健康を語る 視覚
コミュニケーション
健康認識学の試み
1993
年
10月
11日
守 山正樹
長崎 大学 医学部衛 生学教室
健康を語る視覚コミュニケーション
̲健康認鼓学の試み̲
0
前書 き 1 なぜ描 くのか
2
誰 で もが描 くには ?
2 1
自由な表 出 とアナ ログ画 ‑
162 2
伝 えるための状況説明画
303
自覚症状 を描 く
3 1 自覚症状 を系統 的に描 く 41 3 2 人 との出会 いか ら描 く 54
3 3
多様 な理解 と発展
763 4
漫画か略画か
4
コ ミュニケー シ ョンの壁 を壊す
4 1
心 の壁 を越 える
974 2
聴覚障害者への支援
1054 3 地域保健活動 と視覚 コ ミュニケー シ ョン 11 8
5健康認識学の試み ( 以下、未定稿)
1215 1
トップダ ウンか らボ トムア ップ‑
健康の定義
5 2
過程か ら見た健康認識学 自由な表現
自分 自身 の枠組み に気づ く
ProgresslVeFocuslng TrlangulatlOn 5 3多様性 か ら学ぶ
5 4 ByProduct
としてのツール
前書き
1前書 き
この本の 目的は、健康 に関 してよりよい相互理解 を生み出す ことを目的 として、
人の感姓 を大切に した知識のあ り方を考 え、人 と人 との コミュニケーシ ョンを視覚 的に支援することを中心 にい くつかの具体的な提案 をす ることにあ ります。
20
世紀 も残す ところわずか の現在、わが国の社 会が変動す る速度 は これまでに 例のない水 準 に連 しています。科学技術へ の依存度 が さらに高 ま り、社 会の情報化 が進行す る一方で、 「部分 よ りは全体 を見 る立場」 、 「 競争 よ りは共に生 きること をE l 指す立場」、 「 物 よりは心 を大切にす る立場」 などへの回帰 も見 られ始めてい ます。 この ような時代 において、我々は自己 と他者 の健康 をよ りよ く理解 し、何 か をなすために、 どの ような物の見方、考 え方を必要 としているので しょうか ?
「 人が健康 に関 して他者の話 す ことを聞 き取れなかった り、 自己を表現す ること がで きなか った りす る と、色 々 と困ったこ とが起 きて くるようです。例 えば病気 に なって病院に行 って も、受け付けで 自分の名前が呼 ばれたか どうか も分か りませ ん
。医師や看護婦か ら何 か を聞かれて も、何 かの指示 を受 けて も、 それを理解で きませ ん。 自分の体の どこが どの ように具合が悪 いのか、 自分 は今何 を望んで いるか、な どを医師や看護婦 に伝 えようと して も、そ れを他者 が了解可能 な形 として表現す る ことが困難 です。 この ような問題 をもっと突 き詰め てみたいの ですが、 どうした ら いいで しょうか ? 問題 をどの ような方向で解決 していった らいいで しょうか ?」
5
年ほど前 のある 日、社会医学 の講義が終 ったあ と、学生の
N君か ら突 然 この よう な質問 を受 けた私 は、答 えに窮 して しまいま した。
最初 に困 ったのは、 この ような場合に どの ような手順 で、問 題 に取 り くんでゆ く
べ きかが私 には分か らなかった ことです。何 かの きっかけで問 題の一端 に触れた場
合 には、 まず適切 な調査 によって問題の全容 を把撞 し、その核 心 を明確 に してゆ く
前
書き
2ことは社会 医学で通常 採用す る方法です。
N君の貿 間 について も、それ をさらに突
き詰めてゆ くためには、何等かの調査が必 要だ と考 えられま した。 しか し、この
N君が取 り上 げた状況で実際 に調査 を行お う とする と、その前 にい くつか の課題 を解 決 しなけれ ばな りませ ん。例 えばこの状況 には、 「コミュニケーシ ョンの障害をど の ように乗 り越 えて相 手 を理解 す るか
」とい う課題 が含 まれています。 しか し一般 の調査方法 は少 な くと も調査の場面におい て、対象 者が調査 者 の意図を理解 し、調 査者のp‑ f 問 に回答で きることを前提 に しています. もしコミュニケーシ ョンの障害 があるのであれば、その障害の程度 と種類 によって は、調査 を普通に進 めること自 体が困難にな ります。では どうした らいいで しょうか ? もしその コミュニケーシ ョ
ンの障害が 、使用 され ている言 語への理解 不足 に よる ものであ るなら、別な言語へ の翻訳 によって、調査 が可能 に なるか もしれませ ん。 さまざまな原 因に よる聴覚や 視覚の障害 が もとにな っている なら、手話 や点字 な ど他 の方法 で コミュニケーシ ョ
ンを補 えば よいか もしれませ ん。 しか しコ ミュニケ ーシ ョンの障害が、 当事者の価 値観や認識 にまで影響 を与えているのであれば、調査 は さらに困難なものにな りま す。調査 の前に解決 しなければ ならない課題が次々 に見 えて くると、 「まず調査 を す る 」 とい う方針 自体が適切 でない とも考 え られ ます. さらに N 君 の賀一 問に は、
「 問題 を理解するだけでな く、 どの ように問題を解 決 してゆ くか」 とい う課題 も含 まれています。た とえ調査が順 調 に進んで事態 を把 捉で きた と して も、 それが問題 解決につなが らなけれ ばあま り意味があ りません。 では調査 か ら問題解 決に至る過 程 をどの ように捉 えた らいいので しょうか ?
社会医学 の研究者で あることに多少の 自負 を持 っていた著者 ですが、結局その と きには N 君 のrf 間 に的確 に答 え ることがで きませ んで した.著 者がそれ まで学んで きた社会医学 に関す る知識や方法 を直接 に応用す る ことでは、 この問題 への対処が で きなかったのです。 その とき、困 り果て た頭の隅 で直観的 に閃いたの は、 「 措 く ことでなん とかで きないか」 という考 えで した。そ れほど深 い見通 しが あったわけ ではあ りませ ん。ただ しば ら く前か ら、 「健康診断 の結果 を楽 しく分か りやす くす るために、検査結果 を顔 の絵 にす る」 とい う試み を始めていたため、そ れか ら単純 に連想 しただけで した。
しか し、 その苦 し紛 れの発案 「 健康 を措 く」は、 それか ら予想 もして いなかった
方向へ と進 み始め ま した。 「 描 く」 ことが 、 「 問題 をより深 く考 える」 ことにつな
前書 き 3
が り、その 中で、健康 に関 して これまでに採用 され て きた専門家中心の トップダウ ン的な接近方法 とは異 なる、対 象者や住民 の物の見 方 を大切 に し、それ をコミュニ ケーシ ョンの中か ら明かに してゆ くボ トムア ップ的 な接近方法 の萌芽が見 え始めて 来たのです
。この萌芽が本物で あるならば、それに至 る試行錯誤の過程 や可能性、
問題点 などをまとめ、多 くの方 か らご批判 やご助言 をいただ くことで、芽が大 きく 育ち始めるのではないか と考 えて、本書 をまとめ ま した。
第 1 章で は、長崎の地におけ る地域保健 活動の中で、直観 に導かれて始めた 「 対 話の中で描 く」 という方針 につ いて、それ を直観 で終 らせず に、一つの研究方針 と して位置づ けることを試みてい ます。 また第
2章以 下では、 「対話の中で措 く」 を 実践 しなが ら、
1)健康 と関連 して、感 じた り漠然 と考 えるこ とは出来 て も、それ を説明す るのは困難で あることを、目に見 える形 と して取 り出す こと、 2)それを 通 して健康 について よ り深 く考 えること、
3)描 き考 えることを通 して、健康 に関 す るコミュニケーシ ョンの壁 を乗 り越 えて行 くこと、などを試みています。
本書の提 案が、健康 と開通 したコミュニ ケーシ ョンの障害 を乗 り越 え ることの一
助 とな り、健康 に関す る科学の新 たな発展 につなが ることを祈 っています。
な ぜ 描 く の
フ ・
1.倉ど粛 (のか 4
1
なぜ描 くの か
本書で追求 してゆ くのは、健康 に関連 して 「よりよい相互理解
」
を生 み出すため の知的活動 とは何 か、それをどの ように して実現す るか、 とい う問題です。 この 章の前半の部分では、健康 に関する理解 ・認識 と関連 して、 (1) 日常 的な対話、と (2)専 門家が主導す る調査 ・教育、 という二つ の方向か ら得 られる相互理解 に ついて考察 します。 さらにこの章の後半部分 では、 よりよい相互理解 を求め て、
(1)の 日常鮎 を大切 に しなが ら、 (2)の持つ欠 点 を乗 り越 えられる ような、第 三の方向の設定 を試み、そこで採用 されるべ き新たな研究の方針 を考察 します。
1 どのように知 り、どのように知 らせるか ?
20世紀 末 を迎 えて、わが国の平均寿命 は欧米諸 国の水準 を抜 き、世界で最 も長 寿の国 とな りました。 この ような長い寿命 は感染症 の減少などによって達成 されて います。 しか しこれ と逆に壮年期、老年期においては心血管系の病気が増 えるなど、
慢性的な病気が増加 しています。 このような中で、ただ病気 を克服するのではな く、
病気や障害があったと しても、一人一人の市民が 自 らの能力 に応 じて、社会に参加 し、社会に貢献で きる ような環境 を作 るこ とが望 まれています
。
健康 について 「よ りよく知 ること」と 「よりよ く知 らせるこ と」 を大切 に し、 よ りよいコ ミュニケー シ ョンを育 てて行 くことが課題 となってい ます。以 下では日常対話の視 点 と専門家 の視点のそれぞれか ら、 「知 ること、知 らせ ること」の意味 を考 えてみます。1.
を
ぜ潜 (のか 5日常対話の視点 か ら
私たち人間は社会的 な生 き物 です。常 に他者 との関わ りの 中で生 きています。 こ の関わ りの中で、 「相手を知 ること」、 「相手に知 らせ ること」などのコミュニケー シ ョンは基本的なものです。で はこの 「知 ること」 、 「知 らせ ること」 の中身が健 康 に関することであれば、 どの ようになって くるで しょうか ? 目の前 にいる友人 に、全般的 な体の健康 状態 を尋 ねるような場合であれば、普通 の会話 と特に変る点 はないで しょう
。
「今 日は元気 ある?
」、 「お変 りあ りませ んか?
」、 「顔色が よ くないようですが、 どうしました?」
などは、健康 に関 した問 いかけと して使われ ます。それ に対 し 「ち ょっとね」、 「体調 を崩 しています」、 「昨 日の疲れがまだ 残 っている ようです」
などの答 えが返って くるか も しれませ ん。 さらに 「え ? 大丈夫 ?」
と聞 き返 した り、 「昨 日夜更 LLす ぎたせ い?
」、 「残業が続 いているた めですか ?」と原 因を予想 した質問が続 くか も知れ ません。 「そんなに働 きす ぎる とよ くない よ?
」、 「少 しは休 んだ ら?」
などの助 言がなされ ることもあ ります。この ように 日常対話の 中では、短い言葉のや りとりの中で、事 が少 しづ っ明かにな り、事態が徐々に進展 して行 きます。 「知 ること
」
や 「知 らせ ること」
はそれぞれ 単独では存在せず、様 々な 「知 ること」、 「知 らせ ること」が多様 に噛 み合い、重 な りあ うなかで、理解 や洞察の形成 も認め られます。 しか し対 話 を進め れば、誰に で もす ぐに深い理解や洞察 を得 られるわけではあ りませ ん。 ほんの僅か言葉 をかわ しただけで、相手のイメージや考 えを読み取れる場合 もある一方で、た とえ長時間 に渡 って対 話を継続で きたとして も、相手 を理解で きない場合 もあ り得 ます。対話 は重要なものですが、 日常生活 の中に埋め込 まれて しまうと、掴み どころのない も のの ようにも見 えます。専門家の視点か ら
日常対話 の中で形成 される情 報が意味深 い ものであって も、それが専 門的に評価 される場面 は多 くあ りません。 一人の健康 について、 より深 く系統的に情報 を得 よ うとした り、あるいは人々につ いて、より厳密に整理 した形で情報 を得 ようと考 え ると、健康 に関す るコ ミュニケーシ ョンは 日常の対 話の水準 を離れ、健康 に関する 専門家が関与する領域 になって きます。で は健康 に関連 して、 「相手を知 ること
」
や 「相手に知 らせ るこ と」をよ り専門的 ・学問的に行 うために、通常は どの ような 手順が とられているので しょうか ? 健康 に関す る科学の中で は、 「相 手 を知るこ1.
を
ぜ好 (のか 6と」 は健康 調査 の方法論 として展開 されて います。相手 を知 ろ うとした ときに、調 査者はまず 自分が知 りたい問題 が何 であるか をはっ きりさせ る ことか ら始めます。
調査 目標が明かになったあ とは、それをもとに具体 的な疑問、質問 を作 って行 きま す。実際の調査 を目前 に控 えた段階では、それ らの疑問、' i ' i 一 問 は、調査 者の論理的 な展 開によって、順序 づけ られてお り、番号 をつけ て、紙 に印刷 されて いる場合 も あ ります。実際の調査 に当って 、ある場合 には調査 者はそれ らの疑問、質問の リス トを頭の 中に イメー ジ しなが ら、対 象者 の考 え方 、態度 、行 動 な ど を観 察 します ( 観察法)
。調査者が 疑問、質問の リス トにそって 口頭で質問 し、回答 を得 る場令 もあ ります ( 面接法)
。また印刷 された質問の リス トを対象者 に渡 して、対象者 に 答 えを書 き込んで もらう場合 もあ ります ( 質問紙法 )
。いづ れかの調査 で得 られた デー タは、多 くの場合 数値 に変換 され、そ れ らの数値の分布 や相互の関連件が検討 されます。
「 相手 を知 ること
」が調査 の方法 として体系化 されている一方で、 「相手に知 ら
せ ること」 は、健康教 育の方法論 として理解 されて います。健 康教育 は対象 になる
人々が、なん らかの健康上の問題 を解決 し、健康 を よ りよい状 態 にす る ことを目的
として行われます。正 しい知識 を対象者に示 しさえすれば、す ぐに対象 者がそれを
受け入れるのであれば事 は簡単 です。 しか し、対象 者が身につ けて来た知識 ・態度
や行動 を変 えるにはそ れな りの作戦が必要 です。そ こで対象者 が健康 について正 し
いまたは必 要な知識 を獲得 し、健康 に好 ま しい態度 を身につけ るためには、対象者
の知性や感軌への働 きかけが行 われます。知性への働 きかけの 中では、健康 に関す
る知識が正 しく、権威 あるもの であることを印象深 く示す ため の方法が考 えられて
います。 また感性への働 きが ナとして、健康の素晴 らしさをそ れ とな く情緒的に訴
える立場か ら、健康が損 なわれ た ときの惨 めな様子 を示 して強 く恐怖心 に訴 える立
場 まで、さ まざまな立場があ ります。知識 や態度 な ど行動の前提 となる要因に対す
る働 きかけ に加 えて、対象者の行動 に働 きかけるこ とも行 われ ます。 この働 きかけ
の元 になっているのは、行動 は報酬 を与え られる と強化 され、罰 を与 え られると減
弱 ・除去 されるとい う行動主義 の考 え方です。健康 にとって望 ま しい行 動が現れれ
ば、それは賞賛 された り元気づ け られた りし、健康 をそ こなう行動が現 れれば、そ
れは非難の対象 にな ります。 この ような行動への直接 的な働 きかけに加 えて、望 ま
しい行動が現れやす くな り、損 なう行動が現れに く くなるような環境 を作 るなどの
間接 的な働 きかけ も行われ ます。
1.
を
ぜ■題 (のか 72 これまでの専門家中心の方法が持つ弱点
以上に示 した ように、 日常の対話の中で も何気 な く現 れてい る健康 に関 して 「何 か を知 る、あるいは何 かを知 らせ る
」
とい うことは、それが専 門家の手 に掛かると 細か く専門化 され、理詰めで説 明 されるものになってゆ きます。 この よ うな専門的 な物の見方、知識 はそれが整理 されてマニュアルの形 になると、それを保存 した り、他の状況で活か した りす ることが可能にな ります。 またそれを学習す る ことで、健 康 に関する専 門家 を養成す るこ ともで きます。 この ような健康 に関 して現在成立 し
ている専門的な物の見 方は、我 々の先輩が健康 に関 して積み上 げて来た知的遺産 と 考 え られます。 しか し、知的遺産 に頼 る方法が、変化の激 しい 日常 に生 きる市民の 現実の物の見方、考 え方 とすれちがって しまうことも考 えられます。
健康調査の場合
例 えば専 門家が市民 の現状 を知 ろうとして行 う調査 は、市民 の側か ら どの ように 見 えるで しょうか ? 市民の健 康状態や健康 に関す る態度、物 の考 え方 などを把揺 す るために、学校や、職場や、地域で、さまざまな調査が行 わ れます。 幼稚園あ た りか ら始 めてその後生涯 にわ た り、私 たちはさま ざまな種類 のアンケ ー トや調査 に答 えを求め られる状況 になれています。 あなたは、これ らの調査 に答 えなが ら、
質問の意味 が よくわか らなかった り、 「なぜ こんな ことを聞か れるのか
」
と疑問 に 思 ったことはないで しょうか ? あるいは、 「もっ とこの ような事 をTf関 して欲 し い」、 「この ようなこ との方が調査が必要 ではないか」 などと思 ったこ とはないでしょうか ? こうした場合 、疑 問が湧いて きて も、 その調査 表 を用意 した専門家 自 身はその場にいないことが殆 どで、発言 した くて も、その機会は閉ざされています。
調査 が市民 にとってわか りやす い ものになるような配慮 は専 門家 もして いるはずで す。 しか しその際のわか りやす さは、専門家が専 門家 としての視点か らコン トロー ル しているわか りやす さであ り、その情報 を受け取 る市民が 自 ら主張で きる 「わか
りやす さ
」
ではないとい うことにな ります。健康教育の場合
次 に知 らせ ることの意味 を、健康教育の場合 につ いて考 えてみ ま しょう
。
健康 教育 を目的 として病気 の仕組み 、望 ま しい食事や運動 を解説 した資料 は数 えきれな7.なぜ# (のか 8
い程あ ります。最近の これ らの資料 は多色 印刷が されてお り、 イラス ト、カラー写 真 もよ く活用 されてい ます。中 に書いてあ る内容 もその道の専 門家が用 意 したもの ですか ら、最新の知識 が盛 り込 まれているはずです 。 しか し、人は十人 十色 と言わ れます。健 康状態 につ いて も、健康 に関す る知識 について も、一人 として同 じ人は いません
。あた りまえの ことですが、その資料 にい くらために な りそ うなことが書 いてあって も、また どれほ ど高度の印刷技術 を駆使 して美 しく印刷 してあったと し て も、それが本当に一市民 としてのあなた にとって、わか りやす く、あ なたが求め ることに答 えているかは、わか りませ ん。
問題の所在
さて、一体何が問題 なので しょうか ? 専門家が体系化 して きた健康 調査や健康
教育の方法 は、結局専 門家の物 の見方、考 え方を住 民 に押 し付 けて しま う トップダ
ウンの形式 が中心 にな っています。最近で は住民の 自主件 を尊重す ると して、一方
的な講義だけではな く討議 などの方法 も使用 されて いますが、 これ らも専門家の演
出に よってお り、専門家の主導 とい う点で は共通 しています。 専門家が常 に住民 よ
りも優れた見通 しと経 験 を持 ってお り、起 こって来 る事態が専 門家にとって対処 で
きる もので あるなら、物事の判 断や決定 を専門家 に任せ て しま うこと. も、それな り
に意味 を持 ち得 ます。 しか し、
20世紀未 の現在 において、我 々人類が 直面 してい
る事態は、 「 地球環境 の汚染の進行」、 「世界人 口の爆発的増 加」、 「エイズの蔓
延 」 、 「 社 会の流動化 と価値観 の多様化
」などいづ れに して も、専門家 です ら経験
したことの ない新 たな事態です 。 新 たな事態 におい て、混乱 に直面す る度合 は、一
般の市民 よ りむ しろ専 門家の方が著 しい と も言えます。 このため、既存 の知識 ・権
威 を頼 る専 門家 を頼み にす る トップダウンの方法だ けでは先が思いや られる状態で
す。ではどの ように した らいいので しょうか。新 た な事態 に も深い理解 を持つ専 門
家をで きるだけ早 く養成 し、新 たな手引書 を造って行 けば、多少の時間的な遅れが
あった として も、問題 を解消で きるので しょうか ? それ とも、 トップ ダウン的な
接近法 とはまった く異 なった接近法 を目指すべ きなので しょうか ?
1.
なぜ# (のか
93
第
3の立場の可能性 、教育情報工学 か ら学んだこと
新 たな接 近法の可能 件 につい て考 えあ ぐねていた ときに出会 ったのが 、教育情報 工学の考 え方で した。佐藤隆博 氏は教育情 報工学 を 「 教師の教 育情報 を取 り扱 う力 量や、指導の力量 を高める具体 的な方法 ・技術の開発 をめ ざす教育方法の情報工学
」と定義 しています。 この教育情 報工学 にお ける物の見方で参考 になる点 は、 「 相手 を知 ること、相手 に知らせ ること 」 を本J Pf f 的に重要 なことと考えているだけでな く、
「どう知 るか、 どう知 らせ るか 」 を表裏一体の もの と考 えた上 で、その こと自体 を 直接 に研究 の対象 としているこ とが挙 げ られます。 長崎 にお ける地域 保健活動の 活性化 を考 える中で、松原伸一氏 と出会 って共同研 究 を始め、 さらに佐 藤氏 との出 会いを通 して、著者が教育情報 工学の考 え方に触 れ、それを保 健活動の 中で具体化 した経緯は、前書 「 対 話か らの地域保健活動」 に述べ ま した。 ここで は本書での 問題解決に役立つ範囲で、 この教育情報工学の考 えの主要な点 をまとめ ます。実際 の教育情報工学は情報 工学的な接近方法が教育現場 での問題 に適用 され て生 まれた 学問であるために、実践 も教育現場 を中心になされ、理論 や手法 も教育現場 をイメー ジ しています。 しか し、以下で は教育情報工学の発 想 を著者 な りに解釈 した上で、
「 発想の特徴 」 として以下の
3点を示 しま した。
発想の特徴 1
調査 ・教育 とい うように二つの過程 を分離 しない。全体 を知識 や情報の双方向の コミュニケーシ ョンとして統一的な もの として扱 う。
佐藤隆博 氏 は教育情 報工学の ニーズを捉 える上で 、 「 教育の場で実際 に教 えてい る先生や学 んでいる生徒 たちの心理のひだの中にわ け入 ること 」 の重要性 を指摘 し ています。健康 につい てよ りよい相互理解 を達成す る課題 を考 えたとき も、 この指 摘 は重要です。健康の専 門件 か らみれば、 ここは健康調査 、こ こは健康 教育、 とい うように分 離で きるか もしれませんが、健康 に関す る現場の コ ミュニケ ーシ ョンに おいては、 「 知 ること」 と 「 知 らせ ること」が互い に支 えあっています 。 そ こで こ の二つの過程 を統一的な物 として位置づけ られる物の見方が求め られています。
発想の特徴
2日標 を実現す るために具体 的な手法を作 る。
1.をぜ題 (のか
10
教育情報 工学 は、教 育情報 を分析す る とい う方向牲 だけで な く、教育情報の取 り 扱 いに関す る方法論 と具体 的 な方法 ・技術 を開発す る、 とい う方向鮎 も持 ってい ま す。必要が あれば、問題解決 に必要 な考 え方や道具 を積極 的 に作 ってゆ くとい う発 想 は、工学 にルーツを持つ もの か もしれ ませ ん。 いづ れに して も、専門 家 として情 報 を分析 し、注釈 を加 えるだけ でな く、新 たな考 え方や方法 を作 るとい う発想 は、
健康 の問題 に も有効 だ と考 え られ ます。一般 に、新 たな方法 や技術 を開 発す るとい うと、かな り高度 なこ とに思 え るか もしれ ませ んが 、 もっと気 楽 に考 え ていい よう に思 い ます。 コンピュー タを駆使 した装置 も新 たな方法で しょうが、一枚 の紙であっ て も新 たな方法 とな り得 ます。
発想の特徴
3結果 よ り過程 に注 目す る
。教育情報工学 か ら学ぶべ きことの一 つは、 「結 果 と して出来上が った もの も 大切だが、 その結果 に至 る過程 の方が もっ と大切 だ」 とい う発想 だ と思 います。例
えば、健康 を知 るため の調査表 をデザイ ンす る場合 を例 にとれ ば、結果 と しての完
成 された調査表は、あ あで もない、 こうで もない、 と様 々な見解 を取 り入 れなが ら
調査 表 をデザ イ ンして きた過程 の産物です
。また健 康調査表 に回答す る場合 を例 に
とれば、す べ てのJ Pf 問 に記入 を済 ませて提 出 された 回答済みの調査 表が 結果である
の に対 し、 それに先行 して、一度書 いた答 えを消 して別 な答 え を書 き直 す な どの試
行錯誤の過程が存在 してい ます 。 これ らの 場合、最 終段階であ る完成 された調査表
や回答済み の調査 表 は、整 って はいて も、 そ こか ら生 き生 き した思考の 流れ を読み
取 ることは困難です。 一方、最 終段階 に先 行す る試 行錯誤の過程 は混沌 と していま
1.をぜ描 (のか 11
すが、その混沌 と した状態 こそ実際の思考 の流れ を表 してい ます。 この ような試行 錯誤の過程 を大切 にす る手法 と して、例 えば佐藤 隆博氏が考 案 された
ISM構造学 習法があ ります。 この 方法では学習内容の概 念構 造 をチ ャー トと して表 しますが、
そのチ ャー トを教 師が 教材 に関す る自身の考 えを明確 に してゆ く場合や 、生徒が 自 身の理解 を よ り明確 に して行 くために用 い られます 。 このチ ャー ト化す る過程 は、
佐藤 隆博氏 によれば 「ものがわ か ってゆ く過程」 、す なわち 「素材 とな る情報の間 の対応 関係 を見つけて い く過程 、特 に新 し く入 って きた情報 と既 に知 っ ている情報
との間の対応関係 を兄いだす過程」 といわれ ます。
上述 した三つの発想 の特徴 の うち、
1と 3 はこの 章の冒頭 に述べ た 日常対話の発 想 に近い と言 えます。 しか し、特徴 の
2で あ る具体 的 な手法 を作 る点か らすれば、
ただ対話 を行 うだけで な く、その対話 を育 てるため の科学的 な手順 の確 立 を指向 し ていることが明 らかです。そ こで これ らの発想か ら形成 され る新 たな立 場 を、最初 に挙 げた二 つの立場 に対 し 「第三の立場」 として、 「 対 話 を大切 に した健康 に問題 解決学」 を設定す ることがで きます。
4
手書 き顔 グラフの経験
発想 を新 たに したか らとい って、突然す べての問 題 を解決 で きるような理想的な 接近法がで きるわけで はあ りませ ん。 しか し、上述 した 「 第三 の立場」 を もう少 し 明瞭 に してお くために、手書 き顔 グラフの経験 を以下 に述べ ます。
手書 き顔 グラフとは ?
図 には著者 らが作成 した手書 き顔 グラフの一例 を示 します。
この顔 の画 は、一種の グラフで 、頬、口、眉毛、眼 球 は、それ ぞれがあ る数値 に対 応 します。 著者 らはこの顔 グラ フを、健康 診断の結 果 を示す ため に開発 しま した。
これを用 い るに当 って は、例 えば唇 は血圧 を、頬 は肥満度 を、眉毛 は尿 検査 の結果
1.なぜ蕗 (の
か
12を表す、 とい うようにあ らか じめ決めてお きます。 そ して、検査 の結果 が正常であ れば、点線の
aを、また検査が異常であれば点線の
b、あるいは
Cを塗 りつぶす もの とします。 その ように、検査 の結果に合わせ て顔 の各造作 を描 いてい き、検査がす べ て正常であれば、 「ニ コニ コ した顔」が 、また どこかに異常 があれば 「ゆがんだ 顔
」が現れます。
手書 き顔 グラフの背景
この方法 を工夫せ ざるを得 なかった背景 には、 「健康診断が あ ま り楽 しくない」
とい う現実 の問題があ りま した。 この問題 に気付 く以前は、著 者 自身は健康調査 と その結果の数値分析 とが社会医学研究だ と思 ってい ま した。 しか し、住 民 との間に 良好 なコミュニケーションが ない限 り、健療調査 も形式的な ものになって しまうし、
健康診断後 の健康教育 も押 しつ けが ま しい ものにな って しまい ます。何 とか事態 を 改善 したい と始めたのが、この手書 き顔 グラフで した。見かけ は極めて単純 なもの ですが、これにた どりつ くまで には、まず著者の側 は健康 に関す るそれ までの著者 自身の発想 を大幅 に変 えて、上 述 した教育情報工学 の発想 を採用す る必 要があ りま した。 またす ぐに手書 き顔 グラ フに行 き着 いたわけではな く、パ ソコンによって顔 を措 く試みを続けたのち、人 と人 との よ りよいコミュニケーションとい う立場か ら、
コンピュータの使用 を手書 きに切 り変えた経緯があ ります。
この ように して出来上がった手書 き顔 グラフです が、それがす ぐに地域保健の現 場で役立ったわけではあ りませ ん。 「この ようなた わい もない ものは、幼児教育で は意味があ って も、成 人 を対象 とした健康 教育の ま じめ な雰 囲気 にはな じまない
」と言われた こともあ ります。説 明が不十分 だったために、 「 血圧が上が ると、本当
に唇が曲って くる」 と誤解 され たこともあ ります。 また
B町で手書 き顔 グラフを試
行 した群 と通常の健康 教育 を行 った群 を比較 した ところ、顔 グ ラフ群は通常教育群
に比較 して 、健康診断 について よりよいイメージを持つ ように なったが 、検診結果
の理解 と記憶 に関 して言 えば、差がないか 、顔 グラ フ群の方が劣 る、 とい う結果 も
でて きま した。い くら健康診断 の印象が楽 しくなって も、その ことがあ ま り歓迎 さ
れず、また受診者の行 動や知識面への影響 もはっ き りしないの であれば 、顔 グラフ
の実用鮎 は な くな ります。 この点 をどう解 決すべ きか、著者 らは一時、答 えを兄 い
だ しかね、壁 にぶつかって しまいま した。
1.をぜ好 (のか 13
手書 き顔 グラフの発展
アイデア倒 れに終 るかにみ え た手書 き顔 グラフに、転機が訪 れたのは 、それが一 度完全 に著 者 らの手か ら離れ、一人立ち してか らで す。 著者 らは地域 保健活動 に 関連 した研 修会 な どの折 りに、手書 き顔 グ ラフの状 況 を紹介 して きま したが、 しば ら くしてか ら、手書 き顔 グラフに興味 を持 たれた何 人かの方々が、実際 の地域保健 活動 に顔 グ ラフを取 り入 れて くだ きってい ることを知 りま した
。中で も福 岡市南保 健所 、長崎県北松浦郡福 島町、長崎市昭和 会病院 な どでの試み は、 これ らの場所 に おいて手書 き顔 グラフが健康 を語 る視覚的 コミュニ ケー シ ョンの道具 と して役立 ち 始めていることを示 していま した。
/ . f l t r + I * I
手書 き顔 グラフ の原型
199 1年 図
2.顔 グラフの一人歩 きと進化 .変容
南保健所 ではまず
89年度 に著者 らの原型 に近い形の顔 グラフを採用 しま したが、
90
年度 に は目と鼻 も可動部分 に含め、
8変数 まで 表示 で きる ように改 良 を加 えま した。 また福 島町の
89年度 における顔 グ ラフは、額の しわ、鼻 、涙 な どを表示部 分 に含めた手の込 んだ ものであ り、
90年 にはさらに、 よだれ 、鼻水が 付 け加 わ り
ま した。昭和会病院で は
91年度 に開催 した病院祭 りで顔 グラ フを採用 し、子供向
けのデザ イ ンを工夫 しま した。
1.をぜ好 (のか 14
5
なぜ対話の中で描 くのか ?
著者 らが教育情報工学か ら学 んだ発想 は、発想の特徴
1、
2、
3として上述 しま した。 この三つの発想 の特徴 は、手書 き顔 グラフの 開発 に活 か されま したが、それ だけで手書 き顔 グラフの意義 を説明す るの は困錐です。すで にのべ たご とく、手書 き顔 グラフは決 して完成 された方法ではな く、未完成で多 くの欠点 を持 っていま し た。ではなぜ 、この ような一見 た よりない方法が、著者 らの知 らない うちに、複数 の場所で使 われ、それぞれの場所で独 自の発展 を遂 げていったので しょうか ?
人々 を巻 き込む
人を対象 に して、何 かを成 し遂 げるときに、 「そ こにいる人 々を積極 的に、その 活動 にひきいれる、巻 き込 む」 とい うことの大切 さは多 くの人に指摘 されています。
例えば学者 ・発明家であるとともに教育者で もあったベ ンジャミンフランクリンは、
人 を引 き込める教育に関 して、次の ような原則 を述べ ています。
TellmeandIforget
,
teachmeandIremember,
involvemeand‖eam.この原則 に よれば、何 かを人が学ぶためには、それ に積極的 に巻 き込 まれる必要が i
あ ります。著者 らが顔 グラフを開発す るさいに、パ ソコンで顔 を措 くの をやめて、
手書 きに した背景 には、手書 きにす ると、そ こに住 民 を巻 き込 む ことが で きるか ら で した。 しか し、 よい アイデアだけで実用姓 とい う壁 を越 えるのは困難 です。その 後、思 いが けずに一人歩 きを始 める中で起 きたこと も、人を巻 き込む、 とい う点で 言 えば同質 の ことです
。ただ、一人歩 きの過程で巻 き込 まれて いったの は、住民だ けではな く、む しろ顔 グラフに興味 を持 って取 り入 れて くれた、医療従 事者の側で
した。
描 くことの意味
手書 き顔 グラフは、極めて単純 な物です か ら、使 う人が 自分 の必要に合わせて 自
由にデザ イ ンを変更で きます。 自由に変 え られるとい うのは、未完成 さ をも意味 し
ますが、この未完成 さが幸 い して、それぞ れの場所 でユニークな顔 グラ フが出来ま
1.をぜ超■(のか 15
した。文章 で善 くので はな く、描 くということが、顔 グラフの一人歩 きと関連 して
いると考 えられます。
誰 で もが描 くに は ?
2. 1
自由な表 出 とアナ ログ画
2. 2伝 えるための状況説明画
2. 1
自由を弄出 とアナDグ画
162. 1
自由な表 出 とアナ ログ画
「 本気で何 かをわか りやす く相手 に伝 えたい、相 手 に理解 して欲 しい
」と願 うと き、最初に必要 とされるのは、準直な正直な表現です。では言語 に頼 らないで、 もっ と率直に直接的に自分 の感 じていること、考 えてい ることを表現す るにはどうした らいいで しょうか ? この第
2章ではこう した率直 な表現 を求 めて、私 たちが健康 や病気 について感 じていることを描 く方法 を試み ます。
どんなに健康 に恵 まれた人であって も、いつかは病むことがあるか もしれませ ん。
病 んだ ときに、一人一人の人は どの ような ことを感 じるので しょうか ? また、そ れを自分の心の中だけ に留めておかないで、わか りやすい形 と して表現 し、それを 他者 に理解 して もらうためには、 どうした らいいで しょうか ?
1
健康/不健康の表現
言葉の限界
健康や不健康 を例 と して、考 えてみ ま しょう
。どんな人で も健康 な状 態、あるい は不健康 な状態 を知 らない、思 い浮かべ られない、 とい う人はいないで しょう 。 考 えてみれば子供の頃か ら、私 たちはいろいろな折 に さまざまな健康 な状 態/不健康 な状態 を経験 して来て いるはず です。 「 体 も心 も調 子良 く何 か始めると きの気分の 良さ、爽快 さ」、 「 体 の どこかが思 うように動かない場合のや り切れな さ」、 「 体 の どこかに苦 しい所が ある場合 の痛みや耐 え難 さ」 等、記憶 をた どって行 けば、多 くの ことを思い出せ るのではないで しょうか。 しか し、健康/不健康の ように一人 一人の人が主観的に経験す るこ とを、わか りやす く表現 し、そ れを他者 に伝 えるこ とは、それ ほ ど容易で はあ りませ ん
。例 えば、先 ほ どあなたが思い浮かべた 「 気分 の良さ 」 は、具体 的に言えば どの ようなものだったで しょうか ? わ くわ く、 うき
うき、るんるん、などですか ? また 「 痛み 」 の場合 はどの ようなものだったで しょ
うか ? と リヒリ、ガ ンガン、チクチク、 それ とも もっと別 な痛みだったで しょう
2. 1 8由を弄出とアナログ画 17
か。. 健康/不健康 につ いて感 じたことを言葉で言 い表そ うとす ると、私 たちは特 に 意識せずに擬態語の よ うな主観 的な表現 を多用 して しまう傾 向 にあ ります。ではワ クワクす る気分の良さ とウキウキす る気分 の良さとは、 また と リヒリす る痛 さと、
チ クチクす る痛 さとは、それぞ れ どう違 うで しょうか ? わた しとあなたが ワクワ ク、あるい は とリヒリに込めて いる意味 は まった く同 じなので しょうか ? それ と も、多少は異 なってい るので しょうか ? この ように考 えて くると、健康 や不健康 についての言語表現で は言葉の あいまいさが気 にな って しまい ます。で は、自分 自 身の健康状 態 について感 じたこ と、考 えた ことを、言葉ではな く、 もっ と直接的に 表現することはで きないで しょうか ?
専門性の限界
一般的に言 えば、その道の専 門家はその分野に必 要な知識や方法論 について詳 し い と考 えられます。病気 になった ときに感 じること (自覚症状 ) につい て、す ぐに 思い浮かぶ専門家は医 師です。 では医学の分野で は、 自覚症状 の意味 を考 えた り、
その表現方法について、多 くの知見が得 られているので しょうか ?
「 体の どこそ こが痛 い」 とい うような患 者 さんか らの訴 えは、体の異常の原因を 臨床医学的 に突 き止め 、それに対す る治療 を考 える上で基本 となる もの です。医科 大学 における臨床医学の教育の中で、学生が最初 に学ぶ重要 な科 目は診断学であ り、
この中で学生 は痛みの種類 など、痛みを診断す るの に必要な事 項 を学び ます。 しか し、 「 ̀ 痛 い' とはそ もそ もどんな内的な状態 なの か
?」、 「病者がそ れを他者 に 伝 えようとす るときにはどの よ うにす るの か
?」 、等 について考 えるこ とはまずあ りません。 もっと正確 に言 えば、そんな悠 長 なことを言 ってい ては、医 学部の限 ら れた授業時 間中に、医 師 になるための最低 限の知識 と技術 を身 につける ことが困難 になる、と考 えられていると言えます。
医師 として働 くため には、体 の仕組みを理解 し、 さまざまな方向か ら体の正常/
異常 を把揺 す るために、極めて多 くの専門用語 を学 習す る必要 があ ります。 また病 者か ら得 られたさまざまな画像 化 された情 報 を解読 して、その異常 さ/ 正常 さを判 断す る訓練 を受けます。多 くの専門用語 を道具 として 自由に使 いこなす ためには、
さらに多 くの知識が必 要 とされ ます。 この ように して、医師は病んだ他 者 について 得 られた情 報 を分析 し、適切 に判断 して、対応す る訓練 を受 け ます。専 門用語は、
医学の体系 を作 り上げ るレンガの ようなもの といえ ます。その ため、この レンガー
2. 1 貞由を弄出 とアナログ
画 J 8 つ一つ を取 り上げて、 「その深 い意味 は ? 」 などと素人の ようなことを言い始めた
ら、そ もそ も専門教育 が成立 しな くなって しまう恐 れ もあ ります。つ ま り医学教育 で教 えてい ることは、専 門用語 とい う道具 をつか って、病者の体 や心の状態 を説明
し、分析す ることだと言えます。
では医師 は専門用語 が使 いこなせれば、それだけでいいのか 、 とい う と心 もとな い部分 もあ ります。例 えば、医 師 自身が何 等かの原 因で専門用 語 を使 い に くい状況 におかれ、専門用語 とい う道具をはぎ取 られて しまった場合 には、医師 といえども、
素人 とあま り変 らない状況 におかれるか も しれませ ん。例 えば、医師自身が病気 に なる場合な どです。 しか し、 この問題 を議 論 しだす と本論か ら粧れて しまうため、
ここでは問題提起 だけに留めてお きます。
いずれに して も、医学教育で は専門用語 とい う道 具 を使 って、病んだ他者の体や 心の状態 を説明 し、分析す るこ とを教 えます。 しか し専門用語 に頼 らず に、自分 自 身が見 たまま、感 じた ままをどう意味付 け るか、 ど う表現す るか、は教 えて くれま せ ん。顕微 鏡 を覗いて 、そ こに見 えた もの をスケ ッチす るような機会が あった とし て も、どの ように した ら正確 なスケ ッチが で きるか 、な ど表現 の技術 を具体的に研
く機会は限定 されていると言 えます。
では医科大学 を卒業 して、さ らに医学の特定の分 野 をより専 門的に研 修す るよう になってか らの状況 は どうで しょうか ? 心の状態 を描 く試 み は、精神 医学の領域 で認め られ ます。バ ウムテス ト、動的家族 画などの絵 画 ・描 画療法はこの範時 に入 ります。 またユ ング派 の精神分析で使 う箱庭療法 な ども、描 く方法 と言 えます。 し か しこれ らの描 く方法は
、 1)専門家が患者 を診断 し治療する
、2)患者 自身が 自分 を見 つめ治癒へ と向か う、 な どを主 な目的 としています
。医師 と患 者が互い にわか りや す く、相互 に意志 を伝 え合 うための コミュニケーシ ョンの道具 と しては 、最適 な も の とは言い難い ようです。では、一体 どうしたらいいので しょうか ?
2
率直な表現 と してのアナ ログ画
アナ ログ画 との出合い
あ らか じめ型 にはめ ないで、思 っている ことや考 えているこ とを自由 に描 き、そ
の意味 を考 える試み を、社会医学 などの医学の領域 や医学に隣接 した科 学の枠組み
の中に求め るのは無理 があるの で しょうか ? 創造 的に描 く試 みは芸術 やデザイン
2. 1 B由を表出 とアナロク画
1 9 の分野 には認 め られ ます が 、必 ず しも特 別 の才能 が あ るわけで もな く、 描 く トレー ニングを受 けた こ ともない普 通の人が 、思考 や情緒 を率 直 に描け る もので しょうか ? この ような こ とを考 え なが ら、 文献 を当 っ てい る うち に出会 え たのが ア ル ンハ イム の本 です。 アル ンハ イ ムは、か ってハ ーバ ー ド大 学 の芸術心 理 学 の教授 で、彼 は学 生 と ともに行 った予備 的 な実験 で 「過去 ・現在 ・未 来 、民 主主 義 、 良い 結 婚 と悪 い 結婚 」の よ うな概 念 を、線 画 と して描 け る こ とを示 しま した。 彼 の実験 の結 果か ら す れ ば、健 康 の概 念 に 関 して も同様 の試 み が可能 で あ る と考 え られ ます 。 しか しア ル ンハ イムの本 で は、 「この学生 とい う特別 の集 団で は、概 念 を描 くとい う作 業 は、
なん らため らい を引 き起 こさな か った」 と書 いてい るだ け なの で 、彼 の 試 み を ど う した ら再現 で きるの か が は っ き りしませ ん。例 えば 、普通 の学 生 にただ 白紙 と鉛 筆 を渡 して、民 主主義 の考 え を措 くように言った ら、す なお に描け る もの で しょうか ?
そ の ような疑問 を解 決 し、描 くための具 体 的 な指 針 が得 られ たの は、 エ ドワー ズ の本 「内 な る画料 の 目
」に偶 然 に出会 って か らです
。エ ドワー ズの言葉 を引用 しま す. 「一つ の アイデ ィア一画 ( 何 かわか る形 であ ろ うとなか ろ う と、紙 の上 に何 か 描 いた もの ) は言語 と同 じよう に読 む こ とがで き、 また、描 く人 に ( 見 る人 と同様 に) その心 の なかで何 が起 きて い るか明 らか にす る もの であ る
」 。エ ドワー ドは
「この考 え方 は 自分 自身の オ リジナル な もので は な く、新 しい もので はない」 と言 っ てい ます。 しか しエ ドワー ドの ユ ニー クな点 は、 内 的 な精神 生 活 を もう一つの言語 であ る視覚 的言語 (この場合 は 画) に よっ て明 るみ に出 し、 は っ き りした形 にす る ための具体 的 な方法 を幾 つか提 案 してい る こ とです
。それ らの 方法の 中 で も、最 も 基本 的 な もの と して、 思考 の ア ナ ログ ( 相 似 の もの ) を視 覚 的 なイメー ジ と して表 現 す るアナ ログ画の描 き方 の手順 を以 下 に紹介 します。
1.A 4
の
し' [ い紙を
何回か折って、紙を八つのセクションに分ける.
2.
各セクションの下の ノ ブに1 から8 までの数字を記入する。
3. 各セクションに 入関の相性または感情の状態を表す次のような言葉で、見出 しをつける.1 . 怒 り
、2.; 7 : ・ び
、3.' I
''・穏 ( 静寂)
、4..憂うつ
、5.人 f l l I J のエネルギー
(ノJ)、6.女らしさ
、7.病気
、8.( ここは、人目 ' り の姉徴
、粧J j ' f、状態、感情のなかから、どんなものでもよいから自分で I L l l 山に選ぶ.例えば、リ 3らしさ、孤独、嫉航、不安、ヒステリー、希豊、
ylT ! . 憑感、伐惚、愛、憎
しみ、敬愛、恐れ。)
4 . 描 くときは、この裸遇の 両 がどんなふうに見える"べき"かなどといった先入観なしに取 り組
む。この
lil l i に悦しては、
''正しい"とが't H J 違っている"とか、"よい' 'と が'‑ : i L l ' ' いHとかい
うことはない.どの
iIF ̲ 1 1 も
、n分にとって了 l : . しければ、それで1 ] : . しい
iIF I i である.
2. 1
自由を表出とアナログ
画 20 5.描 くの は、ペ ンではな く針 箱 を使 う。 どの画 もそれぞ れのセ クシ ョンの なかで鉛: ' P ' : の 跡 ( 級)
に よって撒 成される。線 は‑・ 本 で も多数で もよ く、全体 を練 りつ ぶ して もかまわない。 また、
芯の先 で も 伽刷 で も
I'‑州に使 え
、m':Ji ‑ I ̲ を強 くして もi 3 弓くして も、 知いス トロー クで も良いス ト ロークで もよい。消 しゴム も仕 って よ く、・ 2‑ ・ す るに鋸[ ' F : を好 きな ように使 って よい.
6.
各 セ クシ ョンに・つ ずつ
、n分 に とって見出 しの 言葉 が
意味す る もの を衣現す る両 を描 く. こ れは 、I J に見 える形 にす るこ との よってl t : . 観的 な思考 を客体化す る とい う 意 味 で、それぞれの 概念について
I' I 分の′ 虹考の アナロ グ ( 舶似の もの) になる。 この 際、一・ つ だけ明確 な条件 があ る。ある ものの回 を描 いた り、シンボル を使 ってはい けない。あ くまで線の 沼 l i ・ だけ‑ 速 い線 、 迎い線、l 抑 柿、滑 らか さ、利 き、流 れ るような線 、切れ 切れの線 な ど‑を川 い、 桐 1が表現 し
ようとす る ものにふ さわ しい と感 じられ るもの を描 く。 この表現 は、紙の上の鉛筆の跡か ら、
線 による もう ‑ つの視覚冒' i ・ 僧を通 して現 れるこ とにな る。
7.
これ まで学l l ・ ' . を
相手に して きた粁験 か ら得 られた、この課題 に取 り組 むいちばん良い ‑ ) J 一 法 : l r i初のセクシ ョンの見 出 しの日英 "怒 り" を読 む .I : ' 1 分 がいちば ん最近本 . 、 l / I に怒 った ときの こ
とをJ L l . い出す
。冒 葉 をまった く使 わないで、その日凍 串が何 であ ったか、あ るいは n分が怒 っ た即納が何 であったか ( これ も言J 酎こしないで)、怒 りが どんな ものだったか、 n分のなかで 感 じ収 る。その ときの 感 情 を ● I t i . び感 じている、 と想像す るo まず 、その感情が内奥か らほ とば しり、次いで廉のなかへ、手のな かへ、そ して鉛筆のなかへ流 れ 込み
、鉛筆の先 か ら姿 を表 し て、その感光 と等価 の もの‑その とき感 じられた感梢 の ように見 える もの‑ を記録 す る、 と想 像する 0 ‑‑ 比 に合 邦 描 かな くては な らないわけではな く、 l ' I J j J Lが感 じた もの とその イメージが ぴった りくる ように、必 要な ら修 I l : .した り 、 消 した りして もか まわない.
8.
この両 は、好 きなだけ時糊 をかけて描 くO描 いた もの を
l' I 己検 閲 してはいけない。 こ れは まっ た くプライベ ー トな ものだか ら 、 酢 にも見せ る必要はないo描 い た ものが もっぱ ら
I1分の佃人 的 な州 V J 思考 を示す
(明か にす る) ようにすれば よい。
保健看護学校の学生が描いたアナログ画
上述 したのは、アナ ログ画に関す るエ ドワーズの原法です。原法 を単 純化 して、
「B5
の紙 を四折 りに し、出来 た四つのセ クシ ョンにアナログ画 を措い て もらう
」とい う方法 を採用 し、実際 に著 者の学生に描 いて もらいま した。対象は長崎県保健 看護学校の学生です。学生たちが ̀ 病気 'をどう描 くのかに関心があったのですが、
その他 にエ ドワーズの
8項 目中か ら、 ̀ 人 間のエ ネルギー' と ̀ 平穏' を加 えま し た。 また人 間が病んで いる状態 としての ̀ 病気'に加 えて、人 間を取 り囲む環境が 病 んでいる状態 を考える目的で ̀ 環境破壊 'を加 えま した。
一人一人の学生が描いた
4つのテーマによるアナログ画の表現はさまざまですが、
同一の学生 についてみると、テーマが異 なって も 4 枚 の画に共通の傾 向が認め られ、
その学生の個性が画に反映 して いることが伺 えます 。 例 えば図
2‑ 1の 二つの事例
2. 1
貞由を表出と7 7 ナDグ 画 21 ではいずれのテーマに も抽象的 な表現が使 われてい ます。 これ らの画に は具体的な
ものは描か れていませ んが、さまざまな表情 を感 じさせ る線 の糾み合わせでイメー ジが視覚化 されています。
図 2‑ 1. アナログ画 、抽象的 な表現 ( 学生A、学生 Bによる)
これに対 して、図
2‑2の二つの事例では、さまざまな ̀もの'が描かれています。
学生
Cの
4つの画 には、いずれ に も顔が シ ンボル的 に現 れ、 さ らに 「 人 間のエネル ギ
ー」として太陽、 「平穏
」と して風船、 「 病気」 として注射 器 などが描かれてい ます。学生 D の場合 に はさらに具体的な表現が現 れ 、 「 人間の エネルギ ー」 として
「 煙 を吐 く煙突」、 「平穏」 と して 「山が あ り、蝶 と花がある風景」、 「 病気
」と して 「 額 を曇 らせ た人 の顔」、 「 環境破壊
」として 「ゴルフ場 のある山で、木が な くな り、川 で魚が浮い ている光 景 」 が描か れてい ます。学生の ほとん どは、抽象的 表現 か シ ンボル 的表現 の いづ れか を用い ま したが 、あ る学 生 は 「人 間のエ i) レ ギー」 と 「環境破壊
」には抽象 的表現、 「平穏」 と 「 病気」 に は顔のシ ンボル、 と 二つの表現形式 を使 い分けていました ( 図
2‑3)0
図
2‑2.シンボル的 な表現の例 ( 学生
C、Dによる)
2. 1
自由を表出とアナログ
画 22図
2‑3.抽象的表現 とシンボル表現の組み合わせの例 ( 学生
Eによる)
テーマ別 にいづ れの 表現形式 が使われて いるか をみ ると、
4つのテー マのいづ れにおいて も抽象 的な表現 が主流 で
30枚 の画の うち
22枚
(73.3%)に認 め られ、
シンボル 的表現 は
30枚 中
8枚
(26.7%)にとどま りま した ( 表
2‑1)。上述 し たアナログ画の描 き方手
順 6で 「ある もの の画 を描 いた り、 シ ンボルを使 ってはい けない」 と指示 してい ますので 、この指示 が守 られ ていれば、抽象的な表現 になる ことは予想 され ます。
表
2‑1. 30名の学生によるアナ ログ画 の表現
項 目
名紬象的衣現 シン ホ ◆ 舟的表現 人 間のエネルギー
73.3% 26.7%平穏
73.3% 26.7%病気 73.3% 26.7%
環境破壊
73.
3%
26.7%3
テーマ別のアナ ログ画の特徴
学生 たちが措 いたアナ ログ画 は様 々で、 テーマ別 に集めて も、そっ く りの ものは あ りません。 しか し同 じテーマ を表現 したものの間 には共通の要素が認め られます。
人間のエネルギー
抽象的表現 ( 図 2‑ 4)の場合、最 も基本 的な型 (22枚 中 7枚 、 3 2%) は、
中心か ら周 辺へ広が るイメージの ようで広 が る力 が 、 ̀ 渦巻 き'、 ̀ 中心か ら拡散
2. 1
貞由を弄出 とアナログ
画 23す る線'、 ̀ 頂点 を外側 に向けた三角形'、 ̀ 鋭角'な どで表 されてい ます。
̀ ふわふわ した ものが上昇 し外 へ広が るようなイメージ'、 ̀ぎざぎざ した鋸の歯 の ようなイ メージ'、同 じぎざ ぎざで も ̀ 下か ら盛 り上が り噴 火す るよ うなイメー ジ' もそれぞれ
22枚中
5枚
(23%)に認め られ ま した。 シンボル的表現 ( 図
2‑5
) として は、 ̀ 水平 に延 ば した腕 を肘の所で直角 に上法 に曲げ、力 こぶ をつ くっ ている状況'が 4 枚の画に認め られま した。
ゝーくーくtJV‑・.LL
ー‑‑.
耶mm馴馴剛
L .:肌 1 ..:.. .I .. ̲⁚ ., 拍
図
2‑ 4,人間のエネルギー ; 抽象的表現
1‑ ‑
「
! .:i..: ・.I: ・.・・.: a
図
2‑5.人間のエネルギー ;シンボル的表現
2. 1 貞由を表出 とアナログ
画
24平穏
図
2‑6に示 した抽象的表現の場合、最も基本的な型は ̀ 画面 を水平に横切 る線 ' で、 22枚 中 9枚 (4 0. 9% ) に認め られま した
。それに続 くもの と して、 ̀ 画 面のほほ中央かやや上 方 に浮かぶ円形のイメージ' 、 ̀ ゆった りとした波 を感 じさ せ るゆるやかな線のイメージ'が
22枚 中
5枚
(23%) に認め られま した。
L o j E j 巴
竜1 ‑ ̲ ̲一 一 , ‑ ≡ I
.
. . . t ' i' . 1 ' '
図
2‑6.平穏;抽象的表現
シンボル的表現 ( 図
2‑ 7)で は、 ̀ ふわふわ した雲'、 ̀ ゆ るやかな山'、 ̀ お だやかな波'などの風景が認め られます。
図
2‑7.平穏 ; シンボル的表現
2. 1
B由を 赤地とアナログ 画
25病気
病気の抽 象的な表現 として ( 図 2‑ 8) 、最 も基本 的な型 は ・ 画面 を横切 る斜 め の線 'で 2 2枚 中 9枚 (4 1%)に認め られ、その 中で も ̀ 右 下が りのパ ター ン・
が多 く認め られま したo ̀ 短い線や ぎざぎざによって とげとげ しさが感 じられるパ ター ン'、 ̀ かたまりの ようなものが単独であるいは重 なって表現 されているパ ター ン' もそれぞれ 22枚 中 5枚 (23%) に認め られ ま した。
図
2‑8.病気 ;抽象的表現
シンボル的表現 ( 図 2‑ 9)では、顔 を描いている ものが多 く、注射器、十字のマー ク、擬人化 したばい菌、なども認め られま した。
'tt