在する204アミノ酸残基・からなるc‐領域(355−558)は,PCPおよびXCPの成熟酵素には、

存 在 しな い 構 造 であ り , このC一 領域 の 存 在が 、CPMB8PCPおよ びXCPに 比べ著 しく 大きい分子量を示した要因であることを示した.

  酸 化インシ ュリンB鎖を 基貿とし て、CPMB8の基質 特異性 を検討し た結果. 本酵素 は エンド型のCPであり,切断部位(‐PlPl .)の認識は厳密なものでなく、比較的広い基貿特 異性をもつことを示した..Plが疎水性アミノ酸であることが多く、Pl は疎水性アミノ酸あ るぃ は中性 アミノ酸 である とぃった原核生物由来のCPとして一般的な基貿特異性を示し てぃた.

(4)コンポスト化過程における徽生物相の変動解析

  CP産生微 生物は .コンポ ス卜を 分離源として単離されたものであり、実際のコンポ ス卜化過程におぃて何らかの機能を担ってぃると推測される.そこで小型生ゴミ処理機を 使用した 実験系 におぃて .分離菌 株に特異的な形質であるCP遺伝子を検出することで,

コンポス 卜中での挙動を解析した‐C/N比の高い有機物のコンポス卜化では、有機酸の蓄 積による 発酵阻害が生じやすぃことが知られてぃる.本実験におぃても、実験開始5日後 に急激な 酸性化(pH 4.28一5.04)による発酵阻害が認められこの阻害期は18日後まで継続 した.こ の発酵 阻害期に おぃても .CP活性 が検出さ れ,ECお よび水可溶性TOCの増加が 認められ,コンポス卜反応阻害期におぃてもなお有機物の可溶化が進行してぃることを示 してぃた.またこの発酵阻害期におぃて.pepstatin非感受性CP遺伝子が検出され.pepstatin 非感受性CP産生菌 の存在が 示され た.この結果は、コンポス卜中のCP活性の変化.およ ぴDGGE (DNA変性剤濃度勾配ゲル電気泳動)による徼生物相の変動解析の結果と符合し、

酸性化し たコンポスト環境中に存在するCPが、pepstatin非感受性CP産生菌に由来するも ので あること を強く 示唆して ぃた.16S rRNA遺伝子 のDGGEパター ンは、 コンポス 卜過 程におけ るpH変動 と符合し て大き く変化してぃた.発酵阻害期におぃて存在するパクテ

(3)

リアの16S rRNA遺伝子は.それぞれBurkholderia multivoransおよびrateuria aurcmtioと の間に高い相同性を示し,発酵阻害期における優占種が.Burkholderia属の一種であるこ と . お よ びFrateuria aurantio様 の 酢 酸 菌 で あ る こ と を 示 唆 し て ぃ た ‐

66―

(4)

学位論文審査の要旨 主 査    教授    本問   守 副 査    教授    松井博和 副 査    教授    寺澤   實 副査   助教授   伊藤浩之

学 位 論 文 題 名

コンポストより分離した耐酸陸微生物が産生する カルボキシルプロテアーゼの酵素特性と

     機能に関する研究

  

本論文は ,序論と総 合考察を 含めて6章 で構成さ れ,図

48

. 表

10

、参考文献

116

を 含 む

127

頁 の 邦文 で ある . 別 に参 考 論 文

2

鑷 が 添えら れてぃる .徽生物 を利用し た有機性廃 棄物の堆 肥化(コ ンポス卜化)に関与する微生物の増殖活 性は ‐ 酸性 環 境 下で 低 下する.こ のためコ ンポス卜 化過程に おけるpHの 低下 は、コン ポス卜化反 応を阻害 する‐コ ンポス卜化過程におぃて、pHを低下させ る要因は 、有機酸の 蓄積であ り,pHを増 加させる要因は.タンパク買分解によ って発生 するアンモ ニアの産 生でぢる .そこで タンパク 買分解過 程の第1段階 で働 く キー エ ン ザイ ム としてカル ボキシル プロテア ーゼ

(CP)

の調 節に着目 し た. 本 論文 は , コン ポ ス卜から分 離した耐 酸性微生 物が産生 するCPに関 する ものであ り,耐酸性 タンパク 買資化性 徽生物の分離,CPの精製および酵素学的 緒 性 質 ,

CP

酵 素 一次 構 造お よ び 基賈 特 異性 の 解 析, さ ら にCP産生 徽 生 物の コンポス卜環境中の挙動解析について.実験結果を示し,諭究したものである‐

1

) コ ン ポ ス 卜 を 分 離 源 と し て 、 耐 酸 性 タ ン パ ク 胃 資 化 性 微 生 物

Burkholderia sp

.(MB2、

MB7

、MB11).Proteobacteria novosp. (MB8)を分離した・

分 離 株は ぃ ずれ も 酸性 培地中で

CP

を産生した .培地

pH

は ,分離菌 株の生育 に とも なぃ、急 速に上昇し 、

5

日岡の 培養後で は

pH 6.0

を越え た.このことはタ ンパ ク質のー 連の資化過 程を経て .最終的に脱アミノ化反応によルアンモニア を 生 じる こ とに よ り, 培地環境 の

pH

を上昇さ せたもの と推測さ れ.本分 離菌 株 が コン ポ ス卜 酸 性環 境下にお けるタンパ ク貿分解 により

pH

を 改善する 機能

(5)

を有することを示してぃた.

2

MB8

株 お よ び

MB11

株 由 来 の

CP(CP MB8

CP MB11

) を 精 製 し そ の 酵素学的性質を明らかにした.積製酵素の分子量は61,000 (CP MB8),36,000 (CP

MB11

) ,至適

pH

は3.5 (CP MB8),3.7 (CP MB11)、至適温度は55℃であった・

阻 害剤

pepstatin; DAN

.およびEPNPに対して非感受性を示したが、tyrostatin では作用濃度依存的に酵棄活性が阻害された.以上の結果より本酵素(CP MB8・

CP MB11

)が

Pepstatin

非 感受 性CP(

EC 3.4.23.33)

の一種であると結諭した.

3

) 部 分 ア ミ 丿 酸 配 列 を プ ロ ー ブ と し て ク ロ ー ニ ン グ した

CP MB8

遺 伝 子 断 片 の 塩 基 配 列 よ りCP MB8成熟 酵素 は,

558

残 基の アミ ノ酸 から なり ,分子

I

57

871

と 推 定 し た

. CP MB8

Pseudomonas CP(43.4

% ) お よ び

Xanrhomonas CP (40.6%)

と高 い相同 性を示した‐CP MB8のC末端側に存在する

204

ア ミ ノ 酸 残 基か らな るC‑領域 は.

PCP

および

XCP

の成 熟酵 素に は、 存在し な ぃ 構 造 で あ り . こ の

C‑

領 域 の 存 在 が 、

CP MB8

PCP

お よ び

XCP

に 比 べ 著 しく大きぃ分子量を示した要因であることを示した.

4

CP

産 生 微 生物 のコ ンポ ス卜 化過 程に おけ る機 能に つい て小 型生 ゴミ処 理 機を 使用 した 実験 系に おぃ て検討 した.C/N比の高い有機物のコンポス卜化 で は、 有機酸の蓄積による発酵阻害が生じやすぃことが知られてぃる.本実験 に おぃ ても.実験開始直後に急激な酸性化による発酵阻害が藷められた.この 発 酵阻 害期におぃて、pepstatin非感受性CP遺伝子が検出され、pepstatin非感 受 性CP産生苗の存在が示された.この結果は,コンボスト中のCP活性の変化,

お よ び

DGGE

DNA

変 性剤 濃度 勾配 ゲル 電気 泳動 )に よる 微生 物相 の変 動解析 の 結果 と符 合し ,酸 性化 した コンポ ス卜環境中に存在するCPが、pepstatin非 感 受性

CP

産 生苗 に由 来す るも のであ り、 発酵 阻害 期に おけ るタ ンパク貿分解 に 関与 して ぃる こと を強 く示 唆して ぃた .バ クテ リア

16S rRNA

遺伝子のDGGE 解 析に より発酵阻害期における優占種が.Burkholderia属の一種であること、

お よび

MB8

株 近縁 種な ぃし は酢 酸菌

(Frateuria auranrio)

近縁種であることを 示した‐

  

以上の結果は,コンポス卜の反応過程における酸性化と回復の現象を解析し,

酸性タンパク質分解酵素の特性と役詞について解明したものであり、学術的に も応用の観点からも高く評価される.よって審査員一同は、竹花稔彦が博士(農 学 ) の 学 位 を 受 け る に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 認 め た ‐

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