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アメリカ現行州憲法の州教育委員会に 関する規定

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アメリカ現行州憲法の州教育委員会に 関する規定

諮育学饗育制肇 上 原 貞 雄

(昭和49年10月5日受理)

いたっている。なお,大抵の州では,次にも言及するよ 1. 州教育委員会制度の発達       うに,そのほかに各種の教育関係委員会が並存している。

アメリカ現行各州憲法の教育規定については,既に別

の論銘に詮いて,ごく大ざっぱながら,ひとまずその量  2 州教育委員会に関する州憲法規定の制

       定とその現行規定の要約於よび形式の面を中心に全般的な比較考察を行なった。

今度は,観点をかえて,その具体的内容面での詳細な比   各州の教育関係委員会としては,確かに多様かつ多数 較分析に入らなければならない。そこで,本小論では,  のものがあげられる。ビーチとウィル(F.F. Beach その手はじめとして,さしあたり州段階の教育行政組織, and R.F.WiH)によれば,1954年現在,48州に 特に教育委員会に関する憲法規定をとりあげ,その内容  詮いて231を数える各様の教育関係委員会があり1)こ

を明らかにしてみたい。       れには,主に初等・中等段階の公立学校行政にかかわる アメリカで初めて州教育委員会に類するものが設置さ  委員会のほか,州立大学ないしはその他の州立高等教育 れたのは,1784年ニュー・ヨーク州においてであった  機関の管理にあたる理事会や,職業教育もしくは特殊教 が,この委員会(Board of Regents of the Uni一 育を管掌する委員会などが含まれている。しかし,概し versity of the State of NewYork)は,私立の  て「州教育委員会」といえぱ,主に初等・中等公立学校 キングズ・カレッジ(King s College)澄よびアカデミー  の行政を担当するものだけをさすのが普通である。以下 に対してのみ若干の責任を有するにすぎなかったぎ)これ  では,こうした意味での州教育委員会に限定して考察を についで,ノース・カロライナ州では,1825年に「文  進めたい。

教基金」の運用と関連して公立学校に対して何らかの監   すでに述べたように,州教育委員会は,ほぼ19世紀 督権をもつ委員会(President and Directors of  の第二四半期に入る頃から,若干の州に齢いて創設され

、h。 h、。,a,y F。nd)が設置された.しかし,公立 た.マ。ゼン(J.M.M。,。en)偉れば1)二・一・・一 学校の振興にもっぱら関一与する,いわゆる「州教育委員  クの場合は別として,1825年から1854年までの間 会」(State Board of Education)が出現したの  に,ノース・カロライナ,グァーモント,テネシー,ミ は,1837年にマサチュセッツ州でカーター(J.G.Ca一 ズリー,ケンタッキー,マサチュセッツ,コネティカッ

rter)やマン(H.Mann)らの尽力によりそれが設置さ  ト,アーカンソー,オハイオ,インディアナ,テキサス れてからであったといわれる。もっとも,この場合,委  の諸州の順序で,それぞれに何らかの法律によって州教 員会は単に公教育の実情の把握とその改善・普及のため  育委員会が置かれた。しかし,実は,諸州憲法のなかで の方策の提言を行なうにとどまっていたことが指摘され  同委員会に関する規定が見いだされるようになったのは,

ねぱならない。そして,それ以後1870年までには,若  その世紀の後半に入ってからであったといえる。第1表 干の旧諸州を除くほとんどの州に詮いて,さらに現在で  は,その後現在までに州教育委員会に関して憲法規定を

は,ウィスコンシン以外のすべての州において,その責  設けてきた州名と,それぞれの州において初めてそのよ 務・権限に強弱の差はあれ,少なくとも初等・中等段階  うな憲法規定を設けた時期とを示すものである。本表に        塵

フ公立学校行政にかかわる州教育委員会が維持されるに  よれぱ,1857年制定のアイオワ州憲法を先駆として,

(2)

78       茨城大学教育学部紀要 第24号

1875年までに11州が,1876年から1900年までに  ってよりも憲法によって同委員会についての規定をする 6州が,1901年から1925年までに4州が,1926年  ようになった主な理由としては,この間に州教育委員会 から1950年までに1州が,そしてその後4州がそれぞ  制度の発達およびその重要性についての各州民の自覚の れに同委員会についての最初の憲法規定を設けてきたこ  あったこともさりながら,それ以上に,各州民の民主主

と,特にこれら26州中その大部分を占める21州が,  義的要求から,州政府の専断的権力行使を抑制するため 1912年までにかかる憲法規定を設けてきたことがわか  にその組織や権限を憲法中にできるだけ列挙しておこう        5)

驕Bもちろん,このように多くの州に澄いて,法律によ  とする,いわゆる州憲法詳密化の歴史的動向のあったこ

第1表126州憲法に詮いて州教育委員会に関する最初の規定がなされた時期

1851−1875 1876−1900 1901−1925 1926−1950 1951−1970

アイオワ   1857 コロラド   1876 オクラホマ  1907 ジヨ『ジア  1945 ネブラスカ  1952 ウェスト・

@    21863グアージニア 力臨右ア1884 アリゾナ   1912 ハワイ   1959

メアリラントも1864 モンタナ   1889 ニユー・メキシコ1912 ミシガン   1964 ミズリー   1865 アイダホ   1890 オハイオ(修正)1912 イリノイ   1970 テキサス   1866 ユ タ    1895

アラバマ4  1867 ルイジァナ  1898 ノ房盃うイナ・868

サ鶏イナ・868

ミシシッピー 1868 フロリダ   1868 ヴァージニァ 1870

注1.本表は,電M.Matzen;State Constitutional Provisions for Education,1931,P.4・Table lを もとに,その後の資料を追加して作成した。

2.1872年憲法において削除されたが,1958年憲法において再度規定された。

3.1867年憲法において削除された。

4.1875年および1901年憲法において削除されたが,1956年憲法修正により再度規定された。

とがあげられよう。また,本表の脚注に記したように,  法律によってこれを設けているわけである。

ウェスト・ヴァージニァ,メアリランド,アラバマの3   そこで,現行25州憲法の州教育委員会に関する規定 州の場合,その後若干の変遷があったが,結局のところ, 内容が問題となってくるが,これを明らかにする一つの 上記26州のうちメァリランドを除く25州がそれぞれ  便宜として,当該の諸規定を適当な事項に分類して要約

の現行憲法陣いて州鮪委員会燗する何らかの規定 すれば藻・表のと籾である2 を有していることが指摘される。ちなみに,これらの州

      3.州教育委員会に関する現行州憲法規定ののほとんどは,同委員会を吹Board of Education

      分析もしくは曾曾State Board of Educationなる名称の

もとに規定している2なお,現奮合衆国を構成する50  (D委員の定数および任期

州のうち,ウィスコンシン州だけが同委員会を設けてお   第2表上欄の諸事項の順序にしたがって,現行25州 らず,したがって25州が憲法によって,また24州が  憲法の州教育委員会に関する諸規定をとりあげてみよう。

(3)

第2表 現行25州憲法の州教育委員会に関する規定の要約

現行州憲法 定数 任期 選 任 方 法 資 格 報 酬 責務・権限

アラバマ(1901) 州議会は,委員を司法官

Art.〜厘139 Am. C)盃 とし,その学校関係行為を

(1956) 司法行為と規定する権限を

もつ。

アリゾナ(1912) 9 知事・州教育長・州 なしo         》立学校制度の一般的管

Art. V S.1; 立大学長・師範校長(職 会議出席 理・監督をする。

Art.)亜S.2,3、4 権委員)と,カウンテ ・印刷用

イ教育長・市教育長・ 必要経費 ハイスクール校長(知 は支給。

事任命)

カリフォルニァ(1912) 任命もしくは選挙に 全初等学校の統一的な教

ArL藪7(1884, ついては,州議会が定 科書を規定・編集・採択し,

1894,1911,1912修 める。 無償で児童に供与し,4年

正) 間は改訂しないこと。法律

で定める他の権限をもつ。     

コロラド(1876) 法律 連邦議会選挙区で有 なし。 公立学校の一般的監督を

ArL医S.1(1948 で定 権選挙民により各1名 責務上必 する。責務・権限は法律で

修正) める。 を選挙。 要経費は 定める。州教育を任命する。

支給。

フロリダ(1968) 7 知事・州務長官・検 法律の定めにより公教育

Art. IV S.4,5; 事総長・会計検査長官 制度の監督をする。

Art.】X S.2 ・財務長官・農務長官

・州教育長(職権委員)。

ジ・一ジァ(1945) 7 連邦議会選挙区で, 4年州 必要経 法律で定める。土地・そ

Art,〜皿S.皿1,刃1 上院の承認を得て知事 市民。非 費は,法 の他の財産の遺贈・贈与・

により各1名を任命。 教育職員 律で定め 交付を受けることができる。

非教科書 るo 会社関係

者。

ハワイ(196呂) 有権選挙民により選 公立学校制度への政策を

Ar目XS.2β 挙。 たて,これを支配する。州

教育長を任命する。

アイダホ(1890) 法律で定める。州教 法律で 州教育機関・公立学校制

A盆.D(S.2(1912修 育長は職権委員。 定めるQ 度の一般的監督をする。権

正) 限・責務は法律で定める。

(4)

80       茨城大学教育学部紀要 第24号

現行州憲法 定数 任期 選 任 方 法 資格 報 酬 責務・権限

ノリノイ(1970) 選挙もしくは選任方法は,法律で 法律で 目標設定・政策決定・教

Art. X S.2 定める。 定める。 育計画立案・財政勧告をす

る。法律の定める他の責務

・権限をもつ。州教育長を 任命する。

アイオワ(1857) 副知事と,各司法区 25才 コモン・スクール,その

Art. IV S.2,3; 4 より選挙される委員と, に達し, 他の教育機関を規制し,必

Art. IX Ist. S.1,2,3, 知事(職権委員)。 1年以上 要な規則を制定する。書記

6,8,9,10 州市民。 官を任命し,規則を刊行・

配布する。

ルイジアナ(1921) 11 6 パブリック・サーヴ なし。 法律で定める。若干の高

Arし)皿S.4(1946, イス・コミッション区 州議会の 等教育機関を監督し,私立

1950修正),6,7 ごとに選挙される3委 定める日 学校の設立を認可し,初等 1940イ鉦),10 8 員と,連邦議会選挙区 当と経費 ・中等・職業・師範学校な ごとに選挙される8委 を支給。 どの教員の資格・免許を定

員。 める。教区教育長の資格・

責務を定める。

ミシガン(19(幻 10 8 党大会の指名に基づ 成人教育,若干の高等教

Art孤S.3 き選挙。州教育長が議 育を含む公教育への指導と

長,知事が職権委員。 一般的監督をする。州教育 長を任命し,任期を定める。

ミシシッピー(1890) 3 州務長官・検事総長 法律で 学校基金を運用し,定め

Art.8S.203,204 ・州教育長(職権委員)。 定める。 られた他の責務を遂行する。

上院の承認を得てカウンテ イ教育長を任命する。

ミズリー(1945) 8 8 上院の承認を得て知 素人で 法律で その裁量で解任できる州

A臨氏鼠2(a),2(b) 事が任命。同一一政党か あること 定める実 教育長を選任し,責務・俸

らは4名を越えないこ 際の経費 給を定める。州教育長の推

と。 と日当。 薦により専門員を任命し,

俸給を定める。

モンタナ(1889) 11 知事・州教育長・検 州立大学,その他の州教

Art.)藍S.11 事総長(職権委員)と, 育機関の一般的支配・監督

他の8委員(上院承認 をする。責務・権限は法律

・知事任命)。 で定める。

ネブラスカ(1875) 6 6 州議会の定めにより 教育職 なし。 州議会が定める。州教委

ArL〜贋S.14,15,16 6地区から各1名を選 に従事せ 責務上必 ・州教育長から成る州教育

(1952修正) 挙。 ず,政党 要経費は 局は,学校制度,その他の

(5)

現行州憲法 定数 任期 選 任 方 法 資 格 報 酬 責務・権限

に属しな 支給。 一般的監督・行政をする。

いこと。 州教育長を任命し,報酬を 定める。

ニュー・メキシコ(1912) 10 6 10司法区から各1 各司法 公立学校・職業教育政策

ArL刈S.6(1958修 名を選挙。 区の住民。 の決定,公立学校の支配・

正) 運営・指揮をする。州教育

長を任命する。

ノース・カロライナ(1971) 13 副知事・財務長官(職 無償公立学校制度と教育

Art. IX S.4,5 権委員)と,他の11 資金を監督・管理し;必要

8 委員(州議会承認・知 な規則を制定する。

事任命)

オハイォ(1851) 法律で定める方法,任期で選任さ 州教育長を任命する。責

A践.MS.4(1912, れるo         「 務・権限は法律で定める。

1953修正)

オクラホマ(1go 7) 4 知事・州務長官・検 公立学校の教育を監督す

ArL X匿S.5 事総長・州教育長(職 る。権限・責務は法律で定

権委員)。 める。

サウス・カロライナ(1895) 9 知事・州教育長(職 任命委 教員の検定規則を制定し,

Art. Xl S.2 権委員)と,他の7委 員に旅費 かつ法律の定める他の権限・

4 員(知事任命)。 を支給。 責務をもつ。

テキサス(1876) 州議会の定める方法と権威により 法律で定める。

A貢.wa8(1928修 任命もしくは選挙。任期は6年を越

正) えない。

ユタ(1896) 法律の定めにより, 公立学校制度の一般的支

A焦10S.8(1950修 選挙。 配・監督をする。州教育長

正) を任命する。

ヴアージニア(1971) 9 4 州議会の承認を得て 学校区の区分,知事・州

Art.珊S.4,5 知事が任命。 議会への年度報告,学校区

教委への教育長適格者名簿 の確認,公立学校用教科書

・教授用具の認可をする。

教育政策施行の第一次的責 任と権限をもち,法律の定 める責務・権限をもつ。

ウェスト・ヴァージニァ 9 9 上院の承認を得て知 州無償学校の一般的監督

(6)

82      茨城大学教育学部紀要 第24号

現行州憲法 定数 任期 選 任 方 法 資格 報 酬 責務・権限

(1872) 事が任命。同一政党か をする。法律の定める責務

ArL)㎝S.2(1958修 らは5名を越えないこ をもつ。州教育長を選任す

正) と。 る。

注 本表は,S.S.Abrahamson ed.;Constitutions of the United States, National and State,2vols.,

1962を主要な資科として作成した。現行各州憲法は,アルファベット順に列挙した。

委員の定数については,それが最も少ない場合から列  されると思う。な澄,残る10州の憲法は,委員の任期 挙すれぱ,ミシシッピー州3名,オクラホマ州4名,ネ  について無規定であるか,もしくはこれを法律に委ねて

ブラスカ州6名,フロリダ州7名,ミズリー州8名,ア  いる。

リゾナ,サウス・カロライナ,ヴァージニア,ウェスト  参考までに付言すれば,現在,憲法もしくは法律によ

・ヴァージニアの4州各9名,ミシガン,ニュー・メキ  リ定められている48州の教育委員会の委員定数は,ミ シコの2州各10名,ルイジアナ,モンタナの2り1恪11  シシッピー州の3名からテキサス州の24名までの間に 名,そしてノース・カロライナ州13名となっている。  広く分散しており,その平均は,上記憲法規定の場合に

このように,これら14州の憲法では,委員定数は3名  比してやや多く,10。69名となっている。また,委員の から13名宙でとまちまちであって,その平均は8.50  任期は,デラウェア州の3年からニュー・ヨーク州の15 名である。その他の11州の憲法では,かかる定数を明  年までの間で区々であり,その平均は,5.77年であっ 示していないか,もしくは州議会の定める法律に委ねる  て,上記憲法規定についてのものよりも若干下まわって

かしている。       いる2

ざた,委員の任期については,知事や州教育長などの   (2)委員の選任方法および被選任資格

職権による委員のみで委員会を構成しているフロリダ,   州教育委員会の構成は,委員の定数や任期のほか,委 ミシシッピー,オクラホマの3州の場合は別として,任  員の選任方法とも関係づけて考えることができる。総じ 命もしくは選挙による委員でもって委員会の全部もしく  て,委員会は,職権による委員(ex−officio member)

は一部を構成している諸州の場合,これを明示している  ・任命による委員(appointive member)・選挙によ のは12州の憲法である。つまり1アイオワ,サウス・  る委員(elective member)のいずれか,もしくはこ カロライナ,ヴァージニアの3州が4年,ネブラスカ,  れらの何らかの組合わせによって構成されているとみら ニュー・メキシコ,テキサスの3州が6年,ルイジアナ  れる。もっとも,第2表によれば,委員会の構成に関す 州が6年もしくは8年,ジ・一ジア州が7年,ミシガ)乙  る憲法規定をもつ24州のうち,カリフォルニア,イリ

ミズリー,ノース・カロラィナの3州が8年,そしてウ  ノィ,オハイォ,テキサスの4州は,委員の選任方法を エスト・ヴァージニァ州が9年とそれぞれ任期を規定し  州議会の定める法律に委任し,そしてアイダホ州は,職 ている。この場合の平均任期は,6.42年である。しか  権による委員としての州教育長以外の委員の選任方法を も,ここで特に注目されるのは,これら12州のうち実  同じく州議会の決定事項としている。そこで,これらを に8州の憲法において,委員の任期が他の委員のそれと  除く19州の場合について,同表を参照しながら,上記

1年もしくは2年ほどずれて重なり合う(overlap)よ  に列挙した順序でそれぞれの選任方法を今少し仔細に検 う工夫されていることである。たとえば,アイオワ州で  討してみよう。

は,半数の委員が2年ごとに4年任期で改選され,ミズ   まず,職権による委員であるが,憲法によりこれを規 リー州では,各委員が1年ずつずれて8年任期で任命さ  定しているのは,アリゾナ,フロリダ,アイオワ.ミシ れるようになっている。ここには,委員会が常に教育行  ガン,ミシシッピー,モンタナ,ノース・カ・ライナ,

趾「縢の連雛を保ち,かつ多数の罐者を擁㌶ オク,ホマ,サ・ス・カ・ライナの・購ある.辮委

ようにとの慎重な配慮がうかがわれ,いわばアメリカ教  員としては,知事や州教育長が最も多く(7州),これ 育行政の重要な一つの特色である経験尊重の立場が指摘  に次いで検事総長(4州),州務長官(3州),副知事

(7)

・財務長官(2州)といったぐあいになっている。ただ, いる。加うるに,委員の被選挙資格についてネブラス アリゾナ州の場合,このように一般行政官を多く含めず, 力州では,教育職に現に従事せず,しかも政党に所属し むしろ州教育長のほか州立大学長や州立師範学校長が加  ないこととしているのに対して,ミシガン州では,党大 えられていることは,注目される点であろう。しかし,  会の指名にもとついて選挙されるとしていることは,特 カパリー(E.P. Cubberley)もいっているように,職  に注目を要するであろう。現在,選挙による委員だけで 権委員は,たとえ大学長や学校長の場合であっても,常  州教育委員会を構成しているのは,憲法で委員の選挙を にそれぞれの本務だけで多忙であるために,州の教育全  定めている上記8州中,アイオワ,ミシガン両州を除く 般の諸問題に深く立入って考える余裕をほとんどもたな  6州であるが,これに法律でそのことを定めている場合 いといった事情があり甲恐らくはそのことを配慮してか  を加えれば,12州にのぼっていて,この種の委員会が 職権委員だけで州教育委員会を構成するとしているのは, かなり普及していることがわかる㌘)ただし,この12州 上記9州中,いや現在同委員会を有する49州中でも,  のうちには,州民の公選によらないで,州議会議員もし

      12)わずかにフロリダ,ミシシッピー,オクラホマの3州だ  くは地方教育委員会委員を通じての間接選挙による場合 けである。       (一。一.。一久。シントンの2州)力蟹れて魂。       

次に,委員の任命を憲法で規定している州としては,  なお,この2州を除き,全委員公選制をとる10州中,

アリゾナ,ジ・一ジア,ミズリー,モンタナ,ノース・  5州が政党基盤での選挙(partisan ballot)を認めて カロライナ,サウス・カロライナ,ヴァージニア,ウェ  いるのに対して,4州が非政党的選挙(non−partisan スト・ヴァージニアの8州があげられる。いずれの州も, ballot)を採用しているごとも,大いに興味をひくとこ 委員は知事により任命されるが,ほとんどの場合,上院  ろであろうy)

(もしくは州議会)の承認を得てそれがなされることと   ところで,州教育委員会は,その選任方法による構成 されている。これらのうち,アリゾナ州では,カウンテ  の点から,職権型(ex−officio type)・任命型(apPoi一

イ教育長,市教育長,ハイ・スクール校長,各1名とい  nted type)・選挙型(elected type)およびこれらの組 うように,教育関係者を委員に任命するのに対しで3)ジ 合わせの型に分類することができる。マッゼンの研究に

・rジア州やミズリー州では,委員の被選任資格として  よれば歴史的には,まず比較的早い時期に制定された諸 教育職員でないことや教育について素人であることを要  州憲法では,たいてい職権委員の型が採用された。たと 求している。ここには,確かに州教育委員会の構成や性  えぱ,メアリランド州憲法を先駆として,1864年から 格についての基本的に異なった見解がひそんでいるとい  1894年までに制定された18州憲法中,実に16州憲 える。また,ミズリー,ウェスト・ヴァージニァの両州 法においてこの型が採用された。その主要な理由としては,

では,委員定数の半数を越えて,同一政党に所属する者  「若干の州行政官を委員会の職権委員に配しようとした      」

を任命してはならないとしている点も,同様に委員会の  傾向は,疑いもなく,新たな役員に支払う経費を要しな 性格に深くかかわるものとして,注目すべきであろう。  いがゆえに,一層経済的なプランであろう」と考えられ なお,任命による委員だけで委員会を構成しているのは, たこと,また「疑いもなく,初期の委員会の任務は限ら 上記8州中ではジ。一ジァ,ミズリー,ヴァージニァ,  れていて,州行政官の職権委員により各自の他の責務と

ウェスト・ヴァージニアの4州であるが,1969年現在  関連して全く十分に処理されうる」と感じられたことが

       18)での調査資料によれば,そのことを憲法で定めているご  指摘されている。しかし,1895年から1928年までに

れらの州を含めて,48州中18州にのぼって齢りi4)こ  制定された,サウス・カロライナ州のものをはじめとする のような構成の委員会が意外に多いことがわかる。   7州憲法は,ヴァージニアの場合だけを例外として,いず

それから,委員の選挙を憲法で定めている州は,コロ れも職権型の委員会を規定せず,任命型もしくは選挙型 ラド,ハワイ,アイォワ,ルイジァナ,ミシガン,ネブ への新たな傾向を示した。このことは,当時,諸州にお

ラスカ,ニュー・メキシコ,ユタの8州である。ユタ州  いて公教育普及にともなう教育行政領域の拡大によりこ は,選挙の方法を法律に委ねているが,これを除く7州  れを「適切に処理する時間と能力と関心をもつ人物を委 は,選挙区など具体的方法についてはまちまちであるも  員会に配することが重要であるとの認識」が高まってき        1の

フの,いずれも有権選挙民ないしは住民による委員の直  たことを意味するものであったといわれる。しかも,こ 接選挙,つまり公選(popular election)を規定して のように職権による委員よりも任命もしくは選挙による

(8)

触       茨城大学教育学部紀要 第24号

委員をもって委員会を構成しようとする,その後の動向  会においては,特に知事との緊密な関連のもとでの教育 についていえぱ,かなりの期間,知事により全部もしく  行政関係業務の能率的遂行に重点がおかれているのに対 は一部委員が任命される型が次第に多くの州で採用され  して,後者の選挙型委員会では,州民の意志にもとつく るようになったが,近年では,むしろ州民の選挙つまり  教育行政関係業務の民主的遂行に期待がかけられている 公選により全部もしくは一部委員が選任される型がかな  といえるであろう。

      20)

阨°yしつつあるようである。な診,前者の任命型委員

第3表 現行19州憲法による州教育委員会の構成(選任方法)の型       ●

職  権  型 任  命  型 選  挙  型

フロリダ州 ジ・一ジア州 コロラド州

ミシシッピー州 ミズリー州 ハワイ州

オクラホマ州 ヴァージニア州 ルイジアナ州

ウェスト・ヴァージニア州 ネブラスカ州

ニュー・メキシコ州 ユタ州

職権・任命型 職権・選挙型

アリゾナ州

モンタナ州 ミシガン州

ノース・カロライナ州 サウス・カロライナ州

第3表は,第2表をもとに,現行憲法で委員の選任方 が選挙による,いわば任命・選挙型(appointed and 法を規定している19州を上記の型にしたがって分類し  elected type)がわずかにネヴァダ州においてのみ法 たものである。同表によれば,これらの州のうち,職権  律で規定されているにすぎないことも,注目されよう。

型を採用しているのが3州,任命型および選挙型を採用   (3)委員の報酬

しているのがそれぞれ4州齢よび6州である。そして,   現行憲法において州教育委員会に関する何らかの規定 組合わせの型として,職権・任命型(ex−officio and ap一 を設けている25州のうち,その大部分の16州は,委

pointed type)が4州,職権・選挙型(ex−officio and  員の報酬(compensation)問題には全く言及せず,わ elected type)が2州となっている。つまり,すでにも指摘  ずかにアリゾナ,コロラド,ジョージア,アイオワ,ル

したように全部職権委員の型がきわめて少ないのに対して  イジアナ,ミシシッピー,ミズリー,ネブラスカ,サウ 全部もしくは一部委員任命の型や,全部もしくは一部委  ス・カロライナの9州が若干のことを定めている程度で

員選挙の型が,いずれも8州と相伯中して多くなってい  ある。

ることがわかる。参考までに付言すれば,1969年現在,  これらの9州については,第2表に見られるように,

州教育委員会を置く48州のうち,全部もしくは一部委  アリゾナ,コロラド,ルイジアナ,ネブラスカの4州憲 員任命型が31州というようにその大部分を占め,これ  法が委員に報酬を支給しないことを明示している。ここ についで全部もしくは一部委員選挙型が14州とかなり  で報酬というのは,むしろ定期的に一定額を支給される の比重を占めていることが指摘できる誓)なお,一部委員  俸給(salary)の意味に解されよう。しかし,同時に,

が任命もしくは選挙による場合,他の一部委員がたいてい  この4州では,会議出席や印刷のため,もしくは責務遂 の州の一般行政官や州教育長を含む職権委員であること, 行のために必要な経費,あるいは州議会の定める日当や 特に近年では州教育長を職権委員とする傾向が顕著に見  経費を委員に支給することを定めている。これに対して,

られること勿それから,一部委員が任命,他の一部委員  ジ・一ジア,アイオワ,.ミズリー,サウス・カロライナ

(9)

の4州憲法は,委員報酬の支給の有無について明文規定  務のために所定の俸給を受領する職権委員であったこと を有しないものの,やはり同様に報酬を支給しないこと  によることも事実であるが,しかしその後,任命もしく を暗黙の前提として委員の日当・旅費・必要経費を規定  は選挙による委員が次第に多きくなってきた段階におい しているとみられる。また,残る1州つまリミシシッピ  ては,むしろ「その地位は」,金銭的報酬の対象として 一州の憲法は,委員報酬については法律により定めると  求められるものではなくて「すぐれた市民が自州のため

して,その取撫を州議膝ねて幡.船先髄 睡仕する機会をもつ鰭ある場所とみなされるべき瑠 べたように,実に16州が憲法上委員報酬の問題に全く  といった名誉職的観念が一般的に受容されてきたことに 言及していないが これらの州も結局のところこの問題  よると考えられる。実際一・二の州において委員の年 州齢の判断に遜しているものと考えて、い。 断定めている事鵡あるにしても,ほとんどの州では,

ところで,現行州憲法にみられる委員報酬にっいての  メールマン(A.B.Moehlman)の指摘するごとく,「地 このような消極的態度は,何も新らしい傾向ではない。  方教育委員会と同様,州教育委員会についても,強力な マ。ゼンの研究によれ縛1857年から187。年までに伝統として,繍酬で奉仕すること醐待されてい認 採択された11州憲法では3州憲法が,次いで1875年  ようである。

から1898年までに採択された12州憲法では2州憲法   (4)委員会の責務および権限

が,そして1902年から1929年までに採択された10  多くの現行州憲法では,州教育委員会の責務・権限に 州憲法では2州憲法が,わずかに委員に対する日当・旅  ついて各様の規定を設けているが,これを具体的に検討 費もしくは必要経費程度のものの支給を規定してきたに  していくための便宜として,第2表の該当欄を項目別に すぎない。もちろん,この報酬問題についての消極的態  整理しな於したのが第4表である。

      」 xは,元来,たいていの委員が別の州行政官としての本   同表によれば現行25州憲法のうち,アリゾナをは

第4表 現行25州憲法における州教育委員会の責務・権限

番号 責  務 ・ 権  限 州憲法名 (州名 )

1 州議会もしくは法律により定める。 アリゾナ,コロラド,ジョージア,アイ ダホ,ルイジァナ,モンタナ,ネブラス カ,オハイオ,オクラホマ,テキサス,

ヴァージニア,ウェスト・ヴァージニァ 2 州議会もしくは法律の定める他の責務・権限をもつ。 カリフォルニァ,イリノイ,サウス・カ

ロライナ

3 公立学校制度への政策をたて,決定する。 ハワイ,イリノイ 4 公立学校政策・職業教育政策を決定する。 ニュー・メキシコ 5 公立学校政策施行の第一次的責任をもつ。 ヴアージニア 6 コモン・スクール,その他の教育機関の規則を制定する6 アイオワ

7 無償公立学校・教育資金に関する規則を制定する。 ノース・カロライナ

8 委員会の規則を刊行・配布する。 アイオワ

9 公立学校の一般的監督もしくは支配を行なう。 アリゾナ,コロラド,ハワイ,アイダホ,

ニュー・メキシコ,オクラホマ,ユタ

10 公教育制度を監督する。 フロリダ

11 無償公立学校制度の監督・管理を行なう。 ノース・カロライナ 12 無償学校の一般的監督を行なう。 ウェスト・ヴァージニァ 13 コモン・スクール,その他の教育機関を規制する。 アイオワ

14 州立大・農工科カレッジを除く高等教育機関を監督する。 ルイジアナ

(10)

86       茨城大学教育学部紀要 第24号

番号 責  務 ・ 権  限 州憲法名 (州名 )

15 成入教育,若干の高等教育を含む公教育を指導・監督する。 ミシガン 16 州立大,その他の州教育機関の一般的支配・監督をする。 モンタナ  幽 17 州学校制度,その他の活動の一般的監督・行政をする。 ネブラスカ

18 土地,その他の財産の遺贈・贈与・交付を受ける。 ジョージア

19 学校基金の運用・投資をする。 ミシシッピー

20 公立学校のための教育資金を監督・管理する。 ノース・カロライナ

21 公立学校財政について勧告する。 イリノイ

22 全初等学校の統一的な教科書を規定・編集・採択し,無償 カリフォルニア で児童に供与し,4年間は改訂しないこと。

23 公立学校用教科書・教授用具の認可をする。 ヴアージニア

24 私立学校・カレッジの設定を認可する。 ルイジアナ

25 初等・中等・職業・師範学校,カレッジの教員資格・免許 ルイジアナ を定める。

26 教員資格の検定規則を定める。 サウス・カロライナ

27 公教育に関して知事・州議会へ年度報告する。 ヴァージニア

28 州教育長を任命もしくは選任する。 コロラ ド, ハワイ, イ リノイ, ニュー・

メキシコ,オハイオ,ユタ, ウェスト・

ヴァージニア 29 執行官となるべき書記官を任命する。 アイオワ

30 州教育長を任命し,任期を定める。 ミシガン

31 州教育長を任命し,報酬を定める。 ネブラスカ 32 州教育長を選任し,責務・俸給を定める。州教育長を解任 ミズリー

できる。

33 教委と教育長は,州教育局を構成する。 ネブラスカ 34 州教育長の推薦により専門員を任命し,俸給を定める。 ミズリー

35 教区教育長の資格・責任を定める。 ルイジアナ 36 上院の承認を得て,カウンティ教育長を任命する。 ミシシッピー 37 学校区教委に対して教育長適格者名簿を確認し,学校区教 ヴアージニア

委が教育長を選任できない場合は,これを任命する。

38 学校区の区分,現存学校区の妥当性を検討する。 グアージニア

39 州議会は,委員を司法官とし,その学校関係行為を司法行 アラバマ 為と規定する権限をもつ。

(11)

じめ15州にのぼる多くの州憲法が委員会の責務・権限   このように,多ぐの州憲法では,州教育委員会に,主 のすべてもしくは一部を州議会ないしは法律の定めると  に初等・中等段階の公立学校に対する政策の決定・施行 ころによるとしている。(1,2一本表左端番号) もっ  および必要な規則の制定に加えて,監督の権限が賦与さ とも,テキサス州の場合のように,委員会の責務は「法  れており,しかも若干の州憲法では,これに対する何ら 律により定める」とのみ記されているのはむしろ例外で  かの財政上の権限や,高等段階の州教育機関ないしはそ あって,たいていの場合,詳細もしくはその他の点は法  の他の教育活動に対する監督の権限が認められているこ 律に委任しながらも,委員会の管掌すべき主要な事項は  とがわかる。なみ,ごく少数の州憲法においてではある 何らかの形で一括して表現されているようである。    が,私立学校に対して,もしくは私立学校を含めて,委 同表の順序にしたがえぱ,州教育委員会の主要な責務  員会に若干の権限が賦与されている場合もある。たとえ

・権限としては,まず公立学校もしくはコモン・スクー  ぱ,ルイジアナ州は,委員会が私立学校およびカレッジ ルに関する政策を決定ないしは施行し,必要な規則を制  の設立を認可することや,初等・中等学校,職業学校,

定すべきことが,ハワイ,イリノイ,ニュー・メキシコ, 師範学校詮よびカレソジの教員資格詮よび免許を定める ヴァージニァ,アイォワ,ノース・カロライナの6州憲  こと,サウス・カロライナ州は,教員資格の検定規則を 法において規定されている。ただし,ニュー・メキシコ  定めること。そしてカリフォルニア州は,全初等学校用 州の場合は,同州の職業教育政策にまで委員会の管掌す  の,少なくとも4年間は改訂されない,統一的な教科書 る範囲が拡大されている点が注目される。(3−8) な  を規定・編書・採択し,これを無償で全児童に供与する お,1972年現在,州教育委員会の存する49州中43  ことを定めている。(24−26,22)いうまでもなく,

州に澄いて,委員会が何らかの法規により同時に州職業  これらの諸州では,上記の諸権限を通じて委員会による 教育委員会(state board for vacational educa一 公の支配が私立学校にもおよぶとしていること,そして tion)としての責務・権限を有していることも勿付記し  特にカリフォルニァ州の場含全初等学校のための州定 て劃こう。       教科書制度が見られることは,ともに注目されよう。

次に,委員会が公立・無償学校,コモン・スクールな   さらに,かなり多くの州憲法では,州教育委員会にそ いしは公教育制度を監督・管理することが,アリゾナ,  の書記官於よび執行官としての州教育長(state supe一

コロラド,ハワイ,アイダホ,ニュー・メキシコ,オク  rintendent)を任命する権限が賦与されている。すな ラホマ,ユタ,フロリダ,ノース・カロライナ,ウェス  わち,コロラド,ハワイ,イリノイ,ニュー・メキシコ,

卜・ヴァージニアの10州憲法において規定されている。 オハイォ,ユタ,ウェスト・ヴァージニァ,アイォワ,

(9−13,17)これに対して,コモン・スクール  ミシガン,ネブラスカ,ミズリーの11州が憲法でその 対外の教育機関,若干大学を除く高等教育機関,成人教  ことを規定している。しかも,これらのうち,ミシガと 育や若干の高等教育機関,州立大学やその他の州教育機  ネブラスカ,ミズリーの3州は,委員会が州教育長の任 関,あるいは州議会の指示する他の教育活動にまで,委  期や報酬もしくは責務を定め,あるいは州教育長を解任

員会の監督権が澄よぶことが,アイオワ,ルイジアナ,  することができるとしている。(28−32)そのほか ミシガン,モンタナ,ネブラスカの5州憲法に詮いて規  ネブラスカ州では,委員会が州教育長とともに州教育局 定されており,との点は興味をひくところであろう。(13  (state department of education)を構成するこ 一17)      と,そしてミズリー州では,州教育長の推薦により専門

また,委員会の公立学校に関する財政上の権限として  員を任命し,俸給を定めるとしている。(33,34)

土地・その他の財産の遺贈・贈与・交付を受けること,   それから,若干の州憲法では,州教育委員会に地方教 学校基金(school funds)の運用・投資をすること,  育行政に関する何らかの責務・権限が与えられている。

教育資金を管督・管理することなどが,ジ・一ジア,ミ  たとえば,ルイジァナ州では,委員会が教区教育長(pa一 シシッピー,ノース・カロライナ,イリノイの4州憲法  rish superintendent)の資格や責任を定めること,

に澄いて定められている。(18−21)そのほか,公  ミシシッピー州では,上院の承認を得てカウンティ教育 立学校に関して,ヴァージニァ州憲法では,委員会が教  長(county superintendent)を任命すること,そし 科書・教授用具を認可することや,知事および州議会に  てヴァージニア州では,学校区の区分,現在学校区の妥当性 年度報告をなすべきことが定められている。(23,27)  の検討をするほか,学校区教育委員会(division school

(12)

88       茨城大学教育学部紀要 第24号

board)に対してその教育長(division superintend。 ること,これらの点では,たいていの諸州に澄いてほぼ ent)適格者名簿を確認し,同委員会が教育長を選任で  一致した認識があることも知ることができた。もちろん,

きない場合は,これを任命することとしている。(35  合議機関としての委員会のこの役割は,基本的にはその 一38)      執行機関として位置づけられるべき州教育長によって現閂

このように,現行25州憲法にみられる州教育委員会  実に具体化されるわけであるが,この州教育長に関する の責務・権限は,確かに多様であるが,その全体を今一  現行州憲法上の規定内容については,さらに稿をあらた 度要約すれば,初等・中等段階の公立学校に対する政策  めて考察したいと思う。

決定・規則制定澄よび監督,高等段階のものを含む若干

の州教育機関於よびその他の教育活動に対する監督,公       〔注および引用゜参考文献)

立学校の財政,私立学校設立の認可,教員資格検定規則   1)拙稿「アメリカ現行各州憲法の教育規定の全般的比較 の制定,州定教科書診よびその無償供与,そして州教育    一教育規定の量と形式とを中心に一」(茨城大学教育学

      部紀要,第23号,昭48)を参照されたい。長の任命・解任,地方教育長の資格規定・選任などのほ

       2)公立のコモソ・スクールに関して責任を有するようにか,法律で定められる諸事項にわたっているということ

なったのは,1904年になってからである。

ができる。ただし,上記に論ける諸州の憲法規定の状況

3) F.F. Beach and R.F.Will;The State and からもほぼ察せられるように,これらのうち,特に初等      Education, U.S.Office of EducaUon, MisceHane一

・中等段階の公立学校に対する政策決定・規則制定ない       ous No.23,1955, P.7.

しは監督が,しかもかなり多くの州では,これに加えて   4) J.M.Matzen;State Cons樋tu伽nal Pゆvisions

州教育長の任命が現在のたいていの州教育委員会の中心    for Education,1931, p.14.       ノ

Iな管掌事項となっているようである。なお,参考まで   5)拙稿「アメリカ合衆国憲法の教育規定の歴史的変遷」

に付言すれば,「概して早期の州憲法以来,次第に委員    (茨城大学教育学部紀要,第22号,昭47)の65ペー 会に多数の,かつ藪な任務鮪えられる傾向があっ謂  ジ以下鯵照され帆

とみられること,そしてその重要な任務の一つとして,   6)ここで扱う25州憲法中・6憲法が般Board of Edu一

      ca廿on ,19列オがヒ建State Board Qf Educa廿onとたとえば州教育長の任命が今世紀に入って州憲法上かな

      規定している。り目立って認められるようになったことも指摘されよう。

7)以下,本表を含めて,本稿での主要資料は,S.S.Ab一 4. 州教育委員会に関する現行州憲法規定    「ahamson ed・;Cons廿t岨ons碇the United S毎te馬

の総括      Na伽nal and S厩・2vols・1962による。

8) S.P.Harris ;State Departments of Education,

以上,現行州憲法の州教育委員会に関する規定内容を    State Board、(匠Eduea伽n, and Chief St晩Sch一 仔細に検討してきた。端的にいって,委員の定数や任期    ool Officers,1973, p.6g.

については,まったく区々であった。ただ,多くの場合,  g)L.C.Deighton ed.;The Encyclopedia of Edu一 各委員の任期が一一・二年ずつずれて始まるように工夫さ    ca面n, vOl.8,1971,pp.418−419.

れ,委員会の教育行政上の経験が連続して有効に生かさ  10)ここでとりあげる19州以外に,アイダホ州もこれに加 れるように配慮されていることが注目された。また,委員の    えることができる。同州憲法では,州教育長を職権委員 選任方法については,一般にアメリカの教育委員会は公    とし・他の委員の選任方法を法律に委ねている。

      11) E.P.Cubberley;State S chool AdministratiQn,選による素人委員会であるといわれているにもかかわら

      1927,P.286.ず,この点でもかなりまちまちであり,しかも特に近年,

12)オクラホマ州憲法では,現在も,委員会は「法律で別

公選制の導入が普及しつつあるとはいうものの,現在の      段の定めがなされるまでば」職権委員で構成されるとし ところ,任命による委員を含む委員会が意外にも大勢を      ているが,実祭には法律により職権委員としての知事と 占めていることがわかった。しかし,委員の報酬や委員      知事の任命する6委員とで構成されている。

会の責務・権限についていえぱ・委員はそれぞれの州民   13)アリゾナ州では,職権委員としての州教育長.州立大 のために無報酬で奉仕する名誉職的なものとみられてい    学長・州立師範学校長と,任命委員としてのカウソティ ること,また委員会は初等・中等の公立学校に対する    教育長・市教育長・ハイスクール校長とで,つまり教育 政策決定・規則制定ないしは監督を中心的任務としてい    関係者だけで委員会が構成されている点も注目される。

(13)

14)L.C.Deighton ed.;op. cit。,pp.418−419.      長を職権委員とする州は,1940年,1950年,1954年 15)ibid・;PP.418−419.      ,においてそれぞれ19州,17州,16州と漸減したが,

16) ibid.;p.419.      1972年においては再び22州と急増している。

17)ibid・;PP・418−419.      23)J.M.M・t・e・;・P.・it., PP.17−18.

18)J.M.M・tzen;・P. dt., P.22.       24)ib1d.;P.18.

19) ibid.;p.24.      25)ユタ州では,1972年現在,委員に年600ドルを越え 20)E.L.Morphet, R.L. Johns, and T.L. Rener;     ない報酬のほか,旅費を支給することを定めている。

Ed・・a廿゜nal Admi・i・t鳳ti…1959・P.196.    26)A.R, M。・hlman;S・h・・I Admi・i・t鰍ti・。,1951.P.343.

21)L・C.D・igh伽・d.;・P. cit., PP.418−419.   27)S.P.H・・ri・;・P.,三t.,わ.60.

22)S・P.Harri・;・P.・it.・P.68によれば,州教育  28)J.M.M・tzen;・P. cit., P.35.

American Current State Constitutional Provisions for State Board of Education

Sadao Uehara

Abstract

The American current§tate constitutional provisions for education are different respective一 ly in the various aspects of these quantities, forms, and contents. In the other thesis, I already dealt with such const丑tutional provis量ons, especially in view of these quantities and forms.

Now, I must begin the analysis of the contents of state constitutional provisions長)r educat童o凱 Ih this thesis, as the first step I will try to take up and analyse the contents of sta壬e con・

stitut量onal provisions relating to the state boards of education.  

The main contents of this thesis are as follows:

1.Development of state boards of education.

2.Adoptions of state constitutional provisions relating to state boards of education, and a summary of these current provisions.

3.Analyses of the current state constitutional provisions relating to state boards of educa・

otlon.

1)number and term of office of board member&

2) selection and qualification of board members.

3)compensation of board members.

4) powers and duties of the boards.

4.Summary of current state constitutional provisions relating to state boards of educatio氏

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