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アメリカ現行各州憲法の教育規定の全般的比較
一教育規定の量と形式とを中心に一
・
教育学科教育制度研究室 上 原 貞 雄
(昭和48年10月29日受理)
シー(1870),ウェスト・ヴァージニア(1872)・アーカ 1・現行各州憲法の制定年次 ンソ_(1874),テキサス(1876),フ・リダ(1887),
独立革命以来,旧諸州をはじめとして,その他の諸州 ミシシッピー(1890)・ケンタッキー°(1891),サウス゜
においても,轍,憲法が制赴れた.しかも,州に カ・ライナ(1895)などの諸州において・それぞれ大巾畠 よっては,憲法の部分的修正(Amendment)は別とし な改正がなされ・これが現行憲法としーて保持されている て,その全面的改正(Revision)つまり新憲法の制定も ことがあげられる。概して,南部諸州の現行憲法の場
しばしば行なわれてきた。なお,この間の教育規定の歴 合,いくたびかの改正を経たものが多く,特に顕著なも j的変遷については,既に別備熟とりあげたとおりのとしては・たとえばサウス・カ・ライナ州の第・離 である。 (1895)・アラバマ州の第6憲法(1901)・ヴァージニア 現在,ア刈給衆国は50州より成るが,それぞれの 州の第7憲法(19・2)・ジ・一ジア州の第8憲法(1945)
現行州憲法の制定年次は,ほとんど異っている。(第1 があり,加うるにルイジアナ州にいたっては第IO憲法 表参照)現行各州憲法のうち,とりわけ早く制定された (1921)というぐあいであることも指摘されよう。なお
ものは,独立宣言直後のマサチュセッツ(1780年制定・ 近年制定された州憲法には,最もおくれて連邦に加盟し 以下年代のみ略記)をはじめ,ニュー・ハンプシャー たアラスカ・ハワイ両州のもの(1959)とミシガン州の
(1784),ヴァーモント(1793),コネティカット(1818)・ 第4憲法(1964)とがある。
メイン(1820),ロード・アイランド(1843)を含む二 このように,一一口に現行各州憲法といっても・それら ユ_.イングランド諸州の場合であり,続いては,ウィ の制定年次には各様のへだたりがあり,したがって歴史 スコンシン(1848),インディアナ,オハイオ(1851) 的に異った段階のものが並存しているわけである。それ の旧北西部領地(Northwest Territory)より誕生した だけに,現行各州憲法を比較することは・決して容易で 諸州の場合であ。て,しかもそれらについては,以後若 はないといえよう・ここでは覗行額1憲法の教醐定 干の修正を受けたにせよ,基本的には,最初の憲法が, について・今後その内容上の詳細な問題別比較に立ち入
あるいはそうでなくとも比較的早期に制定された憲法が るための一応の予備的考察として,こく大ざっぱなが そのまま優に一世約以上にわた。て継締行されている ら・その量や形式の面を中心とした,いわば全般的な比 、
ニいえる。また,これらに次いで,ほぼ南北戦争以後, 較を試みたいと思り。
驚鷲騨階聾瓢歳ミ歪;12・現行各州憲法の教育規定の量
ダ(1864),コ・ラド(1876),モンタナ,ノース・ダコ (1)資料とその処理上の問題
タ,サウス.ダコタ,ワシントン(1889),アイダホ,ワ 現行各州雛の制定轍カミまったくまちまちであるの イオミング(189・),ユタ(1896)などの諸州雛が制 と同様に・鮪規定給めて,それぞれの憲法規定の量 定され,それぞれ当初臆法がそのまま現櫃法として にも大幅な相違棚られる・そこで,このことを一層判 存続している.これに対して蒲北戦争以後,いわゆる然とするために・鞘な現そ徳法資料によ・てはずそ 再建の時期(Reconstruction Period)を通じて・南部 の量的な把握をしてみたい。
もしくはその賑とみられる諸州にお・・て,たとえばメ ここで扱憶法資料は・アブラハムソ瀟胎姻の アリランド(1867),ノース・カ・ライナ(・868),テネ 憲法一国と州との一』(∬Ab「ahams°n ed・;
第1表 現行各州憲法の全規定と教育規定とのページ数および条節数
現 行 各 州 憲 法
(繍鎌轍宣購雛
備 考マサチュセッッ州憲法※ 1780(1787) 58 2%△ 4△ ・
撃P3州の1つ(ニュー・イングランド)
ニュー。ハンプシャー州第2憲法 1784(1787) 23 %△ 1△ 同上(ニュー・イングランド)
ヴァーモント州第2憲法 1793(1791) 15 %△ 1△ (ニュー・イングランド)
コネティカッ ト州憲法※ 1818(1787) 14 % 2
旧13州の1つ(ニュー・イングランド)
メ イ ン 州 憲 法※ 1820(1820) 21 % 1 (ニュー・イングランド)
ロード。アイランド州憲法※ 1843(1790) 34 % 4
旧13州の1つ(ニュー・イングランド)
ウィスコンシン州憲法※ 1848(1848) 27 1%△ 8△ 旧北西部領地
インディアナ州第2憲法 1851(1816) 20 1 8 同上 オ ハ イ オ州第2憲法 1851(1803) 47 %△ 4△1 同上
ア イ オ ワ州第2憲法 1857(1846) 23 2% 22 ミ ネ ソ タ 州 憲 法※ 1857(1858) 33 2%△ 7△
オ レ ゴ ン 州 憲 法※ 1859(1859) 43 2%△ 11△
カ ン サ ス 州 憲 法※ 1861(1861) 25 1%△ 10△
ネ ヴ ァ ダ 州 憲 法※ 1864(1864) 36 2 △ 10△
メアリランド州第4憲法 1867(1787) 68 % 3 旧13州の1つ(南部)
ノース・カロライナ州第3憲法 1868(1787) 26 2%△ 12△ 同 上 (南部)
イ リ ノ イ州第3憲法 1870(1818) 37 % 5 旧北西部領地
テ ネ シー州第3憲法 1870(1796) 26 % 1 (南部)
ウェスト・ヴァージニア州第2憲法 1872(1863) 39 2 △ 12△ (南部)
アーカンソー州第5憲法 1874(1836) 41 1%△ 8△ (南部)
ペンシルヴェニア州第4憲法 1874(1787) 41 % 3 旧13州の1っ(中部)
ネブラ スカ州第2憲法 1875(1867) 35 3シ≦△ 17△
コ ロ ラ ド 州 憲 法※ 1876(【876) 63 3 △ 16△
テ キ サス州第5憲法 1876(L845) 84 83・6△ 18△ メキシコ領土割譲(南部)
カリフォルニア州第2憲法 1879(1850) 128 5%△ 15△ 同上
フ ロ リダ州第5憲法 1887(1850) 58 6△118△ (南部)
モ ン タ ナ 州 憲 法※ 1889(1889) 47 1%△ 12△
ノース・ダコタ州憲法※ 1889(1889) 50 7 △ 27△
サウス・ダコタ州憲法 1889(1889) 51 3%△ 19△
ワ シ ン ト ン州憲法※ 1889(1889) 44 2 △ 10△
ア イ ダ ホ 州 憲 法※ 1890(1890) 36 2 △ 11△
ミシシッピー州第5憲法 1890(1890) 43 3馳、3△[(南部)
ワ イ オ ミ ング州憲法※ 1890(1890) 39 3%△ 23△
1
上 原:アメリカ現行各州憲法の教育規定の全般的比較 177
現 行 各州 憲 法 (連邦加盟年次)
、 i 1
ァ定轍
フ騨欝懲
備 考ケンタッキー州第4憲法 1891(1792) 46 1P △ 7△ (南紛
ニュー。ヨーク州第4憲法 1895(1792) 75 % 4 旧13州の1つ(中部)
サウス・カロライナ州第7憲法 1895(1787) 76 2 △
@ 1 12△ 同 上 (南部)
ユ タ 州 憲 法※ 1896(1896) 35 1%△1 13△
デ ラ ウ ェ ア州第4憲法 1897(1787) 41 % 4 旧13州の1つ(中部)
ア ラ バマ州第6憲法 144 30 △ 15+修正 (南部)
ヴ。一ジニア州第聴法i19・2(178,) 58
3 △ 14△ 旧13州の1つ(南部)
1オ ク ラ ホマ州憲法※ 1907(1907)
105 1 T%△ 22△
ア リ ゾ ナ 州 憲 法※ 1912(1912) 44 3 △ 21△
ニュー。メキシコ州憲法※ 1912(1912) 43 3%△ 1 13△1 リレイ ジアナ州第10憲法
撃宴Wヨージア州第8離 ミ ズ リ ー 州 第 4 憲 法
ユ921(1812)
P945(1787)
P945(182エ)i
@ 1
399 12%△1 26△ 157!3%A 13△
C,2%i・・ ヨ
(南部)
撃P3州の1つ(南部)
ニユー・ジャージー州第3憲法 1947 (1787) 27 { %△; 4△ 旧13州の1つ(中部)
ア ラ ス カ 州 憲 法※
聯画%い引3
ハ ワ イ 州 憲 法※
シ ガ ン州第4憲法
1959(1959) 24
@ 11964(1837)1 40
@ 1
t%i 51 2 9 1
旧北西部領地
(注1)本表は,S. S. Abrahamson ed.;Constitutions of the United States, National and State,2vols・・
1962・を主な資料として作成した。
(注2)現行各州憲法は,その制定年次の早い順で列挙した。同年次の場合は,アルファベット順とした・※印は,
最初の憲法をそのまま現行憲法として保持している場合である。
(注3)現行各州憲法全規定のページ数については,上記書物中,州憲法名の大見出し,注釈・目次を除く実質ぺ一 ジ数をかかげた。また,現行各州憲法の全規定および教育規定は,その制定後における修正を加えたものを 採用した。
(注4)現行各州憲法教育規定のページ数および条節数については,直接の教育規定とみられるもののみを記した。
これらの直接的教育規定を構成する具体的内容は,第2表の該当欄を参照されたい。なお,△印は,特にか かる教育規定のうち修正規定が含まれている場合である。
Constitutions of the United States, National and のうち,比較的短文簡略な州憲法の場合には,その教育 State,2vols., Published for Legislative Draftin9 規定の把握は案外に容易であるが,これに対して・長文 Research Fund of Columbia University,1962.)であ 詳密な州憲法の場合には,直接の教育に関する条節以外
る。現在のところ,現行各州憲法条文テキスト集として にも各所で関連的に教育にかかわりをもつ規定が散在し これ以上にまとまったものはないようである。 ているので,教育規定の数量化はなかなか厄介なことに
この資料を使って,現行各州憲法の全規定とそのうち なる。たとえば,「教育」などといった見出しのもとで
の教育規定とを量的に把握しようとする場合,当然に, の,直接の教育に関する条節のほかに,「権利章典」の o
一つの重要な問題が生じてくる。っまり,教育規定と 条節中信教の自由との関連において,あるいは「立法 しては,具体的にどのような形式または範囲のものをと 府」の条節中立法府に対する権限上の制限との関連にお りあげるぺきかということである。実際,現行各州憲法 いて,あるいは「課税と収入」の条節中全般的な財政問
題との関連において,間接ながら,それぞれ教育に重大 上になることになる。もちろん,その主要な理由として な影響をもつ規定が少なからず見いだされるのである。 は,一つには,別の論文で指摘したように,ジャクソニ しかし,このような,いわば関連的もしくは間接的なも アン・デモクラシー固有の直接民主制的発想から政府の のは,憲法中のあちこちに,しかも各様なしかたで,か 権限を仔細な点までチェックする意味において,長文詳 なり分散しており・これを酵の糖規定とい・し・に 欝鮪規定が設けられるよう}・な・たことがあげられ キるのはかえってすっきりしないことになるので,これ る。また,一つには,多くの西部新諸州への設置法を通 については,いずれ後ほど論及するとして,ここでの各 じて「連邦議会によりかくも寛大に配当を決定された学 州憲法教韻定の数量化に際して}よ,それぞれ臆法中・校肚地懲分のとりきめを憶法中に槻定する腰 サれが明確に直接の教育規定であるとみられる,しかも のあったこと」があげられる。さらには,恐らくこの間 そのような意味で形式上何らかのまとまりをもっている における各州ほぼ一致しての公数育の重視およびその発 条節のみを対象としてとりあげることとする。 達普及によることが考えられよう。しかし・近年制定の
(2)教育規定のページ数と条節数 州憲法,たとえばアラスカ,ハワイなどの諸州憲法にみ 現行各州憲法における教育規定の長文詳密あるいは短 られる新らしい傾向として,再び短文簡略な教育規定へ 文簡略の程度は,具体的にいって,一つには,上記アブ の復帰のきざしが見られつつあることも事実である。ま ラハムソン編『合衆国の憲法』のそれぞれの条文テキス た,こうした傾向に有効な影響をおよぼしたといわれる トにおいて教育規定がどれほどのページ数を占めている 全国都市連盟(National Municipal League)の試作し かによって知られるし,また一つには,それぞれの条文 た模範州憲法(Model State Constitution),たとえば テキストにおいて教育規定がどれほどの条節数にわたっ その最新第6版(1963)においては,全憲法16べ一ジ,
ているかによゲてもはかられると思う。第1表は,主に 教育規定5行・その節数1というぐあいてあって・そこ 現行各州憲法の全規定および教育規定のページ数と教育 に将来の州憲法およびその教育規定のありかたを看取す 規定の条節数とを,さきほど述ぺた観点にしたがって, ることもできる。
それぞれ示したものであるをなお,各教育規定の条節数 なお,このように,それぞれの教育規定の量に多寡は については,条のみの場合は条数を,また条のもとに節 あるにしても・ともかく,すべての現行各州憲法におい のある場合は節数の計を掲げることとした。 て例外なく教育規定がおかれていることは,恐らくは,
同表をごく大ざっぱにみただけでも,明らかにいくつ 伝統的な地方分権主義の立場から,教育行政における州 かのことが指摘できる。まず,現行各州憲法の全規定の 政府の固有の権限と責任とを重んじるアメリカ国民の一
べ一ジ数に関しては,初期州憲法を依然現行のものとし 致した認識を示すものとして,特筆されてよいと思う。 3)ているマサチュセッツ,ニュー・ハンプシャー,ヴァー
@ 3. 現行各州憲法の教育規定の形式モント,コネティカット,メインの場合は比較的短文簡
略であったのに対して,その後ジャクソンの時代および (1)直接的教育規定
南北戦争の時期を経て,次第に長文詳密な州憲法があら 現行各州憲法の教育規定については,そのぺ一ジ数や われ,テキサス,カリフォルニア両州の場合,特にその 条節数の上でかなり大きな相違があったが・同様に,そ 顕著なものが認められ,今世紀にいたっては・アラバマ の規定がおかれている形式の上でもさまざまな相違が認 オクラホマ,ルイジアナ州の場合において,そのクライ められる。もちろん,教育規定としてはり特に「教育」
マックスに達した状況が一応みられる。次に・こうした などといった見出しのもとに独立のまとまった条文を設 短文簡略なものから長文詳密なものへという傾向は,当 けている場合,もしくはそうでなくとも・何らかの適当 然ながら,憲法中の教育規定についても大体あてはまる な条文のなかで教育を主題としていることが判然とわか わけであるが,その傾向は一層強いように思われる。実 るような若干の節または部分のある場合と・「教育」な 際,1857年のアイオワ州憲法制定以後,ことに1875年 どといった見出しの条文以外において,もしくは教育を のネブラスカ州憲法制定以後,次第に教育規定が多く 主題とした諸節または部分を含まない何らかの条文にお なっており,加えて,それぞれの憲法全体に占める比重 いて,附随的に教育に関することが定められている場合 の点でも,ネブラスカ,テキサス・フロリダ・ノース・ と一つまり,直接的教育規定と関連的教育規定と一 ダコタ,ワイオミング,アラバマなどの諸州の場合ペー がある。前節では,直接的教育規定だけをとりあげて ジ数の上でほぼ1割前後におよぶほどであり,なお他の 数量化し比較したわけであるが・今度は,それだけでな 条節に分散している関連規定を含めると,さらにそれ以 く・できる限り関連的なものも含めて考えてみたい。
上 原: アメリカ現行各州憲法の教育規定の全般的比較 179
第2表 現行各州憲法の教育規定の形式
州名(現行憲法制定年次)
直接 的教 育規 定 関 連 的 教 育規 定
マサチュセッツ(1780) Ch.5 ケンブリッジにある大学及び文学 の振興,その他(S・1−2)
Am. Art.18学校用金銭の宗派学校への 使用禁止(1855)
Am. Ar亡.46 S.2(上記Am.の修正,1917)
ニユー・ハンプシャー Art.83文学のi奨励,法人・独占・信用の
(1784)
統制
ヴァーモント (1793) S・64徳行奨励・悪徳防止の法律,学校,
宗教団体
コネテ・カ・ト(1818)i賦・教育(Sレ・) 1
メ イ ン(1820) Art.8文学 Art・1権利宣言S・3宗教的自由,宗派,
の平等,宗教テストの禁止,宗教教師
ロード゜アイランド Art.12教育(S.1−4) (1843),
ウ・スコンシン(・848)}A・・…教育($・−8)
インデ・アナ(1851)1飢8教育(S・−8) }
オ ハ イ オ(1851) Art.6教育(S.1−4) Art.1権利章典S・7良心の権利,宗教,
知識の必要
ア イ オ ワ(1857) Art.9教育と学校基金用地 Art.11雑則 S。8 政府所在地,州立大 1st教育(S.1−15) 学
2st学校基金と学校基金用地(S・1−7)
ミネソタ(1857)IA・・8学薩金,教育と科学($・−7)}
オ レ ゴ ン(1859) Art・8教育と学校基金用地(S・1−6)
Art.11F(1)高等教育建築プロジェクト
(1950追)
カ ン サ ス(1859) Art.6教育(S.1−10) オーディナンスS・12,6,7(学校及び大学 基金用地,学校のための収益など)
ネヴ・ダ(1864)1航・1蒲(S・一・・) 1 メアリランド(・867)1触8教育(&1−3) i
ノース゜カ゜ラ サ緬1舷9糖(S・−12) i航・権利宣言S27鮪 イリノイ(18・・)A…1糖(S1−・) i
テ ネ シ ー(1870) Art.11雑則
S.12教育奨励,コモン・スクール基金,
人頭税・白人と黒人,カレッジの権 利など
州名(現行憲法制定年次)
直接的教育規定 関 連 的 教 育規 定 ウェスト・ヴァージニア Art・12教育(1−12) Art.10課税と財政 10よりよい学校の
(1872)
ための修正 アーカンソー(1874) Art.14教育(S.1−4)
Am. No.11(1926), Am. No.40(1948),
Am. No.52(1964)(S.1−2)
ペンシルヴェニァ Art・10教育(S.1−3) Art.3立法S・17慈善,教育への支出
(1874)
Art.4執行S.20教育長
スケデュールNo.1S・8教育長 ネブラスヵ(1875) Art・7教育(S.1−17) 一7−} Art・1権利章典 S.27公用語としての
英語(1920追)
コ・ラド(1876)iA・・9鮪(S1−16) lA・・11公債3・学腱籟
一一一一一一 一一一一一一一一一一一 一一皿
テ キ サ ス(1876) lA…鞘一公撫償学校(S・−18) Art・1権利章典 S.7宗派目的の支出 禁止
Art・3立法府 S・48a教員退職基金,
一般要求及び制限
Art・11都市 S・10市またはタウンの学 区,特別税
Art・16総則 S.36学校教員の給与規定 カリフォルニア(1879) Art.9教育(S.1−15) Art・4立法府 S・30宗派目的の公費援
助禁止
Art.13収入と課税S.15州収入の配当,
学校の財政的保障
Art・16州負債 S・4州及び大学建築債
(1926追)のほか,S.15,16.5,17,
18,19,20において学校債規定(1949 1952,1954,1956,1958,1960追)
フ・リダ(・887)睡・・2鞘(S・−18) i
モ ン タ ナ(1889) Art・11教育(S.1−12) Art・12収入と課税 S,5市,タウン及 び学校目的のための税
Art・21モンタナ州信用及び遺贈基金 S・13州学校基金の収入 S・15学 校基金への移管
ノース・ダコタ(1889) Art・8教育(S・147−152) Art・2立法府 S・69地方法及び特別法 Art・9学校と公有地(S・153−165) Art・19公共機関S・216教育や慈善のた Am・Art・54州高等教育理事会(1938追) め交付された連邦地上の機関の位置 サゥス・ダコタ(1889) Art・8教育と学校基金用地(S.1−18) Art・14州機関 S.3教育機関
Art・28学校基金(S・1)(1900追) S・5鉱業,冶金の教育
ワシントン(1889) Art・9教育(S・1−5) Art・13州機関 S・1 教育,矯正,刑事 Art.16学校と交付地 (S・1一5) の機関
上 原:アメリカ現行各州憲法の教育規定の全般的比較 181
州名(現行憲法制定年次)
直接的教育規 定 関 連 的教 育規 定 アイダホ(189・)「A・し9鞘と学校基金馳(&・−1・)1
ミシシ・ピー(189・)IA…8鞘($2・・−213) 1
ワイオミング(1890) Art・7教育(S・1−23) Art.1権利宣言 S・23教育
Art.15課税と収入 S・15公立学校の財 政的保障のための課税
Art,18公有地及び贈与(S.1−6)
Art・21スケデュール S・28公立学校の ための規定
ケンタ・キー(189・)1鞘(S183−・89) 1 ニー・ヨーク(・895)航1・鞘(&・一・) }
サウス゜カ゜ラ テ畜9,)1恵・…鞘(S1−12) 1
ユ タ (1896) Art.10教育(S.1−13) Art.3オーディナンス 4th無償非宗派 学校
Art・7執行 S・15感化院管理委員会 S・19教育長
Art.14公債(S.3,4,6など)
デラウエア(・897)1触1・鯖(S・−4) 1
ア ラ バ マ(1901) Art.14 教育(S.256−270)
ほか3G数か条の修正規定
ヴ・一ジニア(・9・2)「 ̀・・9鮪と公教育(S・29−・42) 「
オ ク ラ ホマ(19072 Art・11州有地と学校基金用地(S・1−6) Art・1連邦関係S・5公立学校,分離学校 Art.13教育(S.1−8) Art・5 立法府 S・62教員及び学校職員 Art・13Aオクラホマ高等教育制度 のための退職特典
(S・1−4) Art.10収入と課税 S・10公舎や学校建
Art・13Bオクラホマ州諸カレッジ理事会 築のための税率増大 S・10A公立
(S.1−4) 図書館のための課税S.32州公立コ
モン・スクール建築平等化基金スケ デュール S.19教育機関の理事会
ア リ ゾ ナ(1912) Art.10州有地と学校基金用地(S・1−11) Art・20オーディナンス7th公立学校制 Art.11教育(S.1−10) 度,選挙権
ニュー一・メキシコ(1912) Art.12教育(S.1−13) Art.13公有地 S.1州有地の処理
Art.20雑i則 S・17公立学校教科書 Art・21合衆国との契約 S・4公立学校 ルイ ジアナ(1921) Art.12公教育(S・1−26) Art・4期限 S.14州の教育・慈善機関 Art・9収入と課税 S・22新産業,都市
i 及び教区税の免除,学校税の除外
ジ。一ジア(1945)A・t.8教育(&1−・3) l l
ミズリー(・945){A・t・9鞘(S1−1・) }
@ 一一{一 州名(現行憲法制定年次〉
直接 的教育規 定 関連 的教育規 定
ニユー・ジャージー Art・8課税と財政S.4(1−3) Art・1権利と特権5権利の否定,差別,
(1947)
分離の禁止
アラスカ(1959)IA・・7羅・鞘・福祉(&・−3) i 一一一一
ハワイ(・959)IA・tg糖(S・一・) i
ミ シ ガ ン(1964) Art.8教育(1−9) Art・9財政と課税 S・11州学校援助基
金,販売税の配当 S.16学区への
一一一
融資のための委員会
(注1)S・S.Abrahamson編の書物を資料として作成した。
(注2)州憲法の序列は,第1表にしたがった。また・略符号として・Ch・(章), Art.(条), S.(節), Am.(修 正),追(追加)などを使用した。
そこで,第2表を手がかりに,現行各州憲法における イングランド地方の諸州憲法であり,かつそれぞれの教 直接的教育規定の場合にまず注目しよう。全50州中・そ 育規定が短文簡略であることが指摘される。なお,マサ のほとんどである47州のものは,何らかの見出しで,明 チュセッツ州憲法については,現在までに,上記規定の らかに教育規定とみられる独立の・かつまとまった条節 ほか・教育への政教分離原則適用の意味で,宗派学校に をおいている。もっとも,その条節の見出しは必ずしも 対する公費援助の禁止を含む教育関係の2か条の修正増 一様でなく,そこには,大体三つほどの型がみられる。 補が行なわれていることも付言されよう。
第一は,条節の見出しに「教育」という語を使用せ 第二は,「教育」という明確判然とした見出しのもと ず,「大学および文学の奨励」,「徳行の奨励」といっ に・独立の,かつまとまった条節を設けている場合であ た語のもとに・教育規定がおかれている場合である。そ る。現行州憲法の大部分がそうであるが,その制定年次 の典型としては,現行のもののなかで最も古いマサチュ の古いものからあげていくと,コネティヵット(1818),
セッツ州憲法(1780)があげられるが,同州憲法では, ロード・アイランド(1843),ウィスコンシン(1848),イ 次のような見出しが掲げられている。 ンディアナ,オハイオ(1851),カンサス(1859),ネヴ
アダ(1864),メアリランド(1867),ノース・カロライマサチュセッツ州憲法(1780)
ナ(1868),イリノイ (1870),ウェヌ、ト・ヴァージニア第5章 ケンブリッジにある大学および文学の振興,その
他 (1872),アーカンソ「ペンシルヴェニア(1874)・ネブ 第1部 大学 ラスカ(1875),コロラド,テキサス(1876),カリフォル 第2部 文学の振興,その超 ニア(1879),フロリダ(1887),モンタナ(1889), ミ たとえば,第2部では,「英知,知識および徳行が民衆 シシッピーワイオミング(1890)・ケンタッキー(1891)・
の間に一般的に普及されること」を目的として,「文学 ニユ閥。ヨーク(1895),サウス・カロライナ(1895),ユ および科学の関心とそれらのためのあらゆるセミナリ タ(1896)・デラウェア(1897),アラバマ(1901),二 一,特にケンブリッジある大学,タウンにある公立学校 ユー・メキシコ(1912)・ジョージア・ミズリー(1945),
ィよびグラマー.スクール膜励するこ2」とい。た規 ハワイ(・959)・ミシガン(1964)の32州である.たとえ 定がなされている。またりこの種の型に属するものとし ばこれらのうち,最新のミシガン州憲法の場合をとって ては,ほかにニュー・ハンプシャー(1784), ヴァーモ みよう。
ント(1793),メイン(1820)の3州憲法があり,それ ミシガン州憲法(1964)
それに「第83条 文学の奨励,法人・独占・信用の統 第8条 教育
制」・「第64節徳行奨励・悪徳防止の法律,学校,宗 第1節教育の奨励 教団体」・「第8条 文学」の見出しで,ほぼ類似趣意 第2節初等.中等学校
の教育規定がおかれている。いずれも,同様に,マサチ 第3節州教育委員会,機能,教育長 ユセッツ州のものを範として早期に制定されたニュー・ 第4節州高等教育機関の維持
上 原:アメリカ現行各州憲法の教育規定の全般的比較 183
第,節若干の欝鞘鞭の醜 第151節教育の熈
第6−9節 (省略) 第152節 私立学校の財政的保障 また,これに準ずるものとして,ヴァージニア(1902) 第9条学校と公有地
およびルイジアナ(1921)の両州憲法があり,前者では 第153節学校基金
「教育と公教育」,後者では「公教育」という見出しの 第154節学校基金の使用
第155節 学校基金用地の売却(1960修正)もとに規定がなされていることもあげられる。それか
第156節 大学・学校基金用地管理委員会
ら,第二の型の教育規定は,その制定年次の古いコネテ 第157−165節 (省略)
・カ・トや゜一ド・アイランドやオノ 材の諸州の場合 修正第54条州欝教鯉事会(1938追力ll には,比較的短文簡略にして条節数も少ないが,その後
@ この型に属する他の諸州の場合も,ほぼ大同小異であっは制定の年次を追って次第に比較的長文詳密にして条節
て,いずれも,概して第一および第二の型の諸州の場合数の多いものになってきたといえる。しかし・近年制定
以上に条節数が多く長文詳密にわたっている点が指摘さのハワイ州憲法では,「教育」という見出しのもとでの
れる。また,その制定年次に着目すれば,1912年制定の規定形式を踏襲している点は変わらないものの・規定量 アリゾナ州憲法を最後として,その後つまり近年制定のの点では,上記ミシガン州のもの以上に,逆の新らしい
さらに,直接的教育規定として・47州の場合にみられところで,第一および第二の型は,いずれも,憲法中
る以上三つの型に加えて,今一つの別の型があげられに,教育に関する一つのまとまった独立の条節をもって
る。それは,明確に直接の教育規定とされるものが・独いることで共通しているが,残りの州の若干の憲法で 立のまとまりをもった条節を構成するにいたらず,むし
は,形式上教育に関して二っないしそれ以上のまとまり ろ他の何らかの関係条節のなかに位置づけられているよをもった独立の条節が設けられている。この,いわば第 うな場合である。この型の規定をもつものとしては,テ三の型に属するものの場合には,通常「教育」といった ネシー(1870),ニュー・ジャージー(1947),アラスカ
ような見出しの条節のほか,「学校基金」,「学校基金用 (1959)の3州憲法がある。たとえば,ニュー・ジャージ 地」,「学校と公有地」,あるいは「高等教育」などの 一州の場合には,次の形式で教育規定がおかれている。
見出しを付した他の条節がみられるようである。その制
ニユ醐 ジヤージー州憲法(1947)定年次の古い順からいけば,アイオワ,ミネソタ(1857),
アイダホ(1890)の3州憲法では,それぞれ「第9条 第8条課税と財政
教育と学校基金用地」,「第8条 学校基金,教育と科 第4節 1学校の維持と財政的保障
学」,「第9条教育と学校基金用地」となっており,こ 2無償公立知撃の財政的保障のための基金
3学童の輸送れらは,形式上一応ひとまとまりの条節として構成され
ているものの,実質上別の型,つまりここでいう第三の かくのごとく・この型の教育規定は・形式上「課税と財 型への方向を示していると思う。オレゴン州憲法(1859) 政」・「雑則」などの条節中に位置づけられているが・
の場合も,後に修正条項が増補されるまでは,同様のも 実質的には独立のまとまった直接的教育規定としての意 のであったといえる。しかし,判然と教育規定が二っな 味内容をもっていると考えてよい。見かたによっては・
いしはそれ以上の条節群に分かれているのは,ノース・ 第一の型に入れたニュー ハンプシャー(1784)・ヴァ ダコタ,サウス・ダコタ,ワシントン(・889)をはじめ, 一モント(1793)の両州離の搬舌,この型に含める オクラホマ(1907),アリゾナ(1912)の5州憲法の場 方がむしろ適切であるかもしれない。また・この種の型 合である。たとえば,最初のノース・ダコタ州憲法の教 のものは・ごく短文簡略な教育規定であることが今一っ 育規定の条節見出しをあげてみよう。 の特色である。なお・近年制定のアラスカ州憲法(1959)
の場合,「第7条 保健・教育。社会福祉」のなかで簡 ノース ダコ刎憲法(1889) 略轍育規定がなされている点は濁か暗示的にも駄
第8条 教育
る。
第147節公立学校
(2)関連的教育規定第148節 無償公立学校の立法
第149節道徳教育 現行各州憲法には・直接的教育規定のほかに関連的教 第150節教育長 育規定があることは既に指摘したが,次にこの関連的教
育規定について若干吟味してみたい。 第7節良心の権利,宗教・知識の必要……(前略)…
直接的教育規定と関連的教育規定との区別において多 しかし・宗教・道徳および知識は,良い政府のために 分に相対的で確然としない面があるのと同様に,関連的 必須のものであるので・……(中略)……学校および 規定をどの範囲まで拡げるか,その範囲もかなり漠然と 教育手段を振興するために・適正な瑠穿を制定するこ
したものになりがちなことは否定できない。ただ,ここ とは州議会の責務でなければならな、㌔
テキサス州憲法(1876)では,方法上の便宜という点から,教育以外の事項を主
第1条 権利章典題とする他の条節,つまり「権利宣言」とか,「立法府」
第7節 宗派目的のための支出禁止 いかなる宗派もし・「行政府」とか,「課税と財政」とかいった条節にお くは教会,または神学的もしくは宗教的学校のために
いて,そこに含まれる若干の節の見出し中に分散的なが も公金が支出されて、よなら燕
ら少なくとも判然と教育関係の語句,たとえば「教育」 また,「権利章典」もしくは「権利宣言」中,一っには とか,「学校」・「大学」とか,「学校基金」とか,「教 権利の平等保障との関連において,公立学校での黒人分 員」。「教育長」・「教育委員会」とか,「学区」・「学区 離教育などを含めて教育上の差別の禁止に言及している 税」とかいった語句などが含まれているような場合を中 場合があげられる。その例は,次のニュー・ジャージー 心に,現行各州憲法のそれぞれを具体的に検討してみる 州憲法において明らかに見られる。
こととする。なお,第2表の「関連的教育規定」の欄
ニユー・ジャージー州憲法(1947)は,そのような観点から,州ごとに注記したものである。
通常,州憲法の内容は,具体的には,「権利章典」な 第1条権利と特権
5 権利の否定,差別,分離の禁止 ……(前略)……
「しは「権利宣言」と「統治組織」ないしは「政府組
また,宗教上の教義や,人種・体色・祖先または国籍織」との二つの大枠の部分から成っている。もちろん,
上の出身のゆえをもって,軍隊または公立学校におい 州によって,その具体的な条節の構成や表現はまちまち 19)
て分離がなされてはならない。
であるが,「前文」を別とすれば,概して「権利章典」 それから,今一つには,上記ニュー・ジャージー州憲法もしくは「権利宣言」に続いて「立法府」・「行政府」 におけるような教育上の差別禁止の立場を今一歩進め「司法府」・「地方自治」・「教育」「課税と財政」 て,基本的人権としての「教育を受ける権利」を「権利宣
・「雑則」・「オーディナンス」などといった順序で諸 言」のなかで積極的に規定するまでにいたっている場合
条節が掲げられているようである。
があげられる。その事例としては,現在のところ,わず
そこで,問題の関連的教育規定としては,各州憲法の かながら,下記のごとき規定をもつノース・カロライナ
「前文」中にこれというものが鱒たらないので,まず とワ材ミングとの両州憲法力・あげられるだけである。
「権利章典」もしくは「権利宣言」に注目しよう。すぺ
@ 確かに,今日,社会権的意味をもつ基本的人権の一っと 曾現行州憲法は,例外なく,信教の自由を保障してお し種要視されている「教育綬ける権利」(、,ight
り,かつその多くのものは,宗教または宗派に対して公 to the priviledge of education)もしくは「教育の機
金蓉出すること襟ずる編の鰍分纐貝旺をたてて 会をもつ欄」(、h。,ight t。。,P。,,。。i、i。、 f。, ed。.
いる。実は,若干州憲法の「権利章典」もしくは「権利 cation)がかくも早く前世紀後半に制定された両州憲法
宣言」においては,一つには,このような宗教との関連 中に明確に位置づけられていることは,広く世界教育法から教育に言及する規定がみられるのである。たとえ 制史上からも,きわめて注目される点であろう。また,
ば,第2表右欄に掲げたメイン(1820),オハイオ(1851) このような規定を一応形式的な分親上の便宜からここで 両州の場合のほか,テキサス(1876),オクラホマ(1907) 扱ったけれども,これらは,実質的には,むしろ直接的 などの諸州の場合をあげることができる。試みに,これ 教育規定としての性格を備えているとして把握すぺきで
らのうち・オハイオ州とテキサス州とのものをとりだし あろう。 ・ ・
てみよう。下記のごとく,前者の場合については・かの
著名な1787年の「北西部領地条令「(Northwest Ordi・ ノース・カロライナ州憲法(1868)
nance)中の教育関係規定とほぼ同様趣意のことが述ぺら 第1条権利宣言
q1)儲の場合については,その政教分瓢策の環と 第27節鮪州民は教育を受ける権利を有し・か釜
の権利を守り維持することは,この州の責務である。して宗派学校への公費援助の禁止が定められている。
オハイオ州憲法(1851) ワイオミング州憲法(1890)
第1条 権利章典 第1条 権利宣言
上 原:アメリカ現行各州憲法の教育規定の全般的比較 185
第23節教育教育の機会をもつ市民の権利は,実際に 一的発想や非宗派的な公教育思想の普及に根拠をおいて
21) 25)
なお,さらに・一つには,「権利章典」もしくは「権利宣 定とは別に,テキサス州憲法(1876)やオクラホマ州憲 言」のなかで,公用語および教育用語として英語の採用 法(1907)において,それぞれに「教員退職基金」(第
を規定している場合があげられる。ネブラスカ州憲法 3条第48a節),「教員および学校職員の退職特典」(第
(1875)の「第1条権利章典」では,1920年における 5条第62節)への州議会の積極的な立法措置が規定さ 修正増補により,「第27節公用語としての英語」にお れていることも,指摘することができる。
ける部分規定として,「コモン・スク・一ルの諸教科は, ところで,「行政府」に関する条節中に存する関連的 公立・私立・宗派立・教区立を問わず,英語で教えられ 教育規定であるが,そのような規定のある場合は,概し
22)
なければならない。」としている。このような規定は, てまれである。その事例としては,ベンシルヴェニア 恐らくは・第一次世界大戦後顕著に展開されたアメリカ (1874)およびユタ(1896)の両州憲法をあげうる程度 化運動(Americanization)の推進にともなう一っの措 であろう。前者においては,州行政官としての「教育長」
置として,憲法中におりこまれたものと考えられる。 を規定し(第4条第20節),後者においては, 「教育 次に,「統治組織」もしくは「政府組織」に関するも 長のほか「感化院管理委員会」をおくことを規定してい のとして,「立法肩」・「行政府」・「司法府」・「地 る。(第7条第15節) もちろん,州教育行政組織と 方自治」などの諸条節がおかれているが,これらのうち しての教育委員会や教育長は,むしろ各州憲法の直接的
「立法瘤」および「行政府」に関するそれぞれの条節に 教育規定の条文中に詳細に規定されているのがごく一般 おいて若干の関連的教育規定が見られるようである。 であるといえる。なお,各州憲法中「司法肩」の条節に
「立法府」に関する条節中に存する若干の関連的教育 おいては,教育に言及する関連規定は,まったく見当た 規定としては,一つには,州議会の教育立法に対して制 らないようである。
限事項が定められているような場合があげられる。たと それから,「課税と財政」・「課税と収入」あるいは えば,ノース・ダコタ州憲法(1889)は,州議会が地方 「公債」などの諸条節については,長文詳密な州憲法に 法もしくは特別法を制定して「コモン・スクールの運営 なるにしたがって,そこに数々の関連的な教育規定を容
規定を設けること」や,「学区の役所を設置すること」 易に見いだすことができる。そうした規定の事例として 23)を禁止している。(第2条 立法府第69節地方法も は,第一に,学校基金や学校基金用地としての公有地の
しくは特別法)また,長文詳密憲法の一つとされるカリ 管理に関するもので,たとえば,モンタナ州憲法(1889)
フォルニア州憲法(1879)は,州議会などの宗教ないし の「州学校基金収入」・「学校基金への移管」(第21条 は宗派機関に対する立法制限として,下記のような規定 第13節・第15節),オクラホマ州憲法(1907)の「州公 をおい一ている。ペンシルヴェニア州憲法(1874)も,こ 立コモン。ヌ.クール建築平等化基金」(第10条 第32節),
れとほぼ同様趣意のものを含んでいるとみられる。 ニュー・メキシコ州憲法(1912)の学校基金用地を含む
「州有地の処理」(第13条第1節),ワイオミング州力リフォルニア州憲法(1879)
憲法(1890)の教育i振興を目的とした「国有地交付・地 第4条 立法府
@ 価制限」およびその「収益の使用など」(第18条第1 第30節 宗派目的の公費援助の禁止 州議会も,カウン
@ 節・第2節)があげられる。また,第二は・学校,特に ティ,シティ・カウンティ,タウンシップ,学区,そ
公立学校の財政的保障のための課税が行なわれる趣意のの他の地方公共団体も零宗派,教会,教義,または宗
湘的を援助するためはたはそれらの支酉己下にある 規定であ・て,たとえば・ウェスト・ヴ・一ジニア州憲 学校,カレッジ,大学,病院,その他の機関の経営を 法(1872)の「よりいよ学校のための修正規定」(第10 援助するため,予算の害ll郵松金からの禰金の支 条第1櫛)・カリフォルニア州憲法(1879)の「州収 出をしてはならな、ぞ). (後略). 入の配当,学校の財政的保障」(第13条 第15節),モ こうした種類の規定は,上記ノース・ダコタ,カリフォ ンタナ州憲法(ユ889)の「市,タウンおよび学校目的の ルニア,ベンシルヴェニア以外の多くの諸州の場合にも ための税」(第12条 第5節),ワイオミング州憲法 見いだされるが,要するに,これらの規定は,地方自治 (1890)の「公立学校のの財政的保障のための課税」
や,宗教ないしは宗教機関との関連における州議会など (第15条第15節),オクラホマ州憲法(1907)の「公 の教育立法上の限界を示すものであり,かつ歴史的にさ 舎または学校建築費のための税率増大」および「公立図 かのぼれば,立法府不信のジャクソニアン・デモクラシ 書館のための課税」(第10条 第10節・第10A節)など
〆
がある。また,第三は・学校の財政的保障のため,特に 統に根ざしていることは,いうまでもなかろう。もっと 学校建築のための公債,つまり州債または地方債の発行 も,そうはいっても,既に随所で指摘したように,たと に関連する規定であるが,たとえば,コロラド州憲法 えば初期州憲法の形成期においてマサチュセッツ州を中
(1876)では「学校建築債」(第11条 第7節), カリ 心に指導的役割をはたしたとみられるニュー・イングラ フォルニア州憲法(1879)では「州および大学建築債」 ンド諸州の憲法は,比較的類似した形式での簡略な教育
。「学校債」(第16条 第4節・第15節・第16・5節・第 規定をもっていること,また西部の多くの諸州憲法は,
17節・第18節・第19節・第20節)・ユタ州憲法(1896) 早くからの連邦の国有地交付の慣行とその際の諸州との ては「カウンティ,市,タウン,学区債の限度など」(第 契約を通じて,ほぼ同様に,基金制度およびこねに基づ 14条 第4節)が,それぞれ規定されている。さらに, く公教育制度普及のために,特にジャクソン時代以来次 これらに加えて,ルイジアナ州憲法(1921)の「学校税 第に長文詳密な教育規定をもつようになったこと,さら の除外」(第9条 第22節)や,ミシガン州憲法(1964) に近年制定の若二F州憲法では,逆にできるだけ公教育上 の「学区に対する融資のための委員会」(第9条 第16 の諸権限を一括して州政府に委任する趣意の短文簡略な 節)の規定などもあげられよう。 教育規定をもつにいたったこと,これらの点が看取され
なお,上記のほか,「地方自治」,「公共機関」また ないわけではない。
は「州機関」,「オーディナンス」,「スケデュール」 しかし,それはそれとして,現行各州憲法のすぺてに といった見出しでの,各州憲法のそれぞれの条節におい おいて,何らかの形で教育規定がおかれていることは,
て,教育への関連規定が少なからず見いだされるが・あ 何にもまして注目にあたいするであろう。しかも,「す まり繁雑にわたりすぎるので・ここで,一々言及するの べての州憲法は,詳細規定によってか,もしくは黙示 はさしひかえたい。ただ,これらのうち・特に「オーデ (implication)によって,教育制度の樹立を規定してき
Eナンス」(・・di・・n・e)の条節をもつ若干州憲法におい ぜ1)」たとえば,直接詳綴定によ。て州議会に鞘缶」
ては新州としての加盟の際の連邦との契約事項がそのま 度制定の義務を負わせているものとしては,アーカンソ まおりこまれ,その噸目として,たとえばカンサス, 一功リフォルニア,インデ、アナなど14少卜1があ顎ま ワイオミング,ユタ・アリゾナの諸州憲法の場合のよう たこれに類した規定をもつものとしては,メイン,ワシ に,コモン・スク・一ルや大学のための国有地交付に由来 ントンなどの諸州がある。これに対して,間接的な黙示 する基金制度に基礎をおく,しかも「州の全児蟷に解放 による事例として,コネティカット州憲法は,州議会に され,かつ宗派の支配に服しない公立学校制度」振興の 教育制度の樹立を特に要求していないけれども,その利 ための趣意の規定がほぼ一致してみられることは,別し 子が公立学校の財政的保障のために支出されるべき学校 て注目すべきであると思う.見かたによ・ては,「か 盤を規定してい潔もちろん,「このような繊の賦 ディナンス」中のこの種の規定は・既に言及した「権利 与は,州任務としての教育という原則を完成するもので 骭セ」中の「鮪を受ける権利」に関する規定と同様・ ある嘗っまり,そのことは,恐らくは,アメリ略州 当該諸州の公教育に対する根本態度を示すものであるだ 民が公教育の重要性とこれに対する州政府の固有の権限 けに・直接的教育規定として把握することもできよう。 と責務とを一致して認めるにいたったこと(教育の州権
主義)を意味するものと解すべきであると思う。4.現行各州憲法における教育の州権主 最後に,現行各州憲法の教育規定に関する本稿での比
義 較吟味は,単にその量的および形式的側面だけに限定し 以上,ごく大ざっぱながら・現行各州憲法の教育規定 て行なったものであるが,特に直接的教育規定(ここで について,その量と形式との両面から全般的な比較を試 は,条節の見出しを列挙するにとどめた。)を中心とす みた。 る内容上の一層詳細な問題の比較分析は,さらに機会を
卒直なところ,現行50州の憲法の教育規定は・その制 改めて試みるつもりであることを付記しておきたい。
定年代がまちまちであることからもうかがえるように,
それぞれに独自のものをもっている。実際・その条節の 〔注および引用・参考文献〕
数からみても・またその直接的規定のみならず関連的規 1)拙稿「アメリカ合衆国初期州憲法の教育規定」(茨城 定まで含めての内容からみても,まさに多岐多様であ 大学教育学部紀要,第21号,昭46)および「アメリカ
る。もちろん・各州憲法教育規定のそのような相違が建 合衆国州憲法の教育規定の歴史的変遷」(同上紀要,
国以来の依然強固な州権主義ないしは地方分権主義の伝 第22号,昭47)を参照されたい。