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博 士 ( 農 学 ) 佐 藤 禎 稔 学 位 論 文 題 名

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博 士 ( 農 学 ) 佐 藤 禎 稔

学 位 論 文 題 名

ト ラ ク 夕 直 装 式 ス プ レ ー ヤ の ブ ー ム 高 さ 制 御に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  畑作 地 帯の 防除 作 業に 利用 されるブームスプ レーヤは,近年,散 布幅が14〜 26mに も拡大され た ため , 圃場 の起 状 やト ラク タのローリングに よってブーム高さが 変動し,散布むら やブームが 作 物に 接 触す るな ど 作業 精度 を 低下 させ た り, この 調 節の ため に 運転 操作を煩雑に している。

  本研 究 はト ラク タ 直装 式ブ ームスプレーヤに よる防除作業の精度 向上と操縦性向上 を目的とし て ,超 音 波セ ンサ , マイ ク口 コンピュータおよ び高さ調節機構によ るプーム高さ自動 制御装置を 開 発し た 。特 に, ト ラク 夕前 輪の上下動から後 輪の通過時に起きる 機体のローリング を事前に感 知 し, 機 体が 傾く と 同時 にブ ーム高さを修正す る予測制御法を備え ているところに特 色がある。

本論文 は,まず防除作業 時のブーム高さの 実態および超音波セ ンサの作物検出特 性を明らかにし,

ブーム 高さの変動に対処 できる制御装置を 試作して高さ制御特 性を述べる。次に ,トラクタのロー リ ン グ 予 測 法 の 原 理 確 認 実 験 と そ れ に よ る 制 御 精 度 の 実 験 を 行 い , 実 用 性 を 実 証 す る 。   本研 究で得られた結果 の大要は,次のよ うである。

1. ブー ム 高さ に関 す る調 査お よ び実 験

  スプレーヤ作業の 調査により,作業者 は約8 sec間隔に左右後方を 交互に振り向いて ブームの高 さ を監視し,進行距 離20mごと にブーム高さを手 で調節していて,か なりの労カと熟練 を要するこ と を明らかにした。 機体のローリングは ブーム高さを変動 させる主因となる が,散布幅15m以上の プ ー ムで は頻 繁 に手 動調 節 して も, ブ ーム 両端 で の高 さは 目 標高 さから土50cm以上 になった。

2.超音波セン サによるブーム高さ の検出特性実験

  ブ ー ム 高 さ を 非 接 触で 検 出す るた め に,40kHzの2素 子反 射 形超 音波 セ ンサ を採 用 し, パル ス 反射 法 で作 物の 高 さを 検出した。セ ンサが検出できる 高さは葉面直径に比 例し,センサ高さ に 対する 葉面直径の比が0. 05以上であれば 検出できた。バレイ ショ,菜豆,テンサイ,小麦の葉の 超音波 反射率はO. 84〜0. 94となり,ブーム高さを計測する上で十分な反射波が得られた。しかし,

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セン サは作 物頂部 の小葉 の検 出し難いため,作物の草高をやや低く検出し,バレイショナょど葉面 積が 広い作 物では6 cm以内 の誤差 で検 出でき たが, 小麦で は穂長 相当 の誤差を生じて補正を要す る 。 また , セ ン サ の移 動速 度はO. 5〜1. 5m/sの実 験範囲 で検出 特性に 影響を 与え なかっ た。

3.ブー ム高さ の制 御装置 の開発

  散 布幅15mのト ラクタ 直装 式スプ レーヤ を対象 にして ,超 音波セ ンサに よるブ ーム 高さの 自動 制 御 装 置を 開 発 し た 。 供試 機 は 左 右 第1. 第2お よび中 央の5本ブ ームで 構成さ れる 両竿形 であ り, 油圧 シリン ダによ ってブ ーム ごとに 高さ調 節がで きる。 制御 のため の改造点は,油圧回路の 左右 独立 化,油 圧ポン プの吐 出量 増大お よび手 動油圧 操作弁 を電 磁弁に 交換したことであり,こ れ に5組 の 超 音 波 セ ン サと 制 御 装 置 を追 加 し た 。 制御 装 置 は8ビッ ト のCPUと3枚 の 入 出力 基 板 で 構 成さ れ , プ ロ グラム は機械 語で 約4kバイ トであ る。 ブー厶 高さの 制御方 法は ,あら かじ め制 御す る変化 量と油 圧シリ ンダの伸縮量の関係を求めておき,設定目標の高さとの偏差に応じ,

電磁 弁の 作動時 間を演 算して 制御 出カを 決める 方法を 採用し た。

4.ブ ーム高 さの制 御装 置の動 特性実 験

  高 さセ ンサを 変化さ せる外 乱が 急激に 変化す る場合 となめ らか に変化 する場合にっいて制御装 置 の動特 性を 求めた 。前者 に相当 するス テッ プ状応 答実験において,入カの高さ変化量を20‑‑‑80 cmに し た 場 合 , 第1. 第2ブ ー ム は 立 ち上 り 時 間2 sec以 内 で応 答 し , ブ ーム は3〜4sec後 に 整 定した 。入 カの高 さが正 弦波状 に変化 する 後者の 場合, ブーム は階 段状の高さ変化を連続的に 繰 り返し て追 従した 。第1.第2ブ ームの 応答周 波数は ほぼ0. 3Hzとなり ,圃場 作業 調査で 明ら か に し た ブ ー ム 高 さ の 変 動 を 低 減 さ せ る 周 波 数 と 一 致 し , 制 御 条 件 を 満 た し た 。   圃 場実 験にお いては ,機体 の口 ーリン グがブ ーム高 さを変 化さ せたが ,作業速度0.5〜1. 5m

/sの 実験範 囲で, ブー ム高さ 制御法 は無制 御に比 べて 誤差を25〜 45%低下させた。特に,標準 速 度Im/sの 条 件 で はブ ー ム を ほ ぼ 設定 高 さ に維 持する ことが でき, 制御 効果は 十分に 実証さ れ た。し かし ,標準 速度以 上では ,機体 に作 用する ロール角速度がO. 05rad/s以上になるため,

超 音 波 セ ン サで ブ ー ム 高さを 検出し て制御 する方 式だ けでは 制御遅 れの現 象を 回避で きない 。

5. 卜ラク タの 口一リ ング予 測とブ ーム高 さ制 御

  前項 のブー ム高さ 制御 の遅れ を解消 するた めに, トラ クタ前 車軸の上下動から機体のローリン グを 予測し ,機体 が口ー リング する 直前に プーム 高さを 修正 する予 測制御法を考察した。前車軸

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の ロー ル 角を 検出 す る方 法は , 前車 軸に傾斜計を取付 ける傾斜角方式並 びに機体と前車軸 の相対 角 の変 位 計に よっ て 求め る相 対 角方 式の2種類 を 採用 した 。振り子懸架 式前車軸は機体と ほぼ独 立し て動き,機体の口一 ル角は後輪によっ て規定されるため,二っの計損IJ方式で得た前車軸のロー ル 角と 機 体の ロー ル 角は 軸距 通 過時 間に相当する位相 差と合致し,口ー リング発生前にロ ール角 が予 測できることを実証 した。

  本論 文 で用 いた 予 測制 御法 は ,傾 斜角または相対角 方式で検出した前 車軸の口ール角か ら,後 輪 通過 時 に起 きる ブ ーム 高さ の 変化 量を算出し,これ と超音波センサに よって検出される ブーム 高 さ を 加 算 し て , 後 輪 が 起 伏 に 入 る 直 前 に ブ ー ム 制 御 出 カ を 出 す も の で あ る 。   前項 の ブー ム高 さ 制御 では , 機体 がローリングして ブーム高さが変化 してから,超音波 センサ の 信号 に よっ て制 御 を開 始し た が, 予測制御法ではこ のような制御遅れ は起きず,前者に 比べて 制 御 精 度 は 第1ブ ー ム で46〜62% , 第2ブ ー ム で11‑‑ 49%向 上し た 。標 準速 度lm/s,機 体 の ロ ー ル 角 速 度 がO. 05rad/s以 上 にな る 圃場 実験 の 結果 を見 る と, 前者 の 高さ 制御 方 式の 第2 ブ ーム は 制御 目標 の 許容 範囲 土15cm以内に全測定点の87%が入ることに とどまったが,予 測制御 法 では 全 測定 点が 許 容範 囲に 収 まっ た。かりに,全ブ ームの高さ測定点 が上の許容範囲に85%入 る こ と を 想 定 す る な ら ば , 予 測 制 御 法 は 作 業 速 度 を 約2 m/sまで 増 加で きる と 推定 され た 。   本研 究 で開 発し た ブー ム高 さ 制御 方式は若干の制御 遅れが見られるも のの,作業者の手 動調節 を 不要 と し, 簡便 な 高さ 制御 法 とし ての効果が期待で きる。また,トラ クタのローリング を予測 し てブ ー ムを 制御 す る予 測制 御 法は ,制御遅れがほと んど見られず,高 い作業精度と操作 性を示 し ,作 業 速度 を高 め ,能 率を 向 上さ せることも可能に した。したがって ,本研究のブーム 高さ制 御 法 は 一 般 ト ラ ク タ に 応 用 で き , 防 除 作 業 改 善 の た め の 有 効 な 技 術 手 段 と な る 。

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    南 部    悟 副査    教授    寺尾日出男 副査    助教授   高井宗宏

本 論 文 は そ の 成 果を7章, 図76, 表24,引 用 文献 など を 含む 総頁202の 和 文論 文に ま とめ てい る 。 別 に 参 考 論 文7編 が 添 え ら れ て い る 。

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  本 研 究は トラ ク タ直 装式 ブームスプレ ーヤによる防除作 業の精度向上と操作 の省力化を目的と し, 超 音波 セン サ ,マ イク 口コンピュ一 夕及び高さ調節機 構によるブーム高さ 自動制御装置を開 発したもので ある。

  畑 作 地帯 に普 及 して いる ブームスプレ ーヤは,その大型 化に伴い,トラクタ のローリングによ ルブーム高さ が変動することか ら,これが薬液の 散布むらの原因とな っている。本論文は,まず,

農家 に おけ るブ ー ム高 さの 変動を実測調 査し,高さ検出セ ンサの作物別特性を 明らかにして,こ のた め の制 御装 置 を試 作し た。次に,ト ラクタのローリン グ予測法を考案し, その原理及び制御 の確認実験を 行い,その有効性 と実用性にっいて 実証した。

第1章 は緒 論 であ り, こ の種 の防 除 機の 発達 経 過,ブーム高さ調節 に関する研究の経 緯,研究 の目的にっいて述べている。

第2章 は ブー ム高 さ の圃 場調 査 と計 測値 分析であり ,作業者は常に左 右のブームを振り向 き ほぼ20m進 行 ごと に手 動 で調 節し て いる 実態 を 調査 分析 し,その調節 高さの変動幅は土50cm以上 にも達してい ることを指摘した 。

  第3章は 市 販の 超音 波 セン サに よ るブ ーム 高 さの 検出 特性実験であ り,その検出高さは 植物葉 面直 径 にほ ぼ比 例 し, セン サ 高さ に対する葉面直径 の比は5/100以上 あれば検出可能とな った。

植物葉の超音 波反射率はO. 84‑‑O.94と なることから,ブ ーム高さの計測に十分な値が得られた。

作 業 速 度 は ,0. 5〜1. 5m/sの 範 囲 で セ ン サ の 検 出 に 支 障 の な い こ と を 確 認 し た 。   第4章は プ ーム 高さ 制 御装 置の 開 発実 験で , 供試 機械 は 中央 及び 左 右各2本の5本ブ ーム で 構 成す る 全長15mの 両竿 型 であ る。 プ ーム 高さ は 専用 油圧 シリンダによ ってブームごとに調 節でき る。 制 御の ため , 油圧 回路 の 左右 独立 化 ,油 圧ポ ン プの吐出 量増加,電磁弁を 採用し,上の5本 ブ― ム に超 音波 セ ンサ と制 御 装置 を追加した。ブー ム高さの制御方法 は,設定高さと実測 値との 偏 差 に 応 じ て , 電 磁 弁 の 制 御 出 カ を 決 め る 方 法 を 採 用 し , 自 動 化 が 容 易 と な っ た 。   第5章は ブ ーム 高さ 制 御装 置の 動 特性 実験 で ,高 さセ ンサを変化さ せる外乱が急激に変 化する 場合 と ,な めら か に変 化す る 場合 にっいて制御装置 の動特性を求めた 。前者に相当するス テップ 状応 答 実験 では , 入力 高さ20〜80cmに 対 し, ブー ム の立 ち上 が り時 間は2秒以 内で応答し,3〜 4秒後 に整 定 した 。整 定 時間 は入 力 高さ の変 化 に比 例し て増減した。 後者では,入力高さ 変化に 対し 良 好に 追従 し た。 第1. 第2ブ ーム の 応答 周波 数 は,圃場 作業調査での周波 数O. 3Hzとほぼ 一致し,この 値がブーム高さ変 動を低減させる周波 数と一致した。

  圃 場 実験 においては,O.5〜1. 5m/sの作業速度 で,無制御に比べ て誤差を25〜45%低 下させ た 。 特 に標 準速 度Im/sの条 件下 で は, この 自 動制 御法 の 制御 効果 は 十分 に実 証 され た。 し か

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し ,標 準速 度以上 では, 機体に 作用す るロ ール角 速度が0. 05rad/s以上 にな るため ,超音 波セ ン サ で 高 さ を 検 出 す る 制 御 方 式 の み で は 制 御 遅 れ の 現 象 は 回 避 で き な い 。   第6章では トラ クタの ローリ ング予 測と ブーム 高さ制 御の実 験で, トラ ク夕前 車軸の 上下動 か ら口 一リン グを 感知し ,後者 軸の通 過直前に高さを修正する予測制御法を考案した。前車軸の口ー ル角 検出に は, 傾斜角 方式と 相対角 方式を 採用 した。 双方に よる前 車軸 のロール角と機体の口ー ル角Iま ,前後 車軸の通過時間に相当する位相差と合致し,口一ル角が予測できることを実証した。

  本章 の予 測制御 法によ れば, 前章 のよう な制御 遅れは なく,制御精度は第1ブームで46〜62%,

第2ブ一厶 で11〜49%向上 した。 標準 作業速 度によ る圃場 実験 の結果 ,全測 定点が 許容範 囲の 土 15cm以内 に収ま った。 すな わち, 第5章の高 さセン サのみ で制 御した 場合で は,機 体がロ ーリ ン グを 始めて ブー ム高さ が変化 してか ら,セ ンサ の信号 によっ て制御 が開 始されたのに対し,この 予測 制御の 場合 は,こ の制御 遅れは 著しく 改善 され, さらに 作業速 度を 上げ得る有利性が期待で きる 。

  本研 究で 開発し たブー ム高さ 制御 方式は ,作業 者の繁 雑さと 熟練 による 手動調節を全く不要と し, 予測制 御法 は一般 のトラ クタに 応用で き, 制御遅 れがな く,高 精度 でかっ作業速度を上げ得 るこ とを実 証し たもの である 。これ らの成 果は ,学術 上重要 な新知 見を 加えたものであり,畑作 物の 防除作 業技 術の改 善に対 し高く 評価さ れる 。

  よっ て, 審査員 一同は ,別に 行っ た学力 確認試 験の結 果と合 わせ て,本 論文の提出者佐藤禎稔 は 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 が あ る も の と 認 定 し た 。

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